ヴィーテ・イタリア高岡(Hiruccio)のイタリアワイン&主夫日記

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2008/01/23
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カテゴリ: ニュースネタ
読売新聞で「水危機」というコラムが連載されていますが22日
火曜日には、


「牛丼一杯 風呂10杯分」


というタイトルで、「仮想水」について触れられていました。


要するにその食品なり食材を生産するために必要な
水のことで、牛丼なら主に牛肉と米を生産するために
必要な水量と食べる重量から計算するそうです。

特に牛肉は、直接牛に与える水ばかりか、その飼料を
作るための水も必要とするから、換算すると


風呂10杯分、つまり1887リットルだそうです。


その内、ご飯一杯で、風呂一杯弱だそうですから、
やはり家畜を育てるのはものすごい資源を使うことに
ほかなりません。


あと、輸入仮想水という言葉もあって、つまりは
輸入品目の中の仮想水ということになりますが
牛丼で70%弱、ハンバーグで87%、オレンジ
ジュースで89%、などというデータもあります。


知らず知らずのうちに、地球上の限られた資源を
使いまくっている典型的な例ですね(^^;)


一方でワインの世界はどうなのでしょう?

100%雨水で作り上げるのがイタリアやフランス
等の伝統国のあり方ですが、一部のDOC銘柄では
灌漑もやむを得ず、というものがあります。

僕も南から北までの生産者、それも超のつく優良生産者
の畑で灌漑をみたことは幾度となくあります。

ボルドーの一級シャトーやブルゴーニュのドメーヌ
などはどうなのでしょう?


とはいえ、降雨量は、ワインの品質におびただしく
影響を与えますから、特にワイン法で定められた
ワインたちには、その点厳しい規制がなされています。




その根本には、


「自然は受け入れなければならない。それが
 ワインである」



という思想があるように思います。


一方、ニューワールドに行くと、灌漑だらけでしょう。


もちろん、農民たちの生活があり、お金が必要な
わけですから、これを批判することはできないし
それを意図しているわけではありません。


ただ、灌漑がニューワールドに多く、伝統国でも
増えている、ということは確かだと思います。


仮想水という点だけを見れば、質を重視したワインは
水をできるだけ必要とせず、最低限の量が
確保さえできれば良い、という生産物は地球にとっては
ありがたいのかもしれませんね。


とはいえ、コメと葡萄の仮想水を比べてみたところで意味が
あるわけではないのですが。



ここ数年のイタリアワインを見ていると地球の温暖化による
品質の影響は顕著に出ているように思います。


フランスワインに比べるとネゴシアンなどの流通システムが
確立していないイタリアワインは、リリースが早かった
ので、比較的「酸っぱい」ワインが、良いレベルのワイン
にも多かったように思いますが、温暖化の影響は
ワインに丸みを加えて飲み易く、安定したような気がします。


とはいえ、ワインの命である味わいの「美しさ」の基調は
酸ですから、これが温暖化の影響で大きく変化していくことは
現在進行形で感じることができます。


「酸が全体的に頼りなくなった」
「すべてのワインが飲みやすくなった」


そう感じているのは、僕だけじゃないはずです。


ただ、その変化が単純な技術的な刷新や葡萄耕作の進歩
とも違ったレベルのことが原因になっているのかどうかは
100%確信できません。


嗜好の変化、マーケットの変化、醸造技術の進歩は地球の
温暖化と見事にセットとなって進行して、拍車がかかって
いるようにも思えます。





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Last updated  2008/01/25 03:21:12 PM
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