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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第21話「月明かりの告白」劉家村の夜、季曼(キマン)と寧鈺軒(ネイギョクケン)は村人たちが開いてくれた歓迎会で久しぶりに楽しい時間を過ごした。川辺に出た2人は互いの気持ちを確かめ合い、口づけを交わす。そんな2人を美しい月が見下ろしていた。翌朝、季曼と寧鈺軒は村人たちに見送られ、劉家村を去ることにした。しかし昨日、自分たちを邪険にしたあの老婆が険しい表情で睨んでいることに気づく。恐らく老婆は航海に出た男衆のことで不満があるのだろう。実は昨日、ある婦人から男衆が雲(ウン)州へ行ったと聞いたが、雲州との船の往来はなかった。予想通り老婆は航海に出た男衆が事件に巻き込まれ、すでに死んでいると絶望していた。そのせいで村人に変わり者扱いされていたが、ようやく寧鈺軒と季曼が話を聞いてくれるという。老婆には親孝行な息子・阿根(アコン)がいた。しかし″船に乗る″と文を残して出かけたまま何年経っても帰ってこないという。季曼は確かに船乗りなら1年に一度は帰れるはずだと首を傾げた。ある時、老婆は息子の消息を探すため港まで出かけたという。そこで偶然、阿根の首飾りをつけた男を見つけた。驚いた老婆は男に息子の消息を聞いたが、何も知らないと足蹴にされてしまう。「狼の牙の首飾りは亡き夫が自ら阿根の首にかけたんだ、見間違えるはずない!」寧鈺軒は他に気になることがないか確認した。すると老婆はこの村から海に出た男たちの中で、王錦堯(オウキンギョウ)の粥の施しの後に姿を消した者だけが誰も戻ってこないと訴えた。「私だって息子の死を信じたくない…どうか私の声をお役人に届けてくれないか?」「心配ない、私は海坊の県令だ、必ず調べる」寧鈺軒と季曼は県衙に戻った。これまで寧鈺軒もなぜ海賊が後を絶たないのか考えていたが、ようやく答えが見つかったという。狡猾な王錦堯は人の往来がない郊外の小さな村から男たちを集め、海賊として利用していたのだ。一方、千怜雪(センレイセキ)は自分の弱みを知った秦奕閑(シンエキカン)を避けていた。すると突然、皓雪堂(コウセツドウ)に秦奕閑が現れる。怜雪は500両なら必ず返すと約束したが、秦奕閑は友なら助け合うものだと優しかった。「何があったのか教えてくれないか、口は硬いぞ」「…これは家族の問題なの、恥をさらしたくない」「分かった、もう聞かぬ、でも助けが必要な時は頼ってくれ」聶青雲(ニェセイウン)は姉に陶思維(トウシイ)への想いを明かし、必ず振り向かせると意気込んだ。季曼は自分が姉ではないと明かせなかったが、悲しい最期を遂げた聶桑楡(ニェサンユー)の代わりに青雲を大事にしようと決める。それにしても聶桑楡と自分が見分けがつかないほそっくりなのはなぜだろうか。その頃、聶向遠(ニェキョウエン)は銭(ゼニ)家職から娘の桑楡が死んだと知らされた。埋葬した村人から話を聞いて確認したが、確かに聶桑楡が幼い頃から身につけていたあの玉佩が棺に納められていたという。聶向遠はあまりの衝撃で腰を抜かし、声を上げて泣いた。「幼い頃から独りぼっちが嫌いだった…こんな形で命を落とすとは…なんと不憫な…」すると家職以外にも最近、聶桑楡のことを聞き回っている者がいたという。一方、季銘(キメイ)は娘が海坊で見つかったと聞いて喜んでいた。袁朗は王錦堯に呼ばれて酔霄(スイショウ)楼にいた。王錦堯はもうすぐ中秋節のため、袁朗に贈り物を用意したという。「海坊の農事暦8月15日に年貢の銀子を積んだ船が都へ出航する」その意味を悟った袁朗は官兵の船など襲えないと驚いたが、王錦堯は襲うのはあくまで海賊だと笑った。実は長年、流民を海賊にして罪を着せ、片をつけて来たという。季曼は年貢の護送船に乗る寧鈺軒を心配し、帰海号から持って来たお守りを渡した。「触るだけで身を守れると聞いたわ、身につけて行ってね!」その頃、王錦堯は阿世(アセイ)と接触、もはや寧鈺軒は銀子と共に大海に消えゆく運命だと自信を見せた。「抜かりはありません、″快刀″をもって寧鈺軒を斬り捨てます」快刀とは蛟龍幇の新幇主・袁朗のことだった。「次は失望させないでくれよ」翌日、寧鈺軒が港へ到着すると、すでに荷を運び入れた王錦堯が待っていた。すると突然、第二夫人の温婉(オンエン)が現れ、壮行の支度をして待っていたという。その時、季曼と苜蓿(ムーシュ)がやって来た。「見送りはいらぬと言っただろう?」温婉は2人が話している間に準備をすると断り、勝手に船に乗り込んでしまう。「…策ならあると聞いたけれど、やっぱり不安で」寧鈺軒は懐にしまっていたお守りを見せ、心配無用だと笑った。「もう行くよ」しかし季曼は王錦堯が素直に寧鈺軒に協力するはずがないと怪しみ、やはり引き返して船に乗ってしまう。「苜蓿、ここからは別行動よ、何か見つけたら知らせて」苜蓿は侯爺の船室でまだ下船していない温婉を見つけた。「温姨娘、すぐ船を降りてください」そこへ寧鈺軒が現れた。温婉は航海中の相手になると申し出たが、寧鈺軒は苜蓿に第二夫人を連れて帰れと命じる。こうして温婉の計画はあっけなく失敗、苜蓿と船を降りたが、季曼はまだ船にいると知った。「私を出し抜いたのね!」「でもどちらを残すか決めたのは侯爺ですし…あ、出航しちゃいましたね」季曼は船底へ降りる階段でこぼれた油のしみを発見した。たどってみるとなぜか多くの油が船に積み込まれていると知る。「王錦堯は何を企んでいるの?」その頃、寧鈺軒はまさか季曼が乗船しているとは知らず、王錦堯と一局、手合わせしていた。石を打ちながら互いの腹を探る2人。そこで寧鈺軒は新幇主の袁朗が王錦堯の目に叶った経緯が気になると揺さぶった。「入港しようとした商船を襲ったのは海賊か、袁幇主の仕業か…おっと言葉が過ぎたかな」「私の耳に入った話では袁朗はかつて寧夫人と関わりがあったそうですね 夫人の知人が略奪などするはずないのでは?」「そう願っているよ」王錦堯は白石を打つと、その角は自分がもらうと笑った。しかし寧鈺軒が黒石を打ち、形勢が逆転してしまう。「勝敗はまだ決まっていない…ふっ」つづく╭( ・ㅂ・)و ̑̑ ムーシュのナイスアシスト
2024.04.27
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第20話「忠誠の証し」寧鈺軒(ネイギョクケン)は季曼(キマン)が自分で船を出し、軟膏の原料を安く仕入れていると聞いた。鬼白(キハク)の報告ではそれだけでなく、民のために薬材も一緒に仕入れているという。しかし陸上げの際には港の検査があり、検査人は王錦堯(オウキンギョウ)の息がかかっていた。すると鬼白が蛟龍(コウリュウ)幇も港に権限があると思い出す。そこで寧鈺軒はまだ新幇主となった袁朗(エンロウ)に挨拶していなかったと口実をつけ、港の様子を見に行くことにした。袁朗は海坊(カイホウ)港で配下たちと一緒に荷物の陸揚げで汗を流していた。すると寧鈺軒が袁朗の右腕にある包帯に目をつける。確か沈連成(シンレンセイ)の骸にあった茶幇の入れ墨もちょうど同じ場所にあった。寧鈺軒は他にも茶幇の残党がいるのかと聞いたが、袁朗は茶幇など知らないという。「なら潔白を証明してくれ」「いいだろう、だが入れ墨がなかったら二度と蛟龍幇の仲間にからむな」実は袁朗はあらかじめ右腕の入れ墨を自ら削り取っていた。包帯の下から現れたのは入れ墨でなく傷跡だけ。仕方なく寧鈺軒は丁重に謝罪して引き上げたが、どこか不自然だと怪しんだ。季曼は自分で仕入れた薬材を民のため安価で卸した。そのせいで海上貿易組合に入っている薬舗に客が来なくなり、店主たちはこのままではいずれ食糧にも手を出すはずだと王錦堯に泣きつく。そこで王錦堯は組合員たちを引き連れ、県令に訴え出た。組合は相場を安定させるため商品の価を決めているが、寧夫人は掟に従わず、安価な薬材を売って秩序を乱しているという。しかし寧鈺軒は組合が決めた価が妥当とは限らないと取り合わず、まっとうな運営手段を考えろと追い返した。王錦堯は水宴居(スイエンキョ)に袁朗を呼び出した。最近、組合を通さず荷を陸上げし、安価で市場に流している船があるという。袁朗は海賊の仕業と見せかけ船を襲えばいいと提案、王錦堯は喜んで袁朗を厚遇すると約束して帰した。実は王錦堯は袁朗と寧夫人が顔見知りと承知していた。「ふん、友人の船さえ襲ってこそ私に忠誠を誓う証しとなる」季曼は原料費を計算しながら、これなら非晩霜も値下げできると喜んでいた。そんな中、港で荷物を待っていた桑葚(ソウシン)が慌てて戻ってくる。「小姐、大変です!船が海賊に襲われました!」驚いた季曼は苜蓿(ムーシュ)を県衙に行かせたが、寧鈺軒は留守だった。仕方なく苜蓿と桑葚に他の店で在庫を探すよう頼み、季曼は袁朗を頼ることにする。その頃、寧鈺軒はちょうど別の船を襲った海賊を捕まえ、陶思維(トウシイ)と一緒に戻る途中だった。すると鬼白が駆けつけ、季曼の船まで海賊に襲われたという。袁朗は海賊を装って荷物を強奪、皓雪堂(コウセツドウ)の荷だけ別に保管し、季曼に返すことにした。その時、突然、季曼が訪ねてくる。「船が海賊に襲われて荷物を奪われたの!どこかに隠したはずよ?」焦った袁朗は店で待つよう言ったが、季曼は強引に袁朗を連れて行こうとした。すると咄嗟に趙虎(チョウコ)が怪しい船が何隻か着いて山に荷物を運んだらしいと嘘をつく。「俺たちは倉庫を探すから、老大は山へ行ってみたらどうだ?」季曼と袁朗は郊外の山間で偶然、小さな村を見つけた。どうやら流民が住み着いた村のようで、暮らし向きが苦しいことは見てすぐ分かる。「…私にできることはないかしら」一方、寧鈺軒は港で季曼の荷物を探していた。すると発荷主も着荷主も書いていない怪しい荷物を発見、肥料の中から紙包を発見する。寧鈺軒は季曼を呼んで荷を改めさせることにしたが、そこへ慌てて苜蓿と桑葚がやって来た。「侯爺!こちらでしたか!夫人が袁幇主と荷を探しに出かけました」「何だと?!」寧鈺軒と鬼白は馬を駆けて山の中を探した。すると運良く村から戻って来た季曼と袁朗を発見する。寧鈺軒は季曼の荷物なら見つかったと話し、袁朗が倉庫に隠したと疑った。「彼女の目を欺くために山へ連れてきたのか?」「確かに蛟龍幇は港の一部倉庫の管理を任されている、だが保管するだけで中身までは知らぬ」袁朗は嘘をついて真相を調べるとごまかしたが、季曼は見つかったのならそれで良いと笑った。荷が見つかったと聞いて袁朗は先に帰った。すると寧鈺軒は季曼に今後、袁朗と2人きりで会うなという。「嫉妬?」「…違う(ボソッ」「分かったわ、もうしない…それより大事な用があるの、付き合って」季曼は寧鈺軒と2人で流民の村に食べ物や衣を届けた。村人たちは喜んでくれたが、なぜか2人を疫病神だと嫌って追い返そうとする老婆が現れる。しかし村人は老婆を追い払い、気にしないで欲しいと取り繕った。その村は劉家村と呼ばれ、働き盛りの男たちの姿はなかった。聞けば男たちの大半は航海に出ており、乗った船も行き先も色々だという。一方、港へ戻った袁朗は王錦堯に盗んだ積荷を確認させていた。「寧夫人の荷物は寧鈺軒が探し回って持ち去った、荷を分けておいて正解だったな」すると袁朗は船員たちなら海に放り込んだと嘘をついた。王錦堯はすっかり袁朗を信じ、組合の息がかかった場所に出入りできる腰牌を渡す。「今後は家族も同然だ」その頃、寧鈺軒は慣れない力仕事で村人を助けていた。季曼のためとは言え散々な目に遭わされたが、村人たちに恩人だと感謝され、その夜は焚き火を囲んで歓迎会に参加する。寧鈺軒は楽しそうな季曼の姿を見ながら、ささやかな幸せは身近な所にあるのだと実感した。つづく
2024.04.27
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安乐传 The Legend Of Anle第27話韓燁(ハンイェ)は帝梓元(ディヅユアン)が今でも自分を気遣って皇太子府を訪ねてくれたと喜んだ。しかし靖南(セイナン)での出会いから都での再会まで全て計略だと知った今、その顔に笑顔はない。「思惑があると知りつつ、君を信じるがゆえ追及はしなかった… 私という駒はもう必要ないのか?使い道があるなら遠慮なく言ってくれ」「…今はただ謝罪を待っているだけです」「陛下は知らなかった、皇祖母の罪だった」「でも帝家に釈明の機会さえ与えなかった…父親が自害したのにそれでも一族を皆殺しにしたわ! 今なら殿下にも私のこの痛みが分かるでしょう?」「…梓元、君は独りではない、温朔(ウェンショウ)とは親しいだろう?君を慕っている 彼を実の弟だと思えばいい、少しは気が晴れる」梓元は韓燁のあまりに短絡的な慰めに落胆し、挨拶もせず帰って行った。一方、温朔も苑琴(エンキン)との久しぶりの再会を喜んでいた。しかし恩人である皇太子を裏切ることはできず、任(レン)府には頻繁に行けないと伝える。「殿下のそばにいてあげないと…」「あなたの恩人?確か殿下があなたに救われたと聞いたけど…」その時、梓元が出てきた。顔色が悪いところをみると、梓元と皇太子の怨讐は解けなかったのだろう。「安楽(アンルー)姐…久しぶりだね、元気だった?」温朔の声を聞くと梓元は自然と笑顔になった。「燼言(ジンイェン)が生きていたらあなたくらいの年ね… 私も本当の弟だと思ってる、暇があったら遊びに来てね」韓燁は院子から梓元の背中を見ていたが、結局、梓元は一度も振り返らずに馬車に乗った。安寧(アンニン)は冷北(ランベイ)の正体が北秦(ホクシン)の皇子だと知る由もなく、公務を任せて静養していた。おかげで心身も回復し政務に戻ったが、今回の一件で動揺が広がった所につけ込まれたのか、西北で北秦人による強奪が増えていると分かる。安寧は急ぎ国境の警護を厳しくすると決めたが、冷北はその前に計画を進める必要に迫られた。しかし帝家の娘が帝承恩(ディチォンエン)ではなく一筋縄ではいかない任安楽だったと分かり、姜瑜(キョウユ)も手をこまねいているという。「朝廷が動揺した今こそ好機だ、西北の警固が強化されたら計画が無駄になる! 私の計画を駄目にすればお前の命では償えぬぞ!」「殿下、焦りは禁物、まだ時期尚早です」姜瑜はさらに火種を炊きつける必要があると訴え、安寧を殺せず、帝家の配下も使えないのなら、朝廷を揺るがすしか方法がないという。「ともかく必ず殺す者がいる…」「任安楽か?」「帝家唯一の生き残りで策謀に長ける、我々になびかぬのなら始末せねば… 韓仲遠(カンチュウエン)に殺させれば禍根を断てる上、民は朝廷に反感を抱きます」そこで姜瑜は瑇(タイ)山に身代わりを送って君主を欺いた罪で帝梓元を断罪しようと思いついた。洛銘西(ルォミンシー)の期待通り人心を得た帝梓元は今や世に名高い帝盛天(テイセイテン)と並び称され、皇帝を非難する声が高まった。しかし近頃、翎湘楼(レイショウロウ)に現れる見慣れぬ書生たちが気にかかる。琳琅(リンロウ)は確か皇太后が崩御して2日後から来るようになったと気づいた。自分たちの預かり知らぬところで何かが動き始めたと感じる二人…。一方、皇帝は都での帝梓元の名声が高まったと知って怒り心頭だった。思えばこの10年、常に帝盛天の影に怯えてきたが、まさかその姪孫が朝廷で騒ぎを起こすとは予想だにしなかった。「このままでは本当に帝梓元が第二の帝盛天になりかねん! 朕の地位を脅かす者は決して許さぬ…何人であろうと皇位に手はかけさせぬ!」そこで皇帝は洛銘西を呼ぶよう命じた。洛銘西は韓仲遠が皇帝として正義を示さねばならないとしても、文武百官の前で面目を潰され、皇太后まで死に追いやられた怒りを受け止める者が必要だと分かっていた。「梓元のため、この役目は私が務める、琳琅、私が戻らぬ場合の処置は分かるな?」「大人がお出かけの後、店を閉めます…お戻りにならない時は千月閣を全て帝小姐に託します」「それでいい」琳琅は想い人を引き止めることも叶わず、ひとしきり琴を奏でていた。洛銘西は帝家の名誉回復に便宜を図るため帰順したと認めた。梓元と幼なじみだった縁で靖安(セイアン)侯から世話を頼まれていたという洛銘西、そこで身代わりを立てることで帝家の血筋を後世に残そうと考えたという。しかし皇帝は当時まだ10代だった洛銘西が単独で動いたとは思えず、誰と共謀したのか白状するよう迫った。「何を隠している?!」「私一人の考えでした、おとがめとあらば死罪になる覚悟です」韓燁は洛銘西が皇帝の勅命で罷免され、投獄されたと聞いた。「梓元の身代わりを立てた件だな…」身分を偽るのは紛れもなく君主を欺く大罪、韓燁は洛銘西が梓元を守るため、独りで全て背負うつもりだと気づいた。吉利(キツリ)の報告では巷でこの件に非難の声が上がっているという。「何者かが朝廷を撹乱しようとしているな」すると温朔がふいにおかしい話だと訴えた。「殿下、帝家の謀反が濡れ衣なら安楽姐だって逆賊の娘じゃない 瑇山に行かなかったとしても罪ではないでしょう?」「…その通りだ、その点を訴えて洛銘西を救おう」韓燁は刑部大牢の洛銘西を訪ねた。すでに拷問で傷だらけの洛銘西、そこで韓燁はせめてもの償いに傷薬を塗ったが、あっという間に薬瓶は空になってしまう。「梓元のためにここまで…」「殿下こそ、梓元の素性を証言してくれた、幸い殿下は陛下と違う」「だが梓元を守れなかった、10年前も10年後の今も… もはやこの件は帝家ではなく靖国の問題だ、必ず出してやる」韓燁は薬を届けると約束し、ひとまず牢をあとにした。韓燁が刑部を出ると梓元が立っていた。梓元が来ると分かってた韓燁はすでに獄卒に話をつけてあるという。「会って来い…洛銘西の投獄は陛下の過ちだ、釈放するよう説得する、ただこの件は複雑だ」「複雑?明解この上ないわ、これは陛下の報復よ」「信じてくれ、必ず洛銘西を救い出し、君たちの無念を晴らす」「はお」梓元は話を切り上げて刑部に入ろうとしたが、ふと韓燁が引き止めた。「梓元…君がくれた扇子の書は別れの詩から選んだものだった、それが君の本心なのか?」しかし梓元は振り向かずに答えた。「天下に真相も明かされぬまま、私があなたと情を語れると思う?」洛銘西は梓元を心配させまいと笑顔を見せた。しかし梓元は病弱な洛銘西の身体で拷問が耐えられないと分かっている。「これぐらい平気さ、何も後悔はない」洛銘西は刑具に耐えられるよう薬も準備してきたと笑いながら、韓仲遠の目的は梓元の味方を排除することだと言った。「私のことはいい、君は自分の足場を固めろ」「ここで死ぬつもり?!この10年間、助け合ってきたのよ?他の全てを捨ててもあなたを救う」洛銘西の投獄はかえって皇帝を追い詰める結果になった。民衆は皇太后の断罪もしないうちに忠臣の洛銘西を投獄したと不満を募らせ、重陽門にはひざまずく書生たちが日に日に増えている。苑琴は暴動が起きそうな勢いだと報告したが、梓元はすでに大理寺の黄浦(コウホ)を向かわせていた。どちらにしても10年も守った皇位は簡単には揺るがないだろう。「もう待てない、帝家の件は今日中にけりをつけるわ」その頃、韓燁は嵐清(ランセイ)殿でひざまずいていた。皇帝はようやく顔を見せた皇太子に不満げだったが、洛銘西の命乞いに来たと分かっている。「洛銘西は獄中で拷問を受け、命の危機にあります、そろそろ釈放してはいかがですか? …刑に処さぬのは放すおつもりだからでしょう?」韓燁は洛銘西の行いは罪でななく、むしろ韓家の負い目を軽くしてくれたと訴えた。実は重陽門で相変わらず帝家潔白の勅命を請う者が後を立たないという。「まだ騒いでいるのか?!くだらぬ噂を真に受けおって!」「陛下、民が勅命を求めるのは陛下が正義を示されると信じているからです 靖国と陛下を信頼していればこそです!」つづく(  ̄꒳ ̄)こう見えて洛銘西は…身体が弱いのですw
2024.04.25
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安乐传 The Legend Of Anle第26話帝(ディ)家軍の殲滅を画策した黒幕は皇太后・孫瑜君(ソンユクン)だった。これも全て息子の玉座を盤石にするためだったが、その親心はかえって嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)の自尊心を傷つけてしまう。「母后…もしや朕では帝永寧(ディエイネイ)と帝家軍を御せぬと思われたのですか? 朕を侮っておられたのか?帝永寧には及ばぬと!…もう何もしないでください」皇帝は全て自分で片をつけると決めて霊廟にこもった。すると憔悴する孫瑜君のもとに思いがけず帝盛天(ディセイテン)から密書が届く。「本日、子の刻、伏翎(フクレイ)山にて…」…孫瑜君は帝家の権勢を恐れ、密かに帝盛天を訪ねて懇願した『息子から太子の座を奪わないで欲しい』『考え過ぎよ』『孫家の全財産を投じて帝家の損失を補ってもいい、その代わり都から去って欲しいの』『私の望みは天下が安らかになることのみ、どちらにせよまもなく靖南(セイナン)へ帰るわ 太子の座も韓子安(ハンシアン)も奪う気はない』すると帝盛天は席を立ってしまう…あの時、帝盛天はそう言ったが約束は破られた。孫瑜君は先帝を看取ったのが自分でも皇太子でもなく帝盛天だったという事実を受け入れられず、憎しみが込み上げる。「帝盛天、私たちにはケリをつけるべき事がまだ残っている…」( ๑≧ꇴ≦)エェェェェェッ!帝盛天って女だったのかーい!その夜、任(レン)府では身分を取り戻した帝梓元(ディヅユアン)が洛銘西(ルォミンシー)、苑琴(エンキン)、苑書(エンショ)と祝杯をあげていた。しかし梓元はなぜか浮かない顔をしている。「無事に本懐を遂げた今、進むべき道を失ってしまったわ」「小姐、化縁(ケエン)山に現れた前当主を訪ねてはどうですか?」「姑祖母は長年にわたり俗世を離れていた、お考えがあるはずだから邪魔はしない」すると洛銘西はこの先も自分が一緒にいると励ました。私も!>٩(*´ᗜ`)ㅅ(ˊᗜˋ*)و<私も!( ๑≧ꇴ≦)エエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!祖母かと思ったらパパのおばさんなのかーい!その頃、伏翎山では孫瑜君と帝盛天がついに因縁あいまみえた。孫瑜君は約束を違えた帝盛天への怒りが再燃、これまでの鬱憤を爆発させる。「あなたは先帝と袂を分かつと約束しながら変わらずそばに居続けた 金鑾(キンラン)殿で先帝と政を論じ、御書房では共に奏書に目を通した 挙げ句の果てに梅花庵を2人の居所にしたわ、私の息子まで連れてね! 私の居場所は先帝のいない静心堂だけだった!」帝家が取り潰された時、すでに遊歴していた帝盛天はようやく孫瑜君が自分への醜い嫉妬で帝家軍8万を虐殺したと知った。「韓子安はあなたと息子のために生涯を費やし、豊かで安定した国を残したのに… 建国した翌年、韓子安は死期を迎えた、私が靖南へ帰る前に別れを告げに行った時よ 御書房で倒れている韓子安の姿を見つけ、ようやく残された命は3ヶ月だと知ったわ 建国直後で北秦(ホクシン)と東騫(トウケン)に狙われている時に皇帝が死ぬわけにはいかなかった やむなく私は都に残り、力を尽くして治療を施し、何とか3年、生き長らえさせた」何も知らなかった孫瑜君は呆然、妻である自分には何も話してくれなかったと訴える。帝盛天は多くの諸侯や各国の刺客を欺くためには妻をも欺くしかなかったと説明、自分たちは知己であり、やましいことは何もないと断言した。しかし気位の高い孫瑜君はかえって夫と帝盛天に蔑ろにされたと憎しみを募らせてしまう。「そもそも私が玉座を欲していたなら帝家が得るべき土地を譲ったりしなかった 孫瑜君、ここまで言っても分からないの?」「帝家が権力を握ったままではいずれ国は分裂していたわ、あなたにその気がなくてもね 私は息子のため、靖国と天下太平のためなら死んでも悔いはない!」孫瑜君は事実を知っても己の選択を正当化し、帰ってしまう。安寧(アンニン)は静心堂の前で皇祖母への不孝を謝罪し、公主府へ戻った。冷北(ランベイ)は今こそ公主の警戒心を解く好機だと考え、家族より正義を選んだ公主を勇敢だと称賛する。「いいえ、10年前の埋め合わせをしただけよ…だけど皇祖母に申し訳が立たない 幼かった私によくしてくれたのに…」「でも太后は二度と嘘をつく必要がなくなりました、しばらく公務は私に任せて休んでください」↓弱っている所を狙うなんてエグいわ___やがて都は激しい雨となった。化けの皮が剥がれた帝承恩(ディチォンエン)は初めて靖安(セイアン)侯府を訪ね、結局、どんなに努力しても帝梓元になれなかったと嘆く。「私のものにならないのなら、束の間の幻想なんて抱かせないで…」びしょ濡れになりながら泣き崩れる帝承恩、そこへ慕青(ムーチン)が駆けつけた。「一緒に帰ろう」「来ないで!私はしょせん身代わりなのよ!」「私はこの命を捧げると約束した、決して離れない…君は私が一生を懸けて守りたい人だ!」帝承恩は確かに全てを失ったが、慕青という大切な家族だけは残った。静心堂に戻った孫瑜君は先帝の絵姿に叩頭して別れを告げた。…先帝、あなたはその胸に大志を抱き、花盛りだった私のこともろくに愛でなかった、でも感謝しています、形だけでも皇后でいさせてくれた、ただ孫家が由緒ある家柄だと忘れていたのね、この孫瑜君は誰にも劣ったことはない、あなたが見ようとしなかっただけよ…皇太后は首を吊って自決した。翌朝、皇帝は母の亡骸と対面、遺書を受け取る。…韓仲遠、負けたのは帝家の帝盛天と帝梓元であり、あなたは勝った、そして私も勝った、私が人生で最も気にかけた人は先帝だと帝盛天は思っている、私が先帝のために帝家を滅ぼしたのだと、そうではない、あなたのためよ、唯一の息子だもの…皇太后は靖国を治めるのは韓家であり、民にも何も恥じることはないと断言し、自ら責任を取った。一方、冷北は姜瑜(キョウユ)と接触した。姜瑜は帝承恩を利用して西北に残る帝家の配下に招集をかけていたが、替え玉だったと知られては駒になりえないという。「帝家の配下の耳に入らないうちに事を起こすのが得策です」すると冷北は青南城における新たな防衛配置図を渡した。姜瑜はどうやら皇子がすっかり安寧公主の心を掌握したと気づき、一刻も早く始末するよう進言する。しかし冷北は拒否した。「今も兵権を握るのは公主だ、その上、長く青南城を守っていたため、名声が高い 公主を利用して青南城を落とす」韓燁(ハンイェ)は皇祖母の通夜を終えて太子府に戻った。温朔(ウェンショウ)は3日も飲まず食わずの皇太子を心配して手料理を振る舞うと話したが、うっかり口を滑らせ″安楽(アンルー)″の名を出してしまう。「あ…殿下、安楽姐を恨んでいますか?」「10年前に決まっていた結末だ、恨むものか…」韓燁は疲れた様子で門の敷居をまたいだが、驚いたことに院子で梓元が待っていた。つづく( ๑≧ꇴ≦)えー!勝手に帝盛天はお祖父ちゃんだと思ってた!なるほどね~安楽が「先帝と帝盛天のような関係はもうない」って言ったのはこういうことだったのか〜って早く言ってよ!いや言ってたの?( ̄▽ ̄;)どなたか教えてくださいw
2024.04.24
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第19話「灯籠祭りの恋のさや当て」袁朗(エンロウ)の提案で非晩霜(ヒバンソウ)を夜店で売ることにした季曼(キマン)。軟膏はすぐ完売し、明日の皓雪堂(コウセツドウ)の再開にも期待が持てた。袁朗は季曼と灯籠祭りで賑わう街を歩きながら、この機に告白しようと決意、花束を贈ることにする。「袁大哥、もらえないわ…もしかして私のことを?」「ぶははは〜!俺たちは兄弟分だろう?!本気にするな〜」「やだ~びっくりした!」袁朗は季曼の戸惑う様子を見て咄嗟に冗談だとごまかし、2人で灯籠流しに行こうと思いついた。しかし運悪く季曼を探し回っていた寧鈺軒(ネイギョクケン)が現れる。「偶然だな、一緒に歩こう」一方、衣装を着替えた水娘子(スイニャンズー)こと水亦清(スイイーチン)はちょうど灯籠を買っていた。灯籠には想い人である″鬼白(キハク)″の名を添えて流したが、当の本人は相変わらず公務に徹している。「上巳節に誰かと一緒にいるのは初めてよ、家を出てから節句の日はいつも宴席に出ていたから… あなたはどう?楽しい?」ʕ•̀ω•́ʔ✧<鬼白に節句などない!水娘子は上巳節という特別な夜にも無愛想で仏頂面の鬼白に呆れ、変顔を見せて笑わせることにした。すると鬼白はこらえきれず、ついに吹き出してしまう。「ふふ、笑った方が素敵なのに」その頃、思いがけず3人で祭り見物を始めた季曼たちは、輪投げで商品の灯籠を取ることにした。寧鈺軒と袁朗は一番遠くにある大灯籠を獲得して季曼の観心を買おうとしたが、どちらも見事に外してしまう。2人の板挟みに困惑する季曼、その時、苜蓿(ムーシュ)が息急き切ってやって来た。「夫人!大変です!倉庫に火が!」同じ頃、見つめ合う水娘子と鬼白は自然と顔と顔が近づいて行った。しかし突然、官兵が駆けつける。「火事です!」皓雪堂の倉庫が火事になった。駆けつけた季曼たちは必死に水をまいていたが、その様子を温婉(オンエン)の侍女・檀香(ダンコウ)が盗み見ている。実は温婉は灯籠祭りで寧鈺軒と聶桑楡(ニェサンユー)が一緒にいるところを目撃、激しい嫉妬に駆られた。…子供の頃から寧鈺軒だけを慕って来た、一緒に灯籠を流したいと願ってきたわ、なぜこんな目に遭わされなければならないの?…『檀香、頼んだわ』寧鈺軒が目を覚ますと季曼が付き添っていた。「あなたは気を失ったのよ?安心して、もう火は消えたわ」季曼は誰かの仕業だと気づいていたが、事故だと思うしかないという。「これだけでは済まないかも…」「何を企んでいようと一網打尽にしてやる!」すると季曼は火が苦手な寧鈺軒に迷惑をかけたと謝罪した。寧府の厨房で火事になった時、湯殿で気を失った寧鈺軒を助けて気がついたという。「そなただったのか、ありがとう」「なぜ火が怖いの?」しかし寧鈺軒は過去の悲劇的な体験を明かす事ができなかった。季曼はあえて追及しなかったが、寧鈺軒は季曼が現れてから自分もすっかり変わったという。「我ながら火を消そうとするとは…ありがとう、そなたのおかげだ」「そんなことを言ったら本当の夫人に怒られるわよ?」「それが…聶桑楡はもう死んだ」寧鈺軒は聶桑楡の消息を追っていた配下から報告を受けていた。川沿いを探していたところ、ある農民が岸に流れ着いた女子の骸を埋葬したと聞いたという。そこで墓を開けて確認したところ、骸の衣と玉佩は大夫人の物だった。寧鈺軒は5歳の頃から感情を押し殺して生きてきたと明かした。聶桑楡の死にも責任を感じていたが、二度と過ちを犯したくないという。「私は…そうだ、まだ間に合うな」すると寧鈺軒は季曼に顔を洗って着替えるよう急かした。一方、鬼白は火傷した水娘子を介抱していた。「これからは危険な真似はしないでくれ、私が君を守る」しかし水娘子は自分たちの夢である店を守ろうと必死だったという。「傷が残って稼げなくなっても…」「私がいる!…私が天下を回って名医を探し出し、治してみせる」「もし治らなかったら?」「その時は私が一生、君の手足となって働くよ」「でも寧大人と私、一方を選べと言われたらどうするの?」「もちろん!…」(ˇ꒳ˇ *)<ふふっʕ•̀ω•́ʔ✧<だーれん!( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)はい?その頃、寧鈺軒は季曼を連れて街に飛び出し、2人で灯籠を流していた。…季曼、来年はそなたのために大灯籠をともすよ…水宴居で泥酔した千怜雪(センレイセツ)は酷い二日酔いで目を覚ました。すると机に500両が置いてある。怜雪は弟にこれが最後だと文を書き、二度と力になれないと釘を刺しておいた。皓雪堂は再開したが、客足は戻らなかった。その様子を向かいの店で眺めながらほくそ笑む温婉、どうやら蓮香(レンコウ)の騒ぎは想像以上の成果を上げたらしい。「あの女の思い通りにさせるものですか」寧鈺軒は店が暇だと知って季曼を街に連れ出した。そこで他の商いを参考にしようと提案したが、有名店ではなく、その前にある露店の茶屋に入る。露店では人参より安いが効能が似ている絞股藍(コウコラン)を出していた。「金持ちは人参を買えますが、貧しい民は絞股藍を選びますからね」すると季曼は深窓の令嬢相手ではなく、誰もが気軽に買える化粧品が必要だと気づいた。季曼は新たに万民に喜ばれる軟膏を考え、早速、薬材を買いに出かけた。しかし原料が高騰、とても手が出ない。苜蓿と桑葚(ソウシン)が手分けして街の店を調べ歩いたが、どの店も同じ価だった。中には価が3倍に跳ね上がっている薬材もあったという。「どういうこと?白芨粉(ハクキュウコ)が真珠粉なみの値段なんて…」何でも海が荒れて入荷できず、組合の決まりで一斉に値上げになったらしい。しかし薬材舗で途方に暮れている母子を見た季曼は銀子を全て恵んでしまう。「荷が入らないなんて口実だわ、何とかしなくちゃ…はっ!そうだ!」つづく(;゚Д゚)温婉、子供の頃から好きだったって…やっぱり計画的に嫁いだのね
2024.04.23
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第18話「私たちの夢」季曼(キマン)を手放したくない寧鈺軒(ネイギョクケン)は県令の立場を利用し、帰海(キカイ)号を修繕するという名目で乗組員全員を下船させた。しかし季曼は県衙に帰らず、苜蓿(ムーシュ)と桑葚(ソウシン)を連れて皓雪堂(コウセツドウ)へ行ってしまう。すると店内はすでに片付けが済んでいた。苜蓿は侯爺のおかげだと気づいたが、慌てて口をつぐむ。一方、寧鈺軒は腹を満たせば眠くなって季曼が戻って来ると考えた。そこで鬼白(キハク)に夜食を買いに行かせたが、差し入れを届けても季曼の対応は冷たい。「私に会いたくなければ県衙は単なる宿だと思えばいいだろう?」「ここで食べて寝るわ、どうぞお構いなく」結局、季曼たちはその夜、店の床で雑魚寝した。寧鈺軒は夜更けにこっそり様子を見に来たが、3人を起こさないようそっと掛け布を直し、慌てて去って行く。実はその後ろ姿を季曼が見ていた。翌日、季曼は水宴居(スイエンキョ)に出かけることにした。街は上巳節を前に人出が多くにぎやか、桑葚の話では黄帝(コウテイ)の誕辰を祝って盛大な灯籠祭りが開かれるという。「殿方が想い人に灯籠を贈るんです、一緒に灯籠に火をともせば天の加護で幸せになれるんですよ」水娘子(スイニャンズー)こと水亦清(スイイーチン)は聶桑楡(ニェサンユー)に罪を着せてしまったことを謝罪した。しかし季曼は水娘子の証言で疑いが晴れたと感謝し、水娘子にだけ自分の正体を明かす。ただ聶桑楡として二品誥命(コクメイ)夫人に封じられた手前、公表できないという。水娘子は口外しないと約束し、2人のわだかまりも解けた。そこで季曼は水娘子に皓雪堂の番頭になって欲しいと頼んだが、水娘子は住む世界が違うと困惑する。「海坊(カイホウ)という土地はとても狭い…結局、男たちに頼るしかないの 来たばかりの頃は私もささやかながら幸せに暮らせると思っていた 本当は静かな場所を見つけて暮らしたい、好きな人だけに歌を聴かせてね」「人は誰でも自分の人生を選ぶ権利がある、決められた一生に甘んじたりしないで わずか数十年の命、自分が好きなことを追い求めても良いはずよ?」季曼は水娘子の手を握りしめ、一緒に夢を叶えたいと訴えた。一方、蛟龍(コウリュウ)幇は沈連成(シンレンセイ)の死後、内部闘争と新幇主選びが始まった。袁朗(エンロウ)はのさばる悪人を海坊から追い出し人心を掌握、茶幇の残党たちの後押しもあり、新幇主の座を手に入れる。焦った王錦堯(オウキンギョウ)は袁朗を懐柔しようと水宴居に呼びつけたが、杞憂に終わった。袁朗は蛟龍幇を立て直し、寧鈺軒の支配から脱したいという。「蛟龍幇と海上貿易組合は海坊の2大勢力、この袁朗、王老板と手を組みます」ちょうど同じ頃、季曼も千怜雪(センレイセキ)を連れて水娘子を訪ねていた。店の再開を決めた季曼は番頭に水娘子を迎え、帳場担当の怜雪と3人で店の株を分配する。「力を合わせてもっと店を大きくしましょう!」回廊では苜蓿と桑葚が控えていた。桑葚は小姐がなぜ小さな店1つにこだわるのか分からなかったが、苜蓿は季曼にとって皓雪堂は命も同然だという。しかし桑葚の話では季曼はすでに1000の店を経営し、配下に差配を任せて莫大な利益を得ていた。その時、王錦堯と話を終えた袁朗が通りかかる。「桑葚か、どうしてここに?」「実は小姐が中に…ぁ!」苜蓿は慌てて桑葚の話を遮り、桑葚を新しい侍女だと紹介してごまかした。焦った桑葚は話せば長くなると断り、袁朗もそれ以上は追及しないで先を急ぐ。すると回廊を曲がったところで苜蓿と桑葚の声が聞こえてきた。<何も言っちゃダメ!<でも″季曼″とは言ってない!<しーっ!袁朗は聶桑楡が季曼だと確信した。腹心の趙龍(チョウリュウ)と趙虎(チョウコ)は意味が分からず混乱したが、袁朗は実は聶桑楡と季曼が姉妹だと明かす。だとしても本物の聶桑楡はどこへ消えたのか。袁朗は捜索の手配を命じ、季曼の正体を決して口外しないよう釘を刺した。「我らも知らないふりを通し密かに守る、小妹の安全のためだ」…聶桑楡が季曼なら寧鈺軒の妻でもなく、2人の間に愛情もない、どうやら私にもまだ機会があるようだ…海坊で新しい生活を始めた千怜雪、しかし不肖の弟からの金の無心が続いた。しかも今度は賭場で作った借金が500両にもかさんだという。「どうやって工面しろっていうの?」すると聶青雲(ニェセイウン)が現れ、一緒に灯籠祭りへ行こうと誘った。怜雪は想い人の陶思維(トウシイ)を誘うよう勧めたが、青雲は突き放されてしまったとぼやく。「あきらめちゃダメ、友だちとしてなら気軽に誘えるでしょう?」「うまく行くかな?…試してみる!」一方、県衙では寧鈺軒がちょうど鬼白に街の警備を確認していた。鬼白はすでに手配を済ませ、人手を増やしたと報告する。そこへめかしこんだ温婉が現れ、灯籠祭りの見物に連れて行って欲しいと懇願した。しかし寧鈺軒は公務があるため1人で行くよう伝え、逃げるように出かけてしまう。明日の皓雪堂の再開を前に季曼たちは準備に忙しかった。すると袁朗が駆けつけ、灯籠祭りへ行こうと誘う。季曼はまだやることがあると断ったが、袁朗は試しに祭りで商品を売ってみてはどうかと提案した。水宴居に来た秦奕閑(シンエキカン)は水娘子が灯籠祭りのためいないと知り落胆した。すると偶然、酔っぱらって給仕に絡んでいる千怜雪を見つける。そこで個室を取って自分のツケで飲めばいいと安心させて帰ることにしたが、急に怜雪が抱きついて引き止めた。「あなたの好きな歌をうたう、舞だって踊るわ…洗濯や料理だってやる…大金が必要なの…」驚いた秦奕閑は困っているなら力になると言ったが、怜雪は理由を明かせないと言った。「ただ銭が必要なだけ…銭がいるの」聶青雲は灯籠祭りに来ていた陶思維を見つけた。そこで一緒に灯籠を流したいと頼んだが、陶思維は軍営に戻らねばならないとごまかして慌てて行ってしまう。青雲はこっそり陶思維を尾行、すると陶思維が独りで灯籠を流して帰って行くのを見た。傷ついた青雲は陶思維が誰のために灯籠を流したのか気になって確認に向かったが、思いがけず″聶″と書いてある。「聶?陶大哥ったら、私を想ってくれていたのね…」↓すごい誤解w水娘子は舞を披露して灯籠祭りに花を添えた。すると群衆の中にいる鬼白に気づく。水娘子は鬼白と灯籠を流せると期待したが、舞台が終わっても鬼白はただ黙って自分のあとをついて来るだけだった。「なぜつけ回すの?」「水娘子の周りには人だかりができて危ない、灯籠祭りが安全に終わるよう務めを果たす」「人だかり?どこに?あなたしかいないわ…向こうで灯籠を流すの、じゃあね」「…水娘子!」水娘子は鬼白に引き止められ、喜んで振り返ったが、予想外の言葉を聞いた。「その衣は着替えた方がいい」つづく( ๑≧ꇴ≦)侯爺wwwww
2024.04.22
