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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第9話「万家探訪」蜀(ショク)の堪輿(カンヨ)図を求めて万松柏(ワンソンバイ)を訪ねた凌不疑(リンブーイー)。しかし万将軍は持っていないとの一点張りで、仕方なくその夜は帰ることにした。見送りに出た万松柏は社交辞令で食事はいいのか確認したが、護衛の梁邱起(リャンチゥチー)が他家では常に断っていると遠慮する。その時、思いがけず程(チォン)家の四娘子・少商(シャオシャン)が現れた。少商は中庭で苦手な凌将軍とすれ違った。なぜ万家にいるのか分からなかったが、ちょうど外に出ていた万伯父に助けを求める。万松柏は嫋嫋(ニャオニャオ)が母親に叱られたと気づき、笑って萋萋(チーチー)なら奥にいると行かせた。すると帰ると言ったはずの凌不疑がいつの間にか戻って来る。( ̄꒳ ̄)<夜も更けた…屋敷の厨房には誰もいまい、万府の世話になるしかないな…(; ゚ェ゚)え?万老夫人は事情を聞いて少商の滞在を認めてくれた。12人の孫娘たちは嫁いで今は帰京した萋萋だけ、ちょうど良い勉学相手ができたという。萋萋は勉学より馬に乗りたいと困惑したが、少商が咄嗟に空腹だと口実をつけて逃げ出した。すると入れ違いで侍女がやって来る。実は家主が泥酔してすでに書房で休んでしまい挨拶に来れないという。「で、凌の十一郎は帰ったの?」「いいえ、客房に泊まるとのことです」万老夫人は凌不疑が酔っていないにも関わらず泊まって行くと聞いて顔色が一変した。少商は萋萋の部屋で老夫人の武勇伝を聞いた。萋萋の話では祖父が死んだ時、父はまだ10歳にも満たず、親戚たちは祖母が再嫁して祖父の商いや財産を他の男に明け渡してしまうと焦ったという。万老夫人は再嫁しないと誓いを立てたが信じてもらえず、自ら左耳を切って投げつけ、黙らせたのだった。その時、ちょうど客房へ向かっていた凌不疑が回廊を通りかかる。不疑はそこで思いがけず四娘子の結婚観を知ることになった。「まさに″君 国士の如く我を遇すれば 我 必ず国士としてこれに報う″ね~」少商は万老夫人が貧しい出の自分を軽んじることなく敬い愛してくれた夫に報いたのだと敬服したが、自分にそんな英雄が現れないことを知っていた。母が世家(セイカ)の系譜を教えようとしないのも、自分が世家の嫁になれないことを知っているからだろう。「いつか平穏な人と平穏な人生を送れれば十分よ」「甘んじて普通の人に嫁ぐの?」「そりゃそうよ、生まれた時から甘んじるしかなかったんだもの…」一方、許嫁に振り回される楼垚(ロウヤオ)は一大決心して大兄の部屋を訪ねた。しかしなかなか戸を叩くことができず、引き返そうとしたところで楼犇(ロウベン)が出て来る。…楼垚、程四娘子でさえ喧嘩する度胸があるんだぞ…楼垚は思い切って大兄に破談にしたいと訴えた。気性が激しい何昭君(ハージャオジュン)とは性格が合わず、今や彼女と肖(シャオ)世子との仲を都中が知っているという。すると楼犇は意外にもあっさり賛成した。「二房には私がいる、お前が犠牲になる必要はない、どんな選択でも支持するよ」翌朝、少商は庭園の橋を修理している家職たちを見つけた。しかしどの木を動かしても全体に影響するため、結局、新しく建て直すことになりそうだという。萋萋の話ではこの池の水は東の郊外から引いており、水路だけで1万貫も使っていた。「大母の生辰の時は王姈(ワンリン)たちに自慢するの、汝陽(ジョヨウ)王府に負けないんだから!」すると少商はある計画を思いつき、萋萋を先に馬場に行かせて橋の下を調べることにした。凌不疑は万松柏と中庭を歩きながら、改めて蜀の堪輿図を見たことがないのか聞いた。しかし万松柏はあくまで知らないという。その時、凌不疑が池にかかる橋を渡ろうとした。万松柏は慌てて危ないと止めたが、凌不疑は橋の下に誰かが隠れていると気づく。「危ない橋だったか?…では気をつけないと」萋萋が馬場で買ったばかりの馬に乗っていると、ようやく少商がやって来た。しかし侍女から母が呼んでいると言われ、萋萋は少商に馬を預けて帰ってしまう。少商は試しにおとなしい馬に乗ってみたが、突然、馬が暴れ出した。その時、凌不疑が颯爽と駆けつけ、馬にまたがり御してくれる。すると馬を降りた不疑は少商の裳裾が濡れていることに気づき、橋の下に隠れていたのが四娘子だと分かった。「良馬は人の心を読む、怖がればいじめられるぞ? 人が強くなれば畏敬の念を払う、馬を馴らす極意だ、この世も大抵、同じ道理だな…」少商は急に男が近づいて怯えただけで、馬とは関係ないと強がった。「私から近づいたとすれば…君を久しく慕うからだ、しかし君は全く興味がない」「凌将軍、あれはでたらめよ?気にしないで それに将軍も父に言ったわ?私がまるで廷尉(テイイ)府で拷問する人みたいだと…」「君は橋の下で機密を盗聴した、拷問される側だ」凌不疑は四娘子を連れて橋の下に来た。少商は何も聞いていないと否定したが、不疑は自ら事情を明かしてしまう。「陛下の命で堪輿図を探しに来た、董(ドン)倉管の事案で兵器が蜀に運ばれたやも… 陛下が西巡に向かうため堪輿図が必要なのだ、しかし万将軍は隠している」すでに老夫人の居所以外は全て探ったが見つからず、四娘子だけが頼りだという。「万一族を救うためだと言ったら信じるか? …見つけてくれたら四娘子の計画のことは黙っていよう」不疑は少商の企みを見抜き、意味ありげに橋を叩いた。「助けてくれた暁には、その計画を必ず成就させてやる」少商は派手な出で立ちで萋萋に成りすまし、老夫人の居所に忍び込んだ。しかし運悪く老夫人が戻って来てしまう。物陰に隠れて息をひそめる少商、しかし老夫人は柱の影から見える裳裾に気づいた。「萋萋や、いい年をしてかくれんぼかい?」すると老夫人はかんざしを外すので書棚の箱に入れてくれと頼んだ。少商は仕方なく帷(トバリ)の陰から手を伸ばしてかんざしを受け取ったが、突然、老夫人に手をつかまれてしまう。「いいこと?花が彫ってある黄花梨(オウカリン)の箱に入れておくれ 黒紫檀の箱には触らぬこと、阿父が″宝物″を入れているから…」老夫人は凌不疑が帰ったと聞いて胸を撫で下ろした。しかし万家一族を危機にさらした息子に激怒、折檻する。萋萋はなぜ少商が急に帰ると言い出しのか分からなかったが、少商は家が恋しくなったと嘘をつき、伯父の悲鳴を聞きながら逃げるように出て行った。程始(チォンシー)は嫋嫋を優しく迎えたが、蕭元漪(シャオユエンイー)の怒りはまだ収まっていなかった。そこで少商は凌不疑が怖くて戻ったと明かし、何でも蜀の堪輿図を探していたらしいと話題を逸らす。「偶然、聞いたのです、奪われた兵器が蜀に売られたとか何とか…」程始と蕭元漪は娘が国の機密を知っていることに呆然、決して口外してはならないと言い聞かせた。すると程始が秘密にするなら罰を帳消しにすると甘やかし、嫋嫋を逃してしまう。凌不疑たちは堪輿図を手に入れ廷尉府に戻った。しかし梁邱飛(リャンチゥフェイ)はなぜわざわざ四娘子に借りを作る必要があったのか分からない。梁邱起は若主公が自ら捜索すれば万将軍が隠蔽した罪に問われてしまうからだと教えた。そのため万老夫人は騙されたふりをして程四娘子の手を借り、贈呈したことにして難を逃れたという。それより問題は皇帝の動きで蜀の者が警戒することだった。次の一手を躊躇すれば尻尾をつかむのが難しくなるだろう。今回の皇帝の西巡は警告のためだったが、後ろ暗い者たちがそう思うとは限らない。「陛下が一網打尽にする気だと思わせればどう出るかな?」「窮鼠猫を噛み先手に出ると?」不疑はまずは慌てさせろと命じた。ある夜、肖世子の屋敷に曲者が潜入した。結局、曲者には逃げられたが、重要な物は盗まれていないと分かって安堵する。そこへ使用人が慌てて駆けつけた。「世子!凌将軍が黒甲衛(コクコウエイ)を連れ包囲を…」肖世子が急いで正門へ向かうと、凌不疑が待ち構えていた。↑悪役は顔芸ができないとねwつづく(´-ω-`)うむ…武骨な凌将軍、すっかり四娘子に嫌われてるのに分かっていないのか?でも確かに管理人も今のところ阿垚派だわw弟は土3つで兄は牛3つ…え?どうでもいいですか?w
2023.07.14
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第24話「守りたい人」皇帝・李世民(リセイミン)は裏庭で自ら製糸の作業に汗を流している皇太子・李治(リチ)の姿を見て感激した。しかし妃たちに絹織の技を教えたのが皇太子の覚えがめでたい豆子(トウシ)だと知る。楊(ヨウ)妃と曹(ソウ)王・李明(リメイ)は皇帝の判断を待ったが、結局、皇帝は豆子に褒賞を賜った。機嫌を良くした皇帝は嘉徳(カトク)之殿で皇太子たちと談笑した。すると才人・武媚娘(ブビジョウ)が急に気分が悪くなり、殿内で妙な香りがするという。皇帝も確かに身体がほてるようだと訴え、どんな香を焚いているのか聞いた。焦った元朗(ゲンロウ)は香炉を慌てて片付けることにしたが、裴行倹(ハイコウケン)が止める。「陛下、これは催淫効果のある迷情香(メイジョウコウ)です」楊妃はこの機を利用して皇太子の失脚を企んだ。皇太子が男色という噂がある上、殿内で迷情香を使っているとなれば、皇帝と大唐の威信に関わるという。しかし武媚娘は何者かの企みではないかと牽制した。裴行倹も元朗から首謀者を聞き出すよう上奏したが、その時、莫坤(バクコン)が駆けつける。「元朗の部屋から迷情香の袋を発見しました」皇帝は逆上し、元朗に黒幕を明かすよう迫った。すると元朗は黒幕などいないと否定し、皇太子が男色だと聞いて寵愛を受けようと企んだと嘘をつく。皇帝は即刻、棒打ちでの死罪を申し渡したが、誰が黒幕なのか察しはついていた。皇帝は東宮を出ると、やがて我慢の限界にきた。楊妃と曹王は皇太子の男色の証拠を見せるため、蓮を口実に自分を東宮へ誘き出したのだろう。「ひざまずけ!」宮道で皇帝の怒号が響き渡った。楊妃は自分たち母子は無関係だと訴えたが、皇帝は東宮で叱責しなかったのがせめてもの情けだと言って足早に帰ってしまう。すると側仕えの高全(コウゼン)だけが引き返してきた。「陛下のお言葉です、″楊妃は体面を保つため寝宮に戻ってからひざまずけ″と… ″曹王の務めは将来、太子を補佐すること、勘違いして自分を傷つけるな″とのことです」実は裴行倹はあらぬ噂が立たぬよう武才人に皇太子と琉璃(ルリ)が2人きりにならないよう頼んでいた。しかし今日は武才人が不在の上、元朗が頑として謁見を許さず、不審に思ったという。裴行倹は密かに屋根に登って殿内をのぞくと、皇太子と琉璃の姿を見つけた。そこで窓から侵入して皇太子を点穴で眠らせ、迷情香が原因だと分かったという。裴行倹は直ちに王伏勝(オウフクショウ)に気つけの氷を持って嘉徳之殿に行くよう指示、殿内で合流した。『元朗を遠ざけてください、もうすぐ陛下が来るはず、敵の裏をかきます』裴行倹の読み通り元朗は曹王の間者だった。元朗から知らせを受けた曹王は皇帝に皇太子の男色の現場を見せようと企んだのだろう。琉璃は男女の別がいかに大切かを身をもって体験し、改めて恐怖を感じていた。すると裴行倹は独り泣いている琉璃を見つけ、今まで以上に守ると誓う。一方、武媚娘は王伏勝から今回の経緯を聞きながら、改めて確認した。「失礼だけど、太子の安全のために聞くわ…太子と豆子の噂は本当なの?」「まさか!2人は純粋に君臣の仲です!」しかし李治は寝殿で悶々としていた。正気を失っていたとは言え、豆子の怯えた顔を思い出すとやるせなくなってしまう。その夜、裴行倹は豆子に薬湯を差し入れたが留守だった。仕方なく尚服局の内侍・雲海(ウンカイ)に預けたが、そこへ孫徳成(ソントクセイ)が豆子に桂花糕(ケイカコウ)の差し入れにやって来る。すると雲海が不思議そうな顔をした。豆子なら孫内侍の書き置きを見て不禄(フロク)院に出かけたはずだという。「まずい!」裴行倹は慌てて飛び出した。琉璃は刺客に捕まり、門に吊されていた。裴行倹は短剣を放って縄を切ると、背後にいた刺客も腹を切られてしまう。刺客は慌てて逃げ出したが、その際、腰牌を落としていた。琉璃は意識がなく、すでに呼吸も止まっていた。無我夢中で口から空気を送る裴行倹、しかしどんなに呼びかけても琉璃は目を開けない。もはや愛する人を失ったかと絶望したが、その時、琉璃がついに息を吹き返した。「…なぜ泣いているの?あなたが守ってくれるから私は死なないわ」裴行倹は安堵したが、刺客の腰牌を見つけて怒りが込み上げた。「曹王府か…暗殺の指令を元から断つ必要がある」実は曹王は皇太子と武才人に手を出すのが難しいと断念、豆子が元凶だと逆恨みして抹殺しようとしていた。裴行倹は琉璃を送り届け、直ちに刺客の捜査にあたった。するとちょうど刺客を見つけた孫徳成が助けを呼ぶ声が聞こえる。裴行倹は短剣を放って孫徳成を助けたが、そのまま刺客を見逃した。「ここは私に任せて豆子のところへ」刺客は錦楽(キンガク)宮に消えた。衛兵は楊妃の寝宮まで踏み込むことができなかったが、翌朝、捜査の協力を申し出る。実は刺客が曹王府の腰牌を持っており、今や宮中では盂蘭盆会の件で豆子を恨む楊妃と曹王の仕業だと噂が広まっていた。楊妃と李明は仕方なく捜査を認めたが、しばらく豆子に手が出せなくなってしまう。李治は豆子が襲われたと聞いて尚服局に駆けつけた。しかし合わせる顔がなく、結局、東宮へ引き返す。「豆子の命が狙われたのは私のせいだ…今後は二度と他人を巻き込まないよう行動を慎もう」卓錦娘(タクキンジョウ)はようやく動けるようになった。そこで鄧七娘(トウシチジョウ)に頼み、豆子が長孫(チョウソン)皇后に作ったという牡丹の衣を見るため立成(リッセイ)殿を訪ねる。「これは…双面繍(ソウメンシュウ)?!信じられないわ!」双面繍は安(アン)氏の死と共に途絶えた技法で、卓錦娘もできない刺繍だった。豆子は遅くまで工房に残り、独りで刺繍を続けていた。そこへ鄧七娘が現れ、豆子の双面繍に気づいて目を見張る。「七娘姉、ちょうど良かった!お手伝いできればと韋(イ)夫人の披帛(ヒハク)を作っていました」「双面繍でしょう?こんな高度な技を披露して、私に盗まれても平気なの?」「学びたいなら教えますよ?」すると豆子は七娘を座らせ、コツを教えた。実は卓大家は基本が大事だと口実をつけて七娘に高度な技術を決して教えてくれなかったという。「あなたは知り合ってまだ数ヶ月の私に絶技を教えてくれるのね…不利になると思わないの?」「あなたは恩人です、私に不利になるはずありません、喜んでくれるだけで嬉しいです」そこへ雲海が豆子を呼びに来た。七娘は卓大家が長孫皇后の衣を見たため、恐らく双面繍について質問すると警告する。「安氏と共に途絶えた技だと言っていたわ」琉璃は母がこの技を誰にも伝授していなかったとは知らず、我ながらうかつだったと後悔した。「安氏と関係があるの?」「まさか!一介の医官が天下第一針と関係あるはずありません」つづく( ̄▽ ̄;)まだまだ男装も続く…?
2023.07.13
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第23話「皇太子の噂」才人・武媚娘(ブメイニャン)が夜伽から戻ると、松涛(ショウトウ)がひざまずいて許しを請うていた。実は武媚娘は盂蘭盆会(ウラボンエ)の衣を急かせる松濤を怪しみ、警戒していたという。そこで図案の相談に来た豆子(トウシ)との話を聞かせて玉柳(ギョクリュウ)にあとを付けさせたところ、楊(ヨウ)妃に知らせたと分かった。松濤は楊妃に弱みを握られ脅されたと涙ながらに訴え、今回だけは見逃して欲しいと哀願する。しかし武媚娘は裏切った者をそばに置けないと退け、懲罰だけは免じて追い出した。「主従の関係はこれまでよ」一方、皇帝の寵愛を失った楊妃は皇太子の弱みを探るため身辺を探らせていた。すると皇太子が尚服局に移った豆子を目にかけ、側仕えの王伏勝(オウフクショウ)よりも親しげだと知る。楊妃はこれに目をつけ、皇太子が男色だという噂を流すことにした。尚服局では楊妃から板打ちの罰を受けた大家・卓錦娘(タクキンジョウ)が静養中だった。韋(イ)夫人の衝立を担当している鄧七娘(トウシチジョウ)は師匠に図案を見せに行ったが、自分には難し過ぎるため図案を変えるよう命じられてしまう。七娘が肩を落として采章(サイショウ)署に戻ると、繍女たちはやはり駄目だったのだと噂した。すると七娘は居たたまれなくなって出ていってしまう。(*´・ω・)<やっぱり教えてもらえなかったのね~(*´・ω・)<西市の光景を刺繍するなら高度な無錫(ムシャク)刺繍の技が必要だもんね琉璃(ルリ)は七娘を追いかけ慰めたが、七娘は自分に才能がないだけだと卑下した。琉璃は仕事の合間を縫って肌着を作り、約束通り裴行倹(ハイコウケン)に贈った。裴行倹は喜んだが、他の男の肌着を作らないよう釘を刺し、男女の別は必要だと念を押す。相変わらず実感がわかない様子の琉璃、そんなある日、皇太子の噂を聞いた武媚娘が東宮を訪ねた。実は近頃、皇太子が男色だという噂が流れ、収まる気配がないので忠告に来たという。「特に寵愛する者と東宮で密会していると…豆子のことでしょう」武媚娘と裴行倹は慎重を期し、豆子との接触を控えるよう諫言した。しかし李治(リチ)は避ければかえって図星だと言われると退け、豆子に大事な相談があるので邪魔されたくないという。楊妃はこのひと月の間、毎朝、薬湯を煎じて甘露之殿に届けた努力が功を奏し、皇帝の怒りが解けた。久しぶりに息子の曹(ソウ)王・李明(リメイ)と散策に出かけた楊妃、どうやら皇太子の噂が皇帝の耳にも届いているという。しかし李明は噂だけでは致命傷にならないため、裏付ける現場を皇帝に見せるべきだと訴えた。李明は東宮に潜入させた間者・元朗(ゲンロウ)に命じ、嘉徳之殿の香炉に密かに香を仕込んだ。その頃、裴行倹は尚服局に琉璃を訪ね、これ以上、皇太子に会わないよう説得する。「皇太子が男色だという噂があり、君が皇太子の想い人だと言われている」「私?!…でも女子の私が好きなら男色じゃないわ?ふふ」「お前と来たら…何度も言っているだろう?」「覚えているわ、宮中では細心の注意を払い、太子殿下と距離を置くこと 私の素性のせいで太子殿下を巻き添えにしないため…でしょう?」しかしそこへ豆子を迎えに王伏勝が現れた。「裴将軍の話は良く分かりました、心配せずとも上手く処理しま~す」皇太子はなぜか急に身体がほてっていた。そこへ王伏勝が豆子を案内し、仕事に戻ってしまう。すると皇太子は内侍に話を聞かれないよう豆子を近くに呼んだ。元朗はその隙にまた香炉に何やら仕込み、逃げるように出て行ってしまう。「太子殿下、まだ期限まで8日ありますよ?」「尚服局では動きが取れぬだろう?だからここで絵を描け」琉璃は早速、書卓に向かうと、ふと近くの香炉から漂う珍しい香りに気づいた。皇帝は品行方正な皇太子になぜ急におかしな噂が流れたのか困惑していた。公務に付き添っていた楊妃はあえて何も言わなかったが、そこへ曹王がやって来る。「母上、東宮にはもう行かれたので? 暑さで食欲がない陛下のため、母上は東宮の池で蓮の実を採って冷たい汁物を作られると…」すると喜んだ皇帝は皆で一緒に東宮へ行こうと言った。実はその頃、琉璃は頭がぼうっとなり、急に身体に力が入らなくなっていた。そこで一旦、戻りたいと断り席を立ったが、皇太子にここで休むよう引き止められてしまう。ちょうどその時、裴行倹が皇太子に謁見に来た。しかし元朗に取り込み中だと追い返されてしまう。嫌な予感がした裴行倹は武才人にすぐ東宮へ来て欲しいと伝言を頼んだ。しかし武媚娘はちょうど御花園まで足を伸ばしていたため、玉柳が伝えるまで半刻もかかってしまう。一方、嘉徳之殿に王伏勝が戻ってきた。元朗は皇太子から誰も入れるなと命じられたと立ちはだかったが、王伏勝は自分を止めるとは何事かと呆れて入ってしまう。すると王伏勝が慌てた様子で外へ出てきた。王伏勝は元朗に豆子がいること内密にするよう命じたが、その時、突然、皇帝一行がやって来る。その頃、知らせを聞いた武媚娘は左衛副率・莫坤(バクコン)の案内で急ぎ裏門から東宮に入っていた。楊妃と李明は慌てふためく王伏勝の様子を見て計画が成功したと確信した。すると王伏勝は平伏し、皇帝を足止めする。「申し訳ございません!誰にも知られてはならぬと太子殿下のご命令で… 特に陛下には知られたくないと」激怒した皇帝はすぐ皇太子のもとへ案内するよう命じた。しかしなぜか皇太子は裏庭にいるという。皇帝たちが裏庭へ行くと、使用人たちが何やら懸命に働いていた。「陛下、あれは何でしょう?」「仕えられる身のそなたは知らぬのだな、あれは製糸の作業だ かつて長孫(チョウソン)も糸を繰っていた」すると皇帝は使用人たちの中に皇太子の姿を見つけた。長孫皇后は生前、養蚕を重視していた。李治は当時の幸せだった日々を思い出し、母と同じように自ら蚕を育て、皇太子妃に織らせた絹地で衣を仕立て、皇帝の誕辰祝いに贈るつもりだったという。皇太子の手の平はあかぎれで痛々しかった。皇帝は善良すぎる我が子に気骨がないのではと心配したが、杞憂だったと涙する。一方、元朗は香炉に仕込んだ香を慌てて回収し外へ出た。しかしちょうど嘉徳之殿にやって来た裴行倹と出会い頭にぶつかってしまう。「何を慌てている?大丈夫か?」「はい、一足違いで太子殿下はお出かけになったようです」元朗は逃げるように走り去ったが、裴行倹はぶつかった拍子に元朗が隠し持っていた香を盗んでいた。武媚娘は皇帝に挨拶した。実は退屈しのぎに皇太子妃と一緒に絹織を学んでいたという。そこへ皇太子妃が絹地を持って来た。皇帝は上質の絹だと喜んだが、絹織の技を教えたのが皇太子の寵愛するあの豆子だと知る。豆子は噂に違わず美しい顔をしていた。武媚娘は盂蘭盆会で長孫皇后の礼服を縫った者だと紹介し、自分たちの覚えが悪いため何度も呼び寄せてしまったとかばう。しかし琉璃は才人の謙遜だと否定し、妃たちが労苦をいとわず、短い間で複雑な技を身につけたと賞賛した。すると皇帝が急に側仕えの高全(コウゼン)を呼ぶ。つづく(^ꇴ^)李明、懲りないよね〜少しは学べと…wってか皇太子妃いたんだ?
2023.07.12
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第22話「百鳥朝鳳の礼服」玉児(ギョクジ)こそ11年間、探し続けていた琉璃(ルリ)だと知った裴行倹(ハイコウケン)。ようやく安(アン)氏の金針と奥義書を返せる時が来たが、尚服局の大家・卓錦娘(タクキンジョウ)が琉璃の敵だと気づいて断念した。…これを返したら琉璃が危ないところだった…その夜、玉児を暢春(チョウシュン)湖に呼び出した裴行倹は結局、玉児の好物の桂花糕(ケイカコウ)を渡して茶を濁した。「今後は弈心(エキシン)宮で会おう」実は弈心宮は妃嬪が首を吊って以来、使われておらず、もののけが出るという噂がある。そこで裴行倹はもののけに扮して噂をあおり、さらに人が寄り付かなくなるよう手を打った。7月15日の盂蘭盆会(ウラボンエ)。楊(ヨウ)妃はわざと遅れることで豪華な百鳥朝鳳(ヒャクチョウチョウホウ)の衣を見せつけ、後宮での自分の地位を顕示しようと企んだ。予想通り妃嬪たちは楊妃に圧倒されたが、武媚娘(ブメイニャン)の姿はなく、皇帝の表情も険しい。すると皇太子・李治(リチ)がすかさず最近、長安で羽根が珍重されるという噂の原因がこれだったと指摘した。「貴重な鳥の羽根を使って衣を作るとは、かつてない発想です」仏事に豪華なだけでなく鳥の羽根を使った衣を着てしまった楊妃。形勢が不利になったと分かると咄嗟に武才人も金の生糸を使って牡丹を刺繍し、天山の玉をはめ込んだ衣らしいと言いつけ、あろうことか皇帝を待たせていると非難した。その時、ようやく武才人が到着する。しかし楊妃の思惑が外れ、武媚娘は質素でありながら斬新で目を引く美しい衣をまとっていた。武媚娘が作った豪華な牡丹の礼服は亡き長孫(チョウソン)皇后のために仕立てたものだった。実は沐浴して身を清めた後に衣を供えてから来たので遅れたという。皇帝はうっすらと涙を浮かべ武才人の心遣いに感謝し、豆子(トウシ)と一緒に考えたという衣を褒めた。「後宮にそなたがいて朕は幸運だ」皇帝は儀式にそぐわない装いの楊妃に反省を促し、寝宮に帰した。このまま冷遇されるのを恐れた楊妃は質素な衣に着替えて甘露之殿の前でひざまずいたが、これが裏目に出てしまう。謁見を許された楊妃は忙しさで衣を確認する暇がなかったと釈明、尚服局に責任を押し付けた。しかし皇帝は罪を人に押し付けるのが反省した結果なのかと厳しい。「そなたの過ちは3つ、皇后の衣のみに許される百鳥朝鳳の図案を用いたこと 衣に鳥の羽根を用いて殺生戒を犯したこと、華美な衣で倹約の方針に背いたことだ 戻って反省せよ、朕が召すまで目通りは許さぬ」その夜、李治は亡き母の立成(リッセイ)殿を訪ねた。するとちょうど参拝に来ていた武才人と出くわす。「心から母に参るのは父皇と私、それに武才人だけだ…」「敬愛する長孫皇后に中元節の巷の風習である蓮花灯を贈っただけです」李治は武才人の策謀の才に感心していたが、こうして蓮花灯を供えてくれた気持ちには後宮争いも陰謀も無関係だと感謝した。しかしこの参拝までが計画だったことは李治にも見抜けなかっただろう。実は武媚娘が蓮花灯を贈ったのは皇太子に見せるためだった。武媚娘は長孫皇后のために作った衣で皇帝を騙せても、皇太子は欺けないと分かっていた。予想通り皇太子はその目的が楊妃を倒すことだ気づいたが、ささやかな蓮花灯を贈ることで心を動かされたに違いない。帰りの道すがら話を聞いた侍女・玉柳(ギョクリュウ)はさすが才人だと称賛した。「策略ずくで近づくのは私も嫌だわ…でも楊妃を敵に回した今、太子殿下だけが頼りなの」しかし嘆いている暇はない。楊妃を倒すためには皇帝の寵愛が薄れたこの機を逃すわけにはいかなかった。楊妃の怒りの矛先は尚服局に向かった。尚服局の主管である林(リン)尚服は全て卓大家の責任だと訴えたが、卓錦娘は図案を提案した豆子が元凶だと責任転嫁する。その時、ちょうど尚服局を訪ねた王伏勝(オウフクショウ)は豆子の危機を察し、慌てて皇太子に報告した。楊妃は豆子が武才人と結託して自分を陥れたと疑い、直ちに外で打つよう命じた。しかし皇太子が現れ、母への衣の褒美に豆子に菓子を届けに来たという。「陛下も喜んでいた、称賛すべき豆医官になぜ罰を? 本来、豆医官は不禄(フロク)院の者で手伝いに過ぎぬ、間違いあれば上の者が正すべきであろう? 上の者も目を通した上で完成したのなら誰の罪だ?」李治は楊妃が皇帝の前で忙しくて衣を確認する暇がなかったと言い訳したことを持ち出した。「太子、医官を守るために私を敵に回すと?」「だとしたらどうしますか?…私は物の道理を守っただけ この件が大ごとになれば恥をかくのは誰でしょうか?」すると楊妃は卓大家に板打ち50回の罰を与えて帰って行った。その夜、皇帝は武媚娘をそばに置いた。思えば楊妃がここまで増長したのも自分が甘やかしたせいだろう。皇帝は今日の衣の件で楊妃に深く失望したが、一方で武才人の誠意に心を動かされたと話した。そこで武媚娘は長孫皇后の詩に曲をつけた歌を披露する。皇帝は感激のあまり思わず涙し、長孫皇后との幸せな日々に想いを馳せた。その頃、楊妃は寝宮で荒れていた。このままでは武才人を味方につけた皇太子が力をつけ、息子を守ることができない。侍女は主の身体を気遣い、今は休んで元気になったら落ち着いて策を練ろうとなだめた。すると楊妃は確かに冷静になるべきだと気づく。「そう言えば太子はなぜ一介の医官を必死に守ったのかしら?」楊妃は皇太子と豆子の間に何かあると疑い、2人の関係を探るよう命じた。裴行倹は弈心宮に琉璃を呼び出した。素性を隠している琉璃では母親の供養もままならないと考え、ここで灯籠を浮かべるよう勧める。「覚えていてくれたのね」琉璃は裴行倹からもらった蓮花灯を池に浮かべたが、母が帰ってくる家がないと嘆いた。すると屋根に登った裴行倹が横笛を吹き、傷ついた琉璃の心を癒してくれる。つづく( ̄▽ ̄;)めいにゃん、皇太子が好きなんだとばかり…恐っ!
2023.07.11
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第28話結黎(ジエリー)は海市(カイシ)の間者だった。蝶衣(チョウイ)は血が入った玉を渡し、くれぐれも自分の素性を忘れるなと釘を刺して姿を消す。そこへ侵入者を探していた觴闕(ショウケツ)が現れた。結黎は昔からの習慣で、お宝が手に入ると行く先々で隠していると誤魔化した。これまで何かと見下され、たとえ饅頭(マントウ)でも痛めつけられて奪われたという。觴闕は自分がいるので隠さなくても大丈夫だと言ったが、結黎は後ろめたさに苛まれた。「あなたは優し過ぎる…もし私がまた騙したりしたらもう見捨てる?」「何度だまされても構わない」しかし結黎はその夜、小蘭花(シャオランファ)が眠っている隙に骨蘭の腕輪に血を滴らしてしまう。…両親もなく何かと虐げられて来た結黎結黎は身を守るため留芳(リュウホウ)閣の弟子となり、忠誠を示すため蝕心丸(ショクシンガン)を飲んだこの薬を飲んだら3日おきに解毒薬を飲まねば経脈が断絶して死んでしまうという実は当初の結黎の任務は小蘭花を寂月(セキゲツ)宮から連れ出すことだった…山月節を迎え、小蘭花はひと足先に待ち合わせの橋に到着した。一方、東方青蒼(ドンファンチンツァン)も小蘭花と願掛けするため出かけることにしたが、思わぬ邪魔が入る。実は巽風(ソンホウ)が民を焚きつけ、宮殿の前で仙族との縁を断ち切るよう嘆願を始めたのだ。しかし東方青蒼は怯まず、寛容や哀れみを学んだのも小蘭花のおかげだと話し、小蘭花を娶るつもりだと明かした。「私を慕うなら、私が愛する小蘭花も同じように慕って欲しい 私は小蘭花に命を救われた、軟弱そうに見えるが勇敢で決してひるまぬ 蒼鹽海(ソウエンカイ)の月主にふさわしい者は小蘭花しかおらぬ だが未だ10万の兵を帰せぬことは私の過ち… 噬骨霜鹽(セイコツソウエン)釘の刑を受けることで詫びることにする」「いけません!」巽風は流石に考え直すよう止めた。噬骨霜鹽釘は蒼鹽海でも極めて過酷な刑罰で、打ち込まれた釘は夜ごと体内をかけ巡り、明け方まで骨を断ち肉を削ぐような痛みに襲われるという。すると東方青蒼は10万の兵が帰るまで釘を取り出さないと約束した。「私はすでに誓った、命が尽き、魂が滅ぼうと小蘭花を裏切らぬと…」すっかり日も暮れた頃、橋の上から大きな月が見えた。するとようやく東方青蒼がやって来る。「もう来ないのかと思った…」小蘭花は思わず東方青蒼の胸に飛び込み、口づけを交わした。「鍵をかけましょう」しかし東方青蒼は突然、意識を失い倒れてしまう。東方青蒼は激痛に耐えながらも小蘭花を部屋に入れるなと命じた。なぜか追い出された小蘭花は觴闕に食ってかかったが、理由を教えてもらえない。「私たち友だちじゃなかったの?!」「もちろん友だ」觴闕は悩んだ末、月尊が山月節に小蘭花と会うため、噬骨霜鹽の刑を受けたと教えた。夜明けと共に東方青蒼は激しい苦しみから解放された。すると回廊で眠り込んだ小蘭花を見つける。東方青蒼は小蘭花を連れて展望台へ行くと、そこには結納品が揃っていた。「これは霊宝閣の鍵だ、好きに出入りせよ、全てお前のものだ」驚いた小蘭花は東方青蒼が将来を悲観したと誤解、決して死ぬような罰ではないと訴える。「私も話があるの、私の話の方が大事よ!」小蘭花は慌てて東方青蒼の言葉を遮り、自分で編んだ腕輪を渡した。「東方青蒼、私の夫になってくれる?あなたに尽くすと約束する 死ぬまであなただけを愛すると誓うわ、何があってもそばにいる、決して離れない」東方青蒼は感激のあまりすぐ返事ができなかったが、黙って腕輪をはめ、優しく微笑む。その時、突然、巽風が現れた。「兄尊、いけません!」巽風は始祖・鹽女(エンニョ)の令牌を示し、仙族では月主にはなれないと訴えた。かつて仙族に裏切られた鹽女は忘川を渡る時に誓いを立て、月族と仙族の婚姻を禁止している。「婚姻する者がいれば弗居洞(フッキョドウ)に押し込めると…」しかし東方青蒼は聞く耳を持たなかった。「仙子、兄尊の窮地に知らん顔か?お前が誠の情を抱いていないと分かっているぞ お前は兄尊をたぶらかし、務めを忘れさせたな? 同心呪で兄尊の命とつながり、兄尊を危険にさらしているではないか!」小蘭花は困惑したが、東方青蒼は小蘭花を引っ張って帰ってしまう。幽王たちは巽風の言い分に賛同し、仙子を弗居洞へ入れるよう上奏した。東方青蒼は激怒、一方的に遺訓の廃止を命じ、再びこの問題を持ち出せば殺すと脅してしまう。するとそこへ小蘭花が現れた。小蘭花は東方青蒼と一緒にいるためなら弗居洞へ入ることも厭わないという。「月族と仙族の争いは鹽女と重華(チョウカ)が決別してからよ、恨みの連鎖を私が引き受ける 誠意を見せたいの、それに愛する月尊が私のせいで非難されるのを見たくない 月族の民の恨みや苦しみを受け入れなくては月尊の傍に立つ月主にはなれないわ」しかし東方青蒼は愛する小蘭花を傷つけることなど我慢ならず、そこで話を切り上げてしまう。小蘭花は東方青蒼が罰を受けたように自分も犠牲を払って試練を受けたいと懇願した。「よく考えて、皆があなたにひれ伏すのは月尊の地位を受け継いだからじゃない 自ら剣を振い、修羅の道に踏み込んで手にしたものよ? 同じように月主の尊厳は自分で勝ち取るしかないの」小蘭花の言い分はもっともだった。しかし東方青蒼は小蘭花を2度と苦しめたくないという。「お前は知らぬのだ、弗居洞がこの上なき過酷な場所だと… 私はあそこで七情を断ったから分かる、噬骨霜鹽釘の刑よりも恐ろしい 私の他に生きて戻った者はおらぬ!」「…でもあなたは戻った、私にもできるはずよ 夫婦になるなら私の選択を尊重して欲しい、夫婦は喜びも悲しみも分かち合うものよ? 何があろうと一緒に立ち向かうの、だけど自分のことは自分で決める」小蘭花は暗松林(アンショウリン)に巽風を呼び出した。同心呪で自分たちがつながっていると知りながら弗居洞へ入れと言ったのは、東方青蒼を守る方法があるからだろう。確かに巽風は薬を持っていた。「これは巫咸(フカン)一族に伝わる九幽一夢(キュウユウイツボウ)という薬 これを飲めば5日間はお前が苦しんでも感じ取ることはできない…しかし兄尊は飲まないだろう」「私が飲ませるわ」すると焦った巽風は弗居洞に入らずとも妻の座をあきらめるだけでいいと言った。このまま小蘭花が弗居洞で死んだら兄は自分を決して許さないだろう。しかし小蘭花は月尊への愛のために責を負い、犠牲を払うのはお互い様だと言って帰って行った。東方青蒼は弗居洞へ向かう小蘭花を見送りに出た。すると別れ際、小蘭花が杯を渡し、飲み干すよう頼む。「…酒に薬を入れたのはこれで3度目だな」「よく覚えているのね、でもあなたは私が渡した酒なら必ず飲み干すと言った」小蘭花は東方青蒼が酒を飲んだのを見届け、弗居洞へ向かった。つづく( ๑≧ꇴ≦)今さら気づく、結黎って月族だったのかw
2023.07.10
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第27話長珩(チャンハン)と決裂し、合奏の練習を放り出した東方青蒼(ドンファンチンツァン)。しかし忘川(ボウセン)の近くで偶然、女たちの慰霊の儀式を見かけた。東方青蒼は封印された兵士を取り戻すと誓ったことを思い出し、心を入れ替える。こうして長珩は東方青蒼と協力、無事に忘川でさまよっていた元神を救った。長珩は蒼鹽海(ソウエンカイ)を去ることにした。人間界では義兄弟となった東方青蒼と長珩も立場が戻れば敵同士、小蘭花(シャオランファ)は鹿城(ロクジョウ)での平穏な日々を思い出すとやるせない。すると長珩が小蘭花に話があると言った。東方青蒼は小蘭花を信じて長珩と2人きりで話すことを許した。すると長珩も確かに人間界で蕭潤(ショウジュン)でいる方がはるかに幸せだったと話し、水雲天では戦神としての責や敵前逃亡した母の負い目から、過ちを犯すことを恐れていたと説明する。「愛する者さえ守れず、気持ちを押し隠した… 小蘭花、蕭潤として君に誓った言葉は全て偽りのない本心だ、長珩に戻ってもそれは変わらない」「…私が根を痛めて捨てられそうになった時、長珩仙君の言葉で師父は思い留まりました あなたは命の恩人、でも私は世間知らずで何も分かっていなかった あなたへの気持ちは感謝や憧れであって、唯一の愛とは違います」小蘭花は長珩に″奇幻流蛍石(キカンリュウケイセキ)″を返し、見送った。巽風(ソンホウ)は業火(ギョウカ)が使えなくなった兄を心配して眠れぬ夜を過ごしていた。思い悩んだ末、觴闕(ショウケツ)に同心呪(ドウシンジュ)を解く方法を教えるよう迫ったが、実は承影(ショウエイ)剣で小蘭花を殺すことが唯一の方法だと知る。「しかし殿下もご存知の通り最後の破片が見つからないのです…まさか最後の一片を見つけたと?」「…いいや」九幽(キュウユウ)では7日後に迫った山月節に向けて鍵を売る露店が急に増えていた。山月節とは1000年に一度、三日月型の山と満月が重なる珍しい日で、その夜、愛し合う2人が相手の名前を彫った同心錠を相思橋に掛けると永遠に一緒にいられるという。結黎(ジエリー)は月族ながら海市育ちのため知らなかったと驚き、觴闕を誘った。思いがけず結黎の気持ちを知った觴闕は喜んだが、結黎の目的が金儲けだと知って落胆する。「その日は蒼鹽海中の恋人同士が集まるわ、大儲けできそう! もちろん手伝ってくれたら分け前は渡すから!」寂月(セキゲツ)宮に戻った東方青蒼は早速、同心錠に小蘭花の名前を彫り始めた。そこへ巽風が現れ、兄の命を左右する仙女を監禁するべきだと上奏する。「あの仙子は災いとなります、なぜ承影剣を鋳(イ)直して殺さないのですか?」「愛する者は殺さぬ」東方青蒼は赤地女子(セキチジョシ)の元神が手に入らなかった原因は小蘭花ではなく自分にあると認め、他の手を考えると約束した。しかし巽風は自分だけでなく月族の民も月尊が仙女をそばに置くことを受け入れられないという。一方、長珩は雲夢澤(ウンムタク)で容昊(ヨウコウ)を探していた。その時、長珩が来ることを予想していた容昊が酒楼から声をかける。「3日も待っていたぞ…」長珩は東方青蒼と小蘭花の証言から盟友の容昊が海市主だと知った。まさか軽妙洒脱で大らかな容昊が、腹黒く卑劣な手を使って月族と仙族を手玉にとっていた海市主だったとは。すると容昊は小蘭花を救うため蒼鹽海に向かった長珩なら分かるはずだと言った。容昊は生まれつき目が見えず、親もなく、この通りで簫を吹いて食いつないでいた。そんなある年、雲夢澤は冬の寒さが厳しく、3日間も飲まず食わずだった容昊はついに雪の中で倒れてしまう。このまま凍え死ぬと覚悟して目を閉じた容昊、しかし意識が戻ってみると、視力まで回復していた。初めてその目に映ったのはまばゆく輝き、究極に美しいが、どこか物悲しい赤地女子だったという。容昊は師匠が戦死してから心の中の光を全て失った。今や師匠を蘇らせるためなら手を血で染めることも厭わず、師匠の元神の欠片を守るため祟気(スイキ)を使わざるを得なかったという。そこで月族を操り元神を集めて祟気を作ってきたが、東方青蒼が戻るとそれもできなくなった。そのためついに仙族にまで手を出し、3000の兵を犠牲にしてしまう。「師父に一目でも会えるなら師父に斬り殺されても構わぬ」すると容昊は長珩と友になったことは本心からだと訴えた。「信じるよ」「分かっている、だから友になったのだ」長珩と容昊は水雲天に戻り、潔く罰を受けることに決めた。雲中君は取り調べが終わるまで容昊を渡業淵(トギョウエン)に収監、しかし弟の長珩には退路を残す。「お前は逆徒のために重罪を犯したが、罪囚の容昊を捕らえた、よって…」しかし長珩は小蘭花の無実を訴え、権勢しか頭にない兄を痛烈に批判してしまう。「もう兄上のために各地で戦うことはありません」丹音(タンイン)は漱玉林(ソウギョクリン)で独り悶々としていた。長珩が歴劫に従い思う相手を守って死んだなら、自分がその″思う相手″ということになる。しかし正確には自分ではなく曲水(キョクスイ)のことであり、そもそも長珩の心には小蘭花しかいない。…小蘭花が息山神女(ショクサンシンニョ)かもしれないと伝えるべき?…そこへ青川(セイセン)が駆けつけた。長珩が雲中君の怒りに触れ、内通の罪で7日後に誅仙台で斬首されるという。一方、容昊を連行した澧沅仙尊(レイゲンセンソン)は居所に戻り、久しぶりに妻の形見を眺めていた。澧沅は月族娘・星落(セイラク)と恋仲になり、子供ができた。しかしいよいよ子が生まれるという時になって天兵に追われることになってしまう。澧沅は身重の星落を連れて逃げたが、その時、偶然にも容昊と出くわした。すると容昊は2人をかくまって見逃してくれる。…容昊が海市主で取り調べを受けるとは、まさか丹音のことを?…その時、突然、丹音が飛び込んできた。「父上!長珩仙君を助け…父上?なぜ月族の物がここに?」「騒ぐことではない、見回りで見つけただけだ」澧沅は娘を安心させて帰すと、妻の唯一の形見を自ら握りつぶしてしまう。結黎はこっそり同心錠に觴闕の名前を彫っていた。そこへ突然、蝶衣(チョウイ)が現れる。「閣主!」驚いた結黎はその場で拝跪、すると蝶衣は結黎に玉を投げ渡した。「機を見てその血を小蘭花の腕輪に滴らせ」つづく( ;∀;)バッサリ振られてしまった長珩仙君…
2023.07.09
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第8話「喧嘩上等」初の社交場で意地悪な令嬢たちの洗礼を受けた程少商(チォンシャオシャン)。今度は裕昌(ユーチャン)郡主の生辰を祝う宴に連なるが、実は裕昌郡主こそ灯会(トウエ)の際、川で溺れたふりをして笑い物になったあの令嬢だった。王姈(ワンリン)が程家の娘を祝宴に招いたのも郡主の憂さを晴らすため、そこであからさまに程家の2人を侮辱する。万萋萋(ワンチーチー)は少商と程姎(チォンヤン)を守るため矢面に立ったが、令嬢たちにやり込められ言葉に詰まった。すると少商が贅沢三昧の令嬢たちを諌める。「萋萋阿姉は外征で死傷兵の家族を慰めて来た…だいたい誰が点心一つにこんな手間をかけるの? ご馳走が食べられるのは天のご加護と陛下の心血の賜物であり、前線の兵が必死で戦っているからよ 福にあやかりながら武将一門を嘲笑するなんて…」萋萋は少商の正論を聞いて胸がすく思いだった。裕昌は四娘子への怒りでわなわなしていた。しかし侍女から凌(リン)将軍が来たと聞くなり急に機嫌が直る。王姈は十一郎が来たと気づき、田舎にいた程四娘子は会ったことがないのだろうと揶揄した。宴席にいた令嬢たちは一斉に失笑したが、黙っている少商ではない。「誰かと思ったら十一郎?…私は気まずいから失礼するわ 彼は私を久しく慕っている、でも私は興味ないの」少商は大ほらを吹いて颯爽と出て行くはずだったが、目の前に見覚えのある公子が立ちふさがった。確か火事に巻き込まれた時、抱き上げて助けてくれたあの将軍だ。「あなたは…」「君を久しく思うも興味を持たれない十一郎だ」その時、王姈が十一郎に声をかけた。「凌将軍、こちらへ座ったら?」(; ゚ェ゚).oO(え?十一郎=凌将軍…って、凌不疑(リンブーイー)?!…オワタ___少商は咄嗟に腹痛を訴え、姎姎と萋萋に付き添われて出て行った。すると凌不疑も汝陽王府が武将を軽んじていると郡主を非難し、引き返してしまう。萋萋は少商が十一郎を知らずに嘘をついたと聞いて驚いた。しかし姎姎は凌不疑が嫋嫋(ニャオニャオ)を知っているようだったという。「堂姉、董(ドン)大叔父の件よ、せっかく協力したのにあの人、阿父にある事ない事言ったの」すると萋萋は郡主の想い人が凌不疑だと教えた。少商はようやく灯会での落水が凌不疑の気を引くためだったと知り、実は下僕を蹴り落としたは自分だと教える。「あなただったの?!あれから大泣きした郡主は両目が腫れ上がり、都中の笑い話になったのよ~」萋萋は吹き出したが、少商は他言しないよう頼んだ。「阿母が知ったら殺される…祝宴どころか鴻門宴になるわ」←誰が上手いこと言えとw萋萋と姎姎は弓比べに出かけた兄を探しに行った。少商は独り人目を避けて回廊から庭園を眺めていたが、偶然にも灯会の謎解きで出会った横暴な令嬢を見かける。一緒にいるのは凌不疑が調べている肖(シャオ)世子だった。どうやら肖世子は令嬢に縁談を申し込むと決めたが、令嬢は幼い頃から許嫁がいると困惑している。その様子を矢倉から不疑たちが見ていた。すると梁邱起(リャンチゥチー)が少商の姿に気づく。「あ、あそこにいるのは程四娘子では?」不疑が四娘子に視線を移すと、ちょうど袁慎(ユエンシェン)が四娘子に声をかけていた。袁慎は四娘子の協力のおかげで師匠の気も晴れたようだと感謝した。「約束通り困った時は私が助けになろう」「覚えておくわ、ともかくこれでお別れね」「誰がお別れだと?」その時、令嬢の許嫁が中庭に現れた。肖世子は慌てて引き上げたが、令嬢と許嫁は痴話喧嘩になってしまう。売り言葉に買い言葉で破談にすると啖呵を切った令嬢、すると回廊から見ている少商に気づいた。「何、見てんのよ!」相変わらず横柄な令嬢は激怒しながら立ち去り、優しそうな許嫁は丁重に謝罪して後を追う。( ๑≧ꇴ≦)<何で私だけ?ふと振り返ると袁慎は独りで柱の影に隠れていた。袁慎は少商に2人の素性を教えた。郎君は河東楼(カトウロウ)氏の二房の末子・楼垚(ロウヤオ)で、女公子は何昭君(ハージャオジュン)、驍騎(ギョウキ)将軍・何勇(ハーヨン)の娘だという。「字や書だけでなく世家の系譜なども覚えておくべきだ もし師が見つからなければ、私が推薦しよ…」(∩´-ω-)∩<アーアーキコエナイ~!知りたくもないし関係ない!もう消えて!一方、凌不疑は肖家と何家の縁談を警戒した。「この半年、蜀の官員で都を訪れた者を調べよ…先んじて手を打たねばならぬ」面倒臭い袁慎から逃げ出した少商、しかし今度は令嬢たちの罠が待っていた。王姈と楼縭(ロウリー)は泳げない程三娘子を池に落として少商をおびき寄せ、絆(ホダシ)を引っ張る。しかし少商はあっさり絆に気づいて短剣で切り、姎姎を助けた。すると王姈と楼縭が開き直って2人の前に姿を現す。「やっぱりね…こんな下衆なことを思いつくのはあなたたちだけよ」「ふん!郡主の邪魔をして十一郎を誘惑するなんて… こんなことができるのはガサツで教養もなく、親の躾がなっていない人だけよ!」その時、少商の拳が王姈の顎に命中した。激怒した王姈と楼縭は反撃、少商と取っ組み合いの喧嘩になってしまう。悲鳴を聞いた凌不疑たちも池の様子を見に来た。するとひと足先に駆けつけた袁慎と楼垚が令嬢たちの乱闘を止めている。「喧嘩したのか…さすがは程四娘子、意表をつくな~」梁邱飛(リャンチゥフェイ)は思わず感心したが、不疑はすぐ引き返した。この騒ぎは汝陽王妃の知るところとなった。王姈には一見すると傷らしい傷はなかったが、少商は鼻血を出し、目の回りが真っ赤に腫れている。「私には教養がなく、親も躾けなかったと言われました! まあ確かにそれは事実ですが…でも堂姉を池に落としたことは許せません!」しかし王妃は王姈の肩を持ち、単なる揉め事で乱暴する方が悪いという。すると蕭元漪(シャオユエンイー)が例え戯れでも命を脅かすべきではないと訴え、罰するなら必ず双方にと公正さを求めた。その時、凌不疑が現れ、自分の侍衛が庭で拾ったという絆を示す。「証拠が必要ならこれが証拠となる、それに楼家女公子の手を見ても分かるだろう 絆を引っ張り振り、擦りむいたはずだ」不疑は王妃が審理しないなら自分が廷尉府で尋問しても良いと遠回しに脅して出て行った。結局、汝陽王妃は騒ぎが大きくなることを懸念し、どちらも罰せず丸く収めてしまう。蓮房(リエンファン)は女公子の顔のあざを心配そうに冷やしていた。すると少商が顔のあざは咄嗟に自分で作ったと明かし、手加減したのですぐ治るという。「でも王娘子は違う、腰を何度もつねってやったの…今頃は痛くて眠れないはずよ」その時、青蓯(チンツォン)が女君が呼んでいると知らせた。少商が母屋にやって来た。程始(チォンシー)は顔にあざを作った娘に驚き、嫋嫋が心配で仕方がない。娘の小賢しさに呆れた蕭元漪はまず王姈に謝罪するよう命じたが、少商は自業自得だと拒否した。蕭元漪は口答えされ激怒、そこへ蓮房から知らせを聞いた兄たちが駆けつけ、母の足にしがみつく。「阿母!妹を許してください!」「邪魔よ!全員、出て行け!」するとどさくさに紛れて程始は息子たちに嫋嫋を連れて帰るよう命じた。「あれ?娘は?!」「だって全員、帰れと言っただろう?」少商は母の怒りが収まるまで家出することにした。兄たちも一緒に行くと言ってくれたが、少商はさらに母を怒らせることになると断り、蓮房と一緒に出て行ってしまう。一方、程始はへそを曲げた夫人の機嫌を直すのに必死だった。「お前も言っていた、娘は息子と違い、嫁げるだけで十分だと… だったらおのずと罰を与える基準も異なる」蕭元漪は娘が場をわきまえなかったことに腹が立ったと訴えた。汝陽王は皇帝の叔父で、あの王妃は傍若無人ときている。蕭元漪は程家のために我慢するべきだったと言ったが、程始は従姉を守ろうとした娘をかばった。「でも手を出せば攻撃されるだけよ…凌将軍が物証を示してくれたおかげで収まったけれど…」「凌将軍が?」程始はなぜ凌不疑がいたのか首を傾げた。すると蕭元漪がやけに娘の部屋が静かだと気づく。程始は嫋嫋が家出したと教えたが、蕭元漪は珍しく焦った。「外は寒いのよ?!もし凍えたら…」しかし夫の手前、慌てて冷静なふりをした。少商と蓮房が凍えながら歩いていると、偶然、袁慎が馬車で通りかかった。「程夫人が衣を与えないのか?!死にたくないなら馬車に乗れ!」蓮房は下心があるかもしれないと止めたが、少商は下心も何も袁慎には心がないから大丈夫だという。袁慎は少商に自分の外套を貸そうとしたが、それより前に蓮房が敷物を取ってかけた。少商のあざを見た袁慎は苦肉の策で己の首を絞めたのかと失笑、実は少商が自分で自分の顔を殴ったと知っている。少商は開き直り、今後は招かれても断るだけだとぼやいた。すると袁慎は困惑し、実は母が少商を招待する予定だという。「各家の令嬢と梅を鑑賞すると…」「梅?!…つまりお見合いなの?」「己の婚姻なのに、少しは恥じらったらどうだ?」娶られたくもないのに?>ネー(*´・ω・)(・ω・`*)ネー「私だって選ぶ権利がある!膠東(コウトウ)袁氏の正妻が拳で解決するようでは困るからな!」「はいはい、ごゆっくりお選びくださ~い」少商は一応、感謝して馬車を降りることにしたが、その時、袁慎が軟膏をくれた。「…まさか顔が崩れたりしないわよね?」「崩す必要もないだろう?」「ちっ」袁慎は少商たちを曲陵(キョクリョウ)侯府の前で降ろし帰って行った。すると兄たちが駆けつけ、罰が筆写だけなので帰って来いという。しかし少商は筆写なら許さなくて構わないと反発、蓮房を兄に引き渡し、万家に身を寄せると決めた。「阿母の怒りが収まったら迎えに来て!」その頃、万府には凌不疑がいた。凌不疑は万将軍に蜀の堪輿(カンヨ)図が欲しいと頼んだが、万松柏(ワンソンバイ)は持っていない物は渡せないという。つづく( ๑≧ꇴ≦)出たっ!董家の倒れ芸www何しろルースーの細かいネタ満載で笑いが止まらなかった馬車で蓮房と一緒に腰掛けを使う所も、ちょっとしたことなんだけど上手いんだよね~もうこればっかりw
2023.07.08
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第7話「お初の社交場」程少商(チォンシャオシャン)と蕭元漪(シャオユエンイー)の確執は深まるばかり。そんな中、程家では曲陵(キョクリョウ)侯府のお披露目も兼ねて老夫人の生辰祝いが盛大に開かれた。程始(チョンシー)は兄分である万松柏(ワンソンバイ)夫妻を出迎え、早速、娘を紹介する。すると豪快な万将軍は快活な嫋嫋(ニャオニャオ)を絶賛、貴重な短剣を贈った。「阿父とは刎頚(フンケイ)の友だ、つらい仕打ちを受けたら俺に言いなさい 特に阿母が虐げた時はな…(コソッ」万勝軍は堅物の蕭元漪が苦手だったが、そんな時はきまって程始が妻をかばった。「私が学がないと笑われずに済むのも妻の教えがいいからだ」少商は母から礼儀正しくと釘を刺され、祖母の元へ行くよう命じられた。仕方なく従姉・程姎(チォンヤン)の隣に落ち着いたが、上座に陣取る祖母の下品な笄(コウガイ)を見て度肝を抜かれる。姎姎の話では金2両分も使ったらしい。( ̄◇ ̄;).oO(恥ずかしい…そこへ楼家の令嬢・楼縭(ロウリー)が友人を伴ってやって来た。王姈(ワンリン)は車騎将軍・王淳(ワンチュン)の娘で、母親が皇后の従妹だという。すると2人は少商の隣の席についたかと思うと、早速、四娘子の悪口を言い始めた。「あれが噂の四娘子よ、普段から粗暴で無礼だったから閉じ込められて社交場とは縁もなかった でも今は両親の後ろ盾がある、今後は嫌でも顔を合わせることになりそうね~」その時、招待したはずのない膠東(コウトウ)袁(ユエン)氏の袁州牧(ユエンジョウモー)家から袁慎(ユエンシェン)が祝いにやって来た。いけ好かない令嬢たちも憧れの公子の姿に目が釘付け、少商はその隙に退席してしまう。↓ルースーの顔www少商は傲慢な令嬢たちにへき易し、自分で作った鞦韆(シュウセン)で気晴らししていた。そこに突然、袁慎が現れる。「女公子、息災だったかな?」袁慎とは田(ティエン)家酒楼の謎解きで少商が繍球を投げ返したあの善見(シャンジエン)公子だった。何でも袁慎は四娘子の三叔母・桑舜華(サンシュンホワ)に伝言があり、他の者に聞かれては困るため手を借りたいという。しかし少商は袁慎の″賦(フ)″がさっぱり理解できず、一句しか覚えられないと訴えた。「いいだろう、では″懐かしい旧友へ、数言だけでも求む″と…」「分かったわ」すると少商は憮然としながら立ち去ってしまう。少商が祝宴に戻ると、姎姎は少し頬を紅潮させながら袁公子の話で持ちきりだったと教えた。程家と袁家にはゆかりがないが、大兄と袁公子の父が同門だという。「そりゃやけに遠い縁だこと、だいたい大兄はいないのに…」すると少商は袁慎が″賦″だと言っていた意味不明な言葉について聞いてみた。姎姎は幾つかの語を聞いただけで司馬相如(シバショウジョ)の″長門″だと分かり、それほど有名ではないものの世人がその豊かな詞藻(シソウ)を愛し、閨の女子に読んで聞かせるのだという。一方、肖(シャオ)世子を追う凌不疑(リンブーイー)は全焼した田家酒楼の前にいた。集めさせた灯籠は肖世子の灯籠とは違ったが、こんな騒ぎまで起こして証拠を残すはずはない。実は不疑の読み通り、懐が厳しいと嘆いていた肖世子がこの半年で急に羽振りが良くなっていた。董(ドン)倉管(ソウカン)と許尽忠(シュージンジョン)が取引したのも半年、そこで不疑は肖世子の店の評判を落として財路を断つよう指示する。「贅に慣れた者は清貧には耐えられぬ、必ずまた危険を冒す」その時、梁邱起(リャンチゥチー)が程家の馬車に気がついた。不疑はゆっくり馬車の方へ視線を動かすと、偶然にも四娘子が窓から顔を出す。少商の楽しそうな表情を見た不疑はしばし見つめていたが、そこへ配下が駆けつけた。「若主公、大変です、淳于(チュンユー)氏が屋敷に…」「戻るぞ」王姈は裕昌(ユーチャン)郡主の生辰祝いに程家の女公子を招待した。しかし名がなかったことから、蕭元漪は少商も姎姎と一緒に礼品を選びに出かけるのを許してくれる。久しぶりの外出を喜ぶ少商、すると馬車を降りたところでちょうど程家の客桟に立ち寄った袁慎と鉢合わせになった。すると袁慎は四娘子に折り入って話があると断り、裏道へ入る。「数日、待ったが女公子から返事がない、伝言を忘れたのか?」そこで袁慎は伝えてくれるなら見返りとして力を貸すと約束した。「ただし親不孝、謀反、信義に背くこと、それからそなたを娶ること以外だ」「いつ私を娶ってくれと頼んだ?!しかもあなたになんて…」「私に嫁ぎたくないと?!…実に驚いた」袁慎は返事が来ないのは自分をじらしてまた会うためだと誤解していた。「仮に私と関わりたくなければ、なぜ桑夫人に伝えないのだ?」袁慎の思わぬ指摘に少商は目が覚めた。「その通りだわ…頼まれた以上は従うべきよね、戻ったら三叔母に伝えます 礼は結構、私の怠慢を許して、今後は貸し借りなしね、これが今生の別れよ」少商は面倒を片付け、さっさと帰って行った。(  ̄꒳ ̄)<…今生の別れかどうか決めるのは私だ凌不疑の継母である城陽(ジョウヨウ)侯夫人が将軍府に現れた。淳氏は裕昌郡主の祝宴の招待状を渡しに来たが、けんもほろろに追い返されてしまう。実は淳氏は城陽侯の従妹で、不疑が幼い頃は従叔母だった。しかし不疑と母が苦難にある中、城陽侯の閨に入り込んでまんまと継室となる。不疑はそんな淳氏を憎んでいたが、梁邱飛(リャンチゥフェイ)がうっかり招待状を受け取っていた。「若公主、宴には行きますか?」「…10回、打たれてこい」一方、袁慎も自ら縁談を断り、都でも有名な儒士である楊(ヤン)司空を怒らせていた。乳母は21歳になった公子の縁談を心配していたが、袁慎は婚姻に期待などしていないという。「両親は成婚して二十余年だが口もきかぬ、成婚してもつまらぬのなら独りで良い」婚姻とは一族にとって栄誉で、女子にとっては寄る辺、ただ袁慎の目に映るのはただの妥協でしかなかった。その夜、桑舜華がひざまくらで程止(チォンジー)の髭を剃っていると嫋嫋がやって来た。程止は取り込み中だと断ったが、桑舜華が嫋嫋を入れてしまう。「私たちの間に隠し事はないから話して」そこで少商は袁善見から伝言を頼まれたが、何しろ長ったらしい″賦″だったと嘆いた。「とにかく大体の意味は″懐かしい旧友へ数言だけでも求む″と…」すると程止は袁善見が″あの者″が取った弟子だと気づいた。「数言ってどんな数言?十数年も会っていないのに…あ、思い出したわ 私が風寒にかかった時、あなたが四方で医者を探していたから…」桑舜華は笑って書卓で筆を走らせると、まず夫に見せてから嫋嫋に託した。…咳は治った、案じるなかれ…少商は何やらいわくがあると気づいて興味津々、相手はどんな人なのか聞いた。「話せば長くなるわ…」「大丈夫!時間ならあるから」少商は思わず三叔父を押しのけて座った。「″話せば長くなる″というのは話したくないってことよ」「そうなの?…分かった、でも袁善見はなぜこんな回りくどい真似をしたの?」「ある人に言ったの、本人しかり、その友や弟子しかり、2度と会わないとね 書簡や品も送るなと言ったわ、だからよ ところで袁善見とはなぜ知り合ったの?」「それは話せば長くなるの」一方、凌不疑は梁邱起と梁邱飛の報告を聞いていた。「探れたか?」「はい!程家にも郡主の招待状が届き、四娘子は礼品を選びました!」邱飛は真っ先に答えたが、不疑は怪訝そうな顔をする。「なぜ程四娘子なんだ?肖世子の話だぞ?」すると邱起が肖世子は最近、何(ハー)将軍の娘・何昭君(ハージャオジュン)と一緒だと報告した。確かに肖世子がまだ兵器を売るつもりなら他の経路を探すはず、何将軍の娘婿になれば今まで以上に手に入りやすい。何将軍と汝陽王は旧知の中、不疑は何昭君も裕昌郡主の祝いに訪れると踏んだ。「ェェェ…もう捨てました、若公主が行かないと言うから~」「阿飛、もう10回打たれろ」「そんなあぁぁぁぁ」「探し出せば免じてやる」裕昌郡主の祝宴の日、少商は母や兄たちと汝陽王府にやって来た。蕭元漪は嫋嫋と姎姎に同じ衣を着せたが、桑舜華は蕭元漪が娘に似合う衣を選び、姎姎にも同じ衣を用意して公平にしたのだと気づいている。そこへまるで歩く宝飾品のような令嬢が現れた。兄たちの話では万家の十三番目となる末娘・萋萋(チーチー)で、都の長子を自負しているという。すると兄たちを見つけた萋萋が駆けつけ、噂の妹たちに目をつけた。「ちょっと地味すぎない?…私が飾り立ててあげる!」父親に似て豪快な萋萋は自分の頭からかんざしを外して嫋嫋と姎姎の髪に挿し、郡主への祝いだった耳飾りまで譲ってしまう。「私がついてるわ!行きましょう!」その頃、郡主はあの夜、全てをぶち壊した程四娘子が到着したと侍女から聞いていた。王姈は憂さ晴らしのため招待したと明かし、郡主は高みの見物をすればいいという。すると四娘子が宴席に入ってきた。少商は郡主の姿に気づき、元宵節の夜、川で溺れていた令嬢だと思い出す。つづく( ๑≧ꇴ≦)三叔母の過去、気になるわ〜また新たなメンバーが増えて面白くなってきた!
