サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2012.01.14
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カテゴリ: カーネーション
 辛抱していましたが、何だかドラマのトーンが変わっちゃっいましたね。私の中では、初めてこのドラマの評価を下げました。
 今週に入ってからのトーンの変化はいったい何なのだろうと、思っていたのですが、今日の糸子、玉枝、奈津の間の和解シーンを観ていて、どうしてもそれを指摘しないわけにはいきません。時代が戦後史に移り配役も変わるということもあるのでしょうが、それ以上に演出その他の細かい「作り込み」が、月並みになりつつあるような気がするのです。ドラマの流れがゆったりとするというのは、演出の一つとして別にあっても構わない。さらには、「不倫」が世間の禁止テーマであっても、それが「しかるべき必然性」において語られるなら、むしろ大いに結構。
 しかし、ドラマの「作り込み」自体を変更するのは、いかがなものか?ということなのです。

 私はかつて繰り広げられた玉枝の糸子への面罵シーン、奈津との料理屋での最後の対決シーンは、ドラマ史上における名場面だと思っています。女優同士が帯刀はしてないけれど、ほとんど肩を突つきあうようにして、立ったまま対峙しぶつかり合う。何だか「椿三十郎」の三船と仲代の決闘を髣髴とさせたものです。

 その落としどころが、このような月並みで説明的な形になるというのが、ガマンならないのです。このドラマは常に観る側の予想をはるかに上回る形で、まるでギリシヤ悲劇のような「破局」と「昇華」を垣間観せてくれていたのですが、今日のような形はいかなる意味でも、私たちの予期以上のシーンにはなっていない。
 このままだと、普通によくある「朝ドラ」、あるいは「昼ドラ」に堕ちてしまいそうです。

 一例を挙げます。
 そもそも、奈津という人物像には、「母殺し願望(エレクトラ・コンプレックス)」という古典的なテーマが付与されていたと思うのです。生まれた時から、料理屋の女将として成るべく育てられた奈津が、本来子供が母親から受けるべき愛情薄く成長したことに、本人は気づいてない。そうした無意識の枯渇感が、人一倍のプライドの高さとなって現れ、深層心理的には「母を憎む」というトラウマが浸潤する。
 玉枝は言わば母親の代償として奈津の前にいたのであり、だからこそ玉枝の前では甘えられたということになるのですが、以前にそこのエピソードが省かれて、糸子によるたんにナレーションで済ませてしまったのが、ここへ来てコケる因だったのかも知れません。

 実をいうと、現在の奈津にはこの心理的なトラウマが、現実の「母殺し」として実体化したかもしれない、という嫌疑があるのです。
 敗戦の直前直後の混乱期に、病弱の母親をどうして失ったのか、現在のところ明らかにされません(永久に明かされないかもしれません)が、少なくとも奈津の心理には、それまで意識されざるトラウマが、現実の母親の死によって「意識の表面にハッキリと姿を現した」という、明らかな心の傷を抱えているはずなのです。
 とすれば、今日の奈津の振るまいは、たんに密かに恋していた泰蔵の死を初めて知ることによって、感情が涙で溢れ出すというようなレベルではなく、玉枝に対して以前よりはるかに激しく、幼児返りしたような「甘える」姿があってもよかったのではないか?ということになります。
 ずいぶん、差し出がましい話で、製作者の皆さんには申し訳ないですが。

 和解の段取りが「あまい」とか、「いい加減」とか言っているのではなくて、「作り込み」があまいといっているのは、その点なのであって、ドラマ全体の主題を否定しているわけではありません。
 悪しからず。

― つづく ―





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Last updated  2012.01.14 16:32:47
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
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