サカナ男爵の本とゲームにおぼれて

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2022年01月02日
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カテゴリ: 本・書籍
鬼滅の日本史のご紹介です。
大人気マンガ鬼滅の刃にちなんで、鬼にスポットを当てて日本史を解説・考察する本です。


鬼滅の日本史/小和田哲男【1000円以上送料無料】


【鬼にみる日本の歴史】
そもそも、鬼とは何者なのか?
その解釈は多岐に渡り、それだけで分厚い本が書けそうなくらいです。

中国では不思議なものや怪奇なものをまとめて鬼(き)と呼ぶそうです。
日本でも隠(おん)が鬼の語源とされ、姿の見えないものを指していたそうです。


馬場あき子氏の著書「鬼の研究」では、鬼を大きく5つに分けています。
1つは祖先の霊や強力な力を持った目に見えない存在など「神としての鬼」。
第2は修験道によって生まれた「山に棲む鬼」すなわち天狗です。
第3は仏教とともに入って来た「仏の世界の鬼」です。地獄で亡者を責める鬼や、インドの鬼神などです。
第4は「恨みから生まれた鬼」です。恋に狂い蛇となった清姫や、陰謀によって左遷され死後雷神となった菅原道真などです。
第5は「鬼とされた人々」です。

本書では第5の鬼とされた人々が、鬼滅の刃の鬼に最も近いのではと述べています。
朝廷に従わなかった地方豪族や盗賊、障碍者や特殊技能を持つ人など、社会秩序から外れた人たちが「鬼」と呼ばれ、恐怖や排除の対象となっていきました。

農耕生活が中心であった日本では作業を行う「人数」と、大人数で作業する「協調性」が重視されていました。
そうした「普通」が何より重要であった社会では、突出した特徴や能力を持つ個人は歓迎されませんでした。
そうした普通でない人たちは集団から弾き出され、それを正当化するために恐ろしい鬼として伝えられてきたという面もあるようです。
何やら歴史の暗部を除いてしまったような感じですね


【鬼滅とのリンクも楽しい一冊】
本書では鬼滅の刃のエピソードや設定と絡めて歴史を紹介する章もあり、面白かったです。
興味深かったものをいくつかご紹介です。

竈門炭治郎にみる技芸を行う「傀儡子」
先に社会からはみ出した者たちが鬼とされたとありますが、その中に芸能を披露して生活していた者たちがいました。
彼らは操り人形(傀儡)や占い、奇術や相撲などを見せてお金を稼いでいました。
やがて彼らは寺社に隷属して定住するようになり、それらが人形浄瑠璃や能、歌舞伎などへと進化していったそうです。
炭治郎のヒノカミ神楽とリンクさせての話でしたが、これは興味深かったです。

時透無一郎にみる山中で生活する「サンカ」
山地は農業以外の仕事をする人の暮らす場所でもありました。
無一郎の父も杣人(木を切ったり運び出す人)でした。
そんな山に住む人たちは「サンカ(山窩」と呼ばれていました。
彼らは里に定住せず家族単位で暮らしていて、戸籍を持たない者も多かったそうです。
サンカたちは政治や経済、文化や宗教に影響を及ぼす存在ではなかったため長らく放置されていました。
正確なことは分かりませんが、昭和20年代に入っても1万人以上いたと推測されています。
近年までそうした人たちがいたというのは驚きでした。

鋼塚蛍にみる製鉄の専門集団「産鉄民」 (はがねが正式に変換できませんでした)
鬼滅の刃では刀鍛冶たちが住む隠れ里が出て来ます。
製鉄に限らずこうした技能集団は関係者だけで集まって生活し、原料が取れなくなったりすると移動したそうです。
彼らもまた特殊な技能ゆえに集団からはみ出した人たちであると言えるでしょう。

悲鳴嶼行冥にみる優遇制度があった「盲人」
明治以前の日本では社会福祉制度はあまりありませんでしたが、盲人の職能組合がありました。
そうした職能組合は按摩や鍼灸、琴や三味線といったものを仕事にしている人が中心であったようです。
江戸時代では生活資金を得るために、盲人が金貸し業を行うことが許可されていました。
これは幕府公認であるため色々優遇措置があり、暴利をむさぼり過ぎて江戸追放処分になった盲人もいたそうです。
こうした優遇措置があったがゆえに半天狗のように盲人のふりをして利益を得ようとした者がいたのでしょうね。


【重みのあるあとがき】
本書は楽しく読めたのですが、あとがきである「鬼は滅んだのか」がとても重みを感じました。
本書で紹介している鬼とは、山から降りてくる者であり反体制者であり、妬みや恨みを持つ者たちです。
彼らは一般の社会秩序や生活空間の外からやってくる「異質なもの」です。

SNSの発達などにより、我々は「異質なもの」に触れる機会が大きく増えました。
自らを「正義」とし他者を攻撃するのは、これら異質なものに対する防御反応であると言えます。

一方で自分たちの存在以外を認めず過度な同調圧力や誹謗中傷をする人たちは、皮肉にも正義を振りかざしている自分自身が周囲にとって「異質なもの」になってしまっているのです。

炭治郎の鬼に対して最後まで心に寄り添おうとする姿勢が、複雑化した現代社会における鬼との付き合い方を示しているように思える、という言葉が現代社会を生きて行くための一つの答えであるように思いました。
そして結びの「現代においても鬼はまだ滅びていないのだ」という言葉はずしりと響きました。



この本を手に取った時は鬼滅人気に乗っかったお手軽本だろうと思い、正直舐めてました。
ですが非常にしっかりとした内容で勉強になりました。

この手の本は原作について好き勝手なことが書いてるだけであったり、原作の話題は最初だけで後は小難しいことが延々書いてあったりするものがしばしば見られます。
一方本書は最後まで鬼滅の話題を絡めつつ、日本史の様々な歴史について述べられていて、とても興味深い一冊でした。

学生時代、担当教師の話が面白いと歴史が好きになる部分があると思います。
本書はそんな「おもしろい先生」のような一冊であると思います。

鬼滅の刃という「共通言語」を通して、歴史に興味を持つきっかけとなる本でした。



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原作も併せてお勧めです。
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最終更新日  2022年01月02日 20時11分20秒
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