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毎年この時期に第二次世界大戦に纏わる新たな事実がNHKスペシャル等で放送されますが、今月6日放送の「1938年に始まったウラン争奪戦」は原子爆弾の原材料の発見からアメリカに渡った経緯の詳細を伝える内容で私には目から鱗でした。
ベルギーの鉱山会社「ユニオン・ミニエール社」の取り締まり役だった「エドガー・サンジェ
(1879-1963)」が当時ベルギーの植民地だったアフリカのコンゴに銅の採掘と管理のため派遣された際に「ウラン」を見つけ、使用方法が分からないまま何かに使えるかもと保管して置いたのが事の発端のようです。
ちょうど核開発を進めていたドイツが1938年にウランの核分裂現象を発見し、それに脅威を抱いていたアメリカがエドガー・サンジェを通して純度の高いウランを買い込む事に成功し、イギリスが最初に構想を考えた
「マンハッタン計画(核兵器開発)」をアメリカが1942年に発表と繋がっていったようです。そして広島、長崎への原爆投下の1ヶ月前の
1945年7月までにアメリカのニューメキシコ州で初の核実験を成功させています。
投下された2つの原子爆弾については「京都大学複合原子力科学研究所」のサイトに小学生向けの分かりやすい説明もありますが、広島に投下された「リトル・ボーイ」の原材料はウラン235(天然の元素)で使用された重量は62㎏です。一方、長崎に投下された「ファットマン」の原材料はウランから作られた人工の元素のプルトニウム239でウランの10分の1の6.2㎏ですが、1.3倍の破壊力を持っていたそうです。ただ長崎市が山で囲まれた地形で山によって熱線や爆風が遮断された事が広島の犠牲者より少なくなっていると推測されています(犠牲者の数は未だ正確には把握出来ていないようですが広島で32万人、長崎で18万人という記録もあります)
何故プルトニウムの爆弾を作る必要があったのかと調べると天然のウランは量が限られ、人工のプルトニウムであればある意味無尽蔵で作る事が可能だそうで、2つの原子爆弾の破壊力を比較するためにアメリカが全く必要のない2回目の投下を行なったというのは周知の事実ですが、奇しくもこの2回の原子爆弾の投下によって戦後アメリカは最大の核保有国として権威を振るい現在に至っています。今年の広島G7に参加した首脳陣の広島原爆資料館訪問のニュースを見てもこの投下に関わったイギリスやカナダなどの国々が地球歴史上最悪の「人体実験」を行ったという事実に真摯に向き合い反省し世界に向けての公式の謝罪が無ければ「核の大国」が核を棄て核のない世界を実現させるのは難しいのかと思わざるを得ません。
先日NHKの「保阪正康氏の最後の講義」という番組で「戦争という場面で人間は鬼になる」という言葉を聞き、殺さなければ殺されるという恐怖の中でも国のリーダーが「鬼」になってはいけないと強く思いました。
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