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第18話「命を賭けて守る」鬼白(キハク)は水娘子(スイニャンズー)こと水亦清(スイイーチン)の代わりに初めて酒を飲み、酔い潰れた。水娘子は鬼白を居所で介抱したが、実は鬼白がずっと自分を見張っていたと知っている。「主に何か調べろと命じられたのね、でも別の理由もあるでしょう?私を守ってくれたのね ふふ、どこへ行ってもあなたのその染みついた血の臭いで分かったわ…(はっ!)臭い?!」寧鈺軒(ネイギョクケン)は季曼(キマン)を守るため監房に張り付いていた。そろそろ遠く離れた都にも二品誥命(コクメイ)夫人・聶桑楡(ニェサンユー)が関わる大事件が伝わる頃だろう。「黒幕はこの機に私たちを潰すつもりだ」季曼はようやく実は牢の中にいるのが最も安然なのだと分かった。「ずっと私を守ってくれていたのね…ありがとう」一方、賭場を調べさせていた袁朗(エンロウ)は季曼の玉佩を盗んだのが沈連成(シンレンセイ)の手下・阿強(アキョウ)だと突き止めた。亡骸の第一発見者である水娘子は聶桑楡が犯人なら白粉の匂いが残っていたはずだと気づいた。そこで寧鈺軒を呼び、蓮香の部屋に入った時、嗅いだことのない臭いがしたと明かす。「最初は何の臭いか分からなかったの でも先日、港へ行った時、蛟龍幇(コウリュウホウ)の船乗りと同じ臭いがしたわ」蛟龍幇の幇主・沈連成(シンレンセイ)は檀(タン)王の庇護の下、悪事を重ねて来た。しかし失態続きで見放され、今や従う者も少ない。黄漢(コウカン)たちはこれを機に茶幇(チャホウ)を復活させ、阿狼(アロウ)に付き従うと決めた。寧鈺軒は水宴居に蛟龍幇を誘き出すため、水娘子が刺客の顔を見たらしいと噂を流した。するとその夜、追い詰められた沈連成たちが現れ、水娘子に襲いかかる。控えていた鬼白は部屋に飛び込み応戦、水娘子の盾となった。「守ると約束した、命を懸ける…」負傷しながらもたった独りで立ち向かう鬼白、やがて応援が駆けつけてくれたが、沈連成たちに逃げられてしまう。一方、袁朗は水宴居を襲った沈連成が手下と県衙へ向かったと聞いた。「まずい!」その頃、寧鈺軒も牢から季曼を出して母屋に帰していた。「今夜、決着がつく、それまでどこかに隠れてくれ、物音がしても決して出てくるな、いいな?」沈連成は今夜こそ寧鈺軒の首を取ると決意、配下を引き連れ県衙に押し入った。すでに本堂で待ち構えていた寧鈺軒は逃げ道を封じて包囲、官兵たちが一斉に襲いかかる。季曼は母屋まで届く激しい剣戟の音に気づき、矢も盾もたまらず飛び出した。寧鈺軒は沈連成と剣を交えていたが、配下が放った暗器が腕に刺さった。すると毒のせいで立ちくらみを起こし、沈連成から何度も投げ飛ばされてしまう。そこへ突然、季曼が飛び込んで来た。「寧鈺軒!どうしたの?!私はどこにも行かない、死ぬ時は一緒よ!」寧鈺軒は季曼を守るため咄嗟に盾となったが、駆けつけた袁朗が沈連成を一撃で仕留めた。袁朗は寧鈺軒を抱きしめる季曼を見て寧鈺軒には手を下せなかった。趙龍(チョウリュウ)と趙虎(チョウコ)は袁朗が寧鈺軒に情けをかけたと勘ぐったが、袁朗は季曼を巻き込む危険性があったと否定する。「茶幇と寧家の恨みは解けない、寧鈺軒に情けなどかけない」翌朝、寧鈺軒が目を覚ますと季曼の姿はなかった。すると鬼白が駆けつけ、夫人がずっと介抱していたと教える。「今はお休み中です」「ならいいんだ、よかった…」鬼白の報告では沈連成の手下が全て白状し、蓮香の事件だけでなく、荒れ廟での流民の虐殺も認めたという。実は寧鈺軒は沈連成の敗れた袖からのぞく茶幇の入れ墨に気づいていた。「蛟龍幇の中に茶幇の者がいないか確かめろ、それにしてもなぜ袁朗が急に現れたんだ?」どうやら思った以上に海坊の闇は深いらしい。そこへ季曼が汁物の差し入れにやって来た。「医者が養生すれば元気になると言っていたわ…だからもう行くわね」寧鈺軒が安心したのも束の間、季曼はもはや聶桑楡でも寧鈺軒の妻でもないと言って出て行ってしまう。季曼は侍女の苜蓿(ムーシュ)だけ連れて県衙を出た。「これからは夫人ではなく小姐と呼んでね、とにかく帰海(キカイ)号へ行きましょう」そこで2人は海坊港に向かったが、停泊している帰海号は想像をはるかに超える巨大な船だった。季曼は本当に自分が帰海一刀(キカイイットウ)の娘かどうか自信がなかったが、船員や侍女たちに歓迎され、一緒に育った側仕えの桑葚(ソウシン)に至っては抱きついて帰りを喜んでくれる。「ぁぁぁ…で、あなたはどなた?」「え?!どうかしたんですか?小姐?!」苜蓿は季曼が都で事故に遭い記憶を失ったと説明、自分が季曼の首席侍女だと自慢した。桑葚は小姐の記憶を戻そうと早速、部屋に案内した。季曼の居所は船の中とは思えない豪華な船室で、質素倹約を心がけていた聶桑楡とは比べ物にならないほど贅沢品があふれている。「小姐の一番のお気に入りはこの大粒の真珠でした」「うわっ!こんな上等の真珠が普段使いなの?!」「小姐は欲しいものなら何でも手に入れました、これが目録です」「やだ、大金持ちじゃないの!」「小姐は帰海一刀・季銘(キメイ)の一人娘なんですよ? こんな小物だけではなく帰海号もお持ちです!どうです?思い出しましたか?」季曼はふと幼い頃の断片が蘇るものの、やはり記憶は戻らなかった。そこで桑葚は季曼が4年間も研究した化粧品の処方を持って来る。「あ!私の処方だわ!全工程が記されている!」「私たちのために作ってくれたんです、船上では潮風と日にさらされ、シワが増えるからって」季曼は確かに自分が季銘の娘だと確信を得たが、やはり何も思い出せない。すると桑葚は結局、想い人とはどうなったのか聞いた。実は季曼は港で一目惚れした人に会いたいと、家出してまで都へ向かったという。「私ってそんなに軽薄だったの?…それより父親は?会いに行きましょう」しかし季銘は娘を連れ戻すため都に出かけていた。その夜、帰海号に突然、寧鈺軒たちがやって来た。寧鈺軒はあくまで公務で来たと断り、帰海号は長年修理されておらず、即刻、直す必要があるので下船するよう命じる。「不便なら県衙を仮住まいとして貸し出そう」季曼は寧鈺軒の魂胆に気づき、自分たちも船の点検をしながら港で過ごすと断った。しかし寧鈺軒は耳を貸さず、直ちに船上で作業を始めるよう命じて降りてしまう。「へ?寧鈺軒!ちょっと!」一方、桑葚は苜蓿から寧鈺軒が季曼の夫だと聞いて訳がわからず困惑していた。つづくホッ!(⸝⸝ ˇωˇ )やっと笑顔が戻ったわ〜良かった♡
2024.04.21
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第16話「消し得ぬ毒婦の称号」温婉(オンエン)の企み通り、蓮香(レンコウ)の思わぬ暴露で皓雪堂(コウセツドウ)の新作発表会は台無しになった。寧鈺軒(ネイギョクケン)は憔悴した聶桑楡(ニェサンユー)を連れて県衙に帰ったが、聶桑楡は心を閉ざしてしまう。「甘かった、都さえ離れれば毒婦の悪名も忘れ去られると思ってた…全て私が悪いの」「実はそなたに話がある、大事なことなんだ」「お願いよ、独りにして」騒ぎを知った聶青雲(ニェセイウン)が杖をついて県衙に駆けつけた。「くじいてしまって…」中庭ではちょうど千怜雪(センレイセキ)たちが聶桑楡を心配して待っていたが、そこへ寧鈺軒がやって来る。「姐姐は?!」「今はそっとしてやろう」すると怜雪が今夜の一件は妙だと訝しんだ。蓮香は3年前、確かに銭を渡して暇を出したが、なぜ妓楼に売られたなどと嘘をついたのだろうか。つまり偶然ではなく裏には思惑があり、恐らく誰かが指示したのだろう。飲まず食わずで寝殿にこもってしまった聶桑楡。寧鈺軒は早く真実を明かすべきだったと後悔したが、その時、苜蓿(ムーシュ)が慌ててやって来た。「大変です!皓雪堂が荒らされたと聞いて夫人が店に…」「なぜ止めなかった?!」寧鈺軒が急いで店に駆けつけると、聶桑楡は散乱した化粧品を片付けていた。「もうやめろ、拾わなくていい」「私はなんて酷い女子なのかしら… どれだけ罪を重ねて来たの?どれだけ罰を受けるべき?」「罪などない」寧鈺軒は聶桑楡が身に覚えのない罪に苦しむ姿に耐えられなくなり、ついに本当の身分を明かした。寧鈺軒は聶桑楡の肩には梅の花のあざがあると教えた。「実はそなたは季曼(キマン)、帰海一刀(イカイイットウ)の娘だ 季曼の書いた痕消し膏の処方はそなたの処方と同じだった、筆跡も同じだ だから君は聶桑楡ではなく季曼なんだ」季曼は自分の名前を聞いても記憶が戻らなかったが、少なくとも聶桑楡の悪事とは無関係だと知り喜んだ。「本当なのね!皆に知らせなくては!(はっ)でも待って…あなたはいつから知っていたの?」「信じられず何度も調べて確かめたんだ、言おう言おうと思いながら… 伝えていれば苦しめずに済んだ、償わせてくれ」「償えると思う?話してくれていたら皆にちゃんと説明できたのに… 店だって荒らされることはなかったわ、一体、どう償うっていうの?! 出て行って、顔も見たくない!」「季曼…」「出てってよ!早く!」そんな騒ぎの中、凌剣星(リョウケンセイ)の命で海坊を監視していた阿正(アセイ)は蛟龍幇(コウリュウホウ)幇主・沈連成(シンレンセイ)を脱獄させた。度重なる失態に怒りが収まらない阿正、しかし沈連成はもう一度だけ機会が欲しいと懇願する。「必ず寧鈺軒を潰してみせます!」一方、寧鈺軒は沈連成が何者かに連れ去られたと報告を受けたが、聶桑楡が心配で上の空だった。悶々としながら書斎で夜を明かした寧鈺軒、すると鬼白が血相を変えてやって来た。「蓮香が殺されました!部屋の中に大夫人の玉佩が…」寧鈺軒は慌てて水宴居に駆けつけた。すでに現場を検証していた劉(リュウ)主簿は容疑者の証拠として寧夫人の玉佩を示したが、寧鈺軒はこれだけで断罪できないという。そこへなぜか富商の王錦堯(オウキンギョウ)が現れた。王錦堯は海上貿易組合の名誉に関わるため駆けつけたと断り、正当な裁きで死者の無念を晴らすよう嘆願する。すると寧鈺軒は鬼白に聶桑楡を捕らえて詮議すると命じた。聶桑楡は理由も分からないまま投獄された。すると秦奕閑(シンエキカン)が駆けつけ事情を説明する。聶桑楡はようやくいつもに身につけている玉佩が消えていることに気づいたが、いつ盗まれたのか皆目見当もつかなかった。「県衙に戻ってから店に行ったけれど、証人は寧鈺軒しかいない… 目的は私を陥れることだわ、必ず刺客を見つけて」亡骸の発見者は水娘子(スイニャンズー)こと水亦清(スイイーチン)だった。寧鈺軒は妻の冤罪を晴らすため協力して欲しいと訴えたが、水娘子は蓮香を虐待していた聶桑楡への嫌悪から追い返してしまう。仕方なく寧鈺軒は鬼白に監視を頼み、牢獄の季曼に面会した。寧鈺軒は王錦堯たちを黙らせるためひとまず聶桑楡を投獄した。二品の誥命(コクメイ)夫人となれば罪を裁くのは大理寺、もし聶桑楡に殺人の嫌疑がかかっていると都に知られれば助けることができなくなる。今は牢屋が一番安全だったが、そうとは知らない季曼は面会に来た寧鈺軒に冷たかった。「そなたが使い慣れている寝具も持って来た、複雑な問題なのだ、実は夫人…」「夫人じゃないわ、私たちは赤の他人でしょう?早く刺客を見つけて あなたがいたら食欲もなくなる、早く出て行って!」一方、袁朗(エンロウ)も配下に蓮香の事件を調べさせていた。しかし水宴居の周辺で怪しい者を見たという情報はないという。「聶小姐の玉佩はいつなくなったんだ?」王錦堯は寧鈺軒を敵に回し、完全に阿正(アセイ)側についた。しかし阿正から沈連成と同じ轍を踏まないよう釘を刺されてしまう。王錦堯は寧鈺軒が公正に裁くとみせかけ、その実、妻を守るため投獄したと気づいていた。そこで県衙の地下牢に手練れの死士を送り込むことにする。「自供書さえ手に入れれば大理寺が直接、裁くことになる、天の神でも救うことは無理だな」獄吏に成り済ました死士は聶桑楡を勝手に連れ出し、はりつけにした。「自供書に署名すれば縄を解いて食事をお持ちしますよ?これは寧大人からの命です」しかし季曼は嘘だと見抜き、誰の差し金かと迫った。すると獄吏は署名しないなら手始めに焼印を押すと脅す。季曼は唾を吐きかけ抵抗、その時、寧鈺軒が駆けつけ死士を捕らえた。その夜、水宴居で贔屓客の誕辰祝いが開かれた。水娘子は琴を弾いて興を添えたがどこか上の空、すると突然、弦が切れてしまう。「申し訳ありません、弾きなおします」しかし客は縁起が悪いと憤怒、舞台を降りて自分の酒を飲めと強要した。その時、鬼白が現れ、水娘子の代わりに酒を飲んでしまう。寧鈺軒は季曼を心配し、牢屋で一緒に過ごすと言い出した。しかし季曼に廊下へ追い出されてしまう。「じゃあここでそなたを守る」すると季曼は何とも虚しくなり、そのままへたり込んだ。「この程度で償ったと思わないで…」「悪かった、黙っていたせいでそなたを傷つけた…すまない、どうか許してくれ」何もできない寧鈺軒だったが、せめてそばにいたいという。「2人に未来があるなら望みを言ってくれ、必ず償う もし未来がないとしても、今は一緒にいるよ」寧鈺軒は季曼を陥れた者を必ず見つけると誓い、柵の間から手を伸ばして季曼を抱きしめた。つづく( ;∀;)ポンちゃんが可哀想であらすじが進まないというw
2024.04.21
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第15話「初めての料理」千怜雪(センレイセキ)たちが海坊(カイホウ)に駆けつけ、友や妹との再会を喜ぶ聶桑楡(ニェサンユー)。明日は街を観光しようと楽しそうに県衙へ案内したが、思いがけず第二夫人・温婉(オンエン)が待っていた。温婉は寧鈺軒(ネイギョクケン)が連れてきてくれたと嘘をつき、すでに聶青雲(ニェセイウン)には宿を取り、怜雪の部屋を準備、聶桑楡の母屋まで掃除しておいたという。「お食事を準備しますね」まるで女主人のごとく我が物顔で屋敷を仕切っている温婉。何も知らず屋敷へ戻って来た寧鈺軒は温婉の出迎えに度肝を抜かれた。温婉は千怜雪たちが出かけると知って慌てて追いかけてきたと説明し、街を案内して欲しいという。「大夫人は随分、古びた寝具をお使いです、だから街に出て一緒に選んで欲しいと思って…」温婉にまくし立てられタジタジの寧鈺軒。しかし聶桑楡のためだと聞いて仕方なく翌日、温婉と買い物に出かけた。その時、ちょうど街に出ていた聶桑楡が寧鈺軒と温婉の姿を見てしまう。深く傷つき、食欲まで失せてしまう聶桑楡。寧鈺軒は聶桑楡が夕餉も取らず、差し入れた寝具まで突き返されたと聞いて困惑した。すると鬼白(キハク)が苜蓿(ムーシュ)の見立てによると嫉妬らしいと報告する。寧鈺軒は失笑し、聶桑楡を喜ばせようと手料理を振る舞うことにした。寧鈺軒は夜食の麺を用意して聶桑楡を招いた。( ゚д゚)<ぁあ?これは何?食べ物なの?すると鬼白がうっかり侯爺が作った麺だとバラしてしまう。(;^ꇴ^).oO(麺って普通は長いけど…ちぎれてる「どうだ?!」( ̄▽ ̄;)<ちょっとしょっぱい…かな?しかし炎が苦手な寧鈺軒が失敗を重ねてやっと完成した麺だと聞くと、味などどうでもよくなった。「何だか急に美味しくなったわ」結局、2人は仲良く塩辛い謎の麺料理を食べた。温婉は寧鈺軒が聶桑楡のために自ら料理したと知って激しく嫉妬した。「どうして?私にはあなたが全てなのに」…かつて寧鈺軒が匪賊の隠れ家に乗り込んだ時のことそこには山賊にさらわれた温婉がいた温婉の話では父に叱られ家出したところ山賊に襲われ、抵抗も虚しく辱めを受けたいうしかし山賊はすでに刺されて死んでいた…「つかんだものは決してはなさない、誰であろうとあの人は渡さない」宿に泊まった聶青雲は想い人の陶思維(トウシイ)に会うため、郊外の軍営に出かけた。しかし将軍の友人だと訴えても門前払い、仕方なく忍び込んだものの足を捻挫してしまう。陶思維は妹同然の青雲との仲を勘ぐられないよう幕舎に医官を呼ぶことにしたが、青雲は嫌だと拒んだ。「別に誤解されてもいい、だって私は陶将軍が好き!」「勘違いするな、君はただの妹、それだけだ、だから傷つけたくない、分かってくれ」青雲は陶思維に想い人がいると気づいたが、陶思維は言葉を濁した。「結局、聶桑楡の妹だから優しかっただけなのね!」すると青雲は陶思維が止めるのも聞かず、足を引きずりながら帰ってしまう。そんなある日、水宴居(スイエンキョ)に水娘子(スイニャンズー)の都の友から推薦状をもらった琵琶弾きがやって来た。蓮香(レンコウ)は器量も琵琶の腕前も申し分なく、水娘子は喜んで採用する。しかし蓮香は奉公先で虐待を受け、身体中に目を覆いたくなるような酷い傷跡があった。水娘子は早速、皓雪堂(コウセツドウ)に軟膏を買いに行くと、話を聞いた聶桑楡は店中の非晩霜をかき集めて持たせてくれる。「足りなかったら調合するから言ってね!」聶桑楡の提案で皓雪堂と水宴居の共同企画が実現した。その夜、聶桑楡と水娘子は店の前で招待客を出迎えていたが、運悪く寧鈺軒と袁朗(エンロウ)がかち合ってしまう。寧鈺軒は聶桑楡に付きまとう袁朗に対抗心を燃やしていたが、実は袁朗と蛟龍幇(コウリュウホウ)の関係を疑っていた。皓雪堂の新作発表会が始まった。聶桑楡は招待客に新商品の説明をして試供品を配り、つぎに看板娘である水娘子の歌舞が花を添える。しかし袁朗は殿内にいる怪しい男に気づき、急に店を飛び出した。袁朗は先回りした趙龍(チョウリュウ)・趙虎(チョウコ)と男を挟み撃ち、捕縛に成功する。すると男は顔を隠した女子から銀子3両で会場に豚の血をまき散らせと頼まれたと白状した。一方、水宴居では舞台を終えた水娘子が聶桑楡に新しい琵琶引きの蓮香を紹介していた。しかし蓮香は聶桑楡を見ると激しく怯え、その場で平伏してしまう。「大夫人のお目を汚して申し訳ありません!」すると騒ぎに気づいた招待客たちが何事かと集まった。蓮香は自分を虐待し、妓楼に売ったのは聶桑楡だと明かした。当時、寧鈺軒に一度、茶を出しただけで誘惑したと誤解され、激高した聶桑楡に鞭で打たれたという。寧鈺軒は確かにかつて暇を出した侍女の蓮香だと気づき、妻に罪はないと訴えた。「説明させてくれ」しかし蓮香はいきなり衣をはだけ、群衆の前で背中の大きな傷跡を晒した。「あの日、私は大夫人の命で紙を取りに行き、図らずも侯爺に触れてしまった 大夫人は私を鞭打ちした後、馬車に縛り付けて引きずったんです 心ある人が助けてくれた時には肉がこそげ落ちていました それでも大夫人の怒りは収まらず、その夜のうちに私は人買いに売られました 私は妓楼で3年もの間、死んだような日々を送ったのです やっと水宴居で穏やかに過ごせると思っていたのに…まだ私を追っていたなんて…」その時、温婉は聶桑楡が群衆から断罪される様子を上階から嬉しそうに眺めていた。…聶桑楡、海坊で顔を上げて歩けなくなるわね…聶桑楡は事故に遭って記憶がないと釈明して謝罪したが、蓮香はひざまずいて謝れと迫った。しかし寧鈺軒は二品誥命(コクメイ)夫人の聶桑楡が辱めを受けることを許せず、慌てて止める。「蓮香、ひざまずいて恨みが薄らぐのなら私がひざまずく!夫人の罪を償うのは夫の務めだ」寧鈺軒はそもそも妻を冷遇していた自分の責任だと言ったが、聶桑楡は抱きついて寧鈺軒を止めた。「ダメよ!こんなことが都に伝わったらあなたは終わる」思わぬ展開に驚いた蓮香は上階にいる温婉を見上げた。温婉も寧鈺軒の予想外の行動に動揺し、首を横に振って引き上げて行く。「もういい!…あなたを許すわ」蓮香はそこで芝居を切り上げたが、聶桑楡に向けられた群衆の激しい憎悪は収まらなかった。つづく( ๑≧ꇴ≦)あ~もう早速、やらかしたわ!そもそも侯爺が追い返さないからよ!
2024.04.19
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安乐传 The Legend Of Anle第25話投獄されていた古雲年(コウンネン)が召喚された。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は張堅(チョウケン)の証言が事実か確認したが、古雲年はそれとなく皇太后・孫瑜君(ソンユクン)の顔色をうかがう。実は皇太后は古雲年が収監されると密かに口止めし、命だけは助けると約束していた。「確かに帝(ディ)家軍を討てとの文を受け取りましたが、送り主が誰かは今も知りません 文も書かれていた指示どおり焼き捨てました」これに任安楽(レンアンルー)は猛反発、将軍が誰の指示かも確かめず帝家軍を謀殺するなどあり得ない。皇太子・韓燁(ハンイェ)も″知らぬ″の一言で済む問題ではないと加勢したが、古雲年は自分の罪で構わないと開き直った。「息子をかばう気持ちから悪事を隠したのは間違いでした、しかし忠心は変わりません 全ては国と陛下のためだった」その時、皇太后が立ち上がり、古雲年を断罪した。「帝家の件に限らず、そちの所業は死罪に値する!早く白状なさい! 一族まで巻き添えにするつもり?!本当のことを言うのよ!」「…陛下、10年も前のことなので覚えていません ただ宮中に刺客を放ったのは私ではない、しかし今さら何を言っても誰も信じないでしょう ふふっ、私はかつて靖安(セイアン)侯を陥れた、だが今の私はあの時の靖安侯と同じ これも因果応報だろう、はっははは…それも良い 奸臣の役目を果たし、いま一度、お役に立つ所存です、罪人としてお先に参ります…」すると古雲年は柱に突進、自ら頭を打ちつけて自害してしまう。古雲年の死により密書の有無は証明できず、帝家の潔白を明らかにする術がなくなった。そこで皇帝は三法司(サンホウシ)に審理を任せると決め、張堅と鍾海(ショウカイ)は連行されてしまう。皇太子妃冊封の儀は仕切り直し、帝承恩(ディチォンエン)は改めて帝家が犯した罪を詫びて叩頭した。皇帝は帝承恩を正式に靖国の皇太子妃に封じると言ったが、その時、安楽が止める。「お待ちを!…帝承恩には罪を認める資格も妃となる資格もない!勅命の撤回を! 陛下、帝家に罪はありません!」安楽は御前に進み出ると、ついに正体を明かした。「帝承恩に帝家の罪は認められない、その真相を知るのは帝梓元(ディヅユアン)である私だけです」皇太后は任安楽が皇太子妃の座を諦められず、朝廷を撹乱するつもりだと呆れた。すると皇帝は本当に帝梓元なら宮中で怪我をした時の傷が今も肩にあるはずだという。そこで孫(ソン)女官と安寧(アンニン)公主が安楽の肩の傷を確認した。「申し上げます、陛下、太后…確かに任大人の左肩に傷痕がございます」皇太后はたかが傷痕1つで帝梓元だと証明できないと突っぱねたが、安楽は証人もいるという。「…太子殿下、私は帝梓元ですか?」安楽は清廉な韓燁に賭けた。…安楽は帝家が悪人に陥れられたと分かれば韓燁が必ず味方するはずだと考えた洛銘西(ルォミンシー)は韓燁が公明正大さより天下太平を望むかもしれないと懸念したが、安楽は公明正大さを欠いた天下太平など韓燁は認めないという…安楽の予想通り韓燁は任安楽こそ帝梓元だと認めた。すると夢がついえた帝承恩はその場でへたり込んでしまう。「ではそなたが帝梓元だとしよう、ならばその帝承恩は一体、何者だ?」「陛下、帝承恩は瑇(タイ)山へ送られる際に私と入れ替わった身代わりです 私は瑇山へ行かず、流転の末、海賊に身をやつしました」皇帝は任安楽が水軍を差し出したのも嫁ぐためではなく、最初から入念に仕組んだ企みだったと気づいた。「任安楽!そちが帝梓元でも、そちの訴えが誠とは限らぬ!」すると安楽は皇太后に献上した贈り物をここで開けるよう嘆願した。皇帝の侍従・趙福(チョウフク)は安楽が皇太后に贈った巻物の箱を持ってきた。韓燁は何も知らず箱を開けたが、その時、巻物が転がり落ちて床に広がる。そこには青南山で謀殺された帝家軍8万の名が記されていた。涙をこらえながら将兵たちの名を1人1人読み上げる安楽。すると宴席の皇族や大臣たちは無念のうちに死んでいった多くの若者たちに思いを馳せた。…洛銘西は自分たちだけで帝家の潔白を証明するのは難しいと心配したしかし安楽は2人だけではないと否定する『8万人がいる、8万人の将兵と一緒に戦うのよ』…安楽は帝家の潔白を認めて正義を示すよう嘆願した。すると皇帝はどちらにしても帝家軍が勝手に兵を動かしたことに変わりはないという。「証拠もなく潔白とは言えぬ!」「古雲年が死んで密書の有無は藪の中です、でも陛下は当時、確かに父親に文を送っています」「ふん!あの年、帝永寧(ディエイネイ)に一度も文は書いておらぬ」「お忘れですか?…西北に出兵せよと密書が届きました 帝家の取りつぶしで古雲年は兵符を持ち去った、でも密書は私が父親から預かっていました」そこで安楽は韓燁に扇子を貸して欲しいと頼んだ。安楽は扇子の地紙の間に密書を隠して韓燁に渡していた。「なぜ私に?」「一番、安全だからよ」安楽は玉璽のある皇帝親筆の密書を示し、皇帝の師で右丞相(ユウジョウショウ)の魏諫(ギカン)に筆跡の鑑定を頼んだ。密書を見た魏諫は驚愕、確かに″文が届き次第、帝家軍を率いて西北に出兵せよ″との密旨だと確認する。「陛下、もし密旨が事実なら天下に正義をお示しください」すると皇族と大臣たちも御前に進み出て天下に正義を示すよう嘆願した。「反逆するつもりか!」身に覚えがない皇帝は狼狽えるばかり、しかしついに皇太子までが公正な判断を嘆願する。その時、ついに真相を知る安寧公主が口を開いた。「…陛下が書いたのではない」…洛銘西は最も重要な証言が得られなければ真の首謀者を名指しできないと懸念したしかし安楽は自分が人心を得れば全て上手く行くはずだという『だからこそ宴の場で訴えるのよ』安楽も安寧を巻き込みたくはなかったが、公主としての責任を果たしてもらう必要がある…安寧は墓場まで持って行くつもりだった秘密を明かした。「文は陛下ではなく、太后が書いたのよ…」帝家が取り潰されたあの日、安寧は皇祖母に帝家のとりなしを頼もうと静心堂へ駆けつけた。そこで偶然、皇祖母と侍従の会話を耳にしてしまう。『陛下から皆殺しの勅命が下ったものの、帝梓元だけは許されました』『まあ良い、情けをかければ諫言を黙らせることができる、数年後に始末すればいいだけよ』『英明です、玉璽がある陛下の筆跡の文だからこそ、靖安侯も信じて軍を動かしたのでしょう』『古雲年に必ず密書を探し出して始末しろと伝えて』その後、一緒にいた安寧の侍従・良喜(リョウキ)は自害、静心堂の太監も姿を消した。安寧は自分が真相を隠していたせいで帝家に汚名を着せ続けてきたと後悔し、自ら罰を請うた。すると洛銘西が当時、まだ幼かった公主の証言だけで皇太后を断罪できないとかばう。「しかし偽筆ができる者はごく僅かでしょう」「…陛下、お忘れですか?陛下は私の前に太后から学問を学んでおいででした」魏諫の証言が決め手となり、皇太后はついに自分が密書を書いたと認めた。皇太后は当時、兵力を誇り功労の大きい帝家が脅威だったと訴えた。しかし皇帝は帝永寧とのよしみで手を下さず、これも天下安泰のためにやったと正当化する。「命が惜しくなければ哀家を宗正寺(ソウセイジ)へ引っ立てて裁くがいいわ…やってごらん!」すると皇太后は悪びれる様子もなく、むしろ堂々と帝家軍8万の名簿の上を歩いて出て行ってしまう。無惨に踏みつけられた帝家軍8万の名簿には皇太后の足跡が薄汚く残った。「帝家軍は民に平和な世をと命を懸けて戦った、それを脅威とみなし、皆殺しにするなんて…」安楽は何とも言えない虚しさに打ちひしがられながら、改めて帝家の潔白を認めるよう嘆願した。すると韓燁をはじめ文武百官も一斉に嘆願、皇帝は恩のある母に対しても君主として法の平等を示さなくてはならないと覚悟する。「分かった、自ら太廟(タイビョウ)で3日間禁足し、3日後に答えを出そう 帝家と文武百官のため、また天下の民に対し、韓家の正義を示す!」皇帝は一筋の涙を拭い、任安楽の前に立った。「この先、そちは何者であるのか?」「偽りの任安楽は消え、帝梓元のみが残ります」「分かった、靖国の朝廷にはこれより帝梓元のみが存在する、今後、任安楽は存在せぬ!」祝宴は思わぬ形で散会、皇帝は太廟にこもった。大殿に残ったのは身分を取り戻した帝梓元と韓燁、そして呆然と座り込んでいる帝承恩だけとなる。「帝梓元、答えてくれ…こうなることを望んでいたのか?」「…そうよ、10年、機会を待った、この日のためにね」「つまり君が私に近づいたのもこの日のためだったのか…」すると帝承恩はふつふつと怒りが込み上げた。「10年よ?!10年間も地獄を味わわせて、今さら自分が帝梓元を名乗るの?! じゃあ私は誰?!誰なの?!何様のつもりよ!」帝承恩は思わず梓元を突き飛ばすと、韓燁がかばった。「帝承恩、帰るんだ」「帝承恩?違う、私は帝承恩じゃない!これは偽りの名よ?私の人生も…じゃあ私は誰?」帝承恩は急に頭が混乱し、ふらふらと出て行ってしまう。洛銘西が城門で待っていると梓元が出てきた。ついに悲願を果たし、帝家の汚名をそそいだ梓元。しかしそのために韓燁や安寧、帝承恩を深く傷つけてしまったと嘆く。何より古雲年の最後の言葉が梓元の心にわだかまりを残した。「朝廷には私の知らない闇がある、国の危機につながるのかも…」「梓元、気にするな、韓家の朝廷だ、君が憂うことはない」洛銘西は霧が晴れるように徐々に良くなると梓元をなだめた。つづく( ゚ェ゚)あれ?安寧は皇太后が太監に文を託すのを目撃したはずだよね?今回の証言は続きなの?結局、字幕で見ても意味が分からないというw
2024.04.18
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安乐传 The Legend Of Anle第24話皇太子妃の冊封は皇太后の誕辰の宴の場で行われることが決まった。帝承恩(ディチォンエン)はがっかりしたが、慕青(ムーチン)はどちらにしても皇太子妃の座が揺らぐことはないと安心させる。すると宮中から皇太后の使いがやって来た。韓燁(ハンイェ)は替え玉と知りながら帝承恩を娶ると決意したものの、任安楽(レンアンルー)こと帝梓元(ディヅユアン)を忘れられずにいた。韓燁が寝殿に引きこもって丸一日、温朔(ウェンショウ)はただ外で待っていることしかできなかったが、そこへ吉利(キツリ)がやって来る。「冊封の儀は太后の誕辰の祝宴で行われると決まったそうだ」「殿下は気にしないさ、いつどこでやろうとな…」温朔は何より今後、慕っていた安楽と無関係になってしまうのかと思うとやるせなくなった。孫瑜君(ソンユクン)は帝承恩を静心(セイシン)堂に呼びつけ、冊封の儀で本当に帝家の罪を認めるのか確認した。帝承恩は皇帝と皇太后の聖恩に感謝して帝家の罪を認めて償うと約束、皇太后への服従を誓う。これに気をよくした孫瑜君は香が燃え尽きたら帰ることを許したが、その間に書写するよう命じて出ていった。洛銘西(ルォミンシー)は安楽の悲願を叶えるため着々と伏線を敷いていた。しかしまだ安心できず、琳琅(リンロウ)にある男を陥落させる。その男の名は張堅(チョウケン)、張副将軍は10年前、忠義侯(チュウギコウ)の侍衛だったが、青南(セイナン)山の戦いから戻ると辞職していた。皇太后の誕辰前夜、皇太子府に突然、安楽がやって来た。酔い潰れて寝ていた韓燁は慌てて身なりを整え、かろうじて冷静さを保って現れる。すると安楽は皇太子妃冊封の祝いだと言って扇子を贈った。「誕辰の祝宴に必ず持って来てね」「何を考えている?…まさか身分を明かすつもりか? 身分を偽って陛下を欺いたと分かれば大罪だ、そもそも君は罪人の娘なんだぞ?」「罪人ですって?…潔白を証明してみせるわ」韓燁は誕辰の宴が復讐の場になると気づき、韓家と梓元の板挟みだと嘆いた。しかし安楽は帝家が謀反を考えたことなどないと反発、皇太子を信じるからこそ計画を明かしたという。「私は証拠を信じる」「証拠は用意するわ」「10年前のことだ、潔白が証明できなければどうなると?」「帝家の名誉回復は私の悲願なの」「はお、では思うようにせよ」↓ちょっとボサボサw安楽は韓燁と決裂、皇太子府を出た。門前で待っていた洛銘西は張堅が証言してくれると報告し、必ず安楽の復讐を成功させると誓う。「覚悟はいいか?」「8万の魂が帝梓元と韓燁の間を隔てている…所詮、結ばれぬ定めよ」…韓燁、以前、あなたに言ったわね、あなたの望むことなら何でもやるとそれはいつか必ず私があなたの人生を壊すと分かっていたからよ…( ;∀;)おふ皇太后の誕辰当日、温朔は皇太子の身支度を手伝いながら、これで正式に皇太子妃が決まってしまうと肩を落とした。「安楽姐姐と疎遠になるのは少し辛いです…」「私に気を使うな、お前は今まで通り姐と思えばいい」すると韓燁は安楽からもらった扇子を手に取った。皇太后の誕辰には皇族と大臣が全て集結し、盛大な祝宴となった。安楽は大理寺卿として招待され、贈り物には自分で書写した経典の巻物を献上する。嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)は皇太子妃になれなかった安楽に騒ぎを起こさぬよう釘を刺したが、安楽は心得ていると悪戯っぽく笑って席についた。そしていよいよ皇太子妃冊封の儀が始まる。帝承恩は御前に進んでひざまずくと、約束通り帝家の娘として一族が犯した罪を謝罪した。安楽と洛銘西はそんな帝承恩を苦々しく眺めていたが、その時、突然、鍾海(ショウカイ)が乗り込んでくる。「帝家に罪などない!」すると鍾海は皇帝に拝謁し、実は帝家軍の生き残りだと明かした。鍾海の左胸には帝家軍の証しとなる入れ墨があった。「今日は帝家の潔白を訴えるために来ました!」皇帝は潔白もなにも帝家が命もなく独断で軍を動かしたと一蹴したが、鍾海は反論した。「独断ではなく確かに青南山へ援軍に向かえと命を受けて出兵しました!」…昼夜兼行で青南城に駆けつけた帝家軍しかし青南山のふもとに着くと、すでに北秦(ホクシン)軍の弓矢隊が陣を敷いて待ち構えていた追い詰められた帝家軍は山に逃げ込み要塞に至ったが、なぜか青南城の守衛軍に要撃を受けてしまう夜中で辺りは暗く、敵の姿も矢も見えない中、帝家軍だと大声で名乗っても応える者はいない帝家軍は味方の矢に次々と討たれ、辺りは血の海と化した『退却せよ!』帝家軍は慌てて引き返したが、逃げ場のない山道で巨石を落とされ、声を上げる間もなく圧死してしまう運良く逃れた兵士たちも火球を放り込まれ、火だるまとなった…鍾海は倒れた戦友が盾となり九死に一生を得た。「我々は謀反など起こしていません!靖国の忠臣です!帝家は陥れられたのです! 靖安(セイアン)侯は潔白です!」しかし韓燁が異を立てた。帝家軍は全滅したはず、今さら鍾海が訴え出たとしても誰が信じるだろうか。すると即座に安楽が反論した。せっかく生き残った罪人が罰を覚悟でわざわざ蒸し返す必要があるだろうか。「潔白でなければ黙っているはずです」(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ そうだ!そうだ!皇太后は自分の誕辰を台無しにしたと激怒した。慌てた皇帝は鍾海を追い出すよう命じたが、太傅で右丞相(ユウジョウショウ)・魏諫(ギカン)が止める。「陛下、確かに今さら過去の無実を訴えるのは妙な話です」しかし北秦の密偵である左丞相・姜瑜(キョウユ)が反対した。「己の主張が正義だと信じ切っているだけでしょう」その時、鍾海が侍衛の手を振り払い、自分の潔白を証明してくれる者がいると訴えた。「外におります!召喚してください!」韓燁は皇帝に認めてはどうかと進言した。皇太后は血相を変えて反対したが、もはや文武百官の前でうやむやにはできない。こうして洛銘西の次の駒が現れた。魏諫は証人がかつて忠義侯の侍衛だった張堅だと知っていた。すると張堅は当時、副将軍として北秦軍を討てと命を受けたが、自分たちが討ったのは帝家軍だったと認める。その後ろめたさから帰京すると職を辞し、忠義と人情の板挟みに苦しんで酒に溺れる日々を送っていた。…10年前、古雲年は突然、北秦軍を討てと命じ、部隊を青南山の要塞に向かわせた張堅は山すその道を守るよう命じられ、さらに敵が何を言おうと決して耳を貸さず、全員を殺すようにと指示を受ける暗闇の中、青南山から下りてくるのは当然、北秦軍しかいないはずだった部隊は敵兵を全滅させたが、その後、骸の回収で帝家軍の甲冑をつけていると気づく張堅はこれも命に従ったまでだと割り切ったしかしなぜか″帝家軍が北秦と通じて攻めて来る、投降を拒否すれば殺せ″と勅命が下る帝家軍なら全滅させたはず、張堅はあの亡骸が帝家軍の甲冑を着けた北秦軍だったのかもしれないと考えたところが辺境の守りを固めて何日待っても、逆賊の帝家軍は現れないその代わり届いたのは″帝家軍が青南山で北秦軍に殲滅された″という知らせだった張堅はその時、確信するやはり自分が帝家軍を殺したのだと…張堅の証言は国に波乱を呼び、朝廷を揺るがすものだった。「本当に偽りはないか?…敵味方も分からない夜戦で何が事実なのか判断できるか?」皇太子のするどい指摘に張堅は確かに判断できる状況ではなかったと認めた。「仮にお前たちの攻撃で帝家軍が全滅したとしよう しかし古雲年が北秦軍の攻撃と誤解し、お前たちに討たせた可能性もある つまり可能性は複数あり、謀殺とは断定できぬ」しかし張堅は都から密書を受けて帝家軍を討ったと訴えた。「都からの密書?」その時、皇太后が卓を叩いて怒りをあらわにした。「侍衛の分際でよくもそんな出まかせを!密書なんて誰が信じると?!」確かに密書を見たのは張堅だけ、しかも古雲年がすでに焼き捨ててしまったという。証拠がないと知った皇太后は失笑し、しょせんは出鱈目だと言い放った。悔しさをにじませる安楽、しかし清廉潔白な韓燁が安楽の信頼に応えてくれる。「陛下…古雲年を引き出して張堅の前で詮議させてください」すると魏諫も判断を下すには双方の話を聞く必要があると諫めた。つづく( ๑≧ꇴ≦)承恩が蚊帳の外過ぎるw
2024.04.17
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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第8話「教坊と楽坊」優秀ながら傲慢に振る舞う新入り楽師・宋傲晴(ソンアオチン)。首席の座をかけて李茹娘(リールーニャン)を挑発するが、李颯颯(リーサーサー)はあっさり首位を譲った。「じゃあこれからは首席の宋姑娘が弾き方を決めてね」実は首席は自分の楽器だけでなく、すべての楽器に通じていなければ指示することができない。しかし宋傲晴は秦箏(シンソウ)のことしか分からないと困惑した。颯颯はならば調弦を頼むと言ったが、宋傲晴はそれも得意ではないという。「そう、なら間合いを取る所を曲譜に書き入れてくれる?」宋傲晴は結局、首席としての采配を何ひとつ振れず、大人しく首位を諦めた。その夜、陸景年(ルージンニエン)は手作りの夜食で茹娘をもてなすことにした。急に呼び出された颯颯はすでに化粧を落としていたが、趣向を変えて現代風のナチュラルメークで登場する。陸景年は茹娘の雰囲気がいつもと違うと気づきながら、楽団を見事に団結させた茹娘に力を貸して欲しいと懇願した。そこで颯颯は陸景年と過ごせる時間を増やすため、楽団の管理を手伝う代わりに毎日の食事を共にしたいという。「食事?」「応じるなら取り引き成立よ?」陸景年は承諾したが、これが茹娘に思わぬ弱みを握られる結果となった。生金(ションジン)は小狐狸がいることを忘れて郎君に夕食の点心を届け、陸景年の好物がウサギ型の菓子だとバレてしまう。一方、宇師傑(ユーシージエ)に懇願されて一緒に食べ歩きを始めた欣児(シンR)。そんなある日、通りかかった民間の紅月(コウゲツ)楽坊から軽快な太鼓の音を聞いた。「上手いわ、官設の教坊の楽師にも引けを取らない」すると太鼓の音が止まったかと思うと、突然、楽師の娘が外に逃げ出して来た。欣児と宇師傑は楽師を助け、近くの客桟にかくまった。聞けば楽師は冀(キ)州から都へ来たもののさらわれ、無理やり紅月楽坊に連れてこられたという。楽師はあざだらけで、実は自分以外にも同じような楽師が大勢いると明かした。「中には高官の慰み者にされる楽師も…でも逆らえば殴られてしまうの」その頃、颯颯は元宵節選抜の見直し案を作成、陸景年と話し合うため部屋を訪ねていた。陸景年は留守だったが、ちょうど通りかかった苒綺(ランチー)が郎君と檀渓(タンシー)が一緒に出かけるのを見たという。実は欣児と宇師傑が助けた楽師は檀渓が都へ呼び寄せた元香(ユェンシャン)だった。陸景年と檀渓は元香を迎えに行ったが、結局、元香は現れなかった。檀渓は元香が心配で練習に身が入らず音を外してばかり、すると茹娘から疲れているなら休んだ方がいいと帰されてしまう。「姐姐…私を守って」居所に戻った檀渓は″周(チョウ)″と彫られた首飾りを握りしめながら元香の無事を祈った。颯颯は陸景年を訪ね、檀渓に何か隠し事があるようだと相談した。しかしかえって陸景年から探ったのかと責められ、檀渓のことに口を出すなと突き放されてしまう。颯颯は檀渓だけ特別扱いするのかと激怒して帰ったが、陸景年と檀渓が恋仲とは思えなかった。「ただ何か秘密があるはずよ…」宇師傑は民間の楽師の現状を知り、教坊使の父・宇巡安(ユージュンアン)を頼った。しかし宇巡安は平民の楽師と関わるなと一蹴、息子を追い返してしまう。宇師傑は仕方なく帰ることにしたが、その時、ちょうど太常寺にやって来た左教坊の副使・蘇宗辰(スーゾンチェン)と出くわした。そこで親友をいつも困らせている蘇宗辰に知り合いの楽坊の働き口を探すよう頼んでみる。教坊使の御曹司の頼みでは断れず、厄介ごとを承諾するしかない蘇宗辰、するとこれが思わぬ好機となった。蘇宗辰はちょうど客桟を出ようとしていた元香を引き留めた。元香は恩人が自分の働き口を世話してくれたと知ったが、必要ないと断る。その時、運悪く元香の荷物から手紙が落ちた。元香は慌てて拾おうとしたが、蘇宗辰に奪われ、秘密がバレてしまう。…今月の15日、巳の刻、城外で落ち合い、順調にいけば教坊へ入れる…「教坊に入れるだと?…平民の楽坊がどうやって?」陸景年は料理に手をつけず茹娘を待っていたが、結局、現れなかった。その頃、颯颯は自分の部屋に食事を運んだものの、料理に八つ当たりしてボロボロにしてしまう。「他の女のために私に辛く当たるなんて!任務がなければすぐ出ていくところよ!」すると欣児が駆けつけ、練習を休むと伝えた。「もう宋傲晴には我慢できない!」「また揉め事?」実は宋傲晴は次席の檀渓と交代したいと言い出し、楽師たちと揉めていた。一方、生金は数日前に楽師が逃げ出した騒ぎがあったと聞いた。陸景年は早速、現場近くで聞き込みを始めると、楽器商から思わぬ情報を得る。実は最近も楽師が人さらいに遭って楽坊に入れられたが、逃げ出したところを怪力の女に救われたという。「怪力の女?…もしや一緒に私くらいの背丈の軟弱な公子がいなかったか?」「いました!いました!」つづく
2024.04.16
