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Bar UKマスターからのお知らせです。皆さま、あす30日(土)のBar UKの営業時間は、誠に勝手ながら通常より1時間繰り上げて、午後1時オープン、7時半クローズとなります。何卒ご了承下さい。午後6時までは15種類のビールがすべて¥200OFFです。また、オールドボトルは閉店まですべて10%OFFです。皆さまのお越しを心よりお待ち致しております。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途土曜に月2回、水曜に月1回不定休(月によっては変更されることも有り)。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円
2017/09/29
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Bar UKマスターのつぶやきです。*************************** 政府は、9月の月例経済報告で「景気は、緩やかな回復基調が続いている」とし、景気回復期の長さについては「9月まで58カ月と、(57カ月だった)戦後2位の『いざなぎ』を超えた可能性が高い」と発表しました。しかしこれに対して、SNS上での一般的な反応は「実感がない」「嘘ばっかり」「統計手法がおかしい」などという否定的なものばかりです。 正直、私もこの飲食の仕事を始めて3年4カ月になりますが、この期間も含めて、ここ15~20年ほど、景気の持続的回復を実感したことはありません。現政権は「アベノミクスで景気を回復させます」と約束しましたが、少なくとも、北新地のバー現場では、「景気が良くなったなぁ」と実感できるような雰囲気はありません。 第一、ここ5年ほど、いろんな物価は緩やかに値上がりが続いているのに、サラリーマンの可処分所得は増えるどころか、(年金や保険料の負担は増えているから)実質目減りし続けています。これでは、普通の庶民が、外食(=飲食)にそう頻繁にお金が使えないのは当然です。 飲食の世界で言えば、いま、景気がそれなりに良いのは、可処分所得が多い人がたくさん住む東京を含む首都圏と、年中外国人観光客が押し寄せる京都だけでしょう。大阪も含むそれ以外の地方都市は、相変わらずの状態だと、少なくとも私は感じています(ごく一部の人気店は流行っているのかもしれませんが…)。 一方で、若い世代(とくに20代~30代前半)の酒離れ、ウイスキー離れ、バー離れが言われる中、バーの新規開業の数だけは大阪市内でも10年前、20年前と比べて増える一方です。こんな状態が続けば、10年後、20年後のこの業界はかなり厳しい状況に直面し、淘汰される店も出てくるのは間違いありません。 20年後のBar UKは、当然店を閉じているでしょうし、私もこの世にいないかもしれません。しかし、愛するバー業界には、この先もずっと生き残ってほしいと心から願っています。だからこそ、バーの敷居を低くする様々な努力を、もっとたくさんの店でやってほしいのですが、危機感の少ないバーのマスターに出会うと、正直悲しくなります(実際、業界幹部も含めて危機感はあまり感じられない)。 例えば、(バーUKに時には姿を見せる)若い世代が「バーの敷居の高さ」の理由として、よく指摘するのは「バーにドリンク・メニューがない店が多い」ことです。「メニューがないから1杯の値段も分からず、注文しにくい」と。そして、「値段が分からないから、バーに行くのが怖い」と言う声を聞きます。 対する業界側はどうかと言えば、「バーには原則ドリンク・メニューはありません。マスターやバーテンダーとコミュニケーションを取りながら、好みも伝えて注文してください。お値段も尋ねてください」と言うのが基本的なスタンスで、そういう店が圧倒的に多いのです。「メニューなんか作るのはダサい」というマスターさえいます。でも、私は同業者として、逆に聞きたいです。「バーはドリンク・メニューを置かないものだなんて、そんなルール、誰が決めたのですか?」と。 おかしな前例やルール、慣例は改革・改善するべきだと思いませんか。まずドリンク・メニューをつくることから始めてみませんか。少子高齢化が進む中、若い世代に「敷居が高い」と感じさせて遠ざけていては、バー業界に未来はないと思います。
2017/09/28
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Bar UKからのお知らせです。 皆さま、遅くなりましたが、バーUKの10月の店休日(予定)のお知らせです。 現時点では、日曜・祝日のほかに、7日(土)、18日(水)、28日(土)が店休日となります。※なお25日(水)は「テイスティングの集い」開催のため、午後8時半まで貸切営業となります。何卒ご了承くださいませ。 以上、何卒よろしくお願いいたします。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途土曜に月2回、平日に月1回不定休。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円
2017/09/25
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最近のモルト・ウイスキーは、オフィシャルでも、ボトラーズでも、何種類もの樽をほぼ同時並行で熟成させたものを最終的に一つにブレンドしたり、あるいは一つの原酒を何種類もの樽で順番に熟成させたりとか、様々なチャレンジングな試みが盛んです。 でも、(ここからは私個人の意見ですが)こうしたやり方=モルト造りに成功している例というのは、この種の商品のうち「半分あればいい方かなぁ」と感じています。 有名な蒸留所のこの種のモルトでも、結果的に味わいが曖昧になって、どういう味を目指したかったのか分からないものや、同じ銘柄の(ほぼ同じ熟成年数の)オフィシャル=通年商品との味の違いが明確でないものに時々出会います。 銘柄名は伏せますが、ある蒸留所などは、ほとんど味が似たりよったりの限定品をよく出したりします。それでいて、お値段だけは通年商品の5割増しとか2倍とかいう強気の価格です(消費者にとっては、あまり嬉しい話ではありません。まぁ、私は買いませんが…)。 やはり私個人の経験では、(一般的なバーボン樽以外の)変わった樽で熟成させるにしても、せいぜい1種類の樽(シェリー樽だけとか)か、2種類の樽の組み合わせというケースが、味わいの設計という点では、一番成功しているような気がします(もちろん、1~2種類でも飲んでみたら期待外れのものもありますが…)。 2種類の樽で熟成という場合は、単純に2種類(例えば、バーボン樽とオロロソ・シェリー樽とか、オロロソ・シェリー樽とペドロヒメネス・シェリー樽とか)の樽熟成原酒をブレンドするか、または、その蒸留所定番の樽(バーボン樽またはシェリー樽)の原酒を熟成し、最後の1~2年だけ別種類の樽(例えばワイン樽やポートワイン樽など)で後熟成させるような手法が一番うまく仕上がり、味わいの個性もよく出て、美味しいような気がしています。 また、3種類~4種類以上の樽で熟成させた(あるいはブレンドした)という複雑なモルト・ウイスキーの中で、「期待通りの(または予想を超える)旨さだった!」というものは、私のこれまでの経験した限りでは、以下のような銘柄くらいです。 例えば、グレンフィディックの15年や21年、グレンモーレンジの「シグネット」、ラフロイグの「フォー・オーク」(限定ボトル)、ティーリングのシングルモルト、イエロー・スポット、ブッシュミルズ16年(残念ながら現在は休売中)等々。 ここまで書いてふと思ったのは、こうしたモルト・ウイスキーに言えることは先日長文で書いた、近年のコンペの創作カクテルの味わいにも通じるなぁということ。やはり「過ぎたるは及ばざるがごとし」なんでしょうね。
