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入社以来始めて座り全車両を見渡せる電車で悠々と帰宅して、男が最初に取った行動は各メディアに自分を売り込む作業から始めた、おりしも占いブーム絶対当たると公言したのだから各局こぞって男を偵察に来た、男は先ず過去の眼鏡を掛け対応した人々の過去を寸分の間違いなく言い当てる次に小用と称して座を外し今度は心を読む眼鏡に架け替え、これまた総て当ててしまう更に「未来も当てられるが之は高額な見料を必要とするので、今当てる事は出来ない私の力を認めて下さった方のみに御教えしましょう。」但しと続ける「私の力が増えて忙しくなれば当然見料の高い方を優先しますので、今のみサービス料金とします。」 決して安くは無い金額を提示すると集まっていた人々から驚きの声が上がった、各局の代表は急いで社に戻ると局長に仔細を説明し特番を組むよう迫っていた、或る局は総理の次期当選は有るかを売りにし又或る局は大物俳優の未来等をこぞって特番を組んだ。 男は何もせずとも通帳に大金が振り込まれていた、アクセク働いていたのが馬鹿らしくなるほどに男は一流の服を仕立て一流のレストランで食事をし高層マンションに引っ越した、明日から始まるTVの特番をこなせば顧客は山ほど来るだろう貧相な暮らしをしてはいられない、次の日局からの迎えの車に乗り込みスタジオ入りすると政治家や大物俳優が胡散臭い奴を見るように男を品定めする先ず始めに全員の心を読み休息を入れて、明日の出来事を見たままに伝える。 占って貰った人々は心を読まれたのには驚いたが「そんな事感の良い奴なら分かるだろう。」全く信用していなかったが、次の日の行動が細部にわたって昨日言われた通りになってしまうと信じざるを得ない先ず動いたのは政治家、次の選挙が気になる次に映画監督次回作がヒットするかどうか伺いをたてに来る、破格の見料にも関わらず男の許を訪れる人は途切れない。 男の生活はより一層派手になり夜の街に繰り出せば何十人もの供が付き一晩で一千万の金が飛んでいった、数十人の女を囲いクルーザーに専用飛行機幾ら使っても通帳の金額が減る事は無い或る日男は考ええた「並みの人間が出来ない贅沢はやり尽くした、此れから俺の人生は如何なるのだろう。」未来を見る眼鏡を掛け一年後を頭の中で念じ鏡を見た、何と男は癌で苦しんでいるではないか医者は「今日が峠だな。」看護師と話している「之は何かの間違いだ。」二年後を念じ鏡を見る鏡には何も映らない「俺は死ぬのか、一年後には死ぬのか。」人の数倍楽しい思いもした然し一年後には癌で苦しんで死ぬ、男は気が小さかった自分の住むマンションの屋上から飛び降りた。 「馬鹿な男だ折角説明書を付けてやったのに。」そう鏡は反対を映す男は生涯平和で贅沢な暮らしが約束されていた、占い師は自分の事は決して占わないのが鉄則なのだ。
2007年11月21日
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或る日の夕方、悲壮な声が聞こえてくる 「母さんや、俺はいよいよ駄目だ。」 「何言ってるんですか御父さんマダマダ頑張れますよ。」 「然し命の灯りが点滅しだした、もう時間の問題だ。」 「大丈夫、気を確かに持っていれば 私だって首が黒くなってるけど頑張っているんですから。」 御互い支えあっていたが 「あーあ、もう限界だな、買って置いて良かった 小さいのも危ないから纏めて変えてしまうか。」 円形の蛍光灯は大小共に取替えられゴミ箱に…
2007年11月21日
