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2022.02.26
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カテゴリ: 長歌行 全49話


长歌行 The Long Ballad
第19話「2つの刺繍」

鷹団特勤(テギン)の軍師・穆金(ムージン)と李長歌(リチャングァ)の側仕え・弥弥古麗(ミミクリ)は顔を合わせれば喧嘩になった。
しかし穆金は次第に気の強い弥弥に惹かれて行く。
そんなある日、穆金は川で洗濯している弥弥を見つけ、水汲みを手伝った。
すると川岸に落ちていた釘を踏んでしまう。
( ;∀;)<誰だ~釘なんか捨てたのは…
( ゚ロ゚)!!<血が出てるわ!
穆金は弥弥の手前、何でもないと強がったが、弥弥は自分の肩を貸して送ることにした。

その夜、弥弥は怪我をした穆金を心配し、差し入れを持って天幕を訪ねた。
すると穆金がばったり倒れている。
恐らく錆びた釘を踏んだせいで毒に侵されたのだろう。
弥弥はかつて母が同じような症状で亡くなったことから、一晩中、穆金に付き添った。
そして翌朝、穆金は熱が下がり目を覚ます。
穆金は弥弥が献身的に介抱してくれたと知り、これをきっかけに2人は急接近した。

穆金はそろそろ物資が底をつくため、弥弥を連れて調達に行きたいと報告した。
どこか照れ臭そうな穆金、その様子を見た阿詩勒隼(アシラシュン)は穆金の気持ちを察して許可する。
一方、弥弥が雲州へ出かけると聞いた長歌は銭袋を手作り、自分の俸禄を入れて持たせた。
弥弥はあまりに不恰好な刺繍に驚きながらも、長歌の優しい心遣いに感激する。
すると長歌はふと李楽嫣(リラクエン)に贈った時も同じ反応だったと思い出し、失笑した。
「雲州に着く頃にはちょうど中秋節ね…この日は月餅を食べて、家族と一緒に天灯を飛ばすの
 雲州なら月餅が食べられるな」
「家族が恋しい?…大丈夫!たくさん月餅を買って来る!」

皓都(コウト)は魏淑玉(ギシュクギョク)と別れ、単独で公主を探していた。
しかし偶然にも2人は滄(ソウ)洲へ向かう途中、都亭客桟で再び合流する。
すると淑玉は雨に降られたせいで風邪をこじらせ、ひどく咳き込んでいた。
皓都は皇帝から監察御史に封じるため帰京するよう勅命があったと伝え、このまま憔悴すれば公主との再会も叶わないと諭す。
口は悪いが淑玉を心配する皓都、そこで淑玉はくれぐれも楽嫣の捜索を頼み、長安へ向かった。



淑玉を見送った皓都は部屋に戻ることにした。
すると中庭にいた商人が見覚えのある手巾を持っている。
それは7話で公主が皓都に見せた手巾と同じウサギの刺繍だった。
…私のうさぎは目が緑色なの、うさぎは草原を見ているからよ…
皓都は思わず手巾を取り上げ、この刺繍をどこで手に入れたのか聞いた。

国境が戦続きのため、朝廷は隊伍と一緒に南下して中原に戻れると通達を出した。
雲州の西郊織坊(セイコウショクボウ)でも織子たちが家に帰れると大喜び、楽嫣もようやく洛陽(ラクヨウ)へ帰れる方法が見つかる。
そこで最後の奉公とばかりに楽嫣たちは布を売りに市場へ出かけた。

ちょうど同じ頃、穆金と弥弥が買い出しのため幽州に到着した。
弥弥は中秋節で賑わう市場に大興奮、しかし家族団欒の節句だと聞いて切なくなってしまう。
すると偶然にも穆金が楽嫣の露店で足を止めた。
弥弥は楽嫣が勧めた美しい布を気に入ったが、中秋節なので家族にも選んではどうかと勧められ顔色が一変する。
「…いらない、買う気が失せたわ」

弥弥は気を取り直し、穆金と買い物を楽しむことにした。
そこで不機嫌になったお詫びに月餅をおごることにしたが、その時、長歌からもらった銭袋を落としたことに気づく。
「長歌の贈り物なの、失くすわけにいかないわ」
そこで2人は手分けして探すことになった。

店じまいした楽嫣は売り上げを数えて銭袋に入れていた。
すると先ほど怒らせてしまった娘が現れ、自分の銭袋を返せという。
「私が落とした銭袋と全く同じだわ!その下手なうさぎの刺繍もね!」
「勘違いです、これは本当に私のものです」
しかし気性の激しい弥弥はいきなり楽嫣から奪い取ろうとして騒ぎになってしまう。
楽嫣は自分の銭袋だと証明するため、この中には布を売って稼いだ163文が入っていると訴えた。
一方、弥弥は白と緑の糸の下手くそな刺繍に何度も縫い直した痕があると証言、ふたの裏にはゆがんだ″兎″の文字もあるという。
「…なぜ知っているの?」
「私の物だからよ!」
弥弥は唖然としている楽嫣から銭袋を奪い取り、中のお金だけ返して人混みに消えた。



