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2023.04.20
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驭鲛记之与君初相识 The Blue Whisper
第21話(最終話)

順徳仙姫(ジュントクセンキ)・汝菱(ジョリョウ)が北淵に出征。
仙師・寧清(ネイセイ)は汝菱が負けることはないと高をくくり、紀雲禾(ジーユンファ)と″かの者″が記した紀行文について論じていた。
しかし雲禾は注記の解釈が間違っていると指摘する。
「本を読む限り作者が描いているのは世を包む大きな愛と自由の美しさ
 注記はこれを″2人の小さな愛″と読み解いた」
「何が悪い?小さな愛は天地に称賛されず、取るに足らぬと?」
「そうではなく、注記を入れた者は作者の意図を誤解し、己の望む通り都合よく解釈しています」
その時、雲禾はほんのわずかだが仙師の動揺に気づいた。
「確かに面白い本ですが、仙師が日々、研究するに値するとは思えません
 もしや仙師は作者と何か関わりが?」
「かの者が記し、私が書写し、注記した」
「(…元本を惜しみ、書写までするなんて)
 注記は仙師の情の現れですか?愛しながらなぜ手放したのです?」
「ゆえに″天下のために弔う″のだ」
「この女子は世の全てと衆生を愛しています、でも仙師は…」
「はっ!汝菱?!…青羽鸞鳥(セイウランチョウ)か?!」
寧清は汝菱の異変を察知し、話の途中で姿を消した。
どうやら洛錦桑(ルオジンサン)のお手柄らしい。
すると雲禾は仙師が置いていった巻物を見つけた。
「″広物(コウブツ)集″?!…仙師が愛する女子は万花谷(バンカコク)と関わりが?!」

青姫(セイキ)にとって仙師府の弟子など相手にならなかった。
汝菱は追い詰められたが、その時、寧清が現れる。
「権勢を誇る仙師とはどこの尊い神仙かと思えば…寧清じゃないの?」
すると寧清は汝菱を鹿台山(ロクタイサン)へ送り返した。
「順徳の顔を見た時、真っ先にあなたを思い出したわ、愛した者を懐かしんでいるの?
 彼女が生きていれば今のあなたに愛想を尽かすわね」
「彼女は死んだ、私は代わってその余生を生き、四海八荒に彼女の弔いをさせる…」
「彼女は愛にあふれ非凡な女子だった、あなたの残忍な行いを許すはずがない」
「世の万物を愛しながら、その万物のせいで命を落としたのだ」
「あなたは私怨を晴らしたいだけ…私が彼女に代わり思い知らせてあげる!」
一方、万花谷の林昊青(リンコウセイ)は思語(シギョ)から青姫と仙師が北淵で争っていると報告を聞いた。
その隙に鮫人たちは鹿台山に迫っているという。
昊青はこの騒ぎを利用して雲禾を助けようと考え、瞿暁星(クギョウセイ)に留守を任せて出かけた。

汝菱は仙師の帰りを今か今かと待っていた。
「師父がこれほど長く仙師府を空けるなんて…」
その頃、従棘所(ジュウキョクショ)に及ぶ仙師の霊力が弱まり、結界が緩み始めた。
雲禾は小さな穴を開けることに成功、すると思いがけず洛洛が飛び込んで来る。
「雲禾!どれだけ心配していたか!」
2人は抱き合い再会を喜んだ。
洛洛は雪三月(セツサンゲツ)が入れてくれたと説明し、離殊(リシュ)も生きていると教える。
実は結界が弱まったのは青姫が仙師を誘き出してくれたからだった。
「そうだ、長意(チャンイー)が兵を率いて到着する、もうすぐ助かるわ」
「長意がここへ?…仙師の横暴は全て世をかき乱すのが目的、これも仙師の罠かも」
雲禾は長意が従棘所へ来なくてすむよう、洛洛に天君の令牌を託して罪仙たちを救出するよう頼んだ。
しかし自分が逃げれば順徳が気づいて仙師に伝わってしまうため、皆の安全を見届けてから脱出するという。
「鹿台山の麓で会おう、洛洛、これは北淵、天君、四海八荒の安寧に関わるの」
洛洛は不安だったが、必ず逃げるという雲禾の言葉を信じて出て行った。

