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呼んでいる。呼ばれている。だれを呼ぶのか。なにを呼ぶのか。深く昏い熟寝のなかに、かの声は近づき、また遠ざかる。差しのべる腕からするりと抜け出してしまう。永劫の振り子運動。触れずにすむ安堵。つかまえたい苛立ち。相反する心情が彼女の動きを止め不意に重みを増したまぶたが視界を厚く覆う。このまま真っ暗な眠りを落ちていけば、もう迷うことも嘆くこともなくなって何もかも忘れられる。自分がここにたどり着いた軌跡。石の街を支配していた育ての親であり師でもあるハデスを倒して数日、パイフウはいまだエンポリウムに帰ることなく石の街に留まり続けていた。ハデスが死んで以降、不気味に繰り返される原因不明の地震。様々な組織同士による小競り合い。そして、石の街の中心深くからしだいに侵攻していく謎の異変。そんな中、世界に存在してはならない事物・現象を闇から闇へと抹消し去るザ・サードの特命機関「イレイザー」、「イレイザー」に敵対する謎の組織が石の街やハデスの遺産をめぐり動き出していた。パイフウは、姿を透明化できる「滅殺気」使いの殺し屋・昼顔に襲われて・・・。 「ザ・サード」シリーズは、大昔の「大戦」により荒廃した世界を舞台に主人公のなんでも屋の少女・火乃香が気功を駆使した驚異的な抜刀術を武器に星の運命を左右する巨大な事件を解決することになるというストーリーです。世界を支配するのは「ザ・サード」と呼ばれる額に第三の目を持つ種族。彼らは「大戦」によって世界中に散らばる旧世界の危険な遺物を管理・監視・規制しています。しかし、人間よりもはるかに優れているザ・サードたちといえども世界を滅ぼしかねない遺物の数々は手に余り、度々大きな危機にさらされることになるのです。ザ・サードのエリートである浄眼機から一目置かれる火乃香は何でも屋としての依頼を受け、こうした世界の危機に立ち向かうことになります。他の星から火乃香たちの住む惑星を観察するためにやって来た青年イクス、長年の火乃香の相棒である自ら思考・行動する戦車ボギー、元殺し屋で機械の街エンポリウムからの依頼や火乃香への好意から手伝うことになる美女パイフウ、など心強い仲間たちに助けられ火乃香は超兵器の暴走や平行世界からの干渉など様々な敵たちと戦うことになっていきます。 今回の「迷宮の街の忘れもの(ゲシュペンスト)」は前巻の「死すべき神々の荒野(ゲヘナ)」(上・下)の後日談というか直接の続きになっています。主人公は火乃香ではなくパイフウでハデス亡き後の混沌とした石の街で育て親兼師匠兼宿敵を失った喪失感を抱えながら冒険を繰り広げることになります。大戦時の超兵器の影響で時空間が捻じ曲がり、一発で戦車さえ吹き飛ばすミサイルやあらゆる攻撃を無効化する歪曲場シールドが無造作に放置され、広大な裏社会の盟主であるハデスに支配されていた「犯罪都市」と称される石の街。ハデスがいなくなった後は、自警団「メタルゴーレム」や街を陰から守る「ハルピュイアの三姉妹」など屈強な戦士や異能者たちがこの街を守ります。しかし、「イレイザー」をはじめとする外部からの訪問者たちの出現、以前からの怪奇現象やアンドロイドの暴走など街に次々と異変が起こることになり、何者かに呼ばれたパイフウも混乱の中で戦いを繰り広げながら石の街の中心に向かうことになるのです。何が起こるか分からない混沌とした街、そこで繰り広げられる壮絶な闘いなど凄まじいアクション・シーンがとても面白かったです。また、元殺し屋で現在は学校の保健医をしていて、同性愛者の美女というミステリアスなパイフウの魅力が満載で良かったと思います。 ジャンルはSFアクション・ファンタジー。SFやアクションが好きな人にお薦めです。<終>ザ・サードシリーズ短編集や外伝もありますDVDもでてます
2008年03月31日