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第14話「帰海号襲撃」水宴居(スイエンキョ)を見張っていた鬼白(キハク)は海賊の胡大(コタイ)と応戦。運悪く巻き込まれた水娘子(スイニャンズー)こと水亦清(スイイーチン)を助けたが、胡大はその隙を狙って暗器を放ち、逃げ出した。鬼白は水娘子をかばって負傷、すると水娘子は鬼白の胸に刺さった暗器が飛海鏢(ヒカイヒョウ)だと気づく。一方、聶桑楡(ニェサンユー)は聴水(テイスイ)閣で水娘子を待っていた。しかし呉(ゴ)老板が駆けつけ、事情があって水娘子が来られなくなったという。聶桑楡は仕方なく商品を託し、皓雪堂(コウセツドウ)で待っていると伝言を頼んで帰ることにした。飛海鏢は海賊の暗器で棘があり、下手に抜くと傷が広がるようになっていた。水娘子は専用の道具を使って暗器を取り出したが、鬼白は急に意識を失ってしまう。実は暗器には毒が塗られていた。店に戻った聶桑楡は苜蓿(ムーシュ)と店番を交代、そこへ寧鈺軒(ネイギョクケン)が訪ねて来た。聶桑楡は男装して水宴居に潜入したことがバレてしまったが、その時、家職が慌てて駆けつける。「水娘子から言づてです、鬼白大人を今夜、滞在させると…」鬼白が水宴居に?>(*´・д・)(・д・`*)<滞在って…?意識を取り戻した鬼白は水娘子が手当てしてくれたと知り、やみくもに責任を取ると言い出した。「何でも望みを言ってくれ」「ふっ、薬を塗っただけよ、責任と言われても困るわ」すると鬼白は水娘子が抜いてくれた毒鏢が海賊の暗器だと思い出し、急いで帰ってしまう。一方、李明(リメイ)は胡大が鬼白と戦ったと知り、慌てて幇主・沈連成(シンレンセイ)に報告した。どうやら帰海(キカイ)号の襲撃を寧夫人に良く似た男に聞かれたという。「まずい、もう引き延ばせないな」鬼白は県衙に戻り、寧鈺軒に事情を説明した。「夫人は偶然、奴らの話を聞いてしまい狙われたのかと…」「帰海号…海賊…蛟龍幇(コウリュウホウ)…ふっ、なるほど」蛟龍幇は船を守る口実で銭を取り、銭を出さない船は海賊に襲わせていた。寧鈺軒は次の狙いが主不在の帰海号だと気づき、精鋭を集めて船を守ることにする。一方、袁朗(エンロウ)も黄漢(コウカン)から今夜、沈連成が帰海号を襲わせると聞いた。もし茶幇(チャホウ)くずれの沈連成が天下に名声を轟かせる帰海一刀(キカイイットウ)の船を襲ったとなれば茶幇の復活は難しくなるだろう。亥の刻、李明は胡大たちを連れて帰海号を襲撃した。しかし海賊に紛れ込んだ袁朗が阻止、李明は裏切り者がいると気づいたが、その時、寧鈺軒たちが駆けつける。「寧鈺軒だ!退け!」李明は撤収することにしたが間に合わず、逃げ遅れて捕縛されてしまう。こうして証拠と証人が揃い、寧鈺軒はただちに沈連成を投獄するよう命じた。寧鈺軒は漏れがないよう船内を調べることにした。すると誰もいない船室の書卓で偶然、″痕消し軟″と書かれた処方を発見する。それは聶桑楡が考えた処方と全く同じで、他の軟膏も全て聶桑楡が店で発売した商品と同じだった。筆跡も確かに今の聶桑楡とよく似ていたが、その時、寧鈺軒はちょうど署名が入った処方箋を発見する。「″季曼(キマン)″…」翌朝、寧鈺軒が県衙へ戻ると、聶桑楡は中庭でちょうど朝食を取っていた。そこで真実を打ち明けようかどうか悩んだが、結局、何も言えずに書斎へ戻ってしまう。一方、袁朗は真っ先に船員たちを逃がしてくれた恩人として感謝されていた。すると桑葚(ソウシン)は英雄の袁朗を気に入り、小姐が戻るまで待っていて欲しいという。「小姐は大哥のような豪快な人が好みのはずよ!」水娘子が皓雪堂にやって来た。あの夜の話を聞いた聶桑楡は何も知らなかったと驚いたが、鬼白ならもう元気だと報告する。水娘子は安堵し、実は皓雪堂の商品を芸妓たちが気に入ったと報告した。しかしその割に店内に客の姿がない。「海坊(カイホウ)のごひいき様を紹介しましょうか?私にできることがあったら言って」「それなら水姑娘、その名声を銀子に換えようとは思わない?」水娘子は報酬などいらないと断ったが、聶桑楡は報酬も払わず頼み事はできないという。「あなたの絵姿を店に飾りたいの、それから新商品を試して感想を教えて欲しい あとは水宴居と皓雪堂で…(あ)」聶桑楡は呆気に取られている水娘子に気づいて話を止めたが、水娘子は快諾してくれた。寧鈺軒は聶桑楡に真実を告げられず、上の空だった。そこで思い切って店を訪ね、聶桑楡の正体が季曼だと明かすことにする。しかし顔を突き合わせる勇気がなく、ちょうど奥の部屋にいる聶桑楡に戸を閉めたまま話を始めた。「海坊への道中、そなたが聶桑楡ではないと気づいた そして最近になって分かったんだ、そなたは帰海一刀の娘・季曼だと…」その時、部屋の中から何かが割れる音がした。「驚くのも分かる、私も驚いた なぜ記憶を失ったのか、なぜ聶桑楡に成り代わったのか、いくら考えても分からない ただひとつだけ分かったことがある…そなたが好きだ 眠る前に想うのも夢に見るのもそなただ、こんな気持ちは初めてだ 初めて誰かを求め、共にいたいと願った、その誰かとはそなただ! 季曼、そなたが好きだぁぁぁあ!」寧鈺軒はそこでついに戸を開いたが、話を聞いていたのは聶桑楡ではなく苜蓿だった。「何も聞いていません!」買い物に出掛けていた聶桑楡が店に戻って来た。「ここで何してるの?あ、何か私に話があるのでしょう?この前から気づいていたわ〜ふふ」「何 も な い !」寧鈺軒は居たたまれなくなり、怒って帰ってしまう。(  ̄꒳ ̄)<ふふ、恥ずかしいのね水娘子の宣伝効果は絶大だった。皓雪堂の商品はあっという間に売り切れ、聶桑楡は水娘子に分け前を渡すことにする。しかし水娘子は断り、その代わり店の妹妹たちが買う時には半額にして欲しいと頼んだ。こうして軌道に乗り始めた皓雪堂。その頃、都では皇帝の命で海坊へ向かうことになった陶思維(トウシイ)と皓雪堂を手伝うことになった千怜雪(センレイセキ)が一緒に出かけようとしていた。すると2人が海坊へ行くと知った秦奕閑(シンエキカン)と聶桑楡の妹・青雲(セイウン)が駆けつけ、一緒に行きたいという。皓雪堂に千怜雪たちが到着した。聶桑楡は顔馴染みとの再会を喜んだが、犬猿の中である千怜雪と秦奕閑は相変わらず口喧嘩が絶えない。「秦″暇人″も一緒なの」「何だよ、口おばけ!」←とは言ってないw陶思維は元気そうな聶桑楡の姿を見て安堵した。しかし久しぶりに話そうとした矢先、店内の見学をしようと青雲に連れて行かれてしまう。聶桑楡は千怜雪と青雲と一緒に県衙へ帰った。「今日はゆっくり休んで後日、街を見ましょう?面白いものがたくさんあるの! それから部屋を準備中だから、整えるまで母屋で寝てね」3人は楽しそうに院子を歩いていたが、その時、青雲が招かれざる客に気づいた。「温(オン)姨娘?」「姐姐!お帰りなさい」つづく( ̄▽ ̄;)ァァァァァァァァァ_____イーニャン、こんなに早く来たわw
2024.04.16
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安乐传 The Legend Of Anle第23話洛銘西(ルォミンシー)は谷底から戻った韓燁(ハンイェ)の任安楽(レンアンルー)に対する態度が変わったことに気づいた。何より安楽も韓燁にまだ未練があるのが分かる。洛銘西は韓燁も当時、帝梓元(ディヅユアン)を救って幾月も幽閉されたと明かし、安楽に改めて選択を迫った。「心から選んで欲しい、復讐を続けるか、思い留まるか 復讐を続けるなら二度と韓燁に恩返しはできないだろう」「誰が犠牲になろうとも帝家の敵を討つ…心配しないで、もう韓燁とは決別した」一方、婚礼を間近に控えた韓燁は浮かぬ顔で昼間から酒を飲んでいた。思い出すのは安楽のことばかり、谷底で過ごしたかけがえのない幸せな時間が頭から離れない。しかしもう引き返せないことは重々、承知していた。その夜、安寧(アンニン)は任府に安楽を訪ね、真実を突きつけた。「梓元…あなたは梓元なのでしょう?! あなたが梓元でとても嬉しい、だって想像していた通り洒脱な人だもの 10年を経て義姉妹にもなれた、本当に嬉しいわ」しかし安寧は平穏を保つためにも梓元には任安楽のままでいて欲しいという。梓元が都へ来たのには理由があるはず、もし任安楽が帝梓元に戻ったら世は乱れるだろう。「だからどうか私に罪を償わせて!私にも罪があるの!私は…(はっ) とにかく望みがあるなら私が叶える!」「安寧…帝家一族と8万の将兵の犠牲はあなた独りでは償えない」安楽は自分が誰であれ安寧と義姉妹であることに変わりないと言ったが、もはや退路はないと拒んだ。「将兵たちの魂が私の背中を押す、私は立ち止まれない、あなたや韓燁のためだとしても…」しかし安楽は決して安寧に証言を強要せず、居所に戻った。洛銘西は翎湘楼へ戻ると、琳琅(リンロウ)に計画を早めることになりそうだと明かした。実は安楽の正体に気づいた皇太子が刑部に現れ、10年前の悲劇を繰り返さぬよう釘を刺されたという。「まだ梓元を想っているのだ」「大人(ダーレン)、知らせによると昨夜、動きがありました、帝承恩(ディチォンエン)が…」都は雪になった。安楽は露台でちらちらと舞う雪を眺めていたが、誰かが背後からそっと外套をかけてくれる。しかし安楽はそれが韓燁だと気づき、咄嗟に外套を断った。「婚礼が近いのだから私とは距離を置くべきよ?」韓燁は安楽が帝家の名誉を取り戻すつもりだと察し、危険を犯さぬよう説得した。「ここで思いとどまってくれ、終わりにしよう」「兄妹そろって志をくじこうとするのね」安楽は後戻りできないと拒否し、そもそも帝家が血を流す必要などなかったと怒りをあらわにした。「ずっと安楽のままで生きてゆけないのか?私が守る」「独り善がりね」それは10年前、梓元が韓燁に言い放った言葉と同じだった…『太祖が遺詔で決めた通り太子妃の座は梓元のものだ』『独り善がりね』…安楽は韓家から借りを返してもらうだけだと言った。「あなたに邪魔できる?私にも無理よ」すると安楽は殿内に入って戸を閉めてしまう。韓燁は仕方なく外套を置いて帰ったが、何にせよ必ず梓元を守ると決意を新たにした。帝承恩は皇太子の冷たい態度に困惑し、姜瑜(キョウユ)を頼った。そこで郊外の待ち合わせ場所に出かけたが、思いがけず馬車から洛銘西が現れる。「10年ぶりだな、この玉佩に見覚えは?」それは物乞いだった自分を″帝梓元″の替え玉に選んだ少年が持っていた玉佩だった。「あの時の…あなたが私を瑇(タイ)山へ送ったのね?!」「取り引きだった、勝手を許した覚えはない、本当の身分を忘れたのか?」洛銘西は帝承恩の放埒ぶりに不快感をあらわにしたが、言うことを聞くなら皇太子妃でいさせると条件を出した。「いいわ、言う通りにする」「慕青(ムーチン)はお前にやろう、要らないなら…」「いるわ!」帝承恩は慕青の主が実は洛銘西だと知った。唯一の家族と慕っていた慕青の裏切りに憤る帝承恩、しかし親のいない物乞いが今やここまで上り詰めたと自負する。すると慕青は帝承恩からもらった剣飾りを返した。「もはや私は用なしだろう」「私が洛銘西から取り返した命よ?私の手にあるものはそう簡単に手放さない」帝承恩は剣飾りを再び慕青に渡した。「私が編み込んだ気持ちは本物よ」帝承恩は自分が替え玉だと知る者が他にもいると考えた。…まだ安泰ではない、すぐ陛下に会わなくては…そこで帝承恩は皇帝に謁見し、帝家の罪を述べてから冊封の儀に臨むと上奏した。一方、安楽と洛銘西は翎湘楼に帝家軍の生き残りである鍾海(ショウカイ)を呼び出し、安楽が帝家唯一の生き残りである帝梓元だと明かした。「帝家は逆賊かしら?」「違います!帝家軍は国を裏切りませぬ!」「逆賊でないのなら潔白を示すのよ!」鍾海は安楽が小姐だとにわかに信じられなかったが、帝家の配下だった洛家が従う相手はただ独りだと知っていた。「帝家の汚名をそそぐため、あなたを探していたの、10年前の真相を白日の下にさらしたい」「鍾海、小姐のために命を懸けます!」朝臣の銭広(センコウ)は皇太后の誕辰の宴の場で皇太子妃の冊封を行ってはどうかと上奏した。皇帝は慶事が重なると喜んで話を進めることにしたが、報告を聞いた孫瑜君(ソンユクン)は面白くない。しかし冊封の前に帝承恩が帝家の罪を述べると知って鼻で笑った。「そう、ならばしかと見届けなければ…今すぐ呼んで」一方、姜瑜も皇太后の誕辰と皇太子妃の冊封が同日だと聞いて喜んだ。「面白くなりそうだ、だが何かが引っかかる」実は上奏文を出した銭広は帝家の残党だった…安楽と洛銘西は密かに銭広を帝家の霊廟に呼び出した洛銘西はすでに帝家の配下を探し出し、証拠もほぼ集まったと知らせる『小姐、実は今月、あつらえ向きの催しがございます』『太后の誕辰ね』銭広は皇太子妃の冊封を同日にして全ての皇族と大臣を集結させれば、まさに汚名をそそぐ絶好の機会だと提案した『ふふ、その時に8万の将兵の名簿を太后に贈るわ こたびの宴は間違いなく盛り上がるはずよ?』…琳琅は上奏が成功したと報告した。しかし洛銘西はまだ十分ではないという。「あと一手、必要だ」つづく( ゚ェ゚)やっぱり帝承恩を見つけたのは洛銘西だったのね〜
2024.04.14
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安乐传 The Legend Of Anle第22話谷底に転落した任安楽(レンアンルー)と韓燁(ハンイェ)だったが、洞窟で寒さをしのぎ、体力を回復した。韓燁は自ら魚を捕まえ振る舞ったが、安楽は一口食べただけで韓燁に料理の才能がないと気づく。そこで今度は狩りに挑戦、しかしどんなに兵法や武術に通じていようと、韓燁はウサギも捕まえられなかった。安楽は思わず鼻で笑ったが、自分を解放した韓燁はこれまでとは全く違う反応を見せる。「任安楽、″兎も怒れば人を噛む″という…太子も同じだ」意味ありげに笑う韓燁、そんな韓燁の姿に安楽はいつの間にか心を揺さぶられていた。「韓燁、見て!梅の花よ!」「山で自由に咲く梅か…そうだ任安楽、満開になるまでここにいよう」↓( ゚ェ゚)割れてんな〜@アンルー翎湘楼(レイショウロウ)では洛銘西(ルォミンシー)が未だ消息不明の安楽を心配していた。すると苑琴(エンキン)と苑書(エンショ)が駆けつけ、川辺で飲みかけの果実酒を見つけたと酒瓶を渡す。酒の匂いを嗅いだ洛銘西はついに″あの方″が姪孫(テッソン)を救いにやって来たと気づいた。あの方とは天下を遊歴する帝家の主・帝盛天(ディセイテン)だった。( ゚д゚)え?お祖父ちゃん生きてるの?!その夜、安楽と韓燁は暖を取りながら美しい星空を眺めた。韓燁は安楽にそれとなく安楽寨(サイ)での幼少期を尋ね、梓元の暮らしぶりを聞き出すことにする。しかし予想外に海賊の暮らしは厳しいものだった。安楽は幼い頃から武術の稽古と航海の毎日で、食事も湯浴みも早い者勝ちという生活だったという。「寨主の娘だからと言って特別扱いは許されない、実力がものを言う世界よ」「何と乱暴な…」「怒ることないわ、私は令嬢じゃない、海賊の娘よ?でも当時の苦労も殿下に会って報われたわ」安楽はいつものごとく茶化して笑ったが、韓燁はこの機に自分の胸の内を明かすことにした。「都に戻れば太子として帝承恩(ディチォンエン)を娶らねばならぬ」安楽はついに決別の時が来たと覚悟した。その時、流星群が現れる。韓燁は沐天府で安楽と灯籠流しを見たことを思い出し、満天の星を灯籠に見立て、願をかけようと言った。「私の願いは天でも叶えられない…そうでしょう?」「任安楽…私は任安楽という女子に心を動かされた、だが帝梓元(ディヅユアン)を生涯、守り続ける この言葉を忘れないでくれ」すると韓燁は安楽の額にそっと口づけした。「そろそろ都に戻らねば…しかし最後の瞬間まで大切に過ごそう」「…はお」↓見事にピッタリはまった横顔ヲヲヲヲヲ…w翌日、安楽と韓燁は谷を出ることにした。しかし道すがら安楽がつまづいて足首を捻ってしまう。一方、安寧(アンニン)や温朔(ウェンショウ)たちはこの数日、寝る間も惜しんで皇太子と安楽を探していた。すると草むらの向こうから安楽を背負って歩って来る皇太子を見つける。「殿下だ!殿下たちです!」安寧や温朔が安堵する中、冷北(ランベイ)だけは複雑な面持ちで皇太子を見ていた。…まさか本当に生きていたとは…こうして幕を閉じた梓元と韓燁の夢のような時間。「梓元、ここまでだ…」韓燁は自分の背中で眠ってしまった安楽に思わずつぶやいた。洛銘西は安楽が無事に見つかったと聞いた。しかし安楽たちを襲ったのはやはり忠義(チュウギ)侯ではない別の者だという。洛銘西は琳琅(リンロウ)に調査を命じると、ようやく身体の緊張が解けた。机の上では大事に育てた長思花(チョウシカ)がつぼみを付けている。一方、皇帝も安寧から届いた皇太子からの手紙を受け取っていた。皇帝として冷静を装っていたが、やはり息子を思う父親に変わりはない。韓仲遠(ハンチュウエン)は急に安心して立ちくらみを起こしたが、その顔には笑顔があった。韓燁と安楽は同じ馬車で帰途に着いた。韓燁は変わらず安楽を気遣っていたが、安楽は都を前にすでによそよそしい。「これからは別々の道よ、それぞれの願いが叶うといいわね…」一方、馬車を先導している安寧は兄の様子が変わったと気づいていた。…たぶん梓元だと気づいたのね、いいえ、まだ分からない…洛銘西は城門で安楽を出迎えた。「太子殿下と任大人(ダーレン)のご無事をお喜び申し上げます」ついに別れの時が来た。「任安楽、谷に落ちてから今まで私は幸せだった 私は帝承恩を娶らねばならないが、だが喜ばしいのは君が任安楽であることだ 任安楽のまま生きてくれ、君が任安楽でいる限り私は安心だ」「太子殿下、私には殿下を安心させることよりやるべきことがあるの」安楽は馬車を降りることにしたが、その時、思わず韓燁は安楽の手をつかんで引き止めた。「陛下が国を治める覚悟は君が想像する以上だ 傍若無人な君を私が守れる日まで陛下を敵に回すな、無事に生きろ」「誤解していない?陛下は名君で、私も大恩に感じ入っている、敵に回す必要はないわ」すると安楽は手を振り解き、馬車を出た。帝承恩は皇太子と任安楽が同じ馬車で帰ったと聞いて憤慨した。もともと親しい2人が何日も人の通わぬ谷底にいたのなら、韓燁の心変わりも考えられる。焦った帝承恩は太子府へ見舞いに行くと決め、化粧で憔悴を装うことにした。韓燁は安楽が自分と偶然を装って出会い、求婚したのも策略だったと気づいた。水軍まで差し出した目的が皇太子妃の座でも官職でもなければ一体、何なのか。そこへ安寧が見舞いにやって来た。すると兄が書いた安楽の絵姿に気づいて確信する。「やはり気づいたのね、安楽と梓元が同一人物だと… 私も気づかなかった、ずっとそばにいたのに…でも悲しいけれど嬉しくもある」「私も同じ気持ちだ、気づくのが遅すぎた」韓燁は梓元が自由の身だったと知って嬉しかったが、海賊稼業の厳しさを思うと胸が痛んだ。梓元がこれからも安楽のままで生きてくれることを願う2人、どちらにしても韓燁は自分が必ず梓元を守ると誓った。都は雪になった。洛銘西は回廊で物思いにふけっている安楽を心配し、手あぶりを届ける。「韓燁の態度が以前と変わっていたな…未練があるのか?」「谷底での数日間だけよ」吉利(キツリ)が皇太子の包帯を替えていると、いきなり帝承恩が戸を開けた。驚いた韓燁は慌てて下衣を羽織ったが、帝承恩は皇太子の傷を見て驚愕する。「侍衛が付いていながら太子殿下に怪我を?!不届きもの!」吉利はひざまずいて罰を請うたが、韓燁は罪などないと許して吉利を下げた。帝承恩は皇太子を牽制するため、自分のためにも御身を大切にして欲しいと諌めた。「10年前に弟の燼言(ジンイェン)を失い、天涯孤独の身となった私にはもう殿下しかいません」しかし韓燁は自分に負い目を感じさせるため弟の名を出した帝承恩に嫌悪感を抱き、早々に追い返してしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)シックスパックを見せつけるジュゴンw
2024.04.14
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第13話「不正を暴く」寧鈺軒(ネイギョクケン)は聶桑楡(ニェサンユー)の男友だち・袁朗(エンロウ)に嫉妬。そこで聶桑楡の歓心を買おうと中庭を花で埋め尽くし、陳(チン)府の肉料理を振る舞った。聶桑楡は自分の大好きな花だと喜んでいたが、それも束の間、急に新商品の準備を思い出し、慌ただしく出かけてしまう。「あ、この肉は持って行ってもいい?」↓嫉妬なんかじゃないんだからね!聶桑楡は皓雪堂(コウセツドウ)を開店、しかしかんこ鳥が鳴いていた。そこへちょうど視察中だった寧鈺軒が様子を見に来る。すると聶桑楡は経費もバカにならないと嘆き、帳簿の内容を説明しながら商いの大変さを訴えた。「待て…今、船舶税が20両と言ったか?」実は3年前、船舶税を2両に下げたのは寧鈺軒だった。一方、蛟龍幇(コウリュウホウ)は県令に九木(キュウボク)賭場を差し押さえられ、大損していた。幇主・沈連成(シンレンセイ)は新任県令にやられっぱなし、そこへ突然、袁朗という男が訪ねて来る。袁朗は姑娘を助けたのは偶然で、その際に″兄弟″を負傷させてしまったと謝罪した。「我らは海坊での商いを考えています、余計なことをして申し訳ない」そこで袁朗は銀子をちらつかせ、幇主を懐柔した。港には積み荷を引き取る民たちが並んでいた。すると聶桑楡が現れ、本来なら2両の船舶税を20両も取られたと訴える。何も知らずに払ってきた民たちは激怒、その時、満を持して官服姿の寧鈺軒が現れた。寧鈺軒は早速、徴収した税と帳簿を差し押さえたが、実際に集めた額は1780両なのに対し、帳簿には1船2両で合計178両と記されている。「説明してもらおう、3日分でこの差額なら、3年分の差額はどこだ?!」追い詰められた劉(リュウ)主簿は仕方なく海賊の討伐費として蛟龍幇に渡したと弁明した。寧鈺軒はその足で蛟龍幇に乗り込むことにした。すると港から出る時、群衆の中から思わぬ話を耳にする。(*´・ω・)<ねえ、寧夫人て季(キ)小姐に似てない?本当、そっくりね>(・ω・`*)寧鈺軒と聶桑楡は蛟龍幇を訪ね、官府から海賊討伐の費用を受け取っているか聞いた。沈連成は認めたが、寧鈺軒は官府の帳簿に記載がないため、蛟龍幇の帳簿を確かめたいという。そこで帳簿が読める聶桑楡に白羽の矢が立った。聶桑楡は記載の過ちを指摘しながら、結局、官府から合計5981両の銀子を受け取りながら、実際に使ったのは800両だと算出する。沈連成は海坊には長年の掟があると牽制したが、寧鈺軒は自分が赴任したからには朝廷の規則に従ってもらうと突っぱねた。「今後、船舶税は県衙が徴収し朝廷に納める、以上だ そうだ、800両しか使っていないなら、差額は返してくれ」寧鈺軒が引き上げると、沈連成は激高して机を壊した。一方、蛟龍幇への潜入に成功した袁朗は質屋の老板・黄漢(コウカン)を訪ねた。黄漢は新顔の袁朗を警戒したが、実は袁朗こそあの幼かった阿狼(アロウ)だと知り、再会を喜ぶ。しかし袁朗は義侠心にあふれる黄叔が沈連成に下ったことに深く失望した。茶幇は弱き者を助け、天に背く真似などしなかったが、今の蛟龍幇は悪事しかしていない。すると黄漢は寄る辺のない自分たちは沈連成を頼るしかなかったと釈明した。当時は茶幇でも下っぱの頭目だった沈連成。茶幇が散り散りになったあと海坊で蛟龍幇を作り、茶幇の紋章と合図をそのまま使い続けたという。そこで袁朗は茶幇を復活させるために海坊へ来たと明かし、黄漢も袁朗を若頭として忠誠を誓うと決めた。「黄叔、実のところ少主は俺ではない、真の少主なら見つかった」港の稼ぎを魔王夫婦に潰され頭を抱える沈連成、しかし李明(リメイ)に思わぬ妙策があった。実は長く港に停泊している帰海(キカイ)号を調べたところ、漕ぎ手が十数人と下働きの女だけだったという。「この船で大儲けして、その儲けを都へ運べば俺たちは一目置かれる」「はお、すぐ胡大(コタイ)に知らせて行動に移せ」寧鈺軒は払いすぎた税を民に返金、一方、聶桑楡は約束通り海坊すべての商家や名家、役人たちを調べあげ、寧鈺軒に報告書を渡した。そんな中、鬼白(キハク)は李明が船乗りを水宴居(スイエンキョ)に呼んだと突き止める。寧鈺軒は鬼白に水宴居の見張りを命じたが、ふと呼び止めた。「別件の調査だがどうなっている?」実は寧鈺軒は港で聞いた聶桑楡にそっくりだという季小姐を探していた。しかし未だ聶桑楡の行方も季小姐の身の上についても知らせはないという。客を囲い込みたい聶桑楡は袁朗から若い女子が集まると聞いた水宴居に目をつけた。そこで男装して店の様子を探ることにしたが、ちょうど歓顔堂(カンガンドウ)の裴(ハイ)老板が新作の金鱗(キンリン)油の宣伝を始めた。「私たちが使用する材料は上質で高価な蛇油です!どうぞお試しください!」しかし見本を手に塗った聶桑楡は蛇油ではないと見抜く。裴老板は言い掛かりだと憤慨したが、歓顔堂と長年、取引している呉(ゴ)老板は捨て置くわけにいかなかった。「問題があるというなら証明できる?」「できるよ…鶏肉と水はある?」聶桑楡は動物性の油や鉱物油なら水に垂らせば浮き上がると説明、鶏肉の皮をちぎって水の中に入れた。すると確かに油が浮いて来る。しかし質の悪い油を使っている金鱗油は水に沈んだ。呉老板はこれまでずっと劣悪品を買わされていたと憤怒、驚いた裴老板は払い戻しに応じると約束して逃げ帰ってしまう。呉老板は騙されずに済んだと聶桑楡に感謝した。その時、ちょうど海坊一の美女と評判の水娘子(シュイニャンズー)こと水亦清(シュイイーチン)が通りかかり、呉老板が紹介してくれる。聶桑楡は早速、非晩霜(ヒバンソウ)を贈って使ってもらうことにしたが、水娘子は聶桑楡の香りからすぐ女子だと見抜いた。ばつが悪い聶桑楡だったが、店には他にも色々な軟膏があり、興味があれば説明に来てもいいと畳み掛ける。「いいわ、聴水(テイスイ)閣で待っていて、着替えたら行くわ、話しましょう」呉老板は水娘子に都からまた手紙が届いていると知らせた。しかし水娘子は銭(セン)公子が自分の知っている薬の処方が目当てだと分かっている。「また文が来たら燃やして…」その頃、李明から水宴居に呼び出された胡大は個室で腹ごしらえしていた。弟分は帰海号を襲えば帰海一刀(キカイイットウ)の報復が怖いと訴えたが、胡大はどちらにしても沈幇主が後ろ盾となって助けてくれると安心させる。そこへ偶然、聴水閣を探していた聶桑楡が間違って部屋に入って来た。「水娘子に会いに来たんだが…部屋を間違えたみたいだ」「待った、話を聞いたな?」「え?何が?何も聞いていないよ!」聶桑楡は慌てて退散したが、胡大は念のため手を討つことにした。水宴居を見張っていた鬼白は回廊で胡大を阻止、乱闘騒ぎになった。鬼白に蹴り飛ばされた胡大は隠し持っていた暗器を投げたが、鬼白は瞬時に避ける。しかし運悪く着替えを終えた水娘子が後ろの部屋から出て来た。鬼白は危ないところで暗器をつかみ、水娘子を助けたが…。つづく( ゚゚ェ゚)つまり少主は季曼=聶桑楡なのか
2024.04.14
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第12話「富商の質素な宴」寧鈺軒(ネイギョクケン)は王錦堯(オウキンギョウ)の誕辰祝いに招かれ、聶桑楡(ニェサンユー)を同行することにした。聶桑楡は祝宴で化粧品の顧客を開拓しようと念入りに準備。寧鈺軒は口に出さないものの、美しく着飾った聶桑楡の姿に思わず見とれてしまう。王家は海坊(カイホウ)一の富商だったが、王錦堯と娘・王月梨(オウゲツリ)は簡素な身なりで、料理も至って質素だった。確かに稼いではいるが、稼ぎはほとんど民の救済に使っているという。これも新任の県令を牽制する策だったが、残念ながら今度の県令は一筋縄ではいかない相手だった。「噂ですが前任は賂を受けたことが露見し、一家3人で崖から飛び降りたとか 自害を強要されたという話です、それも上からの命で… 何せ3つの大河が海に流れ込む海坊の地は通商に最適、多くの高官が狙っています 海坊の利益の大きさは相当なものでしょうから」「フムフム…で、私が信じると思うか?」そんな中、聶桑楡は偶然、王月梨の面紗の下からのぞく赤い吹き出物に気づいた。早速、非晩霜(ヒバンソウ)を贈って顔に塗るよう勧めたが、かえって玉月梨を怒らせてしまう。すると寧鈺軒は妻が海坊で店を開く予定だと挨拶し、早々に引き上げた。県衙(ケンガ)に戻った聶桑楡と寧鈺軒は改めて夜食にした。すると聶桑楡は王老板の倹約が嘘だと指摘、前に座っていた娘の指にはあきらかに指輪の跡が残っており、簡素な衣の袖口からのぞく玉の腕輪には金が施されていたという。「あの茶番は初めてじゃないはずよ」「私も同感だ」寧鈺軒は海坊に表と裏の2つの勢力があると分かった。恐らく表は下九(カキュウ)坊の商いを掌中に収める蛟龍幇(コウリュウホウ)、そして裏の勢力が善人を自称する王錦堯だろう。「(´゚ω゚):;*.’:;. ブハッ!ちょっと!それなのに連中の前で私の店を宣伝したの?! 邪魔されるに決まってるわ!」「海坊には独自の掟ができているはずだ、君を放して混乱させ、相手の出方を見る」「ほお@うさぎ風」鬼白(キハク)の配下は王錦堯の使者を追跡したが、都でまかれた。しかし寧鈺軒はそう簡単に突き止められるとは思っていないという。荒れ寺を襲った刺客もまだ見つからなかったが、鬼白は潜伏期間の長さを考えるとそろそろ姿を現す頃だと期待した。すると開店準備で慌ただしい聶桑楡がようやく帰宅する。何でも都の友人・袁朗(エンロウ)の力添えのおかげで数日中にも開店できそうだというのだ。「(はっ!)まさかその友だちから銀子を借りたのか?」「そうよ?一緒に商売するの」何も知らなかった寧鈺軒は反対したが、嫉妬だと悟れないよう理由をこじつけた。「袁朗とやらと県令夫人が一緒に店を開いて窓口ができる 袁朗がそなたの名で賄賂を受け取ったらどうなる? 店は差し押さえ、店長が捕まるんだぞ?!」そこで自分が銀子を出す代わりに条件があると持ちかけた。(  ̄꒳ ̄)<やっぱりね~そんなことだろうと思ったわ〜王家の祝宴の後、名門の令嬢から聶桑楡宛に招待状が殺到していた。寧鈺軒は全部の屋敷を訪ねて情報を集め、使える者かどうか見分けて欲しいという。そこで聶桑楡は手始めに王月梨と不仲だという県尉(ケンイ)の娘・黄若雲(コウジャクウン)を訪ねた。黄若雲と取り巻きたちは噂通り聶桑楡の肌が美しいと絶賛、早速、聶桑楡手作りの非晩霜に食いつく。その時、突然、王月梨が乗り込んできた。王月梨は自分が非晩霜を買い占めると宣言、聶桑楡を連れて行こうとする。すると令嬢たちは王月梨が面紗を外していることに気づき、非晩霜のおかげできれいになったと知った。令嬢たちは非晩霜の効果を目の当たりにしてさらに興奮し、王月利と黄若雲の間で聶桑楡の取り合いが始まってしまう。その夜、鬼白は夫人が争いに巻き込まれて足をくじいたと報告した。寧鈺軒は迎えに行くことにしたが、ちょうど苜蓿(ムーシュ)に支えられながら酔っ払った聶桑楡が帰ってくる。「売れないからと酒を飲んで何になる?で頼んだ任務は?」「誰が売れてないって?!ムニャムニャ…」寧鈺軒は聶桑楡を背負って部屋に送りがてら情報を聞いたが、泥酔した聶桑楡は話にならなかった。一方、聶桑楡の父・聶向遠(ニェキョウエン)は季銘(キメイ)が18年前に欒(ラン)県を離れて以来、戻っていないと知った。「今どこで何をしていることか…」実は季銘は娘の季曼(キマン)を探して都にいた。しかし都の知人は誰一人、娘の行方を知らないという。「広い都で探すのは難儀だな…」聶桑楡は寧府の千怜雪(センレイセキ)に文を送り、海坊の店で帳場を手伝って欲しいと頼んだ。そして開店前夜、聶桑楡は寧鈺軒と一緒に店の扁額の幕を下ろし、店内を披露する。寧鈺軒は全て聶桑楡が手がけたと聞いて感心し、これも聶桑楡の努力の賜物だと誉めた。「ついに開店できる!自分の店を持てたわ~!」キィャァ〜!‹‹\(´ω` )/››‹‹\( ´)/››‹‹\( ´ω`)/››寧鈺軒は聶桑楡に豪華な食事をご馳走した。すると偶然、袁朗が現れ、水入らずの前祝いを台無しにされてしまう。袁朗の正体が阿狼(アロウ)とは知らない寧鈺軒、しかしその鋭い目つきにはどこか見覚えがあった。「聶姑娘、美味い物が好きなら俺が案内するよ」「夫人、店の料理はうまいが、家の料理は安然だぞ」( ゚ェ゚)🥩<あぁ?…そうね「寧大人、若い女子を冷たい屋敷の中に閉じ込めて考えを押し付けるな、そうだろう?」( '༥' )ŧ‹″ŧ‹″…<あぁ?あ、でも私は何もしなくていいの、家職がいるから快適よ?「聶姑娘、君のために注文した蝦(エビ)だ 寧大人?好きな物を求める権利は誰にもある、違うか?」(^ꇴ^)🦐<エビ美味しい!聶桑楡は好物を頬張りながら袁朗と商売の話で盛り上がった。しかしふと気がつくと寧鈺軒の姿がないことに気づく。その頃、寧鈺軒は楽しそうな聶桑楡の様子に深く傷つき、県衙に帰っていた。やはり県衙は退屈で自分のそばでは心が寒いのだろうか。「だったらぬくもりのある場所にすればいい…」すると聶桑楡が寧鈺軒への差し入れを持って帰ってきた。すっかりへそを曲げた寧鈺軒は目の前に並んだ豪華な食事を見ても食べなかったが、聶桑楡から嫉妬かと揶揄され、慌てて食べ始める。「妙なことがあったの、初対面の珍宝閣(チンポウカク)の老板娘に声をかけられてね 非晩霜を囲い込みたいと言われて、仲良くしましょうだって どう考えても妙だと思わない?なぜ私のことを知っていたのかしら?」「…鬼白、珍宝閣を探れ」「ねえ、私の聡明さはあなたの役に立ってない?」「ぅん」「あ、そう言えば珍宝閣を出ると向かいは屋敷の裏庭で、高価な花ばかりが植えてあったの それはもうすごい良い香りだったわ! 店を出ると花の香りが出迎える、そよ風が吹くと極楽気分よ!」つづく( ゚ェ゚)侯爺、もう完全に落ちてますやんw
2024.04.12
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第11話「海坊の洗礼」海坊(カイホウ)に左遷され、今や七品の県令となった寧鈺軒(ネイギョクケン)。そこで二品である聶桑楡(ジョウソウユ)に母屋を譲ったが、1日かけて見違えるようにきれいになった部屋にネズミが現れた。叩き起こされた鬼白(キハク)は部屋中を探すもネズミは見つからず、結局、その夜は聶桑楡が寧鈺軒の脇殿で一緒に寝かせてもらうことになる。聶桑楡は寝台を譲ってくれた寧鈺軒に感謝して藍珠を1つ渡すと言ったが、寧鈺軒は奉公人を手なずけることができたら紅珠を100つでも渡すと約束した。一方、朝廷では寧鈺軒の左遷を狙ったかのように劉(リュウ)同平章事が病に倒れた。刑部尚書・王寧(オウネイ)は代理を立てるよう上奏し、右(ユウ)執政・凌剣星(リョウケンセイ)を推挙する。しかし同平章事は国を左右する重要な役職、皇帝は早急過ぎだと突っぱねたが、見かねた檀(タン)王が口を挟んだ。「高齢の劉大人が続けるのは困難だろう、凌剣星が適任だ」すると続々と臣下たちが追従、すでに朝廷が自分の手中にあると誇示した。その時、思いがけず秦奕閑(シンエキカン)と陶思維(トウシイ)が同平章事に自薦すると名乗りを上げ、紛糾する。皇帝はこれに乗じて代理を慎重に選びたいと断り、そこで朝議を切り上げた。一癖も二癖もある奉公人に手こずる聶桑楡。すると寧鈺軒が一緒に街を散策してくれるなら紅玉を渡してもいいと持ちかけた。聶桑楡は紅玉に釣られて出かけたが、なぜか街並みに親しみを感じて困惑する。しかしそれより海坊では真珠が都の五分の1の値だと知り、軟膏に使えると大喜びした。一方、寧鈺軒も聶桑楡の買い物に付き合いながら重要な情報を得る。実は県令亡き後、海坊を仕切っているのは蛟龍幇(コウリョウホウ)だと分かった。「…ねえ、何か食べない?この先にある謝(シャ)氏の焼肉店は最高よ! 名前は忘れたけれど向かいの麺の店も…」聶桑楡はすらすらとお勧めの店を教えていたが、その時、寧鈺軒は停雲閣(テイウンカク)に入る家職・陸徳奎(リクトクケイ)を見かけた。聶桑楡は寧鈺軒が停雲閣を見つめていることに気づき、この店で食事することにした。店内に客の姿はなかったが、それもそのはず、料理に法外な値段がついている。憤慨した聶桑楡は帰ろうと言ったが、寧鈺軒は拒んだ。すると怒った聶桑楡は独りで店を出て行ってしまう。ちょうど同じ頃、袁朗(エンロウ)たちも海坊で蛟龍幇を探っていた。どうやら幇主・沈連成(シンレンセイ)が自分たちの探している茶幇(チャホウ)の者らしい。そこで蛟龍幇に潜入して探ることにしたが、道すがら、賊に襲われる聶桑楡を見かけた。寧鈺軒は1人になると給仕を呼び、老板の陸徳奎に″前任と同じ手は使えない″と伝えるよう釘を刺して帰った。しかし先に出て行った聶桑楡がまだ県衙に戻っていないと知る。寧鈺軒は陸徳奎の仕業だと激怒、夫人の居場所を教えるよう迫った。「答えないならあの棺をお前のために使う」「ヒイィィィ!九木(キュウボク)賭場の李明(リメイ)の仕業かと…県令を脅すと吹聴していました」すると寧鈺軒は陸徳奎たちを追い出せと命じ、聶桑楡を探しに出かけた。聶桑楡が目を覚ますと袁朗がいた。「目が覚めたか?!大丈夫か?!」袁朗は商いで海坊に来たと嘘をつき、自分の宿だと教えた。「確か賊から逃げようとして後ろから殴られたような…」「俺が賊から助けたんだ、賊には逃げられた」すると聶桑楡は自分が襲われたことと寧鈺軒に関係があると気づき、急いで県衙に帰ることにした。「あ、聶姑娘、寧大人は県衙にはいない、何でも賭場に行ったとか」「賭場?!」九木賭場に新しい県令が乗り込んできた。しかし飛んで火に入る夏の虫、李明はここでは何事も賭けで決まると訴え、県令が勝てば夫人の消息を教えるが、もし負けたら自分に履き物をはかせてもらうという。寧鈺軒は了承、その間に鬼白に聶桑楡を探すよう頼んだ。寧鈺軒は時間を稼いだが、鬼白は夫人を見つけられなかった。すでに2勝した李明は勝負がついたと確信、しかし最後の3戦目で寧鈺軒に骰子(サイコロ)の仕掛けを暴かれてしまう。「私の勝ちだな、鬼白、賭場を差し押さえろ!」焦った李明は咄嗟に女たちを呼んで県令を接待させることにしたが、そこへ運悪く聶桑楡が現れた。「寧 鈺 軒 !」「夫人!」聶桑楡は妓女に囲まれている寧鈺軒を見て激怒、ちょうど賭け台の上にあった耙子(ハシ)を握りしめた。「家庭内の風紀の乱れを正させてもらうわ!」驚いた寧鈺軒は誤解だと訴え聶桑楡と揉み合いになったが、聶桑楡は勢い余って李明の頭を叩いてしまう。「あ…まさか…そんなつもりは…」聶桑楡は焦ったが、寧鈺軒は悪党を退治してくれたと大袈裟に感謝してその場を取り繕った。聶桑楡は寧鈺軒が自分を探すため賭場に来たと知った。「だがそなたは誰に助けられた?」「偶然、都から来た友だちに助けられたの、袁朗という人で行商で来たのよ」すると寧鈺軒はこっそり鬼白にすぐ調べるよう命じた。海坊の富商・王錦堯(オウキンギョウ)は県令夫人の誘拐騒ぎを聞いて呆れていた。「蛟龍幇ときたら全く無礼な連中だな」すると王錦堯は自分の誕辰祝いの招待状を新県令にも届けるよう命じた。聶桑楡は海坊で化粧品の店を開くと決め、苜蓿(ムーシュ)と店探しに出かけた。しかし街を歩き回ってみても良い店が見つからない。すると酒楼で休憩中、再び袁朗と出くわした。話を聞いた袁朗は良い店があると教え、早速、紹介してくれる。確かに空き店舗は文句なく素晴らしかったが、元手がないため手が出せなかった。そこで袁朗は一緒に商売するという口実で自ら大金を払ってくれる。「ダメよ、これ以上、借りは作れない」「でもここなら水宴居(スイエンキョ)という楽坊へ行くお偉方が若い女子を連れて通るんだ」「そっ、それは良さそうね(ゴクリ)でも袁大哥、あくまで銀子は借りたのよ?必ず返すから」「いいよ」屋敷へ戻った聶桑楡は早速、寧鈺軒に店を決めたと報告した。「海坊で最高の店が手に入ったの!開店したら来てね」「…夫人、実は海坊の名門の令嬢と知り合う良い方法があるぞ?」それは寧鈺軒が招待された王錦堯の祝宴だった。つづく( ๑≧ꇴ≦)ポンちゃんw笑ったwwwww
2024.04.11
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第10話「梅の痣」裏山で仲良く星を眺めた聶桑楡(ニェサンユー)と寧鈺軒(ネイギョクケン)。寧鈺軒は貴賓室まで聶桑楡を送って行ったが、そこへ鬼白(キハク)が駆けつけた。「候爺、見回りしたところ怪しい者が…侍衛は配置済みです」刺客が真っ先に狙うのは貴賓室、そこで寧鈺軒は聶桑楡も薪小屋へ移るよう命じた。すると鬼白は手際良く布団をまとめ、苜蓿(ムーシュ)ならすでに安然な場所へ移動させたと伝える。「じゃあ私もそこへ…」「なりません!」寧鈺軒は薪小屋の窓から外の様子をうかがっていた。しかし聶桑楡は貴賓室を取られた腹いせに寧鈺軒が芝居していると誤解、同じ寝台に寝るのだけは断ると釘を刺す。寧鈺軒は呆れながらも警戒を怠らなかったが、やがて聶桑楡は寝台に座ったまま眠り始めた。…それにしても聶桑楡じゃないならそなたは一体、誰だ?…その時、寧鈺軒は聶桑楡の右肩に梅の花のあざがあったことを思い出したが、ふいに聶桑楡が目を覚まして確認できない。すると寧鈺軒の読み通り貴賓室に刺客が現れた。寧鈺軒は剣戟の音に気づき、聶桑楡を残して出て行くことにする。「おとなしく隠れていろ、そなたには手出しさせない」駅站に現れた刺客たちを全滅させた寧鈺軒はさらに森に潜んで新たな刺客を迎え撃つことにした。計画通り刺客一行の襲撃に成功、しかしあと一歩という所で聶桑楡を人質にした刺客が現れる。「近づいたらこの女を殺すぞ?!」「あなたのことが心配で、つい外に出ちゃって…(^-^;」聶桑楡はうっかり薪小屋から出たところを、死んだふりをしていた刺客に捕まっていた。聶桑楡は寧鈺軒が自分を助けないと知っていた。しかし寧鈺軒は鬼白たちに下がるよう命じ、剣を捨ててしまう。実はその時、寧鈺軒はふいに幼い頃、人質となった自分を救うため剣を置いた父の姿を思い出していた。刺客は聶桑楡を突き飛ばすと、標的の寧鈺軒は腹を刺されてしまう。すると寧鈺軒が隠し持っていた短剣で反撃、隙をついて聶桑楡を連れて逃げ出した。やがて2人は川に追い詰められ、仕方なく飛び込んでしまう。寧鈺軒は駅芳(エキホウ)客桟で目を覚ました。鬼白の話では生け捕りにした刺客たちが尋問の前に全て自害したという。「問いたださずとも首謀者は明らかだ…私の海坊行きを容易に阻めると思ったか」実は深手を負って気を失った寧鈺軒を運んできたのは聶桑楡だった。「夫人なら中庭で薬を煎じています」「至急、聶桑楡の行方を調べさせろ…あれは恐らく別人だ」川に流された寧鈺軒と聶桑楡は岸に打ち上げられた。その際、偶然にも聶桑楡の衣の肩が裂け、聶桑楡の肩にあるはずのあざがなかったという。…早く気づくべきだった、なぜ聶桑楡と同じ顔を?どうして私の前に現れた?…一方、海坊に向かった袁朗(エンロウ)たちは林海(リンカイ)駅站(エキタン)にいた。中庭は骸で埋め尽くされていたが、寧鈺軒と聶桑楡の亡骸はない。恐らく政敵が寧鈺軒を狙ったのだろう。…寧鈺軒といると小姐が危険だ、早く連れ戻さなければ…海坊への旅に戻った寧鈺軒と聶桑楡。すると聶桑楡は馬車の揺れで傷口が痛む寧鈺軒を隣に座らせ、自分に寄りかかるよう促した。「結構だ」「遠慮しないで」聶桑楡は強引に寧鈺軒の頭を自分の肩に乗せると、ぽんぽんと優しく叩いた。「私がいるわ、誰にもあなたに指一本ふれさせるものですか、私が守ってあげる」しかし気がつくと聶桑楡が先に眠っていた。…そなたは私と生死を共にした最初の人間だ、できるだけ早く記憶を取り戻させて数々の謎を解き明かしたい…やがて一行は海坊に到着、港町は賑やかで珍しい物が多かった。聶桑楡は馬車の窓から目を輝かせていたが、寧鈺軒は県衙に到着した途端に帰りたくなるはずだという。「珠を賭けるか?」「寧府よりはましよ~全部、賭けてもいいわ」「珠にご執心だな、これからは紅珠(ホンジュー)と呼ぼう」聶桑楡は赤い豚の″紅猪″と同じ音だと不満だったが、ふと寧鈺軒の藍珠(ランジュー)も怠惰な豚の″懶猪″と同じ音だと気づいた。「ぴったりだわ、藍珠」「いいだろう、紅珠…″藍珠″と″紅珠″か、対になっていて悪くない」「は?…そうね」その頃、凌剣星(リョウケンセイ)はまたしても刺客が失敗したと聞いて落胆していた。すると檀(タン)王から密書が届く。…軽挙は慎むべし、寧を海坊入りさせよ…海坊は海賊の拠点とあって県衙(ガ)は荒らされ放題、酷い有り様だった。寧鈺軒は聶桑楡に奥の屋敷を見に行くよう促したが、予想通り悲鳴を上げて逃げ帰って来る。実は母屋には棺が置いてあった。しかし確認してみると棺の中は空だと分かる。「前任の県令は一家全員で崖から飛び降りた、残された者はいない 何者かがここを霊堂に仕立て棺を置いたのだ、これは警告だ…私へのな」すると寧鈺軒は紅珠をちらつかせ、聶桑楡に掃除を頼んだ。日が暮れる頃になってようやく使用人たちが正庁に現れた。家職の陸徳奎(リクトクケイ)は代表して挨拶し、まさか今日が到着だと思わなかったと笑ってごまかす。しかし寧鈺軒はすでに掃除も住んだと伝え、休んで良いと追い返した。「明日から勤めに励んでくれ」寧鈺軒は使用人たちのふざけた態度が誰かの指示だと分かった。恐らくこれまでも同じように新任を出迎えたのだろう。「かような歓迎を受けた以上、いかにして返礼するかな…」つづく
