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おひさしぶりですこんにちは。かなり長く留守にしています。ブログをお引越し中です。このぶろぐにはこのまま置いておくことにします。進捗諸々、またごゆっくりおしらせします。とりあえず取り急ぎご報告でした。藍音ななを
2013.06.24
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Ken++さんから嬉しいプレゼントを頂きました。以前このブログに書いた「ブルーグレイ」という詩にとても素敵な曲をつけてくださいました。詩がかすむほどの素敵な曲です。自分の詩が乗ってることを忘れて泣けてきました。Ken++さん、ほんとにありがとうございました。皆さんもぜひ耳をお傾けください。ブルーグレイ写真をクリックしたら別窓で動画が始まります♪空が遠い固い床に仰向けで寝そべる誰もいない宙を抱く一度だけ君はそこにいていまは いないだからそっと自分の腕で再現してみる大好きな 君のかたち左の肘を右のてのひら右の肘に左のてのひら柔らかく当てたまま近い方の手首をそっと頬に後ろから抱き締めたときの静かな情熱君の手首に頬を当てたら見えないタッチセンサーのスイッチにふれたようにてのひらがくるりと反転して大きな暖かい手が頬を包むそれが当たり前の決まりきった動作のように私の頬は 君のてのひらで安堵して休息するまるで何万回も繰り返されてきたかのようにひとつの不自然さもなくそれが正しい形であるかのように左の肩を右のてのひら右の肩を左のてのひら押し当てて出来たわずかな隙間に顔をうずめて君と過ごした時間甘い溜息を思い出す君にしか見せない表情で私がうたう幸せなハミング隙間なく抱き締めた腕の産毛が肌で遊ぶことに歓びを感じながらその腕がいつか離れる切なさも予感してそして時が経った今私の上に広がる空の不在をひとり 噛みしめながらいとしいあたたかさを思い出して私はかなしい雨雲になる幸せも 愛しさも切なさもすべて雨の粒に変えて音も立てずに静かに降る君は知らないひとりの私は追憶の世界に雨を降らせるブルーグレーのかなしい雨雲ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品
2012.01.09
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人の心は傷つきにくいようで意外にも傷つきやすく案外 脆いついつい見過ごしてしまう最初はちいさな棘がひとつ刺さっていてちいさなちいさな棘だからこそだいじょうぶ このくらいそういって甘く見ていると予後が悪い心も体も似たようなものねそうだよねどっちも「ひと」のものだもん大きな怪我ははなから痛いものだと覚悟は出来るけれど目に見えぬほどの細いガラスの繊維のように細くしなやかで堅いものほど見えないのにちくちくともどかしさは 強くなる刺さったとげにほんの少しだけ「私は悪くないのに」と思う気持ちの頭をなでて軽くいなしながら「ごめんね」そっと先に自分から抜いてあげられるそうありたいなと思うけれどいつもうまくいかない今度も そうちいさな棘を抜かずにそのままにしておいた罰は傷が熱を持って化膿するほどに悪化させてしまった見かねて手当てをしてくれた人がこれは痛そうねという顔をして「ほうっておいた時間の分から治る日にちは倍もかかるのよ」そう言っていたあぁ ほんとだ心も体も同じなんだどっちも「ひと」のものなんだ再確認してため息 ひとつ次からは何事にも手当ては早いうちにそんなことを思いながら熱を持ったいろんな傷口に保冷剤を当てた早く治さなきゃ傷が癒えたら笑顔で やさしく素直な気持ちになって誰かの棘を抜きに行こう2010.9ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.11.06
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窓は開け放って音楽を聴きながら山の奥を一人でドライブ時々大きく口をあけて流れる音楽に合わせて歌ったり汗をかいたペットボトルから飲み物を口にして車じゅうに緑を取り込む音楽がかかってちょっと軽い感じですが怪しい者じゃありませんよ一応念のためドライブの途中ふと車を止めて畑の農作業中の方に声をかけて収穫物と飲み物を交換したりもする ねえさんな どこからきんしゃったと あー 博多です あらー、ずいぶん遠くからやねぇ 車に乗ったら鉄砲玉ですからねぇ よかねぇ 私なんかトラクターで 家と畑の往復だけよ それもある意味小さなドライブですかねぇ あははは ちがわんねぇ お茶ありがとね 生き返ったわペットボトルの緑茶二本は袋の持ち手が指に食い込むほどの量のとうもろこしや胡瓜 トマトに変身したありがとう感謝トラクターと老夫婦と別れてしばらく走ると土手に浮き輪やスコップおや?と車を止めて見に行けば簡単な階段があってちいさな川のせせらぎに降りられるようになっていた浮き輪やスコップの主もお昼時で家に帰ったようでだれもいないトランクからトマトをひとつ取り出しポケットに詰めて階段を降りスニーカーを脱ぎ捨てて警戒心のない少女のように素足で水に入る田舎の川のせせらぎ木漏れ日が落ちる水の中岩魚の子がついついと泳ぐひやりと冷たい水に冷やされて木漏れ日と水のレース模様に心をほっと癒されながらポケットのトマトをさっと洗って大きく一口あたたかいトマトは懐かしい祖母の野菜の味がして少し切なくなってしまったけれど今回もまたいい感じだったなと楽しいひと時を締めくくりながら街に戻る心の準備を始めるまた来ようかな名前も知らない場所だけど日常を丸ごと捨てて知らない場所に ドライブ2010.8ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.08.23
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今まで離れていたけれどやっと生活がひとつになる手を伸ばせばいつでも君がそこにいる今まで知らなかったそそっかしいところや意外に怒りんぼで泣き虫そんなところも垣間見えて驚きもあったりそれでも日々何気ないちいさなうれしい出来事に目を合わせて笑いあえる幸せパセリ嫌いだったっけ?辛いの意外にいけるんだ?意外にマヨラー?日々発見おいしい幸せ仕事が遅くなって帰宅したとき先に眠っている君の横起こさないようにそっと滑り込む僕の横でくんくんと生まれてまだ日が経たない子猫のように鼻を一瞬鳴らせて君はまた眠りの淵に落ちる君の寝顔に僕は毎日救われている数時間の眠りのあとふと目を開けたらあどけない寝顔で未だ君が眠る幸せ君とこれから迎える幾千回もの普通の朝普通のなかに幸せがあるからひとつずつ集めていこう特別過ぎない小さなやつから今君と普通に一緒にいるありふれた事だけど何にも勝る幸せ2010.7ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝親戚の子が結婚しました思いやりと愛情にあふれるしあわせなカップルを見てるとなんだかこちらまで幸せになっちゃいますうふふいつまでもおしあわせに
2011.05.29
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ほの暗い夕暮れ目を閉じて私は君を呼ぶ清(さや)かな川の命棲む流れどこか甘い水の匂いさらら さらら返事が聞こえて目を開けて君に目を遣るモスグリーンのポロシャツはかない黄緑の小さな灯りが点る君の右肩「蛍はね 呼吸の速さで恋をするんだよ 人と同じなんだ 光っている時間の間に 愛してるとつぶやいて 光っていない間は 息を止めて答えを待つんだ だからよく見てみて 最初はお互い探りあいながら タイミングもずれているけれど 運命の出会いだと気づいたら 光のタイミングがシンクロして 速さを増してひとつになるんだ 食物が摂れない数日の間に 次の命への糸をつなぐ 短いからこそ 光を放ってきれいなのかもしれないね」昔誰かに聞いたそんな話を思い出すもし私が昆虫なら君の肩口に止まって命が短くてもかまわないからと君を抱きしめて熱を帯びた静かなため息をつく命を燃やすちいさな虫君がいなければ恋に焦がれて光ることもない短い夏の鳴き声さえ立てぬほたる2010.6ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.02.03
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久しぶりの再開がこんな形になるとは思わなかったそのとき私は朝の支度をしながら友達とチャットをしていた「今日は朝から近くで救急車が出てるの 週が開けてすぐなのに大変ね」そんなことを話していたまさか君が乗っているなんて想像さえしていなくて事故なんてのはほんの一瞬の出来事で気づいたときはもう終わっていることも多い君は不意に出てきた車に直進の形で衝突したらしいと聞いた汗ばむ九州の初夏薄手のブルゾンでは衝撃を吸収できず君は帰らぬ人となった会社の人がバスで通りしなまっ二つに折れ曲がったバイクと白いヘルメットかなり広い範囲で道路の色が変わるほど血液が広がっていたのを見たと言っていた慌てて駆けつけた斎場君がちゃんとかぶっていたヘルメットのおかげで君の端整な顔に傷ひとつなく本当に安らかに眠っているから実感が湧かなくて挨拶に来た叔父が事故がおきてからのことを淡々と話してくれた救急車が来たときすでに心臓は鼓動していなかったこと医師も救急士もできる限り手を尽くしてそれでも鼓動は戻らかったということ今朝元気に出社したのが最後だというのがまだ信じられないと叔父がふと 弔問客に挨拶する叔母に目を遣って「こいつが朝になると起こすんよ 『しん、朝よ。起きんね』って起こすんよ 俺は『もう起こすな』としか言えんっちゃんね」まだ自分も実感が湧かなくてとヘルメットでしっかり保護されていた端整な顔立ちの閉じた長い長い睫毛は揺り起こして声をかければほんとうにふるふると震えて眉を片方上げながら 「あぁ ちょっと寝てた」そんなことを言いながら今にも目を開きそうで叔母の気持ちが痛いほどわかる事故というのはないにこしたことはないけれどどんなに注意しても降りかかることもある不幸にも運命の歯車は交通事故という異物を挟み込んで静かに止まった斎場では君の棺の上を覆うようにして彼女がずっと話しかけていたねもしかしたら彼女とは今日弔問に来た人と同じ顔ぶれのなかで悲しい涙をぬぐう喪服ではなくスポットライトを浴びてお辞儀をしながら並んで晴れやかに そして少し照れ笑いの白い衣装で会えたのかも知れなかったのにねそう思うと切なくてまた一筋涙が流れた今月末には三十歳になると話していたまだ若い君はその歳にしては珍しく300人近い弔問客に見守られながら静かに旅立った残った君のご両親はしっかりと気丈なお姉さんと弟くんそして私たちも支えていくからどうか心配しないで見上げた空に「それじゃ いきますね(^-^)ノ」そう言うようにジャスミンの香りの風が流れた五月たくさんの人に愛されたまだ若すぎる君の旅立ち2010.5ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.01.30
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年に何度か音楽を聴きに出かける流行に聡いわけではなく聴きにいくのはいつも同じ若いアーティスト昔からライブは立ち見と決めていてどんな服装であっても足元は洒落っ気のないスニーカー2時間立ったままでも体を揺らしてリズムも取りやすい開演ギリギリ席が人で埋まった頃を虎視眈々と見計らって出入り口の真横そこが定位置間もなく照明が落ちて音があふれ出し客席のすべてを震わせ響かせる鍵の音 弦の音湧き出す音符がホールの中を隙間なく埋め空間は音で満たされた水槽になる目を閉じ じっと聴き入る者目を開き ステージを見据え一挙手一投足見逃がすまいとする者呼吸をするように 歌詞をつぶやき一緒に歌う者楽しみ方は違えど皆それぞれ同じ音符の水に棲まう水槽の魚もちろん私もその中の一匹アップテンポバラードいろんな音の波アンコールの拍手も湧いてあっという間に時間が過ぎ魚たちは元の人の姿に戻り帰路に着く髪や耳の穴から音符を少し滴らせ水槽での水の余韻を楽しみながら幸せな気分で私も同じ髪に音符をたくさん絡ませて空車のタクシーに手を上げてあわただしく帰路に着く中学生になったら連れて行くと約束した娘に 今日もいい演奏だったよ 絶対一緒にいこうねそう話しておやすみを言うためにそして寝息が聞こえたら髪やかばんに残った音符をそっと集めてまた次も魚になりに行こうと思う音の水の水槽の中ほんのわずかなけれど極上の楽しみ2010.4ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.01.28
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空の向こうあなたは今も笑っているのかな私には追い越せない遠い遠い人あなたのそばに生まれて私は幸せでした戦火や貧しさをくぐり抜けたくさんの子供たちや孫たちに慕われたあなた太陽の下モンペ姿にエプロン日本手ぬぐいをきゅっと巻いた頭力強く鍬の柄を握り締める土でできたような黒々とした確かな指あなたのあの姿を最後に見たのはいつだったかなあなたはいつまでもあの姿でいると思っていたのに時間の流れの中目を病み 足を傷めいろんなことを忘れるようになりやがて座っていることもできなくなった夜中にリアルな夢を見ては家族の名前を呼び探しながら寝所をいざり回ったりまどろみの中私たちには見えない人と話したりときには泣いたり叫んだり家族はみな憔悴しながらもあなたのそばにいたかったから交代で介護していたけれど具合を悪くして病院や介護施設にお世話になった施設や病院に入っても1日たりとも欠かさず家族の誰かがあなたの元に通ったのはあなたがかけてくれた惜しみないたくさんの愛に少しでもお礼がしたかったからみな あなたのそばから離れたくなかったの時々意識や記憶が巻き戻ってちゃんと反応してくれた 「ばあちゃん 私 だーれだ」 「ななをちゃんたい」 「じゃあいっしょにきてるのはだーれだ」 「ひろちゃんやろうもん」返事があるとうれしくて妹と2人 目を合わせて涙ぐんだもう動かなくなった手足に幾筋もの点滴やチューブ土のにおいがしなくなった指先は少女の指のように白く細くだけど見えない部分は内出血で青く赤く痛々しく 注射は一番好かんとよ 血管が細いから刺さりにくくて みんな失敗しんしゃあもん 痛いけん一番好かんとつらくてそっと目をそらしたその先には鼻も口もすべて線でつながれた寝顔点滴の針に触れないようにあなたの手をそっととって温度の薄い指を撫でながら ばあちゃん 苦労が多かったね もう無理せんでいいよ みんなのがんばれ とか 生きてって言葉に 一生懸命答えてる 頑張りやさんだけど 痛いやろ?きついやろ 無理だったらもういいよ そのかわりにさ 私と縁があるのなら 私のそばに もう一度生まれておいで まってるから気のせいだったかもしれないけれどあなたがうっすらとうなずいた気がしたそれから二~三日後みんなのお見舞いがちょうど一周した次の日の朝あなたはたくさんの管から解きはなれふわり空に散歩にでた私は人目もはばからず泣いただけどそれは悲しい涙ではなくあなたが痛みやたくさんの大嫌いな針や管から開放されたことへの安堵の涙そして今までの感謝の涙 つらいからこそ笑わんねふと思い出したあなたの言葉に複雑な表情で泣き笑いあなたの教えてくれたことはいつもいいタイミングで私の背中を 押すそっと背中を押されながら日々は過ぎてちょうど四十九日の法要のあといなくなったあなたの空席に座る命が芽吹いたのを知ってあなたとはやはり深い縁があったことを知るあれから約10年月日は流れて新しい生命も小学3年生になった生まれ変わりというものが本当にあるかどうかは神様しか分からないけれどあなたの代わりに来た生命にふと 感じた輪廻という言葉を胸に刻んであなたに教わったいろんなことを伝えながらあなたに受けた愛情をこの子に返す約束は守れているかと反省する日々そしてあなたの教えにあなたのそばにいられたことに感謝する毎日ありがとう今も大好きな人2010.2ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品土曜美術社刊「ネットの中の詩人たち7」掲載作品主催者・島様に感謝【送料無料】ネットの中の詩人たち(7)価格:1,470円(税込、送料別)
2011.01.27
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いつもふざけてばかりの君と話していてちょっとした言葉のあやで贈り物をすることになったいろんなことがたくさんあって毅然としていなければ折れてしまいそうで固く張った糸が緩められなかった私という楽器その楽器を見つけて少し緩めてみたり逆に緩みすぎたところを少し張らせたりして音色を修正した調律師のような君季節柄もあってよく目にする華やかなパッケージその横にある至極シンプルな包装の外国製のただの板チョコ「いろんなものが入ってるの 苦手なんだよね 素材の味がそのままなのがいいの ストレートでシンプルなのがベスト 普通の板チョコ以外いらないからね」気遣いか本音なのかは本人のみぞ知る大人の気遣いに甘えながら小さなお酒の瓶もひとつこれは私からの大人の気遣い味も香りも感じられないほどにこちりと固く縛っていた黒檀色の四角い塊があたたかい君の温度で少しずつ角を落としやわらかく溶け出して複雑な甘さと苦さで香りまで放ちだす2月半ば遠い春の足音聞こえるディスプレイの向こうまだ見ぬ笑顔ひとつピアノを弾くようにキーを叩く音がするショコラフレーバーひそかに香る部屋2010.2ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.01.24
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料理を作ろう私と 君にしか作れない料理まずは材料をカットしよう楽しかったこと うれしかったことサプライズ 一緒に見た風景感謝したこと切ってしまうなんてとんでもないからおおきな丸ごとの形のままで表面を丹念に洗って悲しかったこと 苦しかったこと辛かったことや 遠い距離苦い涙は薄くスライスしてできるだけ小さく刻んでこまかく こまかく大きな鍋にお水を張って材料を全てそっと泳がせたら暖かだった君の体温を焚き物にして煮込んでいこう窓の外は風鳴りがして時折啼くような飛行機のエンジン音が聞こえる部屋の中はくつくつと現れては消えるうたかたのため息煮込む部屋の中私は本を読んで詩を書いて時々うたた寝して君の夢を見るもう 雪は降ったかしら見損ねた雪景色を残念に思いながら椅子から立ち上がって料理を仕上げにかかる素材は最初からよかったせいかほろほろとやわらかく煮えていて小さく切ったマイナス素材も全て形なく煮とけてしまってあったことも忘れてしまうほどにとろりとろとろいろんな想いが煮とけた煮汁の中に仕上げのスパイスを加えよう君の車で見た風景コンビ二でした小さな買い物初夏のさくらんぼ狩り知らない街で道に迷いながら遅くなってもちゃんと来てくれた事香りが飛ばないようにさっと混ぜ合わせたら器によそう軟らかく煮えた優しい思い出たち上からかかる苦味や辛味がほのかに顔を出すけれど懐かしい味の素敵なソースクレソンの代わりに君がくれた四葉のクローバーを料理の脇に忘れずに添えてもう入手できなくなった君の「愛してる」冷凍保存のやつだけどあちこちに散りばめて静かな部屋で一人 食べる私と 君にしか作れない料理少し薄味だったけど舌が探し当てるいろんな思い出の味が引き出す一粒 二粒塩味のアクセント遠くなったり 近くなったり何度も繰り返した私たちの距離のように波のように濃淡を行き来してやがて皿の上にはなにもなくなり料理が始まる前に戻るどんなにおいしかった料理もいつかは冷めるだろうし食べつくせばなくなってしまうでもなによりもおいしかったことは本当だったし 忘れないとてもすごくすごくおいしかったごちそうさまでしたおいしかった料理のレシピは引き出しにそっとしまってまた 一人で歩き始めようそして食べ終えた私の時間はいまはまだ君がいたときのままだけどいつかは君を知る前と同じリズムに戻って時間を刻み始めるありがとうさよなら大好きだった 君2010.1ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品土曜美術社刊「ネットの中の詩人たち7」掲載作品主催者・島様に感謝【送料無料】ネットの中の詩人たち(7)価格:1,470円(税込、送料別)
2011.01.23
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大晦日 年も押し迫って慌しく年越しの支度をする私の後ろで父が地元の言葉で 妹に電話をかける おぉ お前か 年越し蕎麦は何時頃に食いに来るとや あぁ そうや 今日は帰らんとか チビもそっちに泊まりか おぉ わかった そっちのお義母さんにもよろしゅう言うといて電話を切って小さなため息ひとつ首をすくませて小さく振りながら眉を少し上げてやれやれ しょうがないなそんな表情を作る嫁ぎ先の年末年始の集まりにいってしまった自分の娘と年末の締めに会えなかった小さな孫の顔に残念がる好々爺(こうこうや)の顔昔はこの人を好きになれなくて反発してたっけこの人の娘に生まれたことが憎らしくて辛くて泣いた日もあった家にも寄り付かず家族なんてなくても生きていけるそう思った頃もあったけれど何度と歳を重ねて流れた時間が少しづつ固くもつれた紐の瘤をすこしずつほぐしていろんな命が去りそして生まれながら赦しという櫛で梳いて整えてゆく時の流れは時に険しいけれどやさしく麗かな日もある角の削れた心を緩やかな流れが揃えて整えながら波風はあっても落ち着くところへ落ち着いてそれぞれがならではの個性の家族の形になってゆく妹もまた新しい家庭を新しい形で作っていくのだろう毎日を大切にひとつずつ重ねながらやがて数時間後には年が明け年始の挨拶にはたくさんの顔が来る見慣れた懐かしい顔はじめて見る新しい顔同じようにさまざまな経路を通って歳を重ねた家族たちいわゆる 「親族」みなそれぞれ時間を経て新しい時を過ごし新しい家族や命にいとおしく目を細めながら無事を喜び合う年の初めまた新しいそれぞれの年が明ける2010.新年ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.01.23
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除夜の鐘を遠くに聞きながら一年を振り返る寒かったこと 暑かったこと眩しかったこと 心地よかったこと愛する季節たちは空の色にも似て緊張のなか 初めて会う人たち旧知の人 笑顔 泣き顔 驚く顔いろんな色それはみな愛すべき者たちで子供がはじめて作った 不思議な料理飛行機で飲んだコーヒー初めて乗った助手席の煙草の煙ありがとうしかでなかった言葉少し涙の塩味がしていろんな思い出をそれぞれすべてひとすじの繊維になるまで細かくほぐしたら新しい年の空気の中にまんべんなく散らそうきれいに混ざったらその場でしずかに澱がすべて降りるのを待つ百八の鐘の音でふるえながら一年の思い出が少しずつ集まりながら重なって日々の思いが織り成して作る昨年という名の一枚の和紙ひとつとして同じ色はない感謝を編んだ紐でとじた大切な三六五日が素材の世界にたった1枚の和紙でできた心の中にある一綴りの和紙帳今年もまた一枚新しい色が増える「ありがとう」という紐がとおって去年が幕を下ろし「よろしく」と澱ひとつない新しい年の新しい空気で心をいっぱいに膨らませて今年もまた未だ顔も知らない周囲の人たちにもよい年でありますようにあけましておめでとう皆さんに心から新しい一年がすばらしい年でありますように****あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします=== 藍音ななを ===2009.12・末~2010.新年ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.01.22