雪三月は扮装して天君の令牌を示し、罪仙を裁くため天庭へ護送すると伝えた。
弟子は念のため山門まで付き添ったが、仙師が留守のため慎重を期して天庭まで同行するという。
「分かりました」
すると三月と洛洛はいきなり弟子たちに襲いかかって眠らせ、霊丹を取り戻して地仙たちに返した。
地仙たちは何が起こったのか分からず困惑していたが、洛洛は雲禾の指示だと教え、北へ向かうよう伝える。
しかし雲禾に恩がある姑獲鳥(コカクチョウ)たちは雲禾を置いて逃げるわけにいかないと拒んだ。
洛洛は雲禾の策が無駄になると訴え、雲禾を信じるなら従って欲しいと頼む。
「分かったわ、再会したら恩を返すと伝えて」
こうして地仙たちは皆、北淵に旅立った。

長意はかつて雲禾と一緒に人間界を見下ろした崖にいた。
そこへ離殊が駆けつけ、北淵軍を置きざりにして独りでいる総帥に呆れる。
「前は愛嬌があったが、ひどく冷淡になったな?以前のように…」
🦨<ぷぅ~!
「誰だ?!」
すると草むらから鼬鼠(イタチ)妖が現れた。
離殊は女ばかり追いかけて万花谷で捕まったイタチだと気づいたが、鼬鼠妖は今では紀護法一筋だという。
「紀雲禾?彼女はどこだ?」
「それが…俺たちを逃して従棘所に残ってる…」
離殊は驚いたが、その時、すでに長意は仙師府へ向かっていた。
「お~い!北淵軍はどうするんだ?!」

汝菱は誰かが天君の令牌を使って罪仙を逃したと知った。
すると弟子の1人が自分は鱗粉(リンプン)を浴びたと証言する。
汝菱は雲禾の仙侍が蝶だったと思い出し激怒、師匠のいないうちに始末すると決めた。

罪仙が逃亡し、従棘所はにわかに騒がしくなった。
雲禾は洛洛が成功したと気づき、いよいよ脱出するため隠魂針(インコンシン)を放って結界を破る。
その時、汝菱が弟子たちを連れて駆けつけた。
「やっておしまい!」
雲禾は九尾を出して呆気なく弟子を吹き飛ばしたが、天君との約束を守り、順徳が引き下がるなら見逃すと告げる。
しかし汝菱は無謀にも仙鞭を振り上げた。

雲禾は九尾と共に凄まじい霊力を発した。
しかしその大きな力と同じ反噬(ハンゼイ)に見舞われ、倒れてしまう。
汝菱はその隙に鞭を振り下ろしたが、雲禾は咄嗟に剣を招喚して鞭を巻きつけた。
鞭を引き合う雲禾と汝菱、その時、雲禾が急に剣を手放し、汝菱は反動でよろめいてしまう。
すると雲禾が鞭から放れた剣で汝菱に切り掛かり、かろうじて顔を傷つけた。
「ぁ…私の顔…そんな…ワナワナワナ…紀雲禾…殺してやる!」
激高した汝菱は短剣を招喚して襲いかかったが、突然、吹き飛ばされてしまう。
↓「あれええええ〜!」ドロンジョさまぁぁぁぁぁ〜!

その凄まじい力は長意だった。
「大尾巴魚(ダーウェイバーユー)…久しぶりね」
「紀雲禾、なんてぶざまな姿だ」

汝菱は弟子たちを必死に呼んだ。
しかし長意に縛られ、動けなくなってしまう。
「紀雲禾を殺していいのは私だけだ」
「私は仙姫、衆生の主よ!」
「衆生の主?四方をかく乱し、血で染めたのは誰だ?!」
長意はかつて海で救った命を返してもらうと言い捨て、火を放ってから雲禾を連れて脱出した。



長意と雲禾の前に姫成羽(キセイウ)たちが立ちふさがった。
そこで長意は空明(コウメイ)から預かった縫いぐるみを投げ渡す。
「師兄から伝言だ、愚かさに気づいて己の道を歩めとな」
姫成羽は長衣と雲禾を見逃し、仙姫を助けに向かった。

林昊青たちも鹿台山に到着した。
するとちょうど長意が雲禾を連れて逃げたと気づき、手を引くことにする。
しかし偵察に向かった弟子が戻り、従棘所から火が出て仙姫が中に取り残されていると聞いた。
昊青は咄嗟に判断、仙姫を救うため仙師府へ向かうと決める。
一方、雪三月と洛洛も長意が雲禾を救出したと分かった。
2人は長意たちを追って北淵に向かったが、待機していた北淵軍は判断を誤ってしまう。