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昔路上で中身が透けて見えるレンズと言う怪しげな物を売っている小父さんが居たのをご存知ですか、小父さんは卵にレンズをあて「ほらヒヨコが見えるだろ。」学校帰りの子供達を集め一個十円ぐらいで売っていたのです、当然私も親にねだったのですが結局買っては貰えず其の仕組みは今もって分からず仕舞いで終わりましたが今売っていたら騙されていると分かっていながら迷わず買うでしょう。 こんな話を思い出したのは今目の前で「残りは一組だよ。」路上で叫んでいる中年の男の前に眼鏡が三つ並んでいるからだ、私は路上に屈み「眼鏡なんて度数が合わなければ意味が無いじゃないか。」男をからかうと売っている男は真剣な顔で「此の眼鏡は度数なんか関係ないんだ。」良く見ると眼鏡の前に其々特徴が書いてある「未来」「過去」「心中」吹き出しそうになるのを我慢し「まさか此の眼鏡で過去や未来が見えるって言うんじゃないだろうな、それにしても「しんじゅう」ってなんだい「しんじゅう」じゃない「心中、つまり心の中が見えるんだ。」「それじゃ此の三点の眼鏡を買えば怖い物無しだな、嫌な未来なら避けられるし上司や商談の相手の心も読めるから出世間違いなしだ、試しても良いか。」眼鏡を手に取ろうとすると男は「嫌一度掛けると眼鏡は掛けた人を主人と認識し売り物にならなくなってしまうから駄目だ。」尤もらしい事を言う値札を見ると其れ程高額な物でもない、幼い頃の記憶が蘇えり後で後悔するより騙されても良いから買ってやろうと決めた、三点纏めて買うと男は注意書きを書いた紙と眼鏡を無造作に新聞紙に包んで寄こす「そんな包み方でレンズは大丈夫なのか?」買った以上自分の物であるから少しムっとして問うと「そんなに柔じゃない。」ニタリと笑い新聞に包んだ眼鏡を男に渡す。 新聞に包んだ物を手に持ったまま歩くのは如何にもみっともない、何時も持ち歩いているバックに入れようにも三本も一緒に包まれた眼鏡は入らない、包みを解き新聞を小さく切り取って一本づつ包み直すと何とか二本は入ったものの残りの一本が如何しても入らない、胸ポケットにでも入れようかと考えたが帰宅ラッシュで割れてしまうかも知れない、考えた末残りの一本は自分が掛けて帰る事にしたが掛けた途端すれ違う人々の表情が一変した。 男に向って歩いて来た女は血の滴る包丁を手にし泣いている、並んで歩いていた男性は何ヶ所も刺されたのだろう到る所から血を流しモガキ苦しんでいるではないか、見るに耐えられず目を移すと子供連れの親子の姿然し子供はグッタリとして動かない、其の傍に茫然としている母親の姿男は何が起こったのか暫く理解できなかったが眼鏡をかけてから此の現象が起きたのに気付き慌てて眼鏡を外した何やら笑いながら話て通り過ぎる親子、シッカリ手を繋ぎ御揃いの服を着て通り過ぎる若者達。 「何だ今の光景は。」気味悪くなった男は眼鏡をシッカリ握り締め帰宅し三本の眼鏡の効果を読んでみると如何やら先程掛けた眼鏡は未来を見る物だったようだ「マジかよ、嫌未だ信じられん明日は他の二本を会社で試してみよう。」翌日男は大きめのバックに眼鏡を忍ばせ出社すると過去の眼鏡を掛け仕事を始めると同僚が「あれ、お前眼鏡掛けてたっけ。」不審な目で男を見る「あー、小さな文字が見えにくいと思ったら近視だったんで昨日誂えたんだ、其れよりお前部長の娘と付き合っているんだろ水臭いな如何して俺に教えてくれなかったんだよ。」同僚は慌てて「如何して知ってるんだ誰にも言ってないのに。」「こんな話は幾ら隠しても何処からか聞こえて来るもんだよ、其れよりお前も此れで出世が約束されたようなもんじゃないかオメデトウ。」「未だ君しか知らないんだろ頼むから黙っててくれよ。」「目出度い話じゃないか如何して言っては駄目なんだ、あーそうか総務の娘と未だ切れてないんだな身辺整理は早くした方が良いぞ。」「ど、如何して其処まで知ってるんだ。」同僚は男を恐れだした。 「まあ此のぐらいにしてやるか。」男は「大丈夫黙っててやるよ、でも此の貸しは返してくれよ。」笑いながら同僚の許を去ったものの眼鏡の効果が本物であると確認出来ると身体中に震えが走った「此の力を有効に使えば大金持ち嫌世界征服も夢ではない、先ずこんな小さな会社にコツコツ勤めて時間を無駄にしている場合ではない、自分のデスクに戻ると急いで私物を纏め辞表を書き上司の机に置くとサッサと帰宅した。