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TVがついたまま過ごす秋も深い夜窓の外はまだあたたかい雨が落ちる雨音が消えないようにボリウムを絞ったスピーカーから天気予報がかすかに耳に届いた九州から順に 上がる地域かなり終わりに近いところで君の街の天気を告げる「もう早々と白い物が街に降りるかもしれません」女性のアナウンサーが柔らかな口調で告げ画面にはアウトラインだけの日本地図年輪のような気圧等高線の幅が狭くなって君の街の上を覆っている私はぼんやりとついこの間もらったメールのことを思い出した「少し風邪引いたいつも一人でいるから風邪もひくさ暗い部屋に帰ると寒いしなぁお前も風邪ひかないようにあたたかくするように明日早いからもう寝るなおやすみPS: なんで遠いんだよ。馬鹿」子供みたいな口調になるほどに君の街は凍てはじめてやがて君の街を一面の白が覆う私の街では見ることがない風景君の家に今度荷物が届くよ柔かで厚手の白いふかふかのセーターそれは私の物だから預かっていて君の街をまだ白い物が一面に覆っているあいだに街の白さに負けないそのセーターを着た私が君の部屋に数日いる予定だから間隔の狭い等高線よりももっとそばにいて君の事をあたためるからそれまでどうかもう 風邪をひかないようにまだあたたかい雨の夜少し窓を開けて雨の匂いを嗅ぎながら地図ならあんなに近いのにね一人呟いて等高線なんて見えない君の街に繋がる空を見上げて「おやすみ」今日のメールの最終便を送信した2009.11ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2011.01.21
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【送料無料】ネットの中の詩人たち(7)価格:1,470円(税込、送料別)お久しぶりです。出ましたー。本が出ましたー。私が参加しているネット詩誌「MYDEAR」から出た詩集です。最近、なんだかんだで更新できない毎日ですが、こちらには密かに新作も書いておりますのでよろしければお手にとってごらん下さい。取り急ぎご連絡でしたぁ~ ><bb
2010.12.01
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まま、メロンソーダでもどうじょ。入稿終わりました~今、所属しているネット詩誌「MY DEAR」から来年発行されるアンソロジー詩集の入稿完了なのです。ブログの更新はなかなかしないですが、水面下ではなにやら動いているワタクシ。水棲動物みたいですね。トドとかセイウチとか(* ̄m ̄) ププッ密かにいろいろ頑張ってたりするのでした。それにしても毎日暑いですねぇ。もー、夏、嫌い( ̄― ̄°)
2010.07.20
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おひさしぶりでございます。ななを2≒藍音ななをです。今日、福岡県詩人会総会にお邪魔させていただきました。雑談中「サイト更新」の話題になりまして、はっと気づきました。更新してないよーだめじゃん、私(ρ_;)というわけで細々なりとも更新しなきゃと思った私でした。そうだよー。赤電話の詩から変わってないじゃん( ̄― ̄°)写真の容量がかなりやばいのを警戒しつつ、写真いっぱいいっぱいになったらどこか容量の大きなプロバイダー探して移ろうかなと考えてます。ちょろっと調べたんですが、内容を丸ごと移動というのができるサービスも各社あるようですが、なぜか楽天だけはそれ、できないんだよねぇ・・・なんででしょう。ヘッダのタグとかが特殊なのかしら。買え買えバナーもいっぱい組み込まれてますしねぇ・・・ともあれ近いうちに何かしら更新しようと目論んでます。取らぬななをの皮算用・・・(笑)
2010.07.11
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幾度となく同じ順をたどったあの人の声に通じる数字寒い冬かじかむ指で回したダイヤル今の若い子は知らないよね丸いダイヤルがついた赤い電話テレホンカードなんてしゃれたものはなくてたくさんの数の十円玉をブザーが鳴るたびに落とす距離が遠ければ遠いほど十円玉の滞空時間が短くて「好きだから」「会いたいよ」言うにいえなくて無言の時間ばかり硬貨の厚み分だけ過ぎた最後のほうには馬鹿みたいにあった十円玉も底をついてどうにももどかしくて百円玉を落とした憎らしい投入口最近はみんな高性能の携帯で写真だって送れるしパソコンがあれば動画だってリアルタイムで見られるあのころは便利な時代じゃなかったけれどそのかわり指先が今でもあの人の声に繋がる番号を律儀に覚えてる好きだったことが過去になって新しい季節が来ても指がたどった番号はたとえ もう今は空にしか通じることがなくても同じ順をたどる「離れない」昔 赤い受話器の向こうでそう約束した人は空に旅立ったと人づてに聞いた主のいない番号は指の記憶の中そっと眠った空の向こうそちらにはまだあの赤い公衆電話まだ あるのかなそしてあの人の指にも私の声に繋がる指の記憶は残っているのかないつか空の上でばったり出会ったら指の記憶見せて下さいネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.11.20
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午前五時前日から続いた諸々をシャワーで洗い流す新しい今日が来たことを告げる挨拶を聞き逃さないために電気もつけないバスルームまだほの暗い空間に跳ねる水音日々時間は移ろう夕闇が静かに忍んできていて気がついたときはすでに紙一重の距離にいてその腕に突然抱き包(くる)められいつの間に時が経ったのかとはっとするそんな日が増えたのと同じ数だけ月や星と別れを告げる朝の思いが深まって滞在時間も伸びがちになり夜が明けるのがずいぶん遅くなった体の表面を覆う熱気も鳴りを潜め朝はひやりとした涼しい空気がこの世界に満ちる濡れた髪を雑に拭いながらまだ誰も起きてこない台所(キッチン)でやかんに水を入れてカタリと音を立てて青い火を点してお湯を沸かし温かいコーヒーを一杯まだ動かないひやりとした空気がコーヒーの湯気で動き出し香ばしい香りのちいさなつむじ風をおこす機械で冷やさずとも涼やかな朝汗ばむこともなく飲む温かい飲み物「おいしい」香ばしい安堵のため息と一緒に唇からこぼれた言葉今 このとき私の秋はうまれたネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.11.19
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丘の上街を一望に見下ろす空が近い墓地焼けるような真夏の風が少し 吹き止まって私は 歩みをとめて空を見上げるやがて動き出した風が汗ばんだ肌を撫でて通り過ぎわずかに火照りを冷ましながら季節の移ろいを告げる桔梗 刈萱 女郎花華やかではないけれど季節と言う一冊の本の章がかわるページの栞静かな花々と少し苦い酸漿の香りまだ若い林檎や梨桃や葡萄の香りうすい薫香で編んだレースが包み心だけになった愛するものたちに手渡す久しぶりに会う縁故の人たち心だけになった大切な過去の人と肉体を持ってうまれてきた新しい命同じ空間で時を過ごす年に一度の懐かしい時間思い出話を薄く縁取る涙は悲しみではなく思い出に寄り添ういとおしさや切なさ過ぎる季節がすれ違うときに見せる愁いを帯びた横顔に少し 切なさを増して遠く 読経が聞こえる夕暮れ赤とんぼがすぃ と新しい季節の涼しい一陣の風に乗ったネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.11.13
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やっとまた会えた空の向こうの君しばらくの間君の周囲で吹き荒れた嵐もなんとか通り過ぎて新しい日々のリズムを紡ぎだす今までと違うことに戸惑ったり少し慣れてきたり距離が増した分実際に会うことはまた少し難しくなるけれど心の距離は何も隔てがないほど愛しく近い君の溜息をつくる過去の思い出がやっと君から手を離し自由な腕が躊躇うことなく私の手を握り締める確かなあたたかさに目を閉じて相槌を ひとつずっとかわらず平行になっていた距離がいつか近づいてこの 物理的な距離もいつかはなくなるまずはとりあえず君とはなれるとき確認する忘れ物がひとつ なくなって君が新しい生活に早く慣れるようにとただ祈るばかり忘れ物がなくなった君の横顔に珍しく引いた口紅がピンクベージュの飛行機雲うっすらと軌跡を残していままでの泣き顔じゃなく笑顔で手を振りながらゲートに飲み込まれる私いつもと少し違う空それでもやっぱりかかる雲の上旅立ちは 晴れネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.11.11
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一人静かに新しい水の匂いを探しながら明け待ちの空深い藍がかかる山の上山は新しい空を迎えるため粛々と無言で準備を始める草が息づく匂い木々が幽けくささやく声目覚めた鳥の今日はじめての深呼吸みんな唇にそっと人差し指を当てるしぐさ静かにねそう 静かにね音の少ない山の上でそっと歩く私の足元からぴしりと小枝が折れる音を聞き鳥が戒めるように「ちー」と一啼き一秒にいちまいづつ夜の藍が剥がれていくように明けてゆく新しい今日の空藍から青に移ろう前の一瞬のミルクティー色の空は泳げるほどの水の匂い果てしなく白い霧をつれて山に朝を呼ぶ緑さえかき消す白い世界自分の指すら見失いそうな深い霧の中服を静かに湿らせ波打つ髪に水滴を載せて植物のように立ち静かな気持ちでそっと目を閉じる体中の細い部分髪や眉睫毛や産毛その一つ一つに静かに水滴を震わせながら空とひとつになる歓びそれは麓から見上げるひとは山の頂に雲がかかっているねと暢気に一瞥するだけで誰一人として気づかないけれど誰もいない白く厳かな静けさの中=(イコール)の記号が繋ぐ世界私はいま雲の中にいて何よりも愛する空の一部になっていますおねがい誰も見つけないで空にとけて霧とともに消えてしまうまでどうかこのまま・・・ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.11.10
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何かが終わるとき句読点の代わりに悲鳴を上げる秋の夕暮れの紅い狂ったような叫び花火の火花を散らしながらの叫び軽い かるいただ一枚の薄っぺらな紙だって破れる時は大きな断末魔の悲鳴増してや人ならばなおさらのこと悲鳴と一緒に豪雨のような涙を連れて離れる意味を問いながら心も引き裂かれて悲鳴を上げるひとつの命が消える永遠の別離あぁ だけどまた縁があるのならば新しい命になって力強い叫びのような産声を上げながらいずれうまれてくるその叫びは無の世界に記すエンドマーク有の世界へと踏み出す力強い叫びをネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.09.06
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秋を通り越して寒い冬をじっと耐えて季節は花を連れて 春小さく身を縮めて雪解けを待つ根雪残る心あたたかい手にふれたのはもう何ヶ月ぶりだろう遠い遠い距離縮まる術はなく会うたびに自分の心の中に一期一会と言い聞かせながらそれでもやっと会えた君の両手が私の頬を包むそれだけで瞬く間に根雪は姿形を変え世界で一番小さな名もない川の源流が君の掌に音もなく辿り着いた移りゆく新しい季節の中でネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.07.14
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通り過ぎた花の前線を追いかけて空を飛ぼう葉桜から満開の花を飛び越え五部咲きの花を目指す少し息詰まる離陸のG(圧力)は季節を飛び越える圧縮された空気をくぐり抜ける時間の悲鳴急な角度で踏み切る高飛びの陸上選手のように地面に張り付いた街を離れる硬い鉄の翼旅立ちは 晴れどんなにどしゃ降りでも行く先を見据えて大地を蹴って踏み出せば雲の上は何一つ混じるもののない青空雲を抜けたら飛行機雲の軌跡大きく空に描きながら私も空の一部になる冠雪した峰を見下ろしてただただ青い海を飛び越えて降り立った場所は季節を巻き戻した初春の花咲く場所空港の到着ロビーを通り過ぎればほら私が住む街から通り過ぎた季節が桜色に街を染め両手を広げて私を抱きとめる青い空で繋がった場所はじめて踏み出す見知らぬ街の 春ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.07.12
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またひとつ季節が終わる大好きな冬と言う季節寒いから淋しくなるからと冬を嫌う人もいるけれど 冷たい空気 かたく閉じた世界 殺風景で色のない風景 襟を立てて俯き歩く人波 凍てた指先でもそれは永久に続くわけではなくていらない物をそぎ落としぎゅっと縮こまって動き出す時に備えて力を蓄えるための準備期間に過ぎない厳しければ厳しかっただけ春は暖かいんだよと思い起こさせてくれるやさしく 甘くそれだけではいられないことを教えてくれる季節人はみなあたたかく柔らかく明るい春を喜ぶけれど私はここで過ぎてゆく冬に感謝して後ろ姿を見送ろうまた巡ってくる時までお疲れさまありがとう大好きな冬ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.04.21
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静かな夜 水の匂い漂っていつしか窓の外は雨季節ごとに変わる雨音春やっとほどけた空気に背伸びを始める緑のうえ柔かさを確かめながら安堵するように着地する音やわらかくはたはたと夏熱気に膨らんだ地上に力を全て抜いて落下する大粒熱で際限なくゆるんだ空気に音の輪郭滲んでばたばたと時にぼつぼつと秋生きる力あふれる深い緑から命を終える葉の身支度の彩りやがて落ちる枯葉をたたき空になった命の上に落ちる音はつはつと冬ぴしりと凍てた空気なにもかもが寒さに身構え心さえ開かぬほどにかたく張り詰めた世界の上無常を嘆くように落ちて来る音ちたちたと時にはちはちとあぁ そして冬にはもう一つ悲しみも辛さもかくすように世界を白く覆う冷たくも優しい綿毛いつかとける約束の雪が散る音はさりはさりと季節ごとに流れる空気で音こそ違うけれどどの雨も大好きでどの雨も愛しい植物が甘雨を浴びて命を萌やすように私の心も雨音を聴き雨を浴びて生きる植物のように空を見上げて大きく背伸びをして空に恋しながら ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.04.10
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真夜中の一人の部屋画面に向かってキーを叩くその向こうに君がいる触れることが出来ない遠い距離の向こうにいる映像の君が私と話す遠いけど近く近いけど遠い「会えないけど笑う顔が見たいから声だけじゃ見えないあなたの笑顔が見たいから」君からもらったツールを訳が分からないまま接続してああだこうだと携帯で話しながら設定をするパソコンの画面何度つなげてみてもうまく行かなくて放り出しそうになりながらやっと見ることが出来た久しぶりの君の姿少し痩せたかな髭が伸びてる髪形も変わったなプレゼントしたネックレスもちゃんと着けてくれてる君だけが会いたいわけじゃない私だってやっぱり声だけよりも見える君が嬉しいだけど今 画面に映る私は毎日 日付けが変わる頃にやっと終わる仕事や土日も休むことのない仕事に疲れてくたくたに見えてるんじゃないかなそんなことを気にしながらそれでも君に会いたくてオンラインで君を呼ぶ時折 笑い転げたり拗ねてふくれたり真剣になって涙ぐんだりする画面の中の私を見つめて抱きしめたい君は言うけどどんなにレンズに近づいても君に触れることは無くフレームからはみ出すばかりこれが私たちを隔てる距離と言う名の越えられないものの正体で今は変えられない事実嘆いてもこれが真実だけど前よりも君に近づけたから今日の終わりに必ず伝えよう君から そして私から心の奥があたたかくなる「愛してる」という言葉を今日も距離を隔てた画面の向こう煙草の煙と一緒に私の笑顔を待つ 世界に一人の君がいる ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.03.20