2023.07.07
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第21話「再会のよろこび」皇太子の酒席で泥酔してしまった豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。裴行倹(ハイコウケン)は玉児(ギョクジ)が失態を演じないよう咄嗟に連れ帰り、途中で酔いを覚まさせることにした。「酒には気をつけろ、女の身だと忘れるな…それからもう一つ、太子殿下とは距離を取れ」琉璃は裴行倹も義父と同じように権力争いに巻き込まれることを恐れているのだと分かった。しかし裴行倹は困った様子で他にも理由があるという。まさか嫉妬だとは言えない裴行倹、そこで皇太子が玉児を気に入って側仕えに望んでいると教えた。やはり玉児は不禄(フロク)院で男として育ったせいか男女の別に疎く、隙が多い。「玉児、男と女は距離を保つものなんだ」「阿母や阿翁みたいに優しいのね、親身になって案じてくれるなんて…」すると裴行倹は玉児の母がどんな罪を犯したのか教えて欲しいと頼んだ。これも玉児を守るためだったが、琉璃は裴行倹を巻き込みたくないと口をつぐむ。裴行倹はそれ以上、玉児を追求せず、自分の力で突き止めることにした。尚服局は盂蘭盆会(ウラボンエ)用の衣の準備に追われていた。ようやく夕餉の時間となり引き上げた繍女たち、しかし卓錦娘(タクキンジョウ)は未だ楊(ヨウ)妃の衣の図案が思い浮かばず行き詰まっている。すると鄧七娘(トウシチジョウ)が夜食の差し入れに来た。七娘から工房に残っているのが豆子だけだと聞いた卓錦娘はようやく才人の衣を作り始めたと気づき、慌てて七娘に偵察に行かせる。「詳しく見てくるのよ!」琉璃は工房で図案を描いていた。すると七娘は″百鳥朝鳳(ヒャクチョウチョウホウ)図″だと気づき、その精密さに感嘆の声を上げる。「師父が一目置くはずね、あなたの腕前は尚服局のどの宮女よりも上だわ」琉璃は卓錦娘が聞き耳を立てていると気づき、わざと大声で言った。「楊妃のお気持ちを考えたのです 皇后の座は空位のまま、皇帝の寵愛を受ける楊妃は皇后に最も近い存在でしょう ご自分からは言えませんが、私たちがお気持ちをくんで知恵を出さなくては…」その時、卓錦娘が何やら興奮しながらやって来た。どうやら卓錦娘は豆子がこの図案で楊妃に取り入るつもりだと誤解したらしい。しかし琉璃は卓大家の力になりたくて描いたと訴え、卓大家に渡すつもりだったと釈明した。翌朝、卓錦娘は楊妃に百鳥朝鳳図の衣の図案を届けた。さらに楊妃が唯一の存在であると示すため、百鳥と孔雀の羽根で装飾を作ってはどうかと提案する。ようやく楊妃を満足させた卓錦娘、一方、才人・武媚娘(ブメイニャン)も豆子と図案の相談を始めていた。楊妃の間者となった松濤(ショウトウ)は才人に薬湯を届けながら図案を盗み見ると、早速、丹青(タンセイ)に情報を流す。すると武才人は豆子の図案から牡丹柄を選んだと分かった。花弁には金の生糸、葉には天山の玉を使い、優美に仕上げるよう指示していたという。実は牡丹は長孫(チョウソン)皇后が愛した柄、才人の分際で牡丹を選べば傲慢だと非難されるのは必至だ。裴行倹が左衛率府に戻ると、副率に引き立てられた莫坤(バクコン)がすでに到着していた。この移動は皇太子のたっての希望で、着任を楽しみに待っているという。今はまだ手続き中のため、裴行倹は数日ほど休むよう勧めたが、莫坤は何か手伝えることがないか聞いた。すると裴行倹は実は内密に調べて欲しいことがあるという。「庫狄延忠(コテキエンチュウ)という男と宮中の関わりを知りたい 確信はないが公文書に手がかりがあるやも… 助けたい友のゆかりのある人物なのだ、事情を話そうとせぬゆえ、密かに支えてやりたい」不禄(フロク)院の順子(ジュンシ)は使いを頼まれ甲庫に帳簿を届けた。李(リ)内侍は順子の無事な姿に安堵し、ひさしぶりに話し相手になってもらう。すると順子は書卓にあった安(アン)氏の文書を訝しんだ。「もう11年も経ったのに、なぜこんな古い記録を?」「左衛率府が急に求めてきたのだ、その前に大理寺と掖庭(エキテイ)を訪ねたらしい」そこへちょうど莫副率が現れ、安氏の記録を借りて読み始めた。順子から報告を聞いた孫徳成(ソントクセイ)は豆子に関わりがありそうだと心配した。聞けば信任の左衛率は豆子が城外で出会った裴行倹だという。順子は豆子に恩がある裴行倹なら安心だと思ったが、孫徳成は警戒を強めた。すると順子が安氏の事件と関係があるのは楊妃だと思い出し、裴行倹は皇太子のために楊妃の弱みを握りたいのではと考える。「いずれにせよ豆子が危険だ…裴行倹の目的が何であれ守らなくてはならぬ 順子、お前は楊妃側に目を光らせてくれ、豆子は我らを気遣い何かあっても知らせてこない」「分かりました」莫坤は調査を終えて裴行倹に報告した。「庫狄延忠を調べる狙いは楊妃だったのですね?」11年前、皇帝が楊妃を立后しようとしたが廷臣の反対に遭って諦めた騒動があった。裴行倹はその時、ちょうど科挙で上京していたため、よく覚えているという。「庫狄延忠はごく普通の庶民でした、しかし妻は違った、″天下第一針″と称された安氏です」実は安氏は当時、楊妃に独断で褘衣(キイ)を贈り、謀反の罪で投獄され、自害していた。延忠は事件の前に離縁状を書いて難を逃れたが、それ以来、正室は娶っておらず、妓女だった側室の曹(ソウ)氏だけだという。「安氏には娘がいたか?!」「琉璃という娘が1人、当時7歳でしたが、母親と共に捕らえられました 安氏は娘の首を絞めて殺害、その後、首を吊っています」裴行倹は玉児が安氏の娘・琉璃だと気づいた。それにしてもなぜ本来なら尚服局が作る衣を安氏が手がけることになったのか。莫坤もその点が不思議だった。記録によれば安氏が楊妃に取り入ろうとして衣を作ったとあったが、安氏は宮中暮らしに疲れて役職を辞している。そもそも先の皇后に重用されていた大家なら下策に出ずとも喜んで復帰できただろう。まさか楊妃が安氏に罪をなすりつけたか、あるいは誰かが楊妃におもねって安氏に強要したのか。すでに時が経って証拠も少なかったが、莫坤は安氏の兄が古商で、西市(セイシ)で衣装店を営んでいると教えた。「如意衣装店か?!」「よくご存知で」裴行倹は確信した。…玉児こそ安氏の娘・琉璃だ…玉児があの時、武才人が私に逃がせと託した娘だったとは…自由になれたのに戻ったのは母親の敵の手がかりを見つけたからか「やっと正体が分かった」裴行倹はちょうど咸池(カンチ)殿から出て来た琉璃を捕まえた。「実は君に伝えたいことがあるんだ、また君に会えて嬉しいよ!」「酒席で会ったばかりだけど?」「あることが分かって嬉しいんだ、場所を変えて話したい 君が喜ぶものを持って明日の夕方、会いに行くよ! それから…私たちには縁があるようだ」その夜、屋敷に戻った裴行倹はあの時、琉璃が己を犠牲にしてまで守った化粧箱を取り出した。…琉璃、君を探して11年、やっと返せるよ…化粧箱の中には琉璃が刺繍した手巾と″天下第一針″、そして″安氏刺繍奥義″が入っていた。裴行倹は仕事の合間に琉璃の居所を訪ねることにした。すると豆子の部屋で武才人の衣を探している卓大家と七娘を目撃する。裴行倹は12話で琉璃が″母のある宝物を狙う刺客に襲われた″と話していたことを思い出した。恐らくこの金針と奥義書を手に入れるため安大家を陥れ、琉璃も狙ったのは卓錦娘だろう。…気がついて良かった、これを返したら琉璃が危ないところだった…そこで裴行倹はちょうど工房を出て来た琉璃を引き止め、卓錦娘が何か探しているとだけ知らせた。「戌時に暢春(チョウシュン)湖のほとりで待っている」「分かった、行くわ」順子は楊妃が最近、人が変わったように言動に遠慮がなくなったと報告した。そう言えば廷臣が楊妃側に付こうと鳥の羽根を買い集めているそうで、都の鳥の値段が高騰しているという。すると孫徳成は楊妃の変化が豆子と関係がありそうな気がして不安になった。その夜、裴行倹は暢春湖で琉璃を待っていた。つづく( ゚ェ゚)もう折り返したのにまだ男装のナザェェェ___
2023.07.06
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第20話「惹かれ合う心」才人・武媚娘(ブメイニャン)は皇帝の妃として宮中での日々が残りわずかだと覚悟していた。「もうすぐ感業(カンギョウ)寺で御仏にお仕えすることになるでしょう‥わびしい余生ですわ 殿下は青春を無駄にすることなく、本懐を遂げてください」すると皇太子・李治(リチ)はいつか力になれる時が来たら寺から救い出すと約束した。武媚娘は心から感謝したが、皇太子の言葉にいささか落胆してしまう。「あなたは″姉″も同然、陛下以外で私を心配してくれる唯一の人だ」その夜、裴行倹(ハイコウケン)はうなされながら玉児(ギョクジ)の名を呼んでいた。「玉児…私が君を助ける」一方、罰を受けた豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)は今日の仕事を片付けてから居所へ戻った。裴行倹を心配しながら眠れない夜を過ごす琉璃、そこでしんこ細工の人形を自分と裴行倹に見立て、何もできなかったことを詫びる。翌朝、琉璃は思い立って東宮へ見舞いに行った。すると王伏勝(オウフクショウ)が豆子を案内しながら、玉児という名を知っているか尋ねる。驚いた琉璃は知らないと言ったが、王内侍の話では裴行倹がうわごとでその名を呼んでいたという。「その女子のことが心配でならぬようだった、きっと想い人だな」裴行倹はまだ意識が戻っていなかった。すると急ぎの仕事がある王内侍は医官の豆子に包帯の交換を頼んで出て行ってしまう。琉璃は困惑しながらも裴行倹の手の包帯を換えたが、その時、ようやく裴行倹が目を覚ました。「具合は?!つらくない?!」「玉児…なぜ来たんだ?私は大丈夫、心配するな」「うん」2人はしばし見つめ合い、互いに相手の無事を喜んだが、その時、皇太子が現れた。李治は守約(シュヤク)が目を覚ましたと気づいて安堵した。「豆子が福を運んでくれたようだな」すると皇太子はよほど豆子が気に入ったのか、頭を優しく撫でてやる。裴行倹は相手が皇太子でも、やはり想い人が他の男に触れられるのは面白くなかった。「豆子、持ち場へ戻れ、叱られるぞ?」そこで李治はいつでも好きな時に見舞いに来れば良いと認めた。しかし裴行倹は皇太子の寵臣だと誤解されたら妬まれると反対する。李治はならば用事を作って豆子を呼んでやると約束、豆子は喜んで帰ることにした。孫徳成(ソントクセイ)は琉璃の好物を持って宮道で待っていた。そこへ東宮から戻ってきた琉璃が現れる。孫徳成は琉璃が東宮に出入りしていると知り、世継ぎ争いに巻き込まれるのを心配した。「宮中で生きるには保身を図ることが大切だ」「だからこそ太子殿下を曹王の陰謀から守りたいの、太子殿下は善良で名君になるはずよ きっと阿娘の事件を調べ直して冤罪を晴らしてくれるわ、駄目だとしても太子殿下を助ける 考えたの、保身を図るより実直な人が多ければ阿娘の最期は違っていたかもしれないって…」孫徳成は素性を隠した一介の医官に何ができるのかと呆れたが、琉璃は失敗しても後悔しないという。「全く頑固だな」咸池(カンチ)殿に尚服局の鄧七娘(トウシチジョウ)がやって来た。盂蘭盆会(ウラボンエ)当日の衣に何か要望があるか聞きたいという。しかし武媚娘は高位の妃嬪の衣を先に作ってからでいいと断った。「確かに熟練の宮女は人気なのでしょうね、そうだ、新人の豆子に頼むわ」実は媚娘は最近の楊妃の態度が変わったことに気づいていた。腕比べの時も明らかに皇太子を敵視し、最近では自分を皇帝に近づけまいとしている。わざわざ尚服局から使いが来たのは楊妃が自分の衣に探りを入れているからだろう。媚娘は早く作れば悪巧みの時間を与えてしまうと考え、慌てずとも豆子の腕ならすぐできると分かっていた。卓錦娘(タクキンジョウ)は繍女たちに担当の妃嬪を振り分けることにした。誰もが権勢にあやかりたいと高位の妃嬪を狙っていたが、そんな中、阿碧(アヘキ)は何年も担当してきた武才人のためにすでに図案を考えたという。しかし武才人は豆子を指名していた。武才人が存在感を増してきた途端、新人に横取りされた阿碧は面白くない。今も豆子はまた皇太子に呼ばれて東宮へ出かけていた。「ふん!豆子は刺繍より権力者にすり寄るのが忙しいみたいですね~師父も安心できませんよ?」「お黙りっ!」今日は裴行倹の仕官初日だった。皇太子の気遣いで東宮に呼んでもらった琉璃はすっかり元気になった裴行倹の姿に安堵する。すると裴行倹は玉児を送りながら、左衛率(サエイリツ)の就任祝いに欲しいものがあると切り出した。「実は君が作った肌着は着心地が良いと太子殿下が褒めているそうだ 着古したあとも取ってあるらしい…」「それなら遠慮はいらないわ」そこで琉璃は裴行倹に抱きつき、自分の指を使って採寸を始めた。驚いた裴行倹は皇太子にも同じことをしたのかと焦ったが、琉璃は皇太子の寸法なら尚服局にあると呆れる。「私にはいいが、他の者にはするなよ?」「ふふ、いつもは物差しを使ってる」「そうか(ホッ)じゃあ続けて…」「もう終わったわ!」(´・∀・)お、おう…一方、楊妃は卓錦娘の図案を気に入らなかった。「どれも古臭い…いっそ大家の席を譲ったら?」「どうかお鎮まりください!必ず満足される衣をお作りいたします!」卓錦娘は図案を引き取り帰ることにしたが、その時、楊妃が武才人の衣はどうなっているのか聞いた。しかしまだ製作が始まっておらず、ただ担当だけは豆子を指名したという。卓錦娘は図案の着想が浮かばず、繍女たちに妙案を出せと迫った。苛立つ大家の様子を見て良い気味だとほくそ笑む琉璃、しかし楊妃も楊妃で動き始める。武才人の侍女・松涛(ショウトウ)は御花園の築山で郎(ロウ)侍衛と密会していた。しかし楊妃の侍女・丹青(タンセイ)に見つかってしまう。侍女と侍衛の密通は死罪、松濤はひざまずいて命乞いした。「楊妃のためにひと肌ぬいでくれるなら、″郎″侍衛との不始末は秘密するわ」「郎侍衛?」松濤は丹青と郎侍衛に面識があると気づき、罠にはめられたと分かった。激怒した松濤は郎侍衛を引っ叩いて縁を切ると宣言、かくなる上は何でも申しつけてくれという。皇太子は曹王から守ってくれた裴行倹と豆子を酒席に招いた。すると王内侍が裴行倹を案内しながら玉児の件を持ち出し、想い人がいるなら皇太子に頼めば婚姻が叶うと助言する。「それは…その…話せば長くなるのでやめましょう」一方、琉璃はすでに皇太子に謁見していた。「今日は無礼講だ、くつろいでくれ」李治は2人に葡萄酒を振る舞いたいと話した。葡萄酒と聞いた琉璃は子供の頃、初めて見た葡萄酒の色に心を奪われ、ある日、母の目を盗んで飲んだことがあったという。「実は飲み過ぎて瓶を抱いたまま眠ってしまい、阿母に見つかってひどく怒られたんです」皇太子が豆子の思い出話に笑っていると、そこへちょうど裴行倹が到着した。裴行倹は琉璃が酔っ払うのではないかと気が気でなかった。そこで葡萄酒は後から酔いが回るため飲みすぎるなと釘を刺したが、皇太子から興が覚めると叱られてしまう。裴行倹の心配をよそに葡萄酒を飲み続ける琉璃、やがて皇太子もろれつが回らなくなってきた。琉璃もいよいよふらふらになり、慌てた裴行倹は酔い潰れる前に玉児を送って行くことにする。つづく( ;∀;)あ__私のイチオシ松濤ががが___
2023.07.05
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第19話「東宮での腕比べ」才人・武媚娘(ブメイニャン)は思い出の鳩・宝児(ホウジ)を連れて皇太子の見舞いにやって来た。「殿下の退屈な日々にお慰めできればと…」皇太子は素直に喜んでいたが、才人の侍女・玉柳(ギョクリュウ)は主の心の変化に戸惑っていた。李治(リチ)は豆子(トウシ)を東宮に呼びたいと考えていた。しかし武媚娘は貴重な人材だからこそ尚服局に置く方が良いという。尚服局の動きも分かり、何より豆子の才能も生かせるからだ。李治は納得し、明日の侍衛選びに向けて裴行倹(ハイコウケン)を参内させることにする。一方、曹(ソウ)王・李明(リメイ)は東宮の動きを怪しんでいた。皇太子は確かに静養中だが、殿内の詳しい様子が分からない。従者は采月(サイゲツ)が頻繁に生地を取りに行っていることから傷は重いはずだと言ったが、李明は確信がもてなかった。「太子が本当に危険な状態なら腕比べの延期を願い出るはずだ」そこで蒲巴弩(ホハド)を連れて東宮の様子を探りに行こうと決めた。王伏勝(オウフクショウ)が裴行倹を嘉徳(カトク)之殿に案内していると、ちょうど見舞いにやって来た曹王たちと出くわした。「曹王殿下のお見舞いです!」王伏勝の前触れを聞いた李治は咄嗟に重症を装い、咳き込みながら前殿に姿を見せる。すると李明が明日の腕比べを延期してはどうかと提案した。しかし李治は皇帝の不興を買うだけだと拒否し、久しぶりに外の空気を吸うのも良いとごまかす。思いがけず明日の決戦を前に顔を合わせることになった裴行倹と蒲巴弩。蒲巴弩は挨拶の際にわざと拱手をぶつけて裴行倹の武功を試したが、明らかに自分が劣っていると分かった。そこで帰りの道すがら正直に裴行倹に勝てる保証はないと申し出る。驚いた李明はどんな手を使ってでも勝たねばならないと迫り、王府に戻るとある策を講じた。皇太子の近侍を選ぶ腕比べと聞いて宮中はにわかに騒がしくなった。皇帝が侍衛や内官、宮女たちの観戦も許したとあって尚服局でも繍女たちが休みをもらおうと仮病を使う。しかし大家に見抜かれ、かえって仕事を抜け出せば重罪を与えると脅されてしまう。琉璃(ルリ)は腕比べなど興味なさそうに黙々と仕事をこなしていた。するとちょうど刺繍糸が足りなくなり、鄧七娘(トウシチジョウ)に糸を取りに行くと断って采章(サイショウ)署を出る。しかし豆子はなかなか戻ってこなかった。琉璃は尚服局を抜け出し、東宮で開かれる腕比べを見に行った。見学に来ている宮女たちのお目当ては裴行倹、すでに眉目秀麗な裴行倹は噂の的になっている。するといよいよ皇帝が試合の開始を宣言、裴行倹は剣を選び、蒲巴弩は得意な鉄錘を選んだ。腕比べは裴行倹の優勢で進んだ。すると蒲巴弩が鉄錘に仕込んだ毒を放出、顔に粉を浴びた裴行倹は身体の異変に気づく。「何の毒を使った?」「力が入らぬのだろう?次第に意識が遠のくぞ 私自身も力を増強する薬を飲んでいる、命が惜しければ早く負けを認めるのだ」しかしここで諦めたら皇太子は曹王に手を下されることになる。裴行倹は気絶しないよう自ら腕を斬って奮起したが、防御だけで精一杯だった。「卑怯な手を使うなら遠慮はせぬ、負けを認めねば曹王を殺す、道連れだ!」追い詰められた裴行倹は曹王に向かって飛び出した。蒲巴弩は慌てて武器を捨て負けを宣言した。曹王は無事だったが、裴行倹は暗殺を企てたとして捕縛されてしまう。驚いた李治は皇帝に謝罪し、裴行倹を処罰する前に理由だけでも聞いて欲しいと懇願した。そのお陰で裴行倹は釈明の機会を与えられ、実は対戦中に持病の発作が起きて戦えなくなったという。「しかし近侍の任務は命をかけて太子殿下を守ることです 実践ならば太子殿下の安全を第一に確保すべき、そこで相手に負けを認めさせる策を講じました」楊(ヨウ)妃は息子を狙った裴行倹に激怒し、推薦した皇太子への罰も嘆願した。そこで皇帝は聡明な武才人に意見を聞いてみる。武媚娘は無知な自分がうかつなことは言えないとしながらも、皇帝の登用の妙は世に知れ渡っていると絶賛した。「凌煙(リョウエン)閣に名を残す24人の功臣を始め、太子洗馬の魏徴(ギチョウ)を重用された件も…」楊妃と曹王は武才人が遠回しに裴行倹をかばっていると気づいた。結局、皇帝は危機にも乱れぬ知勇を評価して裴行倹を皇太子の近侍と認め、蒲巴弩はそのまま曹王付きとする。「龍泉(リュウセン)の地より献上された宝剣を2人に下賜しよう」すると安堵した裴行倹は意識を失い倒れてしまう。楊妃は武媚娘への激しい嫉妬に駆られた。李明は皇帝の覚えがめでたい武才人が皇太子の参謀となれば自分が殺されると警戒する。「耐え忍ぶのも今日で終わりよ…私たち母子の未来は戦って勝ち取ってみせる」一方、李治は東宮で裴行倹を静養させた。しかし太医院に信頼できる医者がおらず手をこまねいている。「これも私が勢力を育ててこなかったせいだ…」すると武才人が再び武家の医者を連れて現れた。実は武媚娘も腕比べで裴行倹の様子がおかしいと気づいていたという。医者の話では裴行倹はやはり毒にあたっていた。幸い一時的な毒のため静養すれば回復するという。琉璃が尚服局に戻ると卓錦娘(タクキンジョウ)が待ち構えていた。琉璃は素直に東宮で腕比べを見ていたと白状し、罰を請う。すると卓錦娘は二時ほど抜け出したので四時の間、ひざまつくよう命じ、夕食は抜き、さらに今日の仕事を全て終わらせろと指示した。「できなければ明日はまた倍の罰を与えるわ!」李治は武才人を門まで見送りながら東宮への気遣いに心から感謝した。母を亡くしてから皇宮では孤独だった李治、武才人のように自分を支えてくれる存在はいなかったという。武媚娘はまだ若く大志を抱く皇太子が入内したばかりの自分の姿と重なると懐かしんだが、思えば宮中での日々は残りわずかだと言った。「もうすぐ感業(カンギョウ)寺で御仏にお仕えすることになるでしょう‥わびしい余生ですわ」つづく( ̄▽ ̄;)めいにゃんからの静かなる圧力がw
2023.07.04
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第26話祟気(スイキ)に操られ、小蘭花(シャオランファ)に襲いかかった謝惋卿(シャワンケイ)。しかし剣を振り下ろそうとしたまさにその時、東方青蒼(ドンファンチンツァン)が放った宝剣が謝惋卿の身体を貫いた。小蘭花は危機一髪で助かったが、これで長珩(チャンハン)と赤地女子(セキチジョシ)の歴劫は失敗となる。すると謝惋卿の亡骸から祟気があふれ出し、東方青蒼と小蘭花に襲いかかった。東方青蒼はすでに祟気にあたって深手を負い、対抗できる力がなかった。小蘭花は無我夢中で掌(ショウ)を放ったが、驚いたことに最も邪悪な力と言われる祟気を押さえ込んでいる。その様子を丹音(タンイン)は回廊から見ていた。「息山神女(ショクサンシンニョ)…?」小蘭花の額に浮かび上がった息蘭聖印、東方青蒼は小蘭花が息蘭(ショクラン)族だと知っていたが、まさか息山神女だとは思いもよらなかった。すると小蘭花は見事に祟気を浄化し、力を使い果たして倒れてしまう。しかし容昊は師匠を蘇らせるため祟気を利用し、赤地女子の元神を骨蘭の腕輪に忍ばせていた。丹音は小蘭花の元へ駆けつけた。長珩の歴劫が失敗に終わったのも小蘭花が裏切ったせい、丹音は敵を討つため剣を構える。しかし觴闕(ショウケツ)が駆けつけ月尊たちを逃し、丹音を退けてから脱出した。丹音の霊力では觴闕に及ばず逃げられた。その時、容昊(ヨウコウ)が現れ、深追いしないよう止める。丹音は長珩の元神が灰になってしまったと絶望したが、容昊はまだ分からないと言った。「蕭潤(ショウジュン)の運命を確かめたが、謝惋卿を殺す定めはない ただ″想う相手を救うために死ぬ″となっていた」丹音はならば小蘭花のために死んだのだと考え、自分のはずがないと落胆した。深手を負った東方青蒼は小蘭花を抱きかかえて忘川(ボウセン)のほとりまでたどり着いた。するとようやく小蘭花が目を覚ます。「川を渡れば家に帰れるぞ?」2人は小舟に乗ったが、舟を出す前に雲中君(ウンチュウクン)が神仙たちを引き連れ、攻撃を仕掛けた。東方青蒼は業火(ゴウカ)を放とうとしたが、なぜか使うことができず、窮地に追い込まれてしまう。その時、歴劫を終えて戻った長珩が現れた。「小蘭花は叛徒ではない!彼女を傷つけるなら私が相手だ!」長珩は歴劫に成功していた。そこで小蘭花に一緒に帰ろうと言ったが、小蘭花は東方青蒼と共に帰る道を選ぶ。「ごめんなさい、長珩仙君」小蘭花は舟を岸から離した。激怒した雲中君は神仙たちに逆徒を殺せと命じたが、長珩が反撃する。「長珩…私に背くつもりか?!」「これまで掟を守り、兄上の言う通りにしてきた、しかし歴劫により私は多くを悟った 兄上には母親の子を思う心は臆病に過ぎず、恋心は過ちでしかない 世の者の思いなど愚かでしかないのだ!そんな馬鹿げた掟になど従えない!」長珩は公然と兄を批判して姿を消した。すると雲中君は長珩まで逆徒だと断罪、見つけ次第、殺せと命じてしまう。容昊は歴劫を終えた師匠の元神を無事に連れ帰った。どうやら小蘭花たちは命格(メイカク)詩の意味を誤解していたらしい。赤地女子は何度も転生していたが、その度に愛する者のために死んでいた。実は″蕭郎″とは名ではなく″愛する者″という意味で、芳魂を断ち歴劫を助ける者とは今世で愛した相手を指す。つまり今回は東方青蒼のことだった。小蘭花は東方青蒼を連れて蒼鹽海(ソウエンカイ)までたどり着いた。そこで岸に上がりひとまず暖を取って東方青蒼を休ませたが、一向に目覚める様子がない。小蘭花は自分の手首を切って血を飲ませたが、意識は戻らなかった。「私を独りにしないで…」その時、ようやく東方青蒼が目を開ける。小蘭花は東方青蒼に抱きつき、安堵の涙を流した。すると東方青蒼は小蘭花の手首の傷に気づき、相手が誰であろうと血を使ってはならないという。「なぜ私を救った?これで2度と帰れなくなるのだぞ?」「だって私…」東方青蒼は小蘭花の答えを聞く前に唇を重ねた。しかしちょうど月尊たちに追いついた觴闕と結黎(ジエリー)が現れ、見られてしまう。(∩ω∩`)<キィャァー!穴があったら入りたい!一方、小蘭花を探していた長珩は忘川で海市(カイシ)主に祟気にされた哀れな元神の叫びを聞いた。「もしや3000の兵の死も海市主の仕業なのか?」長珩は必ず助け出すと約束し、しばらく耐えてくれと訴えた。東方青蒼は巽風(ソンホウ)に業火(ギョウカ)が使えなくなったと明かした。今や兄弟の絆も深まり、兄のために尽力するという巽風、しかし觴闕から赤地女子を殺さざるを得なかったのも、負傷の原因も小蘭花だと聞いて激怒する。「後顧の憂いを断たねば!」しかし東方青蒼は小蘭花とは同心呪により生死を同じくしていると説明し、小蘭花を殺すことは自分を殺すことになると教えた。確かに小蘭花は東方青蒼の唯一の弱みとなったが、昊天(コウテン)塔を出られたのも小蘭花がいたおかげだという。「私は自分を責めている…封印された10万の兵を思うと胸が痛む、月族の民に合わせる顔がない」その時、回廊から結黎の声が聞こえた。<小蘭花?!どうしたの?小蘭花?!東方青蒼は小蘭花が今の話を聞いていたと気づき、後を追った。すると小蘭花は展望台で夕焼けを眺めている。「私のせいであなたの望みは潰えたのね…それに傷まで負わせてしまった」「兵の封印を解く方法なら他にあるだろう、だが三界には他におらぬ者がいる 臆病で泣き虫、お節介で私に面倒ばかりかける者だ」東方青蒼は小蘭花の手を握りしめ、本当の正体を教えることにした。しかし突然、長珩が現れる。長珩は小蘭花を連れて帰ると譲らず、東方青蒼と一触即発となった。小蘭花はひとまず東方青蒼と長珩に剣を収めさせた。すると長珩は実は忘川で哀れな元神を見たという。話を聞いた小蘭花は、海市の化魂墟(カコンキョ)で似たような元神のかけらを見たと思い出した。しかし化魂鼎(カコンテイ)なら東方青蒼が破壊したはず、なぜ川底に戻らないのだろうか。長珩は生前の苦しみから帰墟(キキョ)の境への道を見失い、さまよっていると説明した。「実はその元神を救う手立てがある」長珩は識霊抄(ショクレイソウ)の楽譜を招喚、小蘭花に渡した。これは初代・息山神女が作った曲で、霊を癒し、元神を清めると言われている。かつて東君(トウクン)と鹽女(エンニョ)が共に奏で、天地を祭った曲だ。「でももう三界に奏でられる者がいないとか…はっ!」その時、小蘭花は気づいた。「月尊と戦神、それぞれの族で最強の2人が力を合わせれば奏でられるかも!」祟気に苦しむ元神は仙族だけでなく月族も含まれていた。東方青蒼は小蘭花の望みなら応じると長珩を牽制、早速、琴の稽古を始めることにする。しかし2人の息が合わず、何かと言い争いになった。( ̄▽ ̄;)<まあ気楽にやりましょう?前は義兄弟だったんだし…( ゚Д゚)<それは人間界での話だ!>( ̄◇ ̄)すると東方青蒼はへそを曲げて席を立ってしまう。東方青蒼は忘川の近くで女たちが集まり、祈りを捧げている姿を見つけた。すると猟師の集落で出会った長老が現れ、慰霊の儀式だと教える。「毎年この時期に忘川に来て、死んだ夫や兄弟、息子の霊を慰めるため、祈りを捧げます」「あの土人形はなぜ顔がない?」「すでに何万年も経ち、顔も思い出せないのです…忘川の底で眠っているのでしょうか? 尊上、あの時の約束をお忘れに?」「覚えている、玄虚の境にいる10万の兵を連れて帰る」つづく( ๑≧ꇴ≦)あ~もう友情は終わりなのね
2023.07.03
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第25話いよいよ婚礼の日を迎え、準備に余念がない結黎(ジエリー)と觴闕(ショウケツ)。結黎から人間界の婚姻の風習について説明を聞いた觴闕は、龍族の婚姻にも習わしがあると言った。「新郎は己の最も硬い龍鱗(リュウリン)を剥がし、新婦に贈る 龍鱗がない弱い部分を愛する人にだけ晒し、相手のなすがままになるのだ 侮られても、騙されても…」しかし気まずくなった結黎は小蘭花(シャオランファ)の準備があると断り、逃げるように戻ってしまう。すると小蘭花の冠の真珠が紛失したと分かり、思わぬ騒ぎとなった。すでに支度を終えた謝惋卿(シャワンケイ)が小蘭花を訪ねた。冠の真珠を失くしたと聞いて代わりになりそうな装飾品を持って来たという。一方、新郎たちは正門で招待客を出迎えることになった。友人などいない東方青蒼(ドンファンチンツァン)だったが、蕭潤(ショウジュン)は自分の義兄弟なら友人たちにとっても同じだという。実は蕭潤は招待状に贈り物を2つ用意するよう記していた。すると確かに招待客たちが自分を義兄と呼んで挨拶してくれる。東方青蒼は何とも言えない気持ちになり、蕭潤が友人を案内している隙に奥へ戻った。東方青蒼は中庭でぼんやりしている小蘭花を見つけた。小蘭花はこれまで運命簿でしか知らなかった人生の機微に触れ、実は婚姻や弔事、出会いや別れがとても大事なことだと気づいたという。「決まっている運命とはいえ、彼女を騙して死なせようとしていると思うと胸が痛むわ…」すると意外にも東方青蒼は小蘭花の気持ちが分かると言った。蕭潤が自分の友は東方兄の友でもあると言ってくれた時、気がとがめたという。「…ねえ、せめて今日だけは仙族でも月族でもなく、ただの人間になってみない?」「はお」歴劫を終えた丹音(タンイン)は雲中君からの命で人間界へ戻った。何も知らず曲水(キョクスイ)を出迎え、支度を頼む蕭潤、しかし曲水はなぜか泣いている。「バカだな~弟同然のお前を捨てるはずないだろう?もう泣くな」その時、小蘭花の冠の真珠が蕭潤の衣装の間から落ちた。小蘭花が部屋に戻ると曲水が真珠を届けに来ていた。すると曲水は部屋の戸を閉めてから正体を明かす。小蘭花は再会を喜んで思わず抱きついたが、丹音に引き離された。聞けば雲中君が歴劫のことを知り、東方青蒼の企てを阻むため、先の戦神を殺して歴劫を阻止するよう命じたという。「雲中君は水雲天を守るため、長珩(チャンハン)仙君を犠牲にするつもりよ」驚いた小蘭花は丹音と協力して長珩を救うため、命格(メイカク)詩の内容を教えた。小蘭花も丹音も蕭潤が人を殺せるとは思えなかったが、今は待つしかない。その時、突然、容昊(ヨウコウ)が現れた。容昊は長珩の苦境を放っておけず駆けつけたと話した。しかし問題は東方青蒼の存在、何とか引き離す必要がある。「それができるのは君だけだ」容昊は小蘭花に東方青蒼を引き止めるよう頼んだが、小蘭花は2度と騙さないと約束した手前、困惑した。すると容昊はなぜ長珩が危険を冒してまで歴劫したのか明かして説得する。「私のため?」「長珩の想い人は君だった、だが許嫁がいたため告白できなかったのだ」長珩が今になって息山神女(ショクサンシンニョ)を探し回ったのは、小蘭花と一緒になるため婚約を取り消そうとしたからだった。あの奇幻流蛍石(キカンリュウケイセキ)も初めから小蘭花へ贈るために手に入れたという。容昊はどちらにせよ東方青蒼が赤地女子(セキチジョシ)の元神を奪えば、三界が戦火に包まれることは確実だと教えた。小蘭花はようやく東方青蒼の本当の目的を知り愕然となった。実は玄虚(ゲンキョ)の境で封印されている月族軍を解放するには赤地女子の元神が必要だという。東方青蒼は赤地女子の元神を手に入れ、朔風(サクホウ)剣の封印を解き、10万の兵で水雲天を攻めるつもりだった。そこで容昊は小蘭花に薬を渡し、これで東方青蒼の霊力をしばし弱めることができると説明する。「その間に私は師父の元神を奪い、長珩を連れ帰る」恐る恐る薬を受け取った小蘭花、その時うっかり丹音が返してくれた真珠を落としてしまう。容昊は真珠を拾って小蘭花に渡し、信じていると釘を刺しておいた。日が暮れる頃、夜渓(ヤケイ)楼で2組の盛大な婚礼が始まった。無事に拝礼の儀を済ませた新婦たちはそれぞれ寝所へ落ち着き、一方、新郎たちは祝宴で招待客をもてなす。やがて夜も更けて宴がお開きとなり、計画通り蕭潤が謝惋卿の寝所へ入った。しかし蕭潤は新婦が小蘭花ではないと気づき、曲水が部屋を間違えたと思い込んで、慌てて寝殿を出てしまう。やがて雪が降り始めた。小蘭花と東方青蒼は中庭の涼亭で2人きり、静かな夜を過ごす。すると何も知らない東方青蒼は酒を注いで一緒に飲もうと誘った。「今日の婚姻は偽りだが、内心、嬉しかった、まるで本当の婚礼のようで…」東方青蒼の思わぬ本心を聞いた小蘭花は慌てて酒を飲むのを止めた。「何のために鹿城(ロクジョウ)へ来たの?本当のことを話して」「言わなかったか?お前に関わりはない、尋ねるなと…」「私や仲間を皆殺しにしても関わりがないというの?」東方青蒼は小蘭花が事実を知ったと気づいた。「誰に聞いた?」「やはり本当なのね、約束したはずよ?私を騙さないと…」「私が月尊だと知りながらなぜそのようなことを…」小蘭花は鹿城での日々で東方青蒼も平穏な暮らしが気に入ったとばかり思っていた。しかし東方青蒼はいつか矛を交える時がくれば迷わず長珩を殺すという。「それで私を恨むなら恨め…」小蘭花は深く失望し、冠をはずして卓に置いた。一方、蝶衣(チョウイ)は小蘭花が本当に東方青蒼に薬を飲ませるかどうか心配していた。しかし容昊は薬が見せかけで、実は本当に東方青蒼を傷つけることができるのは真珠だと教える。「3000の兵から得た祟気だ」容昊は小蘭花が落とした真珠を拾った時、密かに真珠に祟気を仕込んでいた。その頃、謝惋卿は寝殿を出て東方青蒼を探していた。するとふいに簫の音が聞こえて足を止める。「師父、昊です、こちらへ…私が来世にお連れします」小蘭花は東方青蒼を恨むつもりなどないが、今はどうしたらよいの分からないと泣いた。すると東方青蒼は小蘭花を優しく抱きしめる。一方、小蘭花を探していた蕭潤は回廊でばったり女子姿の曲水と出くわした。しかし曲水は丹音だと名乗り、水雲天に一緒に帰ろうという。「あなたは水雲天の戦神・長珩仙君なのです!」その時、ついに小蘭花の冠の真珠から祟気があふれ出した。小蘭花は容昊に騙されたと気づき、咄嗟に東方青蒼を突き飛ばした。みるみるうちに祟気に飲み込まれる涼亭、東方青蒼は小蘭花を救うため中に入ろうとしたが、小蘭花は必死に止める。「逃げてぇぇぇ!来たら無事ではいられないわ!」一方、謝惋卿も命を繋いできた祟気が身体からあふれ出し、怨念に動かされていた。するとちょうど回廊にいた蕭潤と丹音が謝惋卿に気づく。「あれは祟気?…試験の時に現れた」丹音は蕭潤を守ろうとしたが祟気には勝てず、曲水をかばった蕭潤が謝惋卿に刺し殺されてしまう。東方青蒼は自分の身を危険にさらしながらも祟気を蹴散らした。聞けば酒も真珠も容昊の差し金だという。「…赤地女子の唯一の弟子か」すると東方青蒼は小蘭花にやるべきことをやると言い残し、独りでどこかへ行ってしまう。小蘭花は東方青蒼を探し回った。すると祟気に操られた謝惋卿が現れ、小蘭花に襲いかかる。「惋卿娘子…やめて!」つづく( ゚ェ゚)ドンファンは結局、酒を飲んだの?
