ラッコの映画生活

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2007.05.06
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カテゴリ: フランス映画
5×2 CINQ FOIS DEUX

90min

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寸評:ベルイマンの『ある結婚の風景』を文字ってオゾン版『ある結婚の5つの風景』とでも言おうか。離婚の風景から始めて時間をさかのぼり2人の出会いまでの5つの風景を描く。離婚に至る原因を謎解くものと言うよりも、あるカップルを5つの風景で浮き彫りにしたもので、面白かった。

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ジルとマリオンの離婚手続。双方同意による離婚だろうが、夫ジルの方により躊躇が見られる。手続が終了して法的に離婚が成立した2人はホテルの一室へ。ジルは服を脱いでベッドに入り、バスルームでシャワーを浴びタオルを身体に巻いたマリオンが入ってくる。「太ったのか?。」「そんなことないわ。」「じゃあ何でタオルで隠すの、もう結婚してないから?。」「わからないわ。」離婚手続で判事が別居期間のことを言っていたが、2人は2ヶ月ほど会っていないらしい。2人が行為を始めようとしたときマリオンの携帯電話が鳴る。彼女は母親とお昼を一緒に食べる約束を忘れていたのだ。2人は気分をそがれるがマリオンが「抱いて」と。しかし行為が始まるとマリオンには耐えられなかった。それでも続けるジルに叫び声をあげて抵抗するが、ジルはかまわず無理矢理に行為を進める。

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映画はこのように始まる。そしてこの後時間をさかのぼって4つの風景が描かれる。ジルの兄とそのホモの恋人を招待しての晩餐、マリオンの出産、2人の結婚式、そして最初の出会いの4つだ。もちろんそこに何らかの「出来事」が無いわけではないが、だからと言ってそれは2人が離婚に至る決定的な原因を示すものではない。どれも2人の日常の1風景として描かれていて、そこに微妙なカップルのあり方のようなものを感じるのは観客だ。直接的に監督が何かを示すことはない。この構成がウソっぽくなく、実に見事に演じられ、演出されている。普通のラブストーリーは出会いから結末までを時間を追って描かれ、悲恋やハッピーエンドに導かれる。しかしこの映画では最後が離婚に至ることを観客は最初から知らされていながら、ラストに描かれる最初の美しい出会いを一種のハッピーエンドとして見せられてしまうのではないだろうか。ほろ苦さを持ちつつも美しいラストシーンだ。他のシーンがごく現実的な映像であるのに対して、夕日の海に入っていくこのジルとマリオンのラストシーンだけが超ロマンチックな映像だった。このカップルは、そして特にヴァレリア・ブルーニ・テデスキが好演のマリオンはどの段階でも幸せを求めているのが良くわかる。

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(以下ネタバレ)
各場面での普通に感じられる重要事以外に、この映画でボクとして印象に残った、あるいはボクがこのカップルや映画を理解する上で重要と感じたセリフや事態を書いてみよう。◆第1の風景では、ホテルの部屋を出ていこうとするマリオンにジルが言う「君は強いよ。(・・・)君の勝ちだ。」という言葉。最後の最後に「もう一度やり直せないか?。」とジルが問うのに対して、マリオンがはっきりと「Non!」と言い放つことなくただ去っていく彼女の心情。◆第2の風景はジルの兄とそのホモの恋人を招いての家での食事だが、ここではマリオンが背中の大きく開いたロングドレスを着て粧し込んでいること、ジルの兄がホモであること、あるパーティーで男性とも関係を持ったとジルが語ること。◆第3の出産の風景では、産後のマリオンの病室でマリオンの両親は言い争い、父が先に去ると父の悪口を母は言うが、マリオンは「行けば、お父さんは車で待っているわよ。」「そう思う?。」「お母さんもわかっているんでしょ。」「そうね。」という会話から窺うことのできるマリオンの両親の関係。マリオンが子供の名前の選択を結局ジルに任せたこと。◆第4の結婚式の風景では、やはり仲睦まじくいつまでも踊るマリオンの父と母。◆第5の風景では4年の付き合いだという元(現)カップルであるジルとヴァレリーは半ば醒めてもいる感じで肉体関係もあまりないような感じだが、マリオンの登場で激しく抱き合う点。ちなみにマリオンの両親を演じたミッシェル・ロンスダ-ルとフランソワーズ・ファビアンはどちらも好演で良い雰囲気を醸し出していた。

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オゾンの作品はこれ以外には『スイミング・プール』しか見たことはないのだが、この映画を見ていて感じたのは「男が男であることを受け入れて、男として男になること」の難しさ、あるいはそれに対する男の心理的抵抗をオゾンは感じているのではないかということだ。潜在的であれそういう本質を持った男だから、男自身がそれを秘かであれ自認し、女もそのことを受け入れられればカップルとして継続し得るとオゾンは言いたげだと感じた。

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最後に再び寸評:好きな映画。マリオンを演じたヴァレリア・ブルーニ・テデスキが魅力的。邦題は原題のまま「5×2」ないし「2×5」、あるいは「ふたりの5つの風景」とか「あるカップルの5つの情景」(カップルは夫婦、情景は風景でも可)にして欲しかった。

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Last updated  2007.06.21 06:22:58
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