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2016.01.13
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カテゴリ: 小説
セレブ女子大生が自分探しと生き別れた双子の妹探しをする話。

●あらすじ
サンフランシスコのホテルグループのセレブ女子大生ダイアナは作家の夢をあきらめて周囲の期待に沿うように法律事務所に就職するつもりでいたときに、母親が亡くなって遺言で実は父親が生きていて生き別れた双子の妹のメアリがいて、薔薇を探しに失踪したメアリを探せという。しかしメアリの母親への手紙がきもいポエムだったのできちがいだと思うものの、占い師になんか言われたり、画家志望のマサイアスになんか言われたりするうちにアイデンティティがゆらぎ、メアリが気になる。ダイアナが大学の卒業式をさぼってメアリが訪ねたというゼイネップ・ハヌムのゲストハウスを探しにトルコに行ってゼイネップ・ハヌムに会うと、薔薇の声を聞くには自我を殺さなければならないと言われて薔薇の声を聞くトレーニングをうけてそっちの世界の薔薇の声が聞こえるようになり、メアリの居場所を示す手紙を薔薇の声のおかげで見つける。その後薔薇についての小説を書くと、マサイアスも個展を開いていて再会したのでマサイアスもそっちの世界に誘おうかと思う。

●感想
三人称。主人公がセレブ女子大生で、占い師も画家も会う人がみな協力的な人ばかりという主人公補正全開なうえに、生き別れた双子という定番パターンかつ画家との恋愛という定番パターンのごり押しなうえに、ギリシャ神話に登場人物名をあてはめたプロットありきの展開で、リアリティはまったくない。生き別れた父親のほうは無視されて母親にだけ焦点があたっているあたりは不自然で、人物造形にも無理がある。
日本なら『花より男子』的に庶民が上流階級で苦労するシンデレラ的な話で庶民の読者の共感を得ようとするけれど、直接セレブを主人公にするあたりは外国らしい大味さ。「夢は現実というパンのイースト菌のようなもの」とかちょくちょく歯が浮くような決め台詞が出てくるあたりもきもい。薔薇の言葉を聞くためのトレーニングというのを言い換えると、肉親をなくして弱ってるところで軟禁して洗脳しているわけで、それを自分探しの美談にしようとするあたりもきもい。ラストに洗脳がとけるどんでん返しがあればエンタメとして面白かったかもしれないものの、洗脳されてらりぱっぱになってハッピーエンドというのだからつまらない。
スピリチュアルというのはいわばやさしいきちがいで、ドラッグ中毒の乱暴なきちがいよりはましだけれど、どっちにしろきちがいである。つっこみどころが満載で、宗教とかスピリチュアルに批判的なきちがいウォッチャーにとってはむしろ面白いかもしれない。つまらない小説よりはいかれてる小説のほうが刺激はあるものの、取り扱いに注意を要する刺激なので普通の人はなるべく読まないに越したことはない。
この小説はトルコ人の作者の処女作でトルコでベストセラーになって、作者が自分で英訳して世界の30カ国で売られたらしく、帯には「トルコから届いたスピリチュアル文学の傑作」と書いてある。処女作相応にへたくそだけれど、スピリチュアル文学の傑作と呼ぶに値する傑作的なきちがいぶりである。なんで私がこんなものを読んだのかというと、ブックオフオンラインの88-108円コーナーで売ってる安い本をタイトルだけ見て大量に買ったのである。あらすじさえ知ってれば買わなかっただろう。翻訳されてる外国の小説なら日本の小説よりもましかと思ったら、大はずれを引いてしまった。

★☆☆☆☆

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最終更新日  2016.01.14 00:06:08
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