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2008.01.19
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼恋人と薔薇7
「時の十字架にかけられた薔薇に」の後半です。

Come near, come near, come near - Ah, leave me still
そばへおいで、そばへおいで、そばへおいで。ああ、でも、

A little space for the rose-breath to fill!
薔薇が呼吸できるように、少しだけ私から離れておくれ。

Lest I no more bear common things that crave;
そうしないと、生きようとするありふれたものに、これ以上我慢できなくなる。

The weak worm hiding down in its small cave,
小さな穴に入り込んで隠れている弱い虫、

The field-mouse running by me in the grass,
草の中を走って傍らを通り過ぎる野ねずみ、

And heavy mortal hopes that toil and pass;
そして重く、死ぬまで苦役の中で続く希望といったものだ。

But seek alone to hear the strange things said
また、そうしないと、昔死んだ者たちの輝く心に

By God to the bright hearts of those long dead,
神が語りかける奇妙な事柄を聞こうとだけして、

And learn to chaunt a tongue men do not know.
人間には理解できない言葉で歌おうとしてしまう。

Come near; I would, before my time to go,
そばに来ておくれ。私の時が尽きる前に

Sing of old Eire and the ancient ways:
古代のアイルランドとその昔の物語について歌おう。

Red Rose, proud Rose, sad Rose of all my days.
赤い薔薇、誇り高き薔薇、私の人生の悲しみの薔薇よ!

予習のほうは、いかがでしたか。かなり訳すのが難しかったのではないかと思います。一体、どこまでがどういう構文なのかを見分けるのに骨が折れますね。

そこで訳す場合の簡単なヒントを差し上げましょう。それが「;(セミコロン)」です。
The semicolon chiefly separates equal and balanced sentence elements.
(セミコロンは主に同等かつ釣り合った文章の要素を分けるものである)

つまり、セミコロンの後は同等かつ釣り合った文章の要素(節など)が来るわけです。後半部分でいうと、3行目のcraveの後と、6行目のpassの後にセミコロンがありますね。この二つのセミコロンにより、9行目のピリオドまでの文章が、ほぼ同等の三つの節A(3行目)、B(4~6行目)、C(7~8行目)に区切られることがわかります。

ただしこの場合、ちょっと例外的でA、B、Cと分けられた文章のうち、BはAの説明的な節、AとCは完全な同格の節になっています。厳密に言うと、craveの後はセミコロンではなく、説明の節が後に続くのでコロンにすべきではないかと私は思いますが、そうすると、コロンとセミコロンが混在してわかりづらくなるので、セミコロンにしたのかもしれません。

余談ですが、英語の論文を書く場合など、よくこのセミコロンやコロンを使います。特にセミコロンは、and, but, or, for, so, yetなどのcoordinate conjunction(等位接続詞)でリンクできない節を結ぶときに使いますので、覚えておくと便利です。

ちょっと話は難しくなりましたが、A、B,Cの句がほぼ同等であることさえわかれば、7行目のBut seekの主語が(Lest)Iであることが察せられるわけです。

寄り道をしてしまいましたが、内容の説明に入りましょう。

イェイツは「薔薇」にそばにおいでと言いながら、近づきすぎるなと言っていますね。近づき過ぎるとどういうことが起きるかというと、どうやら「薔薇」の美に圧倒されて、神の物語(神の理想)だけに興味を持つようになり、人間では理解できない言葉(古代ケルト語)で歌ってしまうようになると懸念しているんですね。

誰も理解できない詩を書いても意味がありません。この愛憎に満ちた、苦しみのある現世(うつしよ)には、野ねずみもいれば、小さな虫もいます。そして苦しみの中に希望もある。イェイツは抽象的な理想ばかりを詩にするのではなく、現実の野ねずみや小さな虫といった「みすぼらしく愚かなもの」や、時間とともに老いる肉体の持つ苦悩や喜びや希望も詩にしたいと言っているように思います。

同時にそれはイェイツにとって、アイルランド独立運動の理想と現実でもあるんですね。理想だけを追い求めると過激になりすぎて、現実的な事柄が見えてこなくなり、破滅へと進んでしまいます。「戦争の薔薇」を思い出してください。独立と言う理想(理想の薔薇)のために死んでいく闘士の傍らで、恋人(現実の薔薇)がいるなら家に戻るべきだと主張する、まさに現実的な詩人イェイツがそこにいました。

ここで思い出さなければならないのは、シンボルとしての薔薇十字です。薔薇は、時間が来たら死滅する肉体(時の十字架)にはりつけられた魂です。生きているかぎり、磔という肉体的な苦痛や精神的な苦悩は続きます。肉体(誰にも理解できる言葉)を持たず、魂(神だけが使う言葉)だけでは、詩を伝えることはできません。神の言葉や理想の美を伝えるのは、やはり誰もが理解できる言葉によってしか方法はないのです。それは、苦しみを味わって初めて得られる永遠でもあります。その意味で、薔薇はイェイツの詩的な魂、十字架は生みの苦しみを伴う言葉という現実のコミュニケーション手段ということになります。

もちろん、薔薇はイェイツの永遠の恋人モード・ゴーンでもありますね。ゴーンの薔薇には、理想の美とアイルランド独立運動の精神という二つの象徴的な意味が込められています。

このように、この詩の中で薔薇は、より多くの意味やシンボルを持っています。というのも、この詩は、詩集『薔薇』の冒頭の詩なんですね。そのため目次のような、あるいは詩集全体のイントロダクションのような内容になっています。だから、薔薇により多くの複合的な意味合いを語らせているんです。永遠の恋人、アイルランド独立の精神、詩人の魂、完璧な美、理想・・・。そして、イェイツがあえて古代ケルトの物語を歌おうとするのも、古代のアイルランドに理想の国、つまり「薔薇」を見たからではないでしょうか。

薔薇

背景は藤棚、桜、メタセコイヤです。
(続く)





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最終更新日  2008.01.19 09:04:32
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