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2024年09月06日
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テーマ: ブログ20年!(91)
カテゴリ: 情報的生活行為



癲狂院日乗 [ 車谷長吉 ]

日記。その日の出来事を書く。これは一年間、書かれて25年後に出版された。
事細かに人間をも描写。
あさん、いさん、、(名前のアタマ文字)と、敬称、という
あたしの書き方と、同じ方法を取っている。(文中は〇氏として。これは後書きで知ったことだが、もともとは実名)
ので、びっくりしたわ。
ただ、その、アタマ文字(ひらかな)に、傍点がつく。
以下引用p141-142

 九月三十日・水曜日。雨、午後、陰、夜、雨。(この行のみ前p)
 中略ーー
 夜、十一時半帰宅。嫁はんに留守番電話を聞かされる。も氏から抗議の電話。声が慄えていた。ほとんど泣き声だった。悲鳴だった。私が新潮社「波」十月号に書いた「意地っ張り文学誌」第三回の原稿に対する抗議である。平成四年秋、も氏、よ氏に神田小川町の「円居(まどい)」で私の『〇壺の匙』の出版記念会を催してもらった時の、も氏の発言をそのまま、「波」に書いたのが、氏をうろたえさせたようだ。「車谷、これできみも処女小説集を出したわけだが、問題は第二作品集で、第一作品集をいかに超えるかだ。人はともすればマナリズム(自己模倣)に陥りがちだがね。俵万智の歌など、その典型だろう。一遍うまく行ったら、そのうまく行った自分の作品を、次ぎの作品で、も一遍なぞるんだ。」「それから、小説家の場合、だんだんに作品を多く書いて行って、もう書くことがなくなったら、だいたい苦し紛れに伝記小説に手を出すね。高井有一が立原正秋の伝記を書いたのなど、その一番よい例だ。」文士は悪人である。悪(わる)である。悪である事の苦しみに堪える辛さを忍ばなければならない。しかるにも氏はそれが忍べない。従って善人として生きようとする。弱い。抗議の電話は泣き声だった。己れの
けちな体面ばかりを考えた声だった。酒を呑んだ席の私的な話を、いきなり公の場に発表されたので、あたふた、じたばた、おろおろ。泣き声で抗議してきたが、要するに人間が弱いのだ。文学者というのは因業なものだ。因業に堪えうる人だけが、文学者として生きて行けるのだ。その点では、も氏は自分ではいっぱしの文学者づらをしているが、到底文学者の器ではない。阿呆な奴だ。も氏の言は世の中のどこへ出しても、恥ずかしくないものだ。にも拘らず、それに自信が持てなくて、ぎゃあすか言うのは、ただ肝ッ玉が小さく、小心、度胸のない男だということだ。文士は悪に堪える苦しさを忍ばねばならない。分かったかッ、阿呆ンだら。順子ちゃんが「また友達を一人失った。」
 手紙3通。

引用以上。(引用文中、〇は難し過ぎて出ませんでした、監、に似ている字)

読む方は、10月の30日くらいまで来た。
引用文のようなものは、時々しか出てこないが、、
その時々が、、
豪華絢爛である。

これじゃあ、、25年後(出版)、ってのも、納得できる。





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最終更新日  2024年09月06日 07時35分40秒
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