どうでもいいのが集まった

どうでもいいのが集まった

2005/08/03
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カテゴリ: 普通の馬鹿日誌
恭香と付き合い始めて、もうすぐ6ヶ月になる。
上司の誘いで行った居酒屋でバイトをしていた恭香に、いわゆる一目惚れという物をした。年は僕より少し上くらい。なのに裏方で水仕事をしているであろう白い手は、あまりにも綺麗で荒れるのを見たくなかった。それから何日か同僚を誘ったり後輩を連れ込んだりして、居酒屋に通った。そしてたまたま1人で来た時、「今日は1人なの?」と話し掛けてくれた。それからどれくらいか話し、付き合いだしてから、恭香さが離婚で独身になり、高校生になる子供の学費のために働いていることを知った。

そして今日、安い給料ではありながら貯めた金で指輪を買い、自分の分を書いた婚姻届を渡してプロポーズするつもりだ。会社帰りに、いつもの駅から少し離れた英国風の喫茶店で待ち合わせた。時間にルーズというかドジと言うか、いつも少し遅れてくる恭香が、時間前に店に来た。今日はいける。そう思う。カバンの中の小さな箱の存在がなぜか重く感じる。


「今日は速かったね」
そう言うと可愛く怒って
「私だっていつも遅れたくて遅れてるんじゃないの!」
と深く椅子に座った。体が小さい分、いつもそう見える。
それからいつも通りコーヒーと紅茶を別々に注文して、お互いに今日あったことや、思ったこと、今度の休みにどこに行くかなんかを話した。話す度に思うけど、この人はどうやったらそんなにたくさん喋れるんだろうと思うくらいよく話す。いい色の紅茶が冷めるまで一生懸命に、自分の事や僕の事を話してくれる。
「隼人くんは優しいから、いろんな人に好かれるんだよ」
といやみっぽく言ってくれたりする。
「でも好きな人は恭香だけだから」
と言っても、茶化してしまうみたいに笑う。
でもわかってくれていると思う。

恭香の愚痴っぽい話を聞きながらも、指輪を渡すタイミングを考えていた。同期で唯一の既婚者の川田に聞いてもはやしたてるだけで何にも参考にならなかった。畜生め。

「どうしたの?」
そんなことを考えてたりすると、恭香が心配するように顔を覗き込んできて不用意な事に声を出して驚いてしまった。
その声でさらに恭香が驚いてしまった。
「さっきからどうしたの?」
「いや、ちょっと考え事してて」
「ふぅん」
何がふぅんなのかわからないけど、なぜか恭香は落ち込んでいた。
これ以上気まずい雰囲気になってはダメだ。
よし、言うなら今しかない。なんでかはわからないけど、そんな気がする。
「恭香、聞いてくれ」
背筋を少し伸ばして言った。
「話があるんだ」
なんとかこれ以上ないほどの真剣な顔を作った。
「・・・うん」
さらに沈んだ声をだして、また恭香は落ち込んだ顔を見せた。
社内の女子に『柳村さんは女心が全くわかってない』と言われたことが多々あるけど、これだけはわからない。女の人は思う以上に繊細だったりするらしい。
ええい言ってしまえ
「これを渡したいんだ」
深い紺色の小さな四角い箱を鞄から出して、机の上に置いた。突然の贈り物に少し驚いたような表情を見せて、恭香はそれを手にとった。
「そんなに高い物じゃないけど、もらってくれる?」
ますます驚いた顔になった恭香を差し置いて、深く息を吸ってから
「結婚してください」
そう言って頭を下げる。これ以外思いつかなかったけど、今の自分が言える中で最高の言葉。
しばらくの間、静かな時間が漂った。周りで店員がソーサーを片付ける音だけが聞こえた。その時間が、永遠よりも長く感じた。沈黙が続く。


どれくらいか経った時、静かに「ありがとう」と聞こえた。
顔をあげると、恭香は泣いていた。
しばらくして泣き止んだ恭香は、落ち込んだ理由を教えてくれた。
「今まで、いろんな人と付き合ってきたけど、6ヶ月続いた人は前の夫ぐらいだったの。どの人も、5・6ヶ月で私に見切りをつけて行って。それで、隼人くんと付き合ってもうすぐで6ヶ月でしょ?だから、また別れ話かなぁって思ってたから」
でも、すっごく安心した。と言ってくれた。

「これから役所にいって、これを出してこよう」
そう言って婚姻届を見せた。
すると恭香は喜んだような戸惑ったような困ったような悲しい顔をした。そしてこめかみを人差し指で掻きながら苦笑して、
「えーと。言ってなかったけど、私の家の家計簿とか支出とか、全部私の子供がやってくれてるの」
「うん」
「だから、預金通帳とかはんことかの類、全部子供に任せてあるから・・・」
「うん・・・・・・はい?」
ちょっと待って。高校生の子供に家計を任せるって、どういうこと?
「1回家に帰って、ハンコもらいに行かなきゃ」
そんな学生が担任にもらいに行くみたいに軽く言われても。
「だから、ちょっとついて来てくれる?」
恭香は、全ての事にルーズなのか、ドジなのか。
ともかく、これから初めて恭香の家に行く。最初がこんなのとか、予想外だった。

*****************************

はい、あいす改です。
なんだかんだで書きました。続きます。続きモノです。
果たしてこの話をまっとうできるのか?
はなはだ疑問です。

見てわかるように、皆さんが好むようなラヴ臭漂うような話ではありません。
隼人はいったいこれからどうなるのか?
知るか。





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Last updated  2005/08/03 10:51:44 AM
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