2023.07.02
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第6話「灯会での出会い」書卓をめぐり三娘子・程姎(チォンヤン)の棟で菖蒲(チャンプー)と大喧嘩になった蓮房(リエンファン)。現場を目撃した蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の仕業だと誤解し、少商(シャオシャン)を呼びつけるなり叱った。しかしよくよく聞いてみると書卓は三男・少宮(シャオゴン)が長兄からもらったもので、少商に譲ったと分かる。すると青蓯(チンツォン)が失神した菖蒲を運び込み、顔を踏み潰すふりをして驚かせた。案の定、寝たふりをしていた菖蒲は飛び起き、命乞いしながら老婢の隣へ逃げてしまう。こうして当事者が揃い、蓮房が詳しい経緯を話した。…蓮房たちが書卓を運んでいたところ菖蒲に引き止められた実は三娘子も新しい書卓を作るというそこでこの書卓を見本にしたいので、ひとまず三娘子に見せたいと半ば強引に奪って居所へ運んで行ったしかし何も聞いていない茱萸(ジューイー)は女公子が父親の書卓を大切に使っていると反対する『それに三娘子ならお出かけです、四娘子もお待ちですし、後で私が女公子を連れ…』すると菖蒲が茱萸をいきなり引っ叩いて黙らせてしまう蓮房は茱萸の言った通り三娘子が戻ったら見に来てくれと言ったが、菖蒲は書卓を返さなかった…蕭元漪は事態を丸く収めるため、今回の騒ぎの原因は蓮房と菖蒲にあると裁定した。すると少商は思わず鼻先で笑ってしまう。「何がおかしいの?」「あまりに滑稽で…」少商は蓮房に自分の非が分かるか聞いた。「…独断で決めたことです」「そこが気に入っている、でも独断で決めていい事といけない事があるの 例えば私が味噌を買えと命じたとする あなたが決めていいのは、どの道を通って、どの店の味噌を買うか だけど誰かと味噌を分けるか、私に味噌が必要かを勝手に決めることはできない …分かるわね?私はあなたを罰したことはないけれど、今日は阿母に従って 先に戻って着替えて来なさい」少商は自分の奴婢たちを下げてから菖蒲を追及した。蓮房は書卓を運ぶため数人の奴婢を連れていたはず、それを阻んだのなら菖蒲が仲間を呼んで包囲したのは明らかだ。「あなたと違って他の仲間は倒れていないわよ?尋問すれば分かることだわ 仲間たちは騙されたのかしら?それとも書卓を使って家族を引き裂こうとしたとか…」焦った乳母は四娘子には兄の後ろ盾があるが、三娘子は非力で虐げられないか心配だったと訴えた。「だから四娘子に書卓があれば女公子も頂くべきだと勝手に考え、過ちを犯しました」するとこれまで静観していた三叔母の桑舜華(サンシュンホワ)が聞き捨てならないと口を挟んだ。「何が言いたいの?程家の兄弟姉妹は一心同体で分け隔てなかった 程家を引き裂くつもり?まさか葛(ゴー)家の差し金?」しかし蕭元漪は姎姎を守るため、慌てて話を終わらせてしまう。「この件はこれまでよ」少商は母のあからさまな態度に不満を募らせた。…やはり頼れるのは自分だけね…「つまり阿母は老婢の言う通りだと?ならば私と阿兄が堂姉を虐げたことになります」「親に背くつもり?!」″親に背く″ことは大罪となる。驚いた兄たちはなぜ妹ばかり責めるのかと抗議、さすがに蕭元漪も言い過ぎたと気づく。しかし少商はここで引き下がれば一生、母に押さえつけられてしまうと考え、退かなかった。「阿母は蓮房の非について詳しく聞きもせず私を叱責し、私の過ちだと決めつけた でも菖蒲の件では堂姉にお咎めなし 阿母は堂姉が好きなのよ、だから心配無用でしょう? 程家主母がついているのに誰が堂姉を虐げるの?」蕭元漪はああ言えばこう言う娘に腹を立て罰を与えようとしたが、咄嗟に少宮が妹をかばった。「私の浅はかな行動のせいです、私が代わりに罰を受けます!」「(机バン!)そもそも双方に書卓を贈らないのが悪い!」「阿兄は悪くない!阿兄は私が童の使う書卓を使っているから哀れんで贈ってくれただけ 新品を買ったわけでもないのに、どこが過ちですか?!」すると少商は1つしかない麦餅(マイビン)を腹八分目の子に渡し、餓死寸前の子にもう1つ手に入るまで待てと言っているようなものだと遠回しに母のひいきを指摘した。「それが本当に公平だと?それとも公平の名の下、正当化した偏愛でしょうか?」少商に畳み掛けられた蕭元漪は弁明できず、その上、次男・頌児(ソンアル)と姎姎からも罰を請われてしまう。その時、桑舜華が急に腹痛を訴え、薬が欲しいと言って蕭元漪を強引に連れ出した。(  ̄꒳ ̄)ルースー圧巻ですな蕭元漪は娘に怒り心頭だった。しかし桑舜華から自業自得だと諌められてしまう。「筋が通らないのに母として威厳を示せますか?」「あの罰当たり達を見た?!…老婢と小娘の魂胆などお見通しよ! 私があとで罰すれば済む事なのに、あれでは姎姎の立場がないわ」桑舜華はさすがにひいきが過ぎると呆れ、叔母の自分でも耐え難かったと言った。「″親に背く″なんて罪状まで口にして…嫋嫋(ニャオニャオ)を死なせたらどうするつもりですか?」蕭元漪はようやく冷静さを取り戻し、公正を求めただけだと嘆く。「分かっています、あなたは誰より公正よ でも自分の公正さを周りに示すため他人を優遇して我が子につらく当たっては… それこそ滑稽では?」( ;∀;)三叔母ぉぉぉぉぉ~その頃、姎姎は嫋嫋たちにつらい思いをさせたと謝罪していた。少商は従姉に責任はないと言ったが、世の中は本来、不公平なのだという。「堂姉に母はいないけどいるも同然、私は母がいるけどいないも同然…」「もう立っていいわよ」そこへ三叔母がやって来た。桑舜華はすっかり嫋嫋が気に入り、困った時は自分が力になるという。「その~灯会(トウエ)に行きたいけど阿母がダメだと…」「いいわ、何とかしてあげる」すると少商は大喜び、姎姎も一緒に行こうと誘った。上元節の夜、程家は揃って灯会に出かけた。すると蕭元漪は馬車から降りて来た娘を見て驚く。実は少商は桑舜華が譲った美しい蜀錦(ショクキン)の衣をまとっていた。蕭元漪は姎姎と差がついてしまうと注意したが、桑舜華は母の生辰(セイシン)にもらった品でひとつしかないという。そこで蕭元漪は娘の目の前で姎姎の手を取り、初めての灯会を案内すると言った。(  ̄꒳ ̄)ホント何なの?この母親w少商は母の仕打ちに傷つきながらも父と兄に囲まれ、灯会を心から楽しんだ。その様子を矢倉で警戒していた凌不疑(リンブーイー)たちが見かける。不疑は灯会で許尽忠(シュージンジョン)と似た灯籠を見つけ次第、すぐ動けるよう手配していた。「あれは程校尉、校尉も家族と灯会に?…程四娘子のいでたちは目を引きますね」「こんな遠くから四娘子と分かるのか?」すると梁邱飛(リャンチゥフェイ)は内偵から程三娘子はしとやかだと聞いたと明かし、おのずと飛び跳ねている真紅の衣が四娘子だと説明した。不疑は天真爛漫な四娘子の姿に釘付け、思わず頬が緩んでしまう。( ๑≧ꇴ≦)見つけちゃったウーレイwww程老夫人は溺愛する三男・程止(チォンジー)にべったりで、桑舜華に夫と灯籠を楽しむ時間はなかった。蕭元漪は相変わらず姎姎をひいき、娘の前でこれみよがしにかんざしを選んでやる。そんな母と従姉の姿を避けるように顔を背けた少商は偶然、ひときわ沢山の灯籠が飾られた酒楼を見つけた。田(ティエン)家酒楼に飾られた灯籠は売り物ではなく、恒例の謎解きだった。少商はどこが面白いのか分からないとぼやいたが、ちょうど謎解きに来た男女二人連れが現れ、傲慢そうな令嬢に嫌みを言われてしまう。「答えられなければ浅学、でも世には答えられる博学もいる…どいて(ドン!)」「押すことはないだろう」連れの公子は令嬢を諌め、灯籠が欲しいなら自分が取るとなだめた。しかし酒楼の最上階に陣取る袁善見(ユエンシャンジエン)が次々と謎を解き始めてしまう。袁公子は白鹿山の皇甫(ホアンフー)先生に師事し、3年前には天下が選ぶ弁論会で18歳という若さで師匠の代理を務めた逸材だった。毎年、謎解きで敵なしだという袁公子、すると少商は自分にも答えが分かると気づく。その時、前にいたあの令嬢が全く答えられない公子に業を煮やし、同じ白鹿山で学びながら差があり過ぎると罵倒した。少商は群衆の前で面目を潰された公子に同情したが、当の楼垚(ロウヤオ)は確かに絶世の才を持つ師兄に比べて自分は凡庸だという。その謙虚さがかえって令嬢を苛立たせた。「私は才気にひれ伏す腰抜けが一番嫌いよ!…袁善見のやつ、何て目立ちたがりなの?!」( ̄▽ ̄;)また面倒臭いの来たわ袁公子は学院の弟子たちが考えた題目をあっけなく解いた。すると田番頭が店先に現れ、袁公子が多くの灯籠を奪って興を削いでしまったため、お詫びに新たな謎解きを出すことにしたという。「正解した方には商品として″千里酔(センリスイ)″を贈りましょう」袁公子の題目とは酒楼にある井戸の口から水際までの深さを当てるというものだった。あの横柄な令嬢は測れば分かることだと呆れたが、番頭は3尺の定規を使うことが条件だと教える。「そんな短い定規でどうするの?」「…私がやるわ!」名乗りを上げたのは少商だった。「答えられなければ浅学、でも世には答えられる博学もいる…どいて(ドン!)」少商は令嬢をやり込め酒楼に入った。( ๑≧ꇴ≦)ルースー無双w少商は落ちていた枝を拾って井戸に渡し、定規で何やら計算を始めた。「分かったわ」袁善見は酒を飲みながら裏庭から聞こえる娘の答えを聞いていたが、思わず目を見張る。「直径は2尺半、3尺の定規の上から水際を見ると手前1尺で横棒と交差… つまり水際まで4尺半よ」野次馬たちは少女の腕前に敬服し、楼垚は思わず感嘆の声を上げた。「お見事!」すると面白くない令嬢は独りでさっさと帰ってしまう。その際、店先で転びそうになったところをある男に助けられたが、男の手には鍛冶場にあった灯籠と同じ灯籠があった。静かにその時を待つ凌不疑、実は不疑はすでに肖(ショウ)世子に目をつけていた。一介の鉄匠・許尽忠が経緯も分からぬまま出世できたのは誰かが経歴を消し去ったからだろう。馮翊(ヒョウヨク)郡でそれが可能なのは雍(ヨウ)王のみ、しかし都に不在となれば残るは息子である肖世子だけだ。するとその肖世子が田家酒楼に現れたと報告が来る。「行くぞ」少商は見事に正解、商品をもらうため井戸で待っていた。すると最後まで残っていた楼垚に気づき、2人は軽く会釈をして別れる。その時、上階に袁善見が現れ、少商に繍鞠を落とした。少商は咄嗟に鞠を受け取ったが、今度は外から誰かが落水したと叫ぶ声が聞こえる。驚いた少商は鞠の意味も分からず落とし主に投げ返し、急いで出て行った。( ๑≧ꇴ≦)投げ返したぁぁぁぁ~wwwww水路に落ちたのは裕昌(ユーチャン)郡主だった。郡主はちょうど橋を通りかかった凌不疑に必死に助けを求めたが、不疑は馬から降りる様子もなく冷ややかにながめている。その時、騒ぎを聞きつけた少商が様子を見にやって来た。「泥が舞ってる、深くないのね」少商はとんだ茶番だと気づき、岸で助けようとしている使用人を突き落としてしまう。「誰だっ?!」使用人は激怒したが、実は水路の水が腰までしかないとばれることになった。不疑は思わず失笑しながら、郡主の嘘を暴いた娘が真紅の衣を着た四娘子だと気づく。「大変だ!火事だ!田家酒楼の灯籠が燃えたぞ!」「田家…はっ!私の千里酔が!」少商は慌てて引き返すと、不疑も急ぎ馬を走らせた。(  ̄꒳ ̄)事件多すぎw少商が田家酒楼に駆けつけた時にはすでに火の海だった。逃げ惑う通りの人々、すると喧騒の中で父の声が聞こえる。「嫋嫋!どこだ!嫋嫋!」「阿父!」少商は父の姿を探したが、人波にもまれて転んでしまう。すると灯籠の矢倉が少商めがけて倒れて来た。しかしその時、凌不疑が颯爽と現れ、少商を抱き上げて助けてくれる。「…ここにいなさい」恩人は黙って立ち去った。そこへようやく娘を見つけた程始(チァンシー)が駆けつける。「阿父!」「怪我はないか?無事で良かった!」凌不疑は四娘子が家族と会えたと分かって安堵し、そのまま配下と合流した。つづく( ๑≧ꇴ≦)ウーレイが来たわ!
2023.07.01
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第5話「新宅に集う新顔」兵器横流しの事件を追う凌不疑(リンブーイー)。この事案に何かいわくがあるのか、不疑はことさら執着しているように見えた。しかし側近・梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)の報告では許尽忠(シュージンジョン)が潜伏していた鍛冶場には何の手がかりもないという。不疑は人や車の動くところに痕跡があると諭したが、その時、見覚えのある馬車が通った。「若主公、あれは程(チォン)家の馬車では?」馬車を見た不疑は四娘子のことを思い出し、自然と表情が和らぐ。その時、雪が降り始めた。「瑞雪(ズイセツ)だな、もうじき元旦か… 軍の仲間たちに年越しの品を…こたびは都に戻って初の元旦だ」( ゚д゚)<年越しの品?…今まで家族団らんの節句を祝ったっけ?若主公らしからぬ気遣いに戸惑う邱飛、すると邱起は未だ城陽(ジョウヨウ)侯府に寄りつかない若主公を心配した。「城陽侯が若主公が戻るよう何度も上奏したそうです」「…だが断る」程家はめでたく新邸へ引っ越した。引越しといっても旧宅から目と鼻の先、しかし吉時が夜明け前だったため、少商(シャオシャン)は寒さと眠気で機嫌が悪い。蕭元漪(シャオユエンイー)はそんな娘に相変わらず厳しく当たっていたが、父の曲陵(キョクリョウ)侯・程始(チォンシー)は疲れるのも仕方がないとかばった。「練兵よりも疲れたな、部屋で休みたい」「阿父、数日ゆっくり休んだら出征ですか」蕭元漪は娘の言葉に驚き、なぜ軍令を知っているのか聞いた。しかし少商はただの勘だという。「新しい官位だけは授からず、かといって不当な処遇を受けた様子もない だからまだ任務は終わっていないと…」程始は賢い娘だと喜び、今度は出征ではなく、動くのも正月以降だと教えた。少商は自分の居所に入った。美しい庭やその広さに感嘆の声を上げる侍女・蓮房(リエンファン)、すると少商は早速、処分される棚を引き取り、鞦韆(シュウセン)を作ることにする。実は大母(タイボ)の庭を修繕する時、木匠が作っているのを見てこっそり手伝ったことがあった。蓮房はさすが器用な女公子だと尊敬したが、その時、大きな音を聞いた母がやって来る。「何してるの?!」蕭元漪は遊んでいる暇があるなら典籍を読めと叱ったが、確かに娘の大工としての腕前には目を見張るものがあった。(* ゚ェ゚)σ<…阿母の今の視線は何だったの?(`・ω・)b<良い出来だと感服したのでは?そんなある日、正月を家族と過ごすため、程家の三房夫婦と少商の2人の兄が帰京した。三男・程止(チォンジー)を溺愛する老夫人は抱きつかんばかりの歓迎だったが、その様子を見た少商はまるで情郎との再会のようだと呆れる。一方、次兄・頌児(ソンアル)と双子の兄・少宮(シャオゴン)とは初めての顔合わせながら、やはり血のつながった兄弟のせいかすぐ打ち解けた。老夫人は食事中も季夫人・桑舜華(サンシュンホワ)をそっちのけでかいがいしく三男の世話を焼いた。事情が分からない少商はこっそり三兄の席に近づき、大母は三叔母が嫌いなのかと探る。兄の話では三叔母は三叔父が選んだ相手で白鹿山山主の娘、程家より格も上だが、大母は息子に釣り合わないと思っているという。(* ゚ェ゚)<ってか天女でもない限り満足しないわな~あれじゃ少商は家のために埋もれていた二叔父を思うと同情した。結局、親も子の権勢を見て態度を変えるのが常のなのだろう。蕭元漪が娘より姪・程姎(チォンヤン)をあからさまに優遇しているのは桑舜華や兄たちの目にも明らかだった。桑舜華は各自の長所があると諌めたが、蕭元漪は褒めるべき者を褒めているだけだという。「葛(ゴー)氏が植え付けた欠点をまず正さなくては…人の道を学ばずに家を治められる?」しかしその話を偶然、兄と一緒に遊んでいた少商が聞いてしまう。同じ頃、城陽侯府では酒席を設け、子晟(ズーション)の縁談を祝っていた。すると突然、不疑が駆けつけ、皇帝の勅命で城陽侯・凌益(リンイー)と団らんに来たという。城陽侯はちょうど縁談の話をしていたところだと喜んだが、不疑は立ったまま座ろうともしなかった。そこへ縁談相手の裕昌(ユーチャン)郡主が駆けつける。十一郎に恋慕する郡主は再会を心待ちにしていたが、不疑は公務のため帰ると言い出した。城陽侯と夫人・淳于(チュンユー)氏が引き止めたが、不疑の対応は冷たい。「子晟、婚姻は父母の命に従うものだぞ」「…父母?では私の阿母はどこです?!」不疑は継母を母と認めず、郡主にきっぱり断った。「再度はっきり申し上げます、私が求める妻は一目、見ただけで分かります 我が生涯で一人だけ、もし出会えなければ一生、独り身を貫く…郡主は私が求める妻ではない」不疑は閑散とした屋敷に戻った。上元節に付き物なのが灯籠、どうやら何も知らない使用人が飾ってしまったらしい。梁邱起と梁邱飛が慌てて全て外してくれたが、灯籠を見た不疑はふと鍛冶場にも灯籠があったと思い出して回収させた。灯籠には竹細工ではなく鉄の輪が使われていたが、手掛かりにはつながりそうにない。その時、梁邱飛が灯会の灯籠と言えば全て対だと言った。「全て対…(はっ!)許尽忠は灯籠に手がかりを隠したのか?」不疑は買い手が連絡する際に対の灯籠を残すことで会わずに情報を伝えることができると気づいた。「我らも今回の灯会に出かける」一方、程宅では二房の乳母が三娘子の行く末を案じていた。部屋の中は書巻ばかり、若い娘の部屋とは思えない。姎姎は父が残した典籍だと喜んでいたが、乳母は変な気を回して侍女をたき付けた。「今や二房には主がいなくなった、私たちの身の置き場もなくなる 争うべきは争わなければ…こちらが強く出れば虐げられることもない」兄たちは母に冷遇される妹を心配し、早速、豪華な土産を届けた。少商は初めて触れる肉親の気遣いに感激、その中に面白い書簡がある。実は次兄もかつて勉学嫌いで、長兄が楽しく学べるよう戦場での英雄の逸話を自ら彫って作ってくれたものだった。「これならすぐ字も覚えられるぞ」まさか二叔母が父の送金を横領し、妹に惨めな生活を強いていたとは知らず、兄たちはこれからは自分たちがついていると安心させる。その時、三兄が妹の書卓がお下がりで、今の妹には低過ぎると気づいた。そこでちょうど使っていない書卓があるため妹に譲ることにする。「今すぐ運ばせよう」「大丈夫、蓮房!取りに行って!」その書卓は三兄が大兄からもらった麒麟紋様のある紅木製の豪華な書卓だったが、これが思わぬ騒動を巻き起こしてしまう。書卓を運んでいた蓮房たちはちょうど三娘子の棟を通りかかった。すると侍女・菖蒲(チャンプー)たちが気づき、豪華な書卓に目をつける。そこで蓮房を引き止め、実は女公子にも書卓を作るつもりだと嘘をついた。この書卓を見本にしたいので、ひとまず三娘子に見せるため貸して欲しいという。「でもこの書卓は大公子が三公子のために作ったの、珍しい品だから…」「早く運んで!」その時、ちょうど姎姎を連れて外出していた蕭元漪が屋敷に戻ってきた。すると使用人か駆けつけ、姎姎の乳母に菖蒲が蓮房と喧嘩になったと耳打ちする。乳母は離間の策を思いつき、伯夫人に女公子の部屋でお茶でもどうかと誘った。「伯夫人がいらしてこそ賑わいます、女公子は独りぼっちで寄る辺もなく…」姎姎は疲れている伯母を気遣って遠慮したが、蕭元漪は姎姎の顔を立てるため立ち寄ることにした。しかしその道すがら、書卓を取り合って争う侍女たちを見つける。一方、少商はなかなか戻ってこない蓮房を心配していた。そこへ母の腹心・青蓯(チンツォン)が現れ、女君が呼んでいるという。つづく( ๑≧ꇴ≦)ルースーがいちいち上手いのよ ←こればっかりw阿兄の登場で楽しくなってきた!意外にも菖蒲が面白いwと思ったら面倒くさそうな郡主がktkr
2023.06.30
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第18話「正体のない毒」皇太子・李治(リチ)は崖から転落したものの無事に生還し、東宮に戻った。しかし矢傷の治療にやって来た太医の手際を見て激怒、追い返してしまう。太医院は曹王・李明(リメイ)の息がかかり、もはや安心して治療を任せられる太医がいなかった。すると才人・武媚娘(ブメイニャン)が駆けつけ、武家の掛かり付けである盧(ロ)先生を紹介する。李治は外部からの医師の治療で安堵すると、王伏勝(オウフクショウ)に自分の身代わりとなって死んだ華天(カテン)の弔いと遺族の世話を頼んだ。楊(ヨウ)妃は李明を呼び、皇太子に怪我を負わせ、楊家の親族である宗(ソウ)太医を使って命を狙ったのかと迫った。李明は医者から皇太子の病状を聞いただけだと否定したが、狩場での暗殺未遂については認める。これで李明と皇太子の関係は完全に決裂するだろう。しかし楊妃は養子と言えど幼い頃から育てた李明を見捨てることができず、義母として覚悟を決めた。一方、豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)も東宮の騒ぎを耳にしていた。裴行倹(ハイコウケン)からの忠告を思い出した琉璃は皇太子の敵が曹王だと確信し、宮中の恐ろしさを実感する。…何の力もない私が敵を討てるかしら…しかし琉璃は思いがけず敵討ちの機会を見つけた。尚服局は盂蘭盆(ウラボンエ)の衣と負傷した皇太子に届ける替えの肌着で多忙を極めていた。すると阿碧(アヘキ)が卓錦娘(タクキンジョウ)に所望され、雪梅茶を入れに行くという。雪梅茶は頭をはっきりさせるお茶、鄧七娘(トウシチジョウ)は何がそんなに難しいのかと首を傾げた。実は今まで文句を言わなかった楊妃が今回は厳しく、指名された大家が何度、見本を届けても突き返されているという。琉璃は咄嗟に阿碧を追いかけ、手伝いを申し出た。殊勝な態度の琉璃に悪い気はしない阿碧、しかし茶を入れるといっても手順が難しく、雑用を頼むことにする。すると梅花清水の瓶を取ってくるよう頼まれた琉璃は密かに毒を混ぜた。琉璃は何食わぬ顔で阿碧に水を届けた。これで母の復讐を果たせる、そう思って采章(サイショウ)署に戻ったが、その時、ちょうど繍女たちが母の噂話をしている。「…安(アン)大家に比べたら卓大家は技も創意も及ばないから悩むのかしら?」「でも腕前より人間性よ、謀反の罪で身を滅ぼした安大家は″天下第一針″の称号にふさわしくない」琉璃は今、卓錦娘を殺せば母の冤罪が永遠に晴らせないと気づき、阿碧を呼び止めた。「私が茶を運びます」「結構よ」すると琉璃は強引に取り上げようとして盆を引っ張り、わざと茶碗を落とした。阿碧は豆子が手伝うふりをして邪魔をしたと憤慨し、また恨みを買ってしまう。考え事をしながら歩いていた琉璃はうっかり双児(ソウジ)とぶつかり、皇太子の肌着を落とした。そこで気分転換に双児の代わりに東宮へ肌着を届けに行くことにする。すると皇太子は治りかけた矢傷が再び悪化し、高熱で床に伏せっていた。琉璃は医官だったことから傷口を診せてもらったが、明らかに毒だと分かる。毒矢でないのなら傷に触れる薬や紗布(シャフ)、肌着が怪しいが、その時、ちょうど武才人が見舞いにやって来た。話を聞いた武媚娘は驚き、裴行倹に長安の名医を連れて来るよう頼み、盧先生をもう一度、呼ぶことにする。「あなたは間違いのないよう、殿下に付き添っていて」李治が目を覚ますと豆子が付き添っていた。すると李治は夢枕に母が立ったと話し、自分を迎えに来たのかもしれないと弱音を吐く。琉璃は自分も母を早くに亡くしたが、母親にとって子供は命より大事なものだと言った。「皇后が現れたのは太子を励ますためです… 命を大切にして母親が望んだ人生を送る、そうすれは必ず皇后は喜びます」「その通りだ、だが常に命を狙われ、それでも気づかぬふりをしなくてはならぬ このやるせなさをどう晴らせばいい…」「でも命を狙っても殺せなかったのなら相手の負けです ならば堂々と生きて相手を悔しがらせます、かえって向こうが怖がることになります」李治は常に前向きな豆子の言葉に励まされ、久しぶりに笑顔になった。裴行倹は都の名医3名を連れて東宮を訪ねた。3人の見立てでは確かに皇太子は毒に侵されていたが、盧先生の処方にも問題はないという。裴行倹は原因を突き止めるため自分の腕に傷をつけ、薬・紗布・肌着を試してみた。すると薬を塗った傷はすぐ血が止まり、紗布で巻いた傷も悪化はしていない。そこでその夜、琉璃は皇太子の肌着の生地を調べるため細料(サイリョウ)庫へ向かったが、同じことを考えた裴行倹と出くわした。「君のおかげで細料庫に入った宮女が誰か分からなかった」「知ってるわ、林(リン)尚服の配下の采月(サイゲツ)よ…そうだ!前は曹王府にいたと耳にしたわ」裴行倹は早速、曹王府に忍び込んだ。そこで屋根からのぞいてみると、配下たちが薬湯の中に生地を浸している様子を見る。屋敷に戻った裴行倹は同じ薬材を使って自分の傷に試し、実は傷口に触れることで初めて毒性を発する変わった処方だと分かった。…決して致命的な毒ではないが、傷が塞がることなく、最後は敗血症を招いて死に至らしめます…曹王は肌着に毒を仕込ませた、間違いありません…ひとまず敵の思惑通り重症を装っているのが得策でしょう…そうすれば養生しながら後の策を練ることができます一方、琉璃は安全な肌着を作り、深夜のうちに皇太子へ届ける肌着の中に紛れ込ませた。…私が作った肌着には″豆″と刺繍が入っています王伏勝は東宮に肌着が届くと、その中から″豆″の肌着を選んで皇太子に着せた。李治はすっかり回復、しかし外に出られず退屈していた。すると武媚娘が見舞いに現れ、思い出の鳩を届ける。つづく(  ̄꒳ ̄)メイニャン、皇帝の付き添いを断って皇太子の見舞いに行くなんて大胆w
2023.06.29
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第17話「笑顔の仮面」宮中では盂蘭盆(ウラボンエ)の相談で皇子や妃嬪、大臣たちが集まっていた。皇太子・李治(リチ)は事を急くあまり皆の前で曹(ソウ)王・李明(リメイ)の叛逆を上奏しようと決めたが、李明がすでに積荷の中身をすり替えているとは知る由もない。その頃、四門学に堅物で有名な国子監(コクシカン)の張(チョウ)主簿が現れた。林苑庫を守っていた莫坤(バクコン)は誰も入れないと断ったが、その時、裴行倹(ハイコウケン)が華天(カテン)と一緒に駆けつける。聞けば薛(セツ)助教から言づてがあり、庫内が一杯なので早く巻紙を運び出せと言われたというのだ。裴行倹は何とか張主簿を追い返した。しかし荷物に甲冑が隠してあるなら薛助教が人を寄越すはずがない。裴行倹たちは念のため庫内を調べたが、莫坤は箱の中に確かに鎧が入っているのを確認した。それにしては曹王の配下が誰もおらず、番頭がいないからと鍵は莫坤が預かっている。裴行倹は恐らく薛助教が自分たちを誘き出すために張主簿を送り込んだと気づき、片っ端から荷物を調べた。すると兜に″東″と刺繍されていることが分かる。「東宮…太子殿下を陥れるつもりか?!」驚いた華天は四門学を飛び出したが、裴行倹はもう間に合わないと分かっていた。盂蘭盆の仕切りは楊(ヨウ)妃が任され、才人・武媚娘(ブビジョウ)が補佐に回ると決まった。すると李治は曹王の罠だと知らず、皇帝に上奏があると切り出してしまう。「偶然、気づいたことがあり、ご報告せねばと思いまして…」しかし武媚娘は曹王のいわくありげな様子が気になり、咄嗟に話を遮った。「太子殿下、やはり自分の口から報告いたします」媚娘は写経が疎かになっている皇太子を諌めようと東宮を訪ねたが、政務で忙しいと分かり、こっそり写経の一部を代筆したと説明した。代筆に気づいた皇太子は正直に皇帝に報告すると言ったが、恐れ多いと断ったという。事情を聞いた皇帝は善行を隠そうとする武才人と、人の手柄を奪わない実直な皇太子を褒め、結局、李治は上奏を断念した。李治は武才人に上奏を邪魔され、東宮に戻っても憮然としていた。そこへ華天が駆けつけ、曹王が自分に罪を着せようとしていたことを知る。武才人の機転のおかげで助かったと感謝する李治、その一方で李明は怒り心頭だった。楊妃は前殿でのやり取りの意味が分からなかったが、ようやく息子から事情を聞いて愕然となる。「逆手に取るはずだったが、あと少しというところで武才人に邪魔をされた!」楊妃はいくら止めても危険を冒す息子に思わず手を挙げたが、李明は懲りなかった。李治が甘露之殿を訪ねると、偶然にも李明と一緒になった。前殿ではちょうど13皇子・福(フク)王が″鹿狩り図″を父皇に献上し、幼い頃に父皇と狩りに出かけたことを懐かしんでいる。すると李明は明日、禁苑(キンエン)で狩りを行うと話し、皇太子を誘った。李治は曹王を警戒して断ったが、皇帝は病弱な皇太子を鍛えるため、兄弟で切磋琢磨するよう勧める。一方、裴行倹は莫坤を城門まで見送っていた。自分が巻き込んだせいで莫坤が皇太子側だと知られ、これから危険な目に遭うかもしれない。裴行倹は責任を感じていたが、その時、皇太子の命で華天が見送りに駆けつけた。莫坤は皇太子の気遣いに感激し、命に替えても忠誠を尽くすと言づてを頼んで出発する。任務を果たした華天は早速、裴行倹に皇太子が曹王から狩りに誘われ、皇帝の御前だっため断れなかったと話した。皇太子は咄嗟にその場にいた13皇子も誘ったが、万一に備えて裴行倹にも同行して欲しいという。裴行倹は皇太子のためならと快諾、こうして翌日、3人の皇子が禁苑に集った。狩り場では案の定、李明が皇太子に罠を仕掛けていた。鹿を追って東の森へ駆けて行く皇太子一行、すると李明は皇太子に花を持たせるため、13兄に西側で猪を狩ろうと誘う。しかし裴行倹が真っ先に罠だと気づき、皇太子一行を止めた。その時、潜んでいた刺客が現れ、皇太子を狙う。裴行倹は皇太子を南へ逃し後方を守ったが、刺客は次々と皇太子に襲いかかって来た。刺客に指示していたのは曹王の護衛・蒲巴弩(ホハド)だった。すると皇太子の居場所を知らせる照明弾が上がる。「あの方向へ先回りし、太子を討つぞ」その合図を裴行倹も見ていた。裴行倹は急いで皇太子を追いかけた。するとちょうど刺客の矢が命中し、落馬する皇太子を目撃する。激情に駆られた裴行倹は敵を討とうと飛び出したが、物陰に隠れていた皇太子が裴行倹を引き止めた。実は殺されたのは皇太子と衣を取り替えて身代わりになった華天だという。裴行倹は負傷した皇太子を馬に乗せて山道を逃げた。しかし追っ手が現れ、崖から転落してしまう。ここから落ちればさすがに助かることはないだろう。遅れてやって来た李明は高笑いし、蒲巴弩に自分を射るよう命じた。皇帝は皇太子の訃報を聞いて呆然、到底、信じられなかった。「禁軍は上衣を脱いだ太子に気づかず、付近にいた曲者だと勘違いしました 私が途中の道で太子が脱いだ衣を見つけ禁軍を引かせましたが、その時、太子の馬が暴走したのです 崖から落ちる太子を救うことができず痛恨の極み、どうか私に罰を…」李明の報告を聞いた皇帝は頭に血が上り、思わず曹王に金杯を投げつけた。「治児…何ということだ」福王は14弟の準備なら万全だったと訴え、皇太子を救うため矢傷まで負ったとかばう。しかしその時、負傷した皇太子が戻って来た。あの時、崖から落ちた裴行倹は馬をあきらめ、皇太子を連れて途中の木に飛び移っていた。しかし李治は転落して死を覚悟した時、目の前に父皇が現れ、助けてくれたと話す。「陛下はおっしゃった、お前は国の重責を担う太子、ここで死んではならぬと… そして私に息を吹きかけると、突風が吹いて岩の上に飛ばされたのです」すると皇帝はやはり李治が選ばれた存在なのだと確信したようだった。そこは転んでもただは起きない李明、皇太子の無事を喜びながら、亡くなった華天の後任に蒲巴弩を譲ると殊勝な申し出をする。李治はすでに目星を付けた者がいると言って断ったが、皇帝は念のため蒲巴弩も迎えてはどうかと勧めた。そこで李治は裴行倹と蒲巴弩に腕比べをさせ、勝者をそばに置くという。「良いだろう、では試合は10日後だ」つづく( ;∀;)でんぐり返しウマー!裴行倹に見捨てられるウマー!…あれ?女主が出てこなかった( ̄◇ ̄;)
2023.06.28
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第16話「皇太子の賭け」阿碧(アヘキ)と刺繍の腕前を競うことになった豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。この勝負に何としてでも勝って尚服局に残り、母の敵を討つ術を見つけなくてはならない。繍女たちの注目が集まる中、2人は日暮れまでに課題を完成させ、いよいよ作品を披露することになった。尚服局2番手の阿碧は短時間ながら見事な薔薇の刺繍を完成させた。卓錦娘(タクキンジョウ)もその腕前を褒めたが、豆子の刺繍が阿碧をしのぐ。豆子の薔薇は本物と見まごうほど美しく刺繍され、その構図も見事だった。「お題は″花の王″、それに妃嬪の枕覆いに使われるという点も考慮しました 中央の花を他より美しく全面に配したのは、ひと目で花の王だと分かるからです また後宮で抜きん出るという夢を花で表現しています」豆子は見事に勝負に勝ち、一番前の席を与えられた。そのせいで阿碧たちは1つずつ席を下がることになり、恨みを買ってしまう。琉璃は鄧七娘(トウシチジョウ)と再会、何かの時は必ず恩返しすると約束した。しかし七娘は師匠に知られたら困ると焦り、繍女たちを敵に回してしまった豆子を遠ざける。そんなある日、卓錦娘は内侍院の銀糸が細すぎるため、誰かに買い出しを頼むことにした。滅多に皇宮を出られない繡女たちは全員が手を挙げたが、卓錦娘は目利きの豆子を指名する。そのせいで再び繡女たちからやっかまれる琉璃、そこで卓大家に席順を戻し、買い出しも他の者にして欲しいと頼んだ。すると卓錦娘は実力があれば妬まれるのは当然だという。「受け入れてもらうには実力を見せつけて、皆を納得させなさい」「…私は人と争わず、自分の役目を果たしたいだけです」その言葉を聞いた卓錦娘はみるみる顔がこわばった。尚服局は実力が物を言う世界、かつて師匠が豆子と同じことを言って官職を辞したが、結局、全てを失ったという。「名誉は地に落ち、命を失い、娘さえ守れなかった、天下第一針ですらこの始末なのよ?!」「安(アン)氏は大罪を犯して自害したと聞いています、その口ぶりでは何か裏があるのでは?」「何が言いたいの?!覚えておきなさい、向上心がなければ安氏のような末路を辿ることになるとね」琉璃は大人しく引き下がったが、卓錦娘への恨みを募らせた。…必ず復讐してやる、たとえ差し違えようと母上の潔白を証明し、名誉を回復させる!… 琉璃が突然、安宅に戻って来た。阿霓(アゲイ)は再会を喜んだが、また抜け出しのかと心配する。しかし琉璃は買い物の役目を命じられたと説明し、時間がないのですぐ着替えをして出かけたいと頼んだ。阿霓は琉璃が裴行倹のために美しく着飾りたいのだと分かったが、琉璃は気持ちを悟られまいと否定する。「宮中に戻れば女として装える機会がないから…」琉璃は裴行倹への訴状を撤回するため四門学を訪ねた。しかし裴行倹も助教・薛旭(セツキョク)も留守だという。仕方なく琉璃は冤罪について書いた文を託し、結局、裴行倹とは会えずに帰った。すると道すがら、しんこ細工の露天を見かけ、裴行倹に似た人形を手に取る。「これ誰かに似ていると思わない?ふふふ」その時、ちょうど四門学へ帰る裴行倹が通りかかったが、2人に気づかなかった。裴行倹は玉児からの文を受け取り、慌てて安宅に向かった。しかし阿霓からすでに宮中に戻ってしまったと聞く。急いで城門へ駆けつけた裴行倹、すると偶然にもたくさんの土産物を抱えて歩いて来た玉児とぶつかった。「間に合った…」裴行倹は玉児が落とした荷物の中にしんこ細工の人形を見つけた。慌てた琉璃は後ろ手に人形を隠してもじもじしていたが、その時、疾走する馬車が迫って来る。琉璃は咄嗟に避けたものの、勢い余って後ろに倒れそうになった。ちょうど背後にいた男が助けようとしたが、それを見た裴行倹は慌てて駆けつけ、男を蹴り飛ばして玉児を抱き止める。「なぜ蹴ったの?」「君は女だぞ?簡単に男に触らせるな」「あなたも男でしょう?」すると裴行倹は急いで手を離した。「君を殺そうとした者がいたと聞いたが…」「私の荷物を盗んだ犯人だったわ、口封じに私を殺そうとしたみたい でも自尽した、私の件は太子殿下が処理してくれたの」驚いた裴行倹は皇太子に頼んで玉児を恐ろしい宮中から出してもらうと言ったが、琉璃は断った。「私には宮中でやるべきことがあるの」「命より大事なことなのか?!」「…今は言えない」裴行倹は仕方なく自分が持っていた護身用の短剣を譲り、念のため警告しておいた。「もし宮中で争いが起きたら曹(ソウ)王たちには絶対、近づくな、楊(ヨウ)妃にもな」皇太子・李治(リチ)は裴行倹と呼応して曹王の陰謀を暴こうとしていた。莫坤(バクコン)の報告では新しい巻紙を積んだ荷車が明日の昼に長安へ到着するという。恐らく曹王は今晩、貨物に甲冑を紛れ込ませ、明日、四門学に収めた後、曹王府へ運ぶはずだ。そこで皇太子は四門学で甲冑の存在を暴くと決める。一方、荷物を誤送している莫坤は腹痛を装って後退し、曹王の配下を牽制していた。陳(チン)参軍は野営で莫参軍と同じ天幕で休むことにした。そして深夜、莫坤が寝入ったのを確認して天幕を抜け出し、予定通り巻紙の荷車をすり替える。陳参軍は天幕に戻ると、莫参軍はまだよく眠っていた。しかし念のためまいておいた小さな豆が割れていることに気づく。陳参軍は莫坤に知られたと分かり、慌てて曹王府に報告した。皇太子の護衛・華天(カテン)が裴宅を訪ねた。今日は皇帝が盂蘭盆(ウラボンエ)の相談で皇子や妃嬪を召集する。皇太子はその場で曹王の陰謀を上奏し、皇帝の許可を得てから荷物を開けて証拠の甲冑を出すという計画だという。四門学に荷車が到着して皇太子が謁見するまで二(フタ)時、裴行倹と華天はその間、荷物を見張ることにしたが、曹王はすでに手を打っていた。四門学に荷物が届いた。陳参軍は薛旭と倉庫に入り、皇太子に甲冑の運搬が気づかれたため、曹王が裏をかいて皇太子を陥れると教える。「莫坤は前から知っていたようだ…内通者を知らないか?」すると薛旭は以前、裴行倹が倉庫にいたことを思い出し、内通者だと気づいた。甘露之殿に皇子や妃嬪、大臣たちが集まった。才人・武媚娘(ブメイニャン)は曹王の様子を訝しみながら、皇太子の側仕え・王伏勝(オウフクショウ)の話を思い出す。実は李治はあらかじめ王伏勝を咸池(カンチ)殿に使いに出し、武才人にだけ計画を伝えておいた。つづく( ๑≧ꇴ≦)何も親切な人を蹴らなくてもw
2023.06.27
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第24話結黎(ジエリー)は小蘭花(シャオランファ)と蕭潤(ショウジュン)、東方青蒼(ドンファンチンツァン)と謝惋卿(シャワンケイ)が同時に婚礼を挙げ、新婚初夜に相手をすり替えればいいと提案した。しかし東方青蒼は例え偽でも愛した女子しか娶れないと激怒して出て行ってしまう。慌てて追いかけた小蘭花はこれも2人の歴劫を成功させるためだと説得したが、その時、思いがけず謝惋卿が訪ねて来た。「ちょうどいい、ここで諦めるよう告げる!」「大魔頭、止まれっ!」小蘭花が命令を発すると、東方青蒼は同心呪が反応して動けなくなった。「私と一緒に謝娘子(ニャンズー)と会うの!ひと言も発してはだめよ!」すると東方青蒼は急に口が開かなくなってしまう。↓待て、コラっ!謝惋卿は東方青蒼に縁談を申し込みにやって来た。断りたくても何もできない東方青蒼、すると小蘭花が兄も謝惋卿に求婚する相談をしていたと嘘をつき、勝手に話を進めてしまう。喜んだ謝惋卿は結納の品として心を込めて織った絹を贈り、しきたりとして自分の生年月日を書いた紙を差し出した。小蘭花は東方青蒼の代わりに預かろうとしたが、謝惋卿は新郎新婦が交わすものだと拒む。「急に来たので用意していないのも仕方がないわ…明晩、湖に船を浮かべて月見をします そこへお持ちください、一緒に飲みましょう」謝惋卿が部屋を出ると、小蘭花は結納品だけ東方青蒼に乱暴に渡した。「本当に黙ってるなんて…諦めさせるとか言ってたくせに! あなたも本当は娶りたいんでしょ?!」怒った小蘭花は部屋を飛び出し、謝惋卿を馬車で送って行くことにした。謝惋卿は想い人と小蘭花が実は兄妹だったという不思議な縁に驚いていた。しかし小蘭花はいざ縁談がまとまってみると急に不安になり、謝惋卿に友人の話として相談を持ちかける。「好きな人がいるけれど、身分が違うので一緒にいられないらしいの、どうすればいい? 例えば家同士が代々、憎しみ合う仲なのに、その家の人を好きになったらどうする?」「自分のせいではないのに諦めるのは愚かよ」「でも…相手は普通の人じゃないの、決して投げ出せない重い使命を背負っているわ」謝惋卿はこの話が小蘭花の悩みだと気づいた。「答えは同じよ、本当の愛に巡り会える人はごくわずか、もし巡り会えたのなら諦めてはだめ」その夜、東方青蒼はようやく術が解けた。「″も″とはどう言う意味だ?!小蘭花は″あなたも本当は娶りたいのね″と言った やはりあの者は長珩(チャンハン)に嫁ぎたいのだな?!」觴闕(ショウケツ)は直接、本人に確認するよう進言したが、東方青蒼は聞いたところでどうにもならないという。…私はそれほど長珩に劣っているのか?…東方青蒼は結黎を使って小蘭花の気持ちを確かめることにした。しかし結黎から月尊を好きかと聞かれた小蘭花は、つい意地を張って東方青蒼を好きではないとごまかしてしまう。東方青蒼は落胆したが、結黎は女子とは好きな相手について本心を隠すものだと安心させた。「口にする言葉と心の中は反対なのです 怒っていても″怒っていない″と言ったり、そばにいて欲しいのに″独りにして″と言ったり… だから″好きじゃない″は好きだってことなのかも…」「そんなことが?!…ではどのように判断する?」結黎は女心を推し量るのは難しいと言ったが、ふと小蘭花と月尊の心がつながっていると思い出した。そこで互いに神器を外せば相手の気持ちが分かるようになるという。その夜、東方青蒼は小蘭花の寝所に忍び込み、こっそり″蔵心(ゾウシン)の簪″をすり替えることにした。月尊を待つ間、觴闕は結黎の気持ちを確かめることにしたが、結黎は觴闕を好きではないと断言する。結黎が信じているのは銭だけ、情など信じる価値はないという。「私は死ぬまで誰も好きにならない、分かった?」「分からない…」すると結黎は觴闕には理解できないのだと言って部屋に戻ってしまう。翌朝、蕭潤は小蘭花を誘って市場に出かけた。しかし菓子を食べようと言っても、どの花が好きか聞いても、舟に乗ろうと誘っても、小蘭花は浮かない顔をしている。小蘭花は何を見ても東方青蒼と過ごした時のことを思い出し、居たたまれなくなった。その様子を東方青蒼と觴闕が見守っている。「尊上、蘭花仙子の心はどうですか?」「分からぬ…」実は東方青蒼は昨夜、結局、かんざしをすり替えずに戻っていた。「同心呪がなくとも心の中を分かってみせる…」蕭潤は黙り込んだまま歩いている小蘭花に困惑していた。すると小蘭花はかつての自分なら、こうして長珩と一緒に出かけることができて夢が叶ったと喜んでいたと話す。「かつての?」「あなたを昔から知っていた、あなたが私を知るずっと前からよ…」蕭潤には意味が分からなかったが、大事なのはこれからだと話した。「私はこの玉を握って生まれて来た 将来の富を約束する物だそうだが、ずっと預かっているだけのように感じていた これは私が愛する人の物だろうと… 君に会って分かったんだ、持ち主は君だ、受け取ってくれ」小蘭花は懐かしそうに奇幻流蛍石(キカンリュウケイセキ)を眺めながら思わず微笑んだ。その顔を見た東方青蒼はやはり小蘭花が長珩を好きなのだと誤解し、帰ってしまう。小蘭花が霊玉を見て真っ先に思い浮かんだのは怒った東方青蒼の顔だった。第8話で嬉しそうに霊玉のことを話した際、急にへそを曲げて席を立った東方青蒼。小蘭花は思わず笑みを浮かべ、自分の本当の気持ちを確信する。そこで蕭潤に別れを告げ、東方青蒼を追いかけた。「待って!話があるの!」しかし東方青蒼はこれから謝惋卿と月見に行くという。「行かないはずでしょう?」「気が変わった」「だめ!だって…理由はないけど」小蘭花は素直な気持ちを明かせず、結局、東方青蒼は謝惋卿との縁談に同意してしまう。その夜、蕭潤の元に間違って新婦の婚礼衣装が届いた。曲水(キョクスイ)は直ちに夜渓(ヤケイ)楼に向かったが、やはり衣を交換に行こうとしていた結黎と觴闕の会話を聞いてしまう。「…間もなく花朝よ、謝惋卿が死ねば月尊は蕭潤をどうする?殺すに決まってるわ」曲水は恐ろしい陰謀を知り、慌てて引き返した。しかし疾走して来た馬車と衝突、死んでしまう。丹音(タンイン)は歴劫を終えて水雲天に戻った。長珩を脱獄させた罪を問われる丹音、すると澧沅仙尊(レイゲンセンソン)が娘の代わりに自分が罰を受けると嘆願する。しかし雲中君は丹音に罪を償う機会を与えた。「直ちに雲夢澤(ウンムタク)に戻り、先の戦神を殺し、その元神を滅ぼせ」雲中君は東方青蒼が赤地女子(セキチジョシ)の元神で封印を解くつもりだと分かっていた。「いけません!長珩仙君は先の戦神と関わりがあり、もし戦神を殺せば歴劫に失敗し灰と化します!」「長珩は勝手に歴劫に行った、生きて戻ったところで水雲天では罪囚だ」雲中君は長珩も戦神である以上、先に戦神のようにその責を担うべきだという。驚いた丹音は長珩の命乞いをしようとしたが、咄嗟に澧沅仙尊が術で娘の声を止めた。「丹音は必ずや使命を果たします」↓( ๑≧ꇴ≦)ぐえ〜その2つづく(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾<お前が担えぇぇぇぇぇ~!雲中君@視聴者
2023.06.26
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第23話城内に貼られた小蘭花(シャオランファ)の絵姿を回収した結黎(ジエリー)と觴闕(ショウケツ)。すっかり疲れて夜渓(ヤケイ)楼に戻ると、東方青蒼(ドンファンチンツァン)と小蘭花がふてくされて待っていた。聞けば2人は蕭潤(ショウジュン)と謝惋卿(シャワンケイ)を引き合わすことに失敗し、結局、蕭潤が小蘭花を見初めてしまったという。東方青蒼はこれも結黎の愚策のせいだと八つ当たりしたが、小蘭花はそもそも東方青蒼が謝惋卿をとりこにしたせいだと言い返した。互いに嫉妬してますます気まずくなる小蘭花と東方青蒼、しかし今は長珩(チャンハン)と赤地女子(セキチジョシ)の歴劫を成功させることが先決だ。そこで小蘭花は直接、蕭潤と会って断ると決めた。東方青蒼は自ら小蘭花に奇妙な化粧を施し、悪趣味な衣を着せて送り出すことにした。「私が言ったことを覚えているな?」「うん、とことん下品で粗暴に振る舞い、良い印象を微塵も残さず消し去ればいいのよね」すると東方青蒼はさらに印象を悪くするため、半日ほど待たせるよう命じた。しかし蕭潤は怒るどころか、遅れて来た仙女を歓迎してくれる。小蘭花はこの顔を見れば腰を抜かすと思ったが、蕭潤は仙女に試されているのだと前向きに解釈していた。「何て素晴らしい化粧だろう!これは俗世に染まらない上品で優雅な人にしか似合わない!」人間になっても優しい性格は変わらない長珩、その様子を東方青蒼たちが遠目から見ていた。小蘭花は蕭潤に何とか嫌われるため、その場で足を広げて座った。「もう疲れて歩けないわ~足を揉もうっと!」いきなり靴を脱ぎ捨て足を出した小蘭花、これで確実に自分を嫌いになっただろう。しかし蕭潤は型破りな小蘭花を気に入り、一緒に座り込んで靴を放り投げた。「やはり君は他の人とは違う!実は私たちは前世から縁があると…」そこにしびれを切らせた東方青蒼がやって来た。「東方兄?」東方青蒼は小蘭花に靴を履かせながら、実は自分たちが夫婦だと嘘をついた。「身重の体なんだぞ?ダメじゃないか…」( ゚д゚)はあ?何言ってくれてんの?衝撃の事実に蕭潤は呆然、あきらめざるを得なくなる。「義兄弟ゆえ、君が妻を探し出せずに諦めるのを待っていた しかし私に怒った妻が君の招待に応じてしまい、誤解させてしまったようだ そうだ、妻の絵姿を渡してくれないか?」すると蕭潤は肌身離さず持っていた仙女の姿絵を東方青蒼に渡した。小蘭花は嘘をついて長珩を傷つけた東方青蒼に憤慨したが、自分を妻だと言って手を引いてくれる東方青蒼に悪い気はしない。その夜、2人はようやくわだかまりが解け、灯籠祭りに出かけた。小蘭花は初めて見る灯籠祭りを喜び、人間のように願掛けすることにした。「願い事は決まった?」すると東方青蒼は願いを叶えるのは天ではなく、己の手で成すものだという。「私の願いは水雲天の平定だ、偽善者の仙族どもを殺し、父上の魂を慰める 三界を統一して蒼鹽海(ソウエンカイ)の民から苦しみをなくす…」小蘭花は深く落胆し、戦のない世界の実現を訴えた。しかし東方青蒼は未だ封印されている兵がいると憤り、皆が誰かの息子であり夫や父であるという。結局、月族と仙族、どんなに話し合っても平行線だと気づいた小蘭花は話を切り上げた。「ごめんなさい、もうこんな話やめましょう」こうして小蘭花と東方青蒼は一緒に灯籠を飛ばした。…小蘭花、永遠に私のそばにいて欲しい…大魔頭、ずっとそばにはいられないけれど、あなたの幸せを願ってるわ小蘭花は花の世話のため飛仙(ヒセン)閣を訪ねた。すると謝惋卿が飛仙閣の10年間で手に入れた財産を手放し、自らを身請けしたと知る。謝惋卿は酒楼で偶然、東方青蒼と出くわしたのを機に、自由の身になって夢の中の人を探す決意をしたという。一方、蕭潤は屋敷に東方青蒼を訪ねていた。実は失恋の傷を癒すため、これから辺境へ発つという。「3年から5年は戻れない…東方兄、お元気で」「待った!」東方青蒼は蕭潤を引き止めるため、急いで小蘭花たちを呼んだ。蕭潤と曲水(キョクスイ)を城外まで見送りながら口実を懸命に探す東方青蒼たち、しかしどんなに説得しても蕭潤の決意は固い。追い詰められた小蘭花は結黎に知恵を出せと迫ったが、その時、結黎が蕭潤を止めた。「蕭郎!おめでとうございます、あなたは合格よ!」結黎は実は東方員外(インガイ)と小蘭花が兄妹で、妹を心配した兄が蕭潤の気持ちが本物か試したのだという。「あなたは蘭花娘子(ニャンズー)への想いを捨てず、東方員外との義兄弟の絆も守った 非の打ちどころのない心の持ち主です!…これで蘭花娘子との婚姻が認められました!」東方青蒼は思わぬ展開に怒り心頭だったが、お陰で蕭潤は辺境には行かないという。「今日の化粧は清新で上品だ、やっぱり私を試したんだな?」喜んだ蕭潤は早速、父に報告し、婚礼の準備を始めると言って引き返した。東方青蒼は何とも言えない気持ちになった。…これが愛というものなのか…一方、忘川(ボウセン)にいた容昊(ヨウコウ)は巡回していた天兵と出会し、陣営に案内された。しかし容昊と蝶衣(チョウイ)は将軍と3000の兵を一人残らず殺してしまう。蕭潤の引き留めに成功した東方青蒼たちだったが、事態はますます悪化した。途方にくれる小蘭花、しかし結黎は全て命格(メイカク)詩通りに進んでいるとあっけらかんとしている。「小蘭花は蕭潤に嫁ぎ、月尊は謝惋卿を娶る で花朝で2組の婚礼を一緒に用意、新婚初夜に相手をすり替えるだけよ!」確かに結末が命格詩と同じであれば歴劫は成功、それまでの経過は関係ない。小蘭花は賛成したが、東方青蒼は激怒した。「偽でも本当でも私は愛した女子しか娶らぬ!他の者に求婚はおろか一瞥さえせぬ!」つづく( ๑≧ꇴ≦)小蘭花のメイクwwwだからあれほどやり過ぎはダメだと…ryにしても長珩がポジティブ過ぎるw
2023.06.25
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第4話「毒叔母の末路」母屋に固執したせいで自分だけ新しい邸宅に移れなくなった葛(ゴー)氏。これも少商(シャオシャン)の企みだったと気づき、離れにいる四娘子の居所に怒鳴り込んだ。「私は子を産むまで母屋を離れないと誓った でも夫が新邸に引っ越したら、私一人で誰の子を産めって言うの?!」「女が子を産むのに男が何の役に立つと?」「え?…小娘にはまだ早い!」葛氏は運良く義兄の功績にあやかっているだけの母娘だと蔑んだ。しかし少商は運が良ければ赤子の頃に取り残され、両親の庇護なく育つはずないという。その時、少商は回廊で母が立ち聞きしていると気づき、二叔母をあおった。「母上が幸運だと感じるのは父上が丈夫で二叔父は足が不自由だから? でも二叔父は何でもあなたに服従しているのに、何が不満なのです?」「服従?能無しのヘタレだからよ!なぜあんなお荷物でも程(チォン)家では重宝されるのかしら」葛氏は四娘子に散々、夫の悪口を言って帰って行った。蕭元漪(シャオユエンイー)は娘がわざと二叔母を怒らせたと見抜きながら、武婢(ブヒ)を連れて母屋へ向かう。その頃、母屋に戻った葛氏は憂さ晴らしに夫の大事な書簡を片っ端から放り投げていた。嵐が過ぎ去るのを黙って待つしかない程承(チォンチョン)、しかしそれがかえって妻を苛立たせてしまう。「妻がこんな屈辱を受けているのに黙っているの?! こんな腰抜けに嫁ぐなんて!なぜ私はこうも不運なのよ?!」葛氏は泣きわめきながら夫を叩いていたが、程承がついに口を開いた。「もうたくさんだ!…怒りが収まらぬなら葛家に帰ればいい」激高した葛氏は夫に書簡を投げつけ始めたが、その時、突然、義姉が現れた。「おやめ!」蕭元漪は青蓯(チンツォン)に二弟を家主の元へ連れて行くよう命じた。焦った葛氏は追いかけようとしたが、蕭元漪に引っ叩かれてしまう。「浅知恵でどうしようもない愚婦ね、二弟は寛大ゆえ容認していただけ 私たちは3日後に出て行くけれど、お前はおとなしくここに残り、葛家の迎えを待つのね」蕭元漪は葛家に義妹を離縁する旨を伝えたと言い放った。驚いた葛氏は娘の復讐かと憤ったが、蕭元漪は簡単に人を恨んだり、恨む相手を間違えたりしないという。「悪巧みばかりするお前を私が好きにさせると思う?お前のやったことは全て把握しているわ」蕭元漪は娘に対する義妹の所業の数々を知っていた。開き直った葛氏は娘を連れて帰るまでだと言ったが、蕭元漪は程家の三娘子である程姎(チォンヤン)は置いて行けという。「お前が道士の名を騙って私に娘を捨てさせた時、私がどんな思いだったか… お前にも味わわせてやる」…蕭元漪が男女の双子を出産したのは程始(チォンシー)の出征が迫っていた時だった葛氏は義兄と義姉を引き離そうと企み、老夫人に道士のお告げで赤子を手元に置けば厄難を逃れられると吹き込むそうすれば義姉も子供の世話のため残るしかないだろう程始は死ぬ時も家族一緒だと拒否したが、その時、皇帝からすぐ孤城へ救援に向かうよう勅命が届いたすると老夫人はせめて子供だけでも残すよう懇願、蕭元漪は断腸の思いで娘を置いて行くと決断する…「…私の許可なく一歩も出してはならぬ!」蕭元漪は葛氏を母屋に監禁し、武婢に見張らせた。分をわきまえれば余生にこの屋敷を与えるつもりだったが、どうやら無用の長物だったらしい。その夜、凌不疑(リンブーイー)は配下の報告を受け、ある鍛冶場に駆けつけた。何でも董(ドン)倉管が捕まってから急に門を閉ざし、店がつぶれたと言いながら食事が運び込まれているという。不疑は早速、捜査を命じたが、やがて物置小屋にある祝融(シュクユウ)の像に目をつけた。そこで像を動かしてみると、壁が開いて密室に隠れた許尽忠(シュージンジョン)を発見する。しかし許尽忠は歯に仕込んでおいた毒を噛み、自害した。すると不疑は息絶えた許尽忠の首にある黒いあざを見て呆然となる。このあざは確かに幼い頃に見たあの男の首のあざと同じ、それは決して忘れることのできない記憶だった。「ここで働いていた全ての雇人と屋敷にいる全ての下僕を捕えよ!一人一人尋問する!」不疑は思わず興奮して声を荒らげたが、ふと冷静になった。「待て…派手に動くな、許尽忠の死は伏せておけ、奴と往来があった者は皆、調べ上げよ」葛太公(タイコウ)が三娘子の傅母を連れて程家にやって来た。太公は娘が迷惑をかけたと謝罪し、離縁状をもらって連れ帰るという。その夜、程家は葛家を厚くもてなしたが、少商は早々に席を立って離れに戻った。「昔は不条理な母親を持つ従姉を哀れんだけど分かったの 舅母に大切にされている従姉は幸運だわ」「息子を望む仲(チュウ)夫人に疎まれて舅母に預けられたのに幸運でしょうか?」侍女の蓮房(リエンファン)は同情したが、少商は外祖父の家だったからこそ程姎は大切に育てられたと羨ましがった。「不運なのは私のほうよ…」するとそこへ母がやって来る。蕭元漪は勝手に出て行った娘を叱り、ともかくすぐ挨拶に連れて行くことにした。程姎は葛傅母に一緒に連れ帰って欲しいと懇願していた。すると蕭元漪が娘と一緒に挨拶にやって来る。実は蕭元漪はかつて隣人だった舅母を姉と慕い、義妹で苦労して来たことを知っていた。舅母は程姎に母親を戒めにすればいいとなぐさめ、どちらにしても一生、両親を頼って生きていけないという。「大樹のように己の足で立ち、強く生きるのよ」傅母の教えを受けただけあった程姎は所作も美しく、礼儀正しく温厚だ。蕭元漪は程姎を娘のように面倒見ると約束したが、隣にいた少商は何とも複雑な気分になった。蕭元漪は離れに戻った少商を呼び止めた。「なぜ葛舅母に酪漿(ラクショウ)を勧めたの?程姎を差し置いてしゃしゃり出るなんて…」少商は愛情あふれる葛舅母に理想の母の姿を重ね、自然と親しみを感じて酪漿を勧めただけだった。しかし母は自分を悪意ある憶測で判断し、何事も計算ずくだと考えるのだろう。蕭元漪は従姉のように普段から従順で勤勉なら周りも自然と良い方向に考えると諭したが、少商は反発した。「舅母に育てられた従姉が羨ましい、野放しだった私には望めません これからは私を見張らず、完璧な従姉だけを見てはいかがですか? そうすればどんな怒りも収まるでしょう」「心配無用よ、これまでどんな兵も御して来た、強情な娘くらい何よ?これからじっくり調教するわ」部屋に戻った少商は月を眺めながら、母との会話を思い出していた。…程少商、最初から偏見を持つ人に取り入るよりも、いっそ薄情になったほうがいい…どうせ頼る親族も悩みを打ち明ける友もいない…愛されもせず、疎まれるばかりよ…葛氏が消えてもまた別の者が現れる…他人に期待せず、自分を大切にした方が自在に生きられるわ程始たちは葛太公一行を見送るため城門の外までやって来た。葛太公は迷惑をかけたお詫びに程承を白鹿(ハクロク)山の書院で学べるよう手配してくれたという。「学問を成就させたら学堂を開くといい」こうして程承も兄夫婦に娘の世話を頼み、後ろ髪を引かれる思いで旅立った。涙に暮れる程姎、蕭元漪は姪の肩を抱き、慰めながら馬車へ戻ることにする。少商は距離を取って2人の様子を見ていたが、従姉にだけ見せる優しい母の顔に深く失望していた。つづく( ๑≧ꇴ≦)何だこの毒娘と毒母の戦いは?!ウーレイ早く!w
2023.06.24
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第3話「母屋の主」兵器横流しの罪で捕らわれた董(ドン)倉管(ソウカン)は拷問に恐れをなして全て白状した。抱き込んだのは許尽忠(シュージンジョン)で、馮翊(ヒョウヨク)郡で歴代続く鍛冶師だったが、突然、仕官して兵器を扱う商方令(ショウホウレイ)になったという。董倉管は定期的に銭を受け取り黙認、兵器をどこへ売ったかまでは知らなかった。「横流しされた兵器は大量だ、買い手の野心は小さくないな…」報告を聞いた凌不疑(リンブーイー)は姿を消した許尽忠の追跡を命じ、董倉管は辺境に流刑とした。「廷尉府に伝えよ、流刑前に程(チォン)家に戻せと」不疑は証拠をつかめたのも程家四娘子(スーニャンズー)のおかげだと話し、お返しだと言った。青蓯(チンツォン)は女君と女公子の間を取り持とうと、少商(シャオシャン)に豪華な装飾品を届けた。「まだありますよ、女君が良い品は全て女公子に残しておいたのです」今まで粗末な生活を強要されてきた少商は目を輝かせたが、そこへ父と母がやって来る。すると娘の性根を叩き直そうと奮起した蕭元漪(シャオユエンイー)は早速、書簡を差し入れた。しかし思いがけず娘がろくに字も読めないと知る。蕭元漪は呆れ果てたが、程始(チォンシー)は自分も三十から学問に勤しんだ手前、気長に構えればいいと娘をかばった。董舅父が別れを告げるため程家に立ち寄った。程老夫人董(ドン)氏は弟を抱きしめ涙したが、出世する息子のために今後は弟家族と縁を切るという。すると董舅父はその場にへたり込み、姉に見捨てられたと号泣した。「地べたに座り込む芸風は董家の血筋なのかしら?」少商は2人を茶化したが、従姉妹の三娘子(サンニャンズー)・程姎(チォンヤン)から陰口は駄目だとたしなめられてしまう。その時、董舅父が四娘子の姿に気づき、親族である自分を売ったと逆恨みした。「姉上の仕打ちも納得だ!″蕭氏が残していった娘はいずれ母親と同じようにいけ好かなくなる″ ″早く追い出した方が食いぶちが省ける″と言っていた!」慌てた二房の葛(ゴー)氏は自分まで巻き込まれないよう、役人に早く連れて行けと言ったが手遅れだった。「そうだ、お前も言っていたな ″たかが十数年だし、ろくでなしに育てればいい、蕭氏も救えない″と… 程始が送ってきた銀は全部、こいつが懐に入れたんだあぁあぁ!」凌不疑は程家の騒ぎを高楼から眺めていた。配下の報告では許尽忠の行方はまだ分からず、妻子もおらず、屋敷ももぬけの殻だという。すると不疑は難に遭えば己が熟知した場所を選ぶと示唆した。「董倉管も昔、姉と暮らした家に身を隠そうとした…鍛冶場だ」董舅父が程少商への仕打ちをぶちまけたせいで、程家の雰囲気は気まずくなった。そこで程始が話題を変え、年末には三弟や息子たちが帰って来ると報告する。老夫人は喜んで葛氏に早く母屋を掃除して大房に明け渡すよう迫ったが、葛氏は何かと理由をつけて居座ろうとした。しかし老夫人に押し切られ、その怒りは不甲斐ない夫に向かってしまう。程家の次男・程承(チォンチョン)は病弱で足が悪く、出征した兄や仕官した弟の代わりに家を守ってきた。しかし葛氏は夫が母屋も守れないと激怒、程承が大切にしている書簡を火鉢に投げ入れてしまう。そこへ娘の程姎が現れ、咄嗟に書簡を取り出した。「あなたの身体が丈夫なら姎姎は女に生まれたかしら?」葛氏は息子を授かれない不運から清廉な父娘を蔑ろにし、むしろ腹黒い四娘子の方がましだと悪態をつく。一方、少商は母から厳しく教育されていた。暗記するまで食事も睡眠も禁じられる少商、父も母には頭が上がらず助けてくれない。「魂胆は分かっているわよ?董大叔父を引き渡し、大母を驚かせ、二叔母の悪事まで暴いた 年端も行かないのに、事もあろうか朝廷のお裁きをおもちゃにするなんて… しかと指導しないといつか一族に大きな災いを招くわ…おとなしく勉強しなさい」すると母は出て行ってしまう。少商は仕返しの何がいけないのか分からなかった。母のように面子を気にして母屋を占領されても黙っていろというのか。その時、少商は気がついた。「そうよ、母の性分なら黙って二叔母の好きにさせておくはずない」その夜、少商は母屋に二叔母を訪ねた。そこで少商は母屋に居座りたいなら母とまともにやり合っては勝てないという。「将来、孫息子を宿せるかもしれないと大母を説得したら?」「私に味方して母親と戦わせようって魂胆ね?」葛氏は四娘子がまた悪巧みしていると疑ったが、少商は母の悔しがる顔を見れば痛快だと言った。確かに見たところ義姉と四娘子の間に母娘の情などない。すると少商は2人だけの秘密だと言って離れに戻った。「あの悪童…ふふ、苦労して教えたかいがあったわ」翌日、葛氏は蕭元漪が母への挨拶に来たところで、実は母屋に居座るには理由があると切り出した。道士の話では母屋なら子宝を授かりやすいという。老夫人は思わずそれにしては何年も効果がないと言ったが、葛氏は当然ながら義姉には及ばないと卑下した。「私たちを不びんだと思って迷信でも信じてくださいませんか?」すると信心深い老夫人は道士の助言ならばと認めることにした。蕭元漪はならば息子を授かるまで義妹は他に移らないのかと念を押す。「もちろんです、君姑、ここで誓います、程家の息子を産まぬ限り母屋に住み続けます!」挨拶を終えた蕭元漪は別れ際、葛氏にくれぐれも後悔しないよう釘を刺しておいた。すると葛氏が勝ち誇ったように秘密をばらしてしまう。「嫋嫋(ニャオニャオ)を追い詰めるから、あの子が私に母屋を奪うよう持ちかけたんですよ?」その頃、母から筆写を命じられた少商は、3本の筆を縛りつけ、一度に3文字書こうと企んでいた。しかしそこへ母がやって来る。「昨夜は二叔母に母屋に居座る方法を教えたの?」「新邸に移るのだからくれてやればいいでしょう?」「なぜ知っているの?」少商は母が母屋を占拠されても静観していることを怪しんだ。居座らせたのは母屋が無用だと分かっているから、恐らく凱旋した父に褒美が届くと気づいたという。「あの人たちには虐げられ放題だった…仕返しの何が悪いのです?」「確かに私たち両親の責任だわ、だからこれまでのことは水に流す でもこれが最後よ、次からは許しません、心しておきなさい」すると蕭元漪は娘が細工した筆を取り上げて帰った。「…心しておけ?吐き捨てるように言うのね」少商が予想した通り、程家に皇帝の使いがやって来た。父は関内(カンナイ)侯に封じられ、曲陵(キョクリョウ)を領地として500戸を賜る。老夫人は息子の出世で上機嫌、程承も久しぶりに顔を見せにやって来た。「二郎と来たら、大郎や三郎ほど甲斐性があれば…」しかし程始は三兄弟の中で一番、家を案じて尽くして来たのが二弟だとかばった。「二弟は書が好きだ、褒美で書も下賜されたし、好きなだけ選べ 金銀や装飾品は全て阿母に…」その時、葛氏が義兄と一緒に凱旋した万(ワン)将軍には大豪邸が下賜されたらしいと羨ましがった。すると程始は実は万家が今の邸宅を自分たちに譲ってくれることになったと報告する。葛氏は憧れの万将軍府に引っ越せると聞いて大喜びしたが、程始は弟嫁が来る必要はないと言った。「息子を産むまでは母屋に住むのだろう?二弟も新邸に移るから邪魔はしない」つづく( ゚ェ゚)ここで普通は「二叔母ザマァ!」ってなるはずなのに、ママが嫌すぎて同情してしまうw結局、ママは娘が自分に似ているからイライラするんだろうね
2023.06.23
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第15話「尚服局へ」魏林(ギリン)は卓錦娘(タクキンジョウ)から豆子(トウシ)の暗殺を命じられ、毒を受け取った。そこで豆子の好物である桂花糕(ケイカコウ)に毒を混ぜ、差し入れることにする。しかし臆病なため足がすくんで牢獄の奥へ進めず、結局、獄卒に豆子へ届けるよう頼んで帰った。すると獄卒の胖子(ハンシ)が美味そうな菓子を見て勝手に食べてしまう。その時、突然、皇太子・李治(リチ)が地下牢に現れた。魏林は卓錦娘に任務を終えたことを報告したが、豆子の死を確認していなかった。「中に入るなと言われて…でも獄卒に銭を握らせたし、豆子に届けてくれたはずです」卓錦娘は動揺し、鄧七娘(トウシチジョウ)を呼んで掖庭の様子を探って来るよう命じる。「…探ると言っても何をですか?」「お黙り!」琉璃(ルリ)は独房にあっても身なりを清潔に保ち、机の上も丁寧に掃除していた。そこに突然、皇太子が現れる。皇太子は早速、戸を開けるよう命じ、裴行倹(ハイコウケン)に頼まれて急ぎ助けに来たと教えた。「それが優雅に身だしなみを整えているとは…怖くはないのか?」「汚いなりで横たわり嘆き続けていたらもっと悲惨です、ならば楽しむ努力をすべきです」李治は豆子の逆境にも動揺しない前向きな姿勢に感心し、その美しい容姿と男気は不禄院にはもったいないという。その時、獄卒の叫び声が聞こえ、一同は慌てて様子を見に行った。豆子への差し入れを盗み食いした獄卒が毒死した。届けたのは20歳そこそこの見慣れぬ内官、どうやら豆子の毒殺を図ろうとしたのだろう。李治は豆子を守るため東宮に移動するよう勧めたが、琉璃は義父と順子(ジュンシ)を巻き添えにしてしまった反省から、自分だけ逃げることはできないという。すると李治はその義理堅さに感銘を受け、必ず下手人を見つけると約束した。七娘は尚服局へ戻り、卓大家に掖庭の騒ぎを報告した。皇太子の命で豆子は釈放され、暗殺を企んだ者を必ず探し出すよう命じていたという。「でも師父、尚服局とは関係ありませんよね?」「もちろんよ!」すると卓錦娘は七娘に使いを頼んで追い出し、魏林を連れて内侍院の副総管・潘秦海(ハンシンカイ)を頼ることにした。「無事に切り抜ける手立ては必ずある…」不禄院に豆子が戻った。義父や順子、仲間たちと再会を果たし喜ぶ琉璃、実は皇太子が自分の密命で皇宮を出たことにして救出してくれたという。「外で太子の友人と知り合って…その人が太子に頼んでくれたらしい」孫徳成(ソントクセイ)は安堵し、今度こそ逃してやると言ったが、琉璃は皇宮に残ると言い出した。「阿娘の敵は卓錦娘なのでしょう?…阿娘の敵を討ち、無実の罪を晴らす!」そこで尚服局に移動し、卓錦娘に近づいて母を陥れた証拠を探し出すという。孫徳成は一介の医官に何ができると反対したが、琉璃の決意は変わらなかった。不禄院の弟子たちは豆子のためにささやかな宴を開くことにした。そこで買い出しの銭を取りに戻ったところ、自分たちの蓄えが全て消えている。孫徳成は手癖の悪さで不禄院に落とされた魏林を真っ先に疑ったが、案の定、魏林の私物の箱の中から盗品が出てきた。すると順子がせん別として豆子の荷物に入れたはずの自分の玉があると気づく。琉璃はてっきり荷物を拾った裴行倹が中身をすり替えたと思っていたが、実は棺の荷物は皇宮内ですでに盗まれていたのだ。その時、桂子(ケイシ)が銭を隠していた時、魏林から話しかけられたことを思い出した。「あの時、弟子たちの好物は何か聞かれて…なぜか豆子の好物まで聞かれたんだ 桂花糕だと教えたよ」琉璃は掖庭に毒入りの桂花糕を届けたのが魏林だと分かった。話を聞いた孫徳成は激怒、すぐ魏林を呼んでこいと命じたが、思いがけず魏林が冷たくなって戻ってくる。その頃、潘副総管は東宮を訪ね、皇太子に不始末を謝罪していた。調査の結果、毒を盛ったのは魏林という内官で、日頃より手癖の悪い者だったという。失踪を機に豆医官の銭を盗んでいたことから、豆医官が戻って発覚するのを恐れての口封じだと推察した。しかし事が露見し、すでに湖に身を投げて自尽したという。「盗品は見つかっています、豆医官だけでなく宮中で盗まれた物は全て魏林の仕業でした」李治は思わぬ結末に驚いたが、今回は潘副総管を見逃すことにした。「次は厳重に処罰するぞ」卓錦娘は内侍院へ相談に行こうと魏林を連れ出し、道すがら湖に突き落として殺した。この事実に気づいたのは潘秦海だけだったが、手癖の悪さでうまくごまかしてくれたという。しかし豆医官の後ろ盾が皇太子だと分かり、潘秦海はここで手を引くよう警告した。さらに驚いたことに不禄院から豆子が尚服局への異動を承知したと知らせがきたという。「私を巻き添えにしないでくれ」卓錦娘は豆子に手を出せなくなったが、尚服局に来るなら技を盗めばいいと考えた。「殺せないのなら生き地獄を見せてやる!」豆子の尚服局への異動はひとまず仮扱いとなった。卓錦娘は殊勝な態度の豆子を温かく迎え、これからは尚服局の指示に従うよう命じる。尚服局の2番手である阿碧(アヘキ)は掟に従い、新入りに一番後ろの机を準備していた。しかし卓大家は豆子の腕が最後尾の水準なら引き抜くはずがないという。「こうしましょう、今日はまず腕比べで豆子の実力を示させるわ」すると気が強い阿碧が自分が相手になると名乗りを上げた。卓錦娘は豆子と阿碧に薔薇を刺繍させることにした。「そうね…決めたわ、″花の王″を題に妃嬪の枕覆いを作りなさい」繍女たちは仕事に戻ったが、露台で対決している2人が気になって仕方がなかった。すると双児(ソウジ)が阿碧は刺繍を始めたが、豆医官はまだ花を見つめていると報告する。誰もが阿碧の勝利を信じて疑わない中、琉璃がようやく筆を持って図案を描き始めると人だかりができた。間に合うのかしら?>(*´・ω)(ω・`*)<平凡な図案だわ~つづく・:*+.\(( °ω° ))/.:+*:・ やっと尚服局に来たわ〜!
2023.06.22
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第14話「刺繍に隠された文字」掖庭(エキテイ)に捕らわれた医官の豆子(トウシ)こと庫狄琉璃(コテキルリ)。記憶を頼りに図案を書き出すという約束でようやく食事にありつけたが、ふと裴行倹(ハイコウケン)との約束を思い出して慌て出した。このままでは皇太子に身の危険を伝える手立てがない。一方、後宮では武媚娘(ブメイニャン)が皇帝の見舞いにも行かず写経に勤しんでいた。それにしてもたった二時(フタトキ)の写経で腰が痛むとは、皇太子はさぞ疲れているのだろう。武媚娘はふと思い立って筆を走らせ、尚服局に腰当ての図案を届けるよう命じた。「そうだわ、やはりこの図案は不禄(フロク)院に届けて、豆子に作らせてちょうだい」しかし侍女・松涛(ショウトウ)の話では豆医官はその腕を見込まれて尚服局へ移動したという。松涛は図案を届ける道すがら、偶然、尚服局の鄧七娘(トウシチジョウ)を見かけた。そこで七娘に図案を託して豆子を指名したが、豆子は今、掖庭に入っているという。松涛は仕方なく誰が作るか任せると言って帰ったが、七娘はこの機会に豆子を助けようと思いついた。しかし卓錦娘(タクキンジョウ)は武才人の指名だと聞いても、豆子が自分に従わない限り掖庭から出られないという。琉璃は卓錦娘に急かされ、図案を書き出した帳面を渡した。喜んだ卓錦娘だったが、よく見てみると、どの題材も死装束に使う図案だと気づく。「豆子、どうしてくれようか…」その時、庭園で宦官が今が盛りの牡丹を刈り取っているのを見た。聞けば潘(ハン)副総管の指示だという。実は楊妃(ヨウヒ)の宮殿に最も美しい牡丹を植えるよう指示したが、後に庭園で咲いた牡丹の方が見事だった。植え替えるには時期が悪く、潘副総管はやむを得ず庭園の牡丹を掘り起こすことにしたという。「そうすれば錦楽(キンガク)宮の牡丹が最高になり、楊妃娘娘の不興も買いません」その話を聞いた卓錦娘は急に機嫌が良くなった。…豆子がいなくなれば私が宮中一の腕を持つ存在でいられる…七娘はこっそり掖庭の豆子を訪ねた。琉璃は卓大家の側近を警戒したが、七娘は親戚の友人である裴行倹と阿霓(アゲイ)に頼まれたと明かす。驚いた琉璃は2人に危険を冒さないよう言付けを託し、それより皇太子を呼んできて欲しいと頼んだ。七娘はさすがに皇太子への伝言など無理だと断ったが、ふと才人から引き受けた仕事があったと思い出す。「才人にあなたの事情を伝えれば助けてくれるかも?」しかし琉璃は恩人である武媚娘を巻き込むことを恐れ、断った。「分かったわ、何とか仕事を引き受けてここに持って来る」「ありがとう」「曹吾の友人の頼みだから、これで曹吾にも顔向できるわ」卓錦娘は自ら武才人の腰当てを作り始めた。そこで七娘は大家が夜なべしてまで作ることはないと訴え、自分が代わると申し出る。「私が直接、才人にお届けし、その際に忙しい師父が寝ずに作ったと報告します」喜んだ卓錦娘はそこで切り上げ、続きを七娘に任せて休んだ。琉璃は七娘から腰当ての材料を受け取った。しかし胸当ての鳩の刺繍を見て、あの時、母が直すことになった褘衣(キイ)の刺繍と同じだと気づく。…阿娘に刺繍を直させたのは卓錦娘だったのね、そのせいで阿娘は死んだ…翌朝、七娘は豆子が仕上げた刺繍を受け取り、そのまま咸池(カンチ)殿に届けた。武媚娘は出来栄えに満足し、豆子の代わりに誰が作ってくれたのか尋ねる。すると七娘はひざまずき、豆子が恩返ししたいと訴えたため、掖庭で作らせたと明かした。驚いた武媚娘は改めて刺繍を確認すると、鳩がとまっている木の模様が文字になっていると気づく。…太子に難あり…武媚娘は慌てて掖庭に豆子を訪ねた。「あれはどういう意味なの?」「宮外で裴行倹と知り合い、太子の危機を知りました 裴行倹の身分では宮中に上がれず、私が医官だと知ると僅かな可能性に賭け、伝言を託したのです でも私は捕まってしまい…」「すぐ太子に会うわ」皇太子・李治(リチ)は武家と裴家に交遊があり、武才人が裴行倹と幼馴染だと知った。武媚娘は裴行倹の人柄を良く知っていると訴え、信じられない話だが、全く根拠がないとは思えないという。一方、卓錦娘は潘副総管に賂を届け、豆子に死罪を申し渡すよう頼んでいた。しかし潘副総管は流石に命までは取れないと銭を返し、どうしても手を下すなら目をつぶるという。「ただし証拠は残さないでくれ」すると卓錦娘は結局、口止めに賂を渡し、魏林(ギリン)を使うことにした。居眠りしていた琉璃は裴行倹の夢を見た…『玉児!玉児!私だ!』裴行倹は皇太子に伝言が届き、面会を許してもらえたという琉璃は上手くいったと喜んだが、裴行倹は浮かない顔をした実は獄卒から今日の午時に豆子が死罪だと聞いたという『阿翁も順子も救えた、太子に危機を伝えることもができた 戻ったかいはあったわ、これで死んでも琉璃に悔いはない…』琉璃はうっかり口を滑らせた驚いた裴行倹だったが、そこへ獄卒が来て連れて行かれてしまう『君は誰なんだ!秘密を抱えたまま逝く気なのか?!本当に悔いはないのか?』…そこで琉璃は目を覚ました。「そうよ、このまま死ぬわけにいかない」琉璃は母の敵を討ち、無実の罪を晴らすと誓った。そしていつか全てを白日の下に晒し、自分こそ″天下第一針″の真の後継者だと知らしめるのだ。玉児を救出できずに悶々としていた裴行倹、すると裴宅に突然、華天(カテン)が訪ねてきた。「主がお話があるそうで、まもなくこちらに…」裴行倹は酒や詩作に付き合う気分ではないと断ったが、そこへ白馬にまたがった男が侍衛を引き連れて駆けつける。「久しぶりだな、火急の事態を伝えたのはお前の方だが?」「九公子、酒も飲まぬうちから酔っているのか?」「無礼な!学生ふぜいが太子殿下の御前で何と偉そうに…」従者に叱られた裴行倹はようやく酔香楼で知り合った九ちゃんの正体が皇太子だと知った。裴行倹は曹(ソウ)王・李明(リメイ)が密かに甲冑を入手していると密告した。実はこれまで権力におもねる者を軽蔑してきたが、こうして国家の危機に際し、主君の役に立ちたいと切望しながらも、この身分のため拝謁の術もなかったと嘆く。「″真に才ある者は隠居せず″という」李治は俗世を離れれば身を清く保てるが、正義を貫いてこそ真の男だと言った。「今回の手柄に褒美を取らす」すると裴行倹はその場で平伏し、豆医官を掖庭より救って欲しいと嘆願した。「手柄を立てたのは私ではなく豆医官なのです、私は何も頂けません」李治は豆子が武才人に伝言を託した医官だと気づいた。「武才人でしたか…豆子は一介の医官でありながら大義の前には死も恐れない その気概には頭が下がります 嘘がつけないお人好しで、優れた裁縫の腕を持っています 宮中に馴染めず逃げ出そうとしたのですが、私と出会って太子殿下の危機を知り、自首したのです まさか本当にやり遂げるとは…」「分かった、必ず助けよう」つづく( ゚ェ゚)松涛の方がメイニャンっぽいのにね~
2023.06.21
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第13話「師匠の思い」執拗に医官・豆子(トウシ)を探す副総管・潘秦海(ハンシンカイ)。尋問された孫徳成(ソントクセイ)は知らぬ存ぜぬを通したが、そこへ思いがけず琉璃(ルリ)が戻ってきた。豆子は俸禄が少ないので外で買った巾着を売ったが孫内侍にひどく叱られ、その上、順子(ジュンシ)が捕まったので怖くて逃げ出したという。しかし街中に手配書が貼られて大事になったと知り、慌てて帰って来たというのだ。孫徳成は話を合わせて大目に見て欲しいとかばったが、順子の釈放と引き換えに豆子は掖庭(エキテイ)に収監されてしまう。順子は従犯として1年の俸禄停止と板打ち50回で解放された。孫徳成は不禄院に戻った順子を献身的に介抱するが、順子は頑なに口を利こうとしない。一方、尚服(ショウフク)局の大家(タイカ)・卓錦娘(タクキンジョウ)は豆子が自首したと聞いて早速、面会した。琉璃は母の弟子である卓大家まで巻き込まないよう身分を明かさなかったが、どうも様子が違う。「質問に答えてくれたらここから出してあげる 仕立ての技はどこで覚えたの?誰かに教わった?それとも奥義書を読んだとか?」「不禄院で豪華な衣の妃嬪の骸を見てきました 衣の刺繍を眺めながら針の運びを考えるうち、おのずとできるようになったのです」しかし卓錦娘はあの技を自然と身につけることなどできないと知っていた。「なら最後にひとつだけ聞くわ、″天下第一針″の安(アン)氏を知っている?」「もちろん名前だけは…卓大家は弟子だったとか?どんな方でしたか?」「何が弟子よ!私の才能を妬んで技を伝えてくれなかった!名ばかりの師弟関係だったわ!」卓錦娘は思い出したくもないと声を荒らげ、豆子がその技を伝授されたのなら尚服局のために自分に教えて欲しいという。「よく思い出して、思い出せたら獄卒に言って私を呼びなさい」すると卓錦娘は帰り際、獄卒に賂を渡し、豆子が自分を呼ぶまで水も食べ物も与えないよう頼んだ。孫徳成は順子が面会に来なかった自分を恨んでいると分かった。そこで順子の心を開こうと、救出するために奔走したが卓錦娘に阻まれ、銭だけ巻き上げられてしまったと説明する。「お前には申し訳ないことをした、もし私を許してくれるなら何か言ってくれ…」しかし真実を知った順子はかえって自責の念に苦しむことになる。一方、阿霓(アゲイ)は如意衣装店に戻り、安四郎(アンシロウ)に事情を説明していた。安四郎は阿霓を責めることなく、琉璃は情に厚く、幼い頃から融通が利かないところがあったという。「またあの子を守ってやれなかった、なんと情けない伯父なのだ…」琉璃は母と卓大家の間に因縁があると知った。思えば義父から母の唯一の弟子である卓大家に決して身分を明かしてはならないと厳しく言われたことがある。その時、孫徳成が獄卒に賂をつかませ、差し入れを届けにきた。「…手料理を持ってきた、味は11年前と同じだ、覚えているな?」琉璃はその意味を悟って器を受け取ろうとしたが、突然、卓錦娘が現れ、料理を払いのけてしまう。計画は失敗、孫徳成は諦めて帰ることにした。「容易に人を信じるなよ…義父の言葉を決して忘れるな」卓錦娘は念のため豆子を別の独房に移動させた。琉璃は卓大家を警戒し、うまくあしらうおうと考える。「そう言えばあれから思い出したんです…幼い頃に奇書の類いを読んだことがありました 美しい刺繍を施した衣が描かれていて、思い起こせばあの本から学んだのです」卓錦娘は目を輝かせ本の在り処を聞いたが、琉璃は妃嬪の遺品だったと嘘をついた。「読んだ後、棺に戻したので骸と一緒に埋葬されましたよ?」「その妃嬪とは?」慌てた琉璃は覚えていないとごまかしたが、卓錦娘は妃嬪がどんな衣を着ていたか絵に描けと迫った。「ごちそうを届けるからここで描いて、ごまかそうとしたら死より苦しむことになるわよ?」その夜、不禄院から順子の姿が消えた。孫徳成は弟子たちと手分けして探し回ったが、御花園の池に身を投げようとしている順子を見つける。「掖庭で酷い目に遭ったのだな…だがお前の命は豆子が命懸けで守ったんだぞ?」「師父に申し訳がたちません…豆子にも悪いことをした…」順子は卓錦娘にそそのかされて師匠が豆子のために自分を捨てたと勘違いしていた。死ぬのが怖くて豆子が巾着を売ったことや宮中を出たことを白状してしまい、2人に顔向できないという。「最も大事な友人を裏切ってしまった…死んで当然です!」しかし順子は結局、豆子の素性までは明かしていない。孫徳成は順子の判断のお陰で豆子が今も無事なのだと感謝し、厳しい状況の中でもよく頑張ったと褒めた。鄧七娘(トウシチジョウ)は明日の仕入れで街へ出る際、親戚の家を訪ねたいと大家に願い出た。七娘は幼くして両親を亡くし宮中に上がったが、自分を気にかけてくれた唯一の親戚だという。すると卓錦娘は門限までに戻れば良いと認めてくれた。曹(ソウ)氏は甥の曹吾(ソウゴ)から遠縁の七娘に会ったと聞いた。そこでたまには顔を見せるよう七娘にこと付けたところ、仕入れのついでに店に寄ってくれる。曹氏は如意衣装店に対抗するため、この機会を利用して尚服局の卓大家が唯一認めた直弟子の七娘が戻ってきたと宣伝した。阿霓は四門学に裴行倹を訪ねた。実は曹記衣装店に尚服局の親戚が来ているため、玉児(ギョクジ)を救う手立てがないか聞いてみようと思ったという。しかし下手をすれば玉児の正体に気づかれると思い直し、裴行倹に相談に来たのだった。裴行倹はならば自分が豆子の友人だと申し出て状況を聞き出そうと提案、早速、2人で曹記衣装店を訪ねる。すると阿霓を好きな曹吾が喜んで2人を七娘に紹介してくれた。裴行倹は宮仕えしている七娘に頼みがあると切り出した。「友人の豆医官が皇宮を出た日、私が頼み事をしたせいで戻りが遅れてしまった 豆医官が無事かどうか探ってもらえないだろうか」「何日も戻らなかった理由は他にもあるはずです、掖庭で罰を受けているという噂は聞いています」七娘は奴婢の自分が手に負えるような単純な話ではないと断ったが、曹吾にまで嘆願されては無下にできない。「弟のような曹吾の頼みなら断れないわ…様子を探ってみます、でもそれ以上のことはご勘弁を」つづく
2023.06.21
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风起霓裳 Weaving a Tale of Love第12話「知られた秘密」医官の豆子(トウシ)を捕まえた裴行倹(ハイコウケン)は皇宮へ入るため腰牌を貸して欲しいと頼んだ。琉璃(ルリ)は協力できないと断ったが、驚いたことに″豆子″の手配書が出回っていると知る。その時、2人がいる酒楼に捕吏が駆けつけた。裴行倹は腰牌を貸すなら、脱出を助けると持ちかけた。やむなく琉璃は取り引きに応じ、腰牌は玉児が持っているとごまかす。そこで裴行倹は咄嗟に衣を交換して豆子を逃すことにしたが、豆子が頑なに拒否した。裴行倹は仕方なく豆子を抱えて2階から脱出、馬で逃走する。やがて馬を乗り捨て物陰に隠れた2人、しかし裴行倹は豆子を抱き止めた際に胸に触っていた。「君は何者だ?」琉璃は仕方なく裴行倹を連れて安府に戻り、玉児の姿に戻ってから事情を説明した。実母はある宝物を持っていたため命を狙われ、玉児だけが恩人の助けで不禄(フロク)院に隠れて生き延びたという。しかし実父は冷たい人で玉児が邪魔になり、黙って去ることが孝行だった。話を聞いた裴行倹は玉児の敵が強大な権力者だと察したが、ふと従兄と恋仲という話も嘘だと気づく。玉児は良縁など興味などないが、信じさせるため出まかせを言ったと明かした。喜んだ裴行倹は思わず口元がゆるんだが、慌てて話を戻す。「目立つのにどうして医官の格好で外出を?」「知人の目をごまかすためだったの、あなたに話せるのはここまでよ」そこへ琉璃を探していた阿霓(アゲイ)が帰って来た。阿霓は裴行倹が秘密を知ったと聞いて驚き、ひとまず琉璃を連れて中庭に出る。すると琉璃は母の身分までは明かしていないと教え、安心させた。玉児は本当に腰牌を持っていなかった。落胆する裴行倹だったが、琉璃は義父と順子(ジュンシ)を心配し、宮中に戻るつもりだという。「なぜ皇宮に入りたいの?力になれるかも…」裴行倹と阿霓は無駄死にするだけだと反対したが、琉璃は計画を練ってから行くとごまかした。すると裴行倹は皇太子に謁見したいと明かし、皇太子の身が危険だと知らせたいという。孫徳成(ソントクセイ)は毎日、差し入れを持って掖庭に順子を訪ねたが、未だ会わせてもらえずにいた。その帰り道、誰かがつけて来ると気づいて物陰に隠れると、魏林(ギリン)だと知る。さらに内侍院が豆子の捜索を始めたことが分かり、街中に豆子の手配書が貼られたと聞いた。動揺が広がる不禄院、もしや順子が豆子を告発したのだろうか。孫徳成は順子を信じながらも、琉璃が心配で眠れなかった。すると第4話で琉璃が無事に城門を出た時は城壁に目印を残すよう頼んだことを思い出す。…明日は私が街へ出られる日だ、印を確かめよう、さもないと安心できない…翌朝、魏林は尚服(ショウフク)局の大家・卓錦娘(タクキンジョウ)の居所を訪ねた。どうやら孫徳成の耳にも豆子の手配書の件が届いたようだという。実は今日が慣例により孫徳成が街へ出る日、もし豆子が宮中を出たのならこの機に接触するはずだ。しかし自分の尾行に気づいた様子、どうすべきか相談に来たという。すると卓錦娘は鄧七娘(トウシチジョウ)に任せることにした。「見失わないで、しっかり頼んだわよ」琉璃は義父に会うため、阿霓の目を盗んで屋敷を飛び出した。慌てて琉璃を探しに出かけた阿霓、するとちょうど安宅を訪ねるところだった裴行倹と出くわす。裴行倹は玉児が勝手に出かけたと聞いて困惑したが、阿霓は孫内侍に会いに行ったと気づいた。実は毎月5日は不禄院の内侍が街へ出る日で、確か玉児は都を去る時に城門に印をつけると約束したという。すると偶然、曹吾(ソウゴ)が裴行倹と一緒にどこかへ急ぐ阿霓を見かけ、慌てて後を追った。市場は大変な人出だった。そこで裴行倹と阿霓は酒楼の露台から玉児を探すことにしたが、なかなか見つからない。すると阿霓が玉児は帷帽(イボウ)をかぶっているはずだと気づいた。「はっ!玉児だ!」一方、琉璃は義父を見つけ、嬉しそうに手を振りながら人混みをかき分けて走り出した。孫徳成を尾行していた七娘にはよく見えなかったが、急ぎ始めた孫徳成を慌てて追うことにする。その時、突然、従兄の曹吾が現れた。「数年ぶりですね~家に寄って行きませんか?」足止めされた七娘は孫徳成を見失い、ちょうど告示板にいた官兵に協力を頼んだ。琉璃はもう少しで義父と再会できるはずだった。しかし裴行倹が突然、玉児の腕をつかんで横道に引っ張り込む。その時、七娘から通報を受けた官兵が孫徳成を捕縛、琉璃は義父が連行される姿を黙って見ていることしかできなかった。琉璃は義父と順子を助けるため、宮中に戻ると決めた。驚いた裴行倹は興奮する玉児を点穴して眠らせ、阿霓にくれぐれも外へ出さないよう頼む。その夜、裴行倹は玉児のことばかり考えて眠れなかった。…あの賢くて不思議な娘が気にかかる…しかし琉璃に付き添っていた阿霓はうっかり眠ってしまう。翌朝、阿霓は琉璃の書き置きを持って慌てて屋敷を飛び出した。するとちょうど様子を見に来た裴行倹と出くわす。「玉児が行ってしまった、太子殿下にあなたのことを伝えておくと書き置きが…」裴行倹と阿霓は急いで宮門へ向かった。しかし一足遅く、医官姿の豆子が永安門に入って行く姿が見える。琉璃は腰牌を持っていなかったが、門衛に自分の手配書を見せていた。一方、副総管・潘秦海(ハンシンカイ)は孫徳成を一晩、掖庭で反省させてから尋問することにした。孫徳成は相変わらず豆子の居場所が分からないの一点張りだったが、その時、豆子が現れたと報告がくる。つづく( ̄▽ ̄;)グリナザ…もうこれ以上、目をでかくしないで欲しいw
2023.06.20
