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2008.01.30
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テーマ: いい言葉(574)
カテゴリ: 文学・芸術
▼フランスの薔薇6(マラルメ6)
昨日紹介したマラルメの「ほろ苦き停滞に倦み疲れて」の解説です。

ほろ苦き停滞に倦み疲れて、私の怠惰は
栄光を台無しにする。栄光のために私は、
大自然の青空の下に咲く薔薇の茂みのような、
あの素晴らしい幼少期に別れを告げた。そして、
私の脳みその貧弱で冷たい土地に、新しい穴を徹夜で掘るという
固い誓いに七度倦み疲れて、挫折した。
不毛に対しては非情な墓堀人(破壊者)だ。

ここまでは自己紹介のようなものですね。一行目の「停滞」という言葉が示しているように、どうやら破壊者でもある詩人は、詩作に行き詰まっているようですね。詩人としての栄光ははるか遠くにあり、筆は進まず、焦燥だけが募っていきます。

マラルメは大詩人になるべく、薔薇が咲くロマン的世界(幼少期)とも決別し、詩風の新しい試み(頭の中の穴掘り)に7度、夜を徹して挑戦しますが、どうもうまくいきません。そのような不毛な自分が許せない、非情な墓堀人だと自分を称していますね。

次を見てみましょう。

――おお夢よ、鉛色の薔薇を恐れて、
巨大な墓地がその空っぽの穴を飲み込んだとき、
その薔薇の訪問を受けた、この暁に何と言えばいいのか?――
私は、残酷な国の貪欲な芸術を見捨てたい。
私の友、過去、詩の精霊、そして
私の苦悩を知るランプが私に浴びせる
古びた非難を笑いながら、
繊細で澄み切った心を持つ、あの中国人を模倣したい。

面白い表現をしますね。どういう状況かというと、ここには詩作に苦しみ、徹夜明けとなった詩人がいます。空っぽの穴とは不作に終わった詩作のこと。私には、はかどらない詩作にやけを起こして朝まで飲んだくれた詩人の姿が浮かんでしまいます。朝が来れば、現実的な日常生活に戻らなければなりませんから、大急ぎで頭(巨大な墓地)の中にできた詩作の穴をリセットします。

ここに出てくる「鉛色の薔薇」は、先ほどの幼少期の薔薇の茂みとは違った意味を持っていますね。livide(鉛色の)には、「顔が青ざめた」という意味もあります。どこか不健全で、快楽と結びつく淫靡な感じがします。具体的にはわかりませんが、恐れなければならないわけですから、創作活動を邪魔するような誘惑ではないかと思われます。

「残酷な国の貪欲な芸術」とは、ロマン派叙情詩人らがはびこっていた当時のフランス芸術界のことを言っているのかもしれません。「古びた非難」とは、まさに当時の芸術批評が時代遅れであったことを言いたかったのだと思います。実際マラルメは、悪意ある批評にさらされた友人の画家エドゥアール・マネを激しく擁護したりもしています。そしてそのような時代遅れの非難を逆にあざ笑うように、創作活動の行き詰まりを打開すべく、東洋の芸術に活路を見出そうとしたようです。

そのシンボルとして登場するのが中国人なのですが、次を読むと、その中国人がマラルメの手元にある中国製の磁器、もしくはその磁器の製作者であることがわかってきます。

彼にとっての純粋な恍惚は、
月から奪い取られた雪の茶碗に、
透明な生命の香りを振りまく、不思議な花の最後を描くこと。
その花こそ、彼が子供のころ、接木をするように育みながら、
魂の青い透かし細工に嗅ぎ取った花なのだ。

マラルメは、中国製磁器に描かれた絵の世界に魅了されていますね。いわゆる西洋人がよく言う「禅の世界」のような、清らかで澄み切った世界をそこに見出したのでしょう。その幽玄の世界を詩に取り込もうとしたようです。それが最後の部分です。

賢者の夢にだけ現れる死よ、
心を静め、私は真新しい景色を選び、
心を空にして、それを茶碗になおも描くだろう。
薄い紺青色のラインは、
むき出しの陶磁器の空に浮かぶ湖水となるだろう。
白い雲間に隠れる細い三日月は、
三本の長いまつ毛のように茂るエメラルド色の葦の近くで、
穏やかなる弧の一角を、冷たい鏡の湖面に浸すのだ。

ここではマラルメが茶碗に絵を描いているように描写されています。でも実際は、茶碗は原稿用紙、筆のラインは詩の言葉です。「心を静め」「心を空にして」はまさに「禅用語」。か細い三日月も、3本の葦も、とても繊細でシンプルな、墨絵のような世界を思い起こさせます。東洋芸術の模倣――これも破壊者たるマラルメが、フランス詩の世界に掘ろうとした新しい風穴の一つであったことは、疑う余地はありませんね。
(続く)

宇宙の薔薇

地球から2000光年離れた、白鳥座の羽根に包まれた「生命のゆりかご」に咲く宇宙の薔薇「S106」。宇宙の年齢を告げる巨大な砂時計のようにも見えますね。

すばる望遠鏡で撮影した 写真はこちら にあります。






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最終更新日  2008.01.30 11:27:12
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