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2008.01.23
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼三本の薔薇
時間を進めて、イェイツの晩年の詩を紹介します。50代前半でゴーンとの結婚をあきらめ、心霊術仲間のジョージ・ハイド・リースと結婚したイェイツの作風は、円熟味を増すとともに劇的に変化していきます。私生活では子供も生まれ、秘密結社とも決別を果たし、1922年にはアイルランド自由国の上院議員に選ばれ、翌23年にはノーベル文学賞を受賞します。

今日取り上げる詩は、イェイツ最晩年の詩集『Last Poems(最後の詩集)』(1939年)の中の「三本の薔薇」です。イェイツはこの年に亡くなっていますから、文字通り最後の作品となったわけです。タイトルのbushesとは低木、薔薇の木のことです。

The Three Bushes

(An incident from the `Historia mei Temporis'
of the Abbe Michel de Bourdeille)
(ミシェル・ド・ブールデイユ師の『現代史』に出てくる一つの事件)

Said lady once to lover,
'None can rely upon
A love that lacks its proper food;
And if your love were gone
How could you sing those songs of love?
I should be blamed, young man.
O my dear, O my dear.

ご婦人が恋人に言った。
「ふさわしい滋養のない
恋なんて当てにならない。
恋してなければ、どうやって
恋の歌なんか歌えるの?
非難されるべきは私ね、若い人」
(ああ大変、おや大変)

Have no lit candles in your room,'
That lovely lady said,
'That I at midnight by the clock
May creep into your bed,
For if I saw myself creep in
I think I should drop dead.'
O my dear, O my dear.

「あなたの部屋のロウソクの灯はともさないでおいてね」
そのご婦人は言いました。
「時計が真夜中を告げたとき
私があなたのベッドにもぐりこむことができるように。
だって、そんな自分の姿を見たら、
卒倒しちゃうと思うのよ、私」
(ああ大変、おや大変)

'I love a man in secret,
Dear chambermaid,' said she.
'I know that I must drop down dead
If he stop loving me,
Yet what could I but drop down dead
If I lost my chastity?
O my dear, O my dear.

「私はあの人を密かに愛しているの、
私のメイドさん」と彼女は言った。
「もし彼が私を愛さなくなったら、
私はきっと死んでしまうわ。
だけど、もし処女を失ったら、
死ぬ以外に道はないでしょ?」
(ああ大変、おや大変)


'So you must lie beside him
And let him think me there.
And maybe we are all the same
Where no candles are,
And maybe we are all the same
That stip the body bare.'
O my dear, O my dear.

「だから、あなたは彼と共寝して
私と寝ていると彼に思わせてちょうだい。
ロウソクの灯がなければ
あなたも私も同じ体のようなもの。
すべてを脱いで裸になれば
あなたも私も同じようなものよ」
(ああ大変、おや大変)

But no dogs barked, and midnights chimed,
And through the chime she'd say,
'That was a lucky thought of mine,
My lover. looked so gay';
But heaved a sigh if the chambermaid
Looked half asleep all day.
O my dear, O my dear.

犬は吠えずに、幾夜も過ぎた。
真夜中の鐘が鳴ると、彼女はこう言ったものだ。
「あれは良い思いつきだったわ。
私の恋人は嬉しそうだったもの」
だけど、メイドが一日中眠たそうな顔をしていると、
彼女もため息を漏らしてしまう。
(ああ大変、おや大変)

'No, not another song,' siid he,
'Because my lady came
A year ago for the first time
At midnight to my room,
And I must lie between the sheets
When the clock begins to chime.'
O my dear, O my d-ear.

「もう、別の歌など歌わない」と彼は言った。
「一年前に初めて私の恋人は
真夜中、私の部屋にやって来た。
時計が真夜中を告げるときには
私はベッドに潜り込んで
寝ていなければならないんだ」
(ああ大変、おや大変)

'A laughing, crying, sacred song,
A leching song,' they said.
Did ever men hear such a song?
No, but that day they did.
Did ever man ride such a race?
No, not until he rode.
O my dear, O my dear.

「笑いと悲嘆の神聖な歌、
卑猥な歌を」と彼らは言った。
そんな歌を聞いたことがあったか?
いいや、だが、その日は違った。
男はそんな競馬レースに出たことがあったか?
いいや、だけど、その日は違った。
(ああ大変、おや大変)

But when his horse had put its hoof
Into a rabbit-hole
He dropped upon his head and died.
His lady saw it all
And dropped and died thereon, for she
Loved him with her soul.
O my dear, O my dear.

彼の馬がウサギの穴に
足をとられたそのときに、
彼は頭から落ちて、死んでしまった。
彼の恋人はこれを見て、
倒れてそのまま死んでしまった。
彼女は心から彼を愛していたのだ。
(ああ大変、おや大変)

The chambermaid lived long, and took
Their graves into her charge,
And there two bushes planted
That when they had grown large
Seemed sprung from but a single root
So did their roses merge.
O my dear, O my dear.

メイドはその後も長く生き、
二人の墓を守っていた。
その墓に二株の薔薇を植えたところ、
二つの薔薇は大きく育って、
一つの株から伸びたように
互いの花を混じり合わせた。
(ああ大変、おや大変)

When she was old and dying,
The priest came where she was;
She made a full confession.
Long looked he in her face,
And O he was a good man
And understood her case.
O my dear, O my dear.

メイドが老いて、死にかけているとき、
僧侶が今際(いまわ)の彼女のもとへ来た。
彼女はすべてを告白した。
彼は長い間、彼女の顔を覗き込み、
ああ、僧侶は善良な人であった、
彼女の事情をすべて飲み込んでくれた。
(ああ大変、おや大変)

He bade them take and bury her
Beside her lady's man,
And set a rose-tree on her grave,
And now none living can,
When they have plucked a rose there,
Know where its roots began.
O my dear, O my dear.

彼は命じて、遺体を運ばせ、
男の傍らに彼女を埋めた。
そして彼女の墓に一本の薔薇の木を植えさせた。
そこにある一輪の薔薇を摘んだとしても、
今となってはもう誰も知るものはいない、
その薔薇が植えられたいきさつを。
(ああ大変、おや大変)

かつては、ゴーンや理想の国家や神秘性の象徴だった薔薇も、ここでは別の使われ方をしていますね。形式も物語風のバラードになっています。二人の女性と一人の男性をめぐる、恋と死の物語(イェイツとゴーンとジョージの関係に少しダブります)を民謡のように語っていますね。最初に出てくるミシェル・ド・ブールデイユ師も、『現代史』という書物も、イェイツの想像の産物です。

この詩の中に出てくる薔薇とは何でしょう。私にはこの薔薇こそ詩そのもの、あるいはベールに包まれた歴史や伝説や神話を明らかにする詩人の力のシンボルなのではないかと思われます。表面的には美しい薔薇も、それが植えられた背景には、悲しい物語がありました。一つの国の歴史も同じです。詩人には、そのルーツを明らかにする力、歴史に埋もれたものを掘り起こす力があるんですね。それが古代アイルランドの歴史であり、神話でありました。そうすることで、失われたものを蘇らせることができるのです。イェイツやゴーンも、やがてこの世を去ってしまいます。しかしイェイツが作った詩という薔薇の中では、言葉があり続けるかぎり、二人の魂の恋の物語は永遠に語り継がれるのだということを、さりげなく語っているように思えます。

薔薇
(続く)





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最終更新日  2008.01.23 14:05:16
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