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第22話長珩(チャンハン)の転生である蕭潤(ショウジュン)の学友となった東方青蒼(ドンファンチンツァン)。恋敵との友情に戸惑いながらも、小蘭花(シャオランファ)の助言を守って笑顔で応えた。しかしその様子を小蘭花と結黎(ジエリー)に見られ、月尊としてはばつが悪い。一方、無理を押して雲夢澤(ウンムタク)に駆けつけた容昊(ヨウコウ)は、洞窟に戻ると苦しそうに胸を押さえた。蝶衣(チョウイ)は首領の身を案じて思わず後ろから抱きしめたが、容昊は黙ってその手を引きはがしてしまう。すると容昊はかつて師匠の亡骸が横たわっていた大きな岩を懐かしそうに眺めた。…3万年前、容昊は師匠・赤地女子(セキチジョシ)の亡骸に元神をかろうじて留めることに成功した神仙をよみがえらせることができるのは万物を育む特別な力を持つ息山神女(ショクサンシンニョ)ただ1人しかし息山神女は代々息山を守り、凶神・太歳(タイサイ)を抑え続けて三界を守って来た功績がある何より師匠は息蘭族と懇意で、現息山神女を昔から知っていた容昊は他に手立てがなく、自害して師匠の後を追おうと覚悟したが、その時、どこからともなく不気味な声が聞こえて来る『お前が命を捨てても帰墟(キキョ)の境で会うことは叶わぬ』洞窟に謎の黒い霊が現れた暗黒の霊は容昊に息山神女の元神を奪い、命で命を救えばいいと焚き付ける『水雲天(スイウンテン)の神仙が命を惜しまなければお前の師父が犠牲になる必要などなかったはず 奴らは戦神の死を悲しむどころか戦乱が終わったと歓喜し、そしてまた安逸をむさぼり始めた お前の師匠の死に何の思いも持っていない、孤独と悲しみを味わっているのはお前だけだ』暗黒の霊にそそのかされた容昊は師匠を失った悲しみから魔に落ち、ついに凶行に及んでしまう容昊は息蘭族を襲い、息山神女を引き渡すよう迫った追い詰められた両親は時間を稼ぐため結界を敷き、娘の霊力を封じて記憶も消し、顔かたちも変えて逃すと決める『これからお前はただの精霊となる、たとえ肉親でもお前だと分からないだろう もうこの世から息山神女はいなくなる…』すると息山神女は小さな蘭の種子に変わってしまう容昊は結局、息蘭族を皆殺しにしたが、息山神女を見つけることはできなかった容昊は息山神女の元神を手にいれようとしたが失敗したすると暗黒の霊は祟気(スウキ)で赤地女子の命をつなぎ止め、息山神女が見つかるまで元神を歴劫させて時間を稼ぐよう勧める容昊は暗黒の霊が太歳だと気づいたが、太歳と言えばはるか昔、息蘭族に滅ぼされたはずだったしかし太歳は高笑いし、息蘭族はただ身体を破壊しただけで、息山神女の力で元神をこの砕霊淵(サイレイエン)に閉じ込めただけに過ぎないという『つまり太古から今まで何十万年かかっても息蘭族はお前を滅せぬと?』『私は簡単には死なぬ、しかし祟気(スイキ)がなければ長くはもたぬ』この世で最も邪悪な力と言われる祟気、祟気なら息山神女の清浄な霊力にあがなえるという容昊はようやく太歳の目的が自分に祟気を作らせ、息山神女を殺し、封印を解かせることだと分かった『その者は私の祟気で生きながらえている、私が死ねばその者の元神も灰となるだろう』…容昊は蝶衣にすぐ祟気を集めるよう命じた。しかし今や化魂鼎(カコンテイ)は壊され、蒼鹽海(ソウエンカイ)の内乱も収まって巽風(ソンホウ)とも手が切れている。「もう祟気は手に入りません」すると容昊は自分が何とかすると言った。一方、小蘭花と東方青蒼はそれぞれ謝惋卿(シャワンケイ)と蕭潤に接近、仲良くなった。そこで結黎の計画に従い、いよいよ2人を引き合わせるべく静逸雅軒に誘い出す。酒楼は演舞台のある廊下を挟んで南北に長く伸びており、結黎は右の厢房で小蘭花が謝惋卿を、左の厢房で月尊が蕭潤をそれぞれ接待するよう指示した。謝惋卿は小蘭花に親しみを感じると話し、初めて気が合う友だちができたと喜んだ。「実は色々と話したいことがあるの…」これまで数々の浮き名が立った謝惋卿、しかし心が動く相手はいなかったという。それが元宵節の夜、月明かりの中、風のように現れ、去って行った謎の男が忘れられない。小蘭花は東方青蒼のことだと気づいて動揺したが、想い人を探す手伝いを頼まれ、断れなくなった。東方青蒼は店の前で蕭潤を待っていた。「また賭場だな、浮ついて遊びまわっている、厳しく叱らねば…」觴闕(ショウケツ)はまるで本当の兄弟のような口ぶりだと揶揄したが、そこへようやく蕭潤が現れた。実は人生を左右する大事な決断をしたため遅れたという。何でも蕭潤は前世から縁がある娘と出会い、その娘を娶ると決意していた。東方青蒼はてっきり謝惋卿のことだと誤解、後押しすると約束してしまう。すると蕭潤は自分がいつの間にか描いていた仙女の絵を大きく引き伸ばし、酒楼の演舞台に掛けた。まだ名前も身分も分からないが、手がかりをくれた者に銭10万枚を贈るという。…確かに記憶を消したはずなのになぜ覚えている?…東方青蒼は蕭潤の想い人が小蘭花だと知って怒り心頭だった。しかし励ました手前、協力せざるを得なくなってしまう。「東方兄!褒賞金を借りたい、必ず返す!」「ギギギ…いいだろう、分かった」席に戻った蕭潤は実の兄より東方青蒼に親しみを覚え、義兄弟の契りを結びたいと言い出した。焦った東方青蒼は吉日を選んで準備をしようとごまかしたが、蕭潤は特別なものは必要ないという。こうしてあれよあれよという間に兄弟になってしまった不倶戴天の敵同士。一方、觴闕は結黎と一緒に急いで小蘭花の絵を片付けようとしていた。しかし曲水(キョクスイ)が現れ、邪魔されてしまう。結黎は丹音(タンイン)が蕭潤の従者だと知り、主を思うなら絵を外すべきだと説得した。「下賜品を妓女に贈り、求婚したかと思えば、今度は鹿城(ロクジョウ)一の酒楼で大騒ぎして… 老爺の耳に入ってまた打たれてもいいの?主の幸せを願うならなおさら外すべきよ この絵が町中の噂になったら、かえってこの娘子は会ってくれないかも…」驚いた曲水は慌てて絵を片付けたが、手遅れだと気づいた。「しまった!若君は同じ絵姿を数百枚、城内中に貼れと命じていた!」容昊は蒼鹽海(ソウエンカイ)との境で忘川を眺めていた。そこへ運悪く見回り中の天兵たちが現れる。「容昊仙君ですか?!…やっぱり、以前、命を救われた者です」容昊は咄嗟に負傷した長珩のため、薬草を探しに来たと嘘をついた。すると将軍は自分の兵に協力させると申し出て陣地に案内するという。一方、蕭潤はすっかり酔っ払い、東方青蒼に絡んでいた。「東方兄!分かりますか?想い人がいるのに相手の心が分からず、気持ちを伝えることもできない 東方兄〜東方兄〜東方兄〜!」東方青蒼は蕭潤に手を焼き、酒を取って来ると言って出て行ってしまう。するとちょうど部屋を出た小蘭花と鉢合わせになった。東方青蒼は小蘭花を連れて階下に降りた。「また隠れてあいつと会ったのか?!」驚いた小蘭花は元宵節の夜に会ったのが最後だと否定し、東方青蒼が記憶の抹消に失敗したせいだと言い返す。「もう良い、それにしてもよほど縁が深いのだな!」東方青蒼は嫉妬のあまり嫌みを言ったが、かえって小蘭花に詰め寄られてしまう。「月尊大人?!自分こそどうなの?!元宵節の夜、謝惋卿に何をしたのよ?!」聞けば今や東方青蒼は謝惋卿の想い人、小蘭花は一緒に探す羽目になったという。小蘭花と東方青蒼が痴話喧嘩している頃、2人の帰りが遅いのを心配した蕭潤と謝惋卿が個室を出て探し始めた。「東方兄~!」「蘭花娘子?」2人の声を聞いた小蘭花と東方青蒼は呆然、慌てて別々に逃げたものの、結局、同じ箪笥の中に隠れて鉢合わせになる。思いがけず狭い箪笥の中で密着し、気恥ずかしい小蘭花と東方青蒼。やがて2人の姿が見えなくなると、改めて場所を変えることにした。しかし別々に逃げた小蘭花と東方青蒼は運悪くそれぞれ蕭潤と謝惋卿に見つかってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!モクモクさん!すっかり忘れていたけれど、3話に出て来た太歳だったのね
2023.06.19
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第21話今夜は謝惋卿(シャワンケイ)が運命の相手と巡り合う大事な日。容昊(ヨウコウ)は手負いの身体ながら雲夢澤(ウンムタク)に駆けつけ、師匠のために簫を吹いていた。謝惋卿は初めて聴く音色になぜか懐かしさを覚え、欄干にもたれながらしばし耳を傾ける。一方、東方青蒼(ドンファンチンツァン)は姿を消した小蘭花(シャオランファ)を追っていた。やがて觴闕(ショウケツ)と結黎(ジエリー)に合流、霊力を使えないため手分けして探すしかない。実は小蘭花は東方青蒼が謝惋卿の歴劫を邪魔しに来たと誤解し、急いで飛仙(ヒセン)閣に向かっていた。東方青蒼は高楼の屋根に登って小蘭花を探すことにした。すると偶然にも飛仙閣の露台に立つ謝惋卿の姿を見つける。「刻限か…」その頃、蝶衣(チョウイ)は主の元へ駆けつけ、東方青蒼が鹿城(ロクジョウ)に現れたと報告していた。しかし東方青蒼の目的は師匠の元神、容昊は歴劫を終える花朝の婚礼の晩までは手を出さないと分かっている。「3万年あまり師父の歴劫を見守ってきた… ついに息山神女(ショクサンシンニョ)が見つかり、師父の歴劫も終わる 何事もなくこの生涯が終われば、師父は私と共に帰れるのだ」謝惋卿の運命簿には″元宵節の夜、自害を試みるも蕭郎が止める″とあった。しかし肝心の蕭郎が未だ姿を表さず、東方青蒼は気が気でない。一方、賭場を逃げ出した長珩(チャンハン)の転生・蕭潤(ショウジュン)は飛仙閣まであと少しというところで用心棒に見つかった。小蘭花はちょうど逃げて行く蕭潤の姿を見かけ、咄嗟に追いかける。すると蕭潤は裏道で用心棒たちに追い詰められていた。「玉を出せ!」「…これは渡せない、生まれた時に握っていた物なんだ、銭は返すから!」「やめなさい!」小蘭花は止めに入り、花粉をまいて用心棒たちを眠らせ、蕭潤を救った。謝惋卿は人生に絶望し毒酒を飲もうとした。しかし止めるはずの蕭郎が現れず、東方青蒼はやむなく自ら駆けつけ阻止する。謝惋卿は突然、高楼に現れた男に不思議な縁を感じたが、ふいにうなじの業火(ギョウカ)のあざがうずいた。「前世で会ったことが?あなたは誰?!」驚いた東方青蒼は咄嗟に方術で謝惋卿を眠らせた。その頃、蕭潤は自分を助けてくれた小蘭花に一目惚れしていた。「君とどこかで会ったかな?」「いいえ、人違いでは?」小蘭花は顔を隠しながら逃げ出し、物陰に身を潜めてやり過ごす。しかし蕭潤は小蘭花が夢に出てくるあの仙女だと確信し、飛仙閣へ行かず恩人を追った。東方青蒼は露店の後ろに隠れている小蘭花を見つけた。「お前を案じて探し回っていたが、まさか長珩と密会していたとは…」実は東方青蒼はすでに飛仙閣の宴で長珩に気づいていた。しかし小蘭花が自分の骨蘭を宝物だと言ってくれたため、小蘭花を信じて知らないふりをしたという。小蘭花は確かに東方青蒼を騙したと認めたが、お互い様だと開き直った。「ならあなたはどう?先の戦神の元神を奪いに来たくせに!」「なぜそれを?!結黎か?」「違う、命格(メイカク)詩を読めばだいたい見当はつくわ」すると東方青蒼は小蘭花が自分に付き添うためではなく、初めから長珩に会うために来たのだと誤解してしまう。「ならば人間のうちにあいつを始末してやる!」「ダメよ!長珩仙君は蕭郎よ!」「何だって?!」東方青蒼は蕭郎が蕭潤だと知り、小蘭花と出会ったせいで飛仙閣に現れなかったと分かった。「私が止めなければ謝惋卿は死んでいたんだぞ?!」「何ですって?あなたが謝惋卿の自害を止めたの?!関わったら運命が変わるわ! オワタオワタ___詩の通りにならないと歴劫は失敗、元神が灰になてしまう!」東方青蒼は蕭家に忍び込んだ。するとちょうど曲水(キョクスイ)がやって来る。「誰だ?!」「そなた…確か丹音(タンイン)と言ったな?」曲水は慌てて助けを呼んだが、東方青蒼が指を鳴らすと卒倒してしまう。そこへ悲鳴を聞いた蕭潤が駆けつけた。「私もお前も共に鹿城に来るとは縁があるな…」「はあ?」東方青蒼は蕭潤も眠らせ、小蘭花と出会った記憶を引っ張り出して消しておいた。東方青蒼が屋敷に戻ってきた。無事に蕭潤から記憶を消すことができたと聞いた小蘭花は安堵したが、根本的な解決にはならない。歴劫では2人が婚姻し、謝惋卿は蕭郎に殺される運命だった。そのためにはまずすれ違った謝惋卿と蕭潤を引き合わせなくてはならない。すると結黎が人間の出会いは自然なもので、無理に会わせるのは駄目だと言った。「月尊と觴闕は蕭潤に、私と小蘭花は謝惋卿に近づくの」「…じゃあそうしましょう」觴闕はまだ分からないことがあって質問しようとした。しかし結黎は月尊と小蘭花を2人だけにするため、強引に連れて行ってしまう。東方青蒼は気まずくなって席を立ったが、小蘭花は話があると止めた。翌朝、謝惋卿が目を覚ますと寝台にいた。確かに昨夜、誰かと会った気がするが、侍女は酔って夢を見たのだという。「そうだ、試玉(シギョク)軒の崔(サイ)様から招き状です、10日後に探春の宴を開くと…」謝惋卿は断るよう頼んだが、急に気が変わった。「鹿城一の庭師を呼んで」一方、蕭潤と曲水もようやく中庭で目を覚ました。すでに朝だと気づいた蕭潤は大慌て、曲水を急かして学問所へ行く準備に戻る。すると書斎の机の上に美しい仙女の絵があった。「これは?」「昨夜、自分で描いたでしょう?!」謝惋卿は金陵で花の仙女にも劣らないと評判の小蘭花を招いた。するとこれまでどんな庭師でも花を咲かせることができなかった牡丹の王様・烏金耀輝(ウキンヨウキ)が小蘭花の手入れでついにつぼみを付ける。謝惋卿は小蘭花を絶賛、探春の宴に招待した。一方、東方青蒼は蕭潤に近づくため学問所に編入、学友になった。蕭潤は夜渓(ヤケイ)楼を1箱の金子で買った噂の金陵の富豪だと大喜び、隣の席に座った東方青蒼に馴れ馴れしく話しかける。すると先生が激怒、教室の外で2人とも立たされてしまう。蕭潤は従者の曲水と觴闕を残し、東方青蒼と2人で学問所を抜け出すことにした。「東方兄、西の広場で蹴鞠があるんだ、見に行かないか?」「講義中ゆえ門は閉まっている」「私に妙案がある!」すると蕭潤は犬の通り道になっている壁の穴から脱出、東方青蒼を急かして腕をつかみ、引っ張り出した。( ꒪ͧ⌓꒪ͧ)<何ということだ…長珩に手を引かれ、犬の抜け穴を通ってしまった…しかし運悪くそこへ別の先生がやって来た。蕭潤は咄嗟に東方青蒼は自分を止めようとしたとかばったが、思いがけず東方青蒼がこの状況を打破してくれる。「いや、私が無理に誘ったのだ」そこで東方青蒼はいきなり先生にめくらましを放ち、蕭潤を連れて逃げ出した。↓( ゚ロ゚)」東方兄!早く早く!東方青蒼と蕭潤は蹴鞠に参加、見事に赤組を勝利に導いた。「まさか東方兄がこんなに上手いとは!」「…蹴鞠の技は幼い頃、父から教わった」「へえ〜うちの親父は″遊ばず、学び、名を上げろ″と言うばかりだよ」「私は名を上げることに興味はない、蹴鞠はこの世で最高のものだ」「その通り!」蕭潤は東方青蒼が不倶戴天の敵だとも知らず、すっかり心酔した。その時、東方青蒼はあの夜の小蘭花の話を思い出す。…あなたに話があるの、友だちになったらしかめっ面はだめよ?…何と答えるか分からない時は笑って…巽風(ソンホウ)と仲直りする時、教えたでしょう?すると東方青蒼は口角を上げて蕭潤に笑顔を見せた。つづく( ๑≧ꇴ≦)長珩www腹痛いわwwwww
2023.06.18
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第2話「したたかな母上」凱旋早々、参内せずに嫌疑人を追跡していた凌不疑(リンブーイー)。その夜、ようやく皇帝への挨拶を終えると、側近の梁邱起(リャンチゥチー)と梁邱飛(リャンチゥフェイ)が待っていた。「陛下に責められましたか?」「まさか、若主公は陛下の″義子″だぞ?」皇帝は参内の件を凱旋で帳消しにしてくれたが、兵器の事案は様子を見るという。しかしこのまま手をこまねいている凌不疑ではなかった。「兵器の横流しは長年の懸案、一刻を争う」凌不疑たちは帰りの道すがら城陽(ジョウヨウ)侯府を通りかかった。梁邱起は帰還後まだ挨拶していないと声をかけ、外征中も朝廷で不孝だと陰口を叩かれたらしいと心配する。しかし凌不疑は馬を止めることもなく、屋敷の前を通り過ぎた。「これ以上、罪状を増やされたから何だ」一方、程(チォン)家では老夫人董(ドン)氏の弟が武器の横流しで捕まり大騒ぎだった。老夫人と仲(チュウ)夫人葛(ゴー)氏は釈放を働きかけるべきだと程始(チァンシー)に迫るが、軍法で処置されるため無理だと突っぱねられてしまう。葛氏は掃除が終わっていないと言い訳して母屋を開け渡さなかった。蕭元漪(シャオユエンイー)を敵視し、兄夫婦を娘がいる離れに追いやる葛氏、しかし蕭元漪は文句も言わず素直に従う。一方、程少商(チァンシャオシャン)は具合が悪いふりをして薄幸な娘を演じていた。その時、回廊から母と青蓯(チンツォン)の話が聞こえてくる。どうやら父は娘の惨めな境遇に同情的だが、母は手強そうだ。…母上は鋭い、私の芝居を見抜いたのかも?…実は蕭元漪は帰還を半月遅めに伝え、老夫人たちに不意打ちを食らわせていた。思った通り老夫人たちは自分への恨みを娘で晴らしていたのだろう。「十数年も娘を放任したせいで手遅れになるやも、しかと躾けて性根を叩き直さないと…」少商は自分の境遇に気づいていながら放置し、虐げた者を成敗せず自分を躾けると言う母に失望した。…やはり当てにできるのは自分だけね…凌不疑は程家を監視させていた。あの日、捜査を妨害したのは程家二房の李(リー)老婢で、老夫人は弟を売った四娘子(スーニャンズー)に激怒しているという。すると廷尉獄(テイイゴク)に程家の四娘子から荷物が届いた。中には藁と布切れが入っていたが、凌不疑はその意味を悟って直ちに葛氏布荘を捜索、帳簿の問題を見つける。「実に面白い」凌不疑は程少商のこと、とっくに己の退路を見つけていると踏んだ。程老夫人は弟を救うため葛氏と董舅母と示し合わせ、中庭で死にたいと騒ぎ始めた。何事かと慌てて駆けつける程始と蕭元漪、その様子を少商は蓮房(リエンファン)と一緒に上階から面白そうに眺めている。しかし父も百戦錬磨の大将軍、祖母の猿芝居には騙されないだろう。少商の予想通り父はその場にひざまずき、母より大声で自分には舅父を助ける力もないと号泣した。「救わないのではなく救えないのです!凌不疑は鉄面閻魔ですよ?! 私が功績をあげていなければ連座になっていました!」さすがは母子、芸風も良く似ていたが、老夫人はついに泣き芸を諦めて逆切れした。「いいわ、ならお前が背いたと御前に訴えてやる!陛下は何より孝道を重んじるとか…」すると黙って見守っていた蕭元漪が口をはさんだ。「君姑、親に背くことは大罪、息子を流刑や斬首にするおつもりですか?!」そこまで大事だと知らなかった老夫人は再び泣き崩れ、流石に蕭元漪も呆れ果てる。その時、蕭元漪は静養しているはずの娘が回廊から盗み見ていることに気づいた。高みの見物を決め込んでいた少商、しかし回廊に母が現れた。少商は急に咳き込んでごまかしたが、両親が戻ってかえって自由が利かなくなったとこぼす。「厳しい母親でも意地悪な叔母よりはいいのでは?女君も女公子を思ってのことです」しかし蓮房の言葉も慰めにはならなかった。一方、少商のおかげで証拠を得た凌不疑は董倉管(ソウカン)を尋問した。董舅父は何とか言い逃れしようとしたが、拷問の恐怖から観念、全て白状するという。その頃、老夫人に手を焼いた蕭元漪は胡(フー)婆を呼び寄せた。親友と再会を果たした老夫人は今生で会えるとは思わなかったと涙し、抱き合って喜ぶ。すると胡婆は外地で賊に襲われたところを程始に救われたと話し、その時、粗末な矛が折れたので敵の刀を奪って守ってくれたと説明した。「戦場では刀や剣は将士の命なのに、あくどい奴らが良い武器を粗末な武器とすり替えている 全く良心の欠片もない!」胡婆は蕭元漪に言われた通り老夫人に訴えた。董舅母は何も知らずに義姉を訪ねた。すると老夫人の態度は一変、董家のために程家を犠牲にはできないという。「昨日、煙突から煙が出ないから変だと思い、道士にお告げを聞いたの そうしたら程家は親族に巻き込まれ先が危ういと言われたわ 道士は正しかった、二房の布荘まで差し押さえられて、お前たちのせいよ!」老夫人は董舅母を2度と屋敷に入れるなと命じて追い出したが、それから部屋にこもって食事にも出てこなくなてしまう。その夜、程始は母に点心を差し入れた。ようやく息子の優しさに触れた老夫人は機嫌を直したが、なぜ葛氏の嫁荷を蕭家の家計に回したのかとこぼす。程始は嫁荷の行方は知らないが、さすがに誤解だと否定した。「蕭元漪が嫁ぐのは2度目だよ?家財も全部、抵当に入れた、そんなに大切なのかい?」「もちろんです!」すると程始はあろうことか早くに父を失くした母に再嫁を勧め、怒らせてしまう。少商は老夫人の部屋を見下ろしながら、父がどうやら祖母を怒らせたのだと分かった。「母上のほうが上手ね…夫君に戦わせて自分は牙を隠している」「つまり全ては私の計画だと?」その声は蕭元漪だった。すると蕭元漪は盗み聞きし悪意ある憶測をしたと叱責、戒尺で少商の手を打ってしまう。「明日から礼記(ライキ)を書写しなさい、それまで外出禁止よ」少商は父と灯会に行く約束だと訴えたが、蕭元漪は認めなかった。少商は母が戒尺を持って自分の粗探しに来たと誤解した。しかし″母と子の道″など自分には無縁、悲しむ必要もない。一方、蕭元漪は程始が老夫人に再嫁を勧めたと聞いて驚いていた。「叩かれて当然よ!私がもう一度、叩くべきね!」程始は笑い飛ばしたが、蕭元漪は娘の人騒がせな才能が息子以上だと訴える。実は昨日、煙突から煙が出なかったのは娘の仕業だった。祖母の迷信深さを知っていた少商は密かに煙道を変え、天のお告げだと吹き込んでいたという。「おおお~嫋嫋(ニャオニャオ)は聡明だな、煙突にも詳しい」「かばうの?!私の配下だったら軍棍(グンコン)の刑よ!」興奮した蕭元漪は慌てて口をつぐみ、娘に仕置きしたことを思い出した。本当は身体に合わない衣を着ている娘のために何着か作ろうと思い立ったが、まさか物差しで罰を与えることになろうとは。「間違った選択をして嫋嫋はあんな子に育ってしまった…もう間違えられない 甘やかせば娘の一生を誤らせるわ」つづく(  ̄꒳ ̄)え?ガリレオ?w〓通称多過ぎ問題〓程少商→嫋嫋・四娘子・女公子程始→家主・大郎・阿父蕭元漪→女君・阿母程老太太→老夫人・君姑・大母二房(次男の家)葛氏→仲(2番目)夫人・二叔母
2023.06.17
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星汉灿烂 Love Like the Galaxy 第1話「掟破りの四娘子」早朝の洛陽(ラクヨウ)、まだ静まり返った都に伝令兵が馬を駆けて飛び込んできた。「隴右(ロウユウ)にて勝利!大軍が凱旋!」前将軍・凌不疑(リンブーイー)たちは城門で盛大に迎えられ、早速、曹(ツァオ)常侍(ジョウジ)が皇帝の詔を読み上げる。凌不疑は光禄勲副尉(コウロククンフクイ)に任じられ羽林(ウリン)衛左騎(サキ)営の統領に、他にも北軍五校の越騎尉(エツキイ)の統括、侍中(ジチュウ)に昇格した。すると曹常侍が皇帝が賜った礼服を差し出し、すぐ宴に向かうよう勧める。しかし凌不疑は下賜された外套をまとい、再び馬にまたがってしまう。「急な報告を受けたため、処理を終えてから伺います…出発だ」凌不疑は高台から片田舎の家の前に止まった馬車を見つめていた。「捕らえますか?」「…慌てるな」その家には程(チォン)家の四娘子(スーニャンズー)こと少商(シャオシャン)がいた。少商は戦乱により幼い頃から両親と離れ離れ、祖母や叔母の元で育てられる。しかし祖母と叔母に疎まれ、事あるごとにこの別宅に放り込まれていた。今回は置き去りにされて1ヶ月、ここ数日は熱を出していたが、医者も呼んでくれない。それがどういう風の吹き回しか、突然、李(リー)老婢が差し入れを持って迎えにやって来た。一方、洛陽では程家の老夫人・董(ドン)氏が息子の帰りを楽しみに待っていた。しかし仲夫人・葛(ゴー)氏は兄夫婦に少商を追い出しことがバレるのではないかと冷や冷やしている。老夫人は四娘子ならすでに迎えに行かせたと安心させたが、驚いたことに息子夫婦が予定より早く帰ってきた。四娘子のことも忘れて再会を喜ぶ老夫人、すると程始(チァンシー)と蕭元漪(シャオユエンイー)は娘の出迎えがないことに気づく。「嫋嫋(ニャオニャオ)は?」「はっ!ぁ〜それが〜あの子は〜ここにはいないの」少商は無礼な李老婢を上手くあしらい馬車に乗り込んだ。その時、偶然にも車から藁ぐまへ向かう足跡があることに気づく。すると侍女・蓮房(リエンファン)が車の中がやけに汗臭いと訴えた。少商は確かに何日も湯あみをしていない男の臭いだという。馬車が出発すると突然、黒甲衛(コクコウエイ)が立ちふさがった。「朝廷の命で賊を捕捉する、誰か、馬車を捜索せよ」驚いた李老婢は車に乗っているのが程校尉の四娘子だと教え、未婚の娘の車を男が捜索することは許されないという。しかし車から娘子の声が聞こえた。「武将の家族なら命に従わなくては…ただ捜索の前に将軍にお話があります」そこで凌不疑は馬を車の横につけた。すると窓から真っ白で華奢な手が現れ、来た道を指差す。「うちの藁ぐまの方が面白いかと…火でもついたら人が飛び出してくるやもしれません」驚いた李老婢は慌てて止めようとしたが、黒甲衛の1人が松明を持って飛び出してしまう。藁ぐまに火がつくと、たまりかねた男が飛び出してきた。凌不疑は馬車を行かせて男を捕らえたが、連行された男が程校尉の実の舅父(キュウフ)だと分かる。つまり馬車に乗っていた四娘子は自分の大叔父を引き渡したというのか。一方、少商は馬車に揺られながら両親があと半月で帰還すると聞いた。蓮房はこれで主も虐げられずに済むと安堵したが、少商は自分を捨てた両親に期待などしていない。その頃、捕縛された董舅父は程少商を長幼の序も分からないとんだ性悪だと嘆いていた。「程少商か…」凌不疑は馬車を見送りながら、顔も知らない四娘子に興味を持った。程家では老夫人が息子夫婦に事情を説明していた。四娘子は強情な性格なため、田舎に送ったのも躾のためだったという。その時、李老婢が慌てて屋敷に飛び込んできた。「大変です!一大事です!母親の躾もなっていない四娘子が董舅爺を大変な目に~!」「誰の娘ですって?!」憤慨した蕭元漪が出てくると、李老婢はすでに家主が戻ったと知って卒倒してしまう。すると少商が門から入ってきた。「阿父、阿母…やっとお戻りになったのですね」しかし娘はすっかりやつれ、身なりもひどく、激しく咳き込んでいた。この15年、外地で国を守っている間、娘はてっきり都で何不自由なく過ごしていると思っていたが、まさかこんな惨めな境遇だったとは…。程始は娘を虐げた老婢を薪小屋に入れるよう命じた。驚いた葛氏は咄嗟に君姑に合図、すると老夫人が息子の同情を引くため倒れたふりをする。…その程度の芝居?…そこで少商も負けじと卒倒した。程始は迷わず娘を助け、母を置きざりにして少商を連れて屋敷に入ってしまう。しかし蕭元漪は娘が父の腕に抱かれながら、うっすら片目を明けて二叔母を挑発している嫋嫋を見逃さなかった。四娘子を虐げてきた老夫人は何とか取り繕うと必死だった。そもそもこの十数年、両親が娘を放っている間、自分たちが赤子を育ててきたという。しかし蕭元漪の従者で義姉妹・青蓯(チンツォン)が反発した。「赤子を捨てたい母親がいるとでも?…誰かが強いたからです」老夫人は憤慨したが、程始は確かに親孝行のため娘を残したのに、まるで自分たちが押し付けたような言い草だと嘆く。焦った葛氏は普段の四娘子は悪たれで手が負えず、そのせいで君姑が怒りから具合が悪くなったと訴えた。少商は寝たふりをして聞いていたが、形勢が悪くなりそうで目を覚ます。「ご心配をおかけしました、物心がついて以来、初めて両親と会えました 礼をもってお迎えしなくてはならないのに…私はふつつか者です、二叔母が罰して当然なのです」娘の殊勝な姿に程始は胸を痛めた。すっかり悪者にされた老夫人はそもそも嫁のせいだと八つ当たり、蕭元漪が来てから息子は何でも言いなりだと涙する。「はあ~怒りで息が詰まりそう~どこかで呼吸を整えなければ~」実は老夫人は再嫁の蕭元漪を毛嫌いしていた。少商は薄目を明けて部屋を出て行く祖母と二叔母の姿を盗み見ていた。蕭元漪はそんな娘の様子に気づいていたが、母らしい優しい言葉をかける。「嫋嫋、ゆっくり休みなさい、厨房には好物を作らせておくから」「…私の好物をご存じなのですか?」蕭元漪は返す言葉もなかったが、その時、使用人が慌てて飛び込んできた。「家主、大変です、黒甲衛が来て包囲されました!」程始と蕭元漪は一目見てあの誉れ高き無敵の凌将軍だと分かった。凌不疑の話では朝廷の命で武器を着服した者を捕らえたが、その際、程校尉の家族を驚かせてしまったという。そんな中庭の様子を少商は上階からのぞき見していた。「今日、董大叔父を捕らえた人かしら?目的は私かも…」武器を着服した嫌疑人は老夫人の弟で程始の舅父の董倉管(ソウカン)だった。「功績が高かろうと国をむしばむ行為は徹底的に調査します」凌不疑は程校尉に報告して屋敷を出ると、上階から視線を感じて四娘子が見ていると勘づく。そこで帰り際、四娘子の協力に感謝していると伝えた。蓮房は主がお咎めを受けるどころか誉められていると安堵したが、少商は将軍が自分を遠回しに非難していると気づく。「忠義が先立つ?つまり不孝ってことね… 年長を恐れないですって?…言い換えれば不敬ってことよ 私が廷尉府の拷問役のようって、つまり過酷で女らしからぬってことだわ 凌不疑…上等ね、恩を仇で返すなんて、道義にもとる」つづく(  ̄꒳ ̄)いや〜ルースー、相変わらず上手いわ〜さてウーレイが出てくるまで続くかな…w
2023.06.16
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梦华录 A Dream of Splendor最終話「それぞれの願い」顧千帆(コチェンファン)は皇后・劉婉(リュウエン)と接触し、忠誠を誓う代わりに趙盼児(チョウパンアール)を見逃して欲しいと訴えた。しかし皇后から欧陽旭(オウヨウキョク)への訴えを取り下げさせるよう迫られ拒否、交渉は決裂する。「…悪いけど力にはなれないわ」顧千帆は咄嗟に皇后に短剣を突きつけ、パンRが助かるなら命も売り渡す覚悟だと脅した。「私は裁きへの干渉を求めているのではない、同じ女子であるパンRに機会を与えてやって欲しい その後は勝とうが負けようが恨み言は申しません」「いいでしょう」すると顧千帆は去り際、真実を明かした。「陛下の手元にある夜宴図は真作です、パンRが贋作だと示唆したゆえ、あなたは難を逃れた」何も知らなかった劉婉は驚愕した。聞けばパンRは賎民のままならぬ辛さなら自分も良く分かると共感し、皇后を助けたという。顧千帆はパンRが欧陽旭を訴えたのも、皇后が斉牧(サイボク)からの侮辱に耐えられなくなったことと同じだと話した。パンRはなかなか意識が戻らず、皆を心配させた。しかしパンRの気概に感銘を受けた高鵠(コウコク)が太宗から下賜された妙薬を届けてくれる。顧千帆は高観察を信じ、薬を砕いてからパンRに口移しで飲ませた。するとついにパンRが目を覚ます。一方、劉婉は皇帝や顧千帆の話を噛みしめながら、ようやく自分の過ちに気づいていた。「陛下に謁見したいと伝えて」皇后はパンRに再び機会を与えた。そこで皇帝は公平を期すべく長官を交代させ、審理を公開とする。パンRは重い身体をひきずりながら再び登聞鼓院(トウブンコイン)へ出廷し、早速、杖刑(ジョウケイ)の続きを受けることになった。しかしそこへ伝令官として崔(サイ)内侍が駆けつけ、聖旨を伝える。「皇后の誕辰を祝い、本日より女子に対する杖刑以下の罰は銭で免除できるものとする…ちんつー」顧千帆たちは急いで門で見守っている葛招娣(カツショウテイ)と陳廉(チンレン)に銭を集めろと指示した。「30貫だ!」すると集まっていた民衆がパンRのために寄付してくれる。その中には開封府の前でパンRを蔑んだ男たちもいた。パンRは30貫と引き換えに残りの杖刑を免れた。欧陽旭は皇后が助けてくれると信じて出廷し、依然として婚約破棄を否認する。証書はとうに破棄し、結納品もなく、婚約を証明する物などないはずだ。パンR側の証人・孫三娘(ソンサンニャン)は身内も同然、また杜長風(トチョウフウ)も今や孫氏の許嫁のため、2人の証言は信頼性に欠ける。「確かに酒によって婚姻をほのめかしたことがありました、過ちは認めます なれど男側からの婚約破棄は容赦されるかと…」欧陽旭は誠意を示してパンRに謝罪したが、パンRは偽りの謝罪など必要ないと冷ややかだった。「欧陽旭、訴状をしっかり読んだ?婚約破棄は訴えの一部、問題は私を中傷したことよ?」三娘は婚約祝いに家宝の硯(スズリ)を欧陽旭に贈ったと証言した。返還を求めたがすげなく追い返され、用心棒に都から追い出されそうになったという。しかし欧陽旭が離京前にすべての身代を質入れしたため、硯を見つけることができた。池蟠(チハン)は質札と硯を証拠として提出、硯には確かに三娘が説明した通り表に文言、裏には″孫″と表記があり、質札の契約人は欧陽旭となっている。パンRは婚約する前から欧陽旭が自分から再三、銭を借りながら返済を拒んだと訴えた。「だまし取りは窃盗と同罪のはず、5貫以上は斬首となります」その時、つい立ての裏で審理を聞いていた皇帝は、激怒してうっかり椅子を叩いてしまう。長官は咳払いして慌てて誤魔化したが、顧千帆は皇帝の存在に薄々、勘付いた。皇帝は皇后と一緒に審理を見守っていた。「…皇上、先日は私が悪うございました」「長年、連れ添った夫婦ではないか、幸いにもまだ取り返しがつく」「でも斉牧を許すことはできません」「私が群臣の反対を押し切ってそなたを立后したのは、野心あふれる有能な女子だったからだ(コソッ)知っての通り私は決して知慮に富む賢君ではない… そなたを好いたのは己にないものを持っていたからだ よいな?これからは天下の民の噂話に耐え得るような手立てを取れ この大宋はそなたの家でもあるのだ」欧陽旭は思わぬ証拠に動揺し、硯の件は失念しただけだと釈明した。「これは趙盼児の報復行為だ!君はなぜこんな下劣なことを…」「あの日の発言に感謝するわ」開封府で訴えを差し戻された後、パンRは帰り際、自分の訴えを受け止める勇気もないのかと欧陽旭を非難した。すると欧陽旭は勝ち誇ったように刑法と慣習は全く別物だと言ったという。「それを聞いて悟ったわ、婚約破棄では断罪できないとね… 欧陽旭、私はあなたを地獄へ送る、あなたが私の首を締めたようにね」「何の話だ?…首など締めていないぞ!そんな証拠はあるはずない!」焦った欧陽旭は従者に助けを求めようとしたが、すでに従者は姿を消していた。その時、証拠集めに奔走していた宋引章(ソウインショウ)が駆けつける。「証拠ならありまーす!」欧陽旭の侍従・淑徳(シュクトク)と書生・子明(シメイ)は賊に殺されたことになっていた。実は子明の屍(シカバネ)から″歩虚韵(ホキョイン)″という楽譜が見つかっていたが、確認した引章は楽譜の奇妙な点に気づいたという。「これは道家の祭事で演奏される音曲で、書生は道教の修行者でした しかし歩虚詞と工尺譜(コウシャクフ)が一致していないのです そこで奇妙な箇所だけを横に読んでみると、ある文章が現れました、″欧陽旭が私を殺した″と…」驚いた皇帝はまた椅子を叩きそうになったが、すんでのところでこらえた。楽譜の裏には″紫陽観(シヨウカン)″という文字もあった。そこで引章は欧陽宅の近くに建つ紫陽観を捜索、すると座蒲(ザフ)の下から書生の遺書を発見する。「欧陽旭は侍従を死に至らしめ、大金で刺客を雇い、趙氏を殺そうとしたと… それを目の当たりにした書生は口封じに殺されると思い、楽譜に暗号を記したのです 欧陽旭は音律を知らぬため、気づかれません」酒楼組合へ向かっていたパンRたちを襲った黒幕は欧陽旭だった。欧陽旭は激しく取り乱し、捕らわれまいと暴れ出した。するとついに皇帝と皇后が姿を現す。欧陽旭は全て聞かれていたと知り呆然、その場にへたり込んだ。「欧陽旭の官職を全て剥奪し、詔獄(ショウゴク)へ…いいや、皇城司の獄へ収監せよ! 顧千帆、朕に代わりしっかり取り調べてくれ」皇帝は趙氏、孫氏、宋氏の功績を認め、何でも望みを叶えることにした。「孫氏、言ってみよ」「わっ!私ですか?!…私は永安楼の新作料理を召し上がって頂ければ十分です 願わくば誥命(コウメイ)夫人の衣を賜りたく、栄に浴することができましたら、この上ない幸せです」「許そう」今や立派に自立した引章は、これを機に登聞鼓院が常に開かれ、杖刑が減ることを望むと嘆願した。皇帝はさすが″風骨″の文字を授かっただけのことはあると感心し、許可するという。皇帝は最後にパンRの望みを聞くことにした。するとパンRはいきなり3度ほど叩頭し、政に口を出す無礼を謝罪する。「私は父の罪により楽妓となりました…父は民を救ったがゆえに死んだのです 宋氏は官妓の家の出ですが、世塵(セジン)にまみれることなく、琵琶に邁進しています そんな私たちは欧陽旭より卑しいでしょうか?」パンRは賎民が決して卑しくないと証明するため欧陽旭を訴えたと説明した。男女を問わず一度、賎民になれば容易に抜け出すことはできず、一生、世間から見下されてしまう。パンRは楽師や職人、奴婢の家に生まれた者を賎民である苦しみから解き放って欲しいと涙ながらに嘆願した。良賎制は秦漢(シンカン)期に始まった。皇帝も改めたいと思っていたが、天下の大業ゆえ、代々の帝王が徐々に進める必要があるという。「では今日はまず1つだけ定めるとしよう… 今後、教坊司の優秀な楽師や職人に内侍省翰林院の職を授けるものとする つまり官吏だ、当然ながら賎民ではなくなる また国に貢献し、善行を積んできた官奴婢と私奴婢に対しては上奏を許可する 朝廷が適切に取り計らおう」そして皇帝もこの日をきっかけに堂々と劉婉を伴って朝議に向かった。永安楼では宋引章の琵琶を聞こうと多くの客が集まった。その様子を池蟠は上階から幸せそうに眺めている。一方、三娘は夢を叶え、杜長風との婚儀で鳳凰冠をかぶり、礼服を着た。傅子方(フシホウ)は母の新たな門出を喜び、仲睦まじい陳廉と招娣も2人を祝福する。こうして紆余曲折を経て幸せをつかんだパンR。顧千帆は愛するパンRが嫁いでくれる日を待ちながら、今日もパンRに付き添っていた。終わり無事に完走しました!中国ドラマにハマるきっかけがパンR演じるリウイーフェイが出演した武侠ドラマ金庸の女神と言われたイーフェイが久しぶりにドラマ復帰した作品でしたが、期待が大きすぎたせいか、ちょっとこれじゃない感が…ともあれ私の愚痴を聞きながら最後までお付き合いくださった皆様、ありがとうございましたw
2023.06.14
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梦华录 A Dream of Splendor第39話「決死の直訴」何としてでも都に留まりたい欧陽旭(オウヨウキョク)は皇后に寝返った。秘密を知った趙盼児(チョウパンアール)は欧陽旭に殺されそうになったが、駆けつけた陳廉(チンレン)に救われる。陳廉はパンRを無事に送り届けたが、皇后は決して自分たちを見逃さないと警告した。しかしパンRは必死で抗えば機会が生まれるかもしれないという。「蕭謂(ショウイ)が言っていたの、人が多い場所なら手は出せないと…」翌朝、雷敬(ライケイ)や高慧(コウケイ)の陳情を聞いた皇帝は蕭欽言(ショウキンゲン)を参内させるよう命じ、顧千帆(コチェンファン)の釈放を決めた。都虞候(トグコウ)・張允(チョウイン)の態度は一変、顧千帆への拷問を謝罪し、耳に良く効く薬を持たせて見送る。顧千帆は真っ先に桂花巷(ケイカコウ)へ駆けつけたが応答はなく、慌てて永安楼へ向かった。すると池蟠(チハン)からパンRが欧陽旭を訴えるため開封府へ行ったと知る。一方、欧陽旭は皇后の従者に昨夜の一件を報告していた。「深夜の上、大理寺の見張りもいたので使いを出せませんでした 皇后にパンRを始末するようお伝えください、さもなくば…」その時、屋敷に開封府から審理の通達が届いた。どうやらパンRは騒ぎを大きくして自分に手出しさせないつもりだろう。欧陽旭は動揺したが、従者はすぐさま審理を非公開にするよう手を回すことにした。「恐れるな、そもそも趙盼児は訴えることができない」審理は一方的に非公開となり、開封府の門は固く閉じられた。そんな不公正な中、パンRは欧陽旭が自分との婚約を一方的に破棄し妾になれと強要、断ると中傷を受けたと訴える。「物証も揃っています」すると欧陽旭はそもそもパンRに自分を訴える資格はないと伝えた。「趙氏の籍は銭塘(セントウ)、私は赴任地の新州にあります」長官はパンRが東京に移ってまだ1年経っていないと確認、確かに開封府の所轄ではないと退けた。「銭塘で改めて訴えよ」パンRが開封府を出ると正門で顧千帆が待っていた。思わず顧千帆に抱きついて喜ぶパンR、耳の怪我も幸い大した傷ではなかったという。すると野次馬たちはやはり探花の欧陽旭が勝ったと噂し、妓女だった女なら婚約破棄も仕方ないと見下した。これが世間というものだろう。自分が賎民の女子というだけで、人は善悪の区別もせず欧陽旭の側に立つのだ。「欧陽旭を訴えたのは千帆を救うためだった、でもこれからは自分の名誉挽回のために訴える 欧陽旭を法で罰してやるわ」顧千帆はパンRを応援すると励ました。陳廉は慌てて欧陽旭の後ろ盾が皇后だと教えたが、顧千帆はこの機会に欧陽旭こそ裏切者だと皇帝に知らしめるという。「やられたらやり返す、私のために来てくれたのだ、今度は私がパンRを助けなければ…」その時、見知らぬ書堂が声をかけた。「趙娘子、東京でもまだ訴状は出せます、少々、難しいですが…」実は景徳(ケイトク)年間、闕門(ケツモン)の外に官民の訴えを受理する登聞鼓院(トウブンコイン)が設置された。ここでの民の訴えは直接、皇帝に届くという。しかし朝廷のお達しで登聞鼓院が受理する案件は賂(マイナイ)や恐喝、殺人などの罪だけ、他の事案は通常、県から州へ順番に上告する必要があった。「…あとは越訴(オッソ)だ」パンRは登聞鼓院の太鼓を打ち鳴らした。しばらくぶりに鳴り響く太鼓の音、すると力自慢の孫三娘(ソンサンニャン)が途中で代わり、力の限りばちを振り下ろす。「訴えたのは誰だ?!」長官は訴状を受け取ったものの越訴であると分かった。越訴の場合、掟に従って訴人は杖刑20回を先に受けなければならない。それでもパンRは欧陽旭を訴えると譲らなかった。「そなたが勝訴しても私が与えられる罰はせいぜい結納品の返還だが?」「それでも構いません」パンRはどちらにしても高官が″八議(ハチギ)の法″で守られ、懲罰を減免されると知っていた。しかしパンRは自分が軽薄な女ではなく、欧陽旭こそ徳を欠いたえせ君子だと証明したいという。皇帝は太鼓を打ったのが趙盼児だと聞いて驚いた。すると皇后・劉婉(リュウエン)が駆けつけ、パンRを殺すべきだと進言する。大理寺の調べで欧陽旭を襲ったのは蕭欽言(ショウキンゲン)ではなく斉牧(サイボク)だと分かったが、審理が始まる直前になってパンRが欧陽旭を訴え出るとは怪しい。「そもそもなぜ今頃になって訴えるのでしょう? これも欧陽旭の名誉を傷つけ、大理寺への印象を悪くするためです 清流派は蕭欽言や顧千帆と結託したのでしょう、そしてパンRを味方につけたのです 皇上、今回ばかりは我慢なりません!」劉婉はこれ以上、夜宴図に悩まされるのはご免だと訴え、思わず涙ぐんだ。「皇上、お願いです! 大理寺には厳正に審理させ、欧陽旭殺害を企てたのが斉牧だと究明してください!」登聞鼓院での審理の日、空は暗雲が垂れ込め、冷たい雨になった。長官は改めて越訴の場合、訴えの乱発を防ぐため先に杖刑を受けてから審理に入る掟だと確認、執行の札を投げる。こうしてパンRは前庭に用意された執行台に乗った。目をそらさずパンRを見つめる顧千帆、しかし三娘と宋引章(ソウインショウ)は思わず目を背けてしまう。門では池蟠(チハン)たちが心配そうに見守っていた。すると4回目を打たれた時、パンRは激しく血を吐き出し、6回目で気を失ってしまう。欧陽旭はその姿を見ながら、まるで何かに取り憑かれたように呟いていた。「打て…いいざまだ…殺せ…」顧千帆たちは思わず執行人を邪魔してパンRを守った。長官は法廷への介入は大罪だと激怒したが、顧千帆は皇后が裏で手を回したのだと気づく。「杖刑とは臀(デン)杖で脊(セキ)杖ではない!こんな重刑を科し、趙氏を殺して口封じするつもりか!」驚いた長官は侮辱罪で顧千帆を捕らえるよう命じたが、顧千帆は公平性に欠けるとしてパンRを抱えて帰ってしまう。池蟠たちは何が起きたのか分からなかったが、ともかく急いで道を開けさせた。すると引章が悪徳官吏が勝手に脊杖に変えたと暴露する。「脊杖20回とは流刑になる者の罰だぞ?!」文人である濁石(ダクセキ)と袁屯田(エントンデン)は驚愕した。まさか冤罪を晴らすための場所で長官が訴人を殺そうとするとは…。「この世の公正はどこにある?!行こう!上申するぞ!」皇帝は御花園で偶然、女官たちの噂話を耳にした。「何の話だ、聞かせてくれ」「安陽殿の女官から聞いたのです、永安楼の趙娘子の杖刑のことや、実は武官の娘だったと…」パンRは実は趙謙(チョウケン)の娘だった。皇帝はパンRの凋落が自分のせいだと知って胸が痛む。しかし永安楼を訪ねた時、パンRは帰り際、皇帝に感謝していると話していた。…手が空くと陛下の息災を祈っています、陛下のご厚恩がなかったら都の華やかさを享受できず、酒楼も開けませんでした…皇帝は女官たちを集めてパンRをどう思うか聞いた。皇后の手駒となった崔(サイ)内侍は顔をひきつらせて皇帝の顔色をうかがうことしかできない。すると女官の1人が顧千帆のような夫を迎えられて羨ましいと言った。「″生き閻魔″の顧千帆が良き夫にもなるとはな〜」「何でも趙娘子のために刑場破りをしたそうです、天下一の良き夫です!」「刑場破りだと?!」何も知らなかった皇帝は後宮に駆けつけ劉婉を追及した。皇后が民の命を軽んじ、今や市井では″登聞鼓院も朝廷も不公正″と噂になっている。劉婉は自分が間違っているなら罰して欲しいと嘆願した。自分を追い詰める元凶の斉牧を処刑できるまであと少し、邪魔をされたくないのは当然だという。「婉R、私が怒る理由が分からないのか?」皇帝は子を産めない劉婉に借り腹を認め、権力を望むゆえ立太子も見送って来た。お忍びで永安楼へ行った時も別の意図があると誤解され、パンRへの嫉妬もあったのだろう。「国を納める道は平坦ではない、まさか朕が何事にも寛容だと思っているのか? 父皇の教えだ、″君たる道、気ままであるべからず、心に天の理を抱き、民意を重んじよ″と… 朕はたとえ斉牧に陥れられたとしても皇后を信じた 趙盼児を殺したところで皇后がでっち上げた斉牧の罪状に世の民は納得すると思うか? …よく考えなさい」皇帝は皇后に真心で接して来ただけに、失望も大きかった。劉婉はその場でへたり込んだまま動けなかった。ふと気がつくと夜も更けて真っ暗な寝宮に独り、すると突然、顧千帆が現れる。「夜半に皇后の寝所に侵入するなど死罪になるわよ?!」「分かっています」すると顧千帆は拝跪し、実は蕭欽言の実子であると明かした。しかし育ててくれた叔父・斉牧に皇城司へ送り込まれ、蕭欽言に対抗するため宮中の機密を集めて来たという。「皇后の身辺調査で夜宴図の存在を知り、絵を隠滅する任務で訪れた銭塘でパンRと知り合いました 私は大勢の官吏の秘密を握っています、手駒にしていただけるなら皇后への忠誠を誓います どうか許嫁・パンRの命をお助けください」劉婉はならばパンRに訴えを取り下げさせ、斉牧の審理が終わったら欧陽旭を引き渡すと言った。「煮るなり焼くなり好きにして」「…取り下げはできません、欧陽旭を死罪にしてパンRの名誉を回復させたいのです」「馬鹿な…悪いけど力にはなれないわ」つづく( ๑≧ꇴ≦)えーっ?!まだ1年経ってないの? ←そっち?w
2023.06.13