2017/09/24
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Bar UKマスターからのお知らせです。 12月2日(土)にBar Ukで開催予定の「シェリー・セミナー」(講師は北新地「バル・キンタ」オーナー、萬川達也さん、開催時間は午後12時半~2時)の参加申し込みが8名になりました。残りは4席となっています。ご希望の方はお早めにご予約くださいませ。ご予約はメール(arkwez@gmail.com)または、25日以降に店まで電話(06-6342-0035)でお願いいたします。
2017/09/22
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67.オーガスム(Orgasm)【レシピ1】アイリッシュクリーム・リキュール=一般的には「ベイリーズ」(またはドランブイ)(20)、カルーア・リキュール(20)、アマレット(15)、生クリーム(15)、牛乳(15)【スタイル】シェイクまたはブレンダーで 【レシピ2】コアントロー(30)、アイリッシュクリーム・リキュール(30)、グランマルニエ(20)【スタイル】ビルド(プースカフェ・スタイルで) 「オーガズム」は、1988年に公開(日本での公開は1989年)されたトム・クルーズ主演の映画「カクテル(Cocktail)」で登場し、その後、世界的にブレークしたカクテルです。映画では、バーテンダー役のクルーズが、フレア・バーテンディングの派手なパフォーマンスを披露したことでも知られています。 「オーガズム」とは思わずドキリとするような、意味ありげな名前ですが、味わいはまろやかで、風味も良いカクテルです。映画版「カクテル」では、「オーガズム」の他にも、「セックス・オン・ザ・ビーチ」「ジュ・ダムール(愛の汁)」「アラバマ・スランマー(アラバマの早漏男)」「デス・スパズム(絶頂)」などという過激な名前カクテルがたくさん登場したことで、当時とても話題を集めました(もともと日本生まれの「レッド・アイ」に生卵を入れるという映画版「レッド・アイ」にも驚かされました)。 ただし、この「オーガズム」もそうですが、原作の小説には登場していません。原作者であり、映画版でも脚本を担当したヘイウッド・グールドが、監督のロジャー・ドナルドソンと相談して、映画の内容(見た目)を派手に演出するために創り出したのではないかと言われています(グールドはバーテンダーの経歴もあるということですが、レシピを本人が考案したのかどうかは不明です)。 ちなみに、映画「カクテル」は興行的にはそこそこヒットしましたが、映画評論家らには「(内容やストーリーが)薄っぺらい」「全般的に下品で、深みがない」と酷評され、その年の最低作品を選ぶ「ゴールデン・ラズベリー賞」では、作品賞と脚本賞に選ばれました。トム・クルーズ自身も、自らの出演映画のワースト4に入れているという話です(出典:Wikipedia)。 「オーガズム」は、欧米のカクテルブックではなぜか収録している例はきわめて少なく、現時点で確認した限りでは「Cocktails & Party Drinks」(2001年刊)のみです(Webの専門サイトでは多数で紹介されていますが)。レシピは冒頭の代表的な2つ(レシピ「1」の方が一般的ですが)以外にも、以下のようなヴァリエーションが多数存在する不思議なカクテルです。【レシピ3】アイリッシュクリーム・リキュール(25)、カルーア・リキュール(25)、アマレット(25) ※プースカフェ・スタイルで。【レシピ4】アイリッシュクリーム・リキュール(20)、カルーア・リキュール(20)、アマレット(15)、バニラ・アイスクリーム(カップ半分) ※オンザ・ロックまたはプースカフェ・スタイルで。【レシピ5】ウオッカ(15)、アマレット(15)、トリプルセック(15)、ホワイトクレーム・ド・カカオ(15)、生クリーム(30) ※オンザ・ロックまたはプースカフェ・スタイルで/このレシピは「スクリーミング・オーガズム(Screaming Orgasm)」の異名を持つ。 「オーガズム」は、日本にも映画公開(1989年)と同時に伝わり、「(酒場の)話のネタ」になるからとバーでも提供するところが、90年代末まではよく見られました。しかし、映画の記憶が薄らいでくると、いつしか現場からは忘れ去られてしまい、今に至っています。現在の若いバーテンダーなどは、映画版を観た人も少ないでしょうから無理もありませんが、(その名前はともかく)意外と美味しいカクテルなので、個人的には、ぜひ今後もつくり続けていってほしいと願っています。【確認できる日本初出資料】「カクテルズ」(福西英三著、1994年刊)。レシピは、「ベイリーズ・アイリッシュクリーム20ml、カルーア・リキュール20ml、アマレット15ml、生クリーム15ml、牛乳15ml(シェイク)」となっています。日本国内の文献ではなぜか、他に収録している例をあまり見かけません。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2017/09/20
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1カ月以上さぼってしまいました。すみません! かなり久しぶりのBar UK写真日記です(By うらんかんろ)。 恒例の「水曜日はウイスキーを飲む日!」。この1カ月半ほどの間は、こんなラインナップでした(この間、水曜日に2回お休み=店休日&母の急逝による臨時休業=したので、お見せできるボトルは3本しかありませんが)。 マスターは土曜恒例の営業終了後の“お勉強”に出かけました。この日は東三国にある親しいバーへ。美味しいイチローズ・モルトを味わいました。 バーUKにまた面白いボトルが仲間入りです。代表的な古典的カクテル「サゼラック(Sazerac)」に欠かせないサゼラック・ライウイスキーです。カクテルのベースはもちろんですが、そのままロックで飲んでも美味しいですよ。 バーUKに素敵なお客様がありました。大正時代、日本で最初の実用的なカクテルブック「コクテール」を著した前田米吉さん(写真3枚目)というバーテンダーの大先輩がいますが、そのご子孫の方が埼玉県からわざわざご来店くださいました。 クラシック・カクテルの研究を続けているマスターが、ブログで前田さんの著書を「復刻連載」したことを知って、この日の表敬訪問となりました。マスターは「お二人にいろいろお話を聞いて、謎の多かった前田さんの生涯がかなりはっきりしてきました。日本のカクテル史を修正するような貴重なお話もありました」と興奮気味でした。 バーUKのシングルモルト・コレクションに新しいボトルです。ハイランドの蒸留所「エドラダワー(Edradour)」の姉妹ボトルで、ピーティド麦芽を原材料にしている「バレッヒェン(Ballechin)」の赤ワインカスクです。スモーキーな味わいの中に、ワイン樽由来のフルーティな雰囲気があふれる美酒です。ぜひお試しを! バーUKで不定期で開催している「テイスティングの集い」。今回も満員の盛況でした(テーマは「ジャパニーズ・ウイスキー」でした)。 マスターはこの日、友人がオープンした大阪キタ・堂山町のダイニング・バー「Forgiven」へ。素敵な女性オーナーと美味しい料理。さらなる発展の可能性を感じるお店でした。 バーUKのラフロイグ・ラインナップに新しい仲間が登場しました。4種類の樽で熟成させた、その名も「Four Oak」。ラフロイグの“骨格”は残しつつ、実にまろやかなモルトに仕上がっています。これはもう飲むしかない?! 「20年通えるバー」というタイトルにひかれて買ったら、ほとんど東京のバーばっかり。取材費をケチったのか、それとも、もともと東京など首都圏以外は日本じゃないと思っているのか、旧態依然の視点(編集方針)でした。マスターは「出版業界だけでなく、テレビや新聞など東京発信の大手メディアをむしばむ悪性の病気です。情けないというしか言いようがない。(東京以外にも)素敵なバーは全国にいっぱいあるのに…」と憤るのでした。 マスターはこの日、ブランデーの「レミー・マルタン(Remy Martin)」のセミナーに参加しました。フード・ペアリングでは、砂糖漬けのスライス・オレンジが最高だったとか。 またまた新しいモルトが到着です。「トーモア(Tormore)」という若干マイナーなモルトですが、南フランスのコート・ロティという地域の赤ワイン樽で、じっくりと熟成させた実に旨い酒です。飲んだら必ず唸りますよ! マスターはこの日営業前に、映画“お勉強”です。封切りになったばかりの、話題の「ダンケルク」を鑑賞しました。 マスターは店休日のこの日、三宮まで足を伸ばして、「飲酒室」という変わった名のバーへ。マスターのTさんは、生前の成田一徹さんとも面識があって、一徹さんに刺激を受けてモノクロームの切り絵を始めました。最近は個展も開くほどの腕も上げられています。マスターは、とても気さくなTさんとおしゃべりし、美味しいお酒も頂き、楽しい時間を過ごしました。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2017/09/18
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Bar UKからのお知らせです。皆さま、一昨日お伝えした12月2日(土)開催予定の「シェリー・セミナー」について、改めて、ご紹介しておきます。シェリーは、最近、若い女性を中心にとても人気のお酒です。スペインのアンダルシア地方で生産され、マディラ、ポート、マルサラ、マラガと同様、「酒精強化ワイン」とも呼ばれています。簡単に言えば、醸造後のワインにブランデーを加えてアルコール度数を高め、樽熟成させたお酒です(従って、開栓後、ワインよりもよく日持ちします)。シェリーには、辛口から甘口まで約10種類の種類があり、バーUKで扱っているのは辛口系の5種(フィノ、マンサニージャ、アモンティリャード、オロロソ、パロ・コルタド)です。ちなみにアンダルシア地方で造ったものしか「シェリー」と名乗れません(※現地スペイン語では「ヘレス」と呼ばれますが、英国人が、地球規模での普及に貢献したこともあって「シェリー」という呼称が定着してしまいました)。今回のセミナーの講師でもある萬川達也さんは、日本にシェリーを普及させた先駆者の一人です。スペイン・アンダルシア公認ベネンシアドールでもあり、大阪・北新地のスペイン・バル「バル・キンタ」オーナーでもあります(萬川さんのお店はおそらく、西日本では一、二のシェリーの品揃えを誇ります)。当日は、萬川さんの興味深い、貴重なお話を聞きながら、シェリーの基礎を学び、代表的な銘柄(種類)のシェリーのテイスティングを楽しんで頂けます。また、バーUK秘蔵の長期熟成シェリーやシェリー・ブランデーも当日、格安のお値段で特別に味わって頂けます。日程等詳しいことは以下の通りです。日時:12月2日(土)午後0時半~2時(2時以降は、通常営業に切り替えます)。※参加者多数の皆さんのご意向次第では、11月25日(土)に早まる可能性もありますが、現時点では12月2日開催の方向です。参加費:3千円(シェリーに会うおつまみ付き)参加定員:12名(現時点で4名申し込んでおられ、残り8席です)。※基本、一般向けのセミナーですが、バー業界関係の方のご参加も歓迎いたします。申し込み方法:参加ご希望の方はメール(arkwez@gmail.com)または営業時間中に店へお電話でお願いいたします。皆さまのご参加(&お早めの申し込み)を、心からお待ちしております。【Bar UK】大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途土曜に月2回、水曜に月1回不定休(月によっては変更されることも有り)。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円。
2017/09/18
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Bar UKマスターからのお知らせです。皆さま、10月25日の第8回「テイスティングの集い」はいちおう満席となりましたが、年内にもう一つ、Bar UKで新たに素敵なイベントが決まりました。日本にシェリーを普及させた先駆者の一人で、スペイン・アンダルシア公認ベネンシアドールの萬川達也さん(大阪・北新地「バル・キンタ」オーナー)によるシェリー・セミナーです。日程は現時点では、12月2日(土)のお昼、午後12時半~2時の開催予定です。シェリーにも力を入れて常時5種類を置いているBar UKですが、萬川さんのお店はおそらく、西日本では一番のシェリーの品揃えを誇る凄いスペイン・バルです。当日は、萬川さんの興味深い、貴重なお話を聞きながら、シェリーの基礎を学び、代表的な銘柄(種類)のシェリーのテイスティングを楽しんで頂けます。また、Bar UK秘蔵の長期熟成シェリーやシェリー・ブランデーも当日、格安のお値段で特別に味わって頂けます。参加費はお一人3千円(シェリーに会うおつまみ付き)。参加定員は12名です。参加お申し込みは、メール(arkwez@gmail.com)または、営業時間中の店まで電話(06-6342-0035)でお願いいたします。皆さまのご参加を心からお待ちしております。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途土曜に月2回、水曜に月1回不定休(月によっては変更されることも有り)。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円