楽嫣が肩を落として帰って来た。
柴(サイ)女将は客引きに失敗したのだと思ったが、楽嫣は稼いだ売り上げを渡す。
「こんなに…楽嫣!凄いじゃないの!」
そこで女将はその中から餞別を渡した。
「みんなには内緒、秘密のご褒美ね、何かのご縁だもの…」
楽嫣は女将の真心に触れ、この工房で多くを学び、布を売れるまでになったと感謝した。
今まで独りで出かけたことなどなかったが、これで家への道を探せる自信がついたという。
すると楽嫣は思わず女将に抱きついて涙し、別れを惜しんだ。

一方、銭袋を取り戻した弥弥は穆金と合流した。
「弥弥~あったぞ!ほら?中身は減ってないか?!」
実は弥弥の銭袋はさっきの店の前に落ちていたという。
( ๑≧ꇴ≦)<アイヤー!誤解だった!
弥弥は慌てて布売りの娘に銭袋を返しに戻ったが、すでに露店はなかった。

柴女将は織子たちを送り出し、すっかり情が移った楽嫣を城門まで見送った。
楽嫣は感謝の気持ちを込めて手作りの袋を贈り、丁重に拝礼して別れを告げる。
その横をあの物乞いの少年が通り過ぎて行った。

弥弥は穆金に2つの銭袋を見せた。
一見すると全く同じ銭袋だが、よく見れば作った時期が違うと分かる。
ただどちらも確かに長歌の手作りだった。
まさかこんな偶然があるとは…。
弥弥は長歌に事情を聞くため急いで帰ることにしたが、閉門時間に間に合わず、足止めされてしまう。

その夜、阿詩勒隼は長歌に帳簿を見せていた。
しかし″8月15日″という日付を見た長歌は急に寂しそうな表情をする。
「…中秋節か?中元では月を見ながら月餅を食べると聞いた」
隼は月餅を作れるかどうか聞いてみると言ったが、長歌は必要ないと断った。
中秋節は月餅を食べることが目的ではなく、家と家族があってこそ意味がある。
「他に何もなければこれで…」
長歌は自分の天幕に戻ることにしたが、その時、隼が引き止めた。
すると隼は長歌に夜明珠を贈る。
「あー知ってる!十里桃花で見たやつだ!」←とは言ってないw
「あの夜に見た蛍の光に似ていないか?
 伝えたかったんだ、大切なものは手元に留めておけると…
 たとえば家族のいる所は家、心が休まる所も家だ、草原でも団欒はできる」
「中原でも草原でも同じように太平と幸せが続くことを誰もが祈る、戦が起きないようにと…」
( ・∇・)え? ・・・・・ え?(・ω・ )
「贈り物をありがとう、戻るわ」

一方、弥弥は宿を出て灯籠が美しい市場を眺めていた。
そこへ穆金がやって来る。
穆金は銭袋を探している時にひとつだけ月餅を買っておいた。
喜んだ弥弥は2つに割ろうとしたが、穆金が慌てて止める。
「割ったらダメだ!割ると団欒ができなくなる、この地域の習わしなんだ」
そこで2人は仲良く交互に月餅をかじった。
「家が恋しいか?」
「…いいえ」
弥弥は幼い頃、草原の奴隷としてさらわれ、故郷のことは何も覚えていないという。
すると穆金は自分も牙帳(ガチョウ)で生まれた奴隷で故郷を知らないと教えた。
幼い頃、殺されかけたところを阿詩勒隼に救われ、その後、勇士に封じられた隼が自分を引き連れ鷹団に移ったという。
「そこが俺の家になった…弥弥、鷹師の幕営は良い所だ、いつか君も家だと思って欲しい」
弥弥は穆金の言葉に幸せを感じたが、ハッとして急につれなくした。
「もう遅いわ…先に戻って休んで」
「君も…明日は戻らないとな」

草原に戻った弥弥は長歌にうさぎの銭袋を2つ渡し、事情を説明した。
「なぜあの人も同じものを?」
「…以前、友だちにも作ったんだ」

長歌は楽嫣がなぜ雲州にいたのか分からず困惑した。
深窓の令嬢が市場で布を売っていたとは一体、何があったのか。
…絶対に楽嫣を探し出さなくては…

その頃、阿詩勒隼は涇(ケイ)州を落とした可汗からすぐ合流するよう命じられた。
穆金はあまりに突然だと驚いたが、そこへ李軍師が急用で雲州へ出かけたと報告が届く。
これは好都合だ。
そこで隼は穆金に出征の件を長歌には教えないよう釘を刺した。

つづく


(  ̄꒳ ̄)イールン、風邪ひくとか…もぉー





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最終更新日  2022.02.26 22:50:37
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