Over The Moon.

Over The Moon.

2006年02月20日
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カテゴリ: *能関係の日記*
今日の稽古は師匠稽古。


師匠(謡)「今日は『邯鄲』でしたね」

お願いします。


冬は大きな舞台もないし、好きな謡が習える絶好の機会。
今回は 亀さん(仮名) チョイスの『邯鄲』。


師匠「浮世の旅に迷い来て・・・」

物語の舞台は中国。
日々ぼーっと暮らしてた盧生という男が、
人生の意義を尋ねるための旅に出る。
その途中の宿で盧生は、
仙人が置いていったという“邯鄲の枕”を上に昼寝をする。

すると眼が覚めるとなぜか勅旨が居て、
盧生は皇帝に祭り上げられてしまう。

「栄華の花もひと時の
 夢とは白雲の上人となるぞ不思議なる」

そうして皇帝になり、
栄華を極めて50年の月日が流れる。

けれど栄華を誇る宴を開いていたら、

「夜かと思えば昼になり」

辺りの景色がどんどん崩れ去っていく。

「真は夢のうちなれば
 皆消え消えと失せ果てて」

そしてついに

「眠りの夢は覚めにけり」

盧生は眼が覚める。
そして人生とは一睡の夢に過ぎないことを知り、
故郷へと帰っていくのです。



師匠「・・・どうですか『邯鄲』は。はい 鹿くん(仮名)

鹿くん「ええと・・・
    謡が凄く分かりやすいです」

話も分かりやすければ謡も緩急きっちり。
盧生がぼーっとしてるときはぼーっと謡うし、
夢が覚めるときはめちゃくちゃ速くなる。

師匠「はあ。そうですね。
   亀くんはどうですか」

亀さん「えと、その・・・
    お、面白いです」

師匠「他には」

亀さん「えと、・・・し、シテがその、えと
    何にも考えてないのかなと」

師匠「はあはあ」

亀さん「起きて皇帝だって言われて
    そ、それですぐなんかほいほい信じてる気が。
    怪しめよ、みたいな」

確かに(笑)。

師匠「この男、帰ってからどうしたんでしょうね。
   人生は無常だと知って
   それからどう暮らしたんだと思いますか」

男の、その後?

亀さん「えと、満足してまた
    ぼーっと暮らしたんじゃないですか」

師匠「はあ。五月さんは」

私「・・・
  ・・・どうしたんでしょうね」


この男は、満足してどうしたんだろう。
全てが一睡の夢に過ぎないことを悟って
それで生きていけるのだろうか。

“百年の歓楽も
 命終われば夢ぞかし”

無常を知って。満足して。
意気揚々と帰っても、だから何になるというのだろう?


師匠「・・・まあその辺は分かりませんけどね。
   だから『邯鄲』は、内容があってないようなもんですわ。
   そんなに重く扱われてないのもそのせいでしょうな」


他の曲より長さも短く。
難易度としても、技巧的ではあるけれどさほど難しいと言われておらず。
非常に単純で、まさに全てが夢のようなふわふわとした話。


師匠「連吟で出しても面白いんちゃいますか」

連吟かぁ。いいかも。



げに何事も一睡の夢・・・

これが全て夢であるのはいやだけど
心のどこかで、もしかしてそうじゃないかと思うような
人間の本質をくすぐるような物語。
いつかちゃんと謡ってみようかな。





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Last updated  2006年02月21日 22時02分46秒
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