2017/09/17
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66.オレンジ・ブロッサム(Orange Blossom)【現代の標準的なレシピ1】(容量単位はml)ジン(40~30)、オレンジ・ジュース(20~30)、オレンジ・ビターズ1dash(ショート・スタイル)【同レシピ2】ジン(40)、オレンジ・ジュース(60~80)、オレンジ・ビターズ1dash、氷(ロング・スタイル) ※甘味が足りない場合は、お好みでシュガー・シロップ(またはグレナディン・シロップ)少々を加える【同レシピ3】ジン(25)、コアントローまたはオレンジ・ジュース(25)、スイート・ベルモット(25)(ショート・スタイル) ※現在では主流ではないレシピですが、60年代までは普通につくられていました。 【スタイル】シェイク 「オレンジ・ブロッサム」は1920年代初めに誕生したと伝わる古典的なカクテルの一つで、1920~50年代の欧米のカクテルブックにほぼ例外なく収録されています。ただし、誕生の経緯や命名の由来等は不明な点が多いカクテルです。 禁酒法時代(1920~33)の1920年代、米ピッツバーク市のバーテンダー、ビリー・マロイ(Billy Malloy)氏が考案した(出典:欧米の複数のWeb専門サイト)と紹介されることも多いのですが、それを裏付ける資料は確認されておらず、信憑性はよく分かりません。1920年代初めのカクテルブックにすでに登場していることから、「(禁酒法以前の)1910年代末には誕生していた」という専門家もいます。 オレンジ・ブロッサムはとくに、禁酒法時代=1920~33=の米国内の「もぐり酒場」で人気だったことでも有名です。考案の動機については、(1)禁酒法時代、ジュースを飲んでいるように見せかけ、隠れて酒を飲めるように考えた (2)禁酒法時代のジンに粗悪品が多かったため、その匂いをごまかすため、ジュースを混ぜた--の2説が伝わっていますが、その両方が理由とも考えられています。 1920年代の当時の文献には、もぐり酒場や家庭でこのカクテルが飲まれていたエピソードや著名人が愛飲してた話が散見されます。しかし、ジンにオレンジ・ジュース混ぜるというシンプルな飲物であるがゆえ、禁酒法時代は粗悪なジンによる健康被害も後を絶たず、1934年の「エスクワイア・マガジン(Esquire magazine)」は、オレンジ・ブロッサムを「過去10年の最悪のドリンク」とも評しています。 欧米のカクテルブックで「オレンジ・ブロッサム」が初めて登場するのは、現時点で確認できた限りでは、1919年に英国で出版された古典的な名著「ABC of Mixing Cocktails」(ハリー・マッケルホーン<Harry MacElhone>著)です。そのレシピは、「ジン(ゴードン)1Glass(約60ml)、オレンジ・ジュース1個分(シェイク)」となっています。 さて、ご参考までに、1920~50年代の欧米のカクテルブックで「オレンジ・ブロッサム」がどのように紹介されてきたのかをざっと見てみましょう。・「Cocktails: How To Mix Them」(Robert Vermeier著、1922年刊)英 ジン4分の1ジル【注ご参照】(約35ml)、オレンジ・ジュース4分の1ジル、オレンジ・ビターズ数dash(シェイク)。もし甘味がさらに必要であればグレナディン・シロップ1dashを加える。 【注】ジル(gill)は英米の液量単位=このレシピの場合は英国gillで、1gillは約140ml。米国の1gillは120ml。・「The Savoy Cocktail Book」(Harry Craddock著、1930年刊)英。2種類の「オレンジ・ブロッサム」が収録されています。 (1)ドライ・ジン2分の1、コアントロー4分の1、スイート・ベルモット4分の1、飾り=チェリー(シェイク) (2)ドライ・ジン2分の1、オレンジ・ジュース2分の1(シェイク) ・「The Artistry of Mixing Drinks」(Frank Meier著、1934年刊)仏 ジン2分の1、オレンジ・ジュース2分の1、お好みでグレナディン・シロップを加える(シェイク)・「World Drinks and How To Mix Them」(William Boothby著、1934年刊)米。3種類が紹介されています(いずれもシェイク)。 (1)ジン2分の1、コアントロー4分の1、スイート・ベルモット4分の1、オレンジ・ピール (2)ジン2分の1、オレンジ・ジュース2分の1、ナツメグ・パウダー(最後に上に振る) (3)ジン3分の2、オレンジ・ジュース3分の1、オレンジ・ビターズ1dash、グレナディン・シロップ1dash ・「The Waldolf-Astoria Bar Book」(A.S. Crockett著、1935年刊)米 ジン、オレンジ・ジュース、スイート・ベルモット各3分の1ずつ(シェイク) ※出版の前年の1934年、ウォルドルフ・アストリア・ホテルに宿泊したアイルランドの詩人に捧げられたものと伝わっています(出典:Irvin S. Cobb’s Own Recipe Book)。・「Café Royal Cocktail Book」(W.J. Tarling著、1937年刊)英 プリマス・ジン2分の1、オレンジ・ジュース2分の1(シェイク)・「Trader Vic's Bartender's Guide」(Victor Bergeron著、1947年刊)米。3種類が紹介されています(いずれもシェイク)。 (1)ジン1オンス、オレンジ・ジュース1.5オンス (2)ジン1.5オンス、オレンジ・ジュース半個分 (3)オールドトム・ジン、オレンジ・ジュース、スイート・ベルモット各3分の1ずつ・「The Official Mixer's Manual」(Patrick G. Duffy著、1948年刊)米 ドライ・ジン2~3ジガー、オレンジ・ジュース1ジガー、お好みでパウダー・シュガーまたはシュガー・シロップを加える(ステア)・「Esquire Drink Book」(Frederic Birmingham編、1956年刊)米。