2026
2025
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
全4件 (4件中 1-4件目)
1
不注意で墜落してしまったお釈迦様を助けるために、極楽の蓮の池にいる蜘蛛という蜘蛛が、何十匹、何百匹と、地獄の血の池めがけて糸を垂らしていく。血の池でばたばたともがいていたお釈迦様だが、その血まみれの手に何本も蜘蛛の糸がからみつけば、のんびり育てられたお釈迦様でもさすがに気づく。よっこいしょ、よっこいしょと蜘蛛の糸を上り始めるのだが、日頃、力仕事などしたことのないお釈迦様は少し上るだけで疲れてしまう。2,30メートルも上るともう疲れ果て、必死の思いでぶら下がっていたが、それもむなしくぼっちゃーんと再び血の池に落ちていく。周囲の罪人がこれに気づかぬはずはない。蜘蛛の糸を見つけるとこれ幸いに上っていく。中にはお釈迦様を踏み台にして上っていく者までいる。何人もが同じ糸にぶら下っていると、かつてのカンダタのように「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸は己のものだぞ。お前たちは一体誰に尋いて、のぼって来た。下りろ。下りろ。」と叫んで、ぷつんと糸を切られるものも沢山いる。しかし、芥川龍之介の小説を読んでいてその対応方法を心得ているものも当然いる。その上、罪人同士で助け合いながら、友情や信頼感をはぐくみながら、確実によじ上っていく罪人達もいる。極楽はこうしてよじ登ってくる罪人をどうしたものかと対策会議を開いているが、なかなか意見がまとまらず、会議ばかりが続いている。肝心なお釈迦様はと言えば、未だ血の池でもがいている。
Apr 27, 2008
コメント(0)
現実の中で感情がぴくんと起伏したときを切りとって紙に貼り付ければよいと思ったのだが、切りとられてできた心の傷口がどうにも痛くて。貼り付けられる紙の方もいい迷惑で血の滴るレアのステーキのような赤裸々な言葉をそのままぺたんと貼ろうとしても、つるんとすべってどっかに行って。そういうわけで紙の前で数十年。白紙の未来を信じてきたせいなのだろうか、いまだ、一字も紙に書かれていない。
Apr 20, 2008
コメント(0)
カラオケパブにジムや会社の同僚と行った時のことである。ジムは日本の歌謡曲を器用に歌っていたのだが、何時の間にか、隣の客とけんかしている。ジムの巨体が立ち上がる。隣の巨体も立ち上がる。背丈はジムの方が少し低いが、横幅はジムの方がある。えらいことだ。二人がなぐりあったら、本当にえらいことだった。僕は何かしなければいけないと立ち上がったのだけれども、何をするべきか考えていなかったし、急に立ち上がったものだから、アルコールが一気に頭に上って僕はくらくらとそのまま倒れてしまった。幸いにも、この思わぬハプニングが二人の燃え上がった炎を消してくれた。ジムはカラオケパブでの事件をすぐに忘れたのだけれど、どうも再び炎が燃え上がったようだ。ジムは深夜帰宅して、ベッドですやすや寝ていたシュロッサー家の若い娘をうつぶせにすると、盛り上がっている彼女のヒップを何度も叩いた。ジムがそのヒップとベッドの弾力を確認しているうちに、彼女は目を覚まし、怒り出した。しかし、シュロッサー家の娘は平手でジムの顔を2,3回激しく打ちつけると、唖然としているジムに抱きついていって、これまた激しくキスをした。次の日の朝、ジムは僕にそんな話をした。それからまもなく、ジムは彼女と婚約した。
Apr 13, 2008
コメント(0)
ユリシス何年もの間、シャロン・ルーはユリシスを捕まえようとしていた。 (ユリシスはオーストラリア原産の濃い青の干渉色に輝く蝶。しかし、ある角度から見ると単なる黒色の蝶にしか見えないそうだ。)その蝶は忽然と姿を現わし白いカップの縁にとまると、その中のまだ湯気のたつ紅茶にゆっくりとその身を浸漬していき、すっかり溶けてしまった。こうして青みがかった紅茶ができあがり、シャロン・ルーはようやく満足した。彼はその紅茶に口をつけると少し前に別れた彼女に電話をしたいと思った。青色の味を教えてあげれば、彼女は彼のことを許してくれるような気になったのだ。
Apr 6, 2008
コメント(0)
全4件 (4件中 1-4件目)
1
![]()
![]()