2024.04.10
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第9話「手料理に秘めた悪意」寧鈺軒(ネイギョクケン)の降格処分に不安が募る侍女の苜蓿(ムーシュ)。しかし聶桑楡(ニェサンユー)は赴任先が海坊(カイホウ)だと知り、左遷ではなく別の意図があると気づいた。ともかく牢獄で苦労した夫をねぎらうべく厄払いの火またぎを準備して出迎えたが、寧鈺軒は嫌がらせだと憤慨して寝殿に逃げ込んでしまう。「私を助け出そうとしたと聞いたが戻った早々、これだ!」すると鬼白(キハク)が誤解だと大夫人をかばった。「足を洗う湯にも夫人が選んだ新鮮な文旦の葉が入っています 本当に厄払いのためだったのでしょう」寧鈺軒は迷信など信じないと強がったが、独りになると聶桑楡の突拍子も無い気遣いに失笑してしまう。一方、袁朗(エンロウ)は茶幇(チャホウ)の仲間がいると聞いた海坊に寧鈺軒が左遷されたと知り、様子を探りに行くと決めた。寧鈺軒は凌剣星(リョウケンセイ)を敵に回した聶桑楡を都に残して行くことに不安があった。そこで海坊に同行するよう命じたが、聶桑楡は都で店を開くため行かないと断る。すると第二夫人・温婉(オンエン)が海坊に連れて行って欲しいと懇願にやって来た。寧鈺軒は突っぱねるつもりだったが、温婉の話を聞いた聶桑楡がすっかり海坊に魅了される。「海坊は他国の商人や珍しい物も多いとか、それに色々な料理があって美味しいと聞きました」「それ本当?!」「うん」「じゃあ私も行く!」寧鈺軒は聶桑楡を説得してくれた温婉も連れて行くことにしたが、出発の前日に事件が起こる。聶桑楡が温婉のささげ料理を食べて腹痛を起こしたのだ。寧鈺軒は生のささげには毒があると知っていた。そこでその夜、温婉を呼び出し叱責、海坊へは連れて行かないと決める。「本当に悪意はありませんでした」これまでの悪事がばれているとも知らず言い逃れする温婉、しかし寧鈺軒も今回ばかりは許さなかった。…聶桑楡は無防備すぎる、忠告しなくては…翌朝、寧鈺軒は留守を劉(リュウ)家職に任せ、聶桑楡とわずかな護衛で出発することになった。温婉は別れ際、許しを請うたが、すっかり温厚になった聶桑楡ももはや同情してくれない。「もういいわ」「許してくださったのですね」しかし聶桑楡は何も言わずに車に乗ってしまう。殊勝な様子で馬車を見送る温婉、しかしその顔は嫉妬で歪んでいた。その頃、海坊の港では帰海(キカイ)号が帰港、桑葚(ソウシン)が季銘(キメイ)を出迎えた。「老爺!老爺!ご無事で何よりです!」「桑葚、曼児(マンR)はどこだ?」実は娘の季曼は2ヶ月前、想い人いを訪ねると言って都へ旅立ったという。何も聞いていなかった季銘は激怒、直ちに都へ行くと決めた。寧鈺軒と聶桑楡は都を出発、その夜は林海(リンカイ)駅站(エキタン)で休むことになった。寧鈺軒は自分より位が高い聶桑楡に部屋を取るよう頼んだが、聶桑楡はわざと1部屋だけ薪小屋を用意させる。「あなたは薪小屋よ、誥命(コクメイ)夫人の特権は本人にしか使えないらしいわ 二品は貴賓室って決まってるから~じゃあね~」聶桑楡は寧鈺軒が部屋を替えろと押しかけてくるはずだと踏んだ。しかしいつまで経っても寧鈺軒は現れない。「変ね~(はっ!)そうだ、最近は話をしていなかったわ!」聶桑楡は裏山で星空を眺めながら、近況を報告していた。「聞いてよ、最近は変な人たちに会うし、変なことも起こるの、嫌な奴にも会ったわ」その頃、寧鈺軒も裏山を散策していた。実は皇帝は投獄された寧鈺軒が陥れられたと気づいていたが、助け出す口実がなかった。しかし聶桑楡の救出作戦が転機となり、皇帝は寧鈺軒を無法地帯の海坊に左遷すると決め、風紀を正して朝廷の直轄地に取り込むよう命じる。『その後、そちを都へ連れ戻す』寧鈺軒は拝命したが、海坊では自分も脆弱だと分かっていた。…父上、どうかお守りください、必ずや茶幇の残党を見つけて父上の敵を討ち、太平の世を築いて父上の魂を慰めます…するとどこからともなく聶桑楡の声が聞こえて来た。「海坊では今までと違う日々だといいなあ~意味不明なことは忘れたいの、もしも私が…(はっ!)なぜここにいるの?!」聶桑楡は寧鈺軒がこんな所まで追いかけて来た理由を知っていた。「部屋の交換はお断りよ?」しかし寧鈺軒は失笑、どうやら見込みはずれだったらしい。「星がきれいだから明日は晴れね~」「分かるのか?」「信じないの?明日になれば分かるわ」すると聶桑楡は寧鈺軒の隣に座り、星や星座の名前を教えた。「天気だけじゃない、星の位置によって今の刻限まで分かるのよ?」「どこで習った?」「さあね、なぜか知ってるの」「他に知っていることは?例えば過去のこととか…」「ないわ…でも星がいる、星が友だちなの、ちょっと肩を貸して」聶桑楡は寧鈺軒の腕に手を回し、頭を肩に乗せて夜空を見上げた。「人は死んだら星になるんですって、そして天から私たちを見守ってくれるの 私たちが故人を思う時、故人も私たちを想ってる、愛する気持ちは永遠なの 居場所が天に変わっただけ、私たちを愛し、守り続けてくれる」「ありがとう…」「何?」「いや何でもない」つづく( ;∀;)ウチのわんこたちも見てるかしら…ゥッ…
2024.04.09
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第8話「夫救出作戦」聶桑楡(ニェサンユー)のため腐れ文士たちののどを潰した寧鈺軒(ネイギョクケン)。これではかえって自分の仕業だと疑われると気づき、聶桑楡は露店で頭を抱えていた。すると以前、一緒に店を出さないかと誘ってくれた公子・袁朗(エンロウ)が現れる。「悪意のある噂を聞いて心配になったんだ、良かった気晴らしに行かないか?」しかし運悪く公子と歩いているところを寧鈺軒に見られてしまう。袁朗は郊外に出かけ、聶桑楡と苜蓿に野菜の小麦粉焼きを振る舞った。「子供の頃の味なんだ、母を早くに亡くして父とその仲間に育てられた 家が貧しかったから良くこれを作ってくれた」しかし話を聞いても聶桑楡は全く心当たりがないようだった。「でもその家族ももういない、匪賊に村を焼かれて死んだんだ 長年、その仲間の縁者を探していて、いつか集まりたいと願っていた やっと見つかったが、相手は俺に気づいてくれない…」袁朗は落胆したが、自分も店を持つのが夢だと話し、聶桑楡と意気投合した。その夜、聶桑楡が非晩閣へ戻ると寧鈺軒が待っていた。聶桑楡は寧鈺軒のおかげで本当の毒婦になってしまったと抗議したが、寧鈺軒は鬼白(キハク)に命じて人を遣わし、知っていることを白状させて証拠を集めただけだという。「じゃあなぜのどが潰れたの?」「白状することが多過ぎたのだろう…ふふ」寧鈺軒は自分の功績を鼻にかけたが、肝心の凌剣星(リョウケンセイ)を取り逃したと悔しがった。実は凌剣星の名を出した文士もいたが、急に″自分が凌剣星の名を使って大事にした″と名乗り出た者がいたという。「身代わりね!凌剣星のヤツ!」「奴を誘き出す手を使った、必ず罰を与えてやる」「そうこなくっちゃ!…え?なぜそんなに私を気にかけるようになったの?」「それは…二品誥命(コクメイ)夫人を侮辱することは許されないからだ」「なるほど~私が好きなの?」驚いた寧鈺軒は慌てて話題を変えた。「ところでどこへ行っていた?」「行き先まで報告しろって言うの?」その時、鬼白が駆けつけた。「大理寺が押し入って来ました」昨夜、西の荒れ寺で流民が虐殺された。その中の母子が寧鈺軒と関わりがあると判明、寧鈺軒が殺めた疑いがあるという。後ろ暗いところがない寧鈺軒は素直に応じ、鬼白に荒れ寺をすぐ調査するよう命じてから同行した。袁朗から刺客の話を聞いた了然はふいに昔のことを思い出した。あれは数年前、黄漢(コウカン)という茶幇の者と偶然、知り合い、生き残っている仲間たちが″ある者″に従って海坊(カイホウ)へ行ったと話していたという。ある者が誰なのかは分からなかったが、名を挙げた者ではなく、なぜか財を成して仲間から慕われていたらしい。すると袁朗は荒れ寺を襲った刺客が藤(トウ)の履き物だったことを思い出した。「あれは漁民のものだ」一方、寧府では第二夫人・温婉(オンエン)が寧鈺軒を心配して涙していた。聶桑楡は女主人として気丈に振舞っていたが、そこへ荒れ寺を調べた鬼白が戻ってくる。「すぐ候爺に知らせて来ます、急を要するので大理寺に押し入ります」「鬼白、いくらあなたが強くでも無理よ?」そこで聶桑楡は令牌代わりの誥命服を持参し、寧鈺軒が収監されている御史台獄を訪ねた。門衛は誰も通せないと追い返したが、聶桑楡は誥命服の威力で脅し、さらに銀子をつかませて面会することに成功する。「なぜ来た?!」寧鈺軒は惨めな自分の姿を聶桑楡に見せたくなかったが、用があるのは聶桑楡ではなく鬼白だという。実は聶桑楡が連れて来た侍女は女装した鬼白だった。鬼白は誥命服の下に隠していた証拠の品を見せた。そのひとつは袁朗が落とした手巾で茶幇の紋章が刺繍されている。「2組が争った痕跡があり、一方は武芸者です」すると寧鈺軒は藤の履き物を手に取り、その軽さから船乗りが使うものだと分かった。しかし流民を殺して自分に罪をかぶせたのは凌剣星のはず、なぜ阿狼(アロウ)が関わっているのか。「もしや茶幇は海坊に?一度、行かねば…とにかく今は聶桑楡と戻れ この件は危険が伴うが転機となり得る」こうして短い時間ながら寧鈺軒と鬼白の話が終わり、聶桑楡は帰ることにした。「行きましょう」「あ…その~何か私に言うことは?」寧鈺軒は思わず聶桑楡を引き留めた。そこで聶桑楡は隠し持っていた小箱を渡し、鬼白を連れて来た功績とおやつの差し入れで珠を2つもらうと念を押して出て行った。聶桑楡は寧鈺軒と鬼白の話からだいたいの状況が分かった。今回の件は寧鈺軒が流民に刺されたことが発端だが、寧鈺軒は刺した母子を追求せず、流民たちを助けたという。「流民も可哀想ね、さまよったうえに朝廷の争いに巻き込まれて殺されるなんて… だけど寧鈺軒ってずいぶん良い役人なのね」しかし翌日、都では寧執政が流民を虐殺したと噂が広まった。これに激怒したのが酒楼にいた聶桑楡の妹・青雲(セイウン)。姉夫婦の悪口を言うなと鞭を振り回し、騒ぎを起こした。そこへ巡回中の陶思維(トウシイ)が駆けつける。「陶大哥!」「もしや青雲か?…都を離れる時はまだ子供だったのにすっかり成長したな」陶思維に憧れていた青雲は急にしおらしくなったが、兄を貶める輩をどうしても許せなかったと訴えた。その夜、柳(リュウ)嬷嬷は候爺への誤解を解こうと非晩閣を訪ねた。寧鈺軒は血も涙もない冷血漢と言われているが、幼い頃は明るく活発な子供だったという。しかし父親を亡くしてから自室にこもるようになり、ようやく外へ出て来た時には何も話さなくなっていた。1年後にやっと声が戻ったが、今度は母親がなくなり、それ以来、寧鈺軒は涙を見せなくなったという。「辛いことがあっても決して弱音を吐かず、嬉しいことがあっても笑わなくなりました ですが大夫人が崖から落ちて戻ってから、また笑顔を見せるようになったのです 幸せが訪れたと思っていたのに、またこんなことになるなんて…」「今まであの人のことを分かっていなかった…そんな大変なことがあったのね」聶桑楡は必ず救い出すと約束、翌日、例の腐れ文士を訪ねた。聶桑楡は腐れ文士に銀子をちらつかせ、寧鈺軒の汚名をそそぐ話を書いて広めるよう頼んだ。しかし方々に手を回したせいで、苜蓿は銀子が底をつきそうだと心配する。聶桑楡はそれでも寧鈺軒が清廉潔白な役人であることは事実だと言った。「悪をのさばらせたくないの」その夜、寧鈺軒は突然、皇帝から呼び出された。皇帝は寧鈺軒の匪賊討伐を叱責したが、寧鈺軒は決して民に手を出したことはないと釈明する。「寧執政は良い妻を持って幸運だったな!都中で噂しているぞ? 代々、忠義な寧家の陌玉(バクギョク)侯が陥れられたとな! そちの酌量を願う列は皇宮まで達しそうな勢いだ!」皇帝は翌朝の朝議で寧鈺軒を断罪、官吏は極刑にできないことから爵位封号を剥奪したうえ執政の職を解き、海坊へ左遷した。凌剣星は早速、檀(タン)王に報告したが、海坊の県令だと聞いた檀王の顔色が一変する。「ご安心を、海坊へは足を踏み入れさせません」一方、聶桑楡も苜蓿から寧鈺軒の左遷が決まったと聞いていた。しかし海坊だと聞いた聶桑楡はただの左遷ではないと気づく。「どうやら別の目的がありそうね…」つづく( ๑≧ꇴ≦)イヤイヤイヤ〜どうみても鬼白の変装、バレバレでしょうwww
2024.04.08
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第7話「家族との再会」二品誥命(コクメイ)夫人の冊封を祝う宴の日。聶桑楡(ニェサンユー)は自分で稼いだ100両を投じて豪華な宴席を準備したが、″都一の毒婦″と呼ばれる寧(ネイ)夫人の招待に応じる客は1人もいなかった。その時、見るからに大物の一家が現れる。聶桑楡は喜んだが、実は西北から駆けつけた自分の両親と妹・青雲(セイウン)だと分かった。聶向遠(ニェキョウエン)と夫人は別人のように穏やかになった娘の姿に困惑した。いつも姉に折檻されていた青雲は母の後ろに隠れて怯えていたが、聶桑楡が崖から落ちて本当に記憶がないと知り、むしろ安堵する。すると聶桑楡は差し入れの西北土産に目をつけ、父を非晩(ヒバン)閣に引っ張っていった。聶桑楡は西北の珍しい品を都で売れば儲かると考えた。しかし聶向遠は娘に商いなど無理だと一蹴、そもそも運賃がかさんで儲けなど出ないという。聶桑楡は落胆したが、聶向遠は娘が自分で稼がねばならないほど陌玉(バクギョク)侯に虐げられていると誤解した。「(ヾノ・∀・`)違う違う~実は寧鈺軒(ネイギョクケン)と離縁して化粧品の店を開くの 崖から落ちて目覚めたらすっきりしたわ⤴︎ 寧鈺軒も私を愛していないし、顔以外は良いところがないの 近寄らせてもくれないくせにね、離れるとのぞき見するのよ~」「やめなさい!…閨房(ケイボウ)の秘め事を人に漏らすでない!」「はあ?@うさぎ風」誥命服姿の聶桑楡が寧鈺軒に手を引かれ登場、祝宴は晴れやかに始まった。しかし結局、集まったのは家族だけ、聶桑楡は急に銀子が惜しくなってしまう。「やはり夫が負担すべきじゃない?」「だが規則で支払いには事前の報告が必要だ 私が払っても良かったが、そなたが身銭を切って宴を開くと聞いてな、仕方なく手を引いた」「じゃあ…折半にしない?」「だが規則は規則だ」「あそう、なら使った銀子の分だけ食べて飲むわ!」聶桑楡はやけ酒ですっかり酩酊、寧鈺軒に絡み始めた。「あなたはどうやら私の想い人だわ~甘い香りがする~♪これは私の想い人の甘い香りよん♡」聶向遠は娘の失態に眉をひそめたが、その時、偶然、聶桑楡が身につけている玉佩に気づいて呆然となった。その夜、客桟に帰った聶夫人は娘が夫に虐げられたせいで人柄が変わってしまったと泣いていた。しかし聶向遠は人格が変わったのではなく、娘ではない可能性に気づく。実は聶桑楡は季銘(キメイ)に託された養子だった…『向遠大哥、放浪の身で赤子2人を抱えては生きていけない 事情がなければ決して手放さぬが…』『安心しろ、妻を娶って1年あまり、まだ子はおらぬ、実の娘のように育ててみせる』すると季銘は双子が生まれた時に恩人からもらった玉佩を取り出した『上弦の月を姉のほうに渡す、姉妹である証しとなる』『この子に変わって玉佩を守ってみせよう、きっと互いを見つけられるはずだ』…聶向遠は当時のことを思い出し、娘がなぜ下弦の月の玉佩を身につけていたのか考えあぐねた。そこですぐさま故郷の欒(ラン)県で季銘を探すよう命じる。「よいか、必ず見つけ出せ」一方、凌剣星(リョウケンセイ)は寧家で誥命夫人冊封の祝宴があったと知り、花見の宴で名声を傷つけられた怒りが再燃した。「思い知らせてやらねば…名声が地に落ちる気分をな」するとちょうど阿正(アセイ)が寧鈺軒の負傷の原因を調べ上げていた。寧鈺軒はあの晩、西の荒れ寺に匪賊が集まると聞きて駆けつけたところ、女子供の流民だったという。「つまり流民に刺されたと?」どうやら父親の敵討ちのため匪賊を厳しく討伐し、寧鈺軒は流民から恨みを買ったらしい。「もし流民が虐殺されたら刑部は真っ先に誰に疑いを向けるかな?ふっ」翌朝、聶桑楡はひどい二日酔いで目を覚ました。苜蓿(ムーシュ)から宴席で酔っ払ったと聞いたが、全く記憶にない。何でも聶桑楡は宴席で寧鈺軒に抱きつき、″想い人″と呼んでいたとか。しかも夜は候爺の部屋へ出かけ、しばらくすると候爺が布団で巻いた聶桑楡を担いで送って来たという。「その時も候爺と一緒に寝たいと言って困らせて…ふふ そうだ、候爺から宴の費用として100両の銀票が届きました 候爺は夫人を気遣っていますね、候爺と一緒に眠れる日も近いです!」「何言ってるの?!」実は寧鈺軒が聶桑楡を布団で包み、縛り上げたのには理由があった。聶桑楡は酔った勢いで寧鈺軒を押し倒し口づけ、驚いて逃げ出した寧鈺軒を追い回していた。都には文人崩れの集まりがあり、銭さえもらえばどんな噂も平気で広めた。今回の標的は寧夫人。聶桑楡は根も葉もない悪評を風聴され激怒し、男装して講談に乗り込んだ。しかしかえって騒ぎになり、群衆から野菜を投げつけられてしまう。その夜、寧鈺軒は裏門からこっそり帰って来た聶桑楡を見咎めた。「待て…なぜそんな姿に?」「腐れ文士のせいよ!私が馬を殺して食べたって言うの…凌剣星の仕業に違いないわ! 皆に攻撃させるなんて…ぐすん」寧鈺軒は珍しく気落ちしている聶桑楡に同情し、優しくゴミを取り除いてやった。「言わせておけ、相手にするな、今後は聞いてはならぬぞ、分かったか? そうだ、紅色の玉を1個やろう」すると聶桑楡は寧鈺軒に抱きついて泣いてしまう。「ヨシヨシ…大丈夫だ、私が何とかする」一方、茶幇(チャホウ)の袁朗(エンロウ)たちは寧鈺軒が捜索したと聞いた西の荒れ寺に向かっていた。「仲間が捕まれば悲惨な末路をたどることになる…」その時、雷鳴と共に流民たちの悲鳴が聞こえ、袁朗たちは全速力で走り出す。すると仮面をつけた賊が流民たちの寝込みを襲い、すでに多くの骸が転がっていた。袁朗は生き残った流民を叔父の寺で保護した。実は刺客の腕に茶幇の紋章があり、何者かが茶幇を陥れるつもりだと疑う。しかし了然(リョウゼン)は今や寧鈺軒の他に茶幇を知る者などいるはずないと否定した。翌日、聶桑楡が講談の様子を見に行くと、あの腐れ文士はのどがつぶれて声が出なくなっていた。そこで苜蓿に調べさせたところ、都中の腐れ文士たちが一様に声が出なくなったと分かる。(๑•̀ㅂ•́)و✧<さすが候爺、一晩でやり遂げましたね!( ;∀;) <何のんきなこと言ってるの?!最悪よ~!腐れ文士たちに何かあれば当然、疑われるのは聶桑楡、これでは″都一の毒婦″を自ら証明したようなものだ。つづく( ゚ェ゚)二品なのにあまり迫力はない衣装w
2024.04.08
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第6話「蟹の宴」寧鈺軒(ネイギョクケン)に同伴してしぶしぶ皇宮にやって来た聶桑楡(ニェサンユー)。しかし花見の宴に招かれた高貴な婦女たちに気づき、実は痕消し膏を売り込む格好の機会だと分かった。そこで寧鈺軒が立ち話している隙に夫人たちに近づいたが、聶桑楡を見つけた陶思維(トウシイ)に捕まり、席に連れて行かれてしまう。「潔癖症の君のために私が卓をきれいに拭いておいたぞ!」「謝謝」「謝謝?!…私に礼を?!」実は聶桑楡は学堂の時から陶思維をこけにし、時には手をあげていた。陶思維は他人行儀な聶桑楡に傷つき、いつものように平手打ちしてくれという。記憶がない聶桑楡は困惑し、そろそろ皇帝が来るとなだめて話を切り上げた。「そうだな、また後で!」皇帝が御花園に到着、宴が始まった。皇帝の覚めがめでたい陌玉(バクギョク)侯夫婦は上席に座り、向かいには皇帝の叔父である檀(タン)王が、隣には凌剣星(リョウケンセイ)がいる。すると楽坊による美しい舞が始まった。聶桑楡はまた上客を見つけたと喜んでいたが、寧鈺軒に行儀良くしろと釘を刺されてしまう。聶桑楡は挨拶に来た凌剣星の嫌味を聞いて寧鈺軒とは犬猿の仲だと分かった。「何があったの?もしや想い人を奪ったとか?」「はあ?…奴は学問所にいた頃からあの調子だ」「学友なんだ~どこの学友も変わり者ばかりね、私が一番まともじゃないの(ボソッ」すると寧鈺軒は急に腹の傷がうずき、脇腹を抑えた。凌剣星は盛会を願って海坊(カイホウ)から取り寄せた蟹を振る舞った。しかも蟹の新鮮度を保つため、海水を満たした桶に入れて600里を早馬で運ばせたという。「おや、蟹が初めてでむけないのかな?」凌剣星はなかなか手をつけない寧夫人を揶揄、しかし聶桑楡は手慣れた様子で楽々と蟹をむいてしまう。すると凌剣星はそれほど気に入ったのなら寧府へ蟹を届けさせると鼻で笑った。(ヾノ・∀・`)<イヤイヤイヤ~民を酷使して公費を使い込んだ蟹を頂くなんて、そんなおこがましい~o(`ω´ )o<寧夫人!無礼な!凌剣星は声を荒げ、皇帝への侮辱でもあると糾弾した。宴席に不穏な空気が流れた。そこで聶桑楡はただ簡単に蟹の鮮度を保つ方法があると言いたかっただけだと釈明する。蟹料理は確かに鮮度をいかに保つかが決めて、実は香味野菜と酒に蟹を漬けて生のまま食べるのが一番美味しいという。「その名も″漬け蟹″です、すぐに作れます」「それは良い、では作ってくれ」皇帝は喜んで許したものの、寧鈺軒は戦々恐々だった。もし漬け蟹を食べて皇帝に何かあれば一族の首が飛ぶ。しかし皇帝は凌剣星の料理の数段上だと漬け蟹を絶賛、さらに聶桑楡を近くに呼んで談笑した。まさか寧夫人に面目を潰されるとは予想外、焦った凌剣星は余興として寧大人と手合わせしたいと申し出た。聶桑楡は病み上がりのため夫が万全でないと辞退したが、それまで黙っていた檀王がふいに口を開く。「陛下が幼く私が摂政だった頃は具合が悪くても休むことなどなかった 今の若い者たちは軟弱になったものだ…」檀王から遠回しに咎められた寧鈺軒は確かに興をそいでしまうと考え、腕比べに応じた。寧鈺軒と凌剣星はそれぞれ背中に小旗を挿し、先に相手の旗を奪った者が勝ちと決めた。こうして負傷の身ながら戦うことになった寧鈺軒、当然ながら力を出し切ることができず、劣勢に甘んじる。すると寧鈺軒が凌剣星に投げ飛ばされ、聶桑楡の前に吹っ飛んできた。「危ない!」聶桑楡は無我夢中で寧鈺軒の元に駆けつけたが、寧鈺軒は突進してくる凌剣星に気づき、聶桑楡をかばって剣を振った。その時、思いがけず聶桑楡が凌剣星の隙を見て背中から旗を奪うことに成功する。バーン!( °ω° )/▶︎ <陛下!旗を取りました!聶桑楡は御前に呼ばれた。すると皇帝から将軍家の娘ともあろう者が一対一の対決に割り込むとは何事かと叱責されてしまう。「寧執政、こたびの対決はそちの負けとする」聶桑楡は寧鈺軒の足を引っ張ってしまったと落胆したが、皇帝の話には続きがあった。「だが夫婦の絆の強さと互いを思いやる心を目にして朕は感じ入った 夫婦の心が1つなら家は安寧、家の安寧は国家の安泰だ」そこで皇帝は聶桑楡に高官の母や妻だけに与える二品の誥命(コウメイ)夫人に封じた。「はあ?@うさぎ風…陛下、そうではないんです、そんなつもりでは…」しかしまさか皇帝の勅命を断れるはずもなく、聶桑楡はその場で拝命するしかなかった。屋敷に戻って寧鈺軒の薬を交換する聶桑楡、しかしすっかり落ち込んでいた。「誥命夫人に封じられたのに、なぜ意気消沈するんだ?」「冊封より離縁を選ぶわ、身分なんていらないのに… それにしても誥命夫人用の衣、売ったらかなりの銀子が手に入りそう♪」「下賜された物を売ったら死罪だぞ?」「チッ!なら痕消し膏を″誥命膏″という名に変えるのはどう?」「離縁するんだろう?」「(はっ!)そんな急いで離縁しなくてもいいわ」すると寧鈺軒は掟通り数日後に冊封の祝宴を開くと言った。欲に目がくらんだ聶桑楡は離縁をしばらく延期、その代わり勘定だけはきっちりさせてもらうという。聶桑楡は2色の珠でできた首飾りの紐を切り、それぞれの色に分けた。「この珠1つで100貫に相当すると考えて、あなたは藍色、私は紅色ね? で相手の役に立ったら珠を1つ得る、逆に害を与えたら1つ没収よ 離縁する日に珠の数で精算しましょう」すると聶桑楡は傷の縫合で1つ、薬を塗って1つ、箱の中に2つの珠を入れた。しかし寧鈺軒は今の2つで珠1つ分だという。「負傷を黙ってあげた」「じゃあ手当と合わせて2つだ」「そうだ、誥命夫人に封ぜられ、寧家の名声を高めた!これは2つ分の貢献ね!」「だが必要以上の注目を集めた、1つだ…」「ふん!この分なら寧府を離れるまでにひと財産築けそうだわ」一方、凌剣星は聶桑楡を甘く見過ぎていたと後悔していた。しかし手合わせしたおかげで寧鈺軒がかなりの重症を負ったと見抜く。自分の読みが正しければ怪我は匪賊討伐と関係があるはずだ。「陛下は職権を越えての調査を禁じている もし事実なら寧鈺軒は自分で自分の首を絞めたことになるな…ふっ」聶桑楡は正室の寝殿である薔薇園に戻れることになった。しかし自分で手入れした部屋に愛着があり、このままで良いと断る。そこで反省させる目的の″思過閣″を″非晩(ヒバン)閣″と改名、痕消し膏も″非晩霜″に改めると決めた。鬼白(キハク)の報告で知った寧鈺軒は″非晩″と聞いてすぐ王勃(オウボツ)の句だと気づく。「東隅己逝 桑楡非晩…か、なかなか趣があるな」また聶桑楡は上客を取り込むため、自分で稼いだ100両で冊封の宴を準備するという。どうやら聶桑楡は自分が″都一の毒婦″であることを忘れたらしい。「ふっ、誰が宴に来る?」「聶将軍一家がお見えになります」つづく※王勃「縢王閣序」より「東隅己に逝けども桑楡晩き非ず(日の出は過ぎたがまだ日の入りではない→まだ遅くないという意)( ๑≧ꇴ≦)思過閣…どんだけMなのwwwww
2024.04.06
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第5話「4年越しの初夜」流民に刺されて重傷を負った寧鈺軒(ネイギョクケン)。不覚にも思過(シカ)閣で倒れ、危ないところを聶桑楡(ニェサンユー)に救われた。そのおかげで翌朝は弱みを握った聶桑楡から散々、けなされてしまう。するとようやく鬼白(キハク)が戻ってきた。実は薬を手に入れたあと賊に襲われ、銀子や薬材を盗まれてしまったという。寧鈺軒はともかく誰にも知られぬよう居所へ戻ることにしたが、少しでも動かそうものなら激痛が走った。「候爺(ホウイェ)…もう少し回復するのを待っては?」聶桑楡と苜蓿(ムーシュ)が前庭で薬を煎じていると第二夫人・温婉(オンエン)がやって来た。温婉は脱出に失敗した聶桑楡を心配して差し入れを持ってきたと言ったが、どうやら寧鈺軒を探しに来たらしい。無理に断ることもできず困惑する聶桑楡、その時、殿内から寧鈺軒の怒号が聞こえた。「帰れ!」こうして屋敷中に寧鈺軒が思過閣にいることがばれてしまう。屋敷を出て行く予定だった聶桑楡は家財道具をほとんど処分していた。そこで寧鈺軒は自分の居所の物を全て運ばせ、勝手に内装を変えてしまう。一方、温婉は寧鈺軒と聶桑楡が床を共にしたと誤解、食事も喉を通らなくなった。そんな温婉の心配を他所に今夜も寝台を占領する寧鈺軒。聶桑楡は長椅子で寝るほかなく、仕方なくつい立てで目隠しを作ってから横になった。2人ともなかなか寝付けずにいたが、寧鈺軒は聶桑楡がどうして適確に診断して手当できたのか、ふと疑問に思う。しかも慣れた手つきで自分の腕と寝台を″水手(カコ)結び″で縛っていた。…聶桑楡、なぜそんなに変わったんだ?…その頃、檀(タン)王は右執政・凌剣星(リョウケンセイ)を呼び出し、叱責していた。寧鈺軒と皇帝を離間させたい檀王、しかし凌剣星は一向に成果を出せずにいる。「どんな手を使ってでも寧鈺軒を倒し、同平章事(ドウヘイショウジ)になる必要がある さもなくばその命も煙のように消え去るだろう」翌朝、聶桑楡は悪夢にうなされる寧鈺軒の声で目を覚まし、脇腹を強くつねって無理やり起こした。すると運悪く報告に駆けつけた鬼白に見られてしまう。聶桑楡は慌てて逃げ出したが、回廊で控えていた苜蓿は主の4年越しの初夜を喜んでいた。鬼白はてっきり寝台で2人が睦合っていたと誤解した。「候爺…言動が一致していませんね…ふふ」「うぉ(我)…」ばつが悪い寧鈺軒は思わず書物を放り投げ、それより調査結果を聞いた。鬼白を襲った刺客は匪賊に扮していたが入れ墨はなく、衣も違い、まるで禁軍のようだったという。寧鈺軒は凌剣星に気づかれたと焦り、負傷したと知れないよう釘を刺した。「で、薬はどうだった?」「大夫人の処方を医者に見せたところ、問題はなく、むしろ見事だと感心していました」寧鈺軒はようやく起き上がれるまでに回復した。すると窓から前庭で軟膏を作っている聶桑楡の姿が見える。別人のように変わった妻は美しく、つい見とれてしまう寧鈺軒。( ・ノェ・)コショッ<夫人、候爺が見ていますよ♪しかし苜蓿に気づかれた寧鈺軒は慌てて姿を隠してしまう。「…苜蓿、外に出られる方法を思いついたわ」聶桑楡は寧鈺軒の性格を逆手に取り、薬を塗るので衣を脱ぐよう迫った。驚いた寧鈺軒はふとんをかぶって徹底抗戦、あまりのしつこさにうっかり口を滑らせてしまう。「もう少し離れてくれないか?」「言ったわね?!…離れろというなら困らせないように従うわ!」すると聶桑楡はあっさり引き上げ、出かけてしまう。寧鈺軒はいざ聶桑楡がいなくなると心配になり、鬼白に連れ戻せと命じた。「候爺、まだ出かけたばかりですが…なぜ急いで呼び戻すのですか?」「あ…薬を塗らせるのだ」茶幇(チャホウ)の袁朗(エンロウ)は花の市で偶然、露店で痕消し膏を売っている寧夫人を見かけた。そこで趙龍(チョウリュウ)と趙虎(チョウコ)を先に帰し、独りで店に立ち寄ってみる。すると確かに寧夫人は自分が贈った玉を身につけていた。袁朗はわざと袖をまくって内衣の刺繍を見せたが、寧夫人は全く気にも留めない。…噂どおり記憶を失っているのか?茶幇の紋章も忘れているとは…「私は袁朗、各地を巡っている商人だ、銀子を出すから一緒に店を開かないか?」「一緒に?…公子、初めて会ったのにそんな話を?」その時、苜蓿が鬼白の姿に気づいた。「夫人!鬼白です!」袁朗は寧鈺軒の侍衛だと気づき、興味があるなら望花楼(ボウカロウ)へ来るよう伝えて引き上げた。「また会おう」聶桑楡は薬を塗るために連れ戻された。しかし寧鈺軒はすでに薬を塗り替え、何もすることがない。「会いたかったの?」「チッ…んなわけあるか」すると寧鈺軒は侯爵夫人ともあろう者が露店で商いなどするなと叱った。「自分で稼ぐことがなぜ恥なの?」「なぜそんなに稼ぎたいんだ?」「それはね…あなたときれいさっぱり別れるためよ 崖から落ちて記憶を失くしたけれど、幸運にも生き返って新しい自分になれたんだもの」「私にとっては記憶を失ってくれたことが幸か不幸か…(ボソッ」「もう決めたわ、私たちは別々に生きた方がお互いに幸せよ、あなたの傷が治ったら出て行く」凌剣星は寧鈺軒が風邪ではなく、負傷して療養していると怪しんだ。そこで夏に善戦した龍驤(リュウジョウ)軍に褒美を賜るよう朝議で上奏、目論見通り皇帝は褒賞を認め、御花園で花見の宴を開いて功臣たちを労うと決める。「皆も家族を連れて参加すると良い」「陛下、龍驤軍の勝因は寧執政が手配した軍糧と武器です 寧執政が不参加では兵士たちも失望するでしょう」「確かにそうだ、ならば寧執政に必ず参加するよう伝えよ」陶思維(トウシイ)と秦奕閑(シンエキカン)は凌剣星が寧鈺軒を引っ張り出すために仕組んだと分かった。寧鈺軒と大夫人の不仲は周知の事実、もし2人が公の場で争えば寧鈺軒は体面だけでなく、未来も失うことになるだろう。聶桑楡は宴への同伴を断った。しかし勅命のため寧鈺軒は何が何でも正妻を連れて行かねばならない。そこで聶桑楡は今すぐ自分を離縁すれば温婉を連れて行けると足下を見た。「宴に参加してくれるなら離縁に同意するやも…」「私を脅してもだめよ、同意なんて必要ないから」「知っているのか?私が離縁書に署名せねば、夫婦共有財産となる つまり店を開いていくら稼ごうとも半分は私のものだぞ?」すると聶桑楡の顔色が一変した。「この冷血漢!ギギギギ…じゃあ今回は妥協してあげる!」つづく(  ̄꒳ ̄)候爺、もう完全に好きですやんw
2024.04.05
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安乐传 The Legend Of Anle第21話帝承恩(ディチォンエン)は快気祝いと称して任安楽(レンアンルー)を沅水閣(ゲンスイカク)に呼び出した。「あの宴以来、太子殿下は毎日お見舞いに来て、私が喜びそうな物や薬を届けてくれるの」承恩は殿内にわざと山のように珍品を並べ、卓にはこれ見よがしに皇太子が10年も梓元(ヅユアン)に送り続けた文を置いていた。「殿下は稀に見る好男子だから大切しなくちゃね」「…任大人、嫉妬しないの?だってあなたは太子妃の座を狙っていたのよね?」しかし安楽は皇太子に恋情はないという。「帝小姐の夢が運命の人と添い遂げることでも私は違う、色恋より大切なことがあるの」承恩は安楽にまで見下され憤慨、ならば皇太子と距離を置くよう迫った。「疎遠を心がけているけれど、公務の時だけは諦めてもらう(キッパリ」「…無礼な」その時、韓燁(ハンイェ)が現れた。すると韓燁は帝承恩に静養するよう釘を刺し、安楽の腕をつかんで出て行ってしまう。安楽は人目を気にして言動には注意すべきだと韓燁を諌めた。「君のようにか?…君の完璧な演技にすっかり騙された」韓燁は鎌をかけたが、安楽はしらばくれた。「いつ私が騙したかしら?」仕方なく韓燁は古斉善(コセイゼン)を連れ去るために苑書(エンショ)と刺客に芝居を打たせたことだと言った。「君が嘘をついても私は怒らない、だがいつか君の口から真実を聞かせて欲しい…」すると韓燁は安楽を連れて行きたい場所があると誘った。上元の夜、韓燁と安楽は賑やかな街に出かけた。すると韓燁は安楽を橋で待たせ、うさぎの灯籠を買って戻ってくる。安楽は幼い頃、韓燁と2人で出かけた灯籠祭りを思い出しながら、子供じみていると笑った。「宮殿を嫌う梓元と2人で祭りに来たことがある その時、わずか銅貨10枚のうさぎの灯籠を2つ贈った だがその翌日、16日が梓元の誕辰だと知ってな 私は視察へ発つ直前のため、咄嗟に梓元に文を書いたのだ ″ゆうべの灯籠は誕辰の贈り物だ″と…ふふ、ケチな太子だと思われたに違いない あれから10年が過ぎた…」「些細なことまでよく覚えているのね?」「些細なことではない、靖(セイ)国と帝家の縁談は天下太平のための策であった 梓元とは幼い頃に婚約を交わした、しかし常にそばには侍衛の洛銘西がいたのだ だからあの上元は2人きりの唯一の思い出だ」真実を明かせなくても分かり合える韓燁と梓元だけの記憶、しかしそこへ苑書が駆けつけた。実は忠義侯(チュウギコウ)が除夜の宴に使った刺客を化縁(ケエン)山で始末するつもりだという。安寧(アンニン)は安楽本人から事の次第を聞き出そうと考え、出かけることにした。しかし遊びに来た北秦(ホクシン)の莫霜(モーシュァン)公主に足止めされてしまう。実は冷北(ランベイ)は姜瑜(キョウユ)から軍の名簿を手に入れるよう急かされていた。姜瑜は帝承恩から帝家軍籠絡に協力する約束を取り付けたという。そこで冷北は妹に公主の気を引いてもらい、隙を見て眠り薬を仕込んだ。その頃、化縁山では罠とも知らず、古雲年が息子が来るのを待っていた。するとなぜか皇太子と任安楽がやって来る。…まずい!謀られた!…古雲年は驚いて逃げようとしたが、韓燁と安楽に捕まった。その時、突然、煙玉が爆発、辺りは真っ白な煙に覆われ、刺客たちが襲いかかる。…今度は何者だ?…古雲年は何が起こっているのか見当もつかなかったが、どうやら狙いは自分ではなく皇太子と任安楽だと分かった。多勢に無勢の中、懸命に応戦する韓燁、しかし安楽を助けようとして肩を刺され、崖から転落してしまう。「ハンイエェェェェェェェ!」安楽は無我夢中で韓燁を追いかけ、崖から飛び降りた。姜瑜の企みが成功、皇太子は行方不明となり、古雲年は数々の悪事が暴かれ投獄された。冷北は安寧から盗んだ名簿を姜瑜に送って公主府に戻ったが、何も知らない安寧は泥酔したせいで寝入ってしまったと自分を責めている。「将軍、冷静に、お2人はきっと生きています」実は皇太子と安楽が落ちた地点にはちょうど大河が流れていた。皇帝は内密に皇太子を捜索させていた。それでは手遅れになると安寧は禁衛軍を動かすよう嘆願したが、皇帝は表沙汰になれば民に動揺が広がり、敵国の耳に入れば取り返しがつかないという。安寧は息子より国を案じるのかと父を激しく非難、勅命がなくとも探しに行くと反発した。刑部の大牢では古雲年が拷問でぼろぼろになったところで洛銘西の尋問が始った。「自ら実父に引導を渡すとはな…」息子の供述書を見た古雲年は呆然、これまでの功績が我が子の手により無に帰したと肩を落とした。しかしあくまで刺客の件は知らないと訴える。「ふっ…愚息の証言は全て認めよう、ただし西郊大営が関わる罪状は一切、認めぬ! まったくの濡れ衣だ」洛銘西は古雲年が今さら言い逃れするとは思えなかった。一体、裏で誰が手を回しているのか。…安楽、どこにいる?無事でいてくれ…安楽と韓燁は川に落ちて流され、無事に岸に上がっていた。しかし安楽をかばって刺された韓燁は憔悴し、身体も冷え切っている。「韓燁!死んでは駄目!すぐ迎えが来るから…まだ借りも返していない!」「安楽…温朔(ウェンショウ)は…」「あんな子供の話をしている場合じゃない!眠っちゃダメ!」「私は…」すると韓燁は昏睡してしまう。安楽は韓燁を背負って近くの洞窟まで運んだ。しかし寝ずに介抱を続けても韓燁はなかなか目覚めない。「あなたに前世で借りでもあるのかしら?なぜ私をかばったりしたの? 婚礼が近いのに、10年も待った帝梓元を悲しませるつもり?」「…ただ君を助けたくて」「韓燁?!」韓燁はついに目を覚ました。「初めて己に正直に振る舞った…その結果、君を守ることができて嬉しい」しかし韓燁は再び意識を失ってしまう。翌朝、韓燁が目を覚ますとそばに安楽がいた。「ずっと見守ってくれていたのか?」回復した韓燁は身体を起こしたが、今度は衰弱した安楽が韓燁にもたれかかるように倒れてしまう。その時、韓燁は思わず安楽の肩を確認した。すると確かに傷がある。洛銘西は安楽が海賊との交戦で肩を刺されたと誤魔化していたが、韓燁は嘘だと見抜いた。…君の傷跡を私が見間違うはずがない…帝承恩は皇太子が行方不明と知って失望した。皇太子がいなければ当然、皇太子妃になるという夢はついえてしまう。「君が案じるのは己の栄耀栄華なのか?」慕青(ムーチン)の思わぬ指摘に驚いた承恩は、案じているのは″自分たち″の将来だと言い直した。倒れた安楽を介抱する韓燁。しかしその夜、安楽の身体が冷えていると気づき、抱き起こして温めることにした。梓元を腕に抱きながら、10年越しの想いが天に届いたと感慨深い韓燁、やがて一緒に眠りに落ちて朝を迎える。すると安楽は韓燁の胸の中で目を覚ました。「私なら大丈夫よ…それに太子殿下の腕に抱かれて得した気分だわ」安楽はいつものように茶化して照れ隠しした。「太子を迎えるのは閻魔様でも恐れ多いのね、ふふ、海賊の命に価値などないけれど…」「任安楽の命には価値がある、私が一生をかけて守る価値が…」韓燁はそこで話を切り上げ、食べ物を探しに出かけた。…私ったらこんな荒れ地で何を考えてるの?ふふ、でも今はこの幸せに感謝しよう…つづく( ๑≧ꇴ≦)傷があったぁぁぁぁぁぁ!