2種類が紹介されています(いずれもステア) (1)オールドトム・ジン、オレンジ・ジュース、スイート・ベルモット各3分の1ずつ (2)ドライジン2~3ジガー、オレンジ・ジュース1ジガー(お好みでパウダー・シュガーまたはシュガー・シロップを加える) オレンジ・ブロッサムのベースのジンは現代では、ドライ・ジンが一般的です。しかし、初期の頃は上記のように、プリマス・ジンやオールドトム・ジン(時にはジュネヴァーも!)など古典的なジンが使われることも少なくありませんでした。 「オレンジ・ブロッサム」は、日本にも比較的早く伝わっており、1920年代のカクテルブックですでに登場しています。ジンとオレンジ・ジュースという極めてシンプルなカクテルであるため、近年のバーではあまり注目されることはありません。 しかし、近年誕生した新種のオレンジを使ったり、新銘柄のオレンジ・ビターズを加えるなど、ひと工夫をしてソフィスティケートすれば、21世紀に進化した新しい「オレンジ・ブロッサム」が生まれてくる可能性もありますし、現代でも、上記のような(コアントローやスイート・ベルモットを使う)「オールド・スタイル」は、意外と新鮮な感じがして面白いのではないかと私は考えていますが、いかがでしょうか。 【確認できる日本初出資料】「コクテール」(前田米吉著、1924年刊)。レシピは、「ジン2分の1、オレンジ・ジュース2分の1、オレンジ・ビターズ1dash、グレナディン・シロップ少々(シェイク)」となっていて、明らかに上記で紹介したRobert Vermeirの著書(1922年刊)のレシピを参考にしていることが伺えます。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2017/09/16
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Bar UKマスターからのお知らせです。 皆さま、10月25日(水)午後7時から予定しているバーUKの第8回「テイスティングの集い」(テーマは、「バーボンを含むアメリカン・ウイスキー」)ですが、定員(12名)に達しましたので、申し込み受付は、一旦締め切らせて頂きます。 明日以降は、キャンセル待ちでの受付となりますが、何卒ご了承くださいませ。
2017/09/15
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Bar UKマスターからのお知らせです。明後日の13日(水)、Bar UKは当初、店休日の予定でしたが、通常通り(午後4時〜10時半)営業いたします。皆様のお越しを、心よりお待ちしております。
2017/09/11
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Bar UKマスターからのお知らせです。皆さま、大変申し訳ありませんが、やむを得ない事情で、Bar UKは本日5日(火)から7日(木)までの3日間、臨時休業させて頂きます。8日(金)から通常通り営業を再開する予定です。何卒ご了承ください。【Bar UK】 大阪市北区曽根崎新地1-5-20 大川ビルB1F 電話06-6342-0035 営業時間 → 平日=午後4時~10時半(金曜のみ11時まで)、土曜=午後2時~8時半、定休日=日曜・祝日、別途土曜に月2回、水曜に月1回不定休(月によっては変更されることも有り)。店内の基本キャパは、カウンター7席、テーブルが一つ(4~5席)。オープン~午後7時まではノーチャージ、午後7時以降はサービス料300円
2017/09/05
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Bar UKマスターのつぶやきです。 先日、「日本発のカクテルが、半世紀以上、国際的なスタンダード・カクテルとして記憶されていないのはとても残念」という趣旨の話を書きました(→ 9月2日の日記を再録)。その中で触れた、「作り手(バーテンダー)」が目指す方向性と「飲み手(お客様)」が求めるものとの「溝」について、私が思うところを少し詳しく綴ります(長文ですが、どうかお許し頂き、最後までお付き合いください)。 ◆シンプルさの中に美味しさを追求した先人たち まず、カクテル発展の前史(背景)を少しだけ。カクテルの進化に大きく寄与したのは、1870年代に実用化された人工製氷機です。それまでのカクテルは基本、常温で味わうもので、ベースのお酒にリキュールやシロップ、そして時には生卵(卵黄や卵白)、ハチミツというものを加え、その味わいや個性、飲みやすさを表現する工夫をしてきました。しかし、街場やホテルのバーで比較的氷が自由に使えるようになると、バーテンダーは、さらなる飲みやすさ、爽やかさを追求できるようになりました。 ただし氷が使えるようになっても、材料という点では、1930年代前半くらいまでのカクテルのレシピはまだシンプルでした。(生卵やハチミツを使うことは少なくなりましたが)ほとんどは、ベースのお酒、リキュール類、ジュース類という3つで成り立っていました。それ故、その味わいは材料を反映したとても分かりやすいものでした。 その後、30年代後半になると、リキュールの種類もとても豊富になってバーテンダーの選択肢が増えます。材料4種類というのも珍しくなくなり、時には5種類、6種類というカクテルも誕生してきました。結果、味わいは従来より、より複雑なものになりました。 材料の多種・多様化の流れは、現在でも続いていますが、2000年以降は、従来からの流れに加えて、いわゆるミクソロジー・カクテルというブームが起こり、様々な自然素材をカクテルに生かしていこうという流れが出来ます。 ◆戦前までは、欧米を追いかけた日本 日本ではどうかと言えば、戦前はもちろん、1970年代までは基本、欧米の「本流」を追いかけることでした。バーテンダーたちは、海外から伝わったカクテルのレシピを真似て、洗練させることに精力を注ぎました。しかし70年代以降は、日本独自のオリジナルを追求するバーテンダーも登場してきます。 一方で海外のトレンドに合わせて、カクテルで使う材料も多種・多様化の流れが浸透していきます。とくに近年、1990年代後半以降のカクテルコンペでは、「材料6種類」は当たり前となっています(時には7~8種類も! ただし、大きなコンペでは使える材料の数を制限しているところが多いですが…)。なかでも特徴的な傾向は、フレイバード・リカーや様々な味わいのリキュール類を多用することです。現代では、このような材料を最少でも2種、多ければ3~4種も使うことも珍しくありません。 結果、味わいはより複雑となり、甘味、酸味、辛味、苦味、果実味、薬草味など多様な味わいが絡み合うようになります。そして一方で、いろんな味わい重なるので、そのカクテルの目指す方向性、個性(特徴)が見えにくくなるものも目立つようになりました。2つ、3つ異種のものをブレンドする場合、その化学反応がうまくいく場合もありますが、ブレンドの結果、味が複雑になりすぎて曖昧になってしまうようなことも起こります。そして結局、どういう味を目指したのかよく分からなくなってしまうという”悲劇”も起こります。 