狐王・卿玄(ケイゲン)と卿瑶(ケイヨウ)たちは長意がある御霊師を連れて脱出し、すでに仙友たちも解放されたと聞いた。
戦わずして目的を果たした北淵軍、しかし狐王は欲を出し、寧清が不在なら仙師府を攻めて仙姫を捕らえると決める。
その頃、姫成羽たちは激しい炎の海を前に躊躇していた。
すると林昊青が現れ、燃え盛る炎の中に飛び込んで仙姫を救う。
「急報を受けて駆けつけた」
「かたじけない、あとは任せて仙姫を外へ…」

長意は雲禾を思い出の崖に連れて来た。
しかし雲禾は林滄瀾(リンソウラン)と仙師の度重なる実験のせいで怪物になってしまったという。
「威力が大きいほど反発も激しくなる…余命はわずかなの」
すると長意は雲禾に贈った鮫珠(コウジュ)に自分の霊力を送り始めた。

林昊青は仙姫を抱き抱え、仙師府へ向かった。
その時、狐族が現れ、結界の中に閉じ込められてしまう。
「狐王か…卿舒(ケイショ)の兄だな?」
「万花谷とは少なからず縁がある、順徳を差し出せばそなたを見逃そう」
しかし昊青は断った。
「今は仙師の愛弟子に手を出すな、早く立ち去れっ!」
昊青の判断は正しかったが、浅はかな奇鋒(キホウ)に煽られた狐王は力づくで順徳を奪おうと迫る。
「皆の者かかれ!」
すると突然、結界を破って寧清が現れた。



寧清は顔に傷を負った汝菱の姿に衝撃を受けた。
「ちょうど新たな陣法を編み出したところだ…試してみよう」
すると寧清は狐族たちの霊丹を吸い込み始める。
「瑶R!私が決断を誤った!この責めは父が負わねばならぬ!長意に北淵は任せたと伝えよ!
 お前を長意に託せば、安心して逝ける!」
「父上!おやめください!」
狐王は霊丹を取り出し、自分の身を犠牲にして脱出した。



寧清は汝菱を傷つけた北淵軍へ恨みを募らせ、どんな代償を払っても誅殺するよう命じた。
しかし天君・汝鈞(ジョキン)が側近の雷沢(ライタク)と飛廉(ヒレン)を連れて駆けつけ、止める。
「早く姉の手当を」
すると林昊青は仙姫を連れて仙師府に向かった。



寧清は弟子たちに再び命を下したが、天君が許さなかった。
「そなたが姉の勝手を許したせいだ、その責任をよく考えよ、この件は私が処断する
 仙師がすべきことは己を顧みることだ」
「…私が強行すれば天君に阻止できますか?」
寧清は高圧的な態度で迫り、天君の前で掌(ショウ)を構える。
驚いた雷沢神君と飛廉神君は無礼だと憤慨したが、今回ばかりは汝鈞も引き下がらなかった。
「では重ねて言う、私に従うのだ」
すると菩提樹からついに先帝の法宝が解放され、汝鈞の手に仙令が飛んできた。
「寧清、まだ意地を通すか?まさか先帝さえも軽視すると?」
寧清は引き下がざるを得なくなり、屈辱に耐えて拝礼した。

仙師府の密室にある肖像画は令牌を手にした天君に怒り心頭だった。
…仙令が天君を認めた、何たることだ!もう耐えられぬ!誰も私を阻止できん!
…あらゆる者に思い知らせてやる!封印を破り身体を取り戻さねば!
…私こそが天地の主なのだ!

雲禾は長意が自分への復讐を誓いながら、なぜ助けたのか分からなかった。
「私はもうすぐ死ぬ…喜んでいいのよ」
「以前は君の命は万花谷のものだった、次は仙師府のものになったが、今日からは私のものだ
 私が死んでいいと言うまで生きなくてはならない」
「ずい分と横暴ね…でも忘れないで、私の命は私のもの、それはこれまでもこれからも変わらない」
「何を言おうと好きにはさせない」
長意はともかく雲禾を連れて北淵に戻ると言い出した。
驚いた雲禾はまだやり残したことがあると抵抗したが身体を動かす力がなく、長意に連れ去られてしまう。



…長意は困難を乗り越え、雲禾を救い出し、北淵へ戻った
…しかし雲禾に自由はない
…林滄瀾や順徳による蹂躙(ジュウリン)とは違った手段で、長意は裏切りの代償を求めようとしていた

後編へつづく


( ๑≧ꇴ≦)キィャァー!最終話は盛り上がったわ~!
不死身になったのかと思いきや結局、瀕死という意味不明な展開w
主要登場人物の素直率ゼロw
しかし咄嗟の判断ができる谷主を要する万花谷の未来は明るいか?株価上昇!
後半が楽しみ!…( ゚д゚)え?w





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最終更新日  2023.04.20 10:43:50
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