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梦华录 A Dream of Splendor第38話「背後に潜む者」母・孫三娘(ソンサンニャン)と師範・杜長風(トチョウフウ)が恋仲だと知った傅子方(フシホウ)は猛反発。女子は三従四徳を守り、父に夫に子に従うべきだと言い放った。「俺の同意なしに一緒にはさせない!」しかしこの言葉を聞いた三娘は息子に深く失望し、自分の婚姻に口出しできる者などいないという。「私が甘やかし過ぎたせいね…母の慈愛に子が応えるとは限らない、あなたは父親そっくりだわ」すると三娘は息子を置き去りにして帰ってしまう。 子方は屋敷へ戻ると母に謝罪した。着替えを持って待っていた三娘は、改めて自分は母である前に女であり人だと言い聞かせる。しかし礼服を着る夢を叶えたくて息子に学問を強要したのも事実だった。「これからは私の夢のために生きなくていい、礼服を着る夢は自分で叶えるから…」三娘はもう怒っていないと安心させた。永安(エイアン)楼を任された宋引章(ソウインショウ)は立派に勤めを果たし、趙盼児(チョウパンアール)へ報告に来た。引章の楽しそうな様子に安堵するパンR、そこへちょうど顧千帆(コチェンファン)が帰って来る。実は都を発った欧陽旭(オウヨウキョク)が海賊に襲われ、命を落としていた。しかし今朝の朝議で顧千帆も突然、言官に弾劾されたという。商人と通婚を図り、許嫁に買い占めをさせて民と利を争っているというのだ。その時、屋敷に侍衛司が踏み込んだ。都虞候(トグコウ)・張允(チョウイン)は勅命により顧千帆を連行するという。顧千帆はすぐ戻るとパンRを安心させたが、結局、夜になっても帰ってこなかった。顧千帆は張允がかつて殿前司(デンゼンシ)・崔(サイ)指揮の配下だったと知っていた。「敵討ちのつもりか?」恐らく張允はその復讐心を利用され、清流派と皇后派の争いに巻き込まれたのだろう。しかし皇帝は拷問を禁じているはず、その証拠に身体に目立った傷が残らないよう水責めしかしなかった。顧千帆は政争に関わらないよう警告したが、張允は次に鐘刑を命じてしまう。パンRは陳廉(チンレン)から事情を聞いた。実は蕭(ショウ)家の印が入った宝玉が顧宅から見つかり、欧陽旭を襲った賊の骸にも蕭家の紋があったという。蕭欽言(ショウキンゲン)は現在、病を理由に謹慎中だった。すると蕭宰相の前妻が顧千帆の″叔母″らしいと噂が広まり、蕭欽言が息子も同然の顧千帆を出世させたと憶測が流れる。言官は蕭欽言が顧千帆の婚姻に不満で、顧千帆が一緒だと知らずにパンRを襲ったと上奏した。驚いた皇帝は今回ばかりは皇后と蕭宰相のやり過ぎだと激怒したが、皇后が潔白を主張したため顧千帆の尋問を命じたという。「つまり陛下は顧千帆を皇后派と見なし、夜宴図の件で私に嘘をつかせたと思ったんだわ 皇后の罪を隠したことが拘束した本当の理由なのね」パンRはひとまず静観することにしたが、自分の命を狙ったのが蕭欽言でも斉牧(サイボク)でもないと感じていた。顧千帆の消息が全く分からないまま丸1日が経った。皇城司もパンRも身動きが取れず不安が募る中、杜長風は自分が偵察に行くと申し出る。「これでも官吏だ、何があっても切り抜けられる、男なら家族の困難に立ち向かわなくては…」孫三娘(ソンサンニャン)は杜長風の力強い言葉に感激し、パンRも拝礼して感謝した。杜長風は医者に成りすまし、顧千帆の診察を命じられたと嘘をついて牢獄に潜入した。すると顧千帆は拷問で耳から血を流し、音が良く聞こえないという。「皆、むやみに動くなと伝えてくれ…陛下のお望みは私の審問でパンRと永安楼には手を出さない つまり陛下は何かを疑っているが確かな証拠はない 当初、雷敬(ライケイ)が私に夜宴図を探させた、恐らく奴は今頃、必死で陛下を説得しているだろう 私が死ぬことはない、くれぐれもパンRを心配させないでくれ…」しかし嘘がつけない杜長風は鋭いパンRにあっさり見抜かれてしまう。顧千帆は拷問されて耳を痛め、高熱を出していた。心配したパンRは陳廉に見張りをまいて欲しいと頼み、顧千帆を唯一、救える蕭欽言に会いに行く。しかし蕭欽言はすでに手を回してあると教え、5日以内には解放されると教えた。「その間、そなたは東京を離れた方がいい」蕭欽言は家職を呼び、馬車に厳重な守りをつけてパンRを送るよう命じた。「千帆はいい子だ、そなたもな…全て悪いのは私だ」パンRは馬車に乗って蕭府をあとにした。すると突然、蕭謂(ショウイ)が車に乗り込んでくる。「助けに来た」蕭謂は父が顧千帆を見限ると教えた。実は皇后が蕭欽言と顧千帆の噂を耳にし、疑心暗鬼になったという。「父が絵の存在を隠し、異心を抱いていると… そこで父は今日、劉(リュウ)国舅(コッキュウ)と接触し、断言した 当時、顧氏とは憎み合って別れ、顧千帆とは帽妖事件以外で一切、関わりがないとな …残酷だと思うだろうが昔からだ、だから今の地位がある 父にとって父子の情など取るに足らぬもの、最も重要なのは権勢だ」蕭謂はパンRが何も知らずに父を頼ったと思ったが、パンRはすでに父が自分の父親の敵だと知っていた。「私を狙ったのは蕭宰相ではない、でも顧千帆が捕まって私を消す気になったのね 私が斉牧一派に殺されたように見せかければ宰相と顧千帆の疑いは晴れるから… でも顧千帆さえ助かるなら宰相を恨まないわ、この命を差し出してもいい」「なるほど、血を流しても君を娶りたがるわけだ」「どうして助けてくれたの?顧千帆を嫌っていたのに…」「それでも私の大哥だ、帽妖事件の時は命を救われた、妬んでいても死んで欲しくはない」蕭謂は兄の大事な人も守りたいと訴え、しばらくは永安楼にいるよう勧めた。「人が多い場所なら手は出せまい…大嫂、気をつけて」雷敬は顧千帆が予想した通り、皇帝を必死に説得していた。夜宴図の件は何度も調べたが絵空事であり、任務以前の顧千帆は何も知らず、ましてや趙氏との結託などあり得ないという。蕭欽言も前妻の″甥″である顧千帆を引き立てたことはなく、もしそれが事実なら自分が顧千帆に厄介な任務を任せられるはずがないと訴えた。そもそも顧家は清流派、前妻とも憎しみあって別れたのだろう。一方、パンRは蕭謂の助言に従い永安楼にいた。すると陳廉から思わぬ知らせを聞く。実は死んだと聞いていた欧陽旭が救出され、大理寺が都に護送していた。「使用人2人と桂花を満載した商船の船員、計8名が死にましたが、 欧陽旭は川に飛び込み、板を抱えて助かったとか…」陳廉は欧陽旭を説得し、全て清流派の仕業だと皇帝に証言させてはどうかと提案した。しかし斉牧は蕭欽言と顧千帆が父子だと知っている。パンRは逆に父子の結託と経歴改ざんで死に追いやられると考え、反対した。つまり黒幕は蕭欽言と顧千帆が親しい関係だとしか知らないのだろう。「…欧陽旭に会うわ」パンRは大理寺の見張りを催眠香で眠らせ、欧陽宅に潜入した。中庭では陳廉が物陰に潜んで警戒している。欧陽旭はパンRが自分を殺しに来たと思ったが、パンRは否定し、証言を頼みたいと切り出した。「あなたの部屋は鵝梨帳中香(ガリチョウチュウコウ)の香りがする…巷では少ないけれど宮中では珍しくない 皇后の使者に会っていたのね?そうでしょう? 賊に襲われたというのは嘘、黒幕は斉牧ではなく皇后だわ、あなたはとうに皇后に寝返っていた 皇后は夜宴図の件で斉牧を恨んでいる、都から追い出しても今後のために潰したかったはずよ? そこで連環計を謀った、まずは蕭欽言を疑うよう仕向け、証拠に不備を残す 斉牧は都におらず陛下に釈明できない 陛下は皇后はを疑い、それ以上に清流派を疑う、と同時に皇后は勢いづく蕭欽言を牽制できる」「なぜ分かった?」パンRは欧陽旭が桂花の過敏症だと知っていた。そんな欧陽旭が都を出るために桂花を積んだ船に乗るはずがない。パンRは最初から最後まで誰かが手配した計略だと気づき、背後にいるのが皇后だと分かった。しかし欧陽旭は全て自分が計画したと否定する。実は欧陽旭は恥を忍んで皇后の兄を頼っていた。完全に斉牧と敵対したため、今後は皇后に尽くすと誓ったという。「私が命懸けで仕組んでこそ皇后は斉牧を排除できる だから皇后は私を信じて東京に残れるよう機会をくださった…」「そのために8人の命を奪い、私を殺そうとしたのね?」欧陽旭は他に道がなかったと訴えながら、急に膝から崩れ落ちた。苦しそうに項垂れる欧陽旭、驚いたパンRは恐る恐る顔をのぞき込んだが、その時、欧陽旭がパンRの首をつかんで押し倒した。「君が憎い、私を変えたのは君だ!なぜ私を拒み、顧千帆を選んだのだ?!」欧陽旭は恨みつらみを爆発させたが、気がつくと抵抗していたパンRの手がだらりと床に落ちた。激情に駆られた欧陽旭は愛するパンRを手にかけ、思わず腰が抜けた。しかしもう選択肢はない。欧陽旭は次に顧千帆を殺すと息巻いたが、その時、死んだふりをしていたパンRが欧陽旭の頭を蹴り飛ばして逃げようとした。「誰か!」パンRの悲鳴に気づいた陳廉は急いで部屋に乗り込み、欧陽旭を殴ってパンRを救出する。そこへ目を覚ました護衛たちが駆けつけたが、欧陽旭は追うなと命じた。…慌てるな、パンRに知られたところで証拠はない、どうせ顧千帆は牢だ、明日、皇后に報告すればいい…一方、雷敬はまだ皇帝を説得していた。欧陽旭が刺客に襲われたというのもおかしな話、もし蕭欽言の指示ならしくじるはずがないという。すると突然、賢(ケン)妃の姪である高慧(コウケイ)が心の友であるパンRの陳情にやって来た。パンRが顧千帆の権勢で商売敵を抑えたなど事実無根であり、そもそも他の酒楼の嫌がらせが原因で香料を買い占めただけだという。「都で頼る者もいない女子が酒楼を開くことは大変なことです! 無辜の民を政争に巻き込まないでください!」すると崔内侍は食い下がる高慧を止め、強引に連れて下がった。皇帝は気位の高い高慧がなぜパンRと友人になったのか首を傾げた。すると雷敬はこの機を利用し、皇后も潔白だからこそ侍衛司に顧千帆を調べさせ、蕭宰相を謹慎させたのだと畳み掛ける。「これも陛下を信頼してのこと もしこの件が誣告だった場合、陛下が蕭宰相の復帰を遅らせれば皇后が傷つくのでは?」一方、陳廉はパンRを無事に桂花巷(ケイカコウ)へ送り届けていた。つづく( ゚ェ゚)え?使用人2人って…ザワザワ…
2023.06.12
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梦华录 A Dream of Splendor第37話「募る憎しみ」東京(トウケイ)に来た当初はしおらしくしていた傅子方(フシホウ)。しかし次第にわがままになり、孫三娘(ソンサンニャン)は手を焼いていた。今朝は書院に行かないと駄々をこねる息子を送り届けたが、三娘は仕事にかこつけて息子の相手をしない自分を責めてしまう。すると杜長風(トチョウフウ)が現れ、子方ももう14歳、母親とべったりでは笑われるとなだめた。「君の息子は私の息子も同然だ、私が育て上げる」三娘はしみじみ杜長風との出会に感謝し、都へ来たことは人生で最も正しい選択だったと言った。趙盼児(チョウパンアール)と顧千帆(コチェンファン)は復縁し、幸せな時間を過ごした。しかしパンRは軌道に乗った永安(エイアン)楼の仕事が忙しく、今は婚礼どころではない。パンRとの結婚生活を夢見る顧千帆だったが、それでも無理強いはしなかった。「私に嫁ぐのはいつだっていい、ずっと嫁がなくても私は待っているよ 君は恨みを捨てられる人だが、わだかまりはあるはずだ 君に付き添い、心の傷をゆっくり癒して行きたい」パンRは顧千帆の真心に感激し、思わず涙ぐんでしまう。すると顧千帆は夜宴図(ヤエンズ)の件も解決したと安心させた。「欧陽旭(オウヨウキョク)は新(シン)州の通判に…」「横滑りで降格ではない、欧陽こそ諸悪の根源なのに…」欧陽旭は辺地に飛ばされると知って絶望した。皇帝の怒りはすでに静まっていたはず、恐らく斉牧(サイボク)と顧千帆にそそのかされたのだろう。そこで赴任するまでの十数日の間に活路を見いだすべく、銭をかき集めることにした。「西京(セイケイ)での苦労を2度と味わいたくない、ここに留まれるなら命を売り渡してもよい」叔徳(シュクトク)は欧陽家の最後の身代である屋敷の売却に反対したが、欧陽旭は子明(シメイ)に証文を渡してしまう。欧陽旭はパンRに謝罪するため永安楼を訪ねた。驚いた宋引章(ソウインショウ)は咄嗟にパンRなら留守だと追い返し、謝罪文をパンRに届ける。…この情、追憶となるを待ち、惘然(ボウゼン)とする…パンRは欧陽旭が自分たちの追い打ちを恐れて旧縁にすがっているだけだと分かった。皇帝の欧陽旭への処分は確かに甘すぎだが、欧陽旭にとって前途を断たれるのは何よりの罰だろう。そんな折、池蟠(チハン)当てに酒楼組合から招請状が届いた。パンRに香料を買い占められたと知り、来年の醸造権の入札について相談したいという。「女子が正店を営むことを組合は禁じて来た、君が会合に行けば鼻を明かせるぞ?」パンRは明日の休みに顧千帆と出かける予定だったが、池蟠の言葉で心が動いた。欧陽旭は子明が400貫しか持って帰らなかったことに激怒、折檻した。実は淑徳から売らずに質入れしろと指示されたという。そこへ慌てて淑徳が現れた。淑徳は質入れなら請け出すことができると訴えたが、欧陽旭は質札を出すよう迫る。「私は先代に欧陽家を託された身、たとえ死んでも渡せません!」激情に駆られた欧陽旭はいきなり淑徳を殴打、そのまま撲殺してしまう。「欧陽家の主はお前か?!私だ!くたばれっ!」子明は常軌を逸した主の様子に呆然、腰が抜けて動けなくなった。顧千帆はパンRとの生活のため、調度品を買い揃えた。するとパンRは改めて蔵の鍵を要求、このままでは破産してしまうという。そこへ陳廉(チンレン)が子犬を連れてやって来た。「ご命令どおり賢い犬です!」顧千帆とパンRは幸せに包まれ、これからは顧宅で楽しい毎日が待っていると信じて疑わなかった。池蟠は酒楼組合へ出かけるため馬車でパンRを迎えにやって来た。しかしパンRを心配した顧千帆が一緒について来る。狭い車の中でにらみ合いを続ける顧千帆と池蟠。痺れを切らしたパンRは2人をなだめ、今回は入札を打診されても断ろうと提案した。「今、手を広げ過ぎてもうまく回せない 杜氏もいないし、人選びに失敗すれば名折れになるわ 商いも戦と同じ、攻めてばかりではいけない」その時、馬車が急停止した。露店と馬車が接触、道がふさがっている。するとパンRは組合ならもう近いので歩こうと言った。パンRたちが組合への道を歩いていると、突然、工事中の陸橋から材木が落ちて来た。池蟠は運良く免れたが、パンRをかばった顧千帆は材木の下敷きになってしまう。その時、顧千帆は陸橋の上から自分たちの様子を確認する男と目が合った。顧千帆は男が自分たちを狙ったと気づいて暗器を放ち始末したが、そのまま意識を失ってしまう。顧千帆は大事に至らず、足を負傷したパンRは顧宅で静養することになった。知らせを聞いた杜長風は慌てて桂花巷(ケイカコウ)へ駆けつけたが、子方は師範の姿を見て動揺する。「母さんに用ですか?僕は何もしていませんよね?」陳廉は咄嗟に自分が呼んだと取り繕い、一緒に昼餉を食べようと誘った。三娘は杜長風の優しさに感激しながらも、まだ息子に婚姻の件を伝えることができなかった。杜長風はこそこそ付き合いたくないと漏らしたが、三娘の気持ちを汲んで待つことにする。一方、陳廉は引章に永安楼の主を託したいとパンRから事付かっていた。パンRは軽傷だが事情が複雑なため、顧千帆がそばに置いておきたいという。現場に先に駆けつけたのが開封府のため皇城司は手を出せなかった。引章は了承したが、刺客の狙いが誰だったのか気になる。もしや酒楼組合だったのか。しかしパンRたちを狙ったのは酒楼組合ではなかった。王楼(オウロウ)店主はパンRの事件に酒楼組合が関わっていないと確認して安堵した。するとこの機に店主が宋氏に代わると分かり、思わぬ好機だと喜ぶ。そんなある晩、永安楼に急報が舞い込んだ。可四(カシ)が長楽(チョウラク)郡主府へ料理を届けたが、蟹醸橙(カイジョウトウ)の蟹が腐っていると騒ぎになっているという。引章と三娘が長楽郡主府に駆けつけると、可四が門前に縛り付けられていた。すると誰が煽ったのか、騒ぎを聞きつけて人だかりが出来ている。その時、腐った蟹を持って家職が現れた。見たところ確かに蟹は腐っていたが、引章は同行した医官に調べさせ、蟹みそが朱色だと分かる。三娘は群衆にわざわざ蟹みそを見せて回り、これが永安楼の料理ではないという証拠だと訴えた。「赤いみそは雌蟹特有のもので、雄蟹のみそは黄色です、召し上がった方ならお分かりでしょう 水産組合も証言してくれます、雌蟹を永安楼に卸したことは一度もないと…」実は東京で貴重な江南産の蟹を提供しているのは永安楼だけだった。他店が出している沢蟹とは身の肉が全く異なり、医官はひと目で判別したのだという。潔白を証明した三娘は可四を解放した。すると可四は陰謀だと訴え、群衆を焚き付けたのが王楼の店主だと暴露する。引章は訴状の到着を待つよう告げたが、焦った家職は結託を否定し、自分も騙されたと謝罪した。しかし翌日、今度は李家に酒を買いに行った葛招娣(カツショウテイ)が断られて帰って来る。何でも欲しいなら鬱金(ウッコン)と蘇合(ソゴウ)を全部差し出せと脅して来たとか。「ここは池蟠の出番ね」あの事件以来、池蟠は寝殿に引きこもっていた。引章は寝所へ乗り込み、このまま永安楼が潰れたら笑いものになるという。ようやく永安楼が嫌がらせを受けていると知った池蟠は一念発起、地方で酒を買って来ると出かけて行った。その夜、杜長風は三娘を抱きしめ慰めていた。しかし運悪く厨房へ来た子方に見られてしまう。2人の関係を知った子方は屋敷を飛び出したが、追いかけて来た三娘たちに橋で挟み撃ちにされた。「来るな!飛び込むぞ?!こんな破廉恥な女、母親じゃない!よその男と通じるなんて!」すると激怒した引章は子方を橋から落としてしまう。「溺れやしないわ」確かに子方は浅い水路であっさり立ち上がった。「俺は悪くないぞ!」「いいえ、銭塘(セントウ)で必死に育ててもらった恩にどう報いたの?! 東京では最上の衣食を与えられ、書院にも通ってる、あなたに孝行心はないの?!」「とにかく下種と通じるなんて間違ってる!」これにはさすがの杜長風も言い返した。「私は進士で下種などではない、君の母君は表裏のない清らかな人だ 君子と淑女が愛し合うのは喜ばしきこと、恥でも何でもない」「でも…おれは許さないぞ!」 つづく( ๑≧ꇴ≦)引章、覚醒!意外にも最後は一番カッコよくなりそうw
2023.06.11
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第20話雲夢澤(ウンムタク)に居を構え、人間の振りをして過ごすことになった東方青蒼(ドンファンチンツァン)と小蘭花(シャオランファ)たち。すると結黎(ジエリー)が花街へ出かけようと提案した。「だって気晴らしに来たのでしょう?」人間界に来た目的を隠していた東方青蒼と觴闕(ショウケツ)は黙って付き合うことにしたが、飛仙(ヒセン)閣という酒楼に鹿城(ロクジョウ)で名高い芸妓・謝惋卿(シャワンケイ)がいるという。惋卿は芸と教養で並ぶ者がなく、仙女にも勝る美貌だと評判だった。惋卿の客には名門貴族が名を連ね、その顔を拝めるのは招待状を持つ客だけだという。しかし東方青蒼は大枚をはたき、今夜の宴に潜り込むことに成功した。日が暮れる頃、東方青蒼たちは中庭に入ったその時、小蘭花は招待客の中に長珩(チャンハン)にそっくりな人間を見つける。しかし男の腰飾りが奇幻流蛍石(キカンリュウケイセキ)だと気づき、やはり長珩本人だと確信した。なぜ歴劫で人間界に転生したのか分からないが、東方青蒼に見つかったら殺されてしまう。焦った小蘭花は東方青蒼を連れて前の席に座り、振り返らないよう気をつけた。謝惋卿の舞が始まった。その妖艶さに誰もが目を奪われる中、小蘭花は謝惋卿のうなじに業火(ギョウカ)の傷跡を発見する。3万年前、業火で傷を負った神仙と言えば先の戦神・赤地女子(セキチジョシ)。小蘭花は東方青蒼の目的が先戦神の元神を奪うことだと分かった。…先戦神の元神を使って何をするつもり?何とか阻止して歴劫を成功させなければ…すると舞台が終わり、長珩が急に立ち上がって歓声を上げた。驚いた小蘭花は咄嗟に東方青蒼に腹が痛いと訴え、長珩が見えないよう視線を遮る。長珩は人間界で放蕩息子として有名な蕭家の次男・蕭潤(ショウジュン)に転生していた。謝惋卿の房間を訪ねることができる客は一人だけ、その日、最高の品物を贈った客だった。すると蕭潤が下賜品の紅珊瑚を贈り、今夜の客に選ばれる。皆の注目が蕭潤に集まる中、小蘭花は咄嗟に腕輪を落としたと嘘をつき、霊力を使えないので皆で探して欲しいと訴えた。「だって骨蘭(コツラン)は私にとって唯一無二の宝だもの」その間に蕭潤は給仕に案内されて中庭を後にした。「見つかったわ!」しかし東方青蒼は小蘭花の不自然な様子を怪しんでいた。蕭潤は謝惋卿の房間に入った。実は蕭潤の父親は謝惋卿の父と同期の役人で、先帝は当時、蕭潤と謝惋卿の婚姻を下賜している。蕭潤は紅珊瑚を贈って求婚に来たと言ったが、謝惋卿は断った。謝家は10年前に派閥争いに敗れ、男たちは全員、極寒の地に流され、女子たちは妓女に落とされている。「あなたとは一杯の茶を飲むだけの縁、厚意は受け取るのでお帰りください」「また日を改めるよ」蕭潤が出て行くと、謝惋卿は紅珊瑚を返すよう指示した。長珩を追って歴劫に来た丹音(タンイン)は蕭潤の従者・曲水(キョクスイ)に転生していた。蕭潤は紅珊瑚を持ち出したことがばれて棒打ちの罰を受けたが、それでも謝惋卿を娶ると譲らない。実は蕭家は妓女に落ちた謝惋卿を許嫁と認めていなかった。しかし曲水は主がなぜ愛していない謝惋卿にこだわるのか分からない。「幼い頃からよく仙女の夢を見るのだ… とても気高く、谷間に咲く蘭のようで、彼女と少し似ている、縁があると思うんだ」宴が終わった。飛仙閣を出た東方青蒼は情義がないならなぜ骨蘭を″唯一無二の宝″と言ったのか小蘭花に尋ねる。「私を騙したのか?」「違う」「ならば情がないというのが嘘なのか?」「それも違う、もしもあなたが水雲天を攻めることがあれば、あなたは私の敵よ? …あなたこそ私に怒っていないの?前は私が文句を言ったり逆らったりすると怖い顔で怒ったわ」「そんな風だったか?」「そうよ?でも近頃は違う…本当に怒っていないの?」東方青蒼は確かになぜか怒る気になれないと気づき、自分でも困惑した。屋敷に戻った東方青蒼は觴闕に本心を打ち明けた。「近頃、心が乱れて集中できぬのだ、特に小蘭花には怒るべき時であってもなぜか腹が立たない」しかしあれ以来、小蘭花は自分と距離を取り、確かに静かにはなったが心の中にぽっかり穴が空いたようだった。「尊上、実は私も同じです」觴闕も結黎への自分の思いに戸惑っていた。小蘭花は結黎に長珩仙君が歴劫で人間界にいると明かした。上級の神仙が歴劫をしくじれば大事、そのため東方青蒼には隠したいという。しかも妓楼で踊っていた謝惋卿は先の戦神・赤地女子だった。結黎は3万年前に死んだ戦神が蘇るのかと驚いたが、小蘭花にも詳しいことは分からない。「ただ月尊大人は赤地女子の元神が欲しいみたい」明日は元宵節、謝惋卿が運命の相手・蕭郎と巡り合う日だ。すると小蘭花は蕭郎とは長珩の転生した蕭潤のことだと気づく。一方、息山(ショクサン)で精気を養っていた容昊(ヨウコウ)は雲夢澤が乙酉(イツユウ)年の元宵節だと聞いた。「そばで見守らねば…」元宵節の夜、小蘭花と結黎は人間と同じように灯籠を持って祭りを楽しんでいた。しかし東方青蒼は赤地女子の歴劫を見守らねばならず、早々に引き上げるという。そこで結黎は気を利かせ、偵察して来ると言って觴闕を引っ張って行った。結黎は意味が分かっていない觴闕に月尊と小蘭花を2人きりにしたと教えた。「私たちも2人きりね?」しかし觴闕は急に恥ずかしくなって急いで行ってしまう。一方、東方青蒼と小蘭花は気まずそうに2人で散策していた。すると少女が花を買って欲しいと声をかける。「この花を恋人の髪に挿して、そうすれば100年も一緒にいられるの」「100年だけか?」※人間界の100年=仙界の100日「10万年も100万年も一緒にいられるよ」東方青蒼は大きな芍薬の花を買うと、小蘭花の髪に挿した。「人間の男の真似をしただけだ」「…ねえ、本当に気晴らしで来たの?私を騙してない?」「だますものか、気晴らしだ…そんなに心配なら今後はお前を決して騙さないと誓う だからお前も私を騙すな、よいな?」その時、東方青蒼は露店で売っている鞠を見つけた。父と蹴鞠で遊んだことを思い出し、しばし物思いにふける東方青蒼、しかしふと気がつくと小蘭花の姿が消えていた。一方、蕭潤は賭場で大負けしていた。ついに大事な玉まで賭けて負けてしまったが、回収される前に玉を取り戻して逃亡してしまう。その頃、謝惋卿は祭りの喧騒を嫌って房間に閉じこもっていた。すると夜も更けた頃、どこからともなく簫の音が聞こえて来た。つづく( ๑≧ꇴ≦)長珩仙君は人間界の方が生き生きしてる!
2023.06.10
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第19話東方青蒼(ドンファンチンツァン)は小蘭花(シャオランファ)のおかげで七情を取り戻し、父へのわだかまりも解けた。そこで月族の掟に従い、小蘭花の頬に赤い顔料をつけて感謝を捧げる。小蘭花はこれで三界に平和が訪れると安堵したが、東方青蒼の口からとんでもない発言が飛び出した。「そなたの家に帰れぬ辛さがやっと分かった…本座は決心した 水雲天(スイウンテン)を平定し、雲中君(ウンチュウクン)を討ち取ってお前の家を取り戻す!(๑•̀ㅂ•́)و✧」思わぬ結果に小蘭花は呆然、気分がすぐれないので休みたいと断り、部屋に戻ってしまう。「本座の介抱で寝ていなかったであろう…ゆっくり休め」( ತ _ತ).oO(月尊を変えられると思った私がバカだった…東方青蒼は帰り際、小蘭花から受け取らなかった蘭@16話を見つけ、寝宮に持ち帰った。すると觴闕(ショウケツ)が承影(ショウエイ)剣の破片を持って現れ、罰を請う。「最後の一片を見つけ出せませんでした」実は破片を全て集めて承影剣を鋳(イ)直せば蘭花仙子が殺されるため、辛くて身が入らなかったのも事実だと認める。しかし東方青蒼は見つからないのなら最後の一片は砕け散ったのだと話し、探す必要はないと許してくれた。「捨てるがよい」觴闕が寝宮を出ると、回廊で巽風(ソンホウ)と出でくわした。巽風は觴闕が持っているのが承影剣の破片だと気づき、兄が不要なら欲しいという。「最後の一片を探し出せるかもしれない」すると觴闕は最後の一片なら砕け散ってしまったようだと伝え、巽風に渡した。雲中君は昊天(コウテン)塔に丹音(タンイン)を送り、弟に退路を残した。そこで丹音は嘘でも罪を認めれば出られると説得したが、長珩(チャンハン)は愛する人を守ることが過ちだというなら、このままでいいという。丹音は長珩を鼓舞するため、悲しまずとも小蘭花は戻って来ると教えた。実は司命仙君の神器・天極鏡(テンキョクケイ)で長珩と小蘭花が雲夢澤(ウンムタク)で婚礼を挙げる様子を見たという。驚いた長珩は歴劫で人間界に転生しようと思いつき、丹音に脱獄させて欲しいと懇願した。丹音は反対したが、長珩はこれが唯一の機会だという。「君は愛を知らないからだ…頼む!手を貸してくれ!」丹音は長珩の願いを断れず、結局、昊天塔から逃がし、神水庁(シンスイテイ)へ向かった。「ありがとう、丹音、来世では必ずこの恩に報いるよ」すると長珩は滝の中に身を投げてしまう。…あなたは私が愛を知らないと言ったわ、それは違う、私は愛を誰よりも知っている…丹音は愛する長珩を守るため、共に歴劫に行く道を選んだ。その夜、小蘭花は幼い自分が両親と楽しそうに遊んでいる夢を見た。…私には両親がいないはず、最近こんな夢ばかりだわ…小蘭花は太古の神霊・元亀(ゲンキ)から言われたことを思い出し、自分の真身が分からず思い詰めてしまう。翌日、東方青蒼はなぜか急に寒気に襲われた。業火(ギョウカ)を身につけた東方青蒼は寒さとは無縁のはず、原因は小蘭花に違いない。その頃、小蘭花は極寒の洞窟にこもっていた。結黎(ジエリー)は小蘭花が凍え死ねば自分も月尊に殺されると訴えたが、小蘭花は自分が何者か突き止めたいという。すると東方青蒼が毛布を持って駆けつけた。東方青蒼が小蘭花に毛布をかけてやると、結黎はそそくさと出ていった。「お前は息山(ショクサン)の蘭だと言っただろう?」「だけど元亀は私の真の姿を示さなかった…私の真身は見たことのない葉っぱだった…」東方青蒼は思わず小蘭花を抱きしめた。「何者だろうと関係ない、お前は三界で私が最も気になり、最も大切にしたい者だ 永遠に私のそばにいれば良い」すると急に小蘭花は東方青蒼の腕から飛び出した。「いや!あなたは月尊、仙界を平定し、水雲天の者を皆殺しにするのでしょう?!」東方青蒼は困惑し、小蘭花にどうしたいのか聞いた。しかし小蘭花は仙族でも月族でもない自分にはどちらにも義理などないという。「私は得体の知れない草よ、私たちの間には情も義もない…もう私に構わないで!」「なぜ今になってそんなことを…自分で仙族ではないと言ったろ?」「ごめんなさい…でも水雲天は私の家、大事な人もいるわ、あなたの他は皆、水雲天にいる…」東方青蒼は小蘭花の言葉に深く傷つき、独りで帰ってしまう。巽風は人間に生まれ変わった赤地女子(セキチジョシ)の赤子を発見した。そこで玄虚(ゲンキョ)の境で封印を解くことにしたが、巽風が取り出した元神があやうく消散しそうになる。東方青蒼は慌てて元神を赤子に戻したが、赤子は元神を取り出されてもなぜか死んでいなかった。東方青蒼は結黎を使って小蘭花から歴劫の情報を聞き出した。「神仙は人間に転生するたびに違う運命があるの、運命簿の命格詩に従って生きるわ 例えるなら運命簿は台本で、命格詩は台本のあらすじみたいなものよ 台本ほど細かくはないけれど、命格詩には経験すべきことが書かれているの」「″試験で首席を取り、役人となる″と書かれているのに試験に行けなくて首席になれなかったら? 歴劫は失敗ってこと?」「そうなるわ、失敗すると霊力を損なうか、最悪、灰になってしまう だから霊力が強い神仙ほど歴劫は危険なの」「もし歴劫に出た上級の神仙が赤子のうちに死んだら元神は灰になるの?」「なるわ、だから余程の理由がない限り歴劫に出ない方がいい」東方青蒼は隠れ身の術でその話を全て聞いていた。東方青蒼は赤地女子の元神をやみくもに奪えないと知った。しかし巽風は小蘭花をいぶかしみ、そもそも修繕が済んだのなら殺すべきだという。東方青蒼は殺せない理由があるとだけ答え、ともかく赤地女子を運命簿通り鹿城(ロクジョウ)へ送り届け、歴劫を見守るよう頼んだ。小蘭花は結黎が急に運命簿に興味を持ったことを怪しんだ。…誰かに頼まれたのかしら、確か″上級の神仙″と言ってたわ…そう言えば修復した運命簿は謝惋卿(シャワンケイ)という人間だった…もしや転生した上級の神仙?でも歴劫中の神仙なら私が知らないはずはない…でもなぜあの運命簿は海市(カイシ)に保存されていたのかしら小蘭花は修復した運命簿に書かれていた命格詩を思い出しながら書き出した。新婚初夜に新郎に斬ら殺されるとは、何とむごい運命なのか。その時、小蘭花は鏡に映る自分の顔が謝惋卿に変わるのを見た。もしや謝惋卿とどこかで会ったことがあるのだろうか。觴闕と将棋を指すと言って出かけた結黎が戻ってきた。何でも雲夢澤へ行く月尊のお供で夜まで戻らないという。「鹿城は寂月宮よりも楽しいもんね~」…鹿城?!謝惋卿がいる鹿城だわ…小蘭花は東方青蒼が謝惋卿を探しに出かけたと気づいた。聞けば人間界はちょうど正月、命格詩によれば元宵節に謝惋卿は運命の人に出会う。「結黎、支度して!鹿城へ行くわよ!」小蘭花と結黎は帷帽(イボウ)で顔を隠し、東方青蒼を追跡した。しかしあっさり見つかってしまい、寂月宮に戻れと命じられてしまう。そこで結黎は咄嗟に小蘭花が月尊を怒らせたことを反省し、付き添いたかったのだと釈明した。すると觴闕も蘭花仙子の想いを汲んではどうかと進言してくれる。悪い気はしない東方青蒼、結局、同行を許したが、小蘭花はどこか気まずかった。觴闕は独りで付近の偵察に出かけた。すると飴細工の露店を見かけ、買うことにする。何も分からず5文の飴細工に高価な霊玉を出してしまった觴闕、しかし結黎が現れ、店主から霊玉を取り戻してくれた。「飴細工に一体、いくら払うつもり?」「…蒼鹽海(ソウエンカイ)では見ない目新しい物なので、飴の好きな君に買おうと思ったんだ」一方、東方青蒼と小蘭花は茶屋で2人を待っていた。「月尊大人…ありがとう、私を責めずに同行を許してくれて」「我らの間に情がないなら責めることはない」(*´・ω・)お、おう…「情も義もないなら偽りの言葉を吐くな、聞きたくもない」(*´-ω-)おぅ…「何も言えぬのか?」「何か言えば怒らせるから…」「そうだ、黙っているのが一番だ」(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコクその時、ようやく觴闕と結黎が戻ってきた。結黎は月尊たちが人間界の常識に不慣れだと分かった。しかし郷に入っては郷に従え、月尊であっても人間と同じように振る舞うべきだという。東方青蒼は自分が決まりだと一蹴したが、小蘭花は雲夢澤には独自の運命があると師匠から聞いたと教え、月族も仙族も手出しできないと警告した。「うかつに手を出すと、その元神が灰になることもあるみたい でも…みんながひれ伏す月尊大人よ?人間のふりをするなんて難しいわ〜」小蘭花は謝惋卿を守るため、負けず嫌いの東方青蒼を煽った。「私に難しいことなどない、ただ人間になるなら最も偉大な者だ…結黎、人間の話を続けろ」「尊上…ここで一番偉いのは皇帝です、でも皇帝は独りしかなれませんし…」「では他を殺す」驚いた小蘭花は人間界の運命を変えたら灰になってしまうと訴え、結黎に助けを求めた。そこで結黎は月尊なら富豪か貴人だと話し、″金陵から来た富豪の東方員外″という身分を思いつく。「小蘭花は東方家の花を世話する侍女、私はお金の管理をする侍女、で、觴闕は護衛 これでそう?」※員外=尊称(* ˇωˇ)<仙女でもない、月尊でもない?…本当にそうならいいのに(ボソッすると結黎はまず鹿城に屋敷を構えるよう勧めた。つづく( ;∀;)觴闕…苦労人なのになんて実直なのかしら〜
2023.06.09
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梦华录 A Dream of Splendor第36話「黄色い花に託す想い」高慧(コウケイ)の腹当てを利用して縁談を迫っていた欧陽旭(オウヨウキョク)。しかし今や露店で誰もが自分の名が刺繍された絹の手巾を買うことができた。「一つ条件をのむなら君が必要な物を返そう」焦った欧陽旭は腹当ての半分を差し出し、助けてくれるなら2度と高家に関わらないと誓う。「しかし傍観するなら…君が嫁ぎ先で安寧を得ることはないだろう」高慧はそれがただの脅してないと分かった。「何をすればいいの?」「陛下に会わせて欲しい」東京織物組合の会頭でもある池蟠(チハン)は趙盼児(チョウパンアール)に頼まれて絹の手巾を大量に作った。「あと3日もすれば東京(トウケイ)は絹の手巾だらけになる、で手巾を何に使う?」「私を助けてくれた人への恩返しよ」パンRは仕事の合間を見つけては熱心に邸報(テイホウ)を読んでいた。池蟠はまだ顧千帆(コチェンファン)が気になるのかと疑ったが、パンRはこれも永安(エイアン)楼のためだとごまかす。「永安楼の繁盛ぶりを見て他店が放っておくと思うの?」しかし実はパンRは父親が命に背いた年の邸報を読んでいた。すると当時、左司諫(サシカン)・蕭欽言(ショウキンゲン)が父・趙謙(チョウケン)を弾劾したという記載を見つける。パンRはついに顧千帆が自分に会えなかった理由を知り、激しく動揺した。宋引章(ソウインショウ)は書斎にいるパンRを訪ねた。孫三娘(ソンサンニャン)が傅子方(フシホウ)との再会を喜び、屋敷に住まわせたいという。パンRは構わないと言ったが、どこか様子がおかしかった。しかし引章は詳しい事情を聞かず、悩みがあるなら散歩して気分転換するよう勧める。「林(リン)三司の屋敷から逃げ出した時、行く当てもなく歩き続けていたの 寺で雨宿りしながらずっと考えていたけど、答えは出なかった でもそのうち夜が明けて雨も止み、寺を出たわ、気の向くまま歩いていると心が晴れていたの」「はお…場所を変えて考えてみる」パンRは迷いを吹っ切るように寺の石段を一気に駆け上った。そこへちょうど大師が現れる。「大師、ある人との縁が良縁か悪縁かどう見極めるべきでしょうか?」「縁の良し悪しは縁自体にはなく、自身の考え方次第なのです」「世の悩みに因果あり、お言葉どおりです」一方、雷敬(ライケイ)は顧千帆と舟で接触していた。「全てうまく行った、陛下、蕭(ショウ)宰相、斉(セイ)中丞、それぞれに話をつけておいたぞ お前の考えで四方丸く収まった」雷敬はこれから朝廷がどう変わろうと自分の地位は盤石だと喜んだ。老舗の酒楼はこぞって永安楼で人気の酒を真似することにした。思えば誰もが食通というわけではない。同じ酒なら安い方が良いはずだ。王(オウ)楼の店主は早速、蘇合と鬱金を混ぜた酒を店で出したが、噂を聞いた池蟠が怒鳴り込んでくる。「うちの製法を盗んだな?!」「蘇合鬱金酒の製法は古書に載っている、書写して東京中の正店と脚店に配ってやった! 幻の酒もあと3日でどこでも飲めるようになるぞ!」池蟠は王楼で喧嘩になり、顔をすり傷だらけにして戻った。しかし誰も同情せず、他店に真似されても悔しそうではない。すると可四(カシ)が手当てしながら、パンRが東京中の鬱金と蘇合を買い占めたと教えた。他店が真似して鬱金と蘇合を買うなら、むしろ儲かるよう手を打っておいたという。三娘の話ではすでに蟹醸橙に使う江南の蟹も買い占めてあった。「王楼は理屈を分かっていないから、きっと沢蟹を使うはずよ? 沢蟹の鮮度はもって2日、古くなれば苦味が出て料理が台無しになる」しかも明後日には新しい酒を出すという。「丁香琥珀(チョウコウコハク)酒だって?…まさか丁香と琥珀も買い占めたのか?で、いくら稼いだ?!」「それほど多くない、でも酒楼の組合長より先に香薬業の副組合長になる」「…パンR姐、やっぱり夫婦になろう!2人が組んで商いをすれば無敵だ!」「ふん、どうやら頭を打ったみたいね」引章も新しい演目を決め、素娘(ソジョウ)や教坊司の舞妓を招いたと報告した。パンRは皇帝が来店したとあって皆が来たがるのだと思ったが、引章はそれだけではないという。楽妓たちは酒楼に呼び出されると演奏より接待を求められ、休憩も狭い倉庫に押し込められていた。しかし永安楼は謝礼が高いだけでなく気配りも細やか、大勢の文人が半月ごとに機嫌を取りに来てくれると評判だという。パンRは引章も一歩ずつ成長していると知り、いつか賎民という言葉に悩まされずに済む日が来ることを願った。「パンR姐、池蟠の求婚を断るの?尻に敷けるのにw」「今なら分かるの、本気で愛している人には自分が得る物ではなく、与えられる物は何かと考える」「…その人には何を?」「自分の殻を破らせ、私の元へ導く…」するとパンRは意味ありげに微笑んだ。その夜、皇城司を出た顧千帆は不自然に咲いている黄色い花に気がついた。「ちょっと出かけてくる、ついて来るな」しかし陳廉(チンレン)だけは慌てて追いかけてしまう。顧千帆が半遮面に駆けつけると、パンRは荒れ果てた店内で待っていた。「これが最後よ…まだ私を娶る気がある?」その手には顧千帆が贈った思い出の珊瑚のかんざしがある。「もちろんある、だが…君は私を許さない」「なぜ?父親が蕭欽言だから?あなたの父親が私の父を弾劾したからなの?」「知っていたのか…」顧千帆は自分にパンRを娶る資格がないと嘆いた。しかしパンRは当時の蕭欽言はただ職責を全うしただけ、自分が賎民になったのは皇帝や蕭欽言のせいではないという。「父の選択だったのよ、罪だと知りつつ門を開けた、民が殺されるのを見ていられなくて…」それでも顧千帆はパンRを抱きしめることができなかった。「今は恨みを捨てることができても、何十年後には変わるかもしれない …一時的な欲望や意地で突き進めば君の人生を損なう」「先々のことより今を見るべきよ…あなたがいなくなりどんなに辛かったか分かる?」パンRは嵐で全てが吹き飛ばされた時、顧千帆も見つからず、一度は汴河(ベンガ)に身を投げようと思ったという。するとパンRは中庭に出て石をつかみ、珊瑚のかんざしを壊すことにした。「誇りをかなぐり捨て、もう一度聞くわ、すべての過去を忘れて私とやり直す? 3つだけ数える…E…R…」その時、顧千帆は慌ててパンRを抱きしめた。「やり直そう…残りの人生は君を愛し、守り続けたい」そんな2人の姿を陳廉と葛招娣(カツショウテイ)が見守っていた。欧陽旭は皇帝と会える機会を知り、宦官が止めるのも聞かず回廊で足止めした。「万死に値する罪を犯しました、ですが悪人の讒言を信じてしまったのです!」しかし皇帝は深く失望したと嘆いて行ってしまう。実は皇帝は欧陽旭と斉牧がすでに西京で知り合っていたと聞いていた。恐らくあの贋作は斉牧が作って欧陽旭に持たせたのだろう。皇帝の怒りは清流派へ向いた。ただ欧陽旭が高慧を巻き込まぬよう破談に応じたと聞いて誠意はあるのだと誤解する。「探花の旧例に従い、小さな州の通判にしてやれ」皇帝は賢(ケン)妃の顔を立てれば高家もそしりを免れるだろうと言った。実は欧陽旭が謁見できたのは皇后が女官に手を回したお陰だった。崔(サイ)内侍は皇后に欧陽旭の一件を報告したが、なぜ皇后が協力したのか分からない。「恨みには徳よ…子犬と老犬をもっと争わせておけば、陛下の清流派への信頼も揺らぐはず 今日はお手柄でした、そなたの甥は私の兄弟・劉国舅(コッキュウ)の軍で面倒を見ましょう」劉婉(リュウエン)は甥を人質に取り、皇帝の側仕えである崔内侍を手駒にしていた。「分かっております、太子が擁立されれば貴方様は上奏を批准する権限を失ってしまうと…」「陛下は仁君であり良き夫でもある、でも最後まで私を守ることはできないわ」翌朝、パンRは顧千帆の屋敷から永安楼に現れた。すっかり割り切った引章とは対照的に、池蟠はパンRと顧千帆が復縁したと知って絶望の淵に突き落とされてしまう。しかしそんな池蟠を尻目に、パンRは招娣から三娘が子方に手を焼いていると聞いた。「来たばかりの時はいい子だったけど、徐々に荒れて、今朝は書院に行かないと駄々をこねてた」「説教してやらなくちゃ」パンRは池蟠など眼中にないようで、招娣と厨房に行ってしまう。すると引章は思わず惨めな池蟠を見ていると気分がいいと嫌みを言った。2人は言い争いになったが、可四たちは仲が良いほど喧嘩するものだと見抜いている。つづく ( ̄▽ ̄;)復縁話、長いわ!w ←ってそこがメインなのにwここにきて宮中が面白くなってきた~皇后も腹に一物ありそう
2023.06.08