近年、大きなカクテルコンペに出品される創作カクテルは、往々にして、この「複雑化→味の曖昧さ」という負のスパイラルに陥ってしまっている作品も目立つと思うのは、私だけでしょうか。コンペ出場経験もあるベテラン・バーテンダーからは「長いカクテルの歴史で、もはや材料3つ、4つの組み合わせのカクテルはほぼ出尽くしているから、未知のものを考えるのは本当に大変なんです」という切実な声も聞きました。 だから、現代のバーテンダーが少ない材料の組み合わせで創作するのはとても苦労するはずで、私は同情すら覚えます。しかし、(材料の種類を数多く使い過ぎた結果)肝心の味が、訳が分からなくなってしまっては本末転倒で、飲み手側を楽しませることはできません。 ◆コンペでは甘口系が評価され、辛口系は敬遠される そして、もう一つ気になることがあります。(日本だけの傾向かもしれませんが)大きなカクテルコンペでは、辛口系カクテルはあまり評価されず、甘口系のカクテルの方が高く評価される傾向が年々強まってきたことです。 審査員が甘口系の方に高い点数をつけるので、出場するバーテンダーの創作カクテルもどうしても甘口系になり、辛口系でチャレンジする人は極めて少なくなります(と言うか、ほとんどいません)。なぜ、甘口系ばかりが評価されるのかは、私はよく理解ができません。結果、完成したカクテルの色は違っても味わいは似通った、甘い雰囲気の作品が多くなります。 一方で、飲み手の側の嗜好はどうなんでしょうか。37年間バーの客であった私自身は、あまり甘すぎるカクテルは好みではなく、甘口系のものはせいぜいアレキザンダー、マンハッタンどまりで、どちらかと言えば、ジン・リッキーやギムレット、マルガリータのような辛口系のものをいつも好んで飲んでいました。私の酒場の友人たちも、ほぼ同じ傾向だったかと記憶しています。 ◆実際のお客様は、どちらかと言えば辛口系志向 では、いまのお客様はどうなんでしょうか。少なくとも、私の店に来られるお客様は、甘口系のカクテルをほとんど注文されません。せいぜい中甘口のジャックローズ、コスモポリタンくらいです(ワインでも日本酒でも、最近のお客様は辛口志向なのと似通っています)。なのでBar UKでは、カクテルメニューも辛口から中辛口、中甘口が中心で、甘口や超甘いカクテルはメニューにはほとんど入れていません(もちろん、お客様からの要望があればおつくりしますが)。 すなわち、カクテルコンペに出品され、高く評価される創作カクテルは甘口系ばかりなのに、実際、バーのカウンターでカクテルを飲まれるお客様は、それほど甘口系を求めていないという事実があるのです。「それは関西だけの傾向ではないか」と言われるかもしれませんが、私の知る限り、関西以外で暮らすバー好きの友人も同じ嗜好・同じ意見を持つ人が多いので、あまり地域差は感じません。 客があまり求めていないのに、なぜ甘口系のカクテルばかりが創作されるのか? 私にも本当の理由はよく分かりません。ある年配のマスターは、「コンペの審査員はやや高齢の方が多いし、そうした人は古典的なカクテルを中心に学んできているし、甘口系の方を評価する傾向が強いんじゃないだろうか」と私に解説しましたが、古典的なカクテルが必ずしも甘口一辺倒ではないので、この説明には納得していません。 ◆味の良し悪しを最終的に決めるのはお客様 しかし、実際のバーの現場でカクテルを味わい、美味しいかどうか評価するのは、結局はお金を払ってくださるお客様です。そうしたお客様の声(嗜好)を無視して、創作することにどういう意味があるのでしょうか? 私がいつも「味覚部門の審査員だけは半数以上を一般人にすべきだ」と言っている一番の理由がこれです。 いまの創作カクテルは、あまりにも、「作り手の論理」「(業界人の)審査員の好み」が優先されてつくられているのではないでしょうか。結果的に、そうした甘口系カクテルは、一度は飲まれても二度注文されることはほとんどありません。だから、優勝、準優勝したカクテルであっても、後世へ生き残るスタンダードにはなれず、2、3年~5年くらいで忘れ去られてしまうという悲しい現実があると思っています。 余談ですが、ある年配のバーテンダーの方が以前、私にこう言ったことがあります。「コンペの創作カクテルは、あくまでコンペのためのもので、みんな、後世に残るスタンダードを生み出したいと思ってつくっている訳じゃない。(出品作品のために使う)特殊なリキュールなど、後に廃番になって使えなくなってしまう材料も珍しくないしね」。確かに、そういう考え方の人もいるかもしれません。でも結果的に、自分がつくったオリジナルが世界中へ普及することを喜ばないバーテンダーがいるでしょうか? もちろん過去、スタンダードになったカクテルも、コンペのために創作されたものばかりではありません。別の何かの機会に、別の目的で考案されて、それが数多くのバーテンダーによって普及し、世界中へ広まっていったものが多いのです。では、日本のバー業界は、コンペ以外の舞台で、日本発の創作カクテルを世界へ広めるような努力をどれだけしているのでしょうか? ◆海外のコンペでは違う評価基準が 一方、現代の海外のバーテンダーはどのような方向を目指しているのかと言えば、必ずしも甘口系一辺倒ではありません。IBAなどの国際的な主流業界団体のコンペでは、いまだに甘口系の方が評価される傾向は変わっていないように思われますが、例えば、ワールドクラスやシーバス・カクテルコンペ、バカルディ・カクテルコンペなど、海外系メーカー主催の大会で勝ち残るカクテルの味わいはとても多彩で、決して甘口系ばかりではありません。 2015年のワールドクラスで世界チャンピョンに輝いた金子道人さんは、ストーリー性があって、いろんな副材料でひと捻りを加えた、味わいも斬新なカクテルを考案し、審査員から高い評価を受けました。私自身、金子さんの営む奈良のお店「ランプ・バー」にお邪魔し、彼が創作したカクテルの、かつて経験したことのないような絶妙かつ不思議な味わいに、とても感動しました。 海外事情に詳しいバーテンダーの話では、海外のコンペや海外のバーでのバーテンディングでは、味そのものだけでなく、作るスピード、臨機応変な対応、魅せるパフォーマンスの方が高く評価され、(日本のコンペでは評価基準になっている)「所作」「テクニカル(技術レベル)」「(分量の)正確性」「デコレーション」とかは、あまり問題にされないそうです。海外のコンペでの出場選手のパフォーマンスやプレゼンテーションが派手なのに比べると、日本のコンペは、壇上の出場選手の所作があまりにも型通りで、少し堅苦しいなぁと感じるのは私だけでしょうか。 ◆「ソル・クバーノ」がなぜスタンダードになり得たのか 私の大好きなカクテルの一つに、神戸のバー「サヴォイ北野坂」の木村義久マスターのオリジナル「ソル・クバーノ」があります。1980年のカクテルコンペで優勝作品ですが、ホワイト・ラム、グレープフルーツ・ジュース、トニック・ウォーターという3種だけから成るとてもシンプルなレシピのカクテルです。 