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気持ちいい秋晴れだった。台風が通過した後だからか特に空気がきれいな気がする。高上透は野球の帰りで泥だらけのユニフォームのまま、神社を左に土手を右に見る川沿いの道を歩いていた。台風の間はどこかに隠れていたすずめが頭上の電線に止まって鳴いている。台風の前後に増水した弥生川は、今はもうだいぶ落ち着いたがそれでも普段よりは高い水位で滔々と流れていた。傾きかけた夕陽を反射して川面がキラキラ細かく光る。そう、いつもとなんら変わりのない帰り道だった。着物姿の若い女性に尾行られていることを除けば。尾行に気づいた透は、あまりにもモロバレすぎてこそこそ隠れているのが気の毒な謎のおねーさんを待ち伏せするため、前触れもなく細い路地にヒョイと入り込み立ち止まる。標的を見失ったおねーさんは、「きゃひ!」と泡食って路地に飛び込んできて・・・。 「我が家のお稲荷さま。」シリーズは、霊力が強くて妖怪に狙われやすい主人公の少年・高上透が祠に封じられていた大妖怪・天狐空幻(クー)や護り女・コウたちに守られることになるというストーリーです。透とその兄・昇は妖怪たちから守られることになったものの、高上家で一緒に住むことになったクーやコウは一般常識がなかったり大騒ぎするのが大好きだったり、大変なことになってしまいます。楽しいことが好きでフットワーク軽く強大な霊力を使ってしまうクー、料理や掃除どころか簡単なお金の計算すらできないコウ。二人に振り回されることになった小学生の透と高校生の昇は、普通の生活を送るだけなのに大騒ぎすることになるのです。さらに近所の妖怪や土地神、精霊など人間以外の愉快な友人たちが急増し、騒ぎはいっそう大きくなります。そうした中、高上家の人々はビックリしつつも楽しい毎日をおくることになっていきます。 今回の7巻は短編集で9月、10月、11月、12月、1月のちょっとしたエピソードを綴ったものです。台風が通過した後に起こる不思議な出来事、ハロウィンの仮装に混じって出没する貧乏神、湯煙温泉で発生する少しだけ火曜サスペンス風味な事件、恋とダイエットに一生懸命な佐倉美咲を襲う試練、みんなが集まって盛り上がる元旦。いろんな妖怪たちや精霊、商売熱心な土地神、恋する女子高生、変な旅館の人々などバラエティ豊かな登場人物たちとの愉快な日常は大変楽しく面白かったです。また、最近は温暖化の影響なのか季節感がずれてしまっているのでこうした季節感いっぱいなエピソードはとても魅力的に感じられました。 ジャンルは、現代日常御伽ファンタジー。ファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>我が家のお稲荷さま。シリーズコミックもあります
2008年03月24日
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一粒浴びるごとに命が確実に削られていく。そんな感覚を覚えるほどフランの上空から降り注ぐ雨は冷たく気力も体力も根こそぎ奪っていった。ヤバイ。足がもう動かないかもしれない。けれど奴らはどこまで逃げてもオレを追って現れるだろう。この街に逃げ場はない。「・・・大丈夫か、ケンジ」頼りない相棒がやけに自信たっぷりにオレの名前を呼ぶ。「あんまりアンタに心配されたくないっスね」事実そうなのでオレは肩をすくめてそう答えた。背後から足音。オレは動かない足に必死に鞭を入れ地面を蹴る。手に握り締めた剣の刀身が空しく雨を弾く。走りながら、息を切らしながら、オレは叫ばないではいられなかった!「マーガス・・・アンタ一体、何に巻き込まれているんだ!?」この事件はいつから起こっている?前人未踏領域(ノース・エンデ)から届けられたマーガスの郵便物はあまりにも有名な伝説中の伝説の聖剣で・・・。 「七人の武器屋」シリーズは手先が器用な主人公のマーガス、20億ドルクという莫大な貯金をためるため暴走しつづける女イッコ、話術とジャンケンに関してはワールドレベルの実力という青年ジャン、料理・洗濯・掃除が得意なノン、かわいい容姿と分身できるほどの素早さを誇る看板娘ミニィ、巨体を活かした腕力とモップ捌きが一流の心やさしき力持ちドノヴァン、そして武器コンクールで優勝した天才鍛冶屋少年ケンジ、という個性バラバラな七人がひょんなことから武器屋エクス・ガリバーを経営することになるというストーリーです。