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細い細い冬枯れの小枝が空の血管のように広がる季節恋人たちのイベントがまた 巡ってくるショコラの香りとハートの包み紙白い吐息がふわりと包む聖職者の名前がついた日昔そう ずっとずっと昔女の子の間でおまじないが流行った人が寝静まった夜中自分の肌であたためたりんごを一つ好きな人のことを思い浮かべ鏡の前でじっと見つめて呪文を唱えるこうなりたいと思う花言葉の花の名前を三つそしてそのあとに「apple got」三度唱えたら誰にも名前を呼ばれたり姿を見られたりしないうちにそのりんごを一つ食べて口元をそっと拭ったのち鏡に最高の笑顔を見せる成功すれば花言葉の呪文通りに恋がかなって最高の笑顔が印象付けられる失敗すれば顔を果汁だらけにしてりんごを齧るその顔の印象が届いてしまうそんなおまじないだから女の子は成功するまで連日母親に小ぶりのりんごをせがんで怪訝な顔で買ってきてもらう街のスーパーの店先小ぶりなりんごから姿を消す不思議な光景仲がよかった友達は立派なりんごを買ってきてもらったらしく夜中に二度失敗して泣きながら三個目を食べたらしい三個目の成功がきいたのかどうか彼女は大好きな先輩と毎日一緒に登下校できるようになって結果オーライ恋する女の子は何かのイベントのたび失敗だらけの魔法使いになるショコラに媚薬プレゼントに呪文恋するたびに魔法がうまく使えると決まってるわけではないけれど少しづつ上達はするもんだろうととりあえずは物の道理でそしてさんざっぱら魔法を使ってきた熟練の魔法使いは少し離れたところから横目でちらり新人の魔法使いたちに「がんばって」そっとウインクして見て見ぬ振りでエールを送る寒い冬の短い一日小さな恋人たちの想いがかないますように ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.02.13
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冬の声が聞こえる夕暮れ暗い夜道で携帯を開く知らせのメールはまだ ない身を切る風に頬を引っかかれながらポケットに手を入れて暗い家路を急ぐ自宅ではなく実家への帰宅実家の玄関を開けると明るい光の中温かい空気が運ぶ夕餉の香りとともに奥から妹の夫が笑顔を覗かせ「姉ちゃん いま産まれたよ元気な女の子母子二人とも無事で元気」聞いたとたん体中が温かくなったのは何も部屋があたたかかったせいだけではないちいさくはかなげでけれど力強く声を上げて真新しい命が生まれてきたそのことがこんなにも体が熱くなるほどの幸せを運ぶたった3400グラムの小さな赤い肌をした生命体がこの世界に現れたその事実一つがこんなにも家に光を降らせてたくさんの笑顔を引き出すねぇ新しい命君の周囲の人たちはみんな君の無事と幸せを祈って君に会うのを楽しみにしていたよいままでずっとお腹越しにしか会えなかったけどやっと何も隔てずに会えるねはじめて会うときはまだ小さな君に丁寧に挨拶をしよう新しい光を曇らせたり汚したりしないようにそして君は困難に立ち向かう力を持って自分を傷つけることなく胸を張って歩いていくがいい木枯し吹く冬の夕暮れ新しい物語は3400グラムで幕を開けたネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2009.02.11
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とうとう本が発売されました。「藍音ななを」と言う名で書かせていただいております。ネットの中の詩人達6発売されました。楽天でもお求めいただけます。お手にとってごらん頂けたら幸いです。藍音ななを 拝
2009.02.01
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本が 出ます本に 出ますなにがって私が σ( ̄▽ ̄) 書名:「ネットの中の詩人たち 6 」 著者:島 秀生 出版社:土曜美術社出版販売 (定価 1,400円+税) 図書コード: ISBN 978-4-8120-1715-9 摘要: 2月1日発売予定以上の本に、「藍音ななを」としてお邪魔させていただきます。もしよかったらお手に取って下さいね。私の拙い詩はまぁいいとして、他のたくさんのすてきな言葉の数々に耳を傾けたり、目を向けたりして楽しんでもらえたらなぁ、と思います。楽天の詩人仲間のキムタツ2005さん(木村達雄さん)も参加されてます。寒い冬の日温かいお茶のお供にいかがでしょう。よろしかったらどうぞ。楽天でも予約購入できます。あぁ、早く出ないかなぁ。楽しみなのですなぁ(*´▽`*)
2009.01.20
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大きな鏡の前の椅子に座ってこのあたりまでと肩先を指差すもうどのくらいかわらず伸ばしていたのか忘れるほどに腰さえ超える 長い長い時間と髪普段は一つにまとめて硬く丸めて結んでいた自分の気持を律してきつく封じるようにそして幸せな歌がうたえる時だけ心と一緒にほどいた髪幸せな時間は両手のひらで包んでも余るほどしかなくてこの長さを知る人もほとんど稀で切るきっかけは些細なことで自分を変えるタイミングにちょうど重なっただけのこと世間一般で言うような特別な思いはさらさらないただ ふと 今までの自分を髪と一緒に過去にしたくなっただけよく手入れされた銀色の鋏で細く長く波打つ私の過去はくるくると螺旋を描きながらはさり はさり と床に身を投じそのたびに過去も床に横たわり箒ではいて集められる髪を洗い流し ブローが終わった頃もうすでにそこに螺旋の姿はなかったさようなら今までの私店のドアを開けたら心地よい風が吹いて柔らかな陽のあたる肩先でやさしく巻いたアルファベットのSやCがちいさなつむじ風と遊ぶ今までと違う感じに一瞬立ち止まってちいさなくすぐったさを感じて笑顔になって空を見上げるそしてまた 次の瞬間新しい私が歩き始める ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.11.30
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新しい出来事があるたびにひとつちいさな部屋が心の中に生まれるうれしいことかなしいことやさしいきもちせつないきもちうすいうすい紙よりもうすい膜に包まれたちいさな部屋は少しづつ少しづついろんな養分を吸ってしずかに成長してゆくときどき熟した粒がふるふると香りを放ちながら絡んだ物事の糸をほどいて期を見て はちり とはじけては「あぁ そうだったのか」と気づきを生み出す心だから 形はないけれどもしも形に現すことが出来るならそれはまるで一房のみどり色の葡萄店先に並ぶ葡萄のようにどれも総じておいしいわけではなくひとつひとつ苦かったり酸っぱかったりいい香りのものやとびきり甘いものもひとつぶ ふたつぶ房のどこかにそっと丸まって密やかに息づいて眠るおいしいものもなくては生きてる意味がないものただ おいしいものばかりだとおいしさに鈍くなってしまうからおいしいものはほんの少し生きるための 大切なご褒美私の心はみどり色のひとつの房を成して音もなく静かに養分を満たしてゆきはりはりと潤んだそれぞれの部屋をあつめてたわわに実らせるいつか時が止まるその日が来たらさらりと未練なく迷いもなく私は風になる静かに実った私の歩いてきた時間を満たした果実を片手に携え 空を見上げて一陣の葡萄色の風に ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.11.30
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肌寒い夕方 白いカップに夕焼け色の紅茶を注いでさらさらと 甘い粒を放つ一つ一つ乾いた光る透明の粒はすべてが君への思いでさまざまな角度から光を浴びながら彩りを変えるプリズム想いを含んで 甘さに満ちた私という夕焼け色の液体を君と言うスプーンがかき混ぜるほんの少し眉根を寄せて痛みに耐える表情で唇を噛みながら首をいっぱいに反らせてカップとスプーンがあたる音をちりちりと立てるしのび鳴る鈴の音のように何度も君の名を呼ぶ私と言う名の飲み物きっとこんなに甘い粒で満たしてかき混ぜても見た目には何もかわらずその液体を味わうことのない者は変化に気がつかないけれど私を掴みあげて一滴も残すまいと奪うように口にする君だけが知る舌の上でころがる甘さ君が愛する味私は君のためだけに在る夕焼け色の甘い飲み物 ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.10.28
