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2021年01月04日
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カテゴリ: 情報的生活行為

音楽の危機 《第九》が歌えなくなった日 (中公新書 2606) [ 岡田 暁生 ]

表層的な評論と思って読み始め、
ああ、学問の探求とはこのように芳しいことである。と感動した一冊。

このうれしさ、喜び、何物にも代えがたい。読書はいいです。
ほんの少し、おすそ分け。よろしければ、、。
本書より、以下引用→
終章「場」の更新ー音楽の原点を探して より(p213・4行目から)
 結局のところ、ホールからひき剥がすのが最も難しいのは十九世紀クラシック、とりわけオーケストラと合唱だということになる。考えてみれば当然だろう。ホールという「近代が生んだ建物」のために作られた「近代の音楽」が、クラシックなのだから、近代の存立基盤を直撃されて一番ダメージを受けるのはここなのだ。それでもなおわたしは、ホールという建築/制度を生かした形で従来のクラシック・レパートリーを救出することは、決して不可能ではないと思う。わたしたちは二百年以上、同じ構造の建物の中に、いろいろな音楽を漫然と代入して楽しんできた。だが、同じ空間に代入している限り、結局そこからは似たような音楽しか生まれてこないということにもなるだろう。音楽は空間が作るのだ。具体的なところでいえば、ウイーン・フィルのあの甘美な響きにしても、それは彼らのホームグラウンドある楽友協会ホールの素晴らしい残響と不即不離であろう。しかし意地悪く言うなら、空間が同じだから彼らの響きはいつまでたっても変わらないとも言えるのだ。 ←引用ここまで。

(続いて数ページ後に、
秋吉台芸術村の磯崎新設計のホールの紹介がある。
残念なことに、このホールは、利用者が少なすぎ、2019年で閉める事になったそうだが・・。)

学問の世界では、音楽に関し、この視点は当たり前の事であったかもしれないが
こういう傾向の本を読むのは初めてであったので、本当に勉強になった。
また、岡田先生にお会いできることがあれば、チャンスを逃さず、ミーハーしたいと思う。





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最終更新日  2021年01月04日 07時18分05秒
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