ラッコの映画生活

ラッコの映画生活

PR

Calendar

Comments

Jeraldanact@ Проститутки метро Электросила Брат замминистра инфраструктуры Украины…
SdvillkeS@ ИнтерЛабСервис [url=https://chimmed.ru/ ]brueggemannal…
hydraGes@ Новая ссылка на гидру v3 новый сайт гидры v3 <a href=https://hydraruzpnew4afonion…
間違い@ Re:『沈黙の行方』トム・マクローリン監督(米・加2001)(02/21) 姉ではなく、妹です。 なので、弟ではなく…
RogerEQ@ Это вам будет по вкусу разработка сайтов веб сервис - <a hr…

Profile

racquo

racquo

Favorite Blog

コイケランド koike1970さん
Kabu + Plus エースNo1さん
行きかふ人も又 はる **さん
Nobubuのbu… Nobubuさん

Keyword Search

▼キーワード検索

2007.07.01
XML
カテゴリ: ヨーロッパ映画
THE WIND THAT SHAKES THE BARLEY

127min
那覇・桜坂劇場にて

*00.jpg

寸評:第一次世界大戦後のアイルランド独立戦争から1921年の英国との休戦成立、そしてその後の英国との条約批准派と反対派の抗争を描いた作品。重たい内容だが良く出来ており、カンヌのパルムドールは頷けるが、ケン・ローチ監督としてはやや不出来な感じがした。

*92.jpg

アイルランド内には歴史的にもともと旧教と新教の対立、英国による植民地的支配体制で特権を得ていた富裕層と貧しい農民との対立、ユニオニスト(英国帰属派)とナショナリスト(独立派)の対立等があったわけだが、独立派は大戦中の1916年にはイースター蜂起を起こし鎮圧される。1919年からは義勇軍が駐留英軍に対してゲリラ戦を開始するが(アイルランド独立戦争)、映画はこの頃から始まる。ダミアン・オドノヴァンは若い医師で、ロンドンの一流病院への就職も決まり、周囲のナショナリスト達からは非難されたものの、国の政治的状況から逃避してロンドンに旅立とうとしていた。しかしアイルランド人に対する英軍のあまりの横暴を目にしたダミアンは、子供の頃に離れ離れになった兄テディが中心的活躍をする独立義勇軍に参加。アイルランドに留まって反英闘争に身を投じていく。

*96.jpg

(以下ネタバレ)
闘争の結果1921年には英国との休戦にも漕ぎ着け、人々は喜び合う。しかしそれはほんの一時のことであった。英国との闘争の後に彼等を待ち受けていたのは、北アイルランドを分断し、富裕層に有利な内容の英国との条約批准に対する賛成派と反対派の対立、つまりアイルランド人同志が殺し合う内線だった。それまで対英闘争で仲間として戦ってきた親しい同志の敵と味方に別れての殺し合いだ。ダミアンは完全な独立を目指す条約批准反対派、兄テディは批准賛成派。ダミアンは捕まり、テディは説得を試みるが、彼の強い意志を変えることはできなかった。そしてテディ自らダミアンの銃殺を指揮することになる。

*97.jpg

どうなのだろう。イギリス人であるケン・ローチはイギリス批判でもある内容の映画を作ろうとし、完成させた。事実イギリス国内では批判・反発の声も多々あるという。そういう意味である一定の足枷か躊躇のようなものはなかったのだろうか。逆にアイルランド人に対しても同じようなことがあるだろう。イギリス人としてイギリスを良く描くのでもなければ、逆にアイルランド人がアイルランド贔屓に作るでもなく、そういう意味では良いスタンスかも知れない。そしてそのために全体をダミアンとテディ兄弟の殺し合いの物語にし、またダミアンの恋人シネードの悲恋物語という枠をはめたのかも知れないが、そこがちょっと安易な感じがしてしまう。

*93.jpg

話の根幹は前半の英国との闘争であるよりも、独立を与えても既存の経済的対立により国内が分断されることを英国が知っていて独立を与えているという、どこの植民地でも独立に伴う問題やそれを前提としての旧宗主国のずる賢こさではなかったのだろうか。兄弟や悲恋を描き過ぎたためにそのことがあまり伝わらない結果にはなっているような気がする。描かれる中心が最後には残らないダミアンであったことが脚本の弱さではないだろうか。テディが遺書を持って、自分が処刑した弟ダミアンの死を恋人シネードに知らせに来るというラストは、あまりにも常套的に過ぎるお涙ちょうだいだ。どうせなら最後にも生き続けるテディかシネードを中心に据えた方が、英国の残した国内闘争という面をより明確にできたように思った。それでもなお、立派な良い作品であることには異論はありませんが。

*98.jpg




監督別作品リストはここから
アイウエオ順作品リストはここから
映画に関する雑文リストはここから





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.07.05 03:09:03
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: