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「ぅわぁ・・・」。広く大きな階段を下り踊り場に立った時、マリアは自分に集まる視線に空色の瞳を大きく見開いた。広いホールに居並ぶのは着飾った貴族の紳士や騎士、貴婦人たち。中には王国の要職に就く者の姿も見える。その数はざっと50人は下らないだろう。いつもは魔物相手に切った張ったの大暴れをしているマリアも着慣れないブルーのドレスを身に纏い、腰もコルセットでぎゅうぎゅうに絞られ、息をするだけでも苦しく身動きもままならない。また着飾ったこと自体なかったので黒髪を見事に結い上げ、メイクまでほどこされた今の姿は妙に気恥ずかしい。そんな中、「みなさん、本日は私たちの十七歳の誕生日をお祝いいただき本当に嬉しく思います」と笑顔で完璧な挨拶をする友人シャルロッテ・シュバルツの女神のように神々しい姿も見える。普段の生活とはあまりにもかけ離れた豪華すぎる誕生会にマリアは「やっぱ断れば良かったかな」とビビリますが・・・。 「召喚士マリア」シリーズは、召喚ダメ・武術ダメ・勉強もダメなダメダメ召喚術師の主人公マリアが伝説に残るような大召喚術師を目指し聖都防衛隊の特務隊士として奮闘することになるというストーリーです。しかし、マリアは聖都サザンに着いてすぐ美少年好きのゲイの堕天使フレイムと融合してしまったり、魔物フェロモン体質が悪化して魔物たちに異常に好かれるようになってしまい大変なトラブルに巻き込まれることになってしまいます。しかも美少年に目がないフレイムはルームメイトのアルフレッドや少年教師のコリン先生、シャルロッテの弟エアハルトなど見境なく「押し倒して、あんあん言わせてぇー」とマリアの体を乗っ取ろうとするので油断も隙もありません。また、魔物フェロモンは魔神からプロポーズされるほど強力で命の危険が絶えないのです(大抵の魔物は興奮して攻撃をしてきます)。それでもマリアは何の根拠もなく「優秀な成績を残し、魔術の秘奥を会得し、ゆくゆくは宮廷魔術師となって夢を叶える」とお気楽思考で頑張ることになっていきます。 今回の「花束編」は短編集シリーズの完結編になります。怪盗アルカンシエルを捕まえるため「大学院」(アカデミアと呼びます。魔術や召喚術の学校です)に潜入入学したマリアは、ちょっとした行き違いやフレイムの暴走ですっかり「乱暴な不良生徒」とみなされクラスから孤立していました。さらに元々頭が悪いうえ、特務隊の仕事のため欠席も多いので勉強もうまくいきません。しかし、クラスメイトのエイダや仲良くなったシャルロッテたちとの友情を育みいろんなトラブルを乗り越えていくことになるのです。この短編集4巻では本編での様々な試練に打ち勝ち、仲間たちとの絆を深め、召喚士としても人間としても大きく成長したマリアの姿を見ることができます。まだまだ失敗も多いけれど気合と根性と友情の力で事件を解決していくマリアがとても頼もしかったと思います。特に父イエルを助けるストーリーは感動的でマリアの今までの成長を感じられて大変面白かったです。 ジャンルは召喚アクション・コメディ・ファンタジー。アクションやコメディが好きな人にお薦めです。<終>召喚士マリア短編集シリーズ召喚士マリアシリーズドラマCDもでてますマリアの父イエルが活躍するシリーズ(全5巻)もありますマリアの兄エルリクが活躍するシリーズ(全6巻)もあります「召喚士マリア」シリーズはイエル編、エルリク編の続編なので先にイエル編、エルリク編を読んでから読むといっそう楽しめます
2008年02月25日
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残忍な眼。怖い眼。酷い眼。妖艶な眼。硬質な眼。人を人とも思っていない眼。人を裏側から見るような眼。見透かしたような眼。値踏みするような眼。世界を逆様に規定する眼。世界の有様を否定する眼。その黒髪の女性・壱原侑子に相対し、櫛村塗絵が最初に抱いた印象はその一言に尽きた。そんな両の眼で自分の体を見つめられていることに耐えられなくなって櫛村塗絵は意識的に視線を下に落とす。そこには四月一日君尋という子が淹れてくれた珈琲がある。紅茶が飲みたかったのに。苦い珈琲なんて飲めたものじゃないのに。彼女の前には全く同じ条件の珈琲がある。ただし、きっと壱原さんは珈琲が飲みたかっただろうし砂糖もミルクも必要ないのに決まっている。湯気の立つ真っ黒い液体。ああ、もしもこの液体を目の前の壱原さんにぶちまけたらどんな顔をするだろう。怒るに決まっている。壱原さんとは初対面だ。そしてカップの取っ手に指が触れたところで、「今あなたがやろうとしていること。やめておきなさい」と畳み掛けるように言われて・・・。 「×××HOLiC ホリック」シリーズは、生まれつきあやかしを視る眼を持つ主人公の四月一日君尋が「この世のものでないあやかしを視てしまう」という切実な悩み事を解決するためどんな「願い」も叶う店という怪しげな店でバイトをすることになるというストーリーです。バイト先の店主である壱原侑子は「対価と引き替え」に依頼主の願いを叶えます。しかし、「願いに見合う対価」を失うということはとてもリスクが高く、手放してはならないものを手放してしまった者は破滅してしまうことになるのです。四月一日はさっぱり願いを叶えてもらう気配もないまま侑子さんのリクエストしたものすごく手間のかかる料理を作ったり、理由の分からない言いつけに従ったり、無理難題に苦労することになりますが命に関わる切実な願いを叶えてもらうため頑張ることになります。 この「アナザーホリック ランドルト環エアロゾル」はCLAMPさん原作の「×××HOLiC」を戯言シリーズなどの著者である西尾維新さんがノベライズしたコラボレーション小説です。私は「×××HOLiC」の原作コミックは読んだことがないのですが、TVアニメ版「×××HOLiC」は見たことがありますし、西尾維新さんの戯言シリーズも大好きなので読んでみることにしました。文章は西尾維新さんで内容は「×××HOLiC」なので「化物語」のような雰囲気になるのかな?と思って読み始めましたが、登場人物や世界観が「×××HOLiC」そのものだったので違和感なく楽しめました。特に侑子さんにおちょくられる四月一日がTVアニメと同様に面白くとても良かったです。ただ、百目鬼やひまわりちゃんの出番がなかったのが少し残念でした。 ジャンルは、不思議ホラーファンタジー。ホラーやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>×××HOLiC ホリックシリーズ戯言シリーズや化物語シリーズもあります
2008年02月18日
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夢を見た。夢の中で私は抱きしめられていた。抱きしめているのは女の人だ。私を包む優しい香り。すごくいい匂いで、どこか懐かしくて、とても優しい香り。私は安心して時を忘れ身をゆだねた。どれだけ時が流れただろう。私を抱きしめているのは誰なのか気になった。恐る恐る顔を上げる。ずっと感じていた眼差しを確かめるのは怖かった。でも確かめないままこの時間が終わってしまうのはもっと怖かった。抱きしめている人の顔はよく見えない。「お母様?」。お母様の顔は知っている。写真で何度も見ている。なのにお母様だと感じる人の顔はよく見えない。これはきっと私がまだ赤子だったころの私の記憶。いつまでもこの時間が続けばいいと願い、私は母の胸に顔をうずめた。そして、目覚めると頬が濡れていた。私は安らげる家族を知らない。心許せる家族を知らない。お父様と二人のお兄様が教えてくれたのは「一族」という冷たい感情。そんな時、家出をした十一歳の真目麻耶が出会ったのは・・・。 「9S」シリーズは、天才的な頭脳の中に危険な超技術を秘めているため閉じ込められている主人公の少女・峰島由宇と世界の情報を支配する真目家の一員である少年・坂上闘真が出会い、恋することになるというストーリーです。しかし、日本政府が国家最高機密として管理しているNCT研究所の地下1200メートルに監禁されている由宇は拘束衣にがんじがらめにされ、監視カメラで四六時中監視されているので自由に出歩くことができません。さらに真目家にも「マッドサイエンティストの峰島勇次郎と関わらないように」という方針があり、闘真も自由に由宇に会うことができないのです。そんな中、由宇と闘真の二人は突然のテロリスト占拠事件や新兵器の暴走といったトラブルに巻き込まれて偶然出会うことになります。由宇と闘真は二人協力して試練に立ち向かううちに互いに惹かれあっていきますが、闘真のもう一つの人格が由宇を殺そうとしたり、峰島勇次郎の数々の遺産をめぐる争いに巻き込まれたり、二人の恋は前途多難なものになっていきます。 今回のmemoriesは、新米の頃の八代一がちびっこの由宇に出会った話「夏の日の空になりたい」、重度のブラコンである麻耶が初めて兄・闘真と出会い劇的な冒険をすることになった「Romantic holiday」、闘真たちの命を狙う暗殺者クレールの両親を描いた「亜麻色の髪の娘」、などそれぞれの「出会い」を綴った短編集になります。小さい頃の由宇、闘真、麻耶たちの可愛らしい様子やそれに似合わぬパワフルなアクション・シーンが大変面白かったです。それにしても麻耶の美しい思い出を「誇大妄想のたぐいだな」「君の兄に対する勘違い、誤解には嘆かわしいものがある」と容赦なく断じる由宇の姿がとても笑えました。また、若かりし日の由宇の父親・峰島勇次郎、闘真と麻耶の父親・真目不坐という非常識な父親コンビが出てくるストーリーはあまりにも驚きの展開でビックリです。 ジャンルはSFアクション・ラブストーリー。アクションやラブストーリーが好きな人にお薦めです。<終>9Sシリーズ短編集もあります
2008年02月11日
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