女子選手の活躍もあって、日本でも市民マラソンの人気が年ごとに高まっています。こうした長距離走における体調管理で最も大切なのが水分摂取です。最近の常識は、「喉が渇く前に十分飲む」というもの。のどの渇きを満たしただけでは水分不足が生じるという知識は、マラソンランナーの多くが書籍や指導者、仲間から聞かされます。ところが、この“常識”が時に死に至る危険をもたらすと指摘した論説(Editorial)が、British Medical Journal誌の2003年7月7日号に掲載されていました。
南アフリカCape Town大学人類生物学部のTimothy David Noakes氏は、運動中の水分摂取に関する既存のガイドラインは次の4つの前提に基づいているという。 1.運動中の健康をおびやかす最大の危険は水分不足であり、運動中の体重減少は補う必要がある。 2.のどの渇きを満たすだけでは真の水分欠乏を解消できない。 3.運動中の水分補給の必要性はどの運動でも同様。 4.大量の水分摂取は無害。 この結果、アスリートは、体重減少に匹敵する量か、飲める限り多く飲む量として1時間に600~1200ml飲むことが推奨されている。