或る日の“ことのは”2

或る日の“ことのは”2

2011.08.02
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カテゴリ: 独り言



みすぼらしい店内だった。

私が昔、ショップマスターを務めた店だった。

天井にでかい穴がいくつも開き、

フィッティングルームにはくもの巣が張っている。

ライトの光量まで落ちているようだ。

節電対策たって、限度があるだろう。

・・・なんでこんなことに?

其処にいた、懐かしいショップスタッフに、

邂逅を喜ぶ暇もなく問い詰めると、

ここの天井裏に、何者かが棲んでいるのだ、と言う。

何をしても、そいつが夜間に降りてきて破壊するので、

もう、そのままにしてあるのだという。

何者か、って何だ、

怖気が走るが、

これじゃ営業になりやしないだろうということで、

取り敢えず、天井の穴を布で塞ぐ、と宣言した。

何者かが見下ろしているような不気味な穴は、

見るだけでモチベーションも下がる。

白い布を買ってきて、うまい具合にタックとりながら、

アジアンテイストに貼っていこう、

そんな話をしていると、

天井の穴から、紙切れがはらりと落ちてきた。



い い 考 え だ と 思 う



紙切れにはそう書いてあって、

天井に棲む何者かが書いて寄越したものと思われた。

見た途端、頭に来た。

・・・偉そうに何言ってやがる、

てめぇがいなけりゃ、この店はこんな姿になってやしない!

そう思ったので、思わず叫んだ。

『舐めんなーッ!!

・・・
・・・

その、自分の声で目が覚めた。

激しい動悸がして、気付くと胸の上に手を置いていたので、

あれは悪夢の類に入るのだろう。 けったいな悪夢だ。

天井裏に引きこもりとは、ファンキーな奴がいたモンだ。

降りてきてもらえば良かった。

・・・大体に於いて、不法占拠ではないか。

布なんぞ張る前に、警察か、お祓い屋を呼ぶべきだったのだろう。




・・・Nくんも、Kくんも、Kちゃんもいたなぁ・・・

当然ながら、

夢の中だから私の知ってる姿のまんま、

何も変わっていなかった。

・・・もっと話せば良かった。




夢を覚えているのは、久しぶりだ。












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最終更新日  2011.08.03 09:49:43
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