ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

Oct 10, 2020
XML
「減速の原則」

 今日はピアノ奏者Lさんとチェロ奏者Eさんとともにベートーベンのトリオ2番に初挑戦。 

 感想としては、非常に弾きがいがあるので驚いた。ベートーベンの室内楽曲はこうゆう発見があるからやめられない。てか、ぼく自身何十年ものあいだこの曲を知らなかったとは意外。

 特に気に入ったのは第二楽章ラルゴ。楽譜をぱっと見た感じだとシチリアーノ系の八分の六拍子。が、いかにもドイツ的な厳かな旋律。
 第一楽章もいい曲(だけど長すぎてしつこい)。
 第四楽章はなんとなくウィリアムテル序曲に似てる。

 ぶっちゃけ、無駄に大曲という印象(約40分)はぬぐえない。数多くの名曲が存在するピアノトリオのなかではこの曲が埋もれてしまうのは仕方ないか。
 無理に背伸びして書かれてる感じで、ベートーベンの良さが隠れてしまってる。良くも悪くもハイドンっぽくもありモーツァルトっぽい。ト長調だのホ長調(第二楽章)だのベト様らしくない調だなー、という先入観で弾いたからかもしれないけど。

 さて、この曲の楽譜に書かれてる演奏指示用語でちょっとぼくらが気づいた点を列挙しておきたく。

 近眼だの老眼だのにお悩みのぼくらにありがち、smorzando(消え失せて)という単語を sforzando(特定の音を強く演奏)と間違えてはいけない。smorzando は morendo と同義。
 いやもしかして morendo と同義なのは calando(徐々に遅くし、音量も落としていく)だったか。←ちなみに calandoは イタリア語の caldo(温かい)と混同してはいけない。

 そしたらちょうどこの曲には calando も出てくる。しかも calando に rallentando が併記されてて困惑する。ぼくの認識では、rallentando(徐々に遅くする)は calando に含まれているのでわざわざ併記する必要はないはず。ていうことは、よっぽど遅くしなきゃいけないらしい。

 じゃぁ、rallentando と ritardando の違いは何かというと、ritardando というのはルバートの範囲内での一瞬の速度の揺れとか「ため」、あとは曲が終了するにあたってのあくまで自然な減速を指す。rallentando というのはもっと大げさでわざとらしい減速。

 一方、「徐々に遅くし、かつ音量を上げていく」というのは(たぶん)allargando。

 要するに、減速系の用語をぼくなりに簡潔にまとめると以下の通り。

ritardando 減速する
rallentando 激しく減速する
calando 音量を下げつつ減速する
allargando 音量を上げつつ減速する





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  Oct 11, 2020 10:48:09 PM
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

カレンダー

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

ピカルディの三度TH

ピカルディの三度TH


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: