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2024.05.24
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テーマ: 読書(8195)
カテゴリ: 本日読了






〈DATA〉
出版社 河田書房新社
訳者  古川日出男

2023年10月10日  初版印刷
2023年10月20日  初版発行

2016年、池澤夏樹=個人編集 日本文学全集09
より。文庫化にあたり加筆修正、後白河抄一を加えた。



〈私的読書メーター〉 実に面白い。21世紀の今、容易く読めるように工夫された訳ながら平安末期に生きる人びとの感情や思想、行動が、ひたひたと伝わる。琵琶法師の声が聞こえてくるようだ。鬼界島の段はこれ、文楽で観たが、浄瑠璃は流石に綺麗な本になっている。ところが平家物語はもっとストレートに人間悲哀が描かれている。語り物であるはずなのにウソが感じられない。重盛の虚しくなった後の語り口、お名残惜しいのリフレインは切ない。仏法衰え正道が失われた末法の世から千年、今平家の安倍派なんぞも風の前の塵に等しい。お名残惜しい為政者いずこ、次刊へ。〉


「いやはや、いやはや、職員令にはなんとありますでしょうか。『太政大臣は、天皇の師範として、天下の模範となるべき人間である。国を治めて道義を説き、自然界の運行をおのずから調える人物である。もしも適任者がいなければ、空席にしておけ』と、こうです。」


今の世よりも、はるかに賢い治世の時代があった。
道徳というものが生きていた。

平安時代前には男女の区別なく評議が行われていた。紫式部の頃は、すでに女性が漢学を修めるのはやや稀になりつつあった。

さらに遡るなら、この島国に暮らす人びとには身分の上下もなかった。故に古来に従い身分の重い低いに拘らず、厩戸王は秀でた人を重用した。


かつて。星々の運行と共に、平和に暮らす長い年月を私たちはもっていた。記憶の奥深くには未だ損なわれずそれはある、のではないか。



清盛公、六波羅殿、入道。熊野権現のご利益を夢でみるや、清盛は身を慎んでひたすらこれに帰依していよいよ秋津洲の頂上へ上り詰める。

平家にあらずんば人にあらず。

身分の低いものが上にとって代わる、戦国時代のさきがけか。人びとは末法を見識した。

祇王寺の、信濃の善通寺のいわれも、ここに能く知られる。

そして今の世につながる。
末法の更なる末法の、今の世に。


あまりにも面白く豊かな歴史の背景を、祇園精舎の鐘の声の行のみで素通りするのは勿体ない、勿体ない。






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最終更新日  2024.05.24 08:59:37
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