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空が近い部屋後ろから君が抱きしめる何も隔てる距離がない小さな部屋下に広がる国道行き交う車たちこんなにたくさん人はいるのに私を幸せな気持ちにするのは後ろに居る君だけだ短くしたばかりの私の髪に顔をうずめて会いたかったとただ 一言電波を通さないその声が聞けるという何気ないことに幸せを感じながら私も という一言さえスムーズにでてこないくらいいろんな想いが溢れだす何から話そうか話さなくても分かるよ静かに抱きしめられて無言のまま窓の外の空を見上げて空と雲を少しづつ切り取った真四角の折り紙で紙飛行機を折って小さくたたんだ想いを心の中から窓の外に飛ばすつらかったことさみしかったこと切なかったこと泣いたこと君には見せたくないから向き合う前に空に放った6階の窓通り過ぎる風秋が見える昼下がりの部屋ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.10.23
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おはよういつもと同じ朝空を見上げておはよういつもと同じキッチンうたうケトルせっかちねコーヒーの1杯くらい飲んでいけばいいのにつむじ風を起こしながら君はこの部屋から出る日常に戻っていくために久しぶりに触れた手の感触を思い出して頬に自分のてのひらを押し当ててみる煙草の香り残る朝いつもと同じ朝なのにコーヒーだけがなぜか少し苦いちいさなため息と夢の名残の朝 ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.09.28
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長いながい髪の五線譜の上に声の音符重ねて私はうたう 君だけの歌尽きることのない音楽にきつく目を閉じて首を左右に振りながら開いた唇から夜を讃える歌が流れ出すリズムを刻むメトロノーム私の声はファルセット時にスタッカート観客はただ一人独唱は君だけのために君が愛する歌をうたおう波打つ髪が幾重にも重なり奏でるオブセッションそのたび生まれる新しい曲で君だけへのカーテンコール時間が許す限り幾度でもやがて白い朝がきてまたいつ 会えるとも知れない長いながい 別離の朝君のためだけの五線譜ほかの誰にも聞こえないように静かにそっと束ねていつもの不器用で歌さえも知らないような静かな女の顔に戻る君が不在の部屋またいつもどおり静かな一人の君のいない朝 ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.09.23
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名前が変わりました。理由はいろいろありますが、ちょっと名前の居住まいを整えるような感じで。たしかになぁ。その場しのぎの「ななを『2』」のままではちょっと据わりがよくなかったもんなぁ。ミュウツーみたいだもんねぇ。で、もって「ななをつーさんですか?ななをにぃさんですか?」と聞かれて、そう言えば何も考えずにななをのごはん別館だから「2」でいいやとつけた「2」だったので、たしかに呼ぶ人には不親切だよなぁと思ったこともあり、とりあえずそんなところで。まぁ、女のとうちゃんでもあるのであるイミ「ななをにぃさん」ですけども(笑)で、肝心の名前ですが「藍音ななを(あいねななを)」となりました。明け待ちの空。朝が来るのを待つ空の色です。で、なにげにつなげて笑ってしまった「藍音 クライネ ななをムジーク」(笑)アイネクライネナハトムジークだと「小夜曲」ですが、さしづめ「小「ななを」曲」という感じもあるでしょうか。気づいてから語感が気に入って密かに呟いてみてます。まだ名前なれしてない所もありますがこれからこの名前で行きますのでよろしくお願いします。大好きなものの名前を頭の上に戴きながら書いて行くことにします。とはいえ中身はなに一つ変わってないんですけどね~~(笑)相変わらず心はいつも愛する空と一緒です。藍音ななを
2008.09.06
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空が遠い固い床に仰向けで寝そべる誰もいない宙を抱く一度だけ君はそこにいていまは いないだからそっと自分の腕で再現してみる大好きな 君のかたち左の肘を右のてのひら右の肘に左のてのひら柔らかく当てたまま近い方の手首をそっと頬に後ろから抱き締めたときの静かな情熱君の手首に頬を当てたら見えないタッチセンサーのスイッチにふれたようにてのひらがくるりと反転して大きな暖かい手が頬を包むそれが当たり前の決まりきった動作のように私の頬は 君のてのひらで安堵して休息するまるで何万回も繰り返されてきたかのようにひとつの不自然さもなくそれが正しい形であるかのように左の肩を右のてのひら右の肩を左のてのひら押し当てて出来たわずかな隙間に顔をうずめて君と過ごした時間甘い溜息を思い出す君にしか見せない表情で私がうたう幸せなハミング隙間なく抱き締めた腕の産毛が肌で遊ぶことに歓びを感じながらその腕がいつか離れる切なさも予感してそして時が経った今私の上に広がる空の不在をひとり 噛みしめながらいとしいあたたかさを思い出して私はかなしい雨雲になる幸せも 愛しさも切なさもすべて雨の粒に変えて音も立てずに静かに降る君は知らないひとりの私は追憶の世界に雨を降らせるブルーグレーのかなしい雨雲ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.09.02
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いいんだ別に誰にも見られなくてもいいんだ別にみんながいっせいに美しいと誉めなくてもただ愛する君だけの前で私は惜しみなく香りを放って開くその手で私を握りつぶしたいほど愛していると言う君だけのために夜と朝の狭間藍(あお)い空の色に抱かれて
2008.07.27
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静かな夜ふと時計を見る気がつけば夜中の2時もとうに回ってやれやれ またか小さくふぅっとため息一つ外からは雨音こんな時間じゃ君は眠っているに違いないゆっくり眠っていればいいけどそんなことを考えながらやっとデスクから離れて眠る前のシャワーを浴びるとようやく長い一日が終わる1日のしがらみを流すあたたかいスコールこまかい飛沫が跳ねて不要な物を洗い流して行く甘い香りのオレンジのシャンプーリンスはホワイトネクタリンシャワーを浴びている時の私は1日のしがらみをおとしていい香りに包まれてまるで大きなフルーツキャンディーのように甘くて酸っぱい果実の香りがする今ならきっとおいしいのにね指でつまんで包装紙を剥いだあとで君の口に飛び込んだら君が好きな香りを放っていろんな表情で転がりだすのに遠く離れた今は食べさせてあげられないのがちょっと残念ちいさく くすりと笑う背中を滑る水の流れつたって落ちた先 水色のタイルの上の水たまり漣の上で外の雨音が小刻みに揺れるシャワーのスコールの音と雨音が響いてバスルームの中は幸せな音楽が満ちるただひとつもう一人の奏者が不在だけれど君の空にも雨が降るなら雨の雫つたって眠る君の耳にもかすかに届く梅雨空もそう考えれば幸せな空模様ノズルをひねってお湯を止めたらバスルームを出よう3時間後にはまた朝が来て慌しい一日が回りだす長い長い髪を風に当てて乾かしたらラグを敷いた床に横たわろう君が居ないのならベッドに眠る意味はすでにないから明るくなった空を見上げながら硬い床の上うつぶせてしばし瞳を閉じる3時間後の朝のために君とまた繋がる日に近づくためにネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.07.25
