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2020.01.03
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三生三世十里桃花 Eternal Love
第28話「 結魄灯の火」

素錦(ソキン)は念願叶い、洗梧宮へ嫁ぐことになった。
しかし夜華(ヤカ)は愛する素素(ソソ)を害した素錦を許せず、婚儀の当日、素錦の胸に剣を突き刺してしまう。
追い詰められた素錦は何とか夜華に受け入れてもらうため、辛奴(シンド)を洗梧宮へ遣わした。

夜華は辛奴から素素を取り戻す方法があると聞き、半信半疑で素錦の寝殿を訪ねた。
すると素錦は御簾を下げた寝台から、素素を深く恨みながらも夜華のために取り戻す手助けをしなくてはならない無念の思いを告げる。
「私は孤児だけど、この7万年は順風満帆だった…
 ただあなたに嫁ぎたいと願うあまり、幾度も道を誤ってしまったの
 この私が人間に負けるなんて…うっ…悔しい…悔しいですっ!」
「…何が望みだ?」
「(はっ!)私…洗梧宮に入りたい」
「(審議中…)」
素錦は藁にもすがる思いで、結魄灯(ケッパクトウ)を使えば素素を取り戻せると教えた。
実は東華帝君(トウカテイクン)が知っているのは仙者の元神の集め方だけ、人間の骨血を作れると知っているのは自分だけだという。
「承諾してくれる?!」
「…洗梧宮に入っても、本君が君を娶ることはないぞ」
「いいわ、いいの…私はただ幼い頃のように、いつもあなたに会えればいいの…」
「…いいだろう、話してくれるなら本君は承諾しよう」
「感謝します、君上!」
素錦の話では素素に関わる物を結魄灯で燃やすと灯が素素の匂いを記憶し、素素が千里四方に残した匂いをゆっくり集めるという。
そして素素の匂いをすべて吸い込むまで待つと、跡形もなく消え去った素素を模倣し、再び良く似た人間を生み出すことができるというのだ。

夜華が急いで帰っていくと、入れ替わるように天枢(テンスウ)が現れた。
太子の命で素錦を洗梧宮へ連れて行くという。
「天旨がどうであれ、洗梧宮の側妃は素素娘娘おひとりです
 よって素錦娘娘、洗梧宮に到着後は一攬芳華(イチランホウカ)に一歩たりとも近づいてはなりません
 また殿下の許可なく、小天孫にも一歩たりとも近づくことはできません」
「いいわ、君上が素錦を洗梧宮に入れてくれるなら喜んで…素錦は君上の意思に従うわ」

洗梧宮へ戻った夜華は早速、結魄灯で素素の唯一の形見となった衣を燃やした。
すると青白い炎が現れ、素素の香りを求めて寝殿からゆらゆらと流れて行く。
一方、十里桃林は突然の突風に見舞われた。
折顔(セツガン)と白真(ハクシン)は何事かと外へ出てみると、風の渦が桃の花びらを空へと舞い上げて行く。
こうして十里桃花の花びらは風に乗り、やがて紫宸殿へ吹き込んだ。
その時、夜華はまだ悲しみに暮れていたが、ふと衣の燃えかすの上に桃の花びらがあることに気づく。
まさかと思いながら回廊へ出てみると、中庭に次々と桃の花びらが舞い降りて来た。
これは紛れもなく素素の香り…。
これをきっかけに夜華は生きる気力を取り戻した。
素素との約束を果たすため一鸞芳華に何本も桃の木を植え、素素と出会った時期になれば赤子の阿離(アリ)を抱いて俊疾山(シュンシツザン)の草屋で過ごす。
こうして瞬く間に300年が経った…。

(๑❛ᴗ❛๑)<僕が生まれたのは300年前、九重天の人たちはみんな僕を"小天孫"って呼ぶんだ、僕の父君は天君の長孫で天族太子・夜華、娘亲の名は素素、美人で人間だ、この300年、父君は毎年、僕を連れて東荒俊疾山で数ヶ月ほど過ごす、ここは父君がにゃんちんに身を捧げた場所なんだ、父君はにゃんちんがいずれ戻って来るって言ってる…

明日は生母の誕生日、阿離は父の書斎にある素素の肖像画にひざまずいて拝礼した。

実は夜華は2人が出会った日を素素の誕生日と決めている。
阿離は少し適当過ぎる気がしたが、母の誕生日を知らないよりはマシだと受け入れていた。
「にゃんち~ん、僕は明日、桃を摘みに東荒俊疾山へ行きます
 肖像画にお祝いする暇がないから先に言っとくね、お誕生日おめでとう」
夜華は我が子の成長に目を細めながら、ふと結魄灯を見つめた。
結魄灯は300年もの間、燃え続けている。
…素素、君はどこにいるんだ…