2024.04.04
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安乐传 The Legend Of Anle第20話鍾海(ショウカイ)の告発を後押しし、忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)を窮地に追い込んだ皇太子・韓燁(ハンイェ)。今日は任(レン)府で安楽(アンルー)、洛銘西(ルォミンシー)と祝杯を上げながら、除夜の宴に現れた刺客が変わった剣を落としていったと教えた。「私の読みが正しければ朝廷の腐敗を一掃できる、靖(セイ)国に正義が戻るだろう」すると侍従の吉利(キツリ)が駆けつけ、安寧(アンニン)公主が皇太子府で待っていると知らせた。安寧は兄に鍾海の身を守って欲しいと頼んだ。韓燁は忠義侯ならすでに力を失ったと安心させたが、思わぬ事実を知る。「江南で帝(ディ)家が鋳造した銀貨を使った飾り物を見つけたの、その持ち主が鍾海だった」「(はっ!)帝家軍の生き残り?…実は安寧、ある者も江南で鍾海の行方を追っていた」「誰?」「…任安楽だ」一方、洛銘西は翎湘楼(レイショウロウ)に場所を移し、安楽に帝家の潔白を示せる証人がいると明かした。「恐らく安寧は聞いてはならないものを聞いた」安楽はこれまで安寧を巻き込みたくないと拒んでいたが、事情が変わった。…私が安寧の口を開かせないと…安寧は帰りの道すがら、安楽がなぜ鍾海を探していたのか考えあぐねていた。するといつの間にか任府の前に出てしまう。安寧はそこで引き返すことにしたが、その時、夜更けというのに任府の門が開き、安楽と侍女の苑琴(エンキン)が辺りを警戒しながらどこかへ出かけて行った。安楽は人里離れた無縁墓地を訪ね、墓参りを済ませて帰った。安楽を尾行した安寧は誰の墓なのか確認に行ったが、墓標の名を見て愕然となる。「帝燼言(ディジンイェン)?帝家の一人息子…梓元(ヅユアン)の実の弟よ?!」呆然とたたずむ安寧、その様子を安楽が物陰から密かに見ていた。翌日、皇太子府では韓燁が安楽を思い浮かべながら筆を取っていた。書き上げた絵姿は靖南(セイナン)で初めて見た赤い傘を差す美しい任安楽…。「再会していたのに気づいていなかった…」韓燁もまた任安楽が10年も恋焦がれた梓元だと確信していた。「全身全霊で守りたいが、君のそばにいるのはいつもあやつだ…」すると温朔(ウェンショウ)に安楽の姿絵を見られてしまう。「殿下~まもなく妃を迎える方が安楽姐を想うのはまずいのでは?ふふ」「温朔?そう言えばなぜいつも安楽姐、安楽姐と呼ぶ?」温朔は改めて聞かれてもよく分からなかったが、初めて会った時から安楽に親しみを感じたという。「…私より勘が良いな(ボソッ」「そうだ、殿下、刺客が落とした剣は西郊(セイコウ)大営の剣でしたよ!」「フン、やはり忠義侯か…」韓燁は早速、任府を訪ねた。しかし朝も早いうちから安楽と洛銘西が院子で碁を打っている。韓燁は10年前と同じように安楽に張り付く洛銘西に嫉妬しながら、例の刺客は西郊大営の兵士だったと伝えた。安楽は早速、洛銘西と捕まえに行くと言ったが、韓燁はなぜ自分ではないのかと困惑する。( ̄꒳ ̄)<殿下は太子妃が決まって忙しいのだろう?公務もある…フン( ー̀ωー́ )<洛大人こそ己の本分を果たせ!(^ꇴ^)<もういいわ、太子殿下が暇なら一緒に来て~<フフン、楽大人も元気なら共に来ても良いぞ?( ̄꒳ ̄)<幼稚…一方、古雲年は自分を罠にはめた相手とは知らず、左丞相に泣きついていた。姜瑜(キョウユ)は皇帝に弁護しておくとなだめて帰したが、帝承恩(ディチォンエン)の言葉通り任安楽が脅威だと分かる。「忠義侯をここまで追い詰めるとは…何が何でも潰さねば、しかしまずは忠義侯だ 奴が消えれば西郊大営は烏合の衆と化し、国境を侵されてもまともに防げまい、ふふ」安楽たちは刺客を洗い出すため西郊大営にやって来た。すると韓燁が除夜の宴で刺客と渡り合った時、腕を刺したという。「身分は隠せても負った傷は隠せぬ、任安楽、そうであろう?」「…そうね」安楽は肩の傷の件を思い出し、咄嗟に安楽寨にいた頃は多くの傷を負ったと誤魔化した。洛銘西も安楽が海賊との交戦で肩を刺され、三日三晩も昏睡したことがあったと取り繕う。「それは知らなかった…二度と深傷を負わせないよ」「私に深傷を負わせる者など今の都にいない、太子殿下、心配無用よ」安楽たちは除夜の宴の日に留守だった兵士を調べるため、書房で手分けして名簿を探した。自然と安楽を目で追ってしまう韓燁、やがて洛銘西が名簿を見つけたと声をかける。「あったの?!」すると台に上がって探していた安楽が慌ててうっかり足を踏み外した。しかし咄嗟に韓燁が抱き留め、2人は折り重なるように倒れてしまう。その時、安楽が4話で韓燁の碁盤に置いた赤い石が転がり落ちた。「私があげた碁石を持ち歩いているの?」「ぁ…″待った″をかけるのは卑怯だと思っていた だが最近、この石を見て思った、碁とは違い人生は一度きり しくじった時は″待った″をかけても良いかと…」「私がいつ″待った″をかけたの?」「そうだな、記憶違いだ…任安楽、力及ばぬ時には私に助けを求めよ」「殿下こそ″待った″をかけたいことは早く忘れるのが身のためよ」(´・_・`)お、おぅ…結局、除夜の宴に軍営を抜け出した者は見つからなかった。刺客はどうやら西郊大営とは無関係らしい。韓燁はまたしても忠義侯が裁きを免れると落胆したが、安楽はすでに他の証人を見つけていた。古雲年に都を追い出された古斉善(コセイゼン)の一行が郊外で襲撃された。すると覆面の男は護衛たちをあっけなく殺し、車から古斉善を引っ張り出す。しかし危ないところで苑書(エンショ)たちが駆けつけ、刺客を生け捕りにした。「誰の差金?!」驚いたことに刺客は忠義侯府の令牌を持っていた。「申し訳ない、公子、忠義侯の命を受けて口封じに…」古斉善は信じられなかったが、苑書は父親が天秤にかけて息子より忠義侯府を選んだのだと揺さぶった。「辛い決断だったのね、何ならうちの小姐が助けてくれるかも…」朝廷では姜瑜が裏で手を回し、古雲年を糾弾する奏書が皇帝に次々と届いた。しかし急報が届き、古斉善が任安楽に捕らえられ、罪を認めたと知る。「独りで罪をかぶるとは孝行息子だな」「いいえ、陛下、実は古斉善は忠義侯の悪行を暴き立てました」そんな事とはつゆ知らず、古雲年は皇帝に拝謁できる機会を今か今かと待っていた。すると侍衛の李由(リユウ)が急いで左丞相からの文を届ける。…任安楽の追捕(ツイブ)から斉善を救い出した、今夜、化縁(ケエン)山まで迎えに来い…韓燁は御宸(ゴシン)殿に父皇を訪ね、古雲年を弾劾した。皇帝は性急すぎる結論は民も望まないと戒めたが、刺客が落としていった剣が西郊大営の剣だと知ると顔色が一変する。「まさか朕を失望させるとは…太子、この件はそちに任せよう」皇帝は皇太子が任安楽を連れて軍営に行ったと知った。しかし任安楽は褒賞として刀の鞘だけを受け取ったはず、総管・趙福(チョウフク)は任大人もその意を察して皇太子と距離を取っているはずだとなだめる。「それに軍営には洛大人も同行しました 梅花衛の調べによると洛大人は任大人が上京した折に知り合ったようです」「まあよい、見張らせよ」一方、沅水閣(ゲンスイカク)で静養している帝承恩は苛立ちを隠せずにいた。皇太子を呼びに行かせてもなしのつぶて、聞けば韓燁は皇帝を助けた自分ではなく任安楽を訪ねているという。実は任安楽は大晦日の五柳街の火事で皇太子を救っていた。何も知らなかった帝承恩は安楽へ激しい嫉妬の炎を燃やし、慕青(ムーチン)に任府へ行くよう頼む。「任大人を屋敷へ招待したいの」安楽は皇帝が洛銘西と自分の関係を疑って翎湘楼を探らせたと聞いた。琳琅(リンロウ)の機転で事なきを得たが、洛銘西はむしろ堂々としていればいいと笑う。しかし古雲年の失脚も目前、勝負も終盤にさしかかり、安楽は自分たちの間柄も秘密ではなくなると言った。「帝家の汚名をそそぐため正体を明かすと決めたのか?」「決めたわ」「はお…韓燁と帝承恩の婚礼が絶好の機会になる」「決定的な証拠が欠けているけれど…矢をつがえたら射るしかない」安寧には正体をばらしたが、真相を明かすかどうかの決断は本人に委ねるしかない。すると琳琅が苑書を連れて来た。「小姐、帝承恩が沅水閣に招待したいそうです、快気祝いだと…」瑇(タイ)山を調べさせていた韓燁は帝承恩が毎日、欠かさず臨書していた書き付けを手に入れた。確かに梓元の筆跡だったが、本人なら自分の身に起こった事を書き写さずとも忘れるはずがない。…やはり別人だったのか…すると吉利が帝小姐に招かれて任大人が沅水閣へ出かけたと報告した。″12月8日、帝梓元は韓燁と決別″つづく( ๑≧ꇴ≦)もう古雲年のHPは0なのにwwwwww
2024.04.04
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第4話「脱出大作戦」すっかり別人になってしまった聶桑楡(ニェサンユー)に疑念を深める寧鈺軒(ネイギョクケン)。そんな中、大夫人が出て行くと聞いた第二夫人・温婉(オンエン)は真偽を確かめるべく思過(シカ)閣を訪ねた。聶桑楡は温婉の思惑など知らず絶対に出て行くと宣言、親切にも最後の″痕消し膏″を贈ってしまう。寝殿をあとにした温婉は自分が手を下すまでもないと知ってほくそ笑んだ。「檀香(ダンコウ)、これ、あなたにあげる」聶桑楡は痕消し膏で一儲けできると思いつき、千怜雪(センレイセツ)に協力を求めた。怜雪はまた面倒を起こせば鞭打ちどころではないと渋ったが、半夏(ハンゲ)は確かに肩の傷がきれいに治ったと報告し、実はその残りを顔にも使ったという。すると怜雪は言われてみれば最近、半夏の肌が柔らかく、みずみずしいと気づいた。「実は十分な銀子を稼いだら寧鈺軒と別れるの、でも今の私は追い詰められている 皆に嫌われ、傷もまだ治っていないわ、あなたの力が必要なの」「私の?」千怜雪と半夏の宣伝が功を奏し、使用人たちはこぞって痕消し膏を購入した。あとは傷が完治したら離縁して出て行くだけとなった聶桑楡、そんなある夜、怜雪が思過閣に駆け込んで来た。「大夫人、大変です!薔薇園の薔薇が一夜で全部、散りました! あの薔薇がなければ痕消し膏が作れません!」実は温婉の侍女・檀香が薔薇園にお湯を撒き、薔薇を枯らしていた。その頃、鬼白(キハク)は陌玉(バクギョク)侯に今日の大夫人の様子を報告していた。痕消し膏の売り上げは合計90両20文、まだ衣を数枚ほど新調できる額だったが、どちらにしても商売は頭打ちになるという。「薬材となる薔薇が全て散りました」寧鈺軒は誰の仕業か察しがついていたが、聶桑楡がこれからどうやって離縁まで漕ぎ着けるのか興味があった。翌日も痕消し膏を求める使用人の長い列ができた。しかし今日から限定販売になり、すぐ売り切れになってしまう。千怜雪は聶桑楡の指示通り薔薇園の花が全て散ったせいで作れなくなったと明かし、それがかえって購買意欲を掻き立てた。最近では痕消し膏の噂を耳にした令嬢たちからも問い合わせが殺到、聶桑楡は販売を制限することで付加価値をつけることに成功する。一方、茶幇(チャホウ)の阿狼(アロウ)こと袁郎(エンロウ)は寧鈺軒の暗殺を後回しにすると決めていた。「暗殺よりも重要なことがある…」寧鈺軒と本当の夫婦になりたい温婉。そこで観心を買おうと人参の汁物を差し入れたが、自分の世話をする必要などないと追い返されてしまう。「顔色が悪いようだ、そなたが自分で飲みなさい」一方、思過閣にも陶思維(トウシイ)から滋養のある品々が届いた。聶桑楡はなぜ陶思維が自分に親切なのか分からなかったが、苜蓿(ムーシュ)の話では2人は学友だったという。「私を嫌いじゃない人もいたのね…」すると千怜雪が嬉しそうにやって来た。聶桑楡の″痕消し膏を売らない作戦″で、驚いたことに温婉が食いついたという。「温姨娘(イーニャン)は顔色が悪いと候爺に追い返されたとか そこでやっと使用人たちの肌が美しいと気づいて欲しくなったのです でも今は入手困難で誰も譲りたがらない、結局、3倍の値段で手に入れたそうです」「変ねえ~前に1瓶、あげたのに…まあいいわ」聶桑楡は寧府を去る目処がついたため、部屋にある物を何でも持って行くよう勧めた。この屋敷を出たら店を開き、痕消し膏を売るという。怜雪はそんな聶桑楡が羨ましかった。怜雪には科挙を受ける弟がいるため、寧鈺軒の助けが必要で離れることはできないという。「大丈夫よ!助けが必要な時はいつでも会いに来て、だって私たちは最高の商売仲間でしょう?」「うん!」翌日、聶桑楡は政務中の寧鈺軒を訪ね、梨を渡した。いよいよ明日、寧府を出て行くという。「馬車も手配したわ、正門に戌の刻よ、あなたが何を企もうと出て行くから、いいわね!」そして当日、大夫人を見送ろうと正門に寧府の人間が集まった。しかし戌の刻になっても聶桑楡は現れない。実はその時、聶桑楡と苜蓿はこっそり裏門から出ようとしていた。「再見、寧鈺軒!ふん!」聶桑楡はかんぬきを外して門を開けたが、衛兵たちが立ちふさがっていた。聶桑楡の計画は失敗、門を閉じてひとまず落ち着こうとしたが、振り返ると寧鈺軒が立っていた。「簡単に出て行けると本気で思っていたのか?」「性格が合わないなら無理することないわ」「ならなぜ手を尽くして嫁いだ?」「若い娘は愚かなものよ、私も最近、気づいたの」「自分勝手な…誰か、夫人を思過閣へ」「思いやりってものがないの?!あなたみたいな冷血漢、親でも手に負えなかったでしょうね!」両親を持ち出された寧鈺軒は急に顔をこわばらせ、衛兵に聶桑楡を引き渡してしまう。「連れて行け」そこに鬼白が駆けつけた。西の荒れ寺に先日の賊が逃げ込んだ可能性があるという。寧鈺軒は精鋭を連れて荒れ寺に乗り込んだ。しかし流民は数十人、そこで寧鈺軒は流民たちの腕を調べるよう指示する。あの時、阿狼は聶桑楡をかばって腕に矢を受けていた。すると幼い我が子を抱いた母親が寧鈺軒に助けを求めて来る。「大人(ダーレン)、この子を助けてください、もう3日も食べていません!」寧鈺軒は寒そうな母子に自分の外套を掛けることにしたが、その時、母親に腹を刺されてしまう。「グッ…なぜだ…」「悪徳役人は殺す!お前は残酷にも私たちの親族を皆殺しにした! 何が″匪賊を一掃し、民に利をもたらす″よ!」精鋭たちは一斉に流民たちに剣を向けたが、寧鈺軒は追及しなかった。寧鈺軒の怪我は重傷だった。朝廷の役人を刺せば重罪、刑部や大理寺に知られたら母親の命はないだろう。寧鈺軒は今夜の一件を口止めし、自分の手当てより貧しい流民への対応を優先した。実は寧鈺軒がこの数年、匪賊の討伐に力を注いだのは、父の死に関わる茶幇を探り、天下を安定させるためだった。…手厳しくやり過ぎたのか、まさか私が間違っていたと?…寧府を出て行くと決めた聶桑楡は思過閣の物を全て処分していた。閑散とした殿内で悶々とした夜を過ごす聶桑楡、すると突然、腹から血を流した寧鈺軒が現れる。「どうしたの?!すぐ医者を呼ぶわ」「ならぬ、誰も知らせるな…」その頃、寧鈺軒の政敵である右執政・凌剣星(リョウケンセイ)は鬼白が夜更けに独りで都を出たと聞いた。「しっかり見張れ」聶桑楡は寧鈺軒の傷を確認、ひとまず止血薬で押さえたが、出血が酷く飲み薬が必要だった。そこで処方箋を書いて苜蓿に渡す。「薬房で探して煎じてきて」一方、鬼白は寧鈺軒のため薬を手に入れ、都に戻る途中だった。しかし馬が罠にはまって落馬、何者かに捕まってしまう。阿正(アセイ)は鬼白が持っていた薬材を没収し、凌剣星に届けた。「調べたところ、血を止めて痛みを抑える薬です、効き目の強さから深手を追う者が飲む薬かと 念のため金めの物を盗んで山賊を装いました」「引き続き寧鈺軒を見張れ」翌朝、寧鈺軒は無事に目を覚ました。しかし昨夜は激しい痛みのせいで何があったのか覚えていない。「なぜ私はここに?!」「覚えていないの?夜通し薬を飲ませたのよ?」聶桑楡は呆れながら何があったのか説明した。夜更けに寧鈺軒が血まみれで寝殿に現れ、何とか寝台まで運んだが寧鈺軒が言うことを聞かなかったという。ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)<なんてざまなの~ケタケタケタそれでも放っておくわけにいかず、暴れる寧鈺軒の手足を寝台の角に縛りつけ、さらに竹尺で口をこじ開け、馬糞包入りの薬湯を飲ませたという。ꉂꉂ(ᵔᗜᵔ*)<だって飲まないと死んじゃうから~ヒャヒャヒャ~いい気分♪つづく※″梨(リ)を送る″=″離(リ)を送る″、別れを告げる意
2024.04.02
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第3話「離縁状」寧鈺軒(ネイギョクケン)の人気を利用して一儲けしたものの、没収されてしまった聶桑楡(ニェサンユー)。しかし思いがけず陌玉(バクギョク)侯と食事できるなら500両を出すという強者が現れた。そこで寧鈺軒を誘い出そうと殊勝に振る舞ってみたが失敗、侍女・苜蓿(ムーシュ)の話では侯爺の関心と言えば匪賊の討伐だけだという。折しも″阿狼(アロウ)″の名を白状した刺客が急死し、寧鈺軒は血眼になって匪賊を追っていた。「もうお手上げだわ~あの人を動かせるものは何もないの?!」「あ…そう言えば、陛下から下賜された西域の汗血馬がお気に入りです」聶桑楡は寧鈺軒の汗血馬を連れ出し、返して欲しければ魁星(カイセイ)楼へ来るよう書き置きを残した。それにしても聶桑楡はなぜここまで必死なのか。寧鈺軒は聶桑楡の真意を訝しみ、射手を率いて魁星楼へ出かけた。聶桑楡と苜蓿が魁星楼で待っていると寧鈺軒が現れた。「ぁ、夫君!こちらがあなたを慕う高(コウ)小姐よ」すると高小姐は急に逃げ出し、代わりに覆面の刺客たちが現れ、包囲されてしまう。「阿狼と言うのはお前か?」なぜか悠然と構える寧鈺軒、すると外で待機していた射手が一斉に矢を放ち、乗り込んだ。聶桑楡は寧鈺軒が端から罠だと踏んでやって来たと気づいた。すると追い詰められた袁朗(エンロウ)が寧夫人を捕まえ、人質にする。しかし寧鈺軒は妻が盾にされても動じなかった。「代償を払おうともお前を捕らえる」「ふっ、あんたの旦那、にわかに信じ難い非情な夫だな?」その時、袁朗は寧夫人が身に付けている玉に気づいて動揺した。寧鈺軒はそのわずかな隙を突いて矢を放ったが、袁朗は咄嗟に聶桑楡を突き飛ばして助け、窓を突き破って配下と共に逃げてしまう。寧鈺軒は配下に聶桑楡を任せ、残りの衛兵を連れて阿狼たちを追った。しかし山道を馬で駆けて行くと、やがて寺に行き当たる。配下が捜索したが賊を発見できず、寧鈺軒は弟子以外が入れない蔵経閣に踏み込もうとした。すると大師の了然(リョウゼン)が立ちはだかり、一触即発となる。そこへ陶思維(トウシイ)将軍が駆けつけ、寧鈺軒を止めた。陶思維は巡回中に賊を追う寧鈺軒を見かけ、追ってきた。「皇室の廟がある寺だぞ?強引な捜索は死罪になる 私情を交えるな、敵討ちより左執政の立場の方が重要だ 凌剣星(リョウケンセイ)に付け入る隙を与えるな」寧鈺軒は仕方なく引き上げることにしたが、寺を見張らせることにした。阿狼こと袁朗は危ないところを伯父の了然に救われた。それにしても寧夫人はなぜあの玉を持っていたのか。実はあの玉は2つ合わせると満月になる玉佩で、袁朗が幼い頃、ある姉妹に贈ったものだった。了然は袁郎たちをかくまい、寧鈺軒たちを追い返してくれた。「野菜売りの馬車に潜み、お前たちも山を下りるといい あれから随分、時が経った、放念しても良い頃だ、当時のことは今も疑わしいことがあり…」「いいえ、明々白々です!奴も茶幇(チャホウ)を滅ぼそうとしている」「幇主も寧忠天(ネイチュウテン)もすでに他界してしまったのだぞ? お前が寧の息子を討っても因縁が終わることはない」しかし袁郎も寧鈺軒も互いにこの18年、復讐のためだけに生きて来た。「我々の対立が終わることはありません」「お前を寄霞(キカ)山で修行させても無駄だったな、その気性は今も変わらず、父親とそっくりだ」了然はもはや説得をあきらめ、望む通りにやれと許した。その夜、屋敷へ戻った寧鈺軒は前庭で聶桑楡を詰問した。婚礼の日には聶桑楡の凶行に呼応するように刺客が現れ、今度も聶桑楡が魁星楼におびき寄せている。聶桑楡は事情を説明したが、寧鈺軒は聶桑楡と阿狼が手を組んだと信じて疑わなかった。「私は何も知らない!面識のない人よ!」「ならなぜそなたをかばった?!」「知らないったら知らない!何度言わせるの?!」すると寧鈺軒はかつて聶桑楡が作らせた鞭をちらつかせ脅した。「線香1本分の猶予を与える…何と答えるべきかよく考えるんだな!」寧鈺軒は女子を鞭で打つわけにもいかず、ひとまず鬼白と書斎へ戻った。しかしあの様子では本当に偶然だったのかもしれない。鬼白も大夫人は何も知らないようだと進言した。「しばらく放っておけ、あとで思過(シカ)閣へ…」一方、第二夫人・温婉(オンエン)はこの機に乗じて聶桑楡を始末しようと企んだ。そこで王(オウ)嬷嬷(モーモー)を呼び付け、線香が消えたので大夫人を鞭で叩くようそそのかす。「候爺の命令を遂行すればお手柄よ?」温婉は物陰で大夫人が打たれる音を聞きながらほくそ笑んだ。しかし途中で騒ぎに気づいた寧鈺軒が駆けつけ、聶桑楡は危ないところで助けられる。鬼白は直ちに大夫人を思過閣に運んで医者を呼び、手当が終わると寧鈺軒に報告した。「重症でしたが薬さえ塗れば大事には至らず、じきに治るそうです」王嬷嬷に尋問したところ指示したのは温婉だと分かった。寧鈺軒は婚礼で刺された報復だと思ったが、鬼白から当日の思わぬ真相を聞かされる。実は婚礼の時、確かに温婉が寧鈺軒をかばって立ちはだかったが、聶桑楡は直前で思い止まっていた。すると温婉が聶桑楡の手をつかみ、自分で腹を刺したという。「罰を軽くすると条件を出したところ、王嬷嬷が白状しました」寧鈺軒は頭を抱えたが、聶桑楡がこれ以上、騒ぎを起こさぬよう不問にすると決めた。聶桑楡は激しい痛みで目が覚めた。すると看病に疲れた苜蓿が枕元で居眠りしている。聶桑楡は自分に優しくしてくれるのは苜蓿だけだと涙を流し、もはやこの屋敷に残る意味などないと悟った。。゚(∩ω∩`)゚。翌日、寧府に秦奕閑(シンエキカン)と陶思維がやって来た。すでに都では寧鈺軒が妻を打ち据え、聶桑楡が重傷を負ったという噂が広まっているという。秦奕閑は陛下の側近である聶将軍の娘に何かあれば栄達の妨げになると諭したが、陶思維は怒り心頭だった。「金瘡(キンソウ)薬だ、いいか?!今度、彼女を傷つけたら…」「寧 鈺 軒 !」その時、使用人がまだ動けない聶桑楡を長椅子に乗せて運んできた。聶桑楡は寧鈺軒に休書を渡した。「大夫人の座は他の人に譲るわ、明日、大手を振ってここから出て行く! 縁を切るわ、夫なんてもういらない!」秦奕閑は妻の方から離縁するなど聞いたことがないと失笑したが、陶思維は男女身分の別にかかわらず己の過ちを認めるべきだと肩を持った。「あら兄台、良いこと言うわね!」「シィォンタイ?…サンユー、私だ、陶思維だ」すると寧鈺軒は聶桑楡に記憶がないと説明し、2人を追い出した。陶思維は帰り際、聶桑楡に自分の薬を塗るよう伝えたが、寧鈺軒は思わず薬瓶の上に書物を置いて隠してしまう。「いいか、爵位を持つ者の婚姻は陛下が定める、寧府を離れたければ謁見して来い」「はあ?@うさぎ風 ここで話して!信用の置けない私をなぜ屋敷に留めるの?!意地でも出て行くから!」しかし寧鈺軒は使用人に命じて聶桑楡を思過閣に戻すよう命じ、話は記憶が戻ってからだと突っぱねた。聶桑楡は苜蓿に荷物をまとめてすぐ実家へ帰ると伝えた。しかし聶将軍は一家で任地の西北に移ってしまい、しかも嫁いでから父娘の関係が悪化していると知る。母親と妹の取りなしで少しずつ改善はしていると言うが、まさか寧鈺軒のせいで家族とも不仲になっていたとは心外だ。一方、寧鈺軒は鬼白に聶桑楡の様子を聞いていた。鬼白の調べたところ、やはり大夫人の目的は単に銭目当てだったという。「何か言っていたか?そのまま伝えろ」「″寧鈺軒のせいで家族とも不仲になった!我ながら見る目がない!″…あ、夫人の言葉です」「他には?」「″はいつくばってでも銭を稼ぎ、堂々と寧府を出て行く!″…と」「鬼白…あの日、お前が救ったのは本当に聶桑楡なのか?つづく( ๑≧ꇴ≦)転んでもただは起きないポンちゃんイイ!←違うけどw
2024.04.01
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第2話「過去との決別」放火を疑われた聶桑楡(ニェサンユー)は釈明するため夫の寝殿を訪ねた。すると湯船でぐったりしている寧鈺軒(ネイギョクケン)を発見する。驚いた聶桑楡は何とか引き上げて寝台まで運んだが、気がつくと寧鈺軒はすやすや眠っていた。「寝てんのかーい!…って、もう起きていなくても言わせてもらう! 火事は誰かが私を狙ったのよ!分かった?!まさかそこまで恨まれているなんてねえ~(はっ!)そうだ、鍵よ!」聶桑楡は慌てて飛び出したが、その様子を第二夫人・温婉(オンエン)が見ていた。翌朝、目を覚ました寧鈺軒はどうやって寝台までたどり着いたのか覚えていなかった。すると侍衛・鬼白(キハク)が現れ、大夫人が昨夜、焼けた厨房で何かを探していたと報告する。そこで寧鈺軒はただちに屋敷の人間を全て集めた。使用人たちは正殿に現れた大夫人を見ただけで怯えていた。聶桑楡は困惑しながら、元気そうな寧鈺軒を見つけて駆け寄る。しかし自分が助けたと明かしても、記憶にない寧鈺軒は無視した。「礼も言えないの?チッ」すると寧鈺軒は昨夜の火事について皆に釈明するよう命じた。聶桑楡は食べ物を探しに厨房へ入ったところ外から火が出たと証言し、錠をかけられ閉じ込められたと訴えた。証拠は現場で見つけた焼け焦げたかんざしと錠前、このかんざしの持ち主が犯人だという。劉(リュウ)家職は火事が起こったのが亥の刻のため、錠を掛けられるとしたら内院の上級侍女だけだと指摘した。上級侍女とは聶桑楡付きの苜蓿(ムーシュ)、温婉付きの檀香(ダンコウ)、千怜雪(センレイセキ)付きの半夏(ハンゲ)の3人。しかし苜蓿はその時間すでに眠っており、柳(リュウ)嬷嬷(モーモー)という証人がいた。困惑した千怜雪は真面目な半夏が火つけなどするはずないと訴えたが、半夏は罪人をかばえば主も同罪となる気づき、慌てて罪を認めた。半夏は大夫人を脅したかっただけで、殺すつもりなどなかったと涙した。「まさかあんなに燃えるなんて…」身の潔白を示した聶桑楡は得意げだったが、半夏が自分を恨んでいる理由を聞いて愕然となる。実は半夏は大夫人から罰せられ、肩に烙印を押されていた。例え以前の記憶がなくても自分が非道な行いをしたのは事実、聶桑楡は半夏だけでなく温婉や使用人たち全員に深々と頭を下げて謝罪した。「これまで皆に酷いことをしたわ、どうか許してください それから私が決めた常軌を逸した掟は今日かぎりで廃止します」こうして火事の一件は解決したが、寧鈺軒は聶桑楡のあまりの変わりように困惑するばかりだった。温婉は寧鈺軒を追いかけ、官服への着替えを手伝うと申し出た。しかし寧鈺軒は必要ないと断り、改めて本当の夫婦ではないと釘を刺しておく。「事が片付いたら家に帰す、下がれ」聶桑楡は半夏の肩の傷跡に責任を感じ、″痕消し膏″を作ることにした。しかし薬剤を買うにも銭がない。実は思過(シカ)閣に軟禁されてから手当が減らされ、嫁荷すら持っていなかった。苜蓿の話では陌玉(バクギョク)侯に嫁ぐと大騒ぎして父親が憤死寸前となり、嫁荷も結納もなかったという。すると苜蓿が鍵のかかった箱があったと思い出した。聶桑楡は恐らくへそくりだと期待したが鍵がない。そこで香炉のふたで鍵を壊して開けてみると、何と中身は全て寧鈺軒の姿絵だった。聶桑楡は千怜雪の招待で魁星(カイセイ)楼に出かけた。怜雪は寧府に身を寄せている寧鈺軒の従妹で、半夏の不始末のお詫びがしたいという。聶桑楡は過ぎたことだと許し、久しぶりに豪華な食事を期待したが、食卓に並んだのは菜食だった。「ぁ…今は肉や魚も食べるようになったのよ?」すると何やら酒楼が騒がしくなった。実は酒楼の前にあるのは寧鈺軒の勤め先である中書(チュウショ)省で、寧鈺軒に恋焦がれる令嬢たちが一目その姿を見ようと集まっているという。「そもそも酒楼での″陌玉侯観察″を始めたのは夫人です」「え?私が始めたの?…うっそ~ん、私がそんな事するはずないわ」「大夫人、本当に全て忘れてしまったのですね、表哥は都では大人気です 黄(コウ)小姐なんて表哥を間近で見ようとして階上から落ちかけました 李(リ)小姐は表哥と目が合っただけで気絶したんです」その頃、政事堂では寧鈺軒が政敵である右執政・凌剣星(リョウケンセイ)に牽制されていた。「正妻と側妻で流血の争いとはね、さらに賊まで現れ、賑やかな婚礼だったとか? 芝居でもここまで凝っていない…ふっ 民の手本となる陌玉侯が醜聞にまみれる日が来るとは理不尽なものだな~」翌日、聶桑楡は千怜雪のつてで酒楼に集まる寧鈺軒迷を訪ねた。令嬢たちは″都一の毒婦″に戦々恐々、しかし思いがけず聶桑楡から寧鈺軒の絵姿を買わないかと持ちかけられる。結局、値が吊り上がり宋(ソウ)小姐が80両で落札、その様子を隣の個室から見張っている男たちがいた。「面白い…まさか夫で一儲けしているとは」袁朗(エンロウ)は捕らわれた仲間を助けるため大夫人をさらおうと計画していたが、聶桑楡に興味が湧いた。翌日から噂を聞いた令嬢たちが思過閣に押し寄せた。寧鈺軒の絵姿は飛ぶように売れ、聶桑楡は協力してくれた千怜雪に分け前を渡し、薬材を購入する。こうして″痕消し膏″が完成、苜蓿は夫人が薬を作れるとは知らなかったと驚いた。「え?じゃあ料理は?」「厨房の場所さえご存じありませんでした」聶桑楡はなぜ自分が料理や薬を作れるのか分からなかったが、ともかく半夏に薬を届けることにした。「以前なら使用人なんて捨ておいたのに…本当に変わられましたね、夫人!」一方、生け捕りになった刺客は″阿狼(アロウ)″という南方の男が賊を集め、訓練させて賞金を与えていたと証言した。婚礼での暗殺も阿狼が計画したという。しかし本人に会ったことはなく謎の多い人物で、噂では右腕に入れ墨があった。「葉のような形をしていたと聞いた、これ以上は何も知らない!」屋敷へ戻った寧鈺軒は聶桑楡が自分の絵姿で一儲けしていると知り激怒、勝手に稼いだ325両を没収した。聶桑楡は落胆したが、苜蓿から大口の客が現れたと知る。…500両だすのでうちの小姐と侯爺で食事できませんか?…そこで聶桑楡は寧鈺軒を魁星楼に誘い出すため、策を講じることにした。つづく( ̄▽ ̄;)イーニャン、恐い恐いw
2024.03.31
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春闺梦里人 Romance of a Twin Flower第1話「奥様の大変身」…追っ手から逃れるため必死に森の中を走り続ける寧(ネイ)家の女主人・聶桑楡(ニェサンユー)しかし崖に追い詰められ、ついに逃げ場を失ったそこへ夫の陌玉(バクギョク)侯・寧鈺軒(ネイギョクケン)が駆けつける『私と戻るのだ』『私はやってない!嫁いで4年になる私に情はないの?!』『…これが最後の警告だ、戻れ!』『ふっ、あなたに呪いをかけてやる、私と同じように生涯、絶望し、苦しむがいい 安らかに眠らせるものですか…ふふふ、あははははは~!』すると聶桑楡はじりじりと後ろへ下がり、そのまま崖から身を投げてしまう…寧府の大夫人が目を覚ました。侍女の苜蓿(ムーシュ)は安堵したが、大夫人はどこか様子がおかしい。「″寧府″とか″大夫人″とか…何のこと?」何でも大夫人は崖から落下、川から引き上げられたものの、過ちを犯したせいで軟禁されているという。しかし大夫人は自分が何者なのか、何が起こったのか全く覚えていなかった。大夫人の名前は聶桑楡。鎮遠(チンエン)大将軍・聶向遠(ニェキョウエン)の娘で、寧鈺軒に一目惚れして嫁いで来た。今や″都一の毒婦″という通り名があるほど恐れられる寧家の女主人で、最近も侍女・半夏(ハンゲ)の些細な過ちに激高し、罰として焼印を押すよう命じたばかりだという。ヒイィィィ!!(゚ロ゚ノ)ノ<他の話にして~聶桑楡の夫・寧鈺軒は1日の大半を政務に費やし、今では左執政(サシッセイ)となった。立派な役人でありながら、自ら匪賊を成敗する英雄でもあるという。しかも都一の美男子で令嬢たちの憧れ、実は昨日、寧鈺軒が第二夫人を迎えたばかりだった。全ての発端はこの婚礼だったという。…寧鈺軒と温婉(オンエン)の婚礼当日侍衛・鬼白(キハク)は屋敷の護衛を増やし、客人の中にも紛れさせておいた『ここ数年、討伐の網をくぐり抜けた賊も多い、今日は私の婚礼 奴らが恨みを晴らす絶好の機会だ』寧鈺軒は婚礼を利用して賊を誘き寄せる計画だったが、そうとは知らない聶桑楡は最後まで絶対に側室を認めないと激怒していた招待客が見守る中、寧鈺軒と温婉の拝礼の儀が始まった寧鈺軒の読み通り客人に紛れる賊たち、その時、思わぬ邪魔が入る婚礼に反対していた聶桑楡が現れ、思い詰めるあまり背後から寧鈺軒に襲いかかったのだしかし温婉が身を挺してかばい、聶桑楡は過って温婉を刺してしまう殿内は騒然となった賊はこの機に乗じて寧鈺軒を殺そうとしたが罠だと気づき、逃亡してしまう…聶桑楡は温婉が無事だと聞いて胸を撫で下ろした。目下の急務はいかにここから逃げ出すか、しかしそこへ使用人たちがやって来る。「大夫人、侯爺(ホウイェ)がお呼びです」「侯爺?…行かないっ!」しかし聶桑楡は寧鈺軒が都一の美男子だと思い出し、どうしても顔が見たくなった。寧鈺軒は噂通りの美男子だった。思わず見惚れてしまう聶桑楡、もしかすると夫婦仲も侍女が言うほど悪くないのかも知れない。しかし寧鈺軒は温婉を刺した聶桑楡を糾弾、供述書に署名しろと迫った。「供述書?ナニナニ…罪婦聶桑楡は人を刺し、使用人を虐げ、その手段は悪辣で罪は重い よって自ら思過(シカ)閣にこもり、余生を静かに過ごします? もし再び罪を犯した時は寧鈺軒による裁きに身を委ねます…」聶桑楡は見目麗しい夫が実は獣のように残酷だと知り、深く落胆した。「私はやってない!」そこで聶桑楡は仮病を使って倒れたが、百戦錬磨の夫の目を誤魔化すことはできなかった。「最後の機会をやる!どぼけようが記憶を失おうが否定はできないぞ?」「一夜の夫婦も百日の恩って言うじゃな…」「一夜も共にしていない」実は寧鈺軒は聶桑楡はもちろん温婉とも本当の夫婦ではなかった。ともかく聶桑楡はこのままではらちが明かないと考え、ササっと署名して退散してしまう。聶桑楡は苜蓿と2人だけで思過閣へ追いやられた。長年、放置された冷宮は散らかり放題で埃だらけ、以前は聶桑楡もこの場所を毛嫌いしていたという。「まあ~ここに来たからには腰を落ち着けましょう、そうだ、苜蓿、3時経ったら戻って来て」苜蓿が食事を持って戻ると殿内は片付き、聶桑楡が独りでてきぱき掃除をこなしていた。「本当に大夫人ですか?…おやめください、恐ろしくなります、以前と全く違います」すると聶桑楡は以前の自分がどうであれ、これからはずっとこのままだと言った。「もう怖い目に遭わせないから、私を信じて」「信じます!大夫人、食事にしましょう!」しかし聶桑楡は夫の福を願って肉や魚を絶ち、菜食だった。( ̄▽ ̄;)<どうやら本当に愛していたみたいね…ハハハどちらにしても冷宮送りの身分では素食しか出してもらえないだろう。聶桑楡は気を取り直し、挽回するためにもめげずに食べ始めた。一方、寧鈺軒は聶桑楡を助けた鬼白を呼び、署名を見せた。聶桑楡の字は小さく流麗だったはず、今回の署名のように力強い筆法は10年以上の修練が必要だろう。鬼白は確かにあの無礼な態度も大夫人らしくないと首を傾げた。「聶桑楡め、何を企んでいる?」その夜、聶桑楡は空腹に耐えかね、厨房に忍び込んだ。運良く食材を発見し、自分でも驚くほど手際よく何品も料理を完成させる。その時、厨房の外で火の気が上がった。聶桑楡は逃げようとしたが、錠がかかって出られない。「こんなことなら崖から落ちて死んでおけばよかった…焼け死ぬよりマシよ…」厨房が火事になった。衛兵や使用人が駆けつけ消火にあたる中、騒ぎに気づいた寧鈺軒がやって来る。「侯爺、このままでは屋敷が全焼してしまいます」「厨房を壊せ」その時、燃え盛る炎の中からかすかに声が聞こえた。「誰か!助けて!」寧鈺軒は幼い頃に火に巻かれた時の恐怖を思い出し、矢も盾もたまらず厨房の戸を蹴り倒した。するとちょうど戸を壊そうとしていた聶桑楡と衝突、2人は抱き合うように倒れてしまう。寧鈺軒は聶桑楡が放火したと疑い激怒した。焦った聶桑楡は誰かに閉じ込められたと反論したが、寧鈺軒は急に立ちくらみを起こし、鬼白に付き添われて帰ってしまう。寧鈺軒は冷水に浸かって恐怖を追い払おうとした。あれから何年も経つのにまだ火を恐れているとは…。一体、いつになれば心の闇から解放されるのだろうか。聶桑楡は外から誰かが錠をかけたことを思い出し、釈明するため寧鈺軒の寝殿を訪ねた。するとちょうど寧鈺軒が湯浴みをしていると気づき、慌てて衣を着るよう頼む。しかし寧鈺軒は湯船の中でぐったりしていた。つづく( ๑≧ꇴ≦)安定のポンちゃん!可愛いし上手いわ
2024.03.30
