あくびサンの、今日も本を読もう♪

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2006/06/28
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カテゴリ: 小説・エッセイ
大学生の吉田一彰は、学校に通う傍ら運輸倉庫の荷積みと、
会員制クラブ「ナイトゲート」の二つのバイトをこなしていた。
ナイトゲートに潜り込むことには、目的がもう一つ。
それは、子どもの頃駆け落ちした母の相手が以前働いていた工場の、
元・従業員(外国人労働者)達の足取りをたどること。

ある日、店を出た一彰は、一人の男に出会う。
一彰の視線の中、路地裏で突然優雅に舞い始める男-李歐。
この出会いが、二人を長い運命へと導いた…。

同著者の1992年の作品「わが手に拳銃を」をベースに、
新たに書き下ろされた一彰&李歐の物語。
映画化された「レディ・ジョーカー」が何度も新聞で批評され、
「高村薫」という作家を知り、初めて図書館で借りたのが、
「わが手に拳銃を」でした。

カッコよかったぁ…。

李歐の表現にうっとりしましたね。なんていい男。
男の一彰がどんどん魅了されていくのも、うなづけます。
「男にとってかっこいい男」というのでしょうね。
…でも、私も作者も女だからそう感じるのかもしれませんが。
一彰も李歐も決してゲイではなく、本書もボーイズラブ系では
ありませんよ、念の為。どちらかと言えば裏社会…かな?
(あー、「BANANA FISH」の英二&アッシュ辺りが近いかも。
アッシュは李歐と違って“善の人”だけど)

最初は普通の大学生だったはずが、拳銃に取り憑かれ、
犯罪者として警察にマークされる存在となる、一彰。
一方、李歐はバリバリの(?)悪党(^^;)
殺人も盗みもスパイ工作もなんのその。
終いにゃ、あちこち追われてフィリピンのゲリラにまで…。
なのに、カッコいいんですよ。憎めない。
要所要所にその美しさが書かれていて、どんな美形か見てみたいもんです。
(ドラマ化?されてるようですが、そちらの役者さんは
私の中のイメージとはかなり違ってたノダ、ゴメン!)

ところで、2作品両方を読んでみると、それぞれにいい所と
気になる所が出てくるもんで…足して2で割って欲しいんだなぁ。
「わが手に…」では、一彰の息子クンが最後の方で手に大怪我をして、
それが最終的に彼の妻との埋められない溝になるんですね。
これが少々やり切れなかった。
「李歐」ではそれがなくなり、妻とは死別することになる。
私としては、こっちの方がすんなりと受け入れられるかなぁ。
おかげで、一彰が中国に渡る経緯も受け入れやすくなったし。

逆に、最初の別れの場面は「李歐」より「わが手に…」の方が好きですね。
大学研究室助手の妻・敦子の扱いも、「李歐」は何だか不自然な気が…。
どっちも李歐の良さは変わりませんが(笑)
読み比べてみるのも、面白いかもしれません。
オススメの一冊(二冊?)です。

李歐 -りおう- 著者:高村薫
講談社文庫 1999年2月発行

李歐


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Last updated  2006/06/28 12:44:06 PM
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やすじ2004 @ Re:娘、検査する(昨日の話)(11/27) New! こんにちは!! 紅葉が鮮やかに広がるお出…
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