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2007.03.17
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カテゴリ: フランス映画
HEROINES
Gerard Krawczyk
(106min)

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寸評:なかなか良い映画です。歌手デビューすることで表面化する親友女性2人の嫉妬の物語ではあるけれど、それぞれの母親との関係を念頭に置いて見ると、ジョアンナの心の解放と成長の物語として全体の意味もハッキリします。ジャンヌを演じ、また曲を担当した歌手・作曲家でもあるマイディ・ロスがよく、音楽面でも良くできていた。

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主人公が売れっ子のアイドル歌手になるという映画では、なんで彼女がそんなに売れるんだ、なんて感じることがよくあります。2人の親友ジョアンナとジャンヌの後者を演じたマイディ・ロスはこの映画で注目されたらしいけれど、シンガーソングライターで、その後は映画の音楽を担当する作曲家にもなったらしいけれど、彼女の曲と歌がなかなか優れていて、結果としてリアリティーのある映画になったのではないでしょうか。後で調べたら監督のクラウジックは『 WASABI 』や『 TAXi2、3、4 』の監督さんだったんですね。あまり関心のない映画ジャンルなので知りませんでした。

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舞台はフランス南部、中央山塊の南西端に位置する鉱山の町ドカズヴィル。そこで美容院を経営するシルヴィー(マリー・ラフォレ)を母に持つジョアンナ、靴店を営むカトリーヌ(シャルロット・ド=テュルクハイム)を母とするジャンヌ、2人は性格は違うが仲の良い親友同志。ジョアンナ(ヴィルジニー・ルドワイヤン)は一見外向的で、明るく、まあ悪く言えば尻軽で次から次へと恋人をかえるような性格。ジャンヌ(マイディ・ロス)の方は詩作や作曲、歌の才能に恵まれ、自分と同じ物の見方ができる王子様の出現を夢見て待っているような内向的でロマンティックな娘。静かな湖畔で一人いつもギターを弾きながら歌うのが好きだ。2人はレ・シレーヌというバンド組んでいて、鉱山の恒例行事(?)のパーティーで演奏なんかしている。そこに鉱山閉鎖の処理業務で来ていたリュック。彼は鉱山が閉鎖されるという内密情報をジョアンナに漏らしてしまい、彼女はそれをステージで話してしまう。リュックは早速上司にクビを言い渡されるのだけれど、2人がアカペラで歌うのを聞いて2人をデビューさせようと考える。後で語られるようにリュックはジョアンナに一目惚れしていた。歌手デビューを目指して2人は学校もやめてトゥールーズに移り住み、スーパーの店員等して資金を準備。そのスーパーで知り合ったのはJP。彼の方はジャンヌに思いを寄せている。デモテープ録音でエンジニアをしてくれたジャスパーも2人の才能と熱意に惚れ、商売抜きで2人に協力してくれるようになる。

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(以下ネタバレ)
スター発掘みたいなテレビ番組に2人は出演しようとするが、その回のテーマはソロだった。結局ジョアンナが公開番組収録のステージに登る。しかし途中歌のサビの部分でジャスパーはテープのジャンヌの歌声に音声をすりかえる。彼はジャンヌの歌こそ優れたものであることを音楽的に知っていたのだ。そして外向的で容姿とステージパフォーマンスに優れたジョアンナが歌手としてデビュー。しかし実際には曲を作っているのも歌っているのも、バックバンドでギターを弾きながらバックコーラスを歌っているかのようなジャンヌで、ジョアンナはクチパクだった。そしてこの見せかけのスタイルで歌手ジョアンナの人気はどんどん上がっていく。しかしジョアンナの母シルヴィーは娘ジョアンナを思う余りにこのような状況、ジャンヌの存在を嫌っていた。