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安乐传 The Legend Of Anle第19話左丞相の屋敷、姜瑜(キョウユ)は五柳(ゴリュウ)街から立ち上る大きな炎を満足げに眺めていた。しかもこの火事に任安楽(レンアンルー)と皇太子・韓燁(ハンイェ)が巻き込まれたという。同じ頃、知らせを聞いた忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)は絶望していた。「誰が私を陥れた?またしてもはめられた…」一方、洛銘西(ルォミンシー)は安楽が五柳街にいると知り、血相を変えて翎湘楼(レイショウロウ)を飛び出した。韓燁は安楽を抱きかかえ、濡れた帷をすっぽりかぶって炎の中から飛び出した。すると洛銘西が安楽を引き渡すよう迫る。「太子妃が決まった身だろう?誰かに見られたら任大人が非難される」「…太子殿下、宴も始まっています」温朔(ウェンショウ)から諌められた韓燁はようやく冷静になり、やむなく安楽を洛銘西に託した。「安楽を頼むぞ」洛銘西は安楽を抱え、琳琅(リンロウ)に鍾海(ショウカイ)を任せて先を急いだ。洛銘西は安楽を任府まで送り届けた。安楽は足の他に目立った怪我はなかったが、古雲年が火を放つとは予想外だったという。しかし洛銘西は火事より韓燁が問題だと気づいた。「あんな韓燁、初めて、韓燁の頭には国と立場と帝梓元(ディヅユアン)のことしかないと思っていた でも今日は私だけを見てくれた」安楽は命懸けで救ってくれた韓燁に再び心を動かされていた。…君はただ一人の任安楽だ、必ず救い出す…「梓元、敵の息子なんだぞ?」「銘西哥哥…頭が混乱しているだけ、休めば落ち着くわ」除夜の宴が始まった。すると皇帝が遅れて来た皇太子を呼びつけ、理由を問いただす。韓燁は鍾海を捕らえるため五柳街に行ったと報告、火事に巻き込まれたところを任安楽に救われたと嘘をついた。皇帝は改めて世継ぎの安否は国運に関わると釘を刺したが、その時、剣舞を披露していた男が突然、襲いかかって来た。剣舞の男たちは刺客だった。しかしちょうど皇帝と話していた韓燁が即座に反応して阻止、すぐ衛兵が加勢する。皇帝は皇太后・孫瑜君(ソンユクン)を先に後宮へ逃がし、安寧(アンニン)は帝承恩(ディチォンエン)を連れて皇帝のもとに駆けつけた。すると客人が無事に逃げ出し、刺客が壊滅状態となったところで、韓燁は皇帝たちを連れて宮殿に避難する。皇帝は無事だったが、禁衛軍を呼ぶよう命じて寝宮に入った。韓燁と安寧は念のため剣を抜いたまま用心していたが、帝承恩は皇帝の背後にぴったりとついている。その時、梁に潜んでいた刺客が現れた。「陛下!危ない!」すると帝承恩は身を挺して皇帝を守り、刺客に刺されてしまう。韓燁は咄嗟に応戦、刺客は腕を斬られて剣を落とし、そこで逃げ出した。その頃、安楽は急に咳き込んで目を覚ました。洛銘西は心配でまだ付き添っていたが、実は安楽が眠っている間に皇宮で騒ぎがあったという。「刺客に襲われた韓仲遠(カンチュウエン)を帝承恩がかばった、帝承恩なら無事だ これで太子妃の座は確実だな」「だとしたら…時機が来たわね」「復讐を誓った任安楽が戻って来たようだな」一方、静心(セイシン)堂では皇太后が激しく動揺していた。皇太后は宴の帰り道で帝承恩を襲わせる計画だったが、なぜ宴に刺客が現れたのか。しかし孫(ソン)女官の話では手配した刺客とは別の刺客だったという。ともかく帝承恩が皇帝の恩人となった今、簡単に排除できなくなった。「当分は様子を見ましょう」皇帝は御宸(ゴシン)殿に戻ってから五柳街の火事の報告を聞いた。趙福(チョウフク)の話では忠義侯が関係しているようで、配下に鍾海を追わせていたという。「実は太子殿下が炎に巻かれた任大人を助けに向かったようです」皇帝は韓燁が安楽を救ったのは正義感からなのか、それとも特別な感情からなのか分からなかった。「陛下、五柳街には洛大人もおいででした、何でも鍾海を刑部に連れ帰ったとか…」安寧は兄に帝承恩を任せて公主府へ戻った。…妙だわ…韓燁と手合わせした刺客の剣術に違和感を覚えた安寧、そこで冷北(ランベイ)の部屋を訪ねてみたが灯が消えている。…なぜいないの?どこへ行ったのかしら?…安寧は冷北の部屋の前で待つことにしたが、気がつくと夜が明けてしまう。「冷北…私を失望させないで」一方、韓燁も帝承恩に付き添ったまま朝を迎えていた。「なぜ君が命を懸けてまで鍾海を救ったのか…」その時、帝承恩が目を覚ます。韓燁は安堵し、皇帝が帝承恩を皇太子妃と認めたと明かした。喜んだ帝承恩は親しげに韓燁の手に自分の手を重ねたが、韓燁は相変わらず他人行儀で、急いで帰ってしまう。冷北は朝方、こっそり公主府へ戻った。しかし安寧公主に見つかってしまう。「昨夜はどこに?」安寧は剣を持っていた。すると莫霜(モーシュァン)公主が駆けつけ、冷北が留守だったのは自分のせいだとかばう。「四方館に戻る道で悪党に絡まれた時、偶然、冷北哥哥に助けてもらったの」実は昨夜、腕を怪我した冷北は咄嗟に妹の宿舎に逃げ込んでいた。莫霜の偽証のおかげで安寧公主の疑念を晴らせた冷北、そこで妹に今後も安寧の観心を買って欲しいと頼んでおいた。「我々に有利になる…」韓燁が太子府に戻ると、温朔から思いがけない話を聞いた。実は江南(コウナン)で苑書(エンショ)が苑琴(エンキン)と一緒に絵姿を持って生き別れの兄を探していたという。「私は一度、見たら忘れません、絵姿の男は鍾海でした」温朔は昨日の火災現場で鍾海を目撃、苑書の兄だと気づいたという。韓燁が安楽の見舞いにやって来た。安楽は足が不自由ながら元気そうで、なぜか皇帝から褒美が届いたと教える。「なぜ私が助けたことに?まあ、とにかくお叱りは免れたわ、でも鍾海のことが心配で…」「私が守る」そこで韓燁は刑部に収監された鍾海と面会することにした。鍾海は洛銘西が審問しても口を割ろうとしなかったが、韓燁が皇太子だと知ると態度を一変、鍾一族の恨みを晴らして欲しいと嘆願する。「ただし公に訴えるなら痛みは避けられぬぞ?」すると韓燁は青龍鐘(セイリュウショウ)を鳴らすよう勧め、自分が後ろ盾になると約束した。「ところでお前を救った任安楽と面識があるか?」「一度もありません、正義のために助けてくださったのかと…」鍾海は杖刑に耐え、青龍鐘を鳴らして大理寺での嘆願が叶った。「私は江南鍾家の下僕・鍾海、無実の罪を晴らすため都に来ました、古雲年を訴えます」その様子を鐘の音を聞いた安寧も遠目から見守っていた。すると帯同していた配下が鍾海こそ蓮柄の飾りを持っていた男だと証言する。実は安寧も靖安侯の銀貨の持ち主を探させていた。配下は持ち主を探り当てるも行方知れずだったが、容貌からして間違いないという。群衆が見守る中、鍾海は忠義侯の悪事を暴露した。忠義侯の息子・古斉善(コセイゼン)が女子に乱暴を働き殺害、己の罪を隠そうと屋敷に火を放ち、鍾家18人全員が焼死したという。さらに忠義侯は息子をかばうため、訴え出ようとした鍾海に刺客を放っていた。古雲年は憔悴し切った様子で屋敷に戻って来た。この期に及んでもまだ父が助けてくれると信じて疑わない古斉善。しかし皇帝は古雲年が一晩、ひざまずいても謁見を認めてくれなかったという。「良いか?お前を救わぬのではない…もう私では救えないのだ」すると古雲年は騒動を避けるため、すぐ息子を都から追い出せと命じた。つづく( ๑≧ꇴ≦)古雲年が急激に老け込んで行くw
2024.03.29
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安乐传 The Legend Of Anle第18話帝承恩(ディチォンエン)の肩には帝梓元(ディヅユアン)の肩にあるはずの傷痕がなかった。韓燁(ハンイェ)は独り碁を打ちながら物思いにふけっていたが、そこへ温朔(ウェンショウ)がやって来る。「白と黒が互角ですね?…殿下、安楽(アンルー)姐と帝小姐のことを考えているのでしょう?」温朔に見透かされた韓燁は面白くなさそうに白石を碁笥に戻した。「何の用だ?」「殿下、お妃候補の鍾景(ショウケイ)が宴に来なかったのは火事で一家もろとも焼死したからでした 噂では鍾海(ショウカイ)という下僕が火を放ったとか…」しかし韓燁は何か裏があると疑い、独りで翎湘楼(レイショウロウ)へ出かけた。ちょうどその頃、安楽は洛銘西(ルォミンシー)から韓燁が肩の傷の件で身代わりに勘づいたかもしれないと聞いていた。帝承恩の素性が露見すればこれまでの努力が水の泡、しかし下手に動けばかえって怪しまれてしまう。「彼女の肩に傷をつける必要はないわ、復讐のために他人を犠牲にできない それより鍾海を見つけなくては…」韓燁は楼閣の大階段を上りながら、安寧(アンニン)との会話を思い出していた。『もし梓元が幽閉されていなければ、安楽のようにこの世をのびやかで自由に生きていたはず』するとちょうど安楽が洛銘西の部屋から出で来るのが見えた。「洛大人…鍾海の件はお願いね」安楽は韓燁がいると気づいたが、知らないふりをして帰ってしまう。洛銘西は安楽を見送ると、柱の影に隠れている韓燁へ聞こえよがしに言った。「太子殿下がお見えならお茶を入れましょう」韓燁は気まずそうに姿を現したが、部屋に入ると安楽が使っていた手炙りが残っていた。一匹狼の洛銘西がなぜ安楽を特別に気遣うのか。2人は鍾海の件を隠し、公務と言いながら翎湘楼で密談している。韓燁の疑念は一気に深まった。「今日、帝承恩と会って筆跡を見た、8歳の時と同じ字だった だが10年も経っていながら上達していないのは妙だ 字は変わらぬのに気性は別人、そればかりか…」するとそこで洛銘西に話を遮られてしまう。「殿下、何を疑おうと皇族は情で動くべきではない 守るべき者は誰か、手放すべき者は誰か、忘れてはなりません」「変わったのは気性ではなく人だとしたら?梓元ではないとしたら…」「別人だとしても決めたことはもう変えられない 後悔したとしても太子として己の言葉を守るしかない」韓燁はおとなしく帰って行った。しかしこのままでは帝承恩が偽物だと気づかれるのも時間の問題だろう。…早く安寧から真相を聞き出さねば…安楽は忠僕の鍾海なら主の無念を晴らすため、必ず命懸けで訴え出るはずだと考えた。大理寺は各県に手配書を貼っていたが、実は偽の特徴と別の人相書きで鍾海を逃げやすくしている。すると予想通り鍾海が上京、報告を聞いた忠義(チュウギ)侯・古雲年(コウンネン)は冤罪を訴えられたら厄介なことになると焦った。ともかく年が明けたら息子を都から出すことにしたが、古斉善(コセイゼン)は拒否、一族の危機だというのに自分のことしか頭になかった。その夜、帝承恩は偶然、慕青(ムーチン)が燃やし損ねた密書を目にした。…帝承恩に近づく者を全て報告せよ…帝承恩は唯一の家族だと慕っていた慕青が実は自分を見張っていたと知り、その裏切りに深く傷ついてしまう。翌日、安楽は久しぶりに采微軒(サイビケン)に立ち寄った。すると幼い頃からずっと探していた″南露剣譜(ナンロケンプ)″が入荷している。「はっ!これをもらうわ!」「任大人、申し訳ありません、これは先約がございまして」「でもずっと探していたのよ?」「君も探していたのか…」その声は店の奥にいた韓燁だった。かつて梓元はこの書を読めば剣の達人になれると聞き及び、欲しがっていたという。10年探し続けてやっと見つけたものの、実は剣譜の技は見かけ倒しだと明らかになっていた。「それに帝承恩はもう剣術に興味がないしな…」韓燁は以前のように自分から横取りするつもりかと煽ったが、安楽はあっさり返した。「心配しないで、私は臣下ですから…どうぞ」「いやいいんだ、江南へ同行してくれた礼だ」安楽は剣譜もらって店を出た。しかし韓燁がずっとついてくる。安楽はやはり剣譜が惜しいのかと呆れ、ちょうど露店で売っていた″皇太子府愛情故事″を買って贈った。「この物語と同じように帝小姐とお幸せにね」「…任安楽、君はある人によく似ている」「言ったはずよ?天下に任安楽は私一人だけだと…」すると安楽は皇太子妃の座にも興味がなくなったと言って帰ってしまう。帝承恩は屋敷の門前に赤い傘を置いた。知らせを聞いた左丞相・姜瑜(キョウユ)は喜び、帝承恩が期待に応えてくれることを祈る。一方、洛銘西は公主府に安寧を訪ねた。帝承恩が太子妃の座を手に入れれば安泰のはず、反対なのは危険だからかと探りを入れる。「そもそも梓元は逆賊の娘、韓家の娘でありながら梓元を恨みもせず同情すると?」「靖安(セイアン)侯は高潔な方だった、逆賊ではないわ」そこで洛銘西は青南(セイナン)山でいかに兵士たちが虐殺されたかを話し始めた。あの時、巨石を落とされ、万の矢を放たれ、兵士たちは声を上げる間もなく血だるまになったという。「もうやめて!」「今も公主の脳裏には″安魂″が響き、惨殺の光景が浮かぶはずだ!」「お黙り!」その時、外で控えていた冷北(ランベイ)が公主の怒号に驚いて殿内に入った。「大丈夫ですか?!」「何でもない…下がって」安寧は悔恨の念から、あの時、靖安侯が兵を動かしたのは皇帝の筆跡を真似た密書を受け取ったからだと明かした。驚いた洛銘西は事を公にするよう訴え、このままでは梓元が自害した宦官・良喜(リョウキ)のように宮中で殺されてしまうという。「そこまでよ!彼女は私が守る…冷北、お帰りよ」「…君の考え一つで将兵らの魂は安らかに眠れる、梓元もこれからは幸せになれるんだ」洛銘西は安寧の決断に期待して引き上げたが、安寧は公主という立場上、告発することはできなかった。皇帝が帝承恩を韓家の″除夜の宴″に招待した。何とか阻止すべく画策する皇太后・孫瑜君(ソンユクン)、一方、姜瑜は冷北を呼び出し、帝承恩から協力の承諾を得たと報告した。「帝承恩の太子妃の座を守るためには殿下のお力添えが…明日の除夜の宴こそが動く好機かと」慕青は帝承恩を心配し、宴に行かないよう勧めた。しかし赤い傘と手を組んだ帝承恩は何としてでも皇太子妃の座を手に入れると決意する。その頃、冷北は宴に招待された妹を訪ね、欠席するよう説得した。退屈している莫霜(モーシュァン)は安寧公主に会いたいと拒んだが、冷北は危険から守るためだという。「分かったわ、でもいくら安寧公主と親しくても、危険な時は自分の身を守ってね」一方、洛銘西は除夜の宴で皇太后が帝承恩の暗殺を企てていると知り、密かに安寧に知らせた。…帝承恩が危ない…姜瑜は忠義侯の配下が鍾海を血眼になって探していると聞いた。どうやら息子に関係があるらしい。「忠義侯の配下の後をつけろ、臨機応変にな 鍾海の口封じをする気なら手を貸してやろう、証拠を残すなよ」鍾海は刺客に追われ、五柳(ゴリュウ)街に追い込まれた。しかし苑書(エンショ)から報告を聞いた安楽が駆けつけ、危ないところで鍾海を救う。すると刺客は合図の笛に気づき、廃屋に火を放って2人を閉じ込めて撤収した。その頃、宮中へ急いでいた安寧は偶然、宴に向かう皇太子の馬車と出くわした。「太子哥哥!梓元の身が危ないの、急ぎましょう」韓燁と温朔は車を降りて馬に乗り換えたが、その途中、火災現場を通りかかった。聞けば任大人がひとりで中へ入って行ったという。驚いた韓燁は安寧を先に行くよう頼み、温朔と五柳街へ急いだ。安楽は何とか扉を蹴り飛ばし、脱出しようとした。その時、梁が落下、安楽は咄嗟に鍾海を突き飛ばして逃し、独り取り残されてしまう。韓燁は燃え盛る廃屋に飛び込んだ。すると倒れた扉に足を挟まれ、動けなくなった安楽を発見する。韓燁は安楽を助け出し、抱きかかえたが、すでに火が回って逃げ場がなかった。しかし運良く片隅に置かれた水瓶を見つける。つづく(  ̄꒳ ̄)やる時はやるジュゴン ←いや違うw
2024.03.28
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花琉璃轶闻 Royal Rumours最終話「太平の世の礎」崖から落下した皇太子・姫元溯(キゲンソ)と花琉璃(カリィウリ)。しかし2人は運良く枯れ枝の上に着地し無事だった。「私から離れるな、この通りだ、そばにいてくれ」元溯は改めて琉璃の大切さを痛感し、思わず口づけした。翌朝、英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)はまだ皇太子と花郡主を探していた。従者の金瓜(キンカ)と銀瓜(ギンカ)は姫元溯が消えれば英王が皇太子になれると喜び、実は賢(ケン)妃からも皇太子が弱っていたら一思いに殺せと命じられたという。これに姫元灝は激怒した。「身を挺して賊を引き離してくれた太子の危機につけ込むとは何事か!うせろ!」興奮した英王はうっかり足を踏み外し、崖から滑り落ちてしまう。すると偶然にも崖下にいる皇太子と花郡主を発見、兵を呼んで2人を引き上げた。しかし琉璃は搬送中、最期まで自分を守ってくれた宋光(ソウコウ)の亡骸を見つけ、泣き崩れてしまう。皇宮では昌隆(ショウリュウ)帝と護国大将軍・花応庭(カオウテイ)が一緒に息子と娘の帰りを待っていた。皇帝は皇太子の計画に従い、仮病を使って逆賊を掃討したが、駙馬・謝臨州(シャリンシュウ)が皇后の謀反の一味の残党で林(リン)妃と通じていると知り、心痛に堪えないという。すると無事に2人が戻って来たと報告が来た。姫元溯は琉璃を東宮で休ませ、雲寒(ウンハン)の罪状書に目を通した。…誠意をもって接してくださった殿下に残る命を捧げ、死に花を咲かせる所存です、殿下にお許しは請いません、志を果たされますよう、来世では全身全霊でお仕えします…「出かけるぞ、用意しろ」小八(ショウハチ)が馬車の準備に出かけると、皇帝と花将軍が駆けつけた。花応庭は寝台で倒れている娘に駆け寄ったが、琉璃はこっそり父の袂を引っ張って狸寝入りだと合図する。すると元溯は皇帝に琉璃をこのまま東宮で静養させたいと懇願した。花応庭は娘の体面を考え連れて帰ると言ったが、元溯は思わず自分の″皇太子妃″だと口を滑らせる。「認めていただけるなら側室は持ちません、妃は琉璃1人です 政(マツリゴト)は余しだいですが、余は琉璃しだいです、これでいかがですか?」その時、琉璃がわざとらしく咳をして目を開けた。「殿下、おでかけになるなら私も一緒に…」そこで元溯は皇帝に今日中に婚約したいと訴え、花応庭の説得を任せた。裴済懐(ハイセイカイ)は城門を封鎖、謝臨州は玉京を脱出できなくなった。楽陽(ラクヨウ)長公主は自分と娘を巻き込むなと反発したが、激怒した謝臨州に毒薬を無理やり飲まされてしまう。「長公主は故郷を思うあまり声を失った、すぐ故郷に戻らねば…」長公主の馬車が延啓(エンケイ)門に現れた。謝臨州は車の帷をあげて楽陽の具合が悪いと訴えたが、その時、皇太子が駆けつける。「もう芝居は良い、雲寒の命を償ってもらう」「死んだと?…では″死人に口なし″では?」すると謝瑶(シャヨウ)が車から飛び降り、母を助けて欲しいと泣きついた。しかし楽陽が逃げ遅れ、謝臨州に捕まってしまう。元溯は叔母の命には代えられず開門を命じたが、馬車が城門を出たところで弓矢を放ち、馬を御していた謝臨州を仕留めた。姫元溯は馬車で待っていた琉璃の元に戻り、2人で冷宮の林氏を訪ねた。「やっと来たわね」謝臨州は謀反を起こした皇后の配下だった。当時、挙兵に失敗するも逃げ延び、反旗を翻す機会をうかがっていたという。実は″雲倉嶺(ウンソウレイ)の役″で暗躍していたのも謝臨州だった。「あなたの母親を殺したのは私よ」子のない皇后は姫元弘(キゲンコウ)の即位を約束し、林氏を懐柔したという。「それが手違いで毒入りの煎じ薬をあなたではなく、あなたの母親が飲んでしまったの…」「ではおあいこだな、お前の想い人は余が殺した」林氏は愛する人が死んだと聞いて呆然となった。しかし元溯は謝臨州に愛などなかったと指摘する。「謝臨州は自分の退路を残すため、太平宴でお前に正体を現させたのだ お前はあの者に利用されたに過ぎぬ」「違う!全ては元弘のためよ!」琉璃は三皇子を口実にするなと非難した。すると元溯は三皇子から託された絵を渡し、琉璃を連れて帰ってしまう。三皇子が描いた母の姿絵は優しく穏やかな笑顔だった。…母妃、私は何も望みません、笑顔の母妃とずっと暮らしたい、皆が楽しく暮らせることが望みです…林氏は息子の絵を見ながら自分の過ちの大きさに気づき、その場で泣き崩れた。姫元溯と琉璃は高台から眼下の町を眺めた。「殿下、もう戦は起こりませんか?」「私とそなたがいる間は起きまい」「では私たちは縉(シン)国の礎を守ったのですね?」琉璃は父から家族だけではなく縉国の民すべてを思い、愛する故郷だけではなく国の門を守るのだと教えられていた。実は元溯も父皇から国家とは領土ではなくこの地で暮らす民だと教えられたという。一方、金珀(キンハク)国に戻った第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)は亡き琉璃を思いながら、城楼で独り酒を飲んでいた。まさか同じ朝日を琉璃が愛する皇太子と一緒に眺めているとは夢にも思わず…。玉京に平穏な日々が戻った。英王と田嘉敏(デンカビン)は想いが通じ合い、笑顔の絶えない毎日を過ごしている。鳶尾(エンビ)も裴済懐とのわだかまりが解け、ささやかながら幸せな時間を手に入れていた。そして深窓の令嬢だった杜琇瑩(トシュウエイ)も今や祖父のように清貧な師匠となり、独りでも強く生きている。その腰には″寒″と彫られた玉が下がっていた。「会わぬのか?」酒楼の露台にいた姫元溯と雲寒は偶然、大街を歩く杜琇瑩を見かけた。しかし雲寒は杜琇瑩とは会わないという。「私は死んだ…それでいい、江湖では危険と取り合わせの身ですから」「では私の婚儀は?」「十分なご祝儀を贈ります、ふふ」「気持ちだけ十分だ」その頃、賀遠亭に思いがけない招待状が届いた。…縉国郡主・花琉璃より、金珀国の敗将・二皇子へ招待状を送る太子・姫元溯と郡主・花琉璃の婚礼に祝儀を携えて来られたし…「ふっ、何と生きていたのか…生きているならまだ終わりではない、また会う日も来よう」皇太子と花郡主の婚礼当日、2人は家族や友人たちに見守れ、拝礼の儀を執り行った。幸せに包まれる琉璃だったが、実は思いがけず夢がついえてしまったという。「馬鹿馬鹿しい夢ですが、歴史に名を残す病弱美女になりたかったのです 両親も兄も応援してくれました まさかこんな無邪気な私の心を理解してくれる人がもう1人いるなんて… 殿下に会えて幸せです、でも私が殿下を救ったことが都中に知れ渡り、たくましいとばれました 殿下を救えたのは嬉しいけれど、長年の夢が…」「そなたは私のために夢を捨てたのだな」「殿下にはその価値があります」そこで姫元溯は史書に自分の妃が縉国の歴史上、最も美しい病弱美女だと記し、琉璃の夢を叶えると約束した。おわり(´・ω・`)ァァァァァァァァ…最後の最後に悪手を使うとは…ラブコメに良くある手法だけど、興醒めしちゃうのよね〜さて反省会場はこちらです( ̄▽ ̄;)病弱設定はてっきり花家への批判をかわすためだと思ってたまさか病弱美女になることが夢で、家族も応援して送り出してくれただと?最初から言って欲しかったわ〜そもそも皇太子が琉璃を呼んだって、聞いてないわ___え?言ってた?あ、私が見てなかっただけかもw
2024.03.27
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第23話「あなたを守りたい」祖父を失い、孤独感に苛まれる杜琇瑩(トシュウエイ)。その夜、中庭で呼び笛を吹くと、約束通り雲寒(ユンハン)が現れた。「祖父を嫌う人が多いのは知っています… それでも私にとっては最高の祖父だった、素晴らしい人でした」雲寒は憔悴する琇瑩を慰め、家族を守れなかったことを謝罪した。太平宴の当日、花(カ)家は朱(シュ)御史の暗殺事件を理由に未だ軟禁されていた。しかし琉璃(リィウリ)はじっとしていられず、皇太子を助けに行くと決める。花応庭(カオウテイ)は止めたが、衛明月(エイメイゲツ)は最愛の人を守りたいという娘の決断を尊重した。「行かせてあげて」金珀(キンハク)国の第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)は宴席で久しぶりに絳紗(コウサ)と再会した。「書院には慣れたか?」「お陰様で…二殿下、どうかこのまま縉(シン)国で学ばせてください」絳紗は縉国では女子でも官吏になれる道があると知り、努力次第で様々な可能性があると分かった。「尊厳を捨てなくてもいい、男に頼る人生から抜け出せます」賀遠亭は了承し、絳紗を同行したのは自分にしては珍しく正しい判断だったと喜んだ。太平宴に花家の姿はなかった。重臣たちが花家は完全に失脚したと噂する中、楽陽(ラクヨウ)長公主は娘の謝瑶(シャヨウ)にこの機に乗じるよう発破をかける。駙馬の謝臨州(シャリンシュウ)も皇太子が花家を切り捨てたと思い込み、ここで決着をつけるしかないと考えていた。一方、後宮では三皇子・姫元弘(キゲンコウ)が昏睡していた。母の林(リン)妃は息子を心配し、太平宴を欠席すると決める。その頃、招待客が揃った未央(ビオウ)殿に皇太子・姫元溯(キゲンソ)が到着した。皇帝は体調を崩して欠席したが、万国朝拝会が各国使臣の協力により滞りなく開催できたことを喜んでいるという。ちょうどその頃、琉璃と鳶尾(エンビ)は城門で衛兵に足止めされていた。実は裴済懐(ハイセイカイ)は念のため花郡主には皇太子の計画を明かしていた。太平宴の日、皇太子が自らおとりとなり、奇襲を迎え撃つという。『私は関所に兵を配し、敵を捕らえます』『だめよ、あの不完全な文では襲撃されること以外、何も分からないのに…』琉璃は太平宴が始まる前に城外にいる花家軍を宮中に送り込もうと決めた。しかし今夜は城門の警護が固く、簡単に突破することも難しい。一方、太平宴では皇太子が万国朝拝会の成功を祝し、乾杯していた。…杯が割れるのを合図に敵は襲撃してくるはずだ、ならば機先を制するのみ…姫元溯は2杯目を亡き杜(ト)太師に捧げると、空になった杯をいきなり投げ捨て割ってしまう。…計画が漏れたのか?…謝臨州は皇太子の行動に動揺したが、もはや止められなかった。合図と同時に賊軍が殿内に雪崩れ込み、待機していた黒甲軍の精鋭と激しい攻防戦となる。…太平宴で襲撃するとは勝負に出たな…賀遠亭は絳紗を連れて物陰に避難しながら、謝臨州の動向をうかがった。すると賊兵が駆けつけ、謝臨州に準備ができたと声をかける。「かかれ」賊兵は応戦する皇太子に向かって爆弾を投げた。しかし雲寒が現れ、爆弾を切りつけ阻止してくれる。「なぜ戻った?!」「理由などない、私の意思です」姫元溯は敵の標的が自分だと気づき、雲寒に皆を守るよう頼んで外へ飛び出した。「皇太子が逃げたぞ!」すると賊軍たちが慌てて皇太子を追いかけて行く。…太子さえ殺せばまずは成功だな…謝臨州は今さらながら杯を投げ捨てると、楽陽長公主と謝瑶を連れて引き上げた。琉璃が城門で手をこまねいていると、鳶尾が裴済懐を連れて戻ってきた。裴済懐の話では皇太子が太平宴の客人を守るため、敵を引き付けて裏山へ向かったまま行方知れずだという。そこで琉璃は裴済懐と鳶尾に花家軍の精鋭を引き入れ制圧するよう頼み、馬を借りて裏山へ急いだ。未央殿では雲寒の奮闘のおかげで敵を殲滅した。英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)は今のうち母や田嘉敏(デンカビン)たちを連れて避難しようとしたが、安心したのも束の間、新たな賊軍が現れる。「逃がさないわ」賊軍を率いてきたのは林妃だった。「あの傍若無人な太子があなたたちを救うため、おとりになるとはねえ…」賢(ケン)妃と淑(シュク)妃は林妃が病弱を装いながら暗躍していたと気づき、呆然となった。「なぜこんな不義理な真似を?!」「愛する人と結ばれるはずだったのに引き離されたからよ!」その時、皇帝が元気な姿で現れた。実は皇帝は真の黒幕をあぶり出すため、皇太子に自分が病気だと噂を流させたという。すると花家軍が到着、あっという間に賊軍を制圧した。一方、姫元溯は裏山の展望台で刺客に囲まれていた。その時、思いかげず琉璃が現れ加勢する。しかし多勢に無勢、琉璃はなかなか元溯のもとへたどり着けず、深手を追った元溯に危機が迫った。そこへ宋光(ソウコウ)が兵を率いて駆けつけ、琉璃を逃がしてくれる。琉璃は咄嗟に剣を投げて逆賊を刺殺、元溯は危機一髪のところで難を逃れた。「琉璃…そなたを玉京に呼んだことを後悔している…」「玉京に来なければ殿下と会えなかったわ…さあ、行きましょう」琉璃は皇太子に手を貸して立ち上がったが、突然、賀遠亭が放った暗器が飛んできた。驚いた元溯は咄嗟に琉璃をかばって背中に暗器が命中、2人は抱き合ったまま展望台から落下してしまう。すると賀遠亭は崖下に消えた琉璃に別れを告げた。…来世があるなら願わくば敵同士になりたくない、琉璃、さらばだ…皇帝は林妃に誰の指示なのか聞いたが、林妃は口を割らなかった。「民を顧みない姫元溯がなぜ太子なのです?!元弘も太子になれるはずです!」「いいえ!」すると薬で眠らせたはずの姫元弘が駆けつけた。(←なぜかは不明w)「母上の勝手な理想を押しつけないでください、太子哥哥は立派な方です」元弘は叩頭し、母と共に罪を償うと嘆願した。林妃の謀反は失敗、宮中に平穏が戻った。皇帝はひとまず皇太子の帰りを待つと決め、英王は自ら弟を探しに行くと申し出る。すると姫元灝は田嘉敏に帰りを待っていてくれと伝えた。英王の広い背中を愛おしそうに見送る嘉敏。そんな娘と英王の関係に気づいた田尚書(デンショウショ)と順安(ジュンアン)長公主は困惑していた。深手を負った雲寒は中庭の庭石の陰で倒れていた。するとどこからともなく自分の名を呼ぶ杜琇瑩の声が聞こえる。…ただの幻聴だろう、天涯孤独の私を探す者などいるはずない…雲寒は皇太子に忠誠を誓った時のことを思い出した。『皇后の謀反は大勢を巻き添えにした、多くの名家が一瞬にして潰れた お前たち逆臣の子に機会を与えたが、余の前に現れたのはお前だけだ 余に服従し、己の力を示す気はあるか?出自は秘密にしよう』『殿下にお仕えします』こうして雲寒は金玲苑(キンレイエン)の楽師となった。雲寒は当時、誰にも看取られず死ぬ覚悟だと伝えたが、皇太子は必ず自分が骸を見つけると約束する。『それにいつかお前を案ずる者が現れよう』…太子殿下、杜小姐、あなた方を裏切った私に生きる価値はない…その時、確かに杜琇瑩に渡した呼び笛が聞こえた。杜琇瑩は雲寒を見つけられず、途方に暮れた。そこで呼び笛を吹いてみたが、やはり雲寒は現れない。失望してしゃがみこんだ杜琇瑩、その時、血まみれになった雲寒が重い体を引きずりながらやって来た。2人は固く抱き合ったが、雲寒はもはや手遅れだと言って杜琇瑩に罪状を託す。「太子殿下に渡してくれ…我が人生において唯一の心残りは…」すると雲寒はそこで意識を失ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)リーフェイ、良かったわ〜!
2024.03.26
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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第7話「決起会」李颯颯(リーサーサー)は陸景年(ルージンニエン)の名前で都一高い店・酔仙(スイセン)楼を貸し切り、景年を招待した。…よくも私を疑ったわね…景年は元宵節の選抜を前に李茹娘(リールーニャン)の機嫌を損ねるわけにいかず、目をつぶるしかない。それを良いことに颯颯は今の部屋では夜風が入り、風邪気味だと嘘をついた。「陸郎君の隣の部屋が空いているわね~ もうすぐ選抜があるのに具合が良くなかったら演奏に支障が…ゴホゴホッ」「明日、部屋を掃除させよう」…やっぱりね、偽の女たらしには色仕掛けより仕事の話が効く…右教坊は錦瑟(ジンソー)が抜け、再び優秀な人材が必要になった。しかし檀渓(タンシー)が訳ありだが心当たりがあり、陸景年は事情を考慮して密かに迎え入れると決める。「共に琴を学んだ仲です、技量は保証します、ただ…」「安心しろ、手違いのないよう用心を」李茹娘を首席に迎えて合同練習が始まった右教坊、しかし何度、試しても息が合わなかった。陸景年は自分の作った曲のせいだと落胆したが、颯颯は欣児(シンR)から裏切り者が出たことで皆が疑い深くなっていると知らされる。そこで皆の信頼関係を取り戻すべく、颯颯は決起会を開こうと提案した。一方、左教坊の副使・蘇宗辰(スーゾンチェン)は右教坊がまた人手不足だと知り、内教坊を訪ねた。副使・李鑫(リーシン)が太常寺(タイジョウジ)の長官・魏哲(ウェイジョー)に日程の前倒しを頼んでくれれば、右教坊は戦わずして敗れるという。さすがに李鑫は全土にある官設の教坊に影響が出てしまうと断った。「それより扱いに困っている楽師がいる…」右教坊の決起会。颯颯は遊技で皆の疑心を取り除こうと考えた。そこで颯颯は楽師たちを集め、背中から倒れて皆に抱き止めてもらう。楽師たちは怖くないのかと驚いたが、颯颯は選抜という戦場で信じられるのは仲間しかいないと訴えた。「次は苒綺(ランチー)がやってみて!」「えーっ!私にはそんな度胸ないわ~」しかし颯颯は半ば強引に苒綺を引っ張り出してしまう。「皆を信じるだけでいいの、さあやって!絶対に受け止めるから大丈夫!」苒綺は思い切って後ろへ倒れると、仲間たちがしっかり受け止めてくれた。すると他の楽師たちもやりたいと手を挙げる。これをきっかけに楽団の雰囲気は和やかになり、決起会は盛り上がった。決起会には宇師傑(ユーシージエ)が駆けつけ、料理を振る舞った。陸景年は追っかけを問答無用で殴る欣児が師傑の前ではしおらしいと驚いたが、颯颯は意味ありげに笑う。「あの人だけには弱いのよ…」颯颯と景年は会場を離れて橋の上に移動した。「まさか宇師傑と友だちだったなんて、気が合いそうにないのに… 宇師傑は何事にも誠実よ、傍目にも欣児が好きだと分かる、でもあなたはずる賢い 右教坊を助けたのに感謝の言葉もないわ」「願いがあるなら言ってくれ、全力で叶えよう」「実は陸郎君に手伝って欲しいことがあるの、でも聞いたら驚くかも」「では聞かないでおくよ」景年は嫌な予感がして戻ることにしたが、引き留めようとした颯颯が過って川へ落ちてしまう。「李姑姐?!」陸景年は慌てて川に飛び込んだ。すると実は足がつくと気づき、溺れたふりをしていた茹娘が水面に現れて笑っている。しかし急接近した2人はそのまま見つめ合い、颯颯は思わず自分から口づけしてしまう。その様子を偶然、生金(ションジン)が見ていた。「団結ってこういうことか?ふふ、確かに小狐狸と老狐狸でお似合いかな」生金は2人のために花火を打ち上げて盛り上げた。しかしその帰り道、自分が上げた花火を見ながら料理人と睦み合う緑籮(リュールオ)を目撃してしまう。。・゜・(ノД`)・゜・。なんで〜!陸景年と口づけを交わし急激に距離を縮めた颯颯。そんな中、太常寺が右教坊の人手不足が心配だという口実で内教坊の楽師を右教坊に移動させた。何か裏があるのは明白、実は宋傲晴(ソンアオチン)は優秀ながら傲慢過ぎて楽団に馴染めず、厄介払いされたに過ぎなかった。すると練習に現れた宋傲晴は自分が新しい首席だと宣言し、李茹娘の座を奪ってしまう。楽師たちは呆気に取られながら首席に合わせて弾くしかなかったが、宋傲晴が急に手を止めたせいで苒綺は危うく指を怪我しそうになった。そこへ遅れて李茹娘がやって来る。「あなたが李茹娘ね?今日からは実力が物を言うのよ」「当然よ、宋姑娘が首位だわ」颯颯は敢えて争おうとしなかった。つづく
2024.03.25
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第22話「二重間者」朱晋(シュシン)の書斎に黒装束の花琉璃(カリィウリ)が現れた。「あなたは10年前の″雲倉嶺(ウンソウレイ)の役″で軍糧の輸送を担当していたでしょう? 当時は連岳(レンガク)という名前だった」朱晋は否定したが、琉璃が証拠があると鎌をかけると観念した。「黒幕は一体、誰なの?!」すると朱晋は馬鹿げた質問に高笑いしながら変装用のヒゲを外した。「私が主の正体を教えると思うか?明かせば殺されてしまう」「国に背けば族滅されるのよ?教えてくれたら命は保証する 忘れないで、5歳の娘がいるでしょう?」その時、書卓の下で遊んでいた娘が帷からひょっこり顔を出した。「喧嘩しないで、かくれんぼしよう」朱御史が何者かに殺された。幼い娘が花郡主の名を口にしたことから裴済懐(ハイセイカイ)は大理寺の権限で朱府を封鎖、すぐ皇太子に報告する。姫元溯(キゲンソ)は慌てて現場に駆けつけたが、朱御史の胸の傷跡は軟剣で刺されたものだった。…琉璃の仕業なのか?なぜ何の相談もなく勝手な真似をしたのだ…翌朝、極秘の扱いだった朱御史の事件が都中に広まった。どうやら誰かが知玉京(チギョクケイ)府に花郡主が犯人だと訴え出たらしい。衛明月(エイメイゲツ)は娘が何か隠していると勘づき、琉璃を追及した。すると琉璃が左手を負傷していると気づく。「まさか朱御史を殺したの?!」「殺したかった、でも殺していないわ」琉璃は母に昨夜の経緯を説明した。…朱御史は可愛い娘のため、琉璃に全てを明かすことにした『これまで主の言いなりだったが…いいだろう、話そう』その時、書斎に刺客が飛び込んできた刺客は明らかに朱御史を狙っており、琉璃が応戦して守ったというしかし驚いた娘が机の下から飛び出し、朱御史は娘をかばって刺されてしまう…琉璃は朱御史こそ10年前の軍糧官・連岳だと教えた。「あの人が輸送を遅らせたせいで母親(ムーチン)たちは死にかけた 大勢の兵士たちが死んだのよ?この恨みは絶対に晴らす!」姫元溯は民衆の憶測を封じるため、花府を兵士に包囲させた。琉璃は皇太子に合わせる顔がなかったが、元溯は優しく琉璃を抱きしめ、無実を信じているという。「黒幕が誰か突き止めたかったの、まさか自分が利用されるなんて…」「朱御史が怪しいと気づいたのなら、なぜ教えてくれなかった?」「怒らないで、実は殿下に見せたいものが…」琉璃は朱御史の娘が机の下で遊んでいた焼けかけの文を持っていた。「ふふふ~(自慢)」「もういい、今後のことは将軍と相談する、それより考えてみてくれぬか?共に人生を歩みたい」「うん」その夜、軟禁で退屈した琉璃は鳶尾(エンビ)と2人で秘密の通路から出かけることにした。すると驚いたことに田嘉敏(デンカビン)が抜け穴から入ってくる。琉璃は嘉敏が本当の親友だと喜び、実は皇太子が花家を軟禁したのは敵を油断させるための策だと明かした。「なるほどね、敵はこれが策だと知らずにほくそ笑んでいる しかも陛下と杜(ト)太師が療養中…確かに今が絶好の機会ね!」「反乱を阻止したいの、英(エイ)王殿下が太子殿下を助けるよう仕向けたい、分かる?」「おう!」しかしその頃、すでに杜太師に魔の手が迫っていた。杜太師は長年、密かに謀反の一味の残党を調べ、悪を排除することで縉(シン)国の平和を保ち続けて来たが、まさか弟子に裏切られるとは思いもよらなかっただろう。「先生、弟子が旅立ちを見送りましょう…私には大業が控えています」杜太師の突然の訃報に玉京は悲しみに包まれた。気丈にも杜琇瑩(トシュウエイ)は献花に訪れた弔問客の前に姿を現し、祖父の遺言通り葬儀は簡素に行うと断る。その様子を雲寒(ユンハン)が遠目から見つめていた。雲寒は密かに杜太師の書斎に忍び込んだ。いくら高齢とは言え突然、死ぬのはおかしい。すると書卓で″謝″という書物の切り抜きを発見した。…太師が残した手がかりか?でもなぜ?…その頃、謝臨州(シャリンシュウ)はようやく楽陽(ラクヨウ)長公主と謝瑶(シャヨウ)の監禁を解いた。実は屋敷にまた間者が潜んでいると分かり、妻子を守るためにやむを得なかったという。「危険はなくなったゆえもう閉じ込める必要はない 数日後には太平宴が催される、存分に楽しむが良い」楽陽は安堵の涙を流しながら夫にしなだれかかったが、謝瑶はそんな父と母の姿を冷ややかに見ていた。杜琇瑩は呼び笛に気づいて雲寒が来たと分かった。そこで侍女を下げて独り祖父を弔っていると、雲寒が現れる。雲寒は杜太師に線香を手向け、杜琇瑩がこれからの人生を幸せに生きられるよう守って欲しいと願った。「やりきれない時は私を呼んでください、玉京であればこの笛で私を呼べます」「ありがとうございます、公子」雲寒は雲中居に戻った。…あの方は太師を恨んでいないはず、もしや大義を成すために動いたと?…そこへ裴済懐が現れた。「私だ!なんだ、くつろいでるな、こっちは大変だったぞ?」裴済懐はいつもの調子でそれとなく鎌をかけた。「太子殿下から太師府を調べろと命じられただろう?結果は?」「…まだ何もない」「構わない、明日も引き続き調べろ」…やはり裏切り者だったか…すると裴済懐はこっそり茶碗に薬を塗って雲寒に勧めた。雲寒が目を覚ますと大理寺の地下牢ではりつけにされていた。「見抜いたのか?」「ああ、″私たち″が見抜いた、実は殿下が私より先に気づいたんだ」裴済懐は皇太子が己の選択が正しかったと信じていたため、これまで見逃してきたという。「殿下はお前を生かすために青楽(セイガク)を殺したのだぞ? 都の間者を殺されても、お前に同情していた」しかし雲寒はわざと皇太子が民を侮辱して抑え付けていると非難、裴済懐を怒らせた。「裏切り者を生かしておくのか?!ひと思いに殺せ!」すると雲寒は急に吐血してしまう。裴済懐は雲寒が毒で操られていると知っていた。「なぜ言ってくれなかった?私さえ仲間ではないと?」「私はお前たちが探している謀反一味の残党だ、だから殺せ、それが最良の選択だ」裴済懐は雲寒を殺せず、結局、縄を切って解放した。そこへ皇太子が現れる。実は雲寒はかつて姫元溯の命を救った恩人だった。「これで恩は返した、余が今までに失望した相手はお前だけだ」元溯は雲寒に小さな荷物と薬を渡し、本物の主に仕えればいいという。すると雲寒は裴済懐が投げ捨てていった剣を拾い、自害しようとした。しかし元溯が咄嗟に雲寒の手を止める。「苦しかったであろう、利用され、板挟みとなり、何度も死を考えたはずだ だが余はお前に死んでほしくない、いずれ自由にしてやるつもりだった 主が誰か知りたくもない、見当はついている 死ぬのは簡単だ、だがお前はしかと生きねばならぬ」裴済懐が門前で待っていると皇太子が独りで出て来た。雲寒の裏切りに深く傷つく裴済懐、しかし姫元溯は肩を叩いて励ました。「まだ大仕事が残っているぞ」つづく( ゚ェ゚)え?で結局、黒幕は駙馬なの?