2007年11月17日
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毎日起きる悲惨な交通事故、自分だけは大丈夫だと思っていませんか?でも今時自分は気をつけていても貰ってしまう事故も多いのです、女は只普通に歩道を歩いていただけ其れなのに正面から居眠り運転をしていた車に撥ねられ、全治三ヶ月の重症を負ってしまった。 骨折や内臓損傷等は時が経つにつれ回復に向かっていたが、致命的な後遺症が残ってしまった其れは目、角膜損傷により移植手術を受けない限り闇の住人となってしまたのだ家族は元より本人の嘆きは傍で見ていられない、微かな望みを託し角膜を戴けるよう登録はしたが医師の話では「望みは薄いので早く闇の世界に慣れるよう努力された方が…」気の毒そうに言う。 然し神は女を見捨てなかった、一ヵ月後に角膜提供者が現れたのだ提供者の名前等は明かされなかったが本人も家族もまるで蜘蛛の糸を昇り切ったような歓喜に包まれた。 手術が終わり包帯を取るまで女は闇の中で様々な光景が浮かんで来るのを見ていた、見た事もない街並み、会った事も無い人々、角膜の持ち主が見せる光景とは聞いた覚えがある多分そうなのだろうと深くは考えなかった、いよいよ包帯を取る日が来た一番に医師や看護師の顔がハッキリと見える朝日が眩しい、見えるとはこんなに嬉しいものなのだと感激して涙が頬を伝う。 次に夫の顔を見た途端悲鳴を上げた「此の男が私を殺したのよ、早く捕まえて。」男は妻が入院中援助交際をしていたが、其れをネタに強請られ殺してしまった其の女の角膜が妻に移植され恨みを晴らすとは思いもせず…妻の複雑な心境…
2007年11月07日
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閑静な住宅街に深夜悲鳴が響き渡る、近隣の家々の明かりが灯り窓から様子を伺う家もあるが外に出て来る者は居ない、其の内誰かが通報したのだろうパトカーが止まり悲鳴の聞こえた家のチャイムを鳴らしている、ドアを開けた主人は警官と何やら話していたが数分で引き上げていった。 「だから止めなさいって言ったのよ。」 「だけどテレビなんかで良く観るじゃないか。」 「あれは漫画でしょう。」夫婦が言い争っている傍で子供が腫れ上がった頬を押さえ泣いている。 歯に括りつけた紐をぶら提げて、そう夫は虫歯で苦しむ我が子の歯を抜いてやろうと歯に紐を結びつけもう一方の端をドアに括り付け、思いっきりドアを閉めたのだ奥歯は抜けず悲鳴が…息子の頬は以前より腫れ上がっただけだった。其の日以来息子が父を見る目は変わった。
2007年11月07日
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「やっと出して貰えるのね。」 「長かったなー。」 「もう一ヶ月も経つんですもの、身も心も凍りついてしまったわ。」 「いよいよ出番か。」 「皆の喜ぶ顔が目に浮かぶわ。」 一ヶ月も前に作られたケーキは街にクリスマスソングが流れる頃 冷凍庫から出される。
2007年11月07日
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雪の中集会を開いている集団、話を聞いていると「毎年安い賃金で夜中に働かされて好い加減嫌になっちゃうよ。」「俺達の話なんか聞いてくれないんだからな。」「あいつらは良いさ、皆に喜ばれて感謝されるんだからな。」「俺達はただ重い荷物と太ったサンタを乗せて走るだけで誰にも感謝されない、今年はストを起そうぜ。」過酷な労働の割りに報われないトナカイの集団だった。
2007年11月07日