しかし、武器屋の経営者になったものの「武器屋」も「経営者」も全くの初心者だという七人がうまく商売できるはずがなく、エクス・ガリバーは度々倒産の危機にさらされることになります。それでも七人は一致団結して自分たちの店を守ることになるのですが、ものすごくバカバカしい理由でエクス・ガリバーが開店できなくなってしまい危機は続くことになるのです。 雪の重みで潰れた店舗を再建するためカリスマ建築家のプラムローズさんに新しいエクス・ガリバー建設を依頼した七人でしたが、「アナタ達は武器屋として未熟すぎる。今はまだ扉は開かない」「店の外壁はドラゴンの襲撃に耐えられるようあらゆる攻撃を無力化する」というプラムローズさんの変なこだわりによって店舗は完成したのに中に入ることさえできなくなってしまいます。そして、七人は様々な事情からバラバラになり全員揃うことも難しくなるのです。そんな中、最年少のケンジは孤軍奮闘ことになりマーガスや聖剣をめぐる大騒動に巻き込まれていきます。今回はマーガスではなくケンジが主人公になって活躍します。一生懸命自分をクールに見せようと頑張る熱血少年ケンジの奮闘ぶりや登場人物オールキャスト、そして謎が謎を呼ぶ不可解な展開がとても面白かったです。特にケンジの視点から見るキャラクターたちはいつものマーガスの視点とは違い新鮮で興味深かったです。 ジャンルは武器屋経営冒険アクション・ファンタジー。アクションやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>七人の武器屋シリーズ
2008年03月17日
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どうやら今週の日曜日に父さんが帰ってくるらしい。母さんは家に帰った俺をいつもより五割増しの極上の笑顔で出迎えにきてくれた。靴を脱ごうとする俺の前に「おかえりなさーい軋人(にこにこ)」「学校は楽しかった?(にこにこ)」「それはなによりだわ(にこにこ)」と笑顔の魔人のように立ちはだかる。そして、「実は今度の日曜日、お父さんが帰ってくるのでーす」とミュージカル女優もかくやという喜びの声で玄関で踊りながら高らかに叫ぶのだった。その昔、父さんは異世界に召喚されて勇者として魔王を倒し、一緒に魔王と戦った魔法使いであり異世界の姫君でもあるシノン=アーダルハントと結婚した。二人は魔王が最後に放った攻撃で世界の外へ飛ばされてしまったものの飛ばされた先が父さんの元居た世界だったため、そのまま結婚生活を送ることになり俺たち姉弟が生まれることになったのだ。そんな父さんの帰りを待つとある週末、異世界にある母さんの故郷・聖アーダルハントからやって来たというちょっと変な女エルナが現れて・・・。 「世界平和は一家団欒のあとに」シリーズは、家族全員皆不思議な力を持ち世界の平和を守っている星弓家の人々が強大な力を持つということで様々なトラブルに巻き込まれていくことになるというストーリーです。星弓家の長男で主人公の軋人はナイフで傷をつけることで人の生命力を操ることのできる「冒涜」の能力、長女・彩美は飛行魔法や炎・風の魔法を自在に操る「災魔」の能力、次女・七美は宇宙規模の戦闘力を有する「超越」の能力、四女・美智乃は回復魔法を操る「祝福」の能力(彼女はガンマニアでもあり「今どきの回復役は単独でも戦えなくちゃ」ということでライフルなど銃武装をしています)、次男・刻人は怪力と頑丈な体を駆使する「破壊」の能力をそれぞれ持っています。そして彼らの両親は元勇者と異世界の姫君なので剣の達人だったり魔法の達人だったりするのです。そんな中、軋人は自分の持つ能力に戸惑ったり、強大な力を持つ者を待ち受ける過酷な運命に翻弄されながらも戦うことになっていきます。 異世界で両親の親友だったというエルナは美人で人の良さそうな外見、僧侶という職業に反して腹黒い性格で平然と強盗を働いたり、この世界に来てすでにトラブルを引き起こしていました。