1980年以降に誕生したカクテルの中で「日本のスタンダード」になった数少ない作品の一つです。現在、日本国内のほとんどのオーセンティック・バーで、「ソル・クバーノをお願いします」と言えば通じるくらい有名になりました。日本人バーテンダーが考案した近年のカクテルでは、他にも「サンエキスポ」「キングス・ヴァレー」「オーガスタ7」「サマー・ヒース」なども全国的に知られていますが、それでも知名度で言えば、「ソル・クバーノ」が一番ではないでしょうか。 「ソル・クバーノ」が日本のスタンダードになった陰にはもちろん、全国の数多くのバーテンダーが、自分の店でつくって広めてくれたことが大きかったことは言うまでもありませんが、私はやはり、そのシンプルな組み合わせが生み出す爽やかな味わい、文句のつけどころのない鉄板の美味しさが多くの飲み手に支持されたことも、今も不動の人気を誇る大きな理由ではないかと思っています。すなわち、複雑になり過ぎて、甘口系になり過ぎる近年のカクテルに対するアンチテーゼとして、今なお支持されているのではないかと思うのです。 また、私のバーでは、「カーサ・エレガンテ」という他の方の最近の創作カクテルをメニューに入れています。2017年のワールドクラス日本代表としてベスト10に入る大健闘をされた記憶もまだ新しい槇永優さん(大阪・桜宮バー「リー・アイラ」)のオリジナルで、2016年のバカルディ・カクテルコンペに出された作品です。 コーヒーの苦味がアクセントになって、甘さも控えめのとても美味しいカクテルだと私が思ったからです。私もお客様によくお勧めしていますが、幸いとても好評です(槇永さんは残念ながら、このバカルディ・コンペでの優勝は逃しましたが、私個人は、この「カーサ・エレガンテ」に優勝してほしかったなぁと思っています)。 ◆世界中から高く評価される日本人バーテンダーの仕事 幸い、氷の扱い方、シェイカーの振り方など日本人バーテンダーの仕事はいま、海外でもとても高く評価されています。手先の器用な日本人バーテンダーの仕事は驚きの目で見られていて、液体窒素や真空ブレンダーなどを使った斬新なカクテルなども、とても注目されています。 今後、先進的なツールや材料が、世界中どこのバーでももっと扱いやすくなれば、日本発のオリジナルがもっとグローバルに普及していくかもしれません。なので私個人としては、手先の器用な日本人バーテンダーが今後、新しい国際的スタンダード・カクテル、すなわち後世へ継承されていくようなカクテルを生み出していく可能性は、大きくあると信じています。 なお、これまた余談ですが、日本では、カクテルコンペのデコレーションも年々とても凝った、派手なものになってきています。バー業界内部からも「カクテルの味そのものよりも奇抜なデコレーションで競い合うような、おかしな時代になってきてる」という厳しい意見を聞きます(国際的なコンペでは、デコレーションの奇抜さ・派手さを競い合うようなことはほとんどないと聞いています)。 デコレーションと言っても基本、コンペだけのものです。その創作カクテルが店で供される時には、バーテンダーは(よほどのことがない限り)そんな面倒くさいことはしません。ならばいっそデコレーションは禁止するか、大幅に制限を加えて、カクテルの味そのもので競い合うのが本筋ではないかと思うのですが…(フルーツ・カッティングはNBAのコンペ等で、別途競技部門がある訳ですから…)。 ◆世界中のバーで日本発のカクテルが提供されるためには では、21世紀に、日本生まれのカクテルが国際的に評価され、普及していくためには、どうすればいいのか。私も、確信を持った正解は持ち合わせていませんが、誕生から50年、100年経っても生き残っている現代のスタンダード・カクテルの中に、一つのヒントがあるのではないかと思っています。 すでに述べてきたように、現代に生き残っているスタンダード・カクテルの8割以上は、100年も前に誕生したものです。そのレシピは、極めてシンプルな材料の組み合わせです。まずは、複雑になり過ぎたカクテルの味わいを、より分かりやすいものにするために、材料の種類をあまり使い過ぎないこと、そして、その組み合わせを慎重に考えることが大切かと思います。 そして「味わい」を考案するにあたっては、甘口系にこだわらない大胆さ、勇気が大切だと思います。たとえコンペの審査員に評価されなくとも、たくさんのお客様に評価されて、たくさんの同業者のバーテンダーに気に入られて、世界中に普及していった方がいいと思うくらいの覚悟を持って。 ◆現場のバーテンダーの協力・支援が欠かせない サイドカーやマティーニ、マンハッタンだって、100年前に誕生した時は「創作カクテル」だった訳です。それが多くのカクテル・ファンに支持されて、今も世界中で多くのバーで飲まれ続けて、揺るぎもしない「スタンダード」になった訳です。そしてその原動力はやはり、過去、世界中のバーテンダーが自分のバーで先人たちの創作カクテルをつくり続け、広めていってくれたからに他なりません。 一つの創作カクテルがスタンダードになるためには、やはり、世界中のバーテンダーの協力が欠かせません。彼らが自分の店でつくって、お客様に提供してくれることが大切です。そのためには、やはり材料は手に入りにくいものでなく、世界中どこの国・地域のバーでも手に入る普遍的なものである必要があります。特殊な材料、補助材料や、特殊な機械、道具がなければできないようなカクテルは、結局はその店どまりで、基本的には、国際的なスタンダードとしては普及していかないでしょう。 もう一つは、日本生まれのカクテルを印象づけるための「日本らしさ」を強調する工夫も必要かなと思います。最近は、柚子や抹茶、玉露、山椒、桜花を強調した日本生まれのジンも登場していますが、カクテルにも日本ならではの材料(他にも日本酒や焼酎、梅酒など)を使うような工夫を通じて、海外でも差別化ができ、注目されていくような気がしますが、いかがでしょうか(最近では日本酒や焼酎はもちろんのこと、柚子や抹茶、山椒等も、海外でも大都市なら入手はそう困難ではないはずです。柚子はリキュールもありますし…)。 最後に、「なぜ近年の創作カクテルが国際的スタンダードとして生き残っていかないのか?」について、私が思う要点をもう一度まとめてみました。 1.カクテルに使う材料が近年多くなりすぎてはいないか。結果として、味が複雑化し、味わいの方向性・特徴が曖昧になってしまう傾向が… 2.飲み手側は必ずしも甘口系ばかりを求めていないのに、カクテルコンペでは甘口系ばかりが評価され、結果、バーテンダーも甘口系でしかチャレンジしない(=辛口系があまり創作されない) 3.海外へ発信するなら=国際的なスタンダードを目指すなら、できる限り、どこでも手に入る普遍的な材料で創作し、海外の多くのバーテンダーにバーでつくってもらうことが大切。日本ならではの材料を使ったひと工夫も必要 以上、あれこれと綴ってきましたが、これはあくまで、私個人の(経験や知見にもとづく)見解です。異論は当然あるかと思いますが、悲しいけれど現実は、ほぼ私が綴ったような状態です。「別にスタンダードとして後世へ残らなくても構わない」「国際的な知名度なんてとくに求めない」というスタンスなら、別に構いません。 しかし、やはり日本発のカクテルは国際的なスタンダード・カクテルとして世界中で普及していってほしいと願うのであれば(私自身もそう願います)、現実に目をそらすのではなく、お客様からの声に真摯に耳を貸すべきだと思っています。「作り手の論理や気持ち、情熱」「バー業界内の評価」だけで創作していっては、今後も日本発の国際的スタンダード・カクテルが生まれることは、望み薄でしょう。 現状に問題意識を持つ業界関係者やバーテンダーが一人でも多く現れることを、カクテルを愛する一人の酒好き人間として、また日本人バーテンダーの世界での活躍を願う一業界人として心から願います(こんなことを書くと、また業界の偉い人たちから嫌われるだろうなぁ…)。 ※異論・反論があれば大歓迎です。建設的なご意見をぜひお聞きしたいです → arkwez@gmail.com までどうぞ。
