・・・そば!ソバ!蕎麦!・・・酒そば本舗奮闘記!

・・・そば!ソバ!蕎麦!・・・酒そば本舗奮闘記!

2015年01月07日
XML
カテゴリ: そばの雑学





「赤~いキツネに、緑のたぬき♪」と。

赤いキツネはお揚げが入ったうどん。緑のたぬきはかき揚げが入ったそば。私なんかは単純に不思議に思ってしまうのです。何色になるのかは分かりませんが、「どうしてお揚げが入ったそばがないのか?」「かき揚げが入ったうどんが食いたいときはどうする?」と。

さて、このキツネとたぬきの二匹の動物とうどんとそばにのせるネタについて、落語家の林家木久蔵(当時、今は木久扇)さんがお書きになった『昭和下町人情ばなし』(日本放送出版協会)に、おもしろいことが書かれておりました。

木久蔵さんのお師匠さん・先代の林家正蔵さん(今の正蔵さんは、林家三平さんのご長男のこぶ平さんがお継ぎになられましたね)が、天ぷらの揚げカスの噺だけで20分くらいしゃべったという思い出話。

「たぬきそばってものがありますが、蕎麦の上にのってる天カスも、いいネタを揚げた油カスだったら、なんとも言えなく旨いですが・・・。ついでに申し上げますが、たぬきそばのたぬきは、キツネ・たぬきのたぬきじゃなくて、衣ばかりのカスだから"たね・ぬき"っていう意味で、これを縮めた江戸弁でして・・・」

ほ~、中身の入っていない衣だけの「たねぬき」が元で、それが変じて「たぬき」になったと。


『蕎麦屋のしきたり』(藤村和夫著 日本放送出版協会)には、
昭和25年ごろのこと、「室町の砂場」さんで、「仕舞い蕎麦(看板にしてから、従業員が皆で食べるそばのこと)の時に、もり汁の中に「揚げかす」を入れており、これはこれでおいしいのですが、まさかお客様に「天かす」を差し上げるわけにはいかない。(まだその頃には、「ばくだん」とか「たぬき」はあちこちで売り出されていませんでした。
そこで「砂場」さんでは、天ぷらをかき揚げにして、天もりと称してお出ししたと・・・・云々。

このように書かれておりました。


そうすると、たぬきは昭和になってから、現れたのでしょうか?大正、明治もさることながら、天ぷらが食べられるようになったのは、そばと同じ江戸時代の初めころですからね。家康の死因は、鷹狩の合い間に当時上方で流行だした天ぷら、しかも鯛の天ぷらを食べ過ぎたのが、原因と言われておりますね。もっとも、家康は消化器系のがんを患って、その頃にはもう末期であったから、天ぷらが直接の原因ではないという書物もあり、どうもこちらの方が真実のようですが。


何事も無駄にせず、万事リサイクルを徹底していた江戸人は、天ぷらを揚げるときにでる天かすは捨てていたのでしょうか?とっておいてそばやうどんに入れて食べたのでしょうか?

私の想像するに、あくまで蕎麦屋は蕎麦屋、天ぷら屋は天ぷら屋で、横のつながりはなかったと思われます。それもどちらも屋台を担いでの出店が主流で、店を構えての蕎麦屋は、江戸時代の終わりころになって、ようやく出現したといいますから、そば屋にたぬきも出ようがなかったのかも知れません。


さて、ここまで書いてくればもうお気づきでしょうが、今まで書いてきたことは先代の正蔵師匠にしろ砂場さんにしろ東京の話ですね。大阪へ行くとキツネとたぬきの事情が少々違ってきます。これについては、またの機会に話題にしたいと思っています。・・・お楽しみに♪






◆酒そば本舗トップページへ◆

**貴方の共感できる生き方がきっとある**
にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015年01月07日 06時28分14秒
[そばの雑学] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

サイド自由欄


吞兵衛な製麺会社社長が綴る・・・。

クスっと笑える蘊蓄が満載。酒の文化や歴史、
あらゆる種類の「○○そば」の由来、
偉人の逸話に至るまで。

日本人たるもの、これを知らなきゃはじまらない。

◆「酒とそばと」幻冬舎から好評発売中◆

「酒」と「そば」と


◆酒そば本舗◆

酒そば本舗トップページへ



にほんブログ村 ライフスタイルブログ 生き方へ
にほんブログ村


酒そば本舗奮闘記 - にほんブログ村


FC2ブログランキング



人気ブログランキング


PINGOO!カテゴリノンジャンル
PINGOO! ノンジャンル




ブログ村 ブログコンテストで 優勝 しました


[国際紛争トーナメント]
●中国の要人はどこの国製のケータイを使うべきなのか・・・?


[老人を敬う又は若者に敬われるトーナメント]
●「敬老の日」と「老人の日」

[あっと驚く?トーナメント]
●その手は桑名の焼き蛤よ

[みんなで盛り上げるトーナメント]
●坊さんがランウエイを歩く時代

[みんなが 参加できるトーナメント]
●「消防署カレー」

[無差別級トーナメント]
●ピアスの功罪

[なんでんかんでん12トーナメント]
●お隣の大国の弔い事情

[読書を広げようトーナメント]
●年末年の瀬の事件簿

[歴史にまつわる話題トーナメント]
●「偉人たちのカルテ」

[外交に関することトーナメント]
●「桜の起源」

[ちょっと真面目に9トーナメント]
●「挨拶の本来の意義」

[最近のエントリー3トーナメント]
●「 『わびル』の意味 」

[読書で手を繋ごう8トーナメント]
●「 お奨めの一冊『江戸川柳で現代を読む』 」

[忍び寄る秋の気配トーナメント]
●「夜明け前」

[日常9トーナメント]
●「遊遊漢字学」が楽しみ♪

[そんなまさか! 5トーナメント]
●「ラーメンが好きといっても」

[政治記事 93トーナメント]
●「57憶円ポンと出しますとおっしゃる人」

[バんな そカな4 トーナメント]
●「賢者の夢とやら 」

[心温まる生活99 トーナメント]
●「ヒトはなぜ酒を飲むのか? 」


酒そば本舗奮闘記

人気記事ランキング☆ベスト5


このブログが読まれています!


☆ベスト1 (2007年01月20日)
もりそば1枚の量は?

☆ベスト2 (2013年01月12日)
鉛筆の芯の先が尖った状態を何んと表現しますか?

☆ベスト3 (2015年08月7日)
鳴くはずもない動物の鳴き声

☆ベスト4 (2015年05月26日)
セキセイインコに率いられたスズメの群れを見たことがあります

☆ベスト5(2009年08月26日)
モノを売らずに喜びを売れ・・・!





◆酒そばよもやま話◆

● 粒と粉
● そばと蒸篭(せいろ)
● 月明蕎麦花如雪
● そばの食べ方
● 酒中の仙人
● そばは忌み言葉だった!?



カレンダー

プロフィール

酒そば本舗店長

酒そば本舗店長


© Rakuten Group, Inc.
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: