りらっくママの日々

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2009年12月31日
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今日の日記




「ある女の話:カリナ59(友の恋の行方)」



イグチくんも彼女のミドリちゃんを連れてきてくれて、
バーベキューをした。

ミドリちゃんは地元から遅い夏休みを取ってこっちに出てきたらしい。
小柄でのんびりした話し方をして、
ニコニコしてる、安心感のある女の子だった。
イグチくんがベタ惚れらしい。
わかるような気がするけど、
シャイなイグチくんは見え見えなのに、
それを出してないフリをするのが可笑しかった。

サキちゃんが気が強そうで、ハキハキ物を話す子だったので、
すごく対照的だと思った。
そこがまた女3人でいても妙にしっくり馴染むなぁ~と思った。

もしもこのままみんな付き合っていられたら、
この二人とは長い付き合いになるんだろうな。
それがとても楽しみになりそうな出会いだった。

なのに…

赤木くんはサキちゃんと別れてしまったと言う。
これは後々まで尾を引く。

当時、私はこんなに男の人って引きずるものなんだ…って、
彼を見て初めて知ったような気がする。

ようやく内勤になれたとかで、
新しい仕事を覚えなきゃ大変、
って楽しそうに話してくれていたサキちゃん。

「女同士でこんなに楽しいのってあんまり無いかも!
これからもずっとヨロシクね!
結婚してもさ、いろいろ相談してもいい?」

アレが最後の会話だったなんて信じられない。
どうして別れることになっちゃったんだろ?
それはきっと当人同士にしかわからない何かなんだろうけど…

冬になって、赤木くんは腸閉塞で入院した。
別れたこともあったのか、
お見舞いに行った時の赤木くんの笑顔が何だか淋しそうだった。

マッシーは仕事であちこち出張で行くことが多くて、
その日は、たまたま時間があって、
私達といっしょに赤木くんのお見舞いに行くことができた。

「赤木さん、ちーっす!」

「マッシーさん、ちーっす!
ひっさびさだなぁ!ちょっと痩せたんじゃね?
化粧のせいなのかな~
大人の女って感じ?
変わるもんだなぁ~」

休日でも仕事帰りなので、
マッシーはスーツだった。
ショートの髪は学生の時は少年のようだったけど、
今はマッシーの化粧をした顔に映えて、
性格の潔さを滲み出していた。

マッシーの仕事時の顔を赤木くんは初めて見たらしい。
社会人になる時に、私が整えてあげた眉。
私から見ても、マッシーはサバサバした美しさを放っていて、
とてもキレイで誇らしかった。

「何スか、褒めたとこで何も出ないッスよ!
それとも私を口説いてる?」

「あはははは!
そうそう!
入院したら気弱になっちゃってさ~
見舞いなんか来てもらえるとホロリときちゃうんだよ~」

「目の手術までしたのかと思いましたよ。
どんな女もキレイに見えるような」

「あ~、そんな手術ができたら幸せなんだけどねぇ~。
ついでにモテるようにして欲しいね~。」

「今でも赤木さん充分モテそうですよ。」

「何スか?褒めたとこで何も出ないッスよ!
それとも俺を口説いてる?」

社会人ですからね。
何だよ営業トークかよ。
って、久しぶりにマッシーと赤木くんの掛け合いを聞いた。

二人の会話でゲラゲラ笑った。
たまたま病室に人がいなくて良かった。
それ位、二人の会話はいつも面白過ぎた。

退院したら、二人にホワイトデーも兼ねてお礼するから~って、
赤木くんは元気そうに言って、
青山くんを病室に残して、
私とマッシーは久しぶりにゆっくりとお茶にした。

「タッチャンと別れることになりそうなんだ」

マッシーはケーキを一口食べて、
紅茶を一口飲むとサラリと言った。

私は一瞬何を言ってるのかわからなくなって、
一口切り分けたケーキが、
口に運ぶ前にフォークからポトリと落ちた。

「え…?」

「うん…」

「うそ?」

「ほんと。」

マッシーはフォークでケーキを切って頬張った。

「ここのところ学校でトラブルがあるって言ってたんだけど、
会おうとしてくれない。
私もしょっちゅう仕事で忙しかったし。
女いるかもしんない。
マズいかもしんない。」

「女?
先生が?
…まさかぁ…」

「そのまさかかも…。
そういうの、何となくわかる。
もう長い付き合いだし。」

「確認したの?
証拠とか?」

「いてもいなくても私関係ないと思ってたから。
私が好きなんだから、
私が嫌いになんなければどっちでも同じだしって。
でも…」

マッシーはそこで紅茶を飲んだ。
私は次の言葉を待った。

「タッチャンはバカに真面目な男だから、
フタマタしてることに苦しむだろうと思う。
そういうのはどちらに対しても誠実じゃないって考えそう。
だから、私を切るだろうね。」

「なんで?!
なんでマッシーなの?」

「新しい女は裏切って無いけど、
私のことは裏切ったって思うだろうから。
その罪悪感に耐え切れないと思う。」

そんな…バカな…

私は力が抜けそうになった。
って言うか、気持ちはガックリときていた。
マッシーはそういうことを確信も無く簡単に言うタイプじゃなかったし、
決めたことの直前か事後報告が多い。
そこに現実感があった。

「もっとズルく要領良く生きればいいのに。
私は見ないフリだって何だってできるんだから。」

マッシーは独り言みたいに紅茶を見ながら吐き捨てるように言った。

「思ったことちゃんと伝えれば?」

私の方がすがるように言った。

「向こうが言ってきたら、
別れようと思う。
苦しめたくないし。
自分はその程度の女だったんだって思うことにしようと思う。」

自分に言い聞かせているのか、
キッパリとマッシーは、そう言った。

「そんなに割り切れるもの…?」

「わかんない。
理想論かも。
実際きりだされたら泣いてすがるかも…」

何とも言えない沈黙が訪れた。

カラオケ行きたいな…
ってマッシーが言った。

行こう!行こう!
って私が言った。

二人で思い切り歌って、飲んで、
その日は久しぶりにマッシーの家に泊まった。

聞いた話が嘘だといいのに、って思った。
でも、隣で眠っているマッシーが、
声を立てずに泣いてるのがわかった。
肩がふるえていて、
ティッシュで静かに涙を拭っている音が聞こえた。

私にできるのは、
それに気付かないフリをしてあげることだけだった。

マッシーが私にしてくれたように、
何もできなかったことが歯痒かった。

春になって、
マッシーは家を出た。
異動を申し出たらしい。

思っていた形と違う家の出方だった。

マッシーは先生と別れた。





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続きはまた明日?

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最終更新日  2009年12月31日 23時06分18秒
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