2017/09/03
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Bar UKマスターのつぶやきです。 今回、イタリア人バーテンダー・Tucciさんとのやりとりで、改めてとても残念に思ったのは、毎年毎年、日本では、こんなにたくさんの創作カクテルが次々と誕生しているのに、悲しいかな、スタンダード・カクテルとして残っていく(受け継がれていく)カクテルがほとんどなく、飲み手(お客様側)からは2、3年から5年くらいで、ほとんど忘れ去られていってしまっているということです。 実際、海外のカクテルブックやバーのメニューでも紹介される日本発のカクテルはいまだに、バンブー、ミリオンダラー、ヨコハマ、チェリー・ブロッサム、雪国くらい。雪国ですら1958年誕生だから、つまり、この半世紀以上、日本発で国際的にスタンダードとして認知されたカクテルは生まれていないことになります。 昨今、日本人バーテンダーの海外での活躍や、国際大会での優秀な成績が伝えられてきて、ジャパニーズ・バーテンディングのレベルの高さがとても評価されてきているのに、肝心の日本人のつくった創作カクテル(たとえコンペ等で優勝、準優勝したようなカクテルでも)が、生き残っていかない=スタンダードにならないのは、とても悲しいことです。 その原因がどこにあるのかは、別稿で詳しく書きたいと思いますが、37年間バーのカウンターでカクテルを飲み続けてきた一人の客として、一つだけ強く思うのは、(カクテルの)味わいに関していえば、「飲み手であるお客様の嗜好」と「作り手であるバーテンダーの目指す方向性」とに、最近(この10~20年ほど)、どこか「溝」を感じるのです。 そしてその溝は時には深く、幅広く感じることもあります。言葉を変えれば、「飲み手」と「作り手」がそれぞれ目指す方向が、どんどん離れていくような、そんな気持ちです(もちろん、あまり、そうした「溝」を感じない素晴らしい創作カクテルもありますが)。 いかなるカクテルでも、お客様に愛され、飲まれて、支持されなければ、後世へ生き残っていけません。「作り手の論理・気持ち」だけでは残念ながら、生き残れません。何よりも、その味が美味しいかどうか最終的に決めるのは、あくまで飲み手であり、お金という対価を支払うお客様であるということを忘れてはならないと、(3年半前からはカウンターに立ち始めた)私はいつも強く思っています。 そういう意味でも、少なくともオフィシャルなカクテルコンペの審査のうち、せめて味覚審査の部門は、「身内の業界関係者だけでするのはおかしい、一般人を半数以上含めるべきだ」と以前から強く言い続けていますが、なかなか改善されません。 作り手の「方向性」とお客様の「嗜好」が交わって初めて、そのカクテルは大衆に支持されて、50年、100年と飲み継がれていくのだと私は考えています。サイドカーやマティーニ、マンハッタンなど100年も前につくられたスタンダード・カクテルが現代でもなお、世界中で愛され、飲み継がれている事実を、もう一度よく考えてみることも無駄ではないと思います。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2017/09/02
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Bar UKマスターのつぶやきです。 先日のこと、Lucio Tucciさんというイタリア人のバーテンダーから突然、日本のカクテルブックやカクテル、バーテンダーについて、お尋ねのメールを頂きました。主な質問は3点でした。1. 日本で過去出版された代表的なカクテルブックは?(タイトル、著者、刊行年)2. 日本で誕生した著名なカクテル、または日本人が考案した著名なカクテルは?3. 日本のカクテル史を語る上で、重要なバーテンダーは誰か?(過去から現在に至るまで) 取り急ぎ、英文の資料を作って、回答とともにメールで送りました。 1は、私が持っている(あるいは知っている)過去に出版されたカクテルブック(1907年以降)から、重要と思われるものをリストアップしました。厳選したつもりですが、それでも50冊近くになりました。(余談ですが、Tucciさんは1924年出版の前田米吉本と、1926年出版の中田政三本のコピーをすでに手に入れていました! なんたる凄い研究熱心な方なんでしょうか!)。 2は、はっきり言って、海外でも広くその名が知られていて、海外のカクテルブックやバーのメニューに載るような日本発のカクテルは、残念ながら、多くても5つくらいしかありません。それでも、少し基準は緩めにして、15くらいをリストアップして、レシピ、考案者、考案年などのデータも伝えました。 3は、Tucciさんがどういう興味・関心で尋ねているのかよく分かりませんでしたが、私なりの基準で(異論はあるかもしれませんが)、10人の方の名前を挙げて、そのプロフィールも簡単に記しました(10人以上を選んでもよかったのですが、イタリア人の彼にあまりたくさん教えても仕方がないかなと…)。 その10名のお名前とは、ルイス・エッピンガー、前田米吉、今井清、井山計一、福島勇三、福西英三、尾崎浩司、上田和男、岸久、あと1人はわりと最近の方(少し差し障りがあるかもしれないので、ここでは名を伏せます)。 もし、あと6、7人選んでもいいなら、村井洋、佐藤紅霞、田尾多三郎、古川緑郎、山崎達郎、西川英夫、小林省三らの名前と業績は、ぜひ彼に伝えたかったところですが、今回は見送りました。 英訳資料づくりで3日間ほど睡眠時間を削りましたが、研究熱心な遠いイタリアのバーテンダーのために、お役に立てばいいなぁと心から願っています。 ※本文中、人名の中には(歴史上の人物ではなく)ご健在の方もおられますが、表記統一のため敬称略にいたしました。何卒ご容赦を。こちらもクリックして見てねー!→【人気ブログランキング】
2017/09/01
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