2024.03.24
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第21話「流れ星に願いを」皇太子・姫元溯(キゲンソ)は無事、和議の締結に漕ぎつけた花琉璃(カリィウリ)を労った。琉璃は杜(ト)太師から先帝の鞭をもらったと報告したが、実は昔はあの鞭で杜太師が不届きな官吏を戒めていたと知る。「そなたに贈ったのは認めてくれたからだろう」そんな中、科挙の結果が発表され、花長空(カチョウクウ)は見事に首席で合格した。杜府では杜琇瑩(トシュウエイ)が付ききりで祖父を介抱していた。しかし杜太師が自分に構わず出かけるよう勧める。「薬なら自分で飲める、早く行きなさい」実は科挙の合格と和議調印の祝いを兼ねて群英食肆(グンエイショクシ)で宴が開かれていた。姚文茵(ヨウブンイン)はなぜ英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)と田嘉敏(デンカビン)が花家のために尽力するのか分からなかったが、嘉敏は自分を気にかけてくれない英王への怒りでそれどころではない。一方、琉璃はせっかく祝宴に顔を出してくれた杜琇瑩の姿がないと気づき、探しに出かけた。杜琇瑩は前庭で独り祖父を心配していた。すると琉璃が現れ、気分転換に屋根に登って星を見ようと誘う。屋根はおろか梯子さえ登ったこともない杜琇瑩、しかし琉璃に促されるまま一段一段ゆっくりと登っていくと、ついに屋根に上がった。琉璃は幼い頃、青寒(セイカン)州の城楼に登って出征した家族の帰りを待ったものだと懐かしみ、誰にとっても家族は恋しく、離れ難い存在だと言った。「ありがとう、慰めてくれて」「泣きたい時は泣けばいいのよ?」杜太師は孫娘に感情を表に出すべきではないと教えて来た。しかし自分の死期を悟り、これからは外へ出て自分の代わりに世の中を見て欲しいと頼んだという。杜琇瑩はこれからは祖父の目の代わりになると話し、思わず涙した。その話をちょうど琉璃を探していた姫元溯が軒下で耳にする。元溯は杜太師を案じ、明日一番で太師府に侍医を送って手を尽くさせるよう命じた。田嘉敏と姚文茵も琉璃たちを探して外へ出た。すると屋根から琉璃の声が聞こえる。梯子を見た姚文茵は琉璃が相引きしていると疑ったが、一緒にいたのは嘉敏の従姉・杜琇瑩だった。思いがけず屋根の上に集まった令嬢4人。恋話に花を咲かせていると星が流れ、4人は急いで願掛けした。翌日、姫元溯は琉璃を誘って太師府に見舞いへ出かけた。琉璃は自分が杜太師から疎まれていると分かっていたが、病床の杜太師は皇太子や花郡主に厳しく接して来たのは誤りだったと認める。「2人は見事にやってのけた…殿下がそなたのような伴侶に出会えて良かった」そこで姫元溯は外出できない杜太師のために描かせた万国朝拝会で賑わう玉京の絵を見せた。この百年、弱く貧しい国として侵略や略奪を受け続けてきた縉(シン)国。長い苦しみを経てようやく繁栄を手に入れたが、今やこれほどの賑わいを見せていた。「私は見誤っていた、やはり殿下は太子の器たる方です」一方、金珀(キンハク)国の二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)はこの数日の滞在で民たちの気質が分かったと感慨深かった。「この地に暮らす者は寛容な一方で、決して仇を忘れぬ…」確か50年前、縉国が干ばつの際、高昌(コウショウ)国が食料を贈った。すると20年前の高昌国の内乱では縉国が平定を助け、さらに農具や木工、手工芸の職人を贈っている。「高昌国は縉国の敵だ、仇を忘れたわけではないが、懐が深い、もし同じ国に生まれていれば…」屋敷へ戻った琉璃は両親に杜太師を見舞ったと伝えた。花応庭(カテイオウ)にとって杜太師は政敵だったが、見解の相違はあれど杜太師が多くの民を助けたことを知っているという。「内心、杜太師を尊敬している」琉璃は元気がない鳶尾(エンビ)を心配した。すると鳶尾は盗まれた褲(ハカマ)の件に裴済懐(ハイセイカイ)が関わっているかもしれないと明かす。「友だちだと言ってくれたのに…私を騙すなんて」「実はね、太子殿下の策だったの」鳶尾は安堵したが、ただの侍女では皇太子の腹心とは釣り合わないと卑下した。しかし琉璃は自分の妹同然であり、青寒州では戦場で戦った校尉でもある鳶尾ならお似合いだと太鼓判を押す。「直接、本人に聞きなさい、好きだと言われたら放してはダメよ」一方、雲寒(ユンハン)は毒の発作に襲われ、気を失っていた。すると裴済懐が現れ、皇太子に届けるよう命じられた薬をこっそり置いておく。…雲寒、我々を失望させないでくれよ…そんなある日、琉璃が屋敷を出ると賀遠亭が現れた。「話がある、聞いてくれ」賀遠亭は琉璃を連れて人目のない水辺の庭園に落ち着いた。「初めて会った時、そなたの美しさに…」「だから何?今さらそんな話をして意味があるの?」すると賀遠亭は本題に入った。「私も戦のために来たのではない、国の威信を取り戻したかっただけだ 頼みがある…私が帰国してから力になってくれるなら両国の永遠の友好を約束する 承諾してくれるなら秘密を明かそう、長年、隠されてきた縉国の秘密だ」「いいわ、承諾する」2人は手を打ち合わせた。10年前の″雲倉嶺(ウンソウレイ)の役″での戦い、この時、琉璃の両親は死の瀬戸際に立たされた。阿瓦将軍の父親はその戦で死んだという。実は縉国のある野心家が漁夫の利を狙ったせいだった。「密林でそなたに見つかった時、私は玉京に潜伏して調べていた 当時、軍糧の輸送を担当していた連岳(レンガク)は今では縉国朝廷の官吏になっていたよ …朱(シュ)御史だ」「(あの男だったの?)…ありがとう」琉璃は自分で真相を確かめるべく足早に帰った。阿瓦は第二皇子がなぜ花琉璃に秘密を教えたのか分からなかったが、賀遠亭は敵の内紛で漁夫の利が得られるという。「郡主は賢すぎる…だますより真相を伝えた方がいい」姫元溯は父皇が倒れたと聞いて宮中に駆けつけた。皇帝は元気そうだったが、老体でつまずいた賢(ケン)妃を身体を張って支えるなど無謀すぎると呆れてしまう。「しかし琉璃が現れて分かりました、愛なのですね、だから父皇は賢妃に尽くすのだと… だとすると私の母親は?」「10年前、先の皇后は外戚と乱を起こし、混乱の中でお前の母は病で死んだ その死には裏がありそうだが、証拠は何もない」すると元溯は自分に任せて欲しいと言った。琉璃は安康苑(アンコウエン)で皇太子の帰りを待っていたが、諦めて屋敷に戻った。確かに10年前、忘れもしない。琉璃は軍糧を運ぶ途中に問題が起きて到着が遅れたと知り、両親と大兄が無事で戻れるのか心配でたまらず、城楼から動けなかった。…花琉璃、何を迷うことがあるの?…その夜、琉璃は誰にも言わず、黒装束に着替えて出かけてしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)エェェェェェ~!黒幕wwwww
2024.03.23
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第20話「防衛図を巡る攻防」策を弄して花(カ)府に転がり込んだ金珀(キンハク)国の第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)。知らせを聞いた皇太子・姫元溯(キゲンソ)は花府に駆けつけたが、嫉妬のあまり立ちすくんでしまう。すると琉璃(リィウリ)は皇太子の頬に口づけし、機嫌を取った。「怒らないで、多分、辺境防衛図を盗むつもりなんです」「分かっている、その件で相談に来た」実は姫元溯にはすでに敵を欺く作戦があった。ただし万全を期すため、作戦を知る者が少ない方が良いという。謝臨州(シャリンシュウ)は配下の石青(セキセイ)から防衛図の在りかを今夜にも第二皇子に伝えると報告を受けた。「雲寒(ユンハン)に与える任務は?」「ひとまず待て、昌隆(ショウリュウ)帝の体調を探ってから方針を決める 雲寒を使う時には一撃で事を成さねばならぬ」すると謝臨州は折を見て雲寒に釘を刺すよう命じた。「逆臣の子としての仇を忘れてはならぬとな」姫元溯は裴済懐(ハイセイカイ)に指示を出し、あとは敵が釣れるのを待つことにした。するとその夜、元溯の読み通り、誰かが賀遠亭の離れに矢文を放つ。花府に潜んでいた裴済懐は矢文を奪って偽物とすり替えたが、皇太子が用意した密書に思わず失笑した。…疑り深い男だから相手の裏をかく、餌が非常識なほど容易に食いつくはずだ…翌朝、賀遠亭は柱に刺さった矢文を発見、防衛図が花将軍の褲(ハカマ)の中だと分かった。「縉(シン)国人はどうかしてるな」どうやら縉国人にとって下着は重要な意味があるらしい。すると賀遠亭はちょうど屋敷が手薄になる科挙の日に動くと決めた。鳶尾(エンビ)が洗濯物を持って裏庭へ出ると、裴済懐を見つけた。裴済懐に淡い恋心を抱く鳶尾、しかし騙された苦い経験から素直になれずにいる。すると裴済懐はこれまでの無礼を謝りに来たと告げ、友だちとして仕事を手伝いたいと申し出た。鳶尾は喜んで洗濯物を頼み、恥ずかしそうに殿内に入ってしまう。そこで裴済懐は隠し持っていた褲を他の洗濯物と一緒に干しておいた。翌朝、花長空(カチョウクウ)は家族の応援を受け、科挙に臨んだ。賀遠亭はどさくさに紛れて一緒に貢院(コウイン)まで見送ったが、花応庭(カオウテイ)は試験が終わるまで残るという。そこに姫元溯が現れた。元溯は衛(エイ)将軍と琉璃には屋敷へ戻るよう勧め、結局、花将軍と賀遠亭の3人で試験が終わるのを待つことになった。杜(ト)太師は弟子たちから両国の和議が進展していないと聞いた。花郡主は鴻臚寺(コウロジ)に顔も出さず、科挙が終わり次第、皇帝に上奏するつもりだという。すると謝臨州は花郡主が和親のための婚姻に同意してくれたら解決していたと残念がった。科挙が無事時に終わり、花応庭も屋敷へ戻った。ひとまず着替えようと衣装部屋に入ったが、なぜか褲が全て盗まれていると気づく。「よりによってなぜ私の下着を?」阿瓦(アガ)は一家が出払っている隙に宋光(ソウコウ)や侍従たちに眠り薬を盛り、花応庭の褲を全て盗み出していた。しかし賀遠亭は防衛図が本物かどうか確信が持てず、物陰から花府をうかがう。その時、正門から皇太子が出て来た。皇太子は警戒を怠った宋光を連行、そこへ密偵からの報告が届く。…太子が辺境の配置変更を指示、その急報を謝臨州の配下が阻止…すると安心した賀遠亭は阿瓦に防衛図を金珀に送るよう命じた。琉璃は改めて和議の日を設定、再び両国が集まった。すると花郡主を心配していた杜太師が老体に鞭打って鴻臚寺に駆けつけ、他国にあなどられてはならないと叱咤する。その様子をちょうど姫元溯と裴済懐が見ていた。裴済懐は花郡主が矢面に立たされるのではと心配したが、その時、杜太師が先帝から賜った打王鞭(ダオウベン)を琉璃に贈る。「和議は交渉の場だが一種の戦場でもある、私からこの鞭を贈り、凱旋を祈るはなむけとする」琉璃は思わずその場にひざまずいて拝礼、必ずや期待に応えてみせると誓った。居並ぶ文官を前に琉璃を激励した杜太師、姫元溯は琉璃の名誉な場だと喜び、邪魔せず黙って引き返した。再び和議の席についた琉璃と賀遠亭。しかし賀遠亭は和議の条件を拒否し、開戦する用意があると強気に出た。「苦難は承知の上、我が国はまだ戦える」「辺境の民を顧みず開戦すると言うなら話はここまでです」「私は貴殿に借りがある、同じ目に遭って貴殿の気持ちが分かった 今度は貴殿に分かって欲しい」賀遠亭は時間を稼いでいたが、その時、ついに辺境から戦報が届いた。賀遠亭は金珀国の勝利を確信していた。しかし戦報によると金珀国の精鋭軍が青寒州に夜襲をかけたが、花家の長子・花景逸(カケイイツ)が大半を滅ぼし、残兵は逃げ帰ったという。「二皇子、我が国は和平を主張しましたが、戦を恐れているわけではありません これで和議に調印すべきか否か、お分かりになったでしょう?」杜太師は弟子たちから和議が無事に締結したと聞いて胸を撫で下ろした。「私がこの人生に求めたのは他でもない、正義に基づく清廉な政(マツリゴト)と天下太平だけ…」すると宿願を果たした杜太師は緊張の糸が切れたのか、倒れてしまう。賀遠亭はまたしても琉璃に騙されたと嘆いた。しかし琉璃はそもそも和親の婚姻を持ち出し、花府に居座って辺境防衛図を盗み出したのは賀遠亭の方だと糾弾する。「賀遠亭、盗んだ辺境防衛図は偽物よ?奇襲に警戒するよう伝えておいたの 本来、避けられた戦なのに、あなたの独り善がりが敗北を招いた」すると賀遠亭は崩れ落ちるようにへたり込んでしまう。つづく( ゚ェ゚)リーフェイまだぁ?
2024.03.23
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第19話「灯籠の下の告白」謝臨州(シャリンシュウ)と雲寒(ユンハン)は皇后一派の残党だった。10年前の皇后の謀反により縉(シン)国では多くの血が流れ、皇太子の母ですら命を落としている。当時、雲寒を救い出したのが謝臨州だった。「覚えておくのだぞ?お前にとって本当の主は誰なのか、その命を握るのは誰なのかをな」「はい」するとその帰り道、雲寒は激しく血を吐いてしまう。縉国と金珀(キンハク)国の捕虜の交換が完了、釈放された将軍・阿瓦(アガ)は第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)と再会した。実は賀遠亭はすでに10年前の戦で暗躍した黒幕を見つけ出し、和議を有利に進める手立てを授けてもらったという。『今なら青寒(セイカン)州は花(カ)家の長子のみ、この機に辺境防衛図を入手して攻め入ったら…』謝臨州は防衛図の在りかを早急に突き止めると約束、賀遠亭に花府に入り込んで待つよう指示した。皇太子・姫元溯(キゲンソ)は花琉璃(カリィウリ)に想いを告白しようと準備を進めていた。そんなある日、賀遠亭が皇帝に上奏したい議があると参内し、両国友好のため花家と婚姻を結びたいと嘆願する。「私が婿入りします」謝臨州は和親に賛成して加勢、すると朝臣たちもこぞって賛同した。そこで皇帝は我が国では婚姻を強要しないと花郡主に助け舟を出したが、驚いたことに琉璃は承諾するという。「その代わり青寒草原の境界を後退させ、2つの町を返還してくださいますね?」姫元溯は相手の裏をかく琉璃の手腕に感心、賀遠亭も即答できず、和親の話し合いは科挙の後と決まった。皇帝は皇太子と英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)を呼び、和親について意見を聞いた。姫元溯は承諾すべきでないと訴えたが、相変わらず的外れな姫元灝は自分の許嫁を見初めるとは見る目があるという。「しかし父皇、今の私には想い人がいるので…では私は下がります」花家では賀遠亭が琉璃との和親を提案したと聞いて怒り心頭だった。琉璃は必ず何か魂胆があると疑っていたが、早速、賀遠亭が花家にやって来る。しかし花長空(カチョウクウ)から急ぎ連絡を受けた姫元溯が駆けつけ、賀遠亭の邪魔をして追い返した。この時、阿瓦は兄弟と慕っていた同房の男が実は皇太子の側近・裴済懐(ハイセイカイ)だと気づき、途方に暮れてしまう。その夜、阿瓦は第二皇子に事情を説明し、敵に通じてしまったと謝罪した。賀遠亭は故意ではないと許したが、最悪なことに自分の情報を事細かく漏らしてしまったという。その頃、琉璃は姫元溯との待ち合わせで裏山に到着した。すると待ち構えていた裴済懐がここからは花郡主が独りで行って欲しいという。そこで灯籠に照らされた細道を入っていくと、灯りに照らされた大木の下で皇太子が待っていた。「そなたに話がある…余は幼き頃、そなたからの文を何度も読み返した そなたは余の心を温め、余の人生に一筋の光をもたらしてくれた そなたと出会うまで知らなかった、天下の安寧の他にも守るべきものがあると… 誰より大切な人だ」姫元溯は初めこそ琉璃を警戒していたが、二度と疑わないと約束した。姫元溯が手を叩いて合図すると、皇太子の侍従たちが赤い灯籠を持って現れた。その様子を裴済懐や鳶尾たちもこっそり見守る。すると侍従たちは愛(ハート)の形を作って見せた。琉璃は皇太子の心のこもった演出に大喜びしたが、実はまだ贈り物があるという。姫元溯は大木の灯籠に下げておいた玉をはずした。玉は二つを合わせて一つとなり、それぞれに″姫琉永縉(キリュウエイシン)″、″花好月元(カコウゲツゲン)″と刻まれている。「どちらにする?選べ」「ではこちらを…″花″があるから」その時、急に雨が降って来た。侍従たちは慌てて撤収、裴済懐と鳶尾もせっかくの告白が台無しだと困惑したが、気がつくと皇太子は傘を差している。「とても話し足りぬ」「殿下、おっしゃらなくても分かります…」すると琉璃は皇太子に口づけした。賀遠亭は何とか花家に転がり込もうと、客舎から焼け出されたと訴え、花府を頼った。琉璃は相手にしなかったが、花応庭(カオウテイ)は鴻臚寺卿(コウロジケイ)として使臣を冷遇すれば外聞が悪いという。しかし思った通り火事は賀遠亭の自作自演だった。…私に戦いを挑むなんて100万年早いのよ…琉璃は憤慨しながらもやむを得ず賀遠亭を離れを住まわせることにした。賀遠亭は謝駙馬からの連絡を待つ間、いずれ婿になる身だからと殊勝にも立ち働いた。おかげで花家の内情が分かり始め、これなら自分で辺境防衛図を探した方が早いと気づく。一方、裴済懐は賀遠亭が花府に転がり込んだと知り、慌てて皇太子に報告した。姫元溯は賀遠亭が屋敷を燃やした事までは聞いていたが、まさか花府に泊まっているとは知らず、慌てて出かけて行く。つづく( ゚ェ゚)え?!駙馬じゃないんだ、黒幕!
2024.03.22
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第18話「和議交渉」万国朝拝会が開催、福寿(フクジュ)郡主に封じられた花琉璃(カリィウリ)は鴻臚寺卿(コウロジケイ)として立派に各国の使臣たちをもてなしていた。しかし金珀(キンハク)国の二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)は未だ到着していない。琉璃は城門で待つことにしたが、そこへ皇太子・姫元溯(キゲンソ)が現れた。「″福寿″という封号は殿下のお好みですか?」「なぜそう思った?」「殿下の別宅が安康苑(アンコウエン)なので…」琉璃は古臭いと思っていたが、確かに縁起の良い名前だと笑う。その時、ついに金珀国一行が到着した。賀遠亭は朝議で皇帝に謁見、金珀からの献上品として舞姫・絳紗(コウサ)を紹介した。美しく艶かしい絳紗に皇帝も鼻の下を伸ばしたが、残念ながら後宮に空きがなく、皇太子に授けるという。そこで姫元溯は絳紗にまず清河(セイガ)書院で学問に励むよう命じ、書生として一定の水準に達した時に改めて受け入れると決めた。(๑・᷄ὢ・᷅๑)そんなぁ~ん縉(シン)国と金珀国との交渉の日。姫元溯は鴻臚寺に駆けつけ、琉璃を励ました。「衣に乱れはないか?…整えてやろう」すると元溯は琉璃の官帽を直しながら、思わず額に口づけしてしまう。我ながら大胆な行動に驚いた元溯だったが、琉璃は恥ずかしくなって逃げるように出て行った。杜(ト)太師は交渉役の花郡主を助けるため、弟子である田(デン)尚書、朱(シュ)御史、姚(ヨウ)侍郎を送り込んだ。文官たちは花家を目の敵にしていたが、琉璃は国の大事ゆえ自分の味方であることを願うしかない。こうして琉璃と賀遠亭が交渉の席についた。交渉は順調に進み、この勢いなら調印までこぎ着けると期待したが、最後の最後で暗礁に乗り上げてしまう。「青寒(セイカン)草原の境界を500里も後退させろという条件は不服です」青寒草原は両国が古来より自分の土地だと主張していた。そこで賀遠亭は再び戦火を交えるのは避けたいだろうと琉璃の足下を見る。「ここは昔のよしみで譲歩してください」「何が昔のよしみよ!」琉璃は挑発されて思わず声を荒げた。すると脇殿で交渉を見守っていた姫元溯は琉璃を落ち着かせるため、茶を届けるよう命じる。「それから背もたれのない椅子に変えよ、士気を保ち、襟を正させるのだ」…昔のよしみだと?賀遠亭と差しで会わねば…交渉はこう着状態となり、結局、1日目は物別れに終わった。すると賀遠亭が引き上げようとした琉璃を止め、各国の行商を集めた龍井(リュウセイ)坊へ一緒に行きたいという。琉璃は用事があると断ったが、そこへ皇太子が現れた。「余が案内しよう」賀遠亭は散策しながら何とか琉璃の気を引こうとしたが、皇太子と琉璃の硬い結束に阻まれた。すると酒楼での食事中、裴済懐(ハイセイカイ)が鳶尾(エンビ)に郡主を連れ出して欲しいと頼む。「太子殿下が賀遠亭と話があるそうだ」「なんで私が?」鳶尾はまだ怒っていたが、仕方なく協力した。「小姐!大変です!夫人が古傷が痛むとか…早く来てください!」賀遠亭はかつて花琉璃と自分が深い仲だったと自慢、皇太子を牽制した。面白くない姫元溯は挑発されるまま酒の飲み比べを始め、勝負がつかないまま解散となる。すると賀遠亭は先に席を立った皇太子が雲寒(ウンハン)の所へ行くと言ったのを聞き逃さなかった。金珀国の使者たちは城内で第二皇子と花琉璃の過去の関係を吹聴していた。しかし姫元溯は琉璃が本当に敵と通じて賀遠亭に惚れたのかが知りたいという。すると雲寒が事実を明かした…賀遠亭は冬が来る前に戦を終わらせたかった雪の中で戦線を拡大すれば兵が疲弊するのは明らかそこで青寒州で留守を任されている花家の一人娘を懐柔し、人質にしようと思いついた賀遠亭は″賀鳴(ガメイ)″と名を変え、旅の商人に成り済まして青寒州へ潜入したちょうど市場に現れた花琉璃を発見したが、予定外に一目惚れしてしまう「何でも好きな物をあげるよ」すると琉璃は白衣の優男が身につけている腰かざりに目を止め、その玉佩をもらった賀遠亭は数日滞在し、その間に琉璃と仲良くなったそんなある日、賀遠亭は琉璃を呼び出し、2人で絶景の朝日を眺める『賀鳴哥哥…縉国が負けたら私も捕らえられるの?』『琉璃、金珀へ行かないか?何があろうと君を守ると約束する 準備するから待っていてくれ、3日後に出発しよう』実は金珀国へ通じる秘密の道が南詔(ナンショウ)国にあった琉璃は賀遠亭と一緒に金珀国の国境へたどり着いたすると阿瓦(アガ)将軍が兵士を率いて待ち構えている『誰か、花琉璃を捕えろ』『ダメだ!』『なぜですか?二皇子?』琉璃を好きになった賀遠亭は作戦を変更すると言ったが、琉璃は賀鳴が金珀国の第二皇子だと知って驚愕した『皇子という身分以外は何も偽っていない、君を守ると約束した』しかし阿瓦が花琉璃を人質にして花家を脅すと口を滑らせてしまうその時、見張りの兵士が縉国に包囲されたと報告した将軍たちが慌てて出陣、琉璃は隠し持っていた剣を抜いて賀遠亭に突きつけた『お芝居は終わりよ』琉璃は初めから賀鳴を怪しみ、すぐ調べさせていた『見せかけの言葉や態度で私を騙せるとでも思った?』花家軍は秘密の道から金珀軍に奇襲をかけた賀遠亭が罠にかかったのは自分だと気づいた時には手遅れしかし阿瓦の助けで難を逃れ、代わりに阿瓦が捕まってしまう…雲寒は皇太子が花琉璃を好きだと分かった。「誰にも興味を示さなかった殿下が今や花郡主に魅了され、行動に目を光らせている でも賀遠亭が現れ、おとなしくなった」裴済懐は納得し、皇太子が賀遠亭を脅威に思っていると気づく。すると2人に見抜かれた姫元溯は琉璃に想いを告白したいと明かした。深夜、雲寒は郊外で主と接触した。「今日、金珀国の二皇子に会わなければお前が暗躍していたことを知らずにいた」「手を組まないかと言われました、我々が10年前の謀反人だと突き止めたからです これは協力の申し出ではなく脅しです」「つまり拒んだのは私たちのためだと?ではなぜ青楽(セイガク)が?」「私は静養中でした、そもそも私が裏切っていれば大人の素性はばれているはず」実は雲寒の主は駙馬の謝臨州(シャリンシュウ)だった。つづく( ๑≧ꇴ≦)皇太子登場の音楽wwwいらんだろうwwwww
2024.03.21
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安乐传 The Legend Of Anle第17話雪の舞い落ちる宴の夜。任安楽(レンアンルー)は帝承恩(ディチォンエン)の伴奏で美しい剣舞を披露していた。その姿は幼き頃の梓元(ヅユアン)を彷彿とさせ、韓燁(ハンイェ)は思わず見入ってしまう。しかし安楽が急に帝承恩に剣を向けたかと思うと、鮮やかに舞いながらわざと帝承恩のかんざしを吹き飛ばした。帝承恩の箏の音が止まった。驚いた韓燁は帝承恩の元に駆けつけ、自ら外套を着せてやる。「殿下…任大人(ダーレン)は私に何か恨みが?」「誤解だ、任安楽は気分で人を傷つけたりしない」「帝小姐(シャオジェ)、これしきで動揺するなら太子妃は無理では?早々に諦めて屋敷へ戻るべきね」安楽は剣を投げ捨て、韓燁をわざと挑発した。すると韓燁は帝承恩を守るため、祖母から託された鳳凰のかんざしを帝承恩の髪に挿してしまう。安楽の芝居は上手く行った。しかしいざ韓燁が帝承恩にかんざしを贈る様子を目の当たりにすると、何とも言えない虚しさに襲われる。その時、皇太后・孫瑜君(ソンユクン)と嘉昌(カショウ)帝・韓仲遠(ハンチュウエン)が現れた。孫瑜君は野心を隠していた帝承恩に激怒して追い出そうとしたが、韓仲遠は殊勝に振る舞う帝承恩を認めてくれる。「太子ももう大人です、太子妃選びは本人に任せるべきでは?」皇帝のまさかの言葉に孫瑜君は唖然、怒りが収まらず、いきなり帝承恩の髪からかんざしを奪い取って帰ってしまう。これがかえって皇太子の正義感を奮い立たせた。「私の意志は変わらない、太子妃の位は永遠に君のものだ」すると韓燁は帝承恩に付き添い、見送りに出た。洛銘西(ルォミンシー)が門で待っていると安楽が傘も差さずにやって来た。洛銘西は屋敷へ送ると言ったが、安楽は独りになりたいという。その頃、安寧(アンニン)も公主府の庭で立ちすくんでいた。すると冷北(ランベイ)が現れ、黙って傘をかざす。「大雪ね…靖安(セイアン)侯府に残る血の跡も、この大雪が覆い隠してくれるかしら…」一方、皇帝は憤懣やるかたない皇太后をなだめていた。もし帝承恩に企みがあればこの機に帝家を完全に滅ぼすが、ただし忠誠を誓うのなら、帝承恩は皇家にとって有益な駒になるという。実は今でも帝家の謀反に疑問を呈する声があり、皇帝は完全に封じ込めずにいた。韓燁が帝承恩を皇太子妃に迎えれば太祖の遺詔を守る君子として賞賛されるだけでなく、帝家が韓家に服従した証しと見なすことができるという。その頃、流刑になった古斉善(コセイゼン)が密かに忠義(チュウギ)侯府へ帰ってきた。せっかく苦労して流刑先を江南に変えさせた古雲年(コウンネン)は呆然、また何か問題を起こしたと気づく。実は古斉善は酒に酔って鍾(ショウ)家の娘・鍾景(ショウケイ)を過って殺していた。隠蔽のため火をつけて亡骸を燃やそうとしたが、結局、家族もろとも殺してしまったという。古雲年は激高して息子を蹴り飛ばしたが、侍衛・李由(リユウ)はともかく急いで身代わりを立てるよう進言した。安楽は靖安侯府で独り父を弔い、朝を迎えた。…父親(フーチン)、10年間、素性を隠して海賊になった私がやっと堂々と父親の供養ができるでも屋敷に戻っても帝家で生き残ったのは私一人だけ青南(セイナン)山で死んだ8万人の兵はこの10年、無実の罪を着せられたまま、魂は今も故郷に帰れず、さまよっている父親は身の潔白を訴えて自ら命を絶ったでも私たちを陥れた者は今も皇帝として万民の上に君臨し、広大な国を治めている…安楽は献杯すると、すでに扁額が外れて落ちた帰元(キゲン)閣の前に立った。「父親、私が帝家の汚名をそそぐわ、韓家に罪を認めさせ、8万の将兵を安らかに眠らせる」その時、運悪く安寧がやって来た。「安楽?…ここで何を?」安楽は咄嗟に昨日が伝説の靖安侯の命日だと知って来てみただけだと取り繕った。「さまざまな噂が流れているから、私も興味があったの」すると安寧はあの壮絶な話が今や噂話の種に成り下がったと失望する。しかし安楽は人々の記憶に残っているとすれば、まだ生きていると言えると笑った。「邪魔したわね、また会いましょう」沅水閣(ゲンスイカク)では皇太子の愛を確信した帝承恩が嬉しそうに箏を奏でていた。慕青(ムーチン)はそろそろ靖安侯府へ行くよう勧めたが、帝承恩は皇太后の怒りを買いたくないと拒む。「だが太子殿下は靖安侯府で待つと…無視すれば疑われるぞ?」「行かない!…殿下も私が怯えていると分かるわ、行かない方が得策よ」その頃、韓燁は靖安侯府で帝承恩を待っていた。しかし帝承恩は一向に現れず、思いがけず安寧と出くわす。安寧は梓元が来ないことを訝しんだが、韓燁は病み上がりゆえ来られないのだとかばった。「哥哥、自分を欺かないで、保身に走ったと気づいているはずよ? 太子妃の座を失わないためにね…」安寧は韓家のせいで実の娘にさえ慰霊に訪れない靖安侯を思うと辛くなった。すると韓燁は安寧が負い目を感じることはないという。「かつて靖安侯も帝家軍も靖国のために奮戦した英雄だった まさか反逆の機をうかがっていたとは…安寧、当時まだ幼かったお前には何の罪もない」「違うの!」安寧は思わず声を荒げたが、喉まで出かかった言葉を飲み込んだ。「そうだ、梓元ではないけれど、別の人に会った、安楽よ 安楽に会った時、思ったの… もし梓元が幽閉されなければ、今頃は世の中を伸びやかで自由に生きていたんじゃないかって」「任安楽のように…」( ;∀;)アンニン…安楽が屋敷に戻ると院子で洛銘西が待っていた。気持ちの整理をつけた安楽は韓燁に惹かれていることを認め、韓燁への情より帝家8万の将兵の魂が大事だと断言する。「梓元、私の前では己を偽る必要などない」「うん、あなたの前でだけは自然体でいられる」安楽はようやく笑顔を見せると、父の供養に行って安寧と出くわしと報告した。何か勘づかれた様子はなかったが、あの無邪気だった安寧はなぜすっかり変わってしまったのだろうか。すると洛銘西が面白い情報を教えた。実は古雲年が鍾家の惨劇に関与し、密かに例の″鍾海(ショウカイ)″を探しているという。千月閣の調べたところ、鍾海は江南の水害で行き場を失って鍾家に身を寄せ、忠誠を尽くしていた。「鍾家皆殺し事件の唯一の証人かもしれない」「口封じするつもりね、私たちが先に見つけなくては…私に考えがある」韓燁は初めて沅水閣に帝承恩を訪ねた。今日も写経に勤しんでいた帝承恩、すると韓燁は子供の頃の梓元の筆跡を見て何とも懐かしくなる。「靖安侯府の扁額のことを覚えているか?大騒ぎを起こして陛下の大目玉を食らった」しかし帝承恩には何の話か分からなかった。「当時は8歳でした、ほとんどのことは記憶にないのです」韓燁は一瞬、驚いたような表情をしたが、すぐ優しい顔に戻った。「長居をした、私は帰る…」帝承恩は何か対応を間違えたと気づいて焦った。すると皇太子を追いかけようとして慌てて段差につまづき、倒れてしまう。韓燁はすぐ気づいて帝承恩を立たせようとしたが、ちょうど外衣が乱れて帝承恩の肩があらわになった。…梓元が8歳の時だった梓元はまだ扁額がなかった部屋の門に自分で書いた″帰元閣″を貼り付けることにするそこで韓燁に題字を預けて椅子に上がろうとしたが、足を滑らせ、肩から落下した『梓元!傷を見せてみろ!』韓燁はその時、梓元の肩がざっくり切れているのを見た…帝承恩は皇太子が自分の肩を見て困惑している様子に気づいた。「殿下?どうかなさいましたか?」「(はっ)いいや」そこで帝承恩は皇太子の気を引こうと、任安楽に好意があるなら側室に迎えてはどうかと提案する。しかし韓燁はあり得ないと一蹴、任安楽は重臣であり国の柱石だと言った。「太子府に迎えることはない」正門を出る韓燁の表情は硬かった。10年もすれば性格が変わるだけでなく、傷跡さえ消えてしまうものだろうか。韓燁はともかく吉利(キツリ)に瑇(タイ)山での10年に何があったのかすぐ調べさせることにした。洛銘西は急いで安楽を翎湘楼(レイショウロウ)に呼び出した。実は慕青から報告があり、どうやら韓燁に感づかれたという。「帰元閣の扁額の題字の一件を覚えているか?」「題字を書いた時、足を踏み外して転んだの、肩に深手を負って大きな傷跡が残った 韓燁は韓仲遠に叱られて、10日間も看病してくれたわ 私が忘れていることも覚えていたなんて… でも帝承恩の肩に傷をつける必要はない、下手に動けばかえって怪しまれるわ」つづく( ๑≧ꇴ≦)傷がなかったぁぁぁぁぁぁぁ~
2024.03.21
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安乐传 The Legend Of Anle第16話任安楽(レンアンルー)に意地でも宴の招待状を渡さない皇太子・韓燁(ハンイェ)。安楽はならば江南(コウナン)で酔った皇太子の醜態を晒すと脅し、わざと韓燁に抱きついてからかった。さすがに韓燁も動揺して安楽を突き放したが、戦友相手に卑怯な手を使うなと咎められてしまう。。゚(∩ω∩`)゚。<うわ~ん!安楽はついに泣き落としにかかった。そこへ侍従の吉利(キツリ)が現れ、皇帝から勅書が届いたと報告する。「任大人(ダーレン)を太子妃選びに招くようにと勅命です」すると安楽は勅書を手に入れ、芝居を切り上げ帰って行った。↓(  ̄꒳ ̄)これがあるからいいもん一方、洛銘西(ルォミンシー)は負傷した琳琅(リンロウ)の療養中にも千月閣に皇宮の記録を調べさせていた。すると安寧(アンニン)公主は嘉昌(カショウ)6年12月、皇太后の寝殿のそばで池に落ち、昏睡に陥っていたことが分かる。その時、激怒した皇太后が太監・良喜(リョウキ)に死を賜っていた。安寧は皇太后の元で療養後、回復すると西北へ出征、その後、10年間も戻らなかったという。「その頃、北秦(ホクシン)との内通を疑われた帝(ディ)家が一族皆殺しになったのですね 太后は良喜に死を賜った…安寧公主は帝承恩(ディチォンエン)のため静心(セイシン)堂で暴れて… はっ!大人?!」琳琅は洛銘西の読み通り安寧が鍵を握っていると気づいた。帝承恩は皇帝が任安楽を皇太子妃選びに呼んだと聞いて困惑した。味方になってくれるはずの安寧にも冷たくされ、もはや自分を生かすも殺すも皇太后しだいだと恐ろしくなる。「宮中ではいつ殺されてもおかしくない…今すぐ引き返せば無事でいられるかしら? 太后は見逃してくれる?!」喜んだ慕青(ムーチン)は引き返すなら自分の命を捧げると告白したが、帝承恩に本意は伝わらなかった。「いらない…2人で幸せに生きたい、気高く生きるの」帝承恩はそのために何としてでも皇太子の心を得ると奮起した。( ̄▽ ̄;)むーちん…洛銘西のもとに慕青から伝書鳩が飛んできた。何でも帝承恩が宴で皇太子の気を引くため、冷水を浴びて病を装うことにしたという。洛銘西は早速、安楽に報告し、帝承恩の下策を利用しない手はないと言った。「帝姓の太子妃がいれば名誉回復に役立つ おのずと帝家の過去に関心が集まり民の声を利用できるわ 太子妃には皇家も簡単に手を出せないし、私は身を潜めやすくなる… 安心して、堂に入った演技を見せるから、明日の夜は恋敵をいたぶってあげる、ふふ」一方、冷北(ランベイ)は密かに四方館に滞在する妹に接触、明日の宴には派手な装いで出掛けるよう勧めた。「北秦の公主は靖(セイ)の太子妃にはなれぬ…遊びではないのだぞ?宴では気をつけろ」莫霜(モーシュァン)は大人しくうなづいたが、結局、華美な装いを好まない皇太子に合わせることにした。12月25日、皇太子妃選びの宴当日。韓燁は相変わらず質素な装いで皇祖母と父皇への挨拶を済ませた。すると皇太后・孫瑜君(ソンユクン)は亡き皇后の形見である鳳凰のかんざしを託し、気に入った娘の髪に挿すよう告げる。「聞き分けの良い太子なら正しい選択をしてくれると信じているわ」やがて日も暮れる頃、韓燁はかんざしを手に宴席へ向かうことにした。その時、ちょうど参内した安楽が現れる。安楽は普段とは異なって優雅に振る舞い、質素ながら美しい装いは幼い頃の梓元(ヅユアン)を思い出させた。「殿下にご挨拶を…どうしたの?ぼんやりして?」「ある人を思い出して…今日の君を意外に思った」皇太子の好みを知ってか、令嬢たちは誰もが華美な服装を避けた。しかし帝承恩は開宴の刻限に遅れた上、赤い衣に金の装飾品をつけ、誰よりも目を引いている。すると出迎えた皇太子の前でいきなり立ちくらみを起こし、驚いた韓燁が咄嗟に手を貸した。「身体が弱いせいで風邪を引いてしまって…でも殿下とお会いできる機会を逃せません」「よく来たな」帝承恩のあからさまな手口が令嬢たちの反感を買う中、誰よりも怒っていたのは安寧だった。「どうして着飾れるの?今日が何の日か忘れてしまったみたい…」安楽は皇太子が女子を気遣う様子を初めて見たとからかった。しかし韓燁は重臣である安楽とは気遣いより、互いに支え合っていきたいという。すると帝承恩が口を挟んだ。「任大人は陛下の寵臣、今宵の宴でご一緒できて承恩は幸せ者です」控えていた苑書(エンショ)はどういう意味かと首を傾げた。苑琴(エンキン)は顔をしかめ、あれは安楽への皮肉だと教える。「小姐に釘を刺したのよ、太子殿下にとって小姐はただの臣下だと…」そこで韓燁は帝承恩を諭した。「任安楽は生死を共にした戦友だ、ただの臣下ではない、知己だ」「3万の水軍を嫁荷に求婚したのに知己?江南で酔っ払った時…」その時、帝承恩が安楽の話を遮った。「殿下はお酒が苦手でした」「…覚えていてくれたか?」「殿下と一緒に過ごした日々を承恩、忘れるはずありません」「私もだ、私は苦手だったが、梓元は酒が好きだったな?」「殿下、私は承恩です」一方、洛銘西は翎湘楼(レイショウロウ)で安楽を心配していた。安楽が韓燁に惹かれているのは明らか、それでも皇太子妃選びの宴で自ら帝承恩に譲らなくてはならない。「安楽は己の心を殺せるだろうか?」すると琳琅は皇太子府へ出かけてはどうかと勧めた。莫霜は帝承恩が皇太子の想い人・帝梓元と同一人物だと知った。そこで噂に聞いた帝家の秘伝の絶技を見たいという。焦った帝承恩は見せるほどのものではないと口ごもったが、その時、韓燁が助け船を出した。「人前で披露するには及ばぬ」実は噂が一人歩きして帝盛天(テイセイテン)が編み出した武技だと思われていたが、実際は帝盛天が碁の腕前を隠すための言い訳だったという。「碁は好きだが上達できず、そこで″待った″という秘技を考えついたのだ」一方、孫瑜君は帝承恩が病を理由に遅れて来たと聞いた。「なんてこざかしい真似を…」帝承恩は皇太子からの愛を頼りに皇太子妃の座を手に入れようと考えたのだろう。そこで孫瑜君は帝承恩が他に何を企んでいるのか見物に出かけることにした。安寧は琴棋書画に精通する帝承恩の箏が聞きたいと頼んだ。梓元が苦手だと知っている韓燁は具合の悪い帝承恩には無理だと止めたが、帝承恩は堂々と受けて立つ。すると帝承恩は見事な演奏を披露した。温朔(ウェンショウ)は帝承恩が実は箏の名手だと知り驚いたが、これも瑇(タイ)山で暇を潰すためだったと同情する。韓燁は月日の残酷さを嘆き、苦労を経て今の″帝承恩″になったと感慨深かった。その時、突然、安寧が席を立ち、いきなり帝承恩の箏を止めてしまう。「帝梓元?!なぜこんな曲を弾けるの?!」「安寧、私は承恩よ、間違えないで…この曲の何が悪いの?」「何が悪いですって?!そんな卑屈な姿は見たくない!」安寧は帝承恩がわざと明るい曲を弾いていると思うと居たたまれなかった。驚いた韓燁は慌てて安寧をなだめに向かったが、令嬢たちは今日が靖安(セイアン)侯の命日だと思い出してしまう。父親の命日に着飾って箏をかき鳴らすとはね>(*´・ω・)(・ω・`*)<ネー帝承恩は自分の失態に気づき、咄嗟に取り繕った。実はこの日に着飾って陽気な曲を弾くのは亡き父を安心させるためだという。「韓家に厚遇されていると知らせたいの」しかし安寧は昔の面影をすっかり失った帝承恩の姿に耐えられなかった。「承恩、私を旧友だと思うのなら太子妃の座を諦めて…」「殿下のそばにいたい、それだけが私の生きる望みなの」「私の考えは変わらないわ、太子妃に相応しいのは任安楽よ」皇帝は宴の様子を遠目から見ていた。「気性が荒く手に負えなかった帝家の娘がすっかり変わった ″承恩″か、良い名を授けたと言うべきだな」帝承恩の皇家に対する服従心はどうやら本物、皇帝はならば皇太子の願いを聞き届けようと決めた。「太子妃に封じても悪くない」宴は騒然となった。そこで莫霜は話題を変えようと剣舞を披露したいと申し出る。しかし兄から目配せされ、咄嗟に足がつったと嘘をついてごまかした。「では莫霜公主の代わりに私が舞うわ」すると安楽は帝承恩に伴奏を頼んだ。つづく( ๑≧ꇴ≦)面白くなってきた
2024.03.20
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长相思 lost you forever第1話西炎(セイエン)山の頂に見える朝雲(チョウウン)殿。ここは西炎(セイエン)国の王后の寝宮で、西陵纈祖(セイリョウケッソ)は静養しながら前庭で遊んでいる2人の孫を見守っていた。静かに書を読んでいるのは王孫の瑲玹(ソウゲン)。片や鳳凰木の鞦韆(ブランコ)で遊んでいるお転婆な娘は外孫の小夭(ショウヨウ)だ。すると瑲玹は出征した父がいつ帰るのか祖母に尋ねた。その時、突然、西炎山の空に暗雲が垂れ込める。西陵纈祖はそれが悲しい知らせだと気づき、衝撃から気を失ってしまう。出征していた四王子・西炎仲意(セイエンチュウイ)が戦死した。瑲玹は父の突然の訃報に呆然と立ちすくんでいたが、墓を閉じる時間になっても王妃・濁山昌僕(ダクザンショウボク)の姿はない。西炎国王は仕方なく墓を閉じるよう命じたが、瑲玹が止めた。すると九王子・西炎夷澎(イホウ)が祖父に口答えした甥を叱責する。その時、ついに真紅の衣をまとった昌僕が現れた。濁山昌僕は夫が九皇子の裏切りで死んだと暴露した。西炎夷澎が私怨で軍報を止めたせいで援軍が間に合わず大敗、夫と6000人に上る若水族の兵士が犠牲になってしまう。しかし国王も夷澎も昌僕が悲しみのあまり錯乱していると取り合わなかった。思い詰めた昌僕は夫と一族の敵を討たねば顔向けできないと訴え、隠し持っていた短剣でいきなり夷澎を刺し殺してしまう。「瑲玹、お別れよ…」すると昌僕は髪に挿していた花を息子に渡した。「いつか愛する人にこの若木(ジャクボク)花を贈りなさい…父上の所へ行くわ」昌僕は瑲玹を突き飛ばして西陵珩(セイリョウコウ)に託し、自ら胸を刺して夫の墓に身を投げてしまう。小夭の母・西陵珩は王后に育てられた愛弟子で、王姫に封じられて皓翎(コウレイ)王に嫁いだ。師匠の看病で西炎国に戻っていたが、このまま朝雲峰に留まって玱玹と小夭を育てるという。「皓翎に戻らないと?」「私と皓翎王は別れました、もはや皓翎王妃ではありません」するとついに西陵纈祖は喀血、死期を悟った西陵纈祖は2人の孫を呼んだ。西陵纈祖は朝雲峰のたった1人の男子である瑲玹に朝雲峰を任せた。今後の苦難の道を思うと胸が痛んだが、小夭は自分が必ず従兄を守ってみせると安心させる。「お前たち2人はお互いを大切にして助け合って生きていくのよ ここで誓ってちょうだい、生涯お互いを信じ、その誠意を疑わないと そしてお互いを思い合い、決して裏切らない…」瑲玹と小夭が復唱して誓いを立てると、王后はその言葉を聞いて静かに息を引き取った。瑲玹は朝雲峰を任されたものの、祖母も両親も失い、裏山で途方に暮れていた。すると従兄弟たちが現れ、後ろ盾を失った瑲玹は寄ってたかっていじめられてしまう。しかしそこに小夭が駆けつけた。「やめなさい!父上に捕らえさせるわよ!」「何が父上だ!お前の母親は皓翎王と別れたんだぞ?!」両親が別れたことを知らなかった小夭は激怒、母譲りの武功で従兄弟たちをボコボコにして追い払った。小夭と瑲玹は鳳凰林で2人だけの約束を交わした。「女子は大きくなったら嫁ぐ、そうなれば離ればなれになるな…」「そうだ、私はずっと妹妹でいる」「じゃあ私は哥哥だ、何があろうと一緒にいよう!」「私たちは永遠に離れない、約束よ?」「約束だ!」そんなある夜、ふいに目を覚ました瑲玹は書卓で泣いている姑姑に気づいた。実は西陵珩は王姫大将軍として出征するよう命じられたという。瑲玹の父の戦死後、西炎国は敗北を喫し、辰栄(シンエイ)軍が城下に迫っていた。「国を守り民を守るのは王姫として当然の務めなの」西陵珩は必ず戻ると安心させ、濁山昌僕が自害に使った短剣を形見として瑲玹に渡した。この短剣は皓翎王が瑲玹の両親の成婚祝いに贈ったものだという。「朝雲峰はあなたたちだけになる、自分と小夭の身は守れるわね? 小夭は…あの子はあなたと少し″違う″、だからしっかり面倒見てやってね」翌朝、西陵珩は自分の持つ知識を収納した首飾りを娘に渡し、すぐ戻ると約束した。小夭は指切りして母を見送ったが、結局、西陵珩も戦死してしまう。西炎王は小夭を玉(ギョク)山へ送り、王母(オウボ)を師として修行させると決めた。玉山は世俗を離れ独立した世界、王母も霊力が強く、亡き祖母の友でもあるという。瑲玹は涙ながらに小夭と離れたくないと叩頭したが、西炎王は小夭の身の安全のためだと言い聞かせた。「今のお前では小夭を守れぬ、ひざまずいてはこの座にたどり着けぬぞ?!」小夭との別れの日、瑲玹は必ず小夭を迎えに行くと約束した。そこで小夭は肌身離さず持っていた九尾狐の尾の飾りを贈り、再会を願って旅立つ。「できるだけ早く迎えにいくよ」「分かった、待ってるから」小夭は瑲玹の前では決して涙を見せなかったが、馬車が出発するとあふれる涙を止められなかった。そして300年後、清水(セイスイ)鎮では講談師が幼い王孫と王姫の悲しい物語を語っていた。…上古の時代、人間と神と妖が一緒に暮らす世界皓翎国は最も豊かで国力に富み、辰栄国は肥沃な地にして最も民が多く、西炎国は厳格な法と最強の兵力を誇っていたこの三国は三大神族として天下の勢力を三分していたが、300年前、西炎と辰荣が戦となり、西炎王姫大将軍と辰栄国大将軍・赤宸(セキシン)が血戦、共に相果ててしまう結局、敗れた辰栄国は西炎国に下り、これを機に三国鼎立の世は二国の対峙へと様変わりしたこの時、朝雲殿に残されたのが哀れな2人の遺児しかし2人も離ればなれになってしまう…その時、医者の玟⼩六(ビンショウリク)がやって来た。すると小六は薬を買ってくれる客を待ちながら、講談の続きを聞き始める。…朝雲峰の西炎王の后には子供が3人、弟子が1人いずれも文武両道の傑物だったが全て戦場で国に殉じ、残された孫2人も西炎国を追われる運命だった西炎王の王孫は玉山で修行することになった皓翎国の王姫を見送る王姫は別れの形見に玉佩を贈り、再会を願って別れたのだった…「渡したのは玉佩じゃない九尾狐の尾だ…」講談を聞いていた小六はなぜか王姫が王孫に渡した品が違うと知っていた。…王姫は玉山で再び王孫に会える日を待ち続けたしかし王孫は叔父たちの排斥を受け、人質として皓翎国へ送られてしまうとは言え豊かな皓翎の地は他郷ながら王孫にとって第二の故郷となり、今は二王姫を連れて遊歴しているという…ちょうどその頃、清水鎮に九尾狐の尾を持った青年・軒(ケン)の馬車が到着した。一見、平凡に見える清水鎮。しかし善悪混交の地と呼ばれ、西炎国からも皓翎国からも支配を受けない化外(ケガイ)の地だという。すると面紗で顔を隠した妹・阿念(アネン)は、何が現れても五神山で飼い慣らしてみせると自信を見せた。軒は市場にいた娘の額にある花鈿(カデン)を見て慌てて追いかけた。「失礼、人違いでした…」ふと気がつけばその娘だけでなく、市場にいる若い娘は皆、額に小夭と同じような花鈿があった。つづく
2024.03.19
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第17話「あざとさ対決」雲寒(ユンハン)は皇太子の元で療養していたが、その夜、ようやく雲中居に戻った。すると配下から青楽(セイガク)が姿を消し、部屋の私物も全て消えてしまったと聞く。…誰の仕業だ?…楽陽(ラクヨウ)長公主と次女・謝瑶(シャヨウ)を乗せた馬車が玉京に到着した。通りがかりの民は横暴な侍衛に眉をひそめたが、これに気づいた侍衛が激高して鞭を振り上げる。しかし鳶尾(エンビ)が咄嗟に露店にあった熊手に鞭を絡めて阻止した。「万国朝拝会も近いのに、こんな横暴は許さないわ!」楽陽は何の騒ぎかと馬車を降りた。すると花琉璃(カリィウリ)が現れ、乱暴を働いた長公主の侍衛を知玉京(チギョクケイ)府に引っ立てるという。「長公主の私に逆らうとは…誰か!」楽陽は激怒したが、その時、皇太子のお出ましを知らせる前触れが聞こえた。楽陽はすっかり立派になった皇太子の姿に目を細めた。すると姫元溯(キゲンソ)は叔母ではなく琉璃の肩を持ち、無道な侍衛を連行するという。楽陽は皇太子の手前、おとなしく了承し、花県主に対抗して娘の謝瑶(シャヨウ)を呼んだ。「太子哥哥~瑶瑶です、覚えていらっしゃいますかぁ?」(* ー̀ωー́).oO(な~にが瑶瑶だよ~チッ!謝瑶は確かに美しい娘で、そのあざとさは琉璃と良い勝負だった。そこで謝瑶は猫撫で声で皇太子に玉京を案内して欲しいと頼んだが、元溯は花県主を送るので時間がないと断り、2人仲良く帰ってしまう。皇太子が琉璃を花府まで送り届けた。衛明月(エイメイゲツ)は娘を心配し、皇太子への気持ちが男女の情なのかそれとなく確認する。すると琉璃は皇太子が他の女子といるのが許せないと言った。衛明月は娘の皇太子への想いを確信し、困惑してしまう。「琉璃、あなたの想いを成就させてあげたい、でも婚姻は簡単なことではないわ」琉璃は鴻臚寺卿(コウロジケイ)として万国朝拝会の準備に忙しい毎日だった。すると鳶尾が慌てて鴻臚寺に駆けつけ、皇太子が謝瑶を連れて西郊へ来たと報告する。ヒソヒソ…(ノ°д°(; ̄Д ̄)<何だって?!その頃、皇太子と謝瑶は露店の串焼き屋にいた。しかし謝瑶は串焼きが兎の肉だと聞いて驚愕、店主に言いがかりをつける。聞けば花県主が店主に直伝の味を伝授し、店を持たせていた。「考えもなしに店を持たせるから売れないのよ」「いいえ、売れています!」店主は皇太子に店を潰されるのを恐れたが、姫元溯は何も問題ないと安心させた。荒れていた西郊の町が花県主の力で繁栄し、万国朝拝会のあとにはさらに繁盛するはずだという。そこで元溯は自分も串焼きを食べて見せたが、その時、琉璃の冷たい視線に気づいた。姫元溯は従者に謝瑶を任せ、琉璃の後を追いかけた。「琉璃?」「やっぱり陛下の命で謝家の二小姐を娶るんでしょう?!」「…初耳だが?」驚いた元溯は慌てて父皇に謁見、謝瑶との縁談など考えないよう訴えた。皇帝はならば誰なら良いのかと尋ね、皇太子の想い人が花琉璃だと知る。一方、雲寒は再び太師府に忍び込み、恩人である杜琇瑩(トシュウエイ)に絵を贈った。ひとつは病状が思わしくない杜太師のために松の名画を、もうひとつは自分が帰ってから独りで見て欲しいという。実はその絵は雲寒が描いた杜琇瑩の姿絵だった。裴済懐(ハイセイカイ)は青楽の荷物から毒を発見、これで雲寒を操っていたと分かった。「殿下、ここまで調べ上げたのです、あと一歩で一網打尽にできます、雲寒に直接、聞けば…」しかし姫元溯は追い詰めずに雲寒を救いたいと譲らない。裴済懐は引き下がるしかなかったが、人知れず悔しさを滲ませていた。…雲寒よ、なぜ殿下を苦しめるのだ…順安(ジュンアン)公主は犬猿の仲である楽陽長公主に思わぬ天敵が現れたと知って上機嫌だった。「琉璃は大したものね~さすが衛将軍の娘だわ」すると装飾店で娘と買い物中に楽陽と謝瑶が現れ、かんざしを横取りされてしまう。2人は言い争いから揉み合いになり、順安が倒れそうになった。そこへちょうど琉璃が現れ、順安公主を助けて加勢する。「順安公主、大丈夫ですか?!楽陽長公主、何も乱暴しなくても…」「何もしてませんけど!」琉璃は田嘉敏(デンカビン)に泣くよう指示、順安公主にもそれとなく合図した。「(はっ!)順安公主、侍医に見せないと…頬が腫れて来ましたよ?!」「本当?!キィー!陛下に言いつけてやる!」皇帝は姉妹喧嘩にへき易し、現場にいた花県主に見解を聞いた。すると琉璃は人情からすれば楽陽長公主は罰に値しないとかばい、その代わり屈辱を受けた順安公主には皇帝が埋め合わせしてはどうかと進言する。そこで皇帝は順安を長公主に封じ、事態を丸く収めた。田嘉敏は琉璃のおかげで母の悲願だった長公主の封号を賜われたと感謝した。「でも顔の赤みはどうして?」「店にあった頬紅よ(コソッ」すると宮道で楽陽公主と謝瑶が待ち構えていた。謝瑶は別人のように声を荒げて琉璃を非難し、皇太子が娶るのは自分であり、失脚した花家の娘など相手にならないと蔑む。しかし嘉敏が花家の功労は周知の事実、皇帝もいずれまた花将軍を任用するはずだと言い返した。「…ありがとう、嘉敏姐姐、優しいのね」そこへ総管の趙三財(チョウサンザイ)が駆けつけ、皇帝が花県主に聖旨を下したと告げた。「民に尽くした功績を認め花琉璃を郡主に封じ、封号を福寿(フクジュ)とする」(* ゚ェ゚).oO(福寿?って…ダサッ楽陽は怒りが収まらず、屋敷へ戻ると駙馬の謝臨州(シャリンシュウ)にまで八つ当たりした。「この役立たず!…連中を殺して!今すぐに!」「何と罰当たりなことを言い出すのだ?」「君子ずらしないで!ふん、刺客を雇っているくせに!」謝臨州は夫人の思わぬ言葉に激怒、ついに本性を現し、楽陽の細い首を締め上げた。「人の秘密は知らぬほうがいい…」すると謝臨州は妻と娘を部屋に監禁してしまう。一方、激務に追われる琉璃は金珀(キンハク)国の使臣が未だ到着していないと聞いた。万国朝拝会の目玉は金珀国との和議、しかし予定すら知らせて来ないという。すると琉璃は金珀の使臣が第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)だと知り、必ず来るはずだと言った。つづく(  ̄꒳ ̄)お?黒幕はもしや突然、現れた駙馬?