軋人と美智乃、柚島たちも突然エルナに錫杖で殴りかかられ襲われますが「美智乃の顔がシノンちゃんにそっくり」ということで休戦し、彼女を星弓家に招待することになるのです。時空を越えて再会したエルナと志乃(シノン)、父・耕作、そして両親らの昔話に興味津々な星弓家の姉弟たちは大いに盛り上がることになるのですが、エルナはとても重要な事情を皆に内緒にしており、そのことが原因で家族同士争うことになってしまいます。普段は温和で妻シノンの怒りを恐れていて、それほど強そうに見えない父・耕作と戦うことになる軋人。割と激しい戦闘シーンなのに深い親子愛が感じられて大変面白かったです。 ジャンルはホームドラマ・アクション・ファンタジー。アクションやファンタジーが好きな人にお薦めです。<終>世界平和は一家団欒のあとにシリーズ
2008年03月10日
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昼休み、図書館で一緒に試験勉強をしていた祈梨と鼓太郎は「英文法ならいい参考書がありますよ」「本当!?」「じゃあ、今日の放課後わたしの家に寄ってきませんか?」ということで祈梨の家に行くことになります。しかし自然と恋人を自宅に招く展開になったものの、祈梨は「ああ。どうしてこんなことになってしまったのか。鼓太郎くんがわたしの家に来るなんて。母まなびは仕事ではしっかりしてるけど家ではだらしなくてパジャマも下着も脱ぎっぱなし。こんなの鼓太郎くんに見せられない!あと掃除機もかけてテーブルも拭いて」と混乱し、焦ってしまうのです。以前、訪れた鼓太郎くんの部屋は服は脱ぎ散らかされることなくハンガーにかかり、布団はぴったりと三つ折りに畳まれ、棚の本も見事に高さを揃えて整頓されていました。こういう当人の意識していない普段からの習慣は絶対に侮ることができません。もし、だらしない部屋を見てがっかりされてしまったらどうしよう。祈梨は焦りと恥ずかしさを抑えながら家に向かうことになって・・・。 「初恋マジカルブリッツ」シリーズは、リリスの欠片を身に宿す主人公の藤井鼓太郎が相思相愛の恋人・白鳥祈梨とともに様々な障害を乗り越え恋愛を成就させ絆を深めていくことになるというストーリーです。鼓太郎は祈梨に告白し無事に恋人同士になることに成功しますが、同時にリリスの力にも目覚めてしまい邪悪な魔術師に命を狙われることになってしまいます。襲い来る魔術師を倒すためには無尽蔵とも思えるリリスの力をコントロールすれば良いのですが、リリスの力を操るには女性と愛を交わす必要があったのです。二人は愛の力で何とか危機を乗り切ったものの、その後も鼓太郎はリリスや魔術関連の事件に巻き込まれ続けることになり使い魔の鈴蘭をはじめ退魔神父の美少女ユージェニーや鼓太郎の前世の妻だと主張する地獄大公の娘アルミナなどの女の子たちも加わって恋と魔術の争いが激化することになっていきます。 今回は短編集ということで祈梨、鈴蘭、ユージェニー、薬師寺ちとせなど各ヒロインたちがそれぞれ大活躍するストーリーになっています。自宅で鼓太郎と二人きりになり大混乱することになる祈梨、インターネットにはまった鈴蘭が夫の浮気に悩む主婦ととんでもない会話を繰り広げたり開設したブログに鼓太郎と女の子たちのHなシーンを動画で載せようとしたり、ユージェニーがおまじない好きな変人ルームメイト朽葉珠子と友達になったり、祈梨が女の子大好きっ娘・薬師寺ちとせからこれでもかとセクハラを受けたり、本編にも増して暴走しまくりなヒロインたちの姿が大変面白かったです。中でも鼓太郎や祈梨たちがあたかもマニアックな変態プレイ好きな人間であるかのように紹介されている鈴蘭のブログは大爆笑でした。 ジャンルは魔術アクション・ラブコメディ。ラブコメディが好きな人にお薦めです。<終>初恋マジカルブリッツシリーズ
2008年03月03日
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