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雨 降ってきたねぇほんと 降ってるねぇ雨の空港飛行機が通るちょうど真下飛び立つ音に時々言葉をかき消されながら雨が止んだら外に出て写真をとってみたりまた降り出したらぱたぱたと車に戻って小さな泡踊る飲み物を君がキャップをひねってあけて喉を鳴らして一口香ばしい香りにシロップとミルクを加えたほろ苦い飲み物を私が時間をかけて一口そんなことを子供のように嬉々として繰りかえす喜び別段何でもないことを普通にできることについて幸せだと感じながら意味もないことの方が本当はたくさんの意味があってつまらないことこそ本当は大切だったりするなにもないことの幸せの上車のルーフに雨音がはちはちと踊って君にもたれたら私の心にも君と言う雨
2008.07.17
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君は君の場所で私は私の場所でピアノを奏でるように遠く離れた君と私が画面の向こうとこちらで想いを伝えあう今日あったことや食べたものの話見たもののこととか考えたこと笑いあったり 少し困ったり時に怒ったり会えない切なさ遠い距離をタイプされたたくさんの文字を集めて少しでも距離を埋めるように離れていてもいつだって心はそばにいて抱き締めあっていると言うのに体は遠くはなれてふたつのままだいつか同じひとつのピアノの前にふたりで向かって笑ったり 難しい顔をしたりしながら同じ時間のなかで一つの曲をつなげてゆく生きてゆく時間の連弾ときには歓びではねるようにときには激しく鍵(キィ)を叩いていろんな音色を響かせながらゆっくりと確かめあうようにいつか同じひとつの曲を奏でてゆくそんな時が過ごせればいいと今は距離を隔てたディスプレイの前それぞれの場所でそれぞれの曲を奏でる遠く離れたそれぞれの空の下で ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝そして今日、この世に生を受けた君に
2008.06.25
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ねぇ 雨が降ってきたよ ほんの今まで 君の声しかこの世界にはなかったのに ねぇ まるで映画のシーンが一瞬で替わるように今まで君の声を届けていた 真っ白の携帯 「ぱくり」と音を立てて 半分にたたむと 部屋中を包む 柔かなホワイトノイズ 君の不在が作り出すはてしない空虚広がる心の隙間にやわらかな雨の音が注ぐように流れ込んで 君の声が途切れた夜 雨音 部屋の中にみちて 鈍(にび)色の雲 ピアノブルーの夜が覆う瞳を閉じて長いため息ひとつ君の名前で縁取りをして窓をつたう雫涙のかわりにそっと仕舞いこむ君からの着信を知らせる ブルーのランプに 恋焦がれながら 雨音で心を包んで今宵は私の上に広がる抱きしめられる空がないから 一人しずかにそっとうつぶせて 君の夢を見ようネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.05.20
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花曇り遠くない雨を呼ぶように水の匂いして小さく鈴を鳴らすように風が花を揺らす花の香り運ぶゆるやかな螺旋の流れが部屋の窓に届く頃午後の穏やかな明るさのなか雨待ちの私は静かに薄目をあけて君を見上げる花曇りの空より近い君は触れることのできる 空水の匂いはこぶ春の雨雲が分子を集めて雨を降らせるように君の肩が私の上に広がり掌が頬をいとしく包み想いの分子を集めた粒で私の名前を降らせ始める私は小さな植物のように精一杯体をそらせて君から降りてくる甘雨を受けとめるしずかにしずかに上気して熱を帯びた声を互いの唇でそっと包んで隠しながら咲く花の触れあう音の囁き合う音よりもっとしずかにやがて 花散らす風髪も心も乱れるままに嵐となって花を打つなんどもなんども花がせつなく許しを請う時まで止むことはなく部屋の中はすでに春の嵐かき乱れて窓の外もいつしか春の雨やがて花散らす嵐ネット詩誌 MY DEAR新作紹介掲載作品主催者・島様に感謝
2008.04.15
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太陽の光が空を見上げる春の花の薄い花弁を透かすように君への想い隠すこともできず春の陽射しあたたかな君が見上げた目線の先でそっと笑う桜舞い散るやわらかな日曜日
2008.04.06
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遠い春待ちの街雪は溶けましたか?お元気ですか?白い建て物を後にして自宅に帰られたと風の噂に聴きました去年のちょうど今頃桜の花咲く頃この広いネットの世界で偶然にも再会しましたね覚えてますか?「一目であなたの文章だと分かりましたよ」そう言ってくださったのを回復をそっと祈りながら今年もこの花をあなたに贈ります兄のような父のような先生のようなあなたに いろんなことを懐かしく話した去年の今頃のことを心の片隅にでも思い出してくれたらいいなだけどリハビリは焦らずゆっくりと急ぐことなんかないです時間を味方につけてゆっくりていねいに 風に揺れる桜の花のように心が乱れることもあるかもしれませんだけどゆっくり ゆっくり気長に 気長に植物の小さな花芽が時間をかけてそれぞれのペースで自分の花を咲かせるように一歩一歩ゆっくりと季節の花が開く速度であなたの心が歩けますようにまた季節の花を届けます兄のような父のような先生のようなあなたに
2008.03.31
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心が風邪をひいた時無理が続いた時張り詰めた何かがふつりと切れた時なぜだか決まって咳に付きまとわれる熱もない何の薬も効かない朝も 昼も 夜もただただ続くCough Cough Cough心の元気もなくなって「もうだめだな」治すことさえ諦めようとした矢先思いがけずに繋がったアクセス「元気だったか?」そのひとことは気が遠くなるほど長く舌を噛みそうな難解な名前の薬よりもどんな強い菌でさえ萎えさせてしまうような抗生物質よりも声を出してあえぐほどの高熱を一瞬で下げる熱さましよりも効いてしまう単純な自分に少し笑いながら「ありがとね」0と1の窓の向こうに感謝してどこにも売っていない私にしか効かない唯一の特効薬そっと静かに喉に滑らせた・・・・・・・・・・・・やっとなんとか体調も戻りつつあります。あぁ、まさに鬼の霍乱って感じでした(笑)咳は未だに続いていますが、ちょっといろいろ頑張りすぎたツケが回ってきたようです(笑)いろんな方にご心配おかけしました。すみません。そしてありがとう。もうすこしおとなしくして養生することにします。なんて言いながら残業の日々(爆)・・・・・・・・・・・・
2008.03.23
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風吹く寒い場所で空をずっと眺めていたから指先まで凍えてしまったけれど体全部が悴(かじか)んでしまったからこそ知ることもある氷点まで冷えたガラスの私に心という温かい飲み物を君がそっと手渡す暖かさに慣れなくて躊躇う私にもう 冬は過ぎたよと君が柔かな声で一つだけうなずいて凍えた唇をそっとカップに当てて一口含んで「こくり」喉を鳴らして飲み込む凍えて細く狭まった喉をあたたかさが押し広げながら温度差でできたクラックがぱりぱりと広がりひび割れた部分は大きく小さくさまざまな形に砕けてあたたかさと一緒に喉の奥に滑り落ちるその飲み物は初めて口にする味でどこにも二つとない味がしてあたたかくてただ あたたかくてまだ寒い冬だと思い込んでいたほんの薄い薄い薄氷(うすらひ)のむこう割れた先にはあたたかな春が静かに佇んでいてもう 冷たいガラスではない体温を持つ私が割れた破片の隙間から春めいた空を見上げてこんどはからになったカップに私と言う名前の飲み物を満たして君に差し出そうあたたかな春の訪れを報せてくれた感謝をこめて ネット詩誌 MY DEAR今月の新作掲載作品主催者・島様に感謝
2008.03.21
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