日本語で話そう

January 13, 2015
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ところが愛知県も意外に抹茶どころなのである。尾張御三家の影響か。もちろんお茶会ではきちんとルールにのっとった作法で進められるが、名古屋の茶道は気取らず庶民的なこともその一つではないだろうか。東京生まれの夫が子供時代名古屋で過ごした時、友人の家に遊びに行くと、おやつに甘いお菓子と抹茶が出たんだとか。近所の農家の稲刈りに付いてていくと休みの時間に、その家族が携帯茶道具を出して、田んぼの真ん中でお茶を点て始めご馳走してくれたとか、話に聞いた。私も、教授の家や友人の家に遊びに行ったら、御抹茶が出てくることが度々あった。

だからかもしれない。名古屋は和菓子がおいしいのである。
そしてそれは名古屋に留まらず、近隣の街にも広がって、小さな小さな街の古い古い街道に伝統を引き継ぐ小さなお抹茶専用の和菓子屋さんが存在する理由になるのである。



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新装成った名古屋城本丸内
きんきらきーん

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名鉄岐阜と名古屋のちょうど真ん中辺に国府宮という駅が有る。裸祭りで有名な伝統の格式の高い国府宮神社が有る街だ。国府宮神社は京都から家元が出向いてわざ献納茶会をするほどの格式ではあるが、その街は発展から取り残された活気のない寂しい街だ。

その街の外れの古い街道に一軒の古い和菓子屋が有る。両側の家は取り払われ本当に歴史に取り残されたかのようにポツンと存在する。

以前テレビでタレント手土産のお菓子として評判になったら、あれよあれよとおいそれとは手に入らない希少なお菓子になってしまった。
松屋長春の「羽二重餅」。

誰のブログにも、「昼前なのに行ったら売り切れだった」「予約してから行かないと絶対買えない」「朝早くから並んで当日分を買った」と書いてある代物。

ウサギ、かってから「食べたいなあ」「どうかして手にいれたいなあ」と思っていた。

チャンスなんてどこから転がり込んでくるかわからないものである。中山道の旅の3日目。雪が降って中山道を歩けなくなった。そして岐阜から帰りの新幹線の名古屋に出るのに、名鉄本線を松屋長春が開店している時間に利用する数少ないチャンスが巡ってきた。

予約もしてないのだから、羽二重餅は売り切れていても、何かしらそこの和菓子を手に入れられるだろうと、名古屋行の特急に乗って、国府宮の駅で降りた。

きっと街の外に大型スーパーが出来て、古い街のなかの個人商店は1つ2つと閉店に追い込まれていったのだろう、歯の抜けたような街並み、誰も雪かきをしない歩道、溶けた雪が水たまりを作る辻辻の交差点を雪交じりの水に突っ込みながら5、6本ほど路を移動するとその店に着いた。

今日は閉店だろうかと建てつけの悪いその開かない引き戸で悪戦苦闘していると、中に人がいた。
大きな茶会が有るのだろう。何段にも重ねた沢山のお干菓子を作成中の棚がでんと置いてある。
絶対羽二重餅は買えないだろうと諦めながらショーケースを覗くと羽二重餅と書いてあるではないか。それも3種類。即座に羽二重餅くださいと買い求める。ラッキー。雪で誰も買いに来ないのかな?

いやいや、これは同じ羽二重餅と名が付いていても、この店の一押しのものではない。予約品も当日並んで買うものも、この大雪でももうすでに完売で、後で外に出てみたら、看板にちゃんと本日分の羽二重は完売と書いてあった。

それでも、姿や餡が少し違うだけで、餡を包んである羽二重の生地はそう変わらないはず。当日の日持ちなので8個買ってまた滑り滑り駅まで出て、名鉄電車で名古屋に出たのであった。

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出来るだけ借り物じゃなくて自分の写真をと思うから、こんなピンボケですが・・。


正月にはお茶を点てて「花びら餅」を食べる。でも毎年、毎年、「昔初釜で食べた花びら餅はこんなんじゃなかった」とがっかりするのであった。どこが違うんだろう。ずっと不思議に思っていた謎が解けた。私が食べた関東の花びら餅は求肥の皮で作ったものが多いのである。
松屋長春の花びら餅はたぶん求肥ではなく、耳たぶのようなふわっとした柔らかい羽二重を使っているのだろう。
松屋長春の花びら餅はまだ手に入れてないけど・。


私が昔、お茶会で食べた物はたぶんこの店のだったのではないだろうか。
ここは、私の茶道の先生のそのまた大先生の地元の街だから。

何十年ぶりかで懐かしい人に巡り合った気持ち。









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Last updated  January 13, 2015 11:09:57 AM
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