Over The Moon.

Over The Moon.

2009年01月18日
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カテゴリ: *趣味の世界*
最近、読書熱が再燃。

(原因は、先日のインフルエンザで
 一日中寝ているのも暇だから、本でも読むか・・・
 と思ったことに端を発する)

アポイントの移動時間だけじゃなく、
目的地まで歩いている最中も読んでしまう始末。
多分、人にぶつかったら止めると思います。



本日読んだのは、
山本周五郎の「虚空遍歴(上・下)」。

長編ですけど、ぐぐっと読んでしまった。


物語の舞台は江戸。
主人公は、至高の浄瑠璃を完成させようとした芸人で
“芸”の道を極めようとする一生が描かれている。

物語を通して、
芸の道を極めんとする人の情熱は
かくも激しきものなのか、と思わされた。
そして、全然浮かばれないラストではあったけれど
「読んで良かった」と、心から思った。



昔、私は物語(小説)といえば
ハッピーエンドが好きだった。

「世の中には、救いがないことも多いから
 せめて本の中にでも、救いを求めたい」

という想いがあったからである。
だからバッドエンドは嫌いだったし、
「何でわざわざ本を読んでまで、こんな気持ちにならなあかんのか」
と思っていた。



しかし、「虚空遍歴」などはハッピーエンドではない。
主人公は全然浮かばれないし、読後感も何だか重苦しい。

それでも私が、
「この本を読んで良かった」と思えるのは
理由は大きく2つある。



まず1つに、
私自身が、少しなりとも年を重ねて
心境も見方も変わってきた、ということ。
こんなのは、ある意味当たり前の変化。

もう1つに、
山本周五郎が本作を作ったのは
むやみに重苦しい雰囲気で終わらせたいがために作ったのではなく、
こういう人生を描きたかったから、という
ある意味「小説の終わり方」に対する「こだわりのなさ」が
感じられたから、ということ。


私はこれまで、
「読後感」つまり「結果」を重視していた。
途中がどんなに悪かろうと、ラストが良ければそれで満足していた。
しかし山本周五郎は、
大事なのは「経過」で、
自分の人生をどう生きたか、それを描ききることが大事なのだと
伝えているように思う。
それぐらい、「これでもか」っていうほど
人ひとりの生き様を描く筆致が凄まじい。


実際、人生ってそうだ。
死ぬときは一瞬でしかない。
「いい死に方」をするより、「いい生き方」をするほうが
様々な困難があるし、重みを帯びる。


「読後感が悪いから嫌い」というのでは、
山本周五郎の伝えたかったことが全く伝わっていないし
私は、違う物差しで測っていることになる。
それでは作者に失礼である。



山本周五郎は、「虚空遍歴」を、40年かけて仕上げたというが
彼が40年、そして主人公が一生をとして感じたことを
私はぬくぬくと暖かい部屋で
ものの数時間で感じることができるのだから
やはり、巨匠と呼ばれる作家の存在は偉大である。
書いてくださって有り難う。
読んで良かった。




まだまだ熱は冷めやらぬ気配なので
(あくまで「読書熱」であって、インフルエンザではないです。念のため)
しばらくは、何かしら貪欲に読んでいることと思います。

オススメの作者・作品があれば教えてください。





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Last updated  2009年01月18日 22時23分43秒
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