週に魚類を少なくとも1回食べる人は、食べない人に比べアルツハイマー病発症リスクが60%減少するとの前向きコホート研究が、Archives of Neurology誌7月号に掲載された。米国Rush健康加齢研究所のM. C. Morris氏らによる研究だが、興味深いことに、魚に含まれる不飽和脂肪酸のうちドコサヘキサエン酸(DHA)はアルツハイマー病発症抑制的に働いたのに対し、エイコサペンタエン酸(EPA)にはそのような作用は認められなかったという。
アルツハイマー病抑制における魚類摂取の有用は他の観察研究でも報告されているため、同氏らは魚類がアルツハイマー病のリスクを減少させる可能性を示唆するが、同号の「論説」において米国Case Western Reserve大学のR. P. Friedland氏は、アルツハイマー病の初期に食の嗜好が変化するとの報告を紹介。「早期アルツハイマー病の患者が魚を好まなかった」可能性を指摘している。Morris氏らは追跡開始時に認知機能の軽度低下がみられた人を除いた解析も行っており、結果は変わらなかったとのことだが、Friedland氏の指摘の蓋然性を判断するにはより長期間の追跡が必要となるだろう。