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当然やがて親友2人は感情的に反目し合うようになる。ジャンヌにとっては自分が作詞作曲し、自分の歌う歌声が観衆を魅了しても、表向きすべてそれはジョアンナのもので、彼女は日陰の身でしかない。それでもジョアンナが慕ってくれればまだ良いが、ジョアンナの方は何をしても自分そのものを誰も認めてくれないからジャンヌへの嫉妬や反発は激しくなるばかり。曲を書いても他の4人は誰も認めてくれなければ、ステージでは勝手なMCをするなとも言われてしまう。歌手ジョアンナのステージは大成功でも、自分は単なる操り人形以外の何者でもない。そんな中でもステージに立たなければならないストレスからジョアンナは段々にドラッグにはまっていく。

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ある日ジャンヌの母カトリーヌが娘を訪ねてきた。優しいカトリーヌはジョアンナも苦しんでいることを見てとり、それを話して娘を慰める。しかしその直後にジャンヌのもとに母カトリーヌの病死の知らせが届く。母は病気のことを隠して娘に会いにきたのだ。2人はツアーの途中だったが、テープ音声で誤魔化すということでジャンヌは演奏活動から身を引く。そしてジャンヌは母の葬儀にやってきたジョアンナを激しく拒絶する。自分が誰にも認められない孤独。マネージャーを勤め、愛人でもあるリュックとの関係でもそれは癒されない。ある晩彼女は窓から身投げをするが、幸い下の天幕があったのでケガだけで済んだ。ジョアンナを本当に慰められるのはジャンヌだけだと、リュックは病院にジョアンナに会いにいってくれとジャンヌを訪れるが、母を失ったばかりの彼女にはそれだけの心のゆとりはなく断る。そんな頃いつもの湖畔にジャンヌを訪れたJP。自分が金魚に似ていると言われて自分の分身としてかつてジャンヌに贈った金魚を部屋から持ち出してきていた。2人は金魚を湖に放ち、互いに強く抱き合う。実際の愛の確認が成れば分身の金魚はもう必要ないのだろう。

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女性同志の友情は存在しないと言う人も多々いるけれど、ボクのこの映画の捉え方はそんなことよりも、2人の娘とその母親との関係、そしてその結果としての特にジョアンナの心理的解放、自立、成長の物語としてだ。ジョアンナの母シルヴィーを演じたのはマリー・ラフォレで、彼女のもつ冷ややかな雰囲気がこの母の性格を表していた。最後に勝手な娘への思いからジャンヌを射殺しようとするほど娘を愛しているかのようだが、実際の親子関係では娘の人格を認めて親として愛するということをきっとしてこなかった。そんなジョアンナはある種のセックスアピールで認められる以外は相手にされず、誰かに認められたいと実はいつも孤独だった。だから色々な男にも走った。ラジオやステージでも自分の言葉を話したい。しかし彼女に与えられたのはクチパク操り人形になるという、全く逆のことだった。もともと作詞の才も作曲の才も歌の才もあまりないのだからその面でジャンヌに太刀打ちすることは出来ない。そんな彼女はどんどん追いつめられていく。

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しかし死(自殺未遂)を契機に彼女は成長する。疎ましく感じていたジャンヌの存在を認め、ステージにまた上がることを求め、マイクをステージに置く。自ら状況を打破しなければならないと思ったのだ。ジャンヌの母カトリーヌは2人のそれぞれの思いを受け止め見守った。ジャンヌは病院にジョアンナを見舞い、ステージにまた立ってくれというジョアンナを受け入れた。すべてのドラマをお膳立てしたのはジョアンナの母シルヴィーだ。彼女に改心はない。こう見てくるとストーリーとしてはジョアンナ、ジャンヌ、カトリーヌは救われて当然の3人なのだから、世界は勧善懲悪ではかならずしもないけれど、希望をも持たせるラストは当然の論理と言ってもよいのではないだろうか。自己中心的母親を持った娘ジョアンナの物語として見ると、余韻のあるなかなかの名作ではないかと思った。

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Last updated  2007.03.29 02:50:12
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