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梦华录 A Dream of Splendor第35話「隣家の秘密」趙盼児(チョウパンアール)は顧千帆(コチェンファン)と合流、皇帝に欧陽旭(オウヨウキョク)の夜宴図(ヤエンズ)が贋作だと思わせたと説明して帰ることにした。すると顧千帆はパンRを引き止めるため、咄嗟に孔午(コウゴ)の助言に従い足が痛いふりをする。しかし橋の上で機敏に動いていた姿を見たパンRはすぐ嘘だと分かった。「芝居に付き合っている暇はないの」パンRは皇帝が初めから皇后の出自を承知していたと察し、自分の話を信じるはずだと言って立ち去ろうとする。焦った顧千帆は任務で傷を負い、望月(ボウゲツ)楼の件は知らなかったと釈明した。「だから臆病になったと?馬車から降りなかったわ ←(゚ェ゚(。_。(゚ェ゚(。_。*)コクコク そこまでして直接、別れを告げることから逃げた ←( ๑≧ꇴ≦)最低! なぜはっきり言えないの?!…正真正銘の臆病者ね 欧陽旭の方がまし、使用人を寄越して別れを伝えたもの ←( ๑≧ꇴ≦)そうだそうだ! …あなたなんて願い下げよ」その時、ちょうど池蟠(チハン)が現れ、パンRを顧千帆から引き離した。顧千帆はパンRを追いかけ腕をつかんだが、パンRに手を振り払われてしまう。「陛下の前でボロが出るわよ…会いに来ないで」池蟠は今にも泣きそうなパンRを灯籠祭りへ連れ出した。大道芸を見たり、飴細工を買ったり、池蟠のおかげでパンRはいつの間にか笑顔が戻る。そこで池蟠は安くて美味しい店に入って食通ぶり、酒を飲みながら酔狂な武勇伝を語って新鮮味を醸し出し、蝋燭が瞳を照らす時になって真面目な話を始め、真剣さを演出した。しかし花街で育ったパンRには全てお見通し、その手の口説き方なら聞き飽きているという。池蟠は仕方なく率直にパンRへの想いを伝えたが、パンRからはっきり拒絶された。「あなたを好きじゃない…豆腐脳の好みだって甘味と塩味がある、優劣ではなく味が違うの」池蟠はまだ納得できなかった。そこで帰りの道すがら、運命を信じて賭けをしたいと頼む。「私が勝てば君は私といる、私が負けたら3つの要求に潔く応えよう」「いいわ…」その時、橋を渡る男の子が見えた。「次に橋を渡るのが男か女か当てるのはどう?」「男だ、遊び仲間がついてくる」しかし子供を追ってきたのは母親だった。。・゜・(ノД`)・゜・。うわ~ん!踏んだり蹴ったりの池蟠、思わず手巾で顔を覆い、悔し涙に暮れる。するとパンRは池蟠のため露店で人形を買い、身代わりに渡した。パンRは賭けに負けた池蟠から顧千帆の身の上を聞くことにした。すると池蟠は幼い頃に知った隣家の秘密を明かす。「奴の両親は家に背き、外地で婚姻を結んだらしい だが祖父の顧審言(コシンゲン)はかつての礼部の高官で、とんだ堅物じいさんだった …思い出した!ある日、じいさんが激怒していたんだ 程なくして千帆が母親に連れられて顧家に来た、てっきり奴の伯父の隠し子だと思ったよ だが奴の父親が追いかけてきて裏門を叩き続けていた 奴と母親は中で泣き続けていたが、爺さんが父親に怒鳴っていた ″顧家には百年の誉れがあり、ハエだか犬だかの婿はいらぬとか何とか…」「蝿営狗苟(フウエイクコウ)ね、恥知らずのことよ」「それだ!で伯父が父親を追い返しながら言っていた ″千帆は母親の姓を名乗る、蕭(ショウ)姓ではない″って…」パンRは顧千帆が実母を叔母と呼ぶ理由を知り、実父が蕭欽言(ショウキンゲン)だと気づいた。当時、通りには屋敷が3邸、顧家と池家、蘇(ソ)家があった。蘇家の娘は銭塘(セントウ)の楊(ヨウ)家に嫁いだが、残った家族は疫病で死に絶えたという。池蟠の両親も世を去り、今や当事者以外でこの秘密を知るのは池蟠だけだった。「あなたも黙っていて」「君が聞かなければ話すこともなかったよ」「…そうだ、あなたは東京織物組合の会頭よね?」するとパンRは2つ目の要求に応えてもらうことにした。パンRが桂花巷(ケイカコウ)に戻ると、門のそばに黄色い花が飾ってあった。…黄色の花を掛けたら茶坊で落ち合おう…しかしパンRは花をもぎ取って捨ててしまう。屋敷に入ると宋引章(ソウインショウ)が欄干に腰掛けて待っていた。あれから店でちょっとした問題が起こったが、引章が解決したという。すると引章が改めて2回も間違いを犯したと謝罪した。「賎民であることが不満の原因だから賭けに出る… あなたを世間知らずと言いながら、その年頃に私も欧陽旭の偽りの誓いにだまされたわ 今だって一向に成長していない だけど女子とは梅の花のように風霜を経験するほど美しい花を咲かせるものなの」パンRは花月宴と千山閣が順調なのは引章の力が大きいと感謝した。引章はパンRを母屋まで送り、窓を閉めることにした。するとうっかり棚にある重石代わりの花瓶を倒し、書類が散らばってしまう。「大丈夫よ、もう休んで」パンRは引章を帰して髪をほどこうとしたが、ふと鏡に映る手形に気づいた。「三千貫って…」パンRは葛招娣(カツショウテイ)にすぐ陳廉(チンレン)を呼んでもらった。陳廉の話では顧千帆は遼(リョウ)の使者の歓待を命じられた日に荘園を売ったという。「あの日、馬車に隠れて私を避けたのはなぜ?」「″会いたいが会えないと″…あんなに怯えた姿を見るのは初めてです パンR姐に許してはもらえないと恐れる何かを抱え、逃げたのです」そんなある日、永安楼で騒ぎが起こった。孫三娘(ソンサンニャン)は顔馴染みの文人・袁屯田(エントンデン)のため自ら配膳に出たが、厨房へ戻ろうとした時、杜長風(トチョウフウ)が現れる。「今日は趙娘子(ニャンズー)に用があるんだ」すると階下から池蟠たちの怒号が聞こえた。どうやら子供が届け物の菓子を盗み食いしたらしい。三娘は上階からのぞきこんだが、その子供の顔を見て驚愕した。「子方(シホウ)?」「娘(ニャン)…」皇帝から調査を任された雷敬(ライケイ)が謁見した。江南の密偵はまだ戻っていないが、東京にいる銭塘出身者に当たったところ、皆が口を揃えて楊運判は確かに趙氏の店で絵を買っていたと証言したという。しかも潤(ジュン)州知州の呉銘(ゴメイ)に至っては楊家で夜宴図を見たことがあった。皇帝はパンRの話が本当だと確信し、欧陽旭と斉牧(サイボク)が皇后を陥れようと謀ったと憤慨する。すると雷敬は欧陽旭と斉牧も誰かに欺かれたのではないかと進言した。「すでに自害した鄭青田(テイセイデン)が関わっているやも… 死ぬ間際、遺書で罪を悔いたのは、誰かをかばうためやもしれません」雷敬は他に黒幕がいると匂わせ、皇帝があの夜宴図を贋作とも真作とも認めないよう上奏した。皇后・劉婉(リュウエン)は今回も九死に一生を得たと分かった。…当時、多くの困難を乗り越え、今の地位がある、過酷な数十年がさらに続くなど我慢ならない…斉牧は雷敬と接触、なぜ付き合いのない自分を助けたのか聞いた。すると雷敬は皇帝に昇(ショウ)王しか子供がいないことから、いずれ昇王が即位すれば皇后が実母ではないことを知るという。「その時、皇后派は皇帝の支持を失う、巻き添えはご免です 今後は密かに斉中丞と助け合いたい、宰相となる日を待ちます」「その暁には貴殿を太尉として迎えよう」「感謝します…ただ陛下の激しいお怒りを静める矛先が必要でしょう」「それなら考えがある」高鵠(コウコク)は欧陽旭を呼んで激怒した。妹の賢(ケン)妃の話では皇后が皇帝の寵愛を取り戻し、夜宴図が欧陽旭の虚言だと一蹴したという。「そんなはずは…贋作なら皇城司とパンRが追うはずありません!…あ」欧陽旭はうっかり口をすべらせ、本当は西京(セイケイ)で絵を手に入れたのではなく、パンRからもらったとばれてしまう。すると高鵠はようやく分かった。夜宴図の秘密を知った欧陽旭は皇后派の宿敵・斉牧に身を寄せ、再起を図ったのだろう。顧千帆とパンRがいずれ出世の妨げとなるのは目に見えていた。そこで夜宴図の出所をごまかし、皇帝を利用して顧千帆に隠蔽の罪を着せようとしたのだ。しかし今や夜宴図が贋作か真作かは問題ではない。「巷の噂では陛下がお忍びで永安楼を訪れたらしい もし事実ならパンRが陛下に何を伝えたのか、予想もつかぬ」追い詰められた欧陽旭はもはや自分たちは同じ穴の狢だと開き直った。「私を救う気がないと言うなら、愛の証しの腹当ての半分を人目にさらします」一方、蕭欽言は雷敬が斉牧の信用を得たと聞いて喜んでいた。このまま清流派に打撃を与え続ければ、皇帝はかえって警戒心を強めてしまう。今回、雷敬は斉牧に助け合おうと持ちかけ、同時に皇帝に斉牧の手抜かりを印象づけてくれた。「これにより陛下が抱く清流派へのわずかな好感も砕け散って跡形もなくなる… 安心せよ、いずれ私が朝廷と君主の補佐を一手に握る、その時は悪いようにはせぬ」欧陽旭は帰りの道すがら、見覚えのある刺繍を持った女人を見かけた。「すいません、この手巾は?」「東京の至る所で売っているわよ?」驚いた欧陽旭が露店に駆けつけると、確かに色々な名前入りの手巾が売っている。「誰の仕業だ…」そこで欧陽旭は高府に戻り、高慧の部屋に乗り込んだ。「君の仕業か?」欧陽旭の手には″慧″と刺繍が入った手巾がある。「一つ条件をのむなら君が必要な物を返そう」つづく( ๑≧ꇴ≦)最後に笑うのは誰だ?!おじいちゃんたちが気になって男主と女主の話がどうでも良くなってるwww
2023.06.07
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梦华录 A Dream of Splendor第34話「皇帝の苦悩」欧陽旭(オウヨウキョク)は皇帝に謁見し、皇后が操を失った身で陛下を欺き、皇后の座に就いたと弾劾した。その証拠に″夜宴図″を提示、歌い手の中で鼓を打っている女子が皇后だと指摘する。「図上の女子の衣に記されている姓名をご覧に…」皇帝は皇后を侮辱したと激怒、欧陽旭に向かって硯(スズリ)を投げた。しかし欧陽旭は人倫の道を正すためだと訴え、皇帝が讒言だと思うなら死をもって謝罪するという。そこで皇帝が投げた硯を拾い、自分の頭を打ちつけた。「陛下…忠言は耳に逆らうものですが、賢帝は虚心坦懐に受け止めるものです」すると欧陽旭は意識を失ってしまう。一方、池蟠(チハン)は趙盼児(チョウパンアール)の店主としての手腕に感心していた。パンRは自分にできるのは他の酒楼の真似事くらい、そこで工夫を凝らしたという。料理の腕なら孫三娘(ソンサンニャン)の上がいるが、そのかわり新鮮かつ精巧な江南料理を出し、飽きられたら西北料理を提供すればいいという。酒が醸造できない永安楼は李家の中等品しか出せないが、香料を加えて別物にしていた。しかし琵琶や舞なら他の酒楼とは水準が違う。「私は趣向を変えているだけよ」「素晴らしい!」池蟠は今やすっかりパンRに心酔し、いっそ一緒にならないかと口を滑らせた。「あ、聞き流してくれ」欧陽旭は骨折したが命に別状はなく、皇帝も直言の臣を罪には問えなかった。皇后派の大臣たちは慌てて駆けつけたが、皇帝が激しい頭痛に襲われ、玉座でうずくまってしまう。その時、永安楼の賓客の1人だった林頻(リンヒン)が酒の入った小瓶を出し、これを飲めば痛みが和らぐかもしれないと進言した。蕭欽言(ショウキンゲン)は止めたが、皇帝は藁にもすがる思いで飲んでしまう。「…ん?効いたぞ?治った!」皇帝は林三司に同じ酒を手配させるよう命じた。聞けばこの酒は永安楼特製の蘇合鬱金(ソゴウウッコン)酒で、南洋の珍しい香である蘇合と鬱金には活血止痛と行気解鬱の効能があるという。「例の花月宴の店か…」実はこの酒は貴賓室の秘酒でなかなか手に入らず、林三司も2度目でようやく手に入れた代物だった。「永安楼には宋引章(ソウインショウ)という女将がおります 教坊司の琵琶色の教官で、蕭(ショウ)宰相の寿宴では柯(カ)老相公から″風骨″の2文字を贈られたとか」「軽々しく筆を下さぬ柯政(カセイ)が?楽妓に揮毫(キゴウ)を?!」驚いた皇帝はすぐ琵琶が聞きたいと訴え、お忍びで宮中を出た。顧千帆(コチェンファン)は鼠捕りの傷も落ち着き、孔午(コウゴ)と宮中を巡回していた。そこで妻帯者の孔午に夫人がへそを曲げた時にはどうなだめるのか聞いてみる。「烈女も愛にはほだされるものです、身を案じさせるのが肝要かと…」日が暮れる頃、池蟠と可四(カシ)は永安楼へ近づく舟を見つけた。客は林三司の紹介状を持っていたが、可四は予約がなければ入れないと断る。しかし池蟠は侍従の様子から大物の客だと見抜き、西の間なら空いていると勝手に案内した。パンRは池蟠が連れてきた一見の客を雨水廰(ウスイチョウ)に案内、ひとまず下がった。池蟠も葛招娣(カツショウテイ)もどこの富豪かと興味津々、するとパンRは龍涎香(リュウゼンコウ)の香りがしたという。「引章が銭(セン)王太妃から下賜されていたわ」ともかくただ者ではないことは事実、池蟠は丁重に接待しようと言った。侍従は酒を運んだ招娣の酌を許さず、自分で注いだ。また料理を取り分ける時も、さりげなく銀製の箸で毒見している。すると貴人は琵琶を奏でる宋娘子の姿がないことを訝しんだ。「お気づきでしたか…ご不調があると拝察しました 静謐(セイヒツ)を好まれるかと思い、借景として外で演奏させていたのです」パンRは頭が痛い時は誰でも音曲を聴きたくないものだと言った。皇帝は聡明で気が利く店主を気に入った。するとパンRが銭塘(セントウ)で育ったと聞いて話は思わぬ方向へ向かう。「両浙路転運判官(リョウセツロテンウンハンガン)・楊知遠(ヨウチエン)も銭塘に居を構えていたな…面識はあるか?」その頃、宮中では陳廉(チンレン)が慌てて巡回中の顧司使を呼び止めた。実は拱宸(キョウシン)門から出た馬車が皇帝の腰牌を提示したので追求できなかったが、侍女によると皇帝がお忍びで出かけたという。皇帝の護衛は御前司(ゴゼンシ)の務めだったが、顧千帆は何かあれば皇城司も責めは免れないと考え、密偵を送ることにした。パンRは楊運判と面識があると認め、何度か屋敷を訪ねたこともあると明かした。文人が集う茶坊を営んでいたため、仲立ち人として作品の鑑定に楊府へ行ったのだという。「楊運判には数々の名作を買って頂きました 例えば荊浩の″雪廬図(セツロズ)″、王靄(オウアイ)の″夜宴図″…懐素(カイソ)の″会棋帖(カイキジョウ)″などです でも惜しいことに火事で全部、消失してしまいました」貴人は夜宴図と聞いて一瞬、表情を変えた。「だが夜宴図は複数、存在していると…私も何枚も見た」「鎌をかけても無駄ですわ~ふふふ、夜宴図は1枚だけです」そこでパンRは妙技・茶百戯で夜宴図を再現してみせた。「幅は5尺ほど、主の両側に客人がいて…こちらには踊り子が…月も出ていました 踊り子の躍動感を出せないのが残念でなりません で員外は…いつ頃、夜宴図をご覧になりましたか?」※員外=宋時代の尊称「覚えておらぬ」するとパンRは大枚をはたいて表装させた名画が焼失するとは残念だとぼやいた。「切れ地の緑陵湖(リョクリョウコ)と軸棒の檀木(ダンボク)だけでも1貫もかかりました」皇帝はパンRの詳細な説明を聞きながら、欧陽旭が献上した夜宴図の表装とは違うと分かった。パンRは招娣を連れて下がった。貴人の正体を察したパンRは招娣に陳廉を探して顧千帆の居場所を聞き出すよう頼む。「私が命の危機にあると直接、伝えて欲しいの」一方、皇帝は中庭で身を潜めていた護衛を呼び、パンRの話の真偽を調べるよう命じた。「皇城司の者に見知られぬようにな」実は皇帝は皇后の過去を知っていた。本当に欧陽旭の絵が贋作なら清流派も口をつぐむだろう。「戻るぞ」その頃、顧千帆は永安楼の近くに御前司の馬車が止まっていると知り、慌てて馬を駆けた。パンRは貴人を見送りがてら、頭痛の時には熱い生姜湯に浸した手巾を額に置くと良いと助言した。すると皇帝は女子の身でありながら、なぜ酒楼を営む気になったのかと尋ねる。パンRは男女に能力の差はないのに見下されると嘆き、女子が正店を営むなど言語道断という組合を見返したいと訴えた。その語りぶりはまるで劉婉(リュウエン)のよう、皇帝は思わずある女子を思い出すと吐露する。「その女子は成功を収められましたか?」「私を補佐し、家を取り仕切ってくれている、完璧にな」「奥方でしたか?!どうぞ守ってさしあげてください 奥方は女子ですし、上に立つ者は恨みを買いやすいですから…」パンRは自分にも守ってくれる相手がいたが、今は別れてしまったと話した。「優しい人でした、賎民だった私を正妻として娶ろうとしてくれました、だから恨んではいません」貴人は蘇合鬱金酒を土産に舟で帰って行った。すると引章が慌てて駆けつけ、陳廉によると今の客は皇帝だったという。報告を受けた顧千帆は永安楼に向かっていた。しかし皇帝の警護を担っているのは御前司、驚いたパンRは陳廉に皇城司を撤退させるよう引章に伝言を頼む。「陛下に知られたら大変なことになるわ」「分かった!」パンRは顧千帆を引き留めに行くため、池蟠に馬車を頼んだ。すると池蟠は自ら手綱を握って送ってくれる。「顧千帆に会ったらはっきり言うんだぞ?情に流されたらまた涙することになる」一方、顧千帆は途中で馬を乗り捨て、人混みの中を走り始めた。その時、ちょうど橋の真ん中で顧千帆を探すパンRを見つける。「ついて来い」池蟠は馬車を置いてからパンRを追いかけて橋を登ったが、すでにパンRの姿はなかった。顧千帆は人目を避けてパンRを橋のたもまで引っ張って行った。「大丈夫か?何があった」「夜宴図の話が出た時、陛下だと確信したわ 欧陽旭が帰京できたのは夜宴図を手に入れたからよ、陛下は欧陽旭から聞いたのね」パンRは皇帝に欧陽旭の絵が贋作だと吹き込んだと明かした。欧陽旭は皇城司があの絵を探していたことも、顧千帆とパンRの仲も知っている。パンRは顧千帆を報復から守るため、表装裂(ギレ)の色から贋作だと思わせたのだ。「私の手抜かりを補えるのは全ての事情を知るあなただけ、あとは頼んだわ」「なぜ己を窮地に追い込む?口封じで殺されるかもしれないのだぞ?!」「…あなたを恨んでる、でも死んでほしくない」するとパンRは話なら終わったと言って帰ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)鼠取りの傷がかなり重症らしいwww
2023.06.07
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梦华录 A Dream of Splendor第33話「花月宴」葛招娣(カツショウテイ)は陳廉(チンレン)から聞いた話をありのまま趙盼児(チョウパンアール)に伝えた。詳しい事情は分からなかったが、確かに皇城司(コウジョウシ)の極秘任務ならかん口令がしかれ、顧千帆(コチェンファン)の居場所を隠したのかもしれない。しかしパンRは納得できなかった。「だったらなぜあの時、馬車から降りず、私に会わなかったの?」すると招娣はそれ以上、何も言えなくなってしまう。3日後、永安(エイアン)楼が満を持して開店した。高楼は賓客をもてなすための一元(イチゲン)閣、誰もが楽しめる千山(センザン)閣、そして毎日、違う演目を行う万水(バンスイ)閣に別れている。店内は顔馴染みを始め豪華な顔ぶれが揃ったが、一元閣はまだお披露目されなかった。パンRの話では一元閣には最初の賓客として東京(トウケイ)で名高い文人12名を招き、宴を催す予定だという。「明日、花月箋(カゲツセン)を12名の方に送ります、さてどなたに届くだろうか?」池蟠(チハン)は思わせぶりなことを言った。パンRは一元閣に招待する文人に招待状を書いた。当日は極上の料理と宋引章(ソウインショウ)の琵琶を楽しめる花月宴を開催、しかし50貫という高額な値をつける。「東京なら半年、家を借りられる!」招娣は目を丸くしたが、パンRは新たな客を得るためにも高値で関心を引くと説明した。花月宴に50貫の価値があると思わせるため、あえて初日に一元閣を閉めたという。「その代わり明日は少しの失敗も許されないわ」花月宴では美酒と美食だけでなく、楽しい歌と雅な舞が揃っていた。パンRの狙い通り賓客たちは五感を満足させ、まさに至福の時だと感激する。そして最後は夜空に大輪の花が上がり、宴を締めくくった。↓引章、どした?w↓実は可愛い招娣↓イーフェイよ…桃花の教訓を忘れたか!w花月宴の花火を顧千帆は父と2人で船の客室から見ていた。蕭欽言(ショウキンゲン)はパンRが人日(ジンジツ)から元宵(ゲンショウ)のにぎわいを酒楼の開店に利用したと気づき、やはり商いの才覚があると感心する。「傷はもう良くなった頃であろう?いつ婚礼を挙げる予定だ?」顧千帆は父の白々しい問いにうんざりした。「我らが会わない理由を知っているはずだ、父親を殺した敵(カタキ)の息子に嫁ぐ女子などいない… 私が疑わないとでも思ったか?あなたにとって周りの人間は駒でしかないのだな」思えば帽妖(ボウヨウ)騒ぎも斉牧(セイボク)たちを打ち倒すため自分を利用したのだろう。しかし助けるのはこれが最後だ。顧千帆は急に茶碗を割ると、破片で手の平を切って血を流した。「人の血は盃(サカズキ)10杯分だとか…あなたを助けた船上で2杯分、失った その後、あなたがパンRの父を殺したと知り、心を痛めて2杯分、吐血した そして今、最後の1杯分を返す…父子の縁はこれで切れる」すると顧千帆は最後の忠告を伝えた。恐らく父は捨て身で東京へ戻った斉牧を恐れて自分を呼んだのだろう。「斉牧の新たな腹心・欧陽旭(オウヨウキョク)がまもなく高鵠(コウコク)の婿になる…話はそれだけだ」その夜、パンRの母屋の回廊からうめき声が聞こえた。招娣は咄嗟に水を汲んで賊に浴びせかけたが、よく見ると顧千帆がねずみ捕りに足を挟まれている。すると目を覚ましたパンRが窓を開け、冷ややかな目で見ていた。「…なぜこんなところにネズミ捕りが?」「ネズミが走り回るからよ」そこへ騒ぎに気づいた孫三娘(ソンサンニャン)と宋引章(ソウインショウ)が駆けつけた。「宴の招待状をねだりに来たなら見当はずれね」顧千帆はパンRに大事な話があると訴えたが、パンRは顧千帆から預かった土地の証文と蔵の鍵が入った袋を窓から放り投げ、閉めてしまう。顧千帆はやつれたパンRを心配した。しかし三娘に諌められ、今夜のところは黙って帰ることにする。濡れ鼠となり、足を引きずりながら庭を歩いて行く顧千帆、その哀れな背中をパンRは窓紗からそっと見守っていた。↓( ๑≧ꇴ≦)チェンファンwwwここで初めて好きになったわw宮中では皇后・劉婉(リュウエン)が頭痛持ちの皇帝のため、こめかみを按摩していた。清流派は相変わらず皇后が政に関わらぬよう必死、劉婉も自分を追い出すつもりだと分かっている。皇帝は頭痛の際に皇后に上奏文の批准を代行させた自分のせいだとなだめたが、その時、植木の手入れをする宮女たちの話し声が聞こえてきた。なんでも永安楼という店には美しい菓子があり、見せ物小屋では女子の相撲まで見られるという。すると皇帝は身体の具合が良くなったら皇后を連れてお忍びで永安楼へ行こうと約束した。欧陽旭は抱一(ホウイツ)仙師の祭詞を届けに来たという口実で謁見した。なぜ欧陽旭が来たのか首を傾げる皇帝、すると欧陽旭はいきなりひざまずき、国を揺るがす事態のため嘘をついて上奏に参上したという。「皇后に関することです…操を失った身で陛下を欺き、皇后の座に就いたのです!」「なんだと?」つづく( ๑≧ꇴ≦)どさくさにまぎれて可四まで踊らせるとかw
2023.06.05
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梦华录 A Dream of Splendor第32話「顔の見えない再会」池蟠(チハン)が所有する永安(エイアン)楼で再起を図ることになった趙盼児(チョウパンアール)たち三姉妹。実は永安楽はもともと見せ物小屋で、今もその名残が残っていた。するとパンRは懐かしそうに演舞台に立ち、池蟠に官妓だった子供時代の思い出を語る。「幼い頃はだいぶ苦労したわ…」そんなパンRを優しく諭し、可愛がってくれたのが宋引章(ソウインショウ)の姉だった。引章の姐は良くパンRを見せ物小屋へ連れて行った。見せ物小屋ではいつも笑いが絶えず、歌や舞をみて楽しめる唯一の場所だったという。官妓だった数年間は振り返るのも辛い過去、それでも見せ物小屋だけはパンRにとって美しい思い出だった。するとパンRがふいに舞を披露する。池蟠はその美しさに見惚れていたが、ふと引章の姉の行く末が気になった。「で、琵琶精の姐姐は?」「…聞かないで」パンRは話題を変え、酒楼の中に見せ物小屋を作ろうと持ちかけた。「人が世を知るには五感を使って色・声・香り・味を感じ、触れて考える… 永安楼の料理と酒を東京一にするとは言えないけれど、他の4つを極めたい 美酒と美食に楽しい歌と雅な舞があり、俗楽や欲望もある場所よ 宴者は決して蔑まれたりせず、民も高官も貴人も一緒に楽しめる… これこそいまだかつて東京になかった酒楼だわ 急激な変化が必要だけど、池衙内は同意するかしら?」池蟠はパンRの壮大な計画に魅せられ、興奮してうっかり鼻血を出した。( ̄ii ̄)ぁ… (・ω・ `)あら…その頃、皇城司(コウジョウシ)では陳廉(チンレン)が昏睡する顧千帆(コチェンファン)に付き添っていた。「顧司使、起きてください、実はパンR姐が大変なんです」するとうっ血を除いた顧千帆がようやく目を覚ます。「…何があった?」顧千帆は宮中へ向かう道すがら、馬車の中でパンRたちの最近の様子を聞いていた。陳廉は心配ならこれからパンRに会いに行こうと言ったが、顧千帆は合わせる顔がないという。「私とパンRは一緒になれないんだ」その時、馬車が前を歩く人を避けきれず、急停止した。孔午(コウゴ)はパンRたちがいると報告、すると顧千帆はパンRが池蟠と一緒だと気づいて困惑する。「陳廉、池蟠に脅されていないか聞いてこい」車から降りた陳廉はなぜ敵対していた池蟠と一緒にいるのか聞いた。実は都に戻ってようやく望月(ボウゲツ)楼や茶坊の件を知ったという。「無事ですか?招娣(ショウテイ)は?」「それはあなたの質問なの?誰かの問い?」「もちろん私です、ともかく池蟠とは距離を置いた方が…」「過去なら断ち切った、私が誰といようと他人に関係ないわ」すると池蟠はパンRの心情を思いやり、聞こえよがしに自分の織物店で休もうと誘った。パンRは立ちすくんでいたが、馬車の中にいるであろう顧千帆は息を潜めて出てこようとしない。顔の見えぬ再会、パンRは信じていた顧千帆の裏切りに深く傷つき、池蟠の店に入るとひとしきり泣いた。傷心のパンRは永安楼の修繕作業に没頭し、悲しみを紛らせていた。今やすっかりパンRに心酔する池蟠、実は望月楼の店主を脅して300貫を取り返して来たという。しかしパンRは自分が契約を反故にした以上、違約金を支払うのは当然だと言った。「心遣いには感謝しているわ、でも返して来て」池蟠は仕方なく手形を納め、顧千帆に傷つけられたパンRを励ましたかったと明かす。「永安楼のことは全て君に従う、あの時の君の言葉を生涯、忘れないよ いまだかつてない東京の酒楼、その実現のために努力する」「…真面目な姿は初めてね、何だか慣れないわ」パンRは怪訝そうな顔をして厨房へ向かった。「真面目な私が好きなのか?…ブッ!( ̄ii ̄)ぁ…」孫三娘(ソンサンニャン)は見事な包丁さばきを披露して厨房を手中に収めていた。招娣は女将となり、古参の給仕たちへの挨拶を済ませる。一方、引章は弟子の素娘(ソジョウ)たちを集め、見せもの小屋では出演料のほかに売った酒の1割を払うと説明した。歩合金がもらえるとあって大喜びの素娘たち、こうして新永安楼の準備が着々と進む。そんなある日、高慧(コウケイ)が永安楼にパンRを訪ねた。婚礼が決まったと聞いたパンRは祝福したが、相手が欧陽旭(オウヨウキョク)だと聞いて唖然となる。「西京(セイケイ)から戻ったの、斉中丞(セイチュウジョウ)に取り入って昇進し、私の弱みを握って脅して来た …今の欧陽旭は冷酷な毒蛇のよう、次はあなたを狙うはずよ、くれぐれも気をつけて」杜長風(トチョウフウ)は欧陽府を訪ねた。叔徳(シュクトク)は不在だと言って追い返そうとしたが、杜長風は強引に入ってしまう。「やはりいたか!」すると騒ぎに気づいた欧陽旭が現れ、叔徳を下げた。「急遽、陛下に召され、新たな職に就き、連絡する暇がなかった、どうか許してくれ」欧陽旭は留守の間、使用人たちの面倒を見てくれた杜長風に感謝したが、気がかりなのは三娘のことだと分かっていた。東京に戻ってまだ日は浅いが、いろいろな噂が耳に入って来るという。「私と高慧が婚姻を結んだあと、パンRに報復するか心配なのだろう?」杜長風は図星だったが、欧陽旭はすでに過去への執着を捨て、今後は出世に力を注ぐと安心させた。杜長風は桂花巷(ケイカコウ)へ駆けつけ、欧陽旭の言葉を伝えた。引章は欧陽旭を信じられないと言ったが、パンRはそれが本心でも嘘でも、ひとまず自分たちと揉める気はないのだと安堵する。確かに高慧との婚姻を前に面倒ごとは起こせないはずだ。すると杜長風はうっかり欧陽旭が顧千帆とパンRの関係までは知らなかったと口をすべらせてしまう。杜長風は三娘が洗濯物を取り込むのを手伝うことにした。三娘は杜長風にパンRの前で顧千帆の名を出さなによう釘を刺し、考えれば考えるほど顧千帆に腹が立つと嘆く。「…男ってろくでもない」「私はろくでもある!…違う、ろくでもなくない」すると三娘は口下手な杜長風のため自分から告白した。「私はあなたが好き、遠回しに言うのは苦手だから…共に生きるなら正式に娶って欲しい でもいくら独り身が不便だからって、適当な相手を選んでは駄目、よく考えて」「私だって正式な官職もないし、肝が小さく、少しのことで震えてしまう でも両親は早世したから舅姑の世話は不要だ、へそくりはしない、女遊びができる性格でもない それにいずれ八品になる私に嫁げば、婚儀で礼服を着ることが叶うぞ?どうだ?」杜長風は三娘への想いがあふれ、気がはやって口づけしようと迫ってしまう。驚いた三娘は杜長風を思い切り突き飛ばし、慌てて助けようと手を伸ばした。しかし誤って一緒に転倒、運悪く招娣に見られ、2人の関係がばれてしまう。顧千帆は欧陽府に見張りをつけた。欧陽旭は承知していたが静観している。淑徳はすでにパンRと縁が切れているため安心したが、欧陽旭はパンRと顧千帆を許す気など毛頭ないと言った。桂花巷に陳廉がやって来た。招娣は追い返そうとしたが、陳廉は母親の件を謝罪し、招娣に会いたかったと吐露する。しかし招娣はパンRに義理立てし、顧千帆の配下である陳廉とは相容れないと突き放した。「顧司使の心は変わっていないよ ただ遼(リョウ)の使者を迎えた際、重傷を負って回復せず、今朝も吐血した だから来られないんだ」「でも肝心な時に逃げたじゃないか?!そのせいでパンR姐は銭を借りようとひざまずいて…」「何か手違いが?司使は2つの荘園を売り、銭を集めた、パンR姐に渡したはずだ」「来られなくても言付けくらいできるだろう?」「…実は昨日の晩も密かに様子を見に来ていた」「昨日?」ともかく陳廉は欧陽旭にも見張りを付けたと教え、手作りの人形を贈って帰って行った。三娘は杜長風との縁談が決まったものの、パンRや引章の苦い経験を考えると不安だった。そう言えば沈如琢(シンジョタク)はあれからどうなったのか。引章は誓約書を持っていると安心させ、素娘が色々と報告してくれたと明かした。「世間の噂では沈如琢が林(リン)三司の侍女と密通し、私が激怒して琵琶で指を折ったとか…」「本当に折ったの?」「そうよ、でも折ったのは林三司だけど…」船着場の一件以来、引章は″風骨がある″と評判になっていた。そのため林三司は自分を避けて沈如琢を罰したのだろう。「やっと分かったわ、男なんておもちゃみたいなもの 退屈しのぎに遊ぶのはいいけれど、愛を期待しては駄目 好きなら嫁げばいいのよ、そして飽きたら別れたらいいの」「引章…ここを出てからずい分、変わったわね」「浮世を見限り、皮肉屋になった?…ふふ、今や私も風骨ある女子、多少は変わり者の方がいいの」招娣は陳廉から聞いた話をそのままパンRに伝えた。確かに皇城司の極秘の任務ならかん口令がしかれ、顧司使の消息を隠したのかもしれないという。しかしパンRは納得できなかった。「だったらなぜあの時、馬車から降りず、私に会わなかったの?」つづく( ̄▽ ̄;)引章___お姉ちゃんが本当に素敵な人に見えたわ〜
2023.06.04
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第18話東方青蒼(ドンファンチンツァン)は亡き父の元神と再会、怒りと憎しみを爆発させた。「お前は私を常に道具と見なし、情と愛を断つ苦しみを与えた… 私に父親殺しの汚名を着せ、誰もが恐れる怪物にしたのだ!」しかし先代は天賦の才を持つ青蒼だけが業火(ギョウカ)を習得できると信じ、月(ゲツ)族が生き延びるための唯一の希望だったと訴える。当時は赤地女子(セキチジョシ)の大軍に北も南も奪われ、先代にとっても苦渋の決断だった。「だからお前に殺される道を選んだのだ」すると黙って見守っていた小蘭花(ショウランカ)が口を挟んだ。「待って、古書には″その手で親を殺せば七情を滅せる″なんてどこにも書いていなかったわ」情の根を断つことは極めて困難で、何度も死んでは蘇り、全てを断つには幾千年もかかった。先代は秘術だけでは間に合わないと焦り、いち早く情の根を断つためには息子が自らの手で親を殺すしかなかったという。そこまでしても息子の七情はこうして蘇っていた。「今までのお前の苦しみを全て無駄にしてしまうのか? 己の情に溺れ続け、苦しみから抜け出せなくても構わないと? 青蒼!今すぐ業火の剣を抜き、私の魂を砕け!そうすれば情の根を全て断てる!」しかし東方青蒼は剣を抜かなかった。七情と共に蘇った記憶の中には優しかった父との楽しい思い出もあったという。すると東方青蒼は父を殺した苦しみはもちろん、情がもたらす全ての苦しみを受け入れると伝えた。 小蘭花は咄嗟に荷物の中から鞠を取り出して東方青蒼に差し出した。東方青蒼は受け取らなかったが、先代が鞠を招喚し、懐かしそうに眺める。すると先代は昔のように息子に鞠を蹴った。しかし東方青蒼は蹴り返すことができないまま、ついに燃犀花(ゼンサイカ)が燃え尽き、先代の姿も消散してしまう。「父亲(フーチン)…」蒼鹽海(ソウエンカイ)へ戻った東方青蒼は巽風(ソンホウ)の雷刑に立ち会った。すると30回を終えたとこで東方青蒼が雷道を止める。「残りは私が代わって受ける」驚いた觴闕(ショウケツ)は反対したが、東方青蒼の決意は固かった。東方青蒼は巽風の前で残りの雷道51本を受け、膝から崩れ落ちた。小蘭花と觴闕が慌てて駆けつけたが、巽風は身代わりになってくれた兄に困惑し、魂胆があると疑う。「東方青蒼…そんな芝居で私の心が動くとでも?」すると小蘭花は憤慨し、持ち帰った雲影鏡(ウンエイケイ)を置いた。「これを見るといいわ」東方青蒼の命に別状はなかったが、深手を負って静養することになった。小蘭花は薬湯を用意して寝所へ戻ったが、東方青蒼の姿がない。実は東方青蒼は先代の寝殿で独り、悲しみに暮れていた。そこへ小蘭花がやって来る。東方青蒼は弱みを見せまいとしたが、小蘭花は東方青蒼の手を取り、優しく抱きしめた。「以前は父の命日でも何も感じなかった、だが今は胸が苦しい… もう2度と父上に会えない…」七情を取り戻した東方青蒼は初めて誰かの胸で号泣した。小蘭花は献身的に東方青蒼を介抱した。子供のように苦い薬が飲みたくないと言えば、好物の鮮花(センカ)餅を作ると言って懐柔する。そんな兄の様子を回廊から巽風が見ていた。↓静養中は月影先生東方青蒼が薬を飲み終えると、小蘭花は独りで歩くよう勧めた。「その方が早く治ると医者が言ってたわ」「…無理だ、まだ痛む、お前が支えてくれ、ゴホッ!ゴホゴホッ!」小蘭花は東方青蒼の様子を心配そうに見ていたが、その時、觴闕が巽風が訪ねて来たと知らせた。すると東方青蒼はうっかり寝台から飛び出し、仁王立ちになって小蘭花に着替えを要求してしまう。騙されたと気づいて冷ややかな視線を送る小蘭花。東方青蒼はばつが悪くなり、仕方なくそのまま出て行った。巽風は静養中の兄に丁重に拝礼した。実は海市(カイシ)の件で話があるという。3万年前、東方青蒼が殺されたと蒼鹽海に伝わった時、南北の幽王が九幽を攻めようとした。すると追い詰められた巽風の前に仮面をつけた男が現れ、海市の創設を助けるなら南北の幽王を抑えると申し出たという。「素性を探らないことが助ける条件でした」巽風は海市主が月族の元神から祟気(スイキ)を作っていたと知り、この3万年を思い返して奇妙な点に気づいた。確かに自分が負けそうな時は海市主が流れを変えてくれたが、優勢になると決まって敵が盛り返して来たという。こうしてそれぞれの勢力が拮抗して内乱が続き、気がつけば月族の力が衰えていた。「万死に値する私をなぜ許したのですか?」「許してはいない、犯した罪はこれから戦場で償うがよい」「はい」巽風はまだ何か言いたそうだったが、結局、下がった。小蘭花は巽風がまだ東方青蒼を恐れていると気づいた。「仲直りするのは簡単じゃない、今度は偉そうな態度を取らないで 誰だってあんな顔で叱られたら怖いわ、親しみを見せるの そうすれば許したことが伝わると思うわ」「私にはできぬ」東方青蒼は強くあれと教えられ、敵を威嚇することはできても親しみを示すことなど教えてもらったことがなかった。そこで小蘭花はまず仏頂面をやめて笑えばいいという。「そうね…この角度がいい!」小蘭花は東方青蒼の口角を無理やり引き上げ、実の兄弟ならもっと親しくなるべきだと助言した。「抱きしめたり肩を叩くといいわ」結黎(ジエリー)は小蘭花の月尊への気持ちが芝居ではなく本心だと気づいた。そうでなければ命懸けで川に飛び込んだり、手作りで菓子を作ったりするはずがない。「しかも月尊の話をする時は目が輝いてる」小蘭花は動揺して菓子を落としたが、芝居だと否定した。巽風は兄から封印された10万の兵を解き放てる方法があると聞いた。「赤地女子は転生し謝惋卿(シャワンケイ)と名乗る、間もなく生まれるゆえ雲夢澤(ウンムタク)へ行け 玄虚の境へ連れて行き、元神を用いれば封印を破り、兵を連れ帰れる」「直ちに向かいます!」「待て…」東方青蒼は巽風を引き止め、ふいに手を上げた。すると巽風は反射的に怯んだが、驚いたことに兄が自分の肩を軽く叩く。「傷が治っておらぬゆえ、気をつけて行け」「はい!」觴闕は早速、小蘭花に月尊と巽風の様子を身振り手塗りで報告した。ゆっくりではあるが確かに情に慣れて来た東方青蒼、小蘭花はこれで善意や慈悲も思い出すはずだと期待した。しかし觴闕は月尊の変化が本当に良いことなのか分からないという。「古来、仙族と月族は相容れない 始祖・鹽女(エンニョ)が言い残したんです、″宿怨を忘れないことが月族の生きる意味だ″と…」東方青蒼が司命殿にやって来た。觴闕と結黎はそそくさと退散、すると東方青蒼が小蘭花に感謝を捧げたいという。その手には血が入った小瓶があった。実は月族の掟では感謝を示す時、自分の血を相手の顔につけるという。「月族の掟だ…お前には感謝している」「やめて~血なんか嫌よ」小蘭花は慌てて顔を背けたが、東方青蒼は嫌がると分かっていたので赤い顔料にしてあると教えた。「塗りたくない…」「私が捧げる初めての感謝だ、お前は拒めぬ」東方青蒼は小蘭花の頬に優しく触れ、赤い顔料を塗った。つづく( ๑≧ꇴ≦)罰を受けるためなぜか脱いじゃう月尊w
2023.06.04
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第17話小蘭花(シャオランファ)は東方青蒼(ドンファンチンツァン)が父を殺したという話に何か裏があると気づいた。しかし觴闕(ショウケツ)も当時の詳しい経緯はまでは分からないという。「でもきっと七情(シチジョウ)を断つ秘術と関係がある 太古の書に記されたこの術の成功例は尊上だけなんだ」小蘭花はその本を読みたいと頼んだが、觴闕の話ではすでに燃えて灰になってしまったという。小蘭花はともかく先代の寝殿で手がかりを探すことにした。しかし寝殿は禁足地のため、觴闕はたとえ寵愛される小蘭花でも侵入すれば命はないと止める。「先代のことで尊上を怒らせ生き残った者はいない、先代のことは尊上の心のしこりなんだ」「なら尚さら行かなくては…そのことで何万年もずっと苦しんできたのよ? 全てを解き明かして治してみせる、ゆっくり眠れるように…」小蘭花は独りで荒れ果てた寝殿に入って行った。すると觴闕も月尊を救えるなら死んでも構わないと賛同、小蘭花について行く。「ちょっと~2人ともどうかしてるわ!」結黎(ジエリー)は困惑したが、どちらにしても2人が殺されれば自分も道連れだと気づいて追いかけた。七情の木が復活した東方青蒼は怒涛のごとき感情に苦しめられていた。心海で目にしたのは青々とした大木、東方青蒼は根を断とうとしたが失敗する。すると再び幼い頃の辛い記憶が蘇った。あの日、東方青蒼は父の祝いに手作りの琴を贈ったが、父の逆鱗に触れる。『お前は楽妓か?時間を無駄にしおって!』父は東方青蒼に木彫りや琴を教えた乳母たちの処刑を命じた。激高した東方青蒼は衛兵の剣を奪って父に斬りかかったが、父を殺すことなどできるはずがない。しかし父は軟弱だと叱咤し、情に流される息子を何度も打ちつけた。小蘭花は先代の玉座を調べ、椅子の中に隠してあった化粧箱を見つけた。箱の中には觴闕が言った通り灰になった古書が入っている。「でもこの書は木でできてる、元に戻せるかも…」一方、東方青蒼は情を消すため、ある洞窟へ向かった。かつて父は息子の情が完全になくなるまで、この洞窟に東方青蒼を閉じ込めている。東方青蒼は月族を再興し、水雲天(スイウンテン)を平定するため、ここで死ぬよりも辛い修練に耐えた。そして七情を失った東方青蒼は臣下たちの前で父との手合わせに勝利、新しい月尊となる。しかし父は最後の試練として自分を殺せるか試した。ふいをついて背後から息子に襲いかかった父、その時、振り返った東方青蒼はついに父を刺し殺してしまう。小蘭花は古書を再生、七情を取り除くためにどれだけの苦痛を伴うのか知った。觴闕も月尊が荒れているのは七情の木の復活で過去を思い出したせいだと気づく。「永遠に先代を許せないでしょう…」「どうして先代は自分の息子にこんな仕打ちを?…きっと何か裏があるはずよ」小蘭花はあきらめきれず、先代の寝所を調べ始めた。すると思いがけず東方青蒼の手作りの琴や、鞠、書記が残した先代の記録が出てくる。「本当なら記録は書庫に保管するはずなのに寝殿に隠していたのね…」小蘭花が巻物を広げてみると、″先代が青蒼と巽風(ソンホウ)に業火(ギョウカ)の剣を試させた″という記載を見つけた。…巽風は業火に耐えられず剣を離したが、青蒼は自在に剣を振るった、鹽女(エンニョ)を除けば蒼鹽海(ソウエンカイ)で初めてのことだ…小蘭花は先代の想いに気づいて悲しくなった。息子が業火を操れると知り、先代はどんなに悲しかったか。最愛の息子は蒼鹽海を繁栄させるために業火を学び、七情を断つ苦しみを味わなければならない。「だから言ったのよ、″なぜお前が…″と」しかし結黎は言った本人しか真意は分からないと言った。すると小蘭花は確かにその通りだと納得し、先代に会いに行くという。仙族であれ月族であれ死者の元神は忘川(ボウセン)に眠っていた。小蘭花は川底にある帰墟(キキョ)の境まで潜り、先代の元神を探して直接、本心を聞くという。しかし元神を呼び覚ます燃犀花(ゼンサイカ)はすでに滅び去っていた。すると結黎が確か燃犀花は枯れていてもまだ霊玉数千個の価値があると思い出す。「枯れた?どこにあるの?!」実は枯れた燃犀花は寂月(セキゲツ)宮の霊宝(レイホウ)閣にあった。巽風が月尊だった時、父親が恋しくて探し回っていたところ、献上されたという。「私が盗み出したの」小蘭花は枯れた燃犀花を蘇らせようとしたが七情の木のようにはいかなかった。必死に霊力を注いで復活させようとする小蘭花。結黎はいつしか眠ってしまったが、ふと目を覚ますと小蘭花は古傷が開いて腕から血が流れていた。驚いた結黎は慌てて止めたが、その時、偶然、小蘭花の血が燃犀花に滴り、ついに蘇る。「分かった!血が必要だったのね」一方、東方青蒼も悪夢に悩まされ、また眠れずに朝を迎えた。すると腕の古傷が浮かび上がる。しかし今日はいよいよ巽風の処刑の日、觴闕がそろそろ刑場へ行く時間だと知らせた。東方青蒼は寝宮を出ることにしたが、その時、腕に新しい切り傷ができる。実は忘川に飛び込んだ小蘭花は激しい水流にもまれて切り傷を負っていた。なかなか戻って来ない小蘭花を心配そうに待ち続ける結黎、その時、月尊が現れる。「小蘭花はどこだ?」結黎は恐ろしさで口ごもったが、東方青蒼は小蘭花が忘川に飛び込んだと気づいて後を追った。その頃、小蘭花は帰墟の境に到着し、宮殿を見つけた。すると死者の元神がゆらゆらと近づいて来る。「もしや先代の月尊ですか?」小蘭花は荷物から雲影鏡(ウンエイケイ)を取り出し、燃犀花に術をかけようとした。しかし突然、東方青蒼が現れ、止められてしまう。「帰るぞ!」「まだ聞いてないの、なぜあなたに辛く当たったのか…」「要らぬことだ!」そこで小蘭花は先代の寝殿で見つけた琴を出した。東方青蒼は父が自分の目の前で壊した琴を直して持っていたと知り、唖然とする。「ここまで来たのよ、どうしても確認したいの…罰は戻ってからでいいでしょう?」小蘭花は急いで燃犀花に術をかけた。するとついに玉座に先代の月尊の姿が現れる。「そなたは?」「私はご子息に遣わされて…」「青蒼か?!青蒼は仙界を平定したか?月族の再興は?」小蘭花は何も答えられず、黙って琴を差し出した。先代は青蒼がくれた琴を懐かしみ、これを壊した時は心が張り裂けそうだったと嘆く。「嘘をつくな!」激怒した東方青蒼は父の前に姿を見せた。つづく( ゚ェ゚)そのジャラジャラした髪飾り、外して潜りなさいよ、ちょとw
2023.06.02
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梦华录 A Dream of Splendor第31話「意外な救世主」東京(トウケイ)は嵐に見舞われ、大きな被害を受けた。池蟠(チハン)は率先して船着場の復旧に尽力していたが、横暴な官吏たちから理不尽な仕打ちを受ける。そんな池蟠を援護したのは偶然、通りかかった趙盼児(チョウパンアール)だった。「皆が立ち直ろうとしているって時に何なの?!卑しいのは人ではなく、人を見下す心よ!」「その通り!」パンRの言葉は群衆の心を打ち、皆がさかんに囃し立てた。すると焦った提点(テイテン)は汴河(ベンガ)に帽妖(ボウヨウ)が出た時2人の女が逃げたと話し、あろうことかパンRと孫三娘(ソンサンニャン)がその2人だと因縁をつける。群衆は帽妖と聞いて及び腰になったが、その時、突然、琵琶の音が響き渡った。船着場に沈如琢(シンジョタク)の元から逃げ出した宋引章(ソウインショウ)が現われた。引章はパンRと三娘が賊なら、共に茶坊を開き、同じ屋敷で暮らす自分も責めを負うべきかと迫る。「ならば私に″風骨″の揮毫(キゴウ)を下さった柯(カ)老相公も、その場にいた蕭(ショウ)宰相も同様ですね」提点は帽妖事件に重臣が関わっているはずないとあしらったが、池蟠は帽妖事件なら皇城司(コウジョウシ)の担当だと揚げ足を取った。「いつから開封(カイホウ)府の提点が担当することになった?」その頃、参内した高鵠(コウコク)は門で驚くべき男と出くわした。「欧陽旭(オウヨウキョク)?!なぜお前がここに?!」「無事に抱一(ホウイツ)仙師にお会いできて昨日、帰京しました」池蟠はパンRが生き閻魔こと顧千帆(コチェンファン)の許嫁だと明かした。驚いた提点は態度を一変、酒を飲み過ぎて人間違いしたと謝罪したが、パンRはお互いに権勢を盾にした者同士だと笑う。「私たちは確かに卑しい商人です、書生の高潔さや官吏の武勇はない でも私たちが酒や茶を売らなければ、都や大宋の繁栄はなかったはず 都に抃河が必要なように、大宋にも商人が必要ではないでしょうか?」パンRは民と心を合わせることができれば提点の名も轟くだろうと諭した。高鵠が屋敷に戻ると高慧(コウケイ)が涙にくれていた。実は都に戻った欧陽旭から文が届き、以前、西京(セイキョウ)に送った腹当ての半分を返してきたという。婚約解消のため用心棒を送った時、恋文を取り戻すよう命じたが腹当てのことはすっかり忘れていた。「残りの半分には私が刺繍した″慧″の文字が…」パンRと三娘は引章が逃げてきた理由を知った。引章は顧千帆に敵を討って欲しいと頼んだが、パンRは自分と顧千帆も終わったと明かす。実はあれから顧千帆が姿を消してしまい、酒楼は買い取れず、茶坊も嵐で壊れていた。パンRは危うく引章の姉との約束を破るところだったと反省したが、引章は自分の虚栄心や嫉妬心が原因だという。「私は悟ったわ、風骨の2文字は士大夫だけでなく、女子の立身の礎でもあるとね 茶坊であれ酒楼であれ、己の力を頼りに盗まず、奪わず、媚びず… 稼いだ銭に貴賎の区別はないはずよ!」引章はすっかり大人になって帰ってきたが、パンRはもはや商いをする気力を失っていた。「銭塘(セントウ)に帰るわ」しかし三娘は反対、パンRを叱咤する。「東京に残ったのは顧千帆のためではなく、意地を見せるためだったはずよ?! どうして男に執着し、初心を忘れるの?!」パンRはようやく目を覚まし、自分にも意地があると奮起した。池蟠はパンRたちに追いつき、和解を申し出た。パンRは無視したが、池蟠は自分の話を聞いて欲しいと訴え、しつこく追いかけ回す。その時、偶然、杜長風(トチョウフウ)が通りかかった。三娘の危機だと誤解した杜長風は棒を振り回し、運悪く池蟠の頭に当たってしまう。一方、皇城司では未だ顧千帆が昏睡していた。知らせを受けた陳廉(チンレン)が慌てて戻ったが、予断を許さない状態だという。蕭欽言(ショウキンゲン)が連れ帰ろうとしたが、孔午(コウゴ)が司使の命に従って断っていた。しかし何度も訪ねてきたパンRまで追い返したと聞き、陳廉はパンRが顧千帆の許嫁だと明かす。「茶坊の見張り役を呼べ、それからパンR姐に近頃、会ったか、私の母に聞いてこい!」パンRたちは医館で治療を受ける池蟠に付き添った。すると池蟠は船着場でのパンRの説諭に感銘を受け、本気で手を組みたいという。実は池蟠は東京十二商業組合の会頭でありながら酒楼組合に加われずにいた。永安(エイアン)楼という酒楼を持っていたが客足が少なく、いくら銭を積んでも重鎮から見下され、毎年の竈(カマド)神祭りでも在席さえ許されないという。「3人を永安楼の主として迎えたい、損失は私が負うが、儲けは半分ずつだ」しかしパンRはあの日の屈辱を忘れられず、医館を出て行ってしまう。池蟠は慌てて追いかけ、人目もはばからずひざまずいて叩頭した。「3度、叩頭させたから私は4度だ、これでどうだ?…銭塘には帰らないでくれ!」「銭塘に帰る?!誰が?!」三娘に思いを寄せる杜長風は慌てて口を挟んだ。池蟠の話では3人が銭塘に帰ると話していたという。驚いた杜長風は教坊司に籍がある宋引章は都を離れられず、引章を独りぼっちにするつもりかと反対した。パンRは三娘と引章の意思を確認して条件を出した。「では私が店主で三娘が料理長、引章は宴での音曲を担当 接客を担う招娣(ショウテイ)には給金の支払いを… 切り回しや働き手、長場は取りまとめるけど、配下も含め手を出さないこと 期限は1年、不満が生じたら直ちに退かせてもらう、退いても責めは負わず、引き止めも禁じる」すると池蟠は何も書いていない紙に血判を押し、パンRが自分で文面を書けばいいと言った。「池蟠、なぜ急に私たちを信用し始めたの?」「そっちこそ、なぜ私に助け舟を?」池蟠は確かに時折、愚行に走り、偉そうな態度を取ったりするが、同志と共に永安楼を天下の名店にしたいと考えていたという。「酒楼組合の重鎮が憤るくらいにな!」パンRは池蟠にも意地があるのだと共感し、申し出を受けることにした。池蟠はパンRたちを永安楼に案内した。永安楼は豪華なたたずまいだったが閑散としており、客がいないため使用人も賭場で遊んでいる始末だという。一方、高鵠は娘を欧陽旭に嫁がせることにした。思えばこれも高慧の自業自得、忠告を聞き入れて早く目を覚ましていれば、こんなことにはならなかっただろう。高慧は欧陽旭に掛け合うと言ったが、高鵠は止めた。欧陽旭は今や翰林(カンリン)学士、何より恐ろしいのは欧陽旭の後ろ盾だという。永安楼はもともと見せ物小屋で、池蟠が安値で買い取り、酒楼に改造していた。永安楼には今もその名残が残っていたが、放置されたまま荒屋のようになっている。池蟠はパンRを上階に案内、幼い頃、父とここから相撲を見たり、人形芝居を楽しんだりしたと懐かしんだ。「ここに座って顧千帆…いや、隣に住んでいた奴と一晩中、磨喝楽(モホロ)人形と遊んだものだ」池蟠は当時、自分にとって楽園だった見せ物小屋を壊せず、今もこうして残しているという。するといつの間にかパンRが階下の演舞台に立っていた。つづく( ̄▽ ̄;)何だかパンRが1番の問題児のような気がしてきたわw