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一昔前は男腹と言って男子を産むと喜ばれたものだが今や女性はどんなに高価な宝石より貴重に扱われていた「又女か、もう三人目だぞ役に立たん女だ。」子供を出産したばかりの女に罵声を浴びせる。 女も済まなさそうに「今度こそ頑張るわ、だって私未だ若いんですもの。」「種は少しでも畑が広大なら幾らでも増やす事が出来るんだ今度こそ女を産めよ、俺達が元気な内にな。」成人男性は全人類の二割もいれば社会を維持出来るが女性が少なくなってしまうと移植する臓器を産む子供が少なくなり国は滅びる何しろ男に子宮は無いのだから。
2007年11月07日
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大勢の子供達が犇めき合っている、喧嘩をする子もいれば懸命に食事をする子 お喋りに興じる子供、然し何処を見ても親の姿は見えない 数ヶ月もすると子供達は次々減って部屋の中は疎らに子供達が残る 広い部屋は何処と泣く寂しい。 「皆何処に行ったの。」 「解らないよ。」 「一番大きな苛めっ子が一番先に居なくなったよね。」 「僕、アイツにはチビチビって何時も苛められたよ。」 「皆同じ時に生まれたのに僕達小さいから何処にもいけないんじゃないかな。」 「沢山食べて早く大きくなって皆の待っている所に行こうよ。」 「そうか、大きくならないと皆の所に行けないんだ、頑張って食べよう。」 一生懸命食べた甲斐があり一ヵ月後には出て行った仲間と同じぐらいの 大きさに育った。 「もう良いだろう、そろそろ出荷しないと親鳥になってしまう 身の柔らかい内に売らないと。」 「そうね、今日残っているのを全部売ってきてちょうだい。」 一生懸命大きくなった雛は食肉加工業者に売られて行った。
2007年11月03日
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そんな壷の事等すっかり忘れた頃若者は失恋した、5年も付き合ってソロソロ結婚でもと思っていた矢先女は条件の良い男性を見つけサッサと結婚してしまったのだ、心の中に穴が空き如何しようも無い悲しみが若者を襲う、若者は男泣きに泣いたが悲しみは癒えない。 ふと壷が頭の中をかすめる「気休めでも良い試してみよう。」机の引き出しに仕舞っておいた壷を取り出し涙を入れると、不思議な事に女など如何でも良くなった其れよりあんな女と5年も付き合っていた自分を褒めてやりたくなる気持ちになってきたのだ「俺は何で泣いていたのだろう女なんか幾らでも居るのに、あんな女一人で我慢していたなんて。」男の頭の中は既に次の女性を検索し始めている自分に驚いた。 「本物だったんだ。」壷をマジマジ眺め「此の壷さえあれば俺の人生辛い事が無くなる。」男はあらゆる辛さや悲しみ苦しさを乗り越え順調に出世し社長の娘と結婚した,ポーカーフェースであらゆる苦しみや辛さ、悲しみを乗り越えているうちに社長の目に留まり高く評価され、娘と結婚する事になった、何事にも屈しない男は家庭でも頼れる夫、父として平和に暮らしていた。 処が或る日妻が夫の書斎を掃除している時珍しい壷を発見した所から男の人生は狂い始める「珍しい形をした壷ね、何に使うのかしら。」覗き込んでも中は見えない、振ってみると微かに水の音「水だって長い間置いておくと腐るのよ。」鼻を近づけると少し匂う、窓を開け水を捨てていると手が滑って落としてしまった「あら、割れてしまったわ、でも見た所高価な物じゃなさそうだしもっと良い物を買って置いておけば良いわ、丁度今日はパパと食事の約束をしているから其の時にでも買いましょう。」鼻歌を口ずさみながら掃除を終えると出掛ける支度を始めた。 其の頃男の身体に変調が、何とも言えない遣り切れない悲しみや辛さが襲ってきていた、仕事どころではない直ぐにも家に帰って壷に涙を入れなくては辛くて生きているのも嫌になる然し今日は社長と妻の3人で昼食を摂る約束をしている、後30分しかない家に帰りたいのだ死んでしまいたい衝動を抑えられない「急に如何したんだろう。」不快な気持ちのまま待ち合わせのホテルに行くと妻は既に来ていた。 