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『戦後精神の探究』(梯明秀著)を読む
これだけ憲法を蹂躙している安倍内閣ですが、国民の支持率が高いというんですね。
マスコミが問題を批判せず、公報の役割しかしない点も大きな原因ですが、戦後70年の歴史にも、その要因があると思います。
戦後史を学びかえしてみることが、一つの課題になっていました。
今回、梯(かけはし)明秀著『戦後精神の探究』(勁草書房 1975年10月刊)を読みました。
この本は、これをプレゼントしてくれた人が、昨年亡くなり、議論の機会を失いました。
すこし遅いんですが、とにかく目をとおしてみた次第です。
梯明秀(1902年-1996年)氏は、哲学者で、戦前は『唯物論研究会』で活躍したとのこと。
戦前のマルクス主義哲学を探究したものは、治安維持法で弾圧され『転向』をしいられた。
この書の中身ですが、
第一部の1、2、3章は、終戦後の昭和24年に刊行されたものです。
サブタイトルが「告白の書」とありますが、
第2章は自信喪失と虚脱の状態、第3章はそれをふりかえることで、復調の兆しをつかむまで。
第二部は、戦前に執筆した哲学論文集です。
第三部は、1975年に復刊するにあたって、旧版の「戦後精神」を、あらためてふりかえったものです。
もちろん今は、戦後の民主的改革の結果は、国民の常識になっていますが。
その転換の根本的意義をつかむ国民意識が弱いんですね。
政治家が勝手なこと平然としているのも、国民の意識と対応にも問題があります。
どのような犠牲の上に、今日の民主主義的制度がつくられたか。その社会変化は、何か自然に、季節が変わるように、社会が変わったかのように。すべては自然にまかせて自動的に変わったかのようにうけとめるきらいがあります。
それは私なども、戦後社会に生まれたものとしてそうなんですが。
それが、安倍内閣の戦前への逆行しようとする政治にたいして、平和憲法の下で自衛隊を海外の内戦国に派遣する、こうした事態への国民の対応なんですが。
さすがに、というより、2015年は有史以来初めて国民の底からの声がはたらいたんですが。
しかし、まだまだ、弱いんです。歴史的な弱さがあるんです。
その後の事態を見ても、反応の鈍感さ、あまさがあるとおもうんですね。
もちろん、変化はしてきていると思うんですが。
今の日本の位置というのは、あらためて戦争国家からの転換した歴史を、民主主義憲法の確立した意義を、近代の日本の歴史の中で、具体的にいろいろな側面をつかみかえすことが求められていると思うんです。
私などが、この間、あれこれ読んだりしてきたことの基本は、そこに問題があるんですが。
そして今回は、また一つ加えました。
梯明秀著『戦後精神の探究』ですが、戦前からのマルクス主義の哲学者が、戦中の治安維持法の国家により強いられた苦難、それによる後遺症とそこからの立ち直りを、リアルに刻んだ本でした。
これは、現在というものが、どの様な先人の犠牲と苦労の上にあるのか、かけがえのないものであるのか、そうした認識を加えてくれる本でもありました。
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