2024.03.19
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第16話「愛の証しは使いよう」花琉璃(カリィウリ)を裏山へ呼び出し、ようやく会うことができた姫元溯(キゲンソ)。聞けば琉璃は次々と到着する各国の使臣を出迎え、龍井(リュウセイ)坊の客舎に案内してもてなしていたという。すると自分からの差し入れとも知らず、琉璃は二兄からもらった菓子だと言って御裾分けした。元溯は琉璃への贈り物を全て家族に渡す羽目になったが、無事に琉璃へ届いたと知り安堵する。「もし余が贈った装身具を衛(エイ)将軍が好まなければそなたが使うといい 実はあの蝶々のおかげで夢の中で亡き母と会えたのだ」琉璃は皇太子が弔っていた特別な人が想い人ではなく亡き皇后だと分かり、急に胸のつかえが下りた。一方、雲寒(ユンハン)は杜琇瑩(トシュウエイ)の献身的な看病のおかげで一命を取り留めた。「杜小姐はか弱き淑女かと思いきや、君子の風格を備える方だったのですね…敬服します」「お気になさらず、誰でも見誤ることはあります」杜琇瑩も雲寒が危ない橋を渡っていると分かったが、知音を求める琴の音には義の心を感じたという。すると雲寒は杜琇瑩に呼び笛を託し、花県主に預けて皇太子に届けて欲しいと頼んだ。裴済懐(ハイセイカイ)は大理寺の牢に現れた金珀(キンハク)国の二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)を尾行、隠れ家を見つけた。すると賀遠亭が歓待している相手が青楽(セイガク)だと分かる。青楽は雲寒が協力を拒んで目下、逃亡中だと知り、主に報告して必ず始末すると約束した。その時、賀遠亭は窓紗に映る怪しい人影に気づく。侍衛は窓を突き破って飛び出し、舞姫・絳紗(コウサ)も加勢したが、結局、曲者に逃げられてしまう。姫元溯は負傷して安康苑(アンコウエン)に戻って来た裴済懐を手当した。なんでも青楽という侍従が雲寒を売り、その背後に皇太子が探している黒幕がいるという。雲寒は自分たちをかく乱させるため、嘘の報告で花県主を見張らせていた。「殿下、今こそ決断しては?」「青楽を殺せ、荷物も全て運び出すのだ、跡形もなく消せば雲寒の身の安全を確保できる」元溯は雲寒が賀遠亭と手を組まないのであればまだ自分の友だと寛大だった。実は都に潜ませた間者を始末したのも雲寒の指示だったと気づいていたという。しかし雲寒は主の目をごまかしつつ、疑わしい手がかりを残して自分に調べさせたと分かった。…雲寒、余はそなたを信じておる、決して裏切るなよ…翌朝、杜琇瑩は花家に琉璃を訪ね、呼び笛を託した。「実は太子殿下にこれを渡して欲しいの…あ、誤解しないで、愛の証しではないわ」( ゚д゚)はあ?@うさぎ風琉璃は″愛の証し″が何かわからず困惑した。杜琇瑩の話では男女が恋に落ちると贈り物を交わすのだという。「とにかく私は太子殿下に想いを寄せているわけではないの、渡してくれれば分かるから」琉璃は安康苑に皇太子を訪ねた。愛を込めた物なら例え菓子でも愛の証しになると知った琉璃、すると急に皇太子を意識して恥ずかしくなってしまう。やがて琉璃の来訪を聞いた皇太子が書斎から出て来たが、琉璃は杜琇瑩から預かった呼び笛を渡すと逃げるように帰って行った。…杜小姐がなぜこの笛を?…琉璃は自分の気持ちに気づき、鳶尾(エンビ)に皇太子が好きだと告白した。しかし鳶尾は歯牙にも掛けない。「殿下がお好きだと?…じゃあ私は?」「好きよ」「二公子は?」「好きよ?」「ほら、好きな人は大勢います、ひとり増えただけで大袈裟な~」雲寒は杜琇瑩に感謝し、回復次第、速やかに出て行くと伝えた。実は杜(ト)太師が老体の上、風邪を引いてしまい、使用人たちも看病に掛りきりで運が良かったという。「実は太子殿下と私は…」「言わないで、あなたの秘密なら秘めたままに…」杜琇瑩は雲寒との別れが近いことを寂しく思いながら、薬草の整理に戻った。英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)は気がつくと郡主・田嘉敏(デンカビン)のことを考えるようになっていた。すると龍井(リュウセイ)坊で花県主と出くわす。琉璃は愛の証しを有効に使おうと思いつき、特別に作った英王人形を渡して郡主に贈るよう助言した。しかし相変わらず鈍い英王は全て説明しないと理解できない。「だーかーらー、嘉敏姐姐(ジェジェ)がこの人形を好きなんです 殿下ご自身が買ったことにしてください」「なぜだ?」(`ω´(`ω´ )<もう!黙ってやれ!その夜、雲寒は呼び笛で目を覚ました。書卓で眠り込んだ杜琇瑩を起こさないよう屋敷を出た雲寒、すると門前で皇太子が待っている。「殿下…自らお越しにならずとも…」「言ったであろう、お前がどこにいても必ず探し出すとな、余は約束を違えぬ」一方、杜琇瑩はふと目を覚まし、雲寒がすでに出て行ったと知った。「黙って去るなんて…」しかし書卓に置き手紙と″寒″と彫られた玉佩を見つける。…嫁荷の足しにされたし…姫元溯は侍医に雲寒を診せた。すると侍医は手当してくれた人のおかげで後遺症もなく、静養すれば回復するという。雲寒は皇太子と2人だけになってから、恩人が杜琇瑩だと明かした。実はあの日、偽の知らせを受けて賀遠亭に会ったという。しかし元溯は玉京に潜入した賀遠亭を見張っていたため、すでに全て承知していた。「よくやった、休んでくれ」姫元灝は尚書府を訪ねたが、田嘉敏は会ってくれなかった。しかしあきらめずに屋敷の前で待っていると、ようやく出先から戻って来た嘉敏を捕まえる。「先日、ある物を見つけたのでそなたに贈ろうかと…」嘉敏は英王の人形をもらって大喜びだった。すると姫元灝は自分でもよく分からないが、郡主に会えないと悲しい気持ちになるという。「つまり…どういう意味ですか?」「つまり…その…思うに…そういう意味だ」琉璃は両親の目を盗み、また裏山で皇太子と会っていた。しかし今日の姫元溯はどこか元気がない。「心配事でも?」「10年もの間、信頼していたが、敵の回し者とは思わなかった だが敵だと分かっても、どこか心が揺らいでいるようにも見える」すると琉璃は相手が揺らいでいるなら完全な味方にしてはどうかと助言した。そんなある日、金州刺史の任務を終えた謝臨州(シャリンシュウ)が玉京に戻って来た。謝駙馬は楽陽(ラクヨウ)長公主の夫で杜太師の愛弟子、朝臣たちは駙馬がこのまま都に残るのかどうか噂する。一方、賀遠亭は青楽が死んだと聞いた。どうやら皇太子が早くも嗅ぎつけたらしい。「居を移さねば…」万国朝拝会を前に楽陽長公主が次女・謝瑶(シャヨウ)を連れて帰京することなった。街では長公主が惜しまれて亡くなった長女・謝嬋(シャセン)の代わりに妹を皇太子に嫁がせるつもりだと噂が広まったが、これを耳にした琉璃は面白くない。つづく( ๑≧ꇴ≦)リーフェイ!
2024.03.18
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第15話「険しい恋路」金珀(キンハク)国の二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)の配下は雲寒(ユンハン)を金雀通りで見失った。金雀通りと言えば重臣の屋敷が集まる場所、雲寒は賀遠亭たちが近づけないと分かって紛れたのだろう。「別の方法を考える」その夜、賀遠亭は大理寺の官吏に賂を握らせ、投獄された阿瓦(アガ)と面会した。「もう少し我慢してくれ…花琉璃(カリィウリ)の私への想いに賭けてみる」阿瓦は小賢しい花琉璃のこと、別の陰謀があると警戒したが、賀遠亭は自分が花琉璃の想い人だと信じて疑わなかった。そこで見張りに聞こえないよう阿瓦に指示を出して牢を後にする。しかしその様子を物陰に潜んでいた皇太子・姫元溯(キゲンソ)と裴済懐(ハイセイカイ)が見ていた。「新たな暗殺計画を企てているのだろう、引き続き花県主を見張れば良い 余が守ってやりたいのだ」翌朝、琉璃は朝議に出る父と一緒に屋敷を出た。すると大街で待ち構えていた姫元溯が花府の馬車を止め、自分の馬車が壊れたので乗せて欲しいと頼む。琉璃は父の手前、断ったが、元溯は将軍が一緒だと気づかず、強引に車に乗り込んでしまう。(; ^ꇴ^)これは太子殿下…( ̄▽ ̄;)あ…パパも…(; ˇωˇ ).oO(だから断ったのに…皇帝は凱旋した花応庭(カオウテイ)をねぎらい、何か職務を与えたいと考えた。しかし文官たちが遠回しに反対、すると花応庭は朝廷の混乱を避けるため隠居を申し出る。「虎府を返上いたします」花応庭の潔さは文官たちを黙らせ、花家軍糾弾の急先鋒だった杜(ト)太師も将軍の英断に敬意を示した。父の隠居は母の承諾あっての決断だった。愛する父の失脚に深く傷つく琉璃、すると翌朝、琉璃を心配した姫元溯が花家にやって来る。門衛の報告では皇太子が二公子を訪ねて門前に到着したというが、花応庭は本当の目当てが琉璃だと気づいた。花応庭は夫人と息子に出迎えを任せ、急いで琉璃を追い出すことにした。「万国朝拝会に顔を出しなさい、昼も戻って来るな、秘密の通路から行け」「なぜコソコソするの?」「役人は戦や行軍のごとく静かに素早く動くものだ」( ゚д゚)はあ?@うさぎ風一方、花長空(カチョウクウ)はさして親しくもない皇太子がなぜ自分に会いに来たのか分からなかった。花応庭と衛明月(エイメイゲツ)は表向き皇太子の来訪を歓迎した。すると姫元溯は科挙を受ける花長空のために書物を届けに来たという。しかし差し入れには琉璃の好きな本や菓子が入っていた。元溯は花長空の息抜きのためだとごまかしたが、琉璃はいつまで経っても顔を出さない。それもそのはず、琉璃は摩斯(マシ)国の使臣の出迎えで城門にいた。…各国が父の引退を知ったら、また縉(シン)国を狙うかも…郡主・田嘉敏(デンカビン)は英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)に悪態をついたものの、英王のために開いた群英食肆(グンエイショクシ)が気になっていた。そこで店の様子を見に出かけたが、店内に入る勇気がない。すると偶然、英王が現れ、郡主を食事に誘った。田嘉敏は花将軍が退官したと聞いて驚いた。すると姫元灝はこれで花家の増長を恐れていた母の不安も解消され、花県主も心置きなく自分に嫁げるという。「花県主は大きな犠牲を払ったのだ、その期待に応えねば…」( ゚д゚)はあ?@うさぎ風嘉敏は激怒、この店の損失は約束通り英王が埋めろと帳簿を投げ渡し、帰ってしまう。姫元溯は何かと理由をつけて居座り、琉璃の帰りを待った。花応庭と衛明月はやはり皇太子が娘に会いにきたと確信したが、宋光(ソウコウ)の話では皇太子の一方的な思い込みではないという。「娘は成長すれば嫁いで行くものよ、でも本当に琉璃が太子を好きだとしたら…」衛明月はあの気性が荒いと評判の皇太子と娘がうまく行くとは思えなかった。琉璃が屋敷へ戻ると宋光が待っていた。何でも父が好物を作ったので部屋に持って行くという。一方、姫元溯は花家で夕餉までご馳走になっていた。「県主を待たなくていいのか?」衛明月はまだ戻っていないと嘘をつき、花家では女が発言権を持つと牽制した。しかし姫元溯は驚く様子もなく、当然だと笑う。実は花応庭はかつて皇太子の剣術の教官だった。花家が辺境へ越してから新しい教官が来たが、花将軍には到底、及ばなかったという。元溯は当時の恩に感謝して一献し、花将軍と酌み交わすうち酔い潰れてしまう。その頃、琉璃は皇太子からの贈り物とは知らず、差し入れの菓子を食べながら本を読んでいた。花応庭は皇太子に皇帝への贈り物を託して追い返すことにした。仕方なく姫元溯は歓待に感謝して引き上げたが、中庭で琉璃の部屋に灯りがついていると気づく。…頑として会わせぬ気だな?…そこで元溯は小八(ショウハチ)に紙と筆を持って来るよう命じた。琉璃の部屋に誰かが石を投げ込んだ。すると石を包んでいた紙に″後山″と書いてある。「裏山?」つづく( ゚ェ゚)これ…ずっとこんな調子なのかしら?
2024.03.17
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花琉璃轶闻 Royal Rumours第14話「花家軍の凱旋」雲寒(ユンハン)を誘き出したのは金珀(キンハク)国の第二皇子・賀遠亭(ガエンテイ)だった。賀遠亭は10年前の戦を調査するうち、縉(シン)国と金珀国を戦わせて漁夫の利を得ようとした黒幕の存在を突き止める。「その者は貴殿の主だな?10年もの間、太子の元にいて気づかれぬとは…」そこで賀遠亭は自分と手を組むよう迫ったが、雲寒は突っぱねた。雲寒は賀遠亭たちに応戦するも多勢に無勢、深手を負って逃げるしかなかった。しかしこの怪我では金玲苑(キンレイエン)に戻ることもできず、ちょうど目についた太師府に侵入する。太子府は知音である杜琇瑩(トシュウエイ)の屋敷だった。「雲公子?どうしたのです?!」「杜小姐…」雲寒は密かに杜琇瑩の部屋を訪ねたが、理由も説明できないまま倒れてしまう。今日は上巳節、姫元溯(キゲンソ)は縁談をせつく父皇の小言もそこそこに花神廟へ出かけた。…母上、どうか来世では皇族には生まれ変わらぬように、平凡な家から良い人に嫁いで生涯、幸せに添い遂げてください…すると参拝を終えた元溯は偶然、お礼参りに来た花瑠璃(カリィウリ)と出会した。「ここは初めてであろう、余が案内しよう」琉璃は皇太子と散策しながら、なぜここへ来たのか聞いた。すると姫元溯は故人に灯明を上げたという。「来世の幸せを祈ってな…余にできることはそれしかない」琉璃は故人が皇太子にとって特別な人なのだと気づき、想い人に違いないと誤解した。そこで銀杏の葉を結んで作った蝶々を渡し、黄泉の国にいる蝶々は迷える魂を道案内してくれると教える。「それに故人への想いを届けてくれるとか…枕の下に入れてお休みください」元溯は琉璃の心遣いを喜び、今夜は2人で孔明灯を飛ばそうと誘った。琉璃は展望台で皇太子に″発発(ファーファー)″を刺繍した手巾を贈った。「殿下…辺境で亡くなった兵士たちの魂も家に帰れるでしょうか?」「もちろんだ、孔明灯をともせば必ず分かる、家はここだと…」故人の魂を慰めながら夜空に舞い上がる2つの孔明灯を眺める琉璃と元溯。その頃、田嘉敏(デンカビン)も孔明灯を上げるため、従姉の杜琇瑩と親友の姚文茵(ヨウブンイン)3人で出かけていた。すると宮道でばったり英(エイ)王・姫元灝(キゲンコウ)と一緒になる。しかし英王は開口一番、昼間に花県主に会ったと報告した。廟でたまたま会っただけの話だったが、嘉敏は英王が琉璃を追いかけていると誤解、激怒する。「どうぞご自由に!このかい性なし!」嘉敏は激情に駆られ、思わず英王の足を蹴飛ばして引き返してしまう。田郡主がなぜこんなに怒っているのか皆目見当もつかない姫元灝。仕方なく侍衛の金瓜(キンカ)と銀瓜(ギンカ)が″嫉妬″だと教えた。その夜、姫元溯は本当に母の夢を見た。『元溯、私は行かなければ…過去は手放すのよ?いいわね?』母はまだ幼い息子にそう言い残し、消えてしまうすると成長した元溯の前に琉璃が現れた『殿下…全て思い通りになります』翌日、元溯は熟睡したせいか久しぶりに寝坊した。琉璃は尚書府に郡主を訪ね、特別に作った田嘉敏の人形と引き換えに皇太子の情報を引き出すことにした。「太子殿下と親しい女子は誰?」「あなたでしょう?」「そうじゃなくて…太子殿下の想い人の話を聞いたことがない?」「だからあなたでしょう?!」しかし琉璃は自分ではなく、恐らく美人で教養があり、若くして亡くなった令嬢だという。すると嘉敏が思い出した。「都にはいないけれど、条件に当てはまるのは楽陽(ラクヨウ)長公主と謝(シャ)駙馬の長女・謝嬋(シャセン)ね 子供の頃から病弱で2年前に亡くなったわ 毎年、二月は家族で都に滞在していた、都で病にかかって、侍医を集めても助からなかったの 都に滞在する間は太子殿下とも親しくしていたわ」一方、姫元溯は雲寒が戻らず、裴済懐(ハイセイカイ)を牢獄から出した。しかし裴済懐は肝心な花琉璃と賀遠亭の関係を聞き出せず、罰として耳に錘を下げられてしまう。琉璃は両親たちを出迎える準備に忙しかった。久々に家族と再会できるとあってお洒落に余念がない琉璃、実はその頃、姫元溯も花家軍の出迎えのため早々に東宮を出ていた。しかし途中で城門へ急ぐ花府の馬車を見かけ、自分たちは城内で待つと命じる。朝臣たちは礼儀に反すると困惑したが、元溯は最初に再会するのが家族であるべきだと考えていた。花家軍が凱旋、琉璃は家族と再会を果たした。琉璃は両親を心配させまいと何不自由なく暮らしていると笑ったが、花応庭(カオウテイ)と衛明月(エイメイゲツ)はすっかり痩せた娘の姿で苦労したのだと気づく。すると軍営を去った宋光(ソウコウ)が将軍に拝礼、花応庭は再会を喜んだ。琉璃は国のために戦った花家軍に出迎えも寄越さない皇帝に深く失望した。しかし城内に入ってみると、皇太子が朝臣を従え、民衆たちと共に花家軍を出迎えてくれる。「護国大将軍の凱旋を心よりお迎えいたします」花府に家族が揃った。琉璃は″花花香飲(ファファコウイン)舗″という店を開き、民を助けて鴻臚寺卿(コウロジケイ)に選ばれた経緯を説明したが、母はそれだけかと訝しむ。「そうなるまでに誰かの恨みを買ってないの?私たちが謝りに行くべき場所はない?」「私が問題を起こすと思うの?」思う!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ一方、文官たちは花家軍の出迎えが貧弱だったことに安堵していた。杜琇瑩は雲寒のため、嫁荷を質に入れて高価な人参を手に入れた。そこで側仕えの侍女に見張りを任せ、雲寒に薬湯を飲ませることにする。「当分、ここで静養してください」つづく(^ꇴ^)リーフェイが戻ってきた!(←何が?w
2024.03.17
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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第6話「″女たらし″の素顔」不審者の残り香を突き止めたものの、その白粉を誰が買ったのか分からない李颯颯(リーサーサー)。そんな中、右教坊の楽師たちが陸景年(ルージンニエン)に李茹娘(リールーニャン)を追い出すよう訴えたことが分かった。颯颯は犯人がわざと自分を誘き出して濡れ衣を着せたと気づいたが、頭が回る陸景年のこと、何かしら手を打つはずだと期待する。しかし陸景年は動揺する楽師たちの心を和ませたいと、1人ずつ呼び出しては親密そうに話していた。颯颯は陸景年が楽師たちを口説いていると勝手に誤解し激怒した。そこで楽師たちに陸景年が女子をそそのかしていると訴え、距離を置くよう忠告する。楽師たちは困惑し、陸景年は親身になって自分たちの相談に乗ってくれただけだと説明した。颯颯は陸景年を見誤り、状況がますます悪化した。焦った颯颯は陸景年を訪ねて言いがかりをつけたことを謝罪、仕方なく例の白粉の件を明かす。「教坊で火事が起きた時、この香りがしたわ 買った人の名簿があるけれど、でも店主が教えてくれない…だからしらみつぶしに犯人を探す」「だったら私が会った楽師たちは除くといい」颯颯はようやく陸景年もあの独特な香りに気づき、女たらしのふりをして楽師たちを探っていたと分かった。そんなある日、颯颯は月琴担当の欣児(シンR)が教坊に現れた追っかけをぼこぼこにしている様子を見かけた。しかし涙に弱い欣児は男が泣き出すと見逃してしまう。「…彼女が気に入ったわ」欣児が知味(チミ)楼で食事を楽しんでいると、また追っかけの男が現れた。どんなに殴ってもあきらめない男にへき易する欣児、そこへ突然、李茹娘が現れ、病弱な姉を装う。「承諾したらどう?…ゴホゴホッ…これで借金に奔走しなくて済む 私の病も一向に治らないし、妹妹が援助してくれると助かるわ~」すると驚いた男は尻尾を巻いて逃げ出してしまう。颯颯は男の弱点が金だと気づいて見事に男を撃退、喜んだ欣児はこれから助け合おうと約束した。陸景年は女主に色目を使い、見事に杏仁芙蓉粉(キョウニンフヨウコ)の購入者名簿を手に入れた。そこで李茹娘だけに犯人の名を明かし、楽師たちには放火犯の手がかりをつかんだと噂を流す。「何でも杏仁芙蓉粉という白粉と関わりがあるそうよ」その夜、陸景年は妙音(ミョウイン)閣の屋根に登って警戒していた。すると茹娘が現れ、隣に座る。「ここなら誰にも見つからないわね」「君に見つかった…」颯颯は陸景年がどこか寂しそうだと気づき、犯人を捕まえることで教坊の団結が崩れるのを心配していると分かった。颯颯は陸景年の酒をもらうことにした。しかし景年は杯がないと言う。颯颯は気にせず酒瓶ごと奪って直接、飲んだが、景年は唖然となった。「ん?どうかした?(まさか間接キスだと思ったの?意外にうぶなのね)」「いや、酔って落ちないか心配で…」やがて颯颯は強い酒のせいか陸景年の肩を借りて居眠りしてしまう。陸景年は茹娘を起こすこともできず、緊張したまま耐えていた。颯颯はすぐ目を覚ましたが、ふいに景年の耳元に手を伸ばす。「何をする?!」驚いた景年は咄嗟に避けた。「髪が乱れていたから…あ、首が赤くなってるわよ?」颯颯は陸景年が平静を装っているだけで、実は耳が真っ赤になってしまうほど純情だと分かった。そこでわざと顔を近づけてみると、陸景年は茹娘の美しさに翻弄されまいと必死に牽制する。「私を真面目な君子だと思わないほうがいい」「君子じゃない陸郎君がどんな感じか知りたいわ~」その時、2人は慌てて出かける錦瑟(ジンソー)の姿を見つけた。錦瑟は証拠となる白粉を処分しようとしたが、李茹娘と陸景年に捕まった。実は火事は故意ではなく、選抜への参加を阻止するため戸籍を探しているうち、うっかり燭台を倒してしまったという。颯颯は戸籍に何の関係があるのか分からなかった。陸景年の話では元宵節での演奏は皇族・各国使節の前で演奏するため、楽師は身分を調べられ、戸籍がなければ参加できないという。もちろん再発行できたが、手続きに3ヶ月から半年かかり、今からでは間に合わなかった。「でも席を外した者を尋ねた時、誰もいなかったと…」あの時、錦瑟は支給された衣の裾が敗れたので縫って来ると伝えたため、楽師たちは出かけたと気づかなかった。錦瑟は蘇宗辰(スーゾンチェン)から買収されていた。父が急な病で実家の蓄えが底をつき、裕福な左教坊を頼ったという。陸景年は真面目に努力して来た錦瑟を役所へ突き出すことなどできず、蘇宗辰から借りた金を肩代わりして故郷の教坊への推薦状を出した。錦瑟は蘇宗辰に金を返し、事が露見したため都を離れると伝えた。しかし蘇宗辰は陸景年が好色で策略家と信じて疑わず、また出し抜かれたと恨みを募らせる。一方、景年は楽師たちの戸籍を確認していた。…蘇宗辰に真相を知られなくて良かった、元宵節まで隠し通せればいいが…そこへ生金が慌てて駆けつけた。「陸郎君!大変で~す!…小狐狸が酔仙(スイセン)楼で食事をと…」つづく( ゚ェ゚)楽師が誰が誰なのかさっぱり覚えられないw
2024.03.16
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花朝秋月夜(カチョウシュウゲツノヨ) Love Behind the Melody第5話「火事と不審者」左教坊の副使・蘇宗辰(スーゾンチェン)は宴を開いて李茹娘(リールーニャン)を歓迎することにした。しかし茹娘は当日になって文一枚で約束を反故にし、右教坊へ行ってしまう。一方、陸景年(ルージンニエン)は急に態度を変えて右教坊へ入った茹娘を警戒していた。生金(ションジン)は茹娘の陸景年を見る目が変わったことから、恐らく惹かれたのだという。「今さらか?」「確かに…でも訝しむならなぜ小狐狸を?」「琵琶(ピパ)に代わる楽器はない、技量も素晴らしい」そこで陸景年は茹娘を練習に参加させず、数日ほど放置して気勢をそごうと考えた。本当に何か企んでいるならすぐ尻尾を出すだろう。教坊使・宇巡安(ユージュンアン)は李茹娘が右教坊へ入ったと知り、陸景年を心配して酒楼へ呼び出した。自分の教え子でもある陸景年の活躍を期待している一方で、教坊間での争いが絶えず、心配だという。「お前と蘇宗辰は昔から仲が悪い、だが利に走っては災いを招くぞ? 面目を潰された蘇宗辰は恨みを募らせるだろう」しかし陸景年はそもそも争う気などなく、自分でもなぜこうなったのか分からないという。「肝に銘じます」陸景年は火傷の痕に薄紗を貼って隠していた。李颯颯(リーサーサー)は陸景年が茹娘の想い人だと目星をつけたが、腕比べでの合奏では息が合った感覚がない。「できるだけ早く調べなくては…」そんな時、陸景年の従者・生金が新人の使用人・緑籮(リュールオ)に片思いしていると気づいた。そこで颯颯は女子を口説き落とす方法を教える代わりに陸景年の情報を聞き出すことに成功する。実は陸景年は教坊に着任するまで茹娘の日記にあった″下馬陵(カバリョウ)″に住んでいた。…やはり想い人は陸景年のようね…生金は掃除も忘れて早速、颯颯の虎の巻を読んでいたが、その時、楽器室から火の気が上がった。蘇宗辰は右教坊から楽師の戸籍を探すよう手を回したが、従者からしくじったと聞いた。何でも戸籍の箱の中は空だったという。「空だと?…なるほど、警戒していたわけか」戸籍の証書は楽師の身分を示し、証書がなければ元宵節の舞台には上がれない。蘇宗辰は選抜までに必ず証書を破棄するよう命じ、右教坊の参加を阻むことにした。陸景年は楽器だけでも救おうと燃え盛る部屋に飛び込み、気を失った。景年を助けた颯颯は医者を呼ぼうと言ったが、生金の話では火の恐怖症なので治しようがないという。「誰にも言うなよ?私も詳しくは知らないが… 郎君はかつて火事から琵琶弾きの娘を救い出し、その時に首の後ろをやけどしたんだ」すると景年が目を覚まし、おしゃべりな生金を叱った。颯颯は人気のない中庭に出ると、茹娘の日記を確認した。…下馬陵の火事で私を救った素敵な人、彼は私を助けて首にやけどを負った…「でもなぜ人助けを隠す必要があるのかしら?」翌日、回復した陸景年は昨夜の火事が事故だと伝えた。しかし生金には放火だったと明かす。最も疑わしいのは蘇宗辰、恐らく戸籍証書を狙ったのだろう。「蘇宗辰に気づかれたと?!」「まさか、だが用心しないと…保管場所を変えておいて良かった」陸景年は生金がなぜ楽器部屋の掃除に行かなかったのか聞いた。生金は茹娘と話し込んでいたと答えたが、わざと引き止められたのかもしれないと誤解する。まだ茹娘と蘇宗辰がグルだという証拠はないが、景年は茹娘にも何か魂胆があるはずだと怪しんだ。陸景年は茹娘を牽制した。「想定外にも茹娘が右教坊へ入ってくれたが、もっと想定外だったのは火事だ」颯颯は景年の含みのある言い方で自分が疑われていると分かった。このままでは現代に戻るどころか陸景年に近づくことさえできない。颯颯は相変わらず練習にも呼んでもらえず、妙音(ミョウイン)閣で楽師たちの様子を眺めながら悶々としていた。すると休憩に入ったところで楽師の独りが急いでどこかへ出かけて行くのを目撃する。颯颯は急いで後を追ってみると、誰かが陸景年の部屋に入った。そこで曲者を捕まえようとしたが、うっかりつまづき、その間に逃げられてしまう。その時、運悪く陸景年が現れた。颯颯は怪しい人影を見たと訴えた。すると陸景年は茹娘を連れて妙音閣に戻り、犯人は楽師の中の誰なのか尋ねる。しかし颯颯は黒い外套を頭からかぶった曲者の後ろ姿しか見ていなかった。そこで景年が楽師たちに席を外したものがいないか聞いたが、楽師たちはいないという。「君が来てから火事に不審者に教坊は騒動続きだ!楽師まで侮辱した! …皆、いいか?悪事を働く者は許さない!突き止めたら誰であろうと追い出す!」生金は陸景年に茶を差し入れながら、李茹娘が犯人とは限らないとかばった。確かにずる賢いところがあるが、卑怯な真似をするとは思えないという。「目端が利くな」「なんだ、わざと怒って見せたのですか?」景年は楽師たちの前で茹娘を責めれば、犯人が安心してまた動き出すと考えていた。「そうだ、女物の白粉に詳しいか?」実は火事の時に楽器室で独特な香りがしたが、今日も自分の部屋で同じ香りがしたという。一方、颯颯も陸景年の部屋の珍しい残り香に気づいていた。翌日、颯颯は早速、白粉探しを始めた。しかしなかなか探している香りは見つからない。「ここにもないわ…」すると女主が自分の店には全種類揃っていると自信を見せた。「名前は分からないの、でも残り香が少し渋い」「それは杏仁芙蓉粉(キョウニンフヨウコ)かしら?お目が高いわね」颯颯はついに犯人の香りを見つけた。そこで購入した客の名簿を見たいと頼んだが、女主に断られてしまう。そんな中、右教坊で楽器室の火事が放火で、李茹娘の仕業らしいと噂が流れた。欣児(シンR)だけは証拠がないと相手にしなかったが、楽師たちは不安を募らせ、陸景年に李茹娘を追い出して欲しいと嘆願する。陸景年は自分が何とかするとなだめたが、一刻も早く解決しなければさらなる問題が起こると懸念した。つづく(  ̄꒳ ̄)琵琶ネタが短すぎる…
2024.03.15
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安乐传 The Legend Of Anle第15話慕青(ムーチン)は中庭で警戒しながら、誰が帝承恩(ディチォンエン)の命を狙ったのか考えていた。琳琅(リンロウ)が助けてくれたのなら洛銘西(ルォミンシー)ではない。そんな中、帝承恩のもとにふたたび赤い傘の書き付けが届いた。…10年前の傘の縁により京城で帝小姐を庇護できればと…一方、洛銘西を誤解していた任安楽(レンアンルー)は翌日、翎湘楼(レイショウロウ)へ足を運んだ。気まずい安楽は黙って店に入ったが、侍女から席を準備してあると言われてしまう。上階ではすでに洛銘西が待っていた。「私が悪かったわ…ごめんなさい、あなたの言動は全て私を思ってのことよね?」洛銘西は安楽のお詫びの一杯を受け取ったが、帝承恩には用心するよう釘を刺した。しかし安楽は自分の身代わりになってくれた帝承恩に力を貸すべきだという。洛銘西は仕方なく従うと約束したが、実は鍵を握るのは韓燁(ハンイェ)より安寧(アンニン)だと明かした。「幼なじみの情に流されてはならぬぞ?」その頃、安寧の侍衛・冷北(ランベイ)は妹を利用した姜瑜(キョウユ)の屋敷に潜入していた。「…まさか大靖(セイ)の左丞相(サジョウショウ)が北秦(ホクシン)人とはな」冷北は音もなく忍び寄り、姜瑜に短刀を突きつける。「これは殿下、おめでとうございます、古婉瑩(コエンエイ)が太子妃の座を諦めた 莫霜(バクソウ)公主が太子妃の座に一歩、近づきましたね?」冷北は帝承恩に刺客を放ったのが古雲年(コウンネン)ではなく姜瑜だと気づいた。ちょうど古雲年の地位が揺らぎ、西北から安寧が帰還したことで、不意打ちを食わすことにしたという。「殿下こそ、公主のそばで5年も潜伏しておられますね? まさか殿下一人のお力で莫霜公主の身を守れると?莫霜公主のお命を握っているのは…」「私には計画がある、妹を巻き込むな!」「殿下、焦りは禁物です、それより力を貸すべきは他にいる…帝承恩です」帝家は開国皇帝と共に天下を取った家柄、しかし今や帝家の血を引く者は帝承恩だけとなった。実は西北の辺境には帝家の配下が今も大勢いるという。「恐らく″傘の縁″による手助けに感激することでしょう」「帝承恩はお前に任せる、西北の情勢は私に任せろ」皇太后・孫瑜君(ソンユクン)は古雲年の娘が皇太子妃候補を辞退したと知った。誰かが帝承恩を助けていると疑った皇太后は後宮の主が誰かを知らしめるべく、早速、古雲年を呼んで悪巧みする。翌日、琳琅は帝承恩が皇太后に召し出されたまま半日も戻らないと報告した。すると洛銘西は静養中の琳琅に代わり、錦瑟(キンシツ)に安寧と安楽に情報を知らせるよう指示する。皇太后が帝承恩を呼んだと知れば安寧は激怒するはず、安楽にその様子を見せて安寧が内情を知っていると分からせたいという。琳琅は自分に仕事はないか聞いたが、洛銘西はゆっくり休むことだと笑った。韓燁は帝承恩を心配して静心(セイシン)堂に駆けつけた。すると写経していた帝承恩が皇太子の姿に驚き、うっかり袖を墨に漬けてしまう。皇太后は帝承恩が自ら仏前で写経しながら国の安泰を祈りたいと申し出たと嘘をつき、新しい衣を下賜するので着替えるよう促した。そこで韓燁は帝承恩を連れて帰ると言ったが、帝承恩は皇太后の顔色をうかがい、衣をもらうと答えてしまう。皇太后は皇太子に帝承恩の着替えが終わるまで偏殿で待つよう勧めた。一方、帝承恩は下等宮女の衣をあてがわれ、孫(ソン)女官からここで写経を続けるよう命じられてしまう。帝承恩は大人しく従ったが、皇太后の仕打ちに恨みを募らせた。すっかり日も暮れた頃、静心堂の前が急に騒がしくなった。皇太后は何事かと門を開けたが、驚いたことに剣を構えた安寧が衛兵に囲まれている。安寧は久しぶりに顔を見せたかと思えば帝承恩を解放するよう要求、しかも自分に剣を向けた。「母を失ったそなたを哀家はずっと甘やかし、かばってきた、何でも望みを聞いたわ 西北への出征も皇上にお願いした、公主として広い世界を知るべきだとね なのに戻ってきたらここまで不孝者になっていたなんて…」皇太后は激しく憤り、なぜそこまで自分を恨んでいるのかと迫った。ようやく冷静になった安寧は剣を捨てると、帝承恩の無事を確かめたいだけだという。皇太后は愛孫の変わりように驚愕し、仕方なく孫女官に安寧を帝承恩に合わせるよう命じた。安寧は帝承恩の無事な姿に安堵し、連れて帰ることにした。しかし帝承恩は安寧の手を振り解き、孫女官に写経が完成したらすぐ持って行くと伝える。そこへ騒ぎを聞きつけた韓燁がやって来た。帝承恩が女官の衣を着せられ、写経を続けていたと知った韓燁は激怒、焦った孫女官は帝承恩自ら写経を書き終えたいと言ったと釈明する。安寧は嘘に決まっていると憤慨し、帝承恩を強引に引っ張って出て行った。韓燁と安寧は帝承恩を宮殿の外で見送ることにした。すると帝承恩が長時間の写経で脚に力が入らないと訴える。何とか皇太子に近づこうと企む帝承恩、しかし慕青が駆けつけ、仕方なく引き上げた。慕青は道すがら2人で瑇(タイ)山へ帰ろうと言った。驚いた帝承恩は慕青の手を握り締め、戻りたくないと訴える。「私にはあなたがいてくれる、そうでしょう?」「君が望むなら私はずっとそばにいる」帝承恩は慕青の情に甘えながら、誰とも知らない赤い傘を頼ろうとしていた。…もう誰にも踏みにじられてたまるものですか…韓燁が独り歩いていると、宮道で待ち構えていた安楽がひょっこり現れた。そこで正直に帝承恩を娶るのは償いのためだと認め、安楽には自由に生きてほしいと願う。「皇宮は君を苦しめる、君は貴族や富豪の令嬢ではない、海賊でいる方が幸せだ」「太子殿下、忘れないで、この世に任安楽はただ一人… 今、手放せば二度と手に入らない、それでもいいのね?」すると安楽は寂しそうに帰ってしまう。洛銘西の目論見は外れた。安楽は安寧が必死に帝承恩をかばう姿を見て、安寧だけは傷つけたくないという。一方、公主府では安寧が悪夢に襲われていた。『誰にも知られぬよう文を届けて…』当時、皇太后に育てられていた安寧は偶然、皇祖母が宦官に文を渡す様子を見てしまう。良喜(リョウキ)は公主に見られたと気づき慌てた。『公主、重大な秘密です、世に漏れたら韓家の天下は守れません』すると良喜は首を吊って自害してしまう。「何も知らない…何も見ていない…」安寧がうなされていると冷北が寝殿に入ってきた。姜瑜の話ではこの香を使えば当分、目が覚めないという。そこで冷北は安寧が寝ている間に書卓にある上奏文を探った。明日の皇太子妃選びを前に都中が舞い上がっていた。しかし皇太子が任安楽に招待状を渡していないことが広まり、皇帝の知るところとなる。「太子め、帝承恩を太子妃にするためなら何でもする覚悟らしい」すると安楽が太子府に押しかけた。安楽は江南での皇太子と女海賊の物語を渡し、噂になりたくなければ招待状と交換だと脅す。…太子は酒をあおるとほろ酔い気分となり、衣を解きつつ任安楽を壁に押し付け…「どう?気に入った?明日100部くらい刷って配れば話題になるわ~」「分かった」喜んだ温朔(ウェンショウ)は早速、安楽の招待状を取ろうとしたが、韓燁が止めた。「″分かった″と言ったぞ、刷ればいい」「太子殿下…本当にいいのね?」「やましくないから評判など気にせぬ」「お?言ったわね?…太子殿下が忘れたならあの夜のことを思い出させてあげる」安楽は珍しく引き下がらない韓燁に抱きついた。つづく(  ̄꒳ ̄)いよいよ太子妃選びだわ~やっぱり安寧が鍵を握っているのね
2024.03.14
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