顔色の悪い夫に気分が悪いのか尋ねるのと同時に壺の話をした、妻は明るく「食事の後でもっと良い壺を買ってくるから許してね。」其れで総ての謎が解けた、何時もは鍵を付けた引き出しに入れて置くのだが今日は仕舞い忘れたのを思い出したのだ、場所も弁えず大きな声で「何て事をしてくれたんだ。」丁度入って来た社長を突き飛ばし車の途切れない車道に飛び込んだ、妻も社長も何が起こったのかサッパリ解らず表に出「何か悩んでいたのかね。」「いいえ何も、今あの人の壺を割ってしまったのでもっと良い物を買って帰りますねって話した途端走り出して…」「う~ん彼も病んでいたのかな。」警察や救急車が到着したが、まるで野次馬のように遠巻きに眺めているだけだった。
2007年11月03日
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一人フラリ旅が好きな若者は金と休暇さえあればバック一つ持って旅行していた、唯一の趣味であり楽しみであったのだ、或る日何時ものように旅行した時夕食を取る為夜の繁華街をブラブラしていると近代的な建物が立ち並ぶ中、今にも崩れ落ちそうな古ぼけた店が一軒開業していた。 何を売っているのか興味を持った若者は今時珍しい暖簾を掻き分け中に入ると、小さい様々な壷らしき物が並んでいる、らしき物とは花を生けるには口が小さい水を入れるにも不便だ手の平に入ってしまいそうな壷らしき物がが無数にある。 店の奥に主人らしき人物が座っている、若者はこれ等が何なのか尋ねると「此れは涙壷。」だと答える、話に拠ると耐えられない苦しみや悲しみに遭遇して出た涙を此の壷に入れると全部消えてしまう物らしい「なるほど其れで入り口が涙を受けやすいような形になっているのか。」納得したが信じたわけではない。 「此の地方には奇妙な店があるものだ。」若者は旅行の記念に一つ買い求めようと価格を聞いて驚いた、何と此の小さな壷が一万円だという冷やかしで帰ろうとしたが如何にも気になり買ってしまった店主はまるで薬の使用法を説明するような感じで「注意書きをよく読んでから御使用して下さい。」真剣な顔をして言う。 「たかが壷一つ売るのに大袈裟な。」気持ち悪くなり逃げるように店を後にした、食事も済ませホテルに戻ると旅の疲れか風呂にも入らず眠りに就いたが二時間も寝ただろうか、突然目が覚めた夢の中に壷が出てきたからだ「そうだ壷を買ったんだ。」若者はカバンから壷を取り出すと注意書きなるものを読み始める。「此の壷は貴方の耐えられない悲しみや苦しみ辛さを取り除く物です、それらの涙を此の壷に入れると貴方の心は忽ち晴れるでしょう。」若者は「フン気休めか一万円も出して損をしたな。」ベットの上に放り投げる、そして説明書を塵箱に捨てようとした時裏面に赤字で説明書きが未だ続いていた。 「涙が入った状態で破損したりこぼしてしまうと今迄溜めた不幸が貴方を一度に襲いますからご注意下さい、当方では其の責任は負いかねます。」「尤もらしい話しが書いてあるな、何かの余興に使えるかも知れない。」捨てるのを止めバックに仕舞い直した。
2007年11月01日
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一人の人物が鏡を見ている 「此の顔にも飽きたな、そろそろ変えるか。」 洗面台の引き出しにズラリと並んだ其々の パーツをつけては剥がす作業をしている。 総てのパーツを外した顔は目や鼻、口らしき 穴が開いているだけで突起物が無い。 視覚、嗅覚、聴覚は頭脳が果たし食事は 流動食を一週間に一度流し込むだけで済むので ストロー状の穴が開いているだけなのだ。 「昔は整形なんて面倒な事をしていたらしいが 今は楽だよ、毎日だって好きな顔を自分で作れる んだから、今日は昔風の顔で裕次郎なんかどうかな。」 顔を作るのは昔の女の化粧のようなもので マナーになってきている20××年。
2007年11月01日
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