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2024年02月04日
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カテゴリ: オペラ
新国立劇場 14:00〜
 4階正面

 チャイコフスキー:エフゲニ・オネーギン

 オネーギン:ユーリ・ユルチュク
 タチアーナ:エカテリーナ・シウリーナ
 レンスキー:ヴィクトル・アンティペンコ
 オリガ:アンナ・ゴリャチョーワ
 グレーミン公爵:アレクサンドル・ツィムバリュク
 ラーリナ:郷家暁子
 フィリッピエヴナ:橋爪ゆか
 ザレツキー:ヴィタリ・ユシュマノフ
 トリケ:升島唯博
 隊長:成田眞
 新国立劇場合唱団
 東京交響楽団
 指揮:ヴァレンティン・ウリューピン
 演出:ドミトリー・ベルトマン

 まぁ、正直言うと、色々後悔してます。
 オネーギンは好きなオペラであるのは間違い無いので、発売日につい買ってしまったのですが、よくよくキャストを見たら、オネーギンとグレーミンがウクライナの人、それ以外の主要3人はロシア人。まぁこの人達は既に西欧に出てやっている人達らしいのでともかくも、指揮者もロシア人。これは15年から継続してロシア国内でオケの音楽監督など務めているので、公職についている人ということ。それはなぁ.....本当は行きたくないんだけれど。加えて、演出もそういやロシア人の演出家だった.....
 政治的な話をダイレクトに持ち込む気はないのですが、気持ち悪いから聞くの避けてる、というのはあります。とはいえオネーギンだしなぁ....買っちゃったしなぁ.........と思いつつ行ったのでした。結構酷評してますが、一応バイアスは掛けてないつもりですが、掛かってるかなぁ.........
 二つ目の後悔は、客筋が悪いなということ。最近の新国は本当に劇場を自分の家と勘違いしてる輩が多いなと。自分が家で寛いでDVDだか見てるのと同じように振る舞って何が悪い!ってとこなんでしょうね。そういうのはもう社会性無いから世間に出てくんな、と思っているけれど、そういうお客がまた戻ってきてしまい、むしろ増えてる気がします。気持ちよく見ていられないよね。
 後悔の三つ目は、勿論内容。ま、それはおいおい書いていきます。

 まず、この日は4回公演の4回目、つまり千秋楽。とはいえ、水-土-水-土、と、中2日か3日空けての公演なので、疲れたとは言えないでしょう。むしろ練れていて然るべき。
 で、まず、全体の音楽がダメ。全般的に前のめりな感じなのですが、前後半で前半終わりが2幕1場なのですが、これがメタメタ。冒頭のワルツからしてテンポ設定が速過ぎる。なので、ほぼ空中分解状態。その後も、要所要所で速過ぎる。第1幕ではそれほどでもない、ということは、選択的にそうしようと思ってるやってるんだと思うのですね。そうじゃないだろう、という。なにより、雑にしか聞こえないんですね。テンポ設定は指揮者の問題。それで雑になってしまうのは、これはそういう無闇矢鱈と速いテンポを選ぶ指揮者だけでなく、それを消化してコントロール出来ないオケの問題でもあろうと。
 音はそれなりには出ていました。ただ、後半も含めて、全体に速いテンポを選びつつ、時々テンポをガッと遅くして、これは表現のつもり、表情を付けているつもりなんでしょうが、正直、田舎芝居のやり方。どうでもいい音楽ならそういうのもある程度効くのかも知れませんが、チャイコフスキーのエフゲニ・オネーギンは、そんな小手先でどうにかなるような音楽じゃないです。