その頃、青丘の白鳳九(ハクホウキュウ)は白浅(ハクセン)の誕生日に何を贈ろうか悩んでいた。
とは言え白浅は何も不自由がない。
するとお茶を差し入れに来た迷谷(メイコク)が炎華洞(カエンドウ)にいる″あの人″はどうかと言った。
鳳九は確かに白浅の望みは墨淵(ボクエン)が目を覚ますことだと思い出したが、そんな方法があるわけない。
しかし迷谷が最近、ある噂を聞いていた。
実は300年前、皇太子を救うために素錦天妃が結魄灯を献上したという。
なんでも元神を集められるという天族のお宝で、皇太子もこれで目を覚ますことができたとか。
「じゃあ、こっそり拝借してくるっ♪
 太子は姑姑と婚約してるんだから、万一、見つかっても何も言われないでしょ?
 それに私は天族の戦神を助けるのよ、私たちに貸してしかるべきよ」


洗梧宮に素錦が現れた。
天枢が出迎えたが、皇太子は毎年この時期に東荒俊疾山で過ごすと知っているはずだと訝しむ。
素錦に化けていた白鳳九は忘れていたと笑ってごまかしながら寝殿に入ろうとしたが、天枢が立ちはだかった。
「何よ?!(ふん)たかが星官が私を遮るつもり?」
「(はっ)滅相もございません」
天枢は慌ててひざまずくと、その間に鳳九は紫宸殿に入った。

留守を任せた天枢が突然、草屋に現れた。
実は素錦が結魄灯がある紫宸殿に入ったという。
青ざめた夜華はすぐ天宮へ戻ったが、すでに結魄灯が消えていた。
そこで素錦の寝殿にいきなり乗り込み、結魄灯はどこかとすごむ。
素錦は何か誤解していると困惑し、この300年、結魄灯に指一本触れていないと訴えた。
激高した夜華は思わず素錦を突き飛ばし、自分を騙さぬ方が身のためだと捨て台詞を吐いて出て行ってしまう。
辛奴は慌てて主人を慰めたが、それにしても皇太子があれほど怒った姿を見たのは初めてだ。
すると素錦はこれもすべてあの人間のせいだと嘆き、亡くなって300年経ってもまだ自分の邪魔をする素素に憤った。

蓮の池にいた連宋(レンソウ)は偶然、仙娥たちが慌ただしく移動する様子を見かけた。
そこで仙娥を呼び止めて事情を聞いてみると、何者かが素錦に成り済まして紫宸殿から結魄灯を盗んでしまったという。
そのせいで激怒した夜華が天宮中の奴婢を尋問しているというのだ。
「結魄灯が盗まれた?…あれは夜華の命だぞ…」

連宋が慌てて紫宸殿に駆けつけると、心配していた通り失意の夜華がいた。
「夜華…3叔も結魄灯がなくなったこと知った、だが考えても見ろ?もう300年だ
 あの灯火が素素を作り出せるなら、とっくにできてる
 どうして300年も前に死んだ女に執着する?」
「3叔、もうやめてください…この冥冥から素素が言ってるんだ…
 やはり私を許さないと…だから複製さえ作らせてくれません…」
すると夜華の頬を涙が伝った。

その頃、結魄灯は青丘の炎華洞にあった。
白鳳九は早速、墨淵の近くに灯火を置いたが使い方が分からない。
迷谷は数日間、絶やさず燃やし続けなければならないが、法術は使えないと教えた。
しかし白浅は1日2回は必ずここへやって来る。
2人はどうしたらいいか困っていると、運悪く白浅が現れた。
驚いた鳳九は咄嗟に結魄灯の前に立って隠したが、すぐに見つかってしまう。
白浅に問い詰められた鳳九は仕方なく正直に素錦に変身して皇太子の寝宮から盗んだと白状した。
この結魄灯がかつて皇太子を目覚めさせたと知り、墨淵を助けることができると思ったという。
呆れた白浅は自分の教えを忘れたのかと激怒、2兄に顔向けできないと嘆いた。
鳳九は過ちを認めて責任を取ると言ったが、どうせなら結魄灯を試してみてはどうかと勧める。
しかし白浅は無駄だと知っていた。
この灯火は元神の一部がなければ残りの元神を集められない。
確かに7万年、師匠の仙体はここにあるが、元神の行方が分からなかった。
「本当に試してみなくていいの…?」
「…返して来なさい」

東華帝君に顔向けできず、太晨宮(タイシンキュウ)の前でうろうろしている白鳳九…。
するとちょうど司命(シメイ)星君が現れた。
そこで鳳九は自分が結魄灯を盗んだと白状したが、司命星君の顔色が一変する。
「この結魄灯は300年も消えずにいた、何のためだと?
 太子殿下がこの灯火を使い、当時の素素娘娘の骨肉を作っていたんですよ!」
しかもすでに灯火は消えてしまったという。
「\(^o^)/オワター
 帝君は閉関しているので助けられません、何か打つ手を考えてみます…」
司命星君の慌てふためく様子を見た鳳九は、ようやく取り返しのつかない過ちを犯したと実感した。