2023.05.31
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梦华录 A Dream of Splendor第30話「女の底力」池蟠(チハン)は趙盼児(チョウパンアール)の弱みに付け込み、自分の女になれと戯言を吐いた。屈辱に耐えかねたパンRは池蟠を引っ叩き、結局、酒楼の資金を工面できずに帰ってしまう。悔しさと不安に押しつぶされそうになるパンR、しかしひとしきり泣いた後は前を向くしかなかった。パンRは覚悟を決めて望月楼(ボウゲツロウ)に乗り込み、店主の首にかんざしを突き付けた。「騒げば殺す!…取り引きを解消して300貫を返して!嫌なら一緒に死ぬまでよ! あの600貫は私たち姉妹が十数年かけて築いた財産、全て失うくらいなら命など惜しくないわ!」パンRは300貫を取り戻した。孫三娘(ソンサンニャン)と葛招娣(カツショウテイ)には店主に断腸散(ダンチョウサン)だと嘘を付いて丸薬を飲ませ、大人しくしていれば1ヶ月後に解毒薬を送ると脅したと説明する。「どうして独りで行ったの?もし何かあったら大変よ?」「私のせいだし、自分で解決しなくちゃ」パンRは酒楼を断念、茶坊を取り返すつもりだと明かした。そのためには宝飾品や書画を売り、杜長風(トチョウフウ)からも銭を借りるという。「だけど…2人は私と一緒にやり直したいと思う?」「もちろんよ!」三娘は即答、招娣もパンRと三娘について行くと答えた。「皆の忠告を無視した罰だわ…招娣、人には自立を促したのに私は男を頼った 私のようにはならないで」三娘と招娣はパンRから預かった宝飾品を売りに出かけた。しかしパンRが顧千帆からもらった珊瑚のかんざしだけはどうしても手放す気になれない。すると宝飾店の前で杜長風と出くわした。杜長風も仲介人としての責任を感じ、パンRに銭を貸そうと先祖が残した宝飾品を売りに来たという。招娣が店で交渉している間、三娘と杜長風は立ち話していた。その時、偶然、宋引章(ソウインショウ)が乗った馬車が通りかかる。2人の姿を見かけた引章は様子がおかしいことに気づき、酒楼の件で何かあったと分かった。そこで馬車を降りようとしたが、沈如琢(シンジョタク)に止められてしまう。「心配なら見張りをつけよう、だが今は林(リン)府の宴に行かなくては…」林三司は音律など分からない、ただの見栄っ張りの老夫だった。いきなり手を触られた引章は動揺して何度も音を外し、逃げるように下がってしまう。沈如琢はヘソを曲げた引章をなだめながら、林三司に媚を売るのも全ては引章を良民にするためだと説得した。「私の辛い気持ちもわかってくれないか」すると引章は宴に出る前に着替えて来ると言った。引章は控え室で久しぶりに張好好(チョウコウコウ)と会った。実は好好は池蟠と別れた後、ある官吏が正妻同様の待遇で身請けしてくれることになったという。「あなたはまだ若いわ、騙されては駄目よ」引章はいずれ沈如琢と夫婦になる約束だと安心させたが、好好は複雑な顔になった。沈如琢と一緒に酒席に招かれた引章、すると強い酒に酔ったのか、急にめまいに襲われた。引章は帰りたいと言ったが、沈如琢は失礼にならないよう別室で休ませてもらえばいいという。中座した引章は侍女に案内された寝所で横になった。外は次第に風雨が強くなり、その夜、東京は激しい嵐に見舞われる。やがて沈如琢が引章の様子を見に来た。どうやら引章はよく眠っているらしい。「催淫香(サイインコウ)を焚かなければ…」沈如琢が香を焚こうとしたその時、寝たふりをしていた引章がいきなり背後から襲いかかった。好好は池蟠に義理立てする必要もなくなり、引章に全てを明かしていた。実は教坊司では沈如琢の本性は有名で、名家の出というのも昔の話、上役に取り入って閑職を得たという。「狙った若い娘子(ニャンズー)をすごく丁重に扱うけど、ひとたび落とせば数日で飽きてしまう」沈如琢は歓心を買うため女子を上役に献上、慰み者にしていた。中には引章のように騙されたまま、貞操を失ったのは自分が酔ったせいで、沈如琢に申し訳ないという官妓までいたという。引章は沈如琢の頭を殴りつけ、手足を縛って寝台に倒した。「私は新人の楽妓じゃない、何度も宴に出ているのよ?迷魂薬はおろか鴆酒(チンシュ)も匂いで分かる 忘れたの?私の元夫がどんな末路をたどったのか?」引章は用意した誓約書に無理やり押印させ、侍女を襲って沈如琢の隣に寝かせてから逃げ出した。東京は未明からの嵐で街も港も壊滅的な被害を被った。半遮面に駆けつけたパンRと三娘は崩壊した店内に呆然、これでは取り戻しても意味がない。流石のパンRも今回ばかりは弱気になり、立ち直れそうにないとぼやいた。…父上、母上、東京に来たのが間違いだったのでしょうか?…商人たちが店の片付けに追われる中、池蟠は港の復旧に尽力していた。すると船着き場に官吏が現れ、こうなったのも補強しておかなかった池蟠のせいだと折檻する。可四(カシ)は先日の賂(マイナイ)が少なかったせいで官吏が難癖をつけていると分かったが、商人では頭が上がらなかった。その時、ちょうど意気消沈するパンRと三娘が通りかかる。人だかりに気づいて様子を見てみると、池蟠が官吏にひざまずいていた。「悪人が悪人を虐げる…自業自得だわ」パンRは胸がすく思いだったが、横暴な官吏は士農工商で一番卑しいのは商人だと蔑んだ。パンRは官吏の言葉に激怒し、思わず口を挟んだ。「港の組合長は民営の漕運業の領袖に過ぎない 港の復旧や河川の補修の作業は提点であるあなたに責任があるはずよ? 池衙内が支援するのは朝廷の恩義に報いるためなのに、何の粗探しかしら? …不幸続きだし、この際、言わせてもらうわ 商人が卑しいですって?ならば酒も衣も米も商人から買わないでくださいな 皆が立ち直ろうとしているって時に何なの?!卑しいのは人ではなく、人を見下す心よ!」そうだそうだ!>ʕ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ•̫͡•ʕ•̫͡•ʔ•̫͡•ʔ<ばーか! ←とは言ってないwつづく( ゚ェ゚)女の底力?…イヤイヤイヤ、それ脅迫w
2023.05.30
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梦华录 A Dream of Splendor第29話「屈辱」趙盼児(チョウパンアール)は手付金600貫を何とかかき集め、杜長風(トチョウフウ)を仲介人として無事に契約を済ませた。次は7日後、望月楼(ボウケツロウ)を引き渡す際に残りの600貫を支払えば正式に主となる。一方、重傷を負った顧千帆(コチェンファン)は回復もままならないまま無理をして都に戻っていた。しかし城門を入った途端にこらえ切れなくなり、馬を降りて吐血してしまう。そこへ蕭謂(ショウイ)が現れた。蕭謂は父に頼まれてパンRの過去を調べたと明かした。十数年前、パンRの父・趙謙(チョウケン)は民を救おうと無断で出兵し、朝議で言官に弾劾され重罪に処されている。実はその言官が蕭欽言(ショウキンゲン)だった。趙謙は民を愛し、文武両道に秀でて有能だったという。「大哥(ダーグァ)には同情するよ、未来の岳父が己の父の手で殺されたのだからな~」激怒した顧千帆は蕭謂の胸ぐらをつかんだが、蕭謂はまだ続きがあると言った。「趙謙に関する公文書をお前の卓に置かせたのは誰だと思う?私ではない、父上さ …あの人に心があるとでも?何でも利用し、全て計算ずくだ!ははは~!」蕭謂は父が長子と認める顧千帆に激しく嫉妬し、父の所業を暴いて顧千帆と離間させた。絶望した顧千帆は馬にまたがったが、やがて再び喀血し、そのまま意識を失ってしまう。その夜、パンRは悪夢を見て目が覚めた。夜風に当たりながら何の音沙汰もない顧千帆の身を案じるパンR。…神様、父上、母上、どうかあの人を無事に帰してください…実はその頃、顧千帆は古傷が悪化し、皇城司(コウジョウシ)で昏睡状態となっていた。一方、宋引章(ソウインショウ)は沈(シン)家で錦衣玉食でもてなされ、なに不自由なく暮らしていた。しかし一向に婚姻の話が進まず、いつになったら夫婦になれるのか聞いてしまう。沈如琢(シンジョタク)は正妻として迎えるためには先に賎民から籍を抜き、しかるべき良家の養女となる必要があると言った。「だから君にも協力して欲しい、演奏会などで再び重臣の目に留まり、教坊司に働きかけてもらおう それで楽妓を辞める方が自然だ」「高官の接待をしろと?」引章は困惑したが、沈如琢から将来の幸せのためだと説き伏せられてしまう。欧陽旭(オウヨウキョク)は御史中丞(ギョシチュウジョウ)・斉牧(セイボク)を訪ね、起死回生の一手を打った。「この夜宴図(ヤエンズ)と己の命を託し、犬馬のごとく仕えます」「しかしその″犬″はどんな肉を好むのか?」「東京に戻して頂けるなら肉など欲しません、例え土を食えと言われても動じないでしょう」「ほう?その土はちょうど今日、替えたばかりだ、味見してみるか?」すると欧陽旭は忠誠心を示すため四つ這いで植木鉢に近づき、土を口の中へ押し込んだ。欧陽旭は屈辱と引き換えに斉牧の信頼を得た。すると回廊で待っていた子明(シメイ)が欧陽旭の口元になぜか土が付いていると気づく。「…大丈夫ですか?」「骨を1本、抜かれたがわずかな痛みだ、ワン!ワン!」欧陽旭はまるで気が触れたように急に犬の鳴き真似をした。「東京に帰れる、骨1本が何だ?…はははは!」酒楼の引き渡しが明日に迫り、パンRは仕方なく支払いの延期を頼んだ。しかし望月楼の店主は証文通りに払えないなら契約は破棄するという。パンRは証文通りなら手付金の半分を返して欲しいと迫ったが、店主は1年かけて返済すると言った。「そちらの支払い期限は決まっているが、返金の期限は書いてない」杜長風(トチョウフウ)は立会人として責任を感じ、銭の工面を申し出た。しかし明日までに600貫を集めるなど無理、パンRは借りたとしても返せる目処がつかないという。杜長風はここであきらめれば酒楼も茶坊も失い、東京で築いたものが幻で終わってしまうと嘆いた。「そうね…全て虚しい幻で終わる…」「また質店を回り300貫を借りたらどうだ?茶坊を続けて少しずつ返済すると交渉すればいい」その時、パンRの脳裏にある男が浮かんだ。パンRは池蟠(チハン)を訪ねた。ついにパンRが頼み事に来たと知った池蟠は大喜び、そこで可四(カシ)はパンRを中庭に案内する道すがら、難癖をつけられても我慢すれば願いも通ると助言する。「ありがとう、頭を下げればいいのね」「…その珊瑚、素敵ですね」可四はパンRの珊瑚のかんざしに気づいて褒めた。パンRは質店の返済を待って欲しいと頼んだ。すると池蟠は顧千帆に捨てられたのかと嫌味を言う。「私と顧千帆は不倶戴天の間柄、お前に情があったらここにこさせるはずがない」パンRは怒りをこらえながら、さらに300貫ほど貸して欲しいと頼んだ。そこで池蟠は叩頭するなら貸してもいいという。覚悟ができていたパンRはその場でひざまずき3度ほど叩頭、しかし拍子抜けした池蟠は誠意がないとごねた。「ならどうしろと?」「歌妓だったそうだな?″想夫憐(ソウフレン)″を歌ってみろ、歌えば貸してもいい」「想夫憐?…男への想いをどう表すか知りたいのね?歌の代わりに軟舞(ナンブ)を舞うわ」「いいだろう」パンRの舞は確かに若妻が出征した夫を想う、美しくも切ない舞だった。使用人たちは思わず涙し、池蟠は感激のあまりしばし呆然とする。しかしパンRを懲らしめるため、池蟠はまだ満足できないと言い放った。「踊りも見せたし頭も下げた、まだ出し渋るとは…それでも男なの?!」すると池蟠はようやく300貫の庫券を渡すと決めた。その前にパンRを近くに呼びつけ、担保として珊瑚のかんざしを渡せと迫る。パンRは仕方なく顧千帆からもらったかんざしを抜いて差し出した。「顧千帆が捨てたなら私の女になればいいだろう?」さすがに我慢も限界、堪忍袋の尾が切れたパンRはいきなり池蟠の横面を思い切り引っ叩いた。「池蟠、ブ男のくせにずうずうしい、この趙盼児、いつの日か今日の屈辱を晴らす」つづく(# ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾ ダンダン!<イーフェイに頭を下げさせるなんて10年早いわ!でも欧陽旭とパンRの対比、面白かった
2023.05.29
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梦华录 A Dream of Splendor第28話「すれ違い」趙盼児(チョウパンアール)を困らせるため半遮面(ハンシャメン)に氷を売らないよう命じた池蟠(チハン)。いずれパンRが頭を下げに来ると期待していたが、思いがけず顧千帆(コチェンファン)が皇城司司使に昇格したと知った。実は内廷専用の氷室を司るのが皇城司、半遮面は氷に困っていないという。「何ということだ!」池蟠は激怒したが、その時、屋敷で見慣れぬ女を見つけた。葛招娣(カツショウテイ)の母親は孫三娘(ソンサンニャン)に言われた通り、池蟠にパンRからの文を渡した。「それをお読みになったら私に5貫くださると…」しかし紙には何も書いていない。池蟠はパンRにからかわれ激怒、女を打ち据えて外へ放り出した。その夜、顧千帆が六部から戻ると、陳廉(チンレン)が割れた人形を片手に泣いていた。「どうかしたのか?」「いいえ…銭はパンR姐に渡して来ました あ、確か大理寺から地方での調べを任されていましたね? 私が行きます、今すぐに…離京できるなら何でも良い」陳廉の気持ちが痛いほど分かる顧千帆は何も聞かず、肩を叩いて書斎へ向かった。顧千帆は配下からパンRが門前で何かを探していたようだと聞いた。恐らく黄色の花を探していたのだろう。…君に合わせる顔がない、だが一目だけでも、後ろ姿だけでも良い、君に会いたい…顧千帆はパンRへの想いが募り、深夜にこっそり桂花巷(ケイカコウ)を訪ねた。そっと母屋の窓を開けると、稲光でパンRの寝顔が見える。顧千帆は窓際の棚の上に3千貫の″大相国寺長生庫(ダイショウコクジチョウセイコ)券″を置いて帰ったが、折からの強風にあおられて手形が吹き飛んだ。翌朝、パンRは顧千帆の手形に気づかず店に向かった。三娘は招娣に母屋の片付けと換気をするよう頼み、結局、手形は床に散らばった書類の間に挟まれて棚の上に戻されてしまう。そうとは知らず、顧千帆から3日間、何の音沙汰もないまま、パンRは5日以内に手付金を準備することができなかった。パンRは先に手付金の完済を1日だけ延ばしてもらった。そこで自ら皇城司に顧千帆を訪ねたが、孔午(コウゴ)から顧千帆は遼の使者のお供で狩りに出かけたと知る。陳廉も調査で地方へ出かけて留守、パンRは仕方なく諦めることにした。すると孔午は早馬を飛ばせば一両日中にパンRが来たことが顧千帆に伝わるという。しかし手付金の期限までに到底、間に合わなかった。追い詰められたパンRは茶坊の証文と書画を質入れすることにした。三娘は唯一の財産を手放すことに反対したが、パンRは琵琶もない茶坊では先細るだけだという。「身代をなげうって東京(トウケイ)に残ると決めた時も逃げ道はなかった 質入れは賭けだけど、商いに危機は付き物よ それに私は顧千帆を信じたいの…今回は何かあったに違いないわ 三娘、望月(ボウゲツ)楼の女将になりたくないの?」「なりたい!30貫しかないけど仲間に入れる?!」招娣は若女将になりたいと訴え、三娘を尻目にパンRと一緒に質屋へ出かけてしまう。その頃、狩りに出かけた顧千帆は深手を負い、昏睡して雍丘(ヨウキュウ)城に運び込まれた。…チェンファン!…顧千帆はパンRの声でふと目を覚ましたが、なぜか父・蕭欽言(ショウキンゲン)がいる。「耶律宗盛(ヤリツソウセイ)の身を案じた陛下が私を遣わしたのだ、安心せよ、手配は全て済んでいる 大手柄だったな!」顧千帆は崖から落ちた耶律宗盛を助ける際、岩石が肺腑に直撃していた。2日間も気を失っていたと聞いた顧千帆は慌てて東京へ帰ろうとしたが、蕭欽言に止められてしまう。池蟠は質屋にも手を回した。しかしパンRは権力には権力で対抗、半遮面には柯政(カセイ)から揮毫(キゴウ)を授かった宋引章(ソウインショウ)がいると脅す。「引章がお偉方と会った時、この店の話題を出したら…」一方、顧千帆は寝たふりをして父が部屋を出るのを待ってから、耶律宗盛を訪ねた。「私を兄弟と思うなら頼みを聞いてくれ、私の愛する女が苦境にあると文が届いた 任務を完遂する予定だったが、一刻も早く会いに行きたい 大事でなければ明日の午後には戻れる、蕭宰相を足止めしてくれないか?」耶律宗盛は顧千帆の情の厚さに感銘を受け、もしもの時は自分の妾に息災を知らせに行かせたと嘘をつくと約束した。パンRは夜明けまでに何とか手付金600貫をかき集め、招娣と屋敷に戻った。すると招娣は陳廉が持って来た200貫は大きな箱に入っていたが、質屋の箱がやけに小さいと訝しむ。パンRは陳廉の箱には2文や5文相当の銭で200貫入っていたが、今回は1枚が10文の価値がある祥符元宝(ショウフゲンポウ)だからだと教えた。「そう言えば仲が良かったわよね?」「皇城司の都頭と茶坊の下働き、仲が良いなんて恐れ多いよ みんなが顧司使みたいな人に出会えるわけじゃない」「確かに私は幸運だった…幸せは自分でつかむもの、他人任せではいけないわ」欧陽旭(オウヨウキョク)はついに抱一(ホウイツ)仙師との面会を果たした。しかし隠遁した身だと授爵を断られ、これでは都に戻れない。欧陽旭は恩師にも見放され自暴自棄になった。すると書童の子明(シメイ)から御史中丞(ギョシチュウジョウ)・斉牧(セイボク)が故郷の西京(セイケイ)で療養していると聞く。柯政と同じ清流派の斉中丞が自分を相手にするとは思えなかったが、子明は贈り物でも献上してはどうかと提案した。「柯老相公が返してくれた箱の中に何かあるかも…見て来ます!」実はその箱の中にはかつて叔徳(シュクトク)が勝手に柯政に贈った夜宴図(ヤエンズ)があった。夜宴図は見事な絵だった。すると子明が絵の中に小さな字が書かれていると気づく。欧陽旭は注意深く美女の絵姿を確認すると、確かに札のように名が入っていた。「張師師(チョウシシ)…陳娟(チンケン)…王雲児(オウウンジ)…劉婉(リュウエン)…?!ふっ、都へ帰れるぞ」″劉淵″とは皇后の名だった。三娘はパンRが勝手に引章が置いて行った銭まで使ったことを心配した。しかし実は昨日、パンRは招娣を沈(シン)家に使いに出し、引章からの許可をもらったという。証文にはパンR、三娘、招娣だけでなく引章の名も入っていた。三娘は沈家に行ったことを黙っていた招娣を問い詰めた。焦った招娣はパンRに口止めされたという。「何で?!…で、どんな態度だった?」「パンR姐の文を破り捨て、即答しろとはゆすりも同然だって でも今は必要ないから、華亭(カテイ)での謝礼金だと思うことにすると… それからパンR姐の婚儀には具合が悪いので行かないと言ってた」「引章ったら!頭に来る!」しかし引章が大切にされていると知り、三娘は今度は本当に幸せなのだと分かって安堵した。すると招娣は引章が出て行ったのは失恋ではなく、妬みではないかと指摘する。思えば欧陽旭が進士になった時は周舎(シュウシャ)と駆け落ち、今回もパンRが誥命(コウメイ)夫人になると知った途端、沈如琢(シンジョタク)に身を寄せた。「パンR姐は引章姐の嫉妬心を見抜いている、だから昨日のことも口止めしたんだ」こうしてパンRたちは杜長風(トチョウフウ)を仲介人として正式に契約を結んだ。つづく( ゚ェ゚)ん___これでいいの?w
2023.05.28
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梦华录 A Dream of Splendor第27話「危うい取り引き」皇城司(コウジョウシ)では司使に昇格した顧千帆(コチェンファン)を出迎えるため配下が整列していた。すると趙盼児(チョウパンアール)と一夜を明かした顧千帆(コチェンファン)が遅れて到着する。「欲をかかず、人を欺かず、ごまかさず、命を惜しまず… これは南衙(ナンガ)の掟だが、今後は皇城司全体の掟にする、聞くだけでは駄目だ、行動で示せ」陳廉(チンレン)は司使に吏部の調査依頼を渡して自分の仕事に戻った。そこで顧千帆はざっと目を通したが、思いがけずパンRの父の名を見つける。…景徳元年、寧辺軍将校が命に抗う、罪人は都巡検使・趙謙(チョウケン)を始め配下数十名を流刑とする…驚いた顧千帆は陳廉を呼び、すぐ吏部を訪ねることにした。一方、欧陽旭(オウヨウキョク)は抱一(ホウイツ)仙師の外甥の食客となって食いつないでいた。そんなある日、屋敷の前で懐かしい恩師と再会を果たす。「恩師!」「恩師と呼ぶな!」柯政(カセイ)は新しい任地へ向かう途中で欧陽旭の噂を聞いて立ち寄ったと話し、探花に推挙したことを後悔していると嘆いた。慌てた欧陽旭は激しい雨の中でひざまずき、事情を説明する。「皇后に陥れられたのです、私は賢(ケン)妃の姪と婚約しておりました 賢妃と不仲な皇后は賢妃の使者なる者を寄越し、謁見の際は道家を褒め称えよと知らせたのです そうとは知らず私は宮観官(キュウカンガン)になってしまった… 高(コウ)家は恥だとして私に破談を求めて来ました 西京(セイケイ)では官吏が高家の勢力を恐れ、何度も嫌がらせを受け、貧困にあえぐありさまです やむを得ず古廟に住むと、高家の者が現れ、婚約解消を迫り…」「もう良い」柯政は欧陽旭が自分の窮状を訴えたいだけだと分かっていた。「私の言葉を忘れたか?″命を絶たれても気骨を守れ、士大夫たる者、風骨の2文字を胸に刻め″と…」すると柯政は欧陽旭が贈って来た物を全て返し、これで自分たちの縁は切れたという。「金輪際、人前で私の教え子であったと言ってくれるな」顧千帆は吏部で趙謙の詳しい罪状を読み、パンRの苦労を思うと胸が痛んだ。…茶舗で私が皇城司の者だと知って態度を豹変させたわけだ…一方、陳廉は店じまいの頃を見計らって半遮面(ハンシャメン)を訪ねた。すると裏庭で偶然、杜長風(トチョウフウ)と出くわしたが、驚いたことに眼鏡がなくても見えるようになったという。「良い処方のおかげでね~」パンRたちは証文の内容が吟味できる立会人を探してた。そこで書院で法も教えている杜長風に白羽の矢が立ったという。陳廉は良い酒楼が見つかったと分かったが、なぜか断られたはずの望月(ボウゲツ)楼との証文だった。店主はすぐ銭が必要なため半分だけ売ると決め、パンRたちに貴賓室だった東側を譲り、自分たちは西側で酒を醸造することにしたという。何かと杜長風の世話を焼く孫三娘(ソンサンニャン)、パンRたちはそれとなく場所を移動し、三娘と杜長風を2人だけにした。陳廉はパンRが心配しないよう司使が激務に追われていると報告した。最近はずっと六部にいて屋敷に帰る暇もないという。パンRは仕方なく陳廉に伝言を頼み、酒楼を開く銭を工面して欲しいと言った。「了解!」杜長風は証文に気になる点を見つけた。確かに望月楼が半分の1200貫になるのは良い取り引きだと思うが、″手付金5割を5日以内に完済す″という条件はいささか危険だという。通例では手付金3割を1ヶ月以内に完済、しかしパンRはそれが先方の条件だと話した。すると三娘が心配せずともパンRの未来の夫が出してくれると笑う。「これもあんたのおかげよ、あんたが以前、欧陽旭の妾になれと言って怒らせたでしょう? そのおかげでパンRは誥命(コウメイ)夫人になれる」杜長風はパンRの嫁ぐ相手が五品だと気づいて目を丸くした。三娘は杜長風を見送りがてら菓子を持たせた。すると杜長風は自分に何の称号もないことから、一念発起してまずは身だしなみを整えたいという。「私の衣は古くてしわだらけだろう?早くに母を亡くし妻もいないからどうにもできない 一緒に私の衣を選んでくれないか?」「よく言うわ、使用人がいるでしょう?」「使用人は全部、男だ!雌鶏さえいない!」「…そうね、明日ならいいわ」杜長風は三娘と出かける約束を取り付け、喜んで帰って行った。陳廉は司使にパンRから預かった補血生津(ホケツセイシン)薬を渡し、伝言を伝えた。しかし顧千帆の手持ちは200貫、仕方なく残りは自分で何とかするという。陳廉は暇を見つけてパンRに会いに行くよう勧めたが、顧千帆はパンRも酒楼のことで忙しいはずだと渋った。皇帝は雷敬(ライケイ)と顧千帆を呼んだ。遼(リョウ)からの使いとして常山(ジョウザン)郡王・耶律宗盛(ヤリツソウセイ)が東京(トウケイ)に来たが、遼王の甥である宗盛は血筋の中で一番、王位に近い人物だと聞いたという。そこで雷敬を国信所(コクシンショ)の任に就かせて使者の出迎えを命じ、顧千帆に補佐を任せた。「重要なのは相手の人柄や好みを探ることだ」皇帝は文武両道の顧千帆なら宗盛と気が合うはずだという。実は顧千帆を推薦したのは皇后だった。顧千帆は蕭欽言(ショウキンゲン)が手を回したと分かったが、今の顧千帆にとって都を離れられるなら渡りに船だ。陳廉は桂花巷(ケイカコウ)に200貫だけ届けた。残りは司使が自分で手配すると安心させ、今は使者の随行を命じられて自由が利かないが、暇を見つけて会いに来るはずだという。「じゃあこれで…そうだ、招娣(ショウテイ)は?」「今、灯油を買いに行ってるわ、何か用?」「いえ、何でもないです!」三娘は約束通り杜長風の衣を見立てた。しかも店主に掛け合って衣2枚で1400銭、手巾と靴までつけてもらう。「良い買い物だったわね~ これで次から季節ごとに帳簿を見て衣を仕立てられるの、もう出向く必要はないわ 酒楼を開けばあんたに構う暇はなくなるし…」「待つよ、一緒に出かけられる日まで待つ」杜長風は三娘への想いを告白、本気だと伝えた。実は三娘の事情なら招娣からすでに聞いているという。「何ですって?!」「せかすつもりはないんだ、酒楼の件が落ち着いたら話そう」「誰が話すもんですか?!」すると三娘は怒って帰ってしまう。陳廉は人気の磨喝楽(モホロ)人形を手に入れ、招娣に届けに来た。ちょうど中庭にいた招娣は人形を喜んだが、その時、突然、女が飛び込んでくる。「やっと見つけた!」女は招娣の母だった。そこで陳廉は親なら話し合うべきだと助言したが、招娣は陳廉が母を連れてきたと誤解、激怒する。「余計なお世話だ!」招娣は怒りに任せて人形を投げ捨て、割った。陳廉は深く傷つき、壊れた人形を持って帰ってしまう。三娘は中庭でもめている招娣と母の元へ駆けつけた。パンRから一芝居打つよう指示された三娘は招娣を捕まえ、玉観音を壊して逃げるつもりかと迫る。「あんたは誰?母親?…ちょうどいいわ、弁償してもらう」すると三娘は屋敷で待ち構えていたパンRに母親を突き出し、招娣を裏庭へ逃した。パンRは宋引章(ソウインショウ)の名を語り、娘の代わりに弁償するよう迫った。「貧しそうだから50貫でいいわ」母親は柯政も一目置くあの宋娘子だと知って態度を一変させ、弁償する代わりに娘を売り渡すという。パンRと三娘は酷い母親に呆れたが、これを機に証文を書かせて招娣を自由にした。すると母親は足代を恵んで欲しいという。「5貫でいいです」「いいわ、でも銭は池(チ)衙内からもらって、うちの主で東京十二商業組合の会頭なの」三娘は招娣の母を連れて出かけて行った。母の様子を見ていた招娣はこらえ切れず、回廊の片隅に座り込んで涙に暮れる。パンRは招娣を見つけると、ただ黙ってそばについていた。つづく( ゚ェ゚)え__うちの顧千帆が出しますって__しかも事後報告とか__
2023.05.27
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第16話蒼鹽海(ソウエンカイ)の猟師の集落で一夜を明かした小蘭花(シャオランファ)と東方青蒼(ドンファンチンツァン)。小蘭花は集落に男がいないことに気づいていたが、その朝、その理由を知った。実は月尊がいなくなってから幽王たちの戦が続き、召集された男たちは戦死してしまったという。女たちは髪に花を挿していたが、それは霜鹽花(ソウエンカ)と言って男に死なれた女がつける花だった。東方青蒼は宮殿に戻ることにした。すると集落を出ようとした時、月尊に気づいた老婆が呼び止める。「尊上?」女たちは月尊だと知って慌てて平伏したが、老婆は拝礼するどころか、月尊に聞きたいことがあると迫った。驚いた嫁は月尊の怒りを買えば皆殺しになると怯えて止めたが、東方青蒼は続けろという。「尊上、この3万年の間どこにおられたのですか?」月尊さえ戻れば苦しみが終わると信じて待ち続けた老婆たち、しかし月尊が戻ったのは夫や息子が戦死したあとだった。実は東方青蒼は幼い頃、父と狩りでこの村に泊まったことがあるという。老婆の孫は当時、東方青蒼と年も近く、一緒に狩りを楽しんだと話した。「後に軍隊に入ってあなた様と戦に行ったきり、玄虚(ゲンキョ)の境に3万年、封印されたままです あなた様は戻られても、孫は戻って来ません!」老婆は自分が死ぬ代わりに孫を連れ帰って欲しいと訴えた。女たちは一斉に老婆の命乞いを始めたが、東方青蒼は黙って集落を出て行ってしまう。東方青蒼は崖でしばし物思いにふけった。すると遅れて小蘭花がやって来る。「皆を見捨てたわけじゃないって、なぜ言わなかったの?」「…理由などない」「私にも言えないの?」「秘密が必要だと言ったのはお前だ」小蘭花は東方青蒼の変化に気づいていた。蒼鹽海に来た頃、月尊の怒りを買えば誰であろうと命がないと聞いたが、老婆に責められたのに見逃している。「老婆ゆえ殺すのが忍びなかっただけだ…」「忍びない?それは同情や哀れみと同じだわ、七情を失ったはずなのにどうして? はっ!もしかして…」東方青蒼と小蘭花は東方青蒼の心海に入った。すると驚いたことに根を絶たれたはずの木から新芽が出ている。小蘭花は喜んだが、東方青蒼はなぜか顔をこわばらせた。その夜、東方青蒼は父の夢を見た。幼い頃は父も蹴鞠(ケマリ)で一緒に遊んでくれたが、ある日、突然、2度と鞠には触れるなと叱られてしまう。それから父の厳しい修練が始まった。東方青蒼はふと目を覚まし、海市(カイシ)から戻って以来、毎日、夢でうなされていると気づく。…私の七情は本当に急速に回復しているのか?…翌朝、小蘭花は東方青蒼が眠れないと知り、安眠できる香りの蘭の花を届けに来た。しかし東方青蒼は情が復活することへの不安が強くなり、小蘭花にも冷たく当たってしまう。「いらぬ!情がないからこそ月族を率いて敵を殺せる お前が現れるまで苦しみなどなかった、全てはお前が現れたせいだ もう余計なことはやめよ、2度と顔を見せるな」一方、欲深い結黎(ジエリー)は駄目もとで伝説の霊宝(レイホウ)閣に忍び込もうとした。すると予想外にあっさり入ることに成功、お宝を盗み出してしまう。その頃、東方青蒼は食事が気に入らず、2度と同じ料理を出すなと激怒していた。觴闕(ショウケツ)は謝罪し、料理長が交代したせいだと釈明する。「交代した?」「お忘れですか?尊上が先日、使用人たちに休暇を出しました、久しぶりに家族に会って来いと…」すると東方青蒼は何も言えなくなってしまう。「尊上、近頃、何かお悩みが?」「…七情が回復し始めた」頭を抱える東方青蒼、そこへ衛兵が結黎を連行した。「盗人を見つけました、これが盗品です!」觴闕は盗品を受け取り、月尊の横で中を確認する。怯えていた結黎だったが、東方青蒼は小蘭花が喜ぶ物なのか聞いた。「もちろん!女子なら誰でも絹や翡翠が好きです!」東方青蒼は小蘭花が欲しい物なら持ち出して構わないと許した。しかし觴闕が結黎に荷物を返そうとした時、急に東方青蒼が止める。東方青蒼は袋の中から木彫りの人形を発見すると、なぜか表情が一変、結黎を斬れと命じた。驚いた觴闕は自分の管理不行き届きだったとかばったが、東方青蒼に投げ飛ばされてしまう。その時、小蘭花が駆けつけ、結黎をかばった。「結黎を殺さないで!…たった1人の友を絶対に死なせない! 私の顔など見たくないんでしょう?殺すなら私を殺せば良いわ!」そこへ衛兵が飛び込んで来た。何でも収監されている巽風(ソンホウ)が先の月尊にお参りさせろと騒いでいるという。「…木彫りを燃やせ!」東方青蒼は小蘭花を傷つけることなどできず、結局、結黎を見逃した。3日後は先の月尊の命日だった。東方青蒼は父に合わせる顔などないはずだと呆れたが、巽風は父に対して恥ずべきことはないという。「私を殺すことは大したことではない だがお前は海市主と手を組み、月族の仲間を売って同胞の苦しみや恨みを用いて祟気(スイキ)を作った 許されぬことだ、馬鹿なことを…」「海市主は祟気の出どころを言わなかった、お前を恨んでいるが私も父の子だ 仲間を傷つけることなどできるはずない! 元はと言えばお前のせいだ!敵討ちを焦る気持ちにつけ込まれたのだ! 東方青蒼…父上はお前に目をかけ、全てをお前に注ぎ込んだ だがお前は月尊の座のため、その手で父上を殺した…なぜ実の父に手をかけたんだ?!」「あれはお前の父だ、私は父とは思わぬ」すると東方青蒼は3日後の父の命日に巽風を処刑すると決めた。結黎は命懸けで自分を助けてくれた小蘭花に心を開いた。そこで自分をかばって怪我をした小蘭花に薬を塗ってやる。「ありがとう、ジエリー、でもどうして月尊大人は怒ったのかしら? 貴重な宝を盗んでも気にしないのに…」「觴闕によると運悪く月尊大人の怒りに触れちゃったみたい」実はあの彫像は月尊が子供の頃に乳母と彫った物だった。…あれは東方青蒼が父から急に鉄剣を使うよう命じられた時だったまだ幼かった東方青蒼はうまく扱えず、手が傷だらけになってしまうその時、乳母は東方青蒼を元気づけようと一緒に月族の始祖で初代月尊・鹽女(エンニョ)の彫像を作った『始祖を見習って月族の栄光を取り戻してください』『うん!』しかし乳母は父に殺されてしまう…結黎が聞いた話では月尊は海市から戻ってから不機嫌だった。巽風にも寛容だったが、急に雷刑にすると命じたという。驚いた小蘭花は東方青蒼の寝宮を訪ねた。「月尊大人…怒らないで聞いて欲しいの、巽風殿下は海市主と手を組んだって本当?」「奴にだまされたようだ」「それなら死罪は許してあげたら?血を分けた兄弟でしょう?」しかし東方青蒼は父も弟も肉親とは思っていないという。「あの者は巽風を溺愛したが、私が何をしても笑みを見せなかった 私に業火(ギョウカ)を操る天賦の才があると分かっても、喜ぶどころかこう言った ″なぜお前が…″とな、忌まわしい息子が己の地位を奪うと思ったのだろう」「違う、そうとは思えない」「私の七情を絶ったのはあの者だ そのために私が死ぬことも厭わず、あの者は私を何度も痛めつけた だが私に己を殺させ、命の代償を払い、枯らそうとした七情の木が回復しつつある…滑稽だろう?」すると東方青蒼は部屋を出て行ってしまう。小蘭花は先の月尊の言葉の意味を考えていた。「なぜお前が…ってどういう意味なの?」觴闕と結黎は怖いもの知らずにも程があると呆れたが、小蘭花は水雲天で聞いていた話と実際の蒼鹽海や月尊は全然、違うと訝しむ。「先代を殺したという話も何か裏があるのでは?」しかし觴闕は月尊が大勢の前で先代を殺したと話し、裏などないと否定した。「いいえ、何かある!…觴闕、その時のことを詳しく教えて!」つづく( ゚ェ゚)あれ?月尊の化粧が微妙に濃くなってない?w
2023.05.27
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苍兰诀 Love Between Fairy and Devil第15話長珩(チャンハン)は容昊(ヨウコウ)の協力で封印を破り、小蘭花(シャオランファ)を救うため蒼鹽海(ソウエンカイ)へ向かった。しかし忘川(ボウセン)を下っている途中で雲中君(ウンチュウクン)に見つかってしまう。長珩はついに自分の気持ちを明かし、小蘭花への想いを貫き、愛する人を助けに行くと訴えた。すると激怒した雲中君は長珩を拘束、仙族の掟を破って月族の間者と通じた罪で戦神の名を剥奪し、昊天(コウテン)塔に閉じめてしまう。一方、寂月(セキゲツ)宮では巡回していた觴闕(ショウケツ)が結黎(ジエリー)を見咎めていた。「夜更けというのにこそこそ何をしている?」「昼間、死にかけたから寝付けなくて…」結黎は両親もなく苦労して店を持ったが、小蘭花のせいで潰れてしまったという。「だから小蘭花を頼って来たのに…ここでも命を狙われてばかりよ」「お前も独りか…」觴闕は自分も天涯孤独だと話した。幼い頃は薬材となる霊龍の骨や鱗を狙う者たちに何度も騙されたという。もし東方青蒼(ドンファンチンツァン)が助けてくれなければ骨も残っていなかっただろう。觴闕はこれを教訓に決して自分を虐げた者のような卑劣な真似をしないと決意、この世で最も誠実な男になると誓った。しかし結黎は失笑し、苦労したのに真心で応えるのかと呆れる。「どうせ踏みにじられるだけよ、私は自分で自分を守って来た、誰も信じない」「間違ってる!」「間違っているのはそっちよ!」境遇が似ている2人は意気投合したように見えたが、相容れない価値観だと知る。その頃、結黎を追っていた蝶衣(チョウイ)は寂月(セキゲツ)宮に逃げ込まれたと報告していた。「配下を送りました、宮殿を一歩でも出たら捕まえます」翌朝になっても結黎はふてくされていた。そこで小蘭花は自分の腕輪を貸して結黎を逃すことにする。「これは″骨蘭″って言うの、運命簿を修繕するまで身を守れるようにって月尊がくれたわ 月尊の血で作られ、月尊と同じ力を持つの、これがあれば出て行く時、邪魔されない」喜んだ結黎は早速、逃げようと言ったが、小蘭花は東方青蒼の七情の木を治す約束のため一緒に行けないと断った。結黎は仕方なく九幽まで送って欲しいと頼む。自分には腕輪を使いこなす力がない上、何より衛兵たちは小蘭花に逆らえないと知っていた。「でも…私の心が読まれたら緊張が伝わってバレてしまうわ」すると結黎が巾着から神器のかんざしを出した。「″蔵心(ゾウシン)の簪″よ」かつて月族の始祖・鹽女(エンニョ)と仙族の始祖・重華(チョウカ)は愛し合っていた。しかし月族は仙族に裏切られ、傷ついた鹽女は自分の心を重華に感じさせないようこのかんざしを作ったという。実は三界広しと言えど心を隠せる神器は東方青蒼が持っている指輪・幽玉戒(ユウギョクカイ)とこのかんざしだけだった。このかんざしを挿していれば思いはかんざしの中に隠され、霊力が強い者にも感じることができないという。「言っておくけど貸すだけよ?」(*゚▽゚)*。_。)*゚▽゚)*。_。)ウンウン小蘭花と結黎は難なく宮殿から出た。しかし暗松林(アンショウリン)で突然、蝶衣が現れ、襲われてしまう。小蘭花は咄嗟に腕輪を結黎に持たせて逃したが、蝶衣の鉄鞭が腕に命中した。その時、宮殿にいた東方青蒼も腕に激痛が走る。袖をまくってみると大きな傷跡が浮かび上がった。すると結黎が衛兵に連行されて来る。「尊上!小蘭花をお助け下さい!」一方、蝶衣に襲われた小蘭花はかんざしを抜いて東方青蒼に知らせようとしていた。しかし鉄鞭で吹き飛ばされ、運命簿を落としてしまう。蝶衣は運命簿を拾おうと鉄鞭を放ったが、突然、鉄鞭が破壊された。その時、長珩が降り立ち、小蘭花を救ってくれる。「長珩仙君…」小蘭花は安心したのか、急に力が抜けて長珩の胸の中に倒れ込んだ。司命殿で目を覚ました小蘭花は長珩仙君の姿に気づいて慌てて拝礼した。すると落とした運命簿を長珩が持っていると分かり、安堵する。そこで小蘭花は東方青蒼が自分をさらって丁重に扱うのはこの運命簿を修復させるためだと明かした。しかし誰の運命簿かは知らず、なぜ東方青蒼と海市が狙うのかまでは分からないという。「確かに傷んでいて読めないな…」「すぐ直します、早く修繕して謎を暴けば私は間者ではないと証明できます」長珩は司命殿を引き上げるふりをして幻鏡を出た。出迎えた蝶衣は長珩に扮する必要があるのか訝しんだが、容昊は小蘭花の想い人に扮してこそ従わせることができたという。すると早速、留芳(リュウホウ)閣に東方青蒼が現れた。蝶衣は首領を逃すことにしたが、容昊は修繕が済むまで何とかだまし続けるという。「配下を連れて奴を止めに行け」しかし蝶衣はあっけなく退けられてしまう。東方青蒼は殿内にある水槽に目をつけた。そこで水に触れてみると、そのまま幻鏡に吸い込まれてしまう。東方青蒼は″千重幻鏡(センチョウゲンキョウ)″に捕らわれた。すると鏡に首領が映る。容昊はその絶大な霊力をもってしても、無数の鏡の中から本物の小蘭花を探し出すのは至難の業だと笑った。容昊は東方青蒼を足止めし、長珩に扮して司命殿に戻った。するとついに小蘭花は運命簿の修復に成功する。「謝惋卿(シャワンケイ)?人族の名だわ」その時、小蘭花はふと机の飾り台が割れていないことに気づいた。あれは東方青蒼と中庭で餅を作った時のこと、水雲天では毎年、大戦の勝利と月尊の封印を祝うと知った大強(ダーチァン)が激怒して器を投げ、台を真っ二つに割っている。小蘭花は長珩が偽物だと気づきいて逃げようとしたが、容昊に捕まった。容昊はまさか小蘭花に見破られるとは意外だった。「ここは私の念が生んだ場所だ、お前は逃げられぬ、大人しく運命簿を渡せ」すると小蘭花は投げ飛ばされ、運命簿が手から落ちてしまう。しかしその時、鏡を粉々に砕いた東方青蒼が幻鏡に現れた。「私のものに誰も触れてはならぬ」「馬鹿な…これほど早く辿り着くとは!」小蘭花は無事に運命簿を取り返し、容昊は東方青蒼の一撃であっけなく倒れてしまう。「お前は何者だ?なぜ運命簿を狙う?…言わぬなら私が確かめよう」東方青蒼は首領の仮面を剥がそうとしたが、蝶衣が現れ、小蘭花に襲いかかる。焦った東方青蒼は咄嗟に蝶衣を退けたが、その隙に容昊は脱出した。小蘭花は東方青蒼のおかげで難を逃れた。しかし幻鏡を出ても東方青蒼は一言も声をかけず、黙々と歩き始めてしまう。小蘭花は慌てて後を追い、化魂墟(カコンキョ)までやって来た。「待って!月尊大人、助けてくれてありが…」その時、突然、東方青蒼が振り返り、小蘭花の両肩を強くつかむ。「なぜ逃げた!私の視界から消えるなと言ったはずだ! あと一歩、遅ければ死んでいたんだぞ?!」「逃げたわけじゃ…だってあなたの七情の木を治すって約束したでしょう? 結黎を助けたかっただけなの」「私の視界から消えてはならぬ!どこへ行くにも私に知らせよ!分かったか?!」「…わ、分かった」すると東方青蒼は我ながら感情的になったと気づき、慌てて手を離した。東方青蒼はこの機会に化魂鼎(カコンテイ)を破壊、悪の根源となる祟気(スイキ)を消した。すると霧が晴れて風雪が止み、海市は急に明るくなる。そこで小蘭花は東方青蒼の機嫌を直すため運命簿を渡すことにした。「修繕できたわ、どうぞ」「…私が修繕を命じても言い逃れするのに、長珩ならばやるんだな?」しかし小蘭花はあの司命殿が偽物だと気づいたきっかけは東方青蒼が壊した木の台が無傷だったからだという。「このことを知っているのは世界中で私たちだけ…ふふ そうだ、千重幻鏡には何万もの私の姿が映し出されていたのでしょう?なぜ本物が分かったの?」「…幾千万本のうり二つの蘭の花の中にいても私はお前を見つけ出せる ゆえに逃げても無駄だ、忘川の源でも天地の果てでも、どこにいようと見つけてみせる」東方青蒼の言葉を聞いた小蘭花は自然と涙があふれ出した。「どうして泣く?」「うれしくて…前に師父も似たような言葉を言ってくれた 師父は私にとって誰よりも身近で大切な人よ?あなたも…」小蘭花は何か言いかけたが、急に倒れてしまう。その頃、蝶衣は深手を負った容昊を息山(ショクサン)の洞窟へ運び込んだ。「凶神のお力で救っていただきたく参りました!」するとどこからともなく邪悪な妖気が現れる。「祟気に守られているのに誰にやられた?」「東方青蒼です!」「東方青蒼?!…ふん、太一(タイイツ)の後、三界に敵はいないと思ったが、どうやら面白くなりそうだ」凶神は容昊を救った。意識が戻った容昊は感謝し、凶神を解き放つ助けとなる息山神女(シンニョ)・息芸(ショクウン)を見つけ出したと報告する。「いずれここに連れて来ます」東方青蒼は小蘭花を連れて蒼鹽海に戻った。すると天幕で休ませていた小蘭花がようやく目を覚ます。「ここはどこ?」「猟師の集落だ」東方青蒼は暖を取りながら魚を焼いていた。「まだ怒ってる?…ごめんなさい、もう勝手に抜け出さない、出かける時はまずあなたに伝えるから」「食べろ…」その時、東方青蒼は小蘭花のかんざしに気づいた。鹽女の神器をなぜ小蘭花が持っているのか分からなかったが、返すよう迫る。しかし小蘭花は結黎に借りたと訴え、借りた物は返す必要があると拒んだ。「持っていても構わぬが髪に挿すな」「イヤ!…だって心の中を知られたくないもの」「心の動きが分かれば、すぐお前を助けに行ける」「なら余計に外せない、私の心の中に勝手に入って来ないで!…秘密は必要よ!」「前は気にしなかっただろう?」「それは昔のことよ!」「今と何が違う?!」すると東方青蒼は怒って天幕に入ってしまう。つづく( ๑≧ꇴ≦)何もう月尊サイコーwww
2023.05.26
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