ミステリの部屋

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2005年12月18日

霧舎巧傑作短編集：霧舎巧

(4)

テーマ：ミステリはお好き？(1498)

カテゴリ：日本ミステリ（か行作家）

デビュー前の作品や、御手洗潔パスティーシュを含む短編集

手首を持ち歩く男｜紫陽花物語｜動物園の密室｜まだらの紐、再び｜月の光の輝く夜に｜クリスマスの約束

「手首を持ち歩く男」
同じ文章でも、謎解きの前と後ではまったく違った意味になるところがポイント。面白い構成です。

「紫陽花物語」
≪あかずの扉≫研究会シリーズの後動さんとユイが登場しますが、大分イメージが違いました。

「動物園の密室」
『御手洗パロディサイト事件２／パロサイ・ホテル・下』に収録された作品。登場人物は勿論、御手洗潔と石岡和己です。横浜が舞台で、なじみのあるところが出てきてうれしくなります。最後がかなり衝撃的です。

「まだらの紐、再び」
後動さんが活躍する密室物。一つ一つ逃げ道をつぶしていく過程が魅力的です。

「月の光の輝く夜に」
これも≪あかずの扉≫研究会シリーズのメンバーで、どんな鍵でも開けることが出来て建築にも詳しい大前田丈さんが登場します。
ミステリというより純愛小説風ですが、月の光が降り注ぐような、とっても美しい話です。

「クリスマスの約束」
これまでの話がこの書き下ろしの一遍のためにあったかのように思えます。
最後を飾るにふさわしく、仕掛けが効いていて、まとまりすぎるほどまとまった作品です。

霧舎さんは本格物の好きな本格推理作家として、何かやってくれるのではないかと期待してしまいますが、その期待を裏切らないものでした。

≪あかずの扉≫研究会シリーズのメンバーや霧舎学園も出てきますので、せめて≪あかずの扉≫研究会シリーズを読んでからこの作品を手に取られる事をお薦めします。
その方が十分楽しむことができますから。