司命星君は連宋に相談し、白鳳九を連れて紫宸殿までやって来た。
2人はひとまず鳳九を待たせ、夜華の説得に向かう。
夜華は薄暗い殿内で素素の肖像画の側に座っていたが、連宋の手に結魄灯があると気付いて一目散に駆け寄った。
しかし300年間ずっと集めて来た素素の香りがあっけなく消えている…。
夜華はあまりの喪失感に全身の力が抜け、その場にへたり込んだ。
「…誰です?」
「青丘の小殿下…白鳳九だ」
「ばいふぉんじぅ?」
「彼女はお前が素素の骨血のためにこの灯火を使っていると知らなかった
 遊び半分で持ち出したようだ」
「遊 び 半 分 ?」
連宋は青丘に恩を売ると思って追求するなと言い聞かせた。
何より鳳九の叔母である白浅は未来の夜華の正妃、亡くなった人間のために青丘と敵対するなど筋が通らない上、大きな災いを招くことになる。
すると夜華が立ち上がった。
「どうしても争うと言ったら?」
「駄目です」
司命星君はならば東華帝君が皇太子に許しを請うことになると言った。
実は帝君は近いうち人間界へ歴劫(リャッコウ)するが、これは白鳳九に情の借りを返すためだという。
「それゆえ太子殿下には東華帝君の顔に免じて、白鳳九を容赦くださいますよう」
驚いた夜華は涙をこらながら2人に背を向けた。
そこで連宋は仮に灯火で素素を作り出せても、ただの身代わりに過ぎないとなだめる。
司命星君も連宋に追従し、頭を下げた。
「小仙が太子殿下にお願いい…」
「帰らせろっ!」Σ( ̄。 ̄ノ)ノ ビックリした!@管理人


白鳳九が落ち着かない様子で待っていると、司命星君が戻って来た。
皇太子はこの件を追求せず、素錦に成りすました件は連宋が一緒に天君に取り成してくれるという。
鳳九は一安心すると、思わず東華帝君の様子を尋ねた。
すると司命星君は近いうちに青丘へ鳳九を訪ねるという。
「小殿下が恩返しできる方法を思い付いたんですよ」
「本当に?」
「本当です、今はまだ話せませんが、小殿下は青丘の狐狸洞でおとなしく待っていて下さい」

その頃、夜華は再び素素の骨肉を作るため結魄灯に火をつけていた。
しかし燃やせるものがなく、自ら元神を抜き出してしまう。
その時、ちょうど連宋が現れ、咄嗟に仙法で元神を夜華の身体に戻した。
「正気の沙汰じゃないぞ!」
「3叔、放してください…放してくれ…」
「お前は己の元神を結魄灯で燃やすつもりか?!」
「素素に関する物で燃やせる物はない、私の元神以外には… 
 この四海八荒には素素に関わる物なんて何もないんだ…」
「もうたくさんだ!お前は自分が天族太子だと言うこと忘れたのか?!
 素素との子供がいることも忘れたというのか?!
 例えまた何とか火をともして骨血を作り出すことができたとしても、あの素素じゃないんだぞ?!」
夜華はようやく冷静になった。
「よく考えろ、偽物を作る価値なんてあるのか?
 お前が死んだら、阿離は父も母もない子供になる…それでもいいのか?
 自分の命がいらないと言うなら構わんが、阿離はどうなる?
 あの子はまだ東荒でお前を待っているんだぞ?
 300年間、お前は父親であり母親代わりだった、やっとのことでここまで育てたんだろ?
 誰か安心して任せられる相手がいるか?
 お前が作った身替わりか?素素を骨の髄まで恨んでいる素錦か?
 あきらめろ、300年経った…もう自分を傷つけるのはやめるんだ、忘れなさい」
すると夜華は堰を切ったように泣き崩れた。

天君は連宗と司命星君から事情を聞いた。
しかし結魄灯が消えたと聞いて天君はむしろ安堵する。
この300年間、何かに取り憑かれたような夜華を心配し、心が休まることがなかったからだ。
そこで天君は素錦にも連宗と司命星君が慈悲を求めているため、大目に見るよう頼む。
素錦は戸惑うような素ぶりを見せたが、白鳳九のいたずらや夜華が怒鳴ったことは水に流すと言った。

思いがけず結魄灯の火が消え、素錦はほくそ笑んだ。
…夜華、これであなたと私の間にもう邪魔者はいなくなったわね…

一方、俊疾山では阿離が伽昀(カイン)の目を盗んで森へ出かけていた。
そこでウサギを見つけた阿離は夢中になって後を追い、蛇妖怪に目を付けられてしまう。
阿離はようやくウサギを捕まえて可愛がっていると、いきなり蛇妖怪に襲われた。
すると運良く1人の仙女が通りかかり、阿離を助けてくれる。
仙女は阿離が天族の子供だと気づき、家まで送っていくことにした。

その頃、草屋に戻った夜華は阿離が行方不明だと知った。
伽昀は過ちを認めて罰を請うていたが、そこに天枢が飛び込んで来る。
「君上、お戻りです!小天孫がお戻りになりました!」
夜華は慌てて外へ出ると、元気に阿離が走って来た。
「ふーじゅ~ん!」

つづく


ε-(•́ω•̀๑)面倒臭いの来た…





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最終更新日  2020.01.03 13:10:01
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