 歌唱陣。偏見で言っているつもりではないのですが、一番ちゃんとしていたのはグレーミン。ここも、元々テンポが他と比較して遅い曲ながら、それの上を行くように遅くとっていて、にも関わらずきちんと歌い上げていたのは立派。まぁ、グレーミンってここだけですけどね。
 主役級でちゃんとしていたのは、まぁ、オネーギンかと。ただ、微妙は微妙です。言えばオネーギンにはアリアらしいアリアはないですし。盛んに拍手を受けていたのはタチアーナでしたが、まぁ、声は出ていたけれど、歌としては.......最後は大きい声出してましたけどね。でも、手紙の場も含めて、決して歌が上手いという感じではないと思います。レンスキーも声は大きいし、だから、2幕2場のアリアも拍手は取っていたけれど、これも声に任せた力技という感じではありました。で、ファウストの時にも書きましたけれど、新国は劇場としては正直空間が無いドーピング劇場だから、声は出りゃ出るんですよ。そこで歌う日本人より声が出てしまうのはそうなんだろうけれど、だからこそその余力で何するんだ、ってとこだと思うんですけれどもね。オケもだけれど、やはり、雑なんですよ。オリガもまぁ同列。
 トリケ役は、前回、2019年の初演の時に歌ったのと同じ人らしいですが、まぁ、やり過ぎ。やれって言われたんだと思いますから、責めないですけれどもね。
 合唱も同じく雑。力任せに歌ってみたりなんたり。舞台上の振る舞いについては、演出の問題でしょう。

 演出。そう、これは2019年の再演なのですが、その時は、直後の災害に巻き込まれて書いてませんでした。2度見てから書くつもりの2回目は台風で中止になったんですよね。ただ、当時も演出はちょっとな、と思ってました。
 まず、前後半で休憩一回、というのはやはりダメだと思います。前半が一時間半以上かかるのは大問題ですが - ワーグナーなら...とかいうのは論外 - 、それ以上に、やはり1幕から2幕へ続けるというアイディアは決して誉められたものではないです。元々チャイコフスキーはそういう筋立てをしているし、1幕から2幕の間には時間的なギャップがそもそもある。2幕1場と2場の間は、舞台も時間も違いはあるけれど、夜会からその翌早朝へと繋がっている。元の戯曲の作りとしてはそこまでの連続性は強調していないかも知れないけれど、そのようにチャイコフスキーは編成しているわけです。それを無視して、無理やり切ってしまうのは、やはりおかしい。どうしてもと言うならば、流れとしては1幕で切って、2, 3幕を続ける方がいい。ただ、これをやると、確かに物語の流れが性急に見えてしまう。だからといって2幕を2分割するのは最悪でしょう。それこそ、先週書いた話みたいなもので、原作をどう思っているんだ、ということ。まぁ、あれ書いた時は全然オネーギンのこと考えてなかったんですけどね。

 舞台演出それ自体も、かなり疑問の残るもの。ト書にあることをきちんとやらないから、たとえば1幕での小作人達の合唱では、小作人は姿を見せない。一方で、2幕のお客はどうみても夜会に来ているにしては動き方がおかしい。なんというか、お客を、自分が説明したいように動かしてるだけなんですね。それは、演出家としては論理的整合性があると思うのかも知れないけれど、現実の舞台上に展開される光景としては、ただ「おかしい」としか言いようがない。それに説得力を持たせるならば、何某かの工夫が必要なのだけれど、その工夫はない。それを合唱だけでなく登場人物達にも割り付けるので、不自然さがストーリー、プロットにまで影響してしまい、やはりそれは演出としてはフォローされない。これでは、見る側には完成度の低いものでしかない。3幕も同様ですね。やれって言われたんだろう、のトリケも、結局この雑な演出に従っていたのだろうと思うので、酔っ払いをやって見せて、それがすべってても、まぁしょうがないなと。

 例によって演出に関しては能書き書かれてますけれど、曰くスタニスラフスキーシステムに基づいているんだとか。ストップモーション的な演出が入るから?やたら身も蓋もない振る舞いをその他大勢がしたりするから?まぁ、言うだけタダだし、スタニスラフスキーもチャイコフスキーも、ついでに言えば原作者のプーシキンも、もう皆故人ですからね。死人に口無し、なんとでも言えるよなぁと。ただ、そうであろうとどうであろうと、この演出がエフゲニ・オネーギンというオペラを完成度高く上演する為に寄与しているのかと言われると、さて、ねぇ。

 あまり記憶に残ってなかったとはいえ、これだったら、改めて見るほどのことはなかった。オネーギンだから見たくて行ったけれど、どの面から言っても、見なくてもよかったかなという感じではあります。一応フォローすると、一番大事な歌唱陣も含めて、見て損した、見るべきではなかった、とまでは言ってません。ただ、私にとっては、見るほどのことはなかったな、というところかなと。どのみち酷評ですかね....





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最終更新日  2024年02月05日 00時24分40秒
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