ラッコの映画生活

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2008.03.23
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カテゴリ: フランス映画
LE SALAIRE DE LA PEUR

白黒148min
(レンタルDVD)

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気になっていた名作の誉れ高いこの作品、しかし1952年製作というとどうしても近付き難い。この時代の映画には、名作でることはわかっても、現代の自分としては生では楽しめない作品も多々あるからだ。今回友人がレンタルしてきたのを見たが、たいへん面白かった。

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中米メキシコの近くという設定だろうか(撮影は南フランス)、ラス・ピエドラスという町。ヨーロッパ本国を何かの理由で逃げてきた人生の失敗者たちの吹きだまりの町。石油発掘に進出してきたアメリカの石油会社関連以外は仕事もなく、飢餓・害虫・猛暑・悪疫・失業で人々は死んでいく。アメリカの石油会社もアメリカ本国から来ているアメリカ人以外の人材は営利のために使い捨てで、その生命など虫けらほどにも思っていない。町を出るには旅費やビザも必要だが、仕事もないのでそんな金はない。モンタンが言うように「入るのは簡単だが、なかなか出ることの出来ない監獄のような」町なのだ。2時間半の映画だが、町のバーに集まるそんな男たちの倦怠、焦燥感、希望のなさ、諦念、そうしたものをクルーゾー監督は最初の1時間でしっかりと描く。

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後半はニトログリセリンを、トラックで悪路500キロ先の山中まで運ぶという命を賭けた一獲千金のサスペンス&パニックが、極限状況下で人間の本性が露になる男のドラマとして描かれる。最初の1時間で描かれた4人の男たちの性格描写や人間関係の描写、これがこのサスペンス部分に血と肉を与えており、それがなければ昨今のアメリカ映画的パニック映画でしかない。そしてラストはさすがにクルーゾー監督。人間を洞察した辛辣なものだ。

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やや以下ネタバレになるけれど 、ラストに至る流れについて感想を書こう。2台のトラックに各2名の運転手、計4名が成功報酬1名2,000ドルで危険な旅にでる。ちなみに1ドル360円の時代だから単純計算で72万円であり、1日程度の仕事だろうから物価を考えればかなりの大金だ。マリオとコンビを組むジョー(シャルル・ヴァネル)は落ちぶれたかつてのヤクザの大物。マリオが何故この地にいるかははっきり説明されないが、逃げてきたことだけは確かだ。マリオはジョーに町のことを説明するのに「監獄」という比喩を使うが、彼は(本物の)監獄にいてしかるべき過去を持つとも言えるのではないだろうか。つまりこの一獲千金の危険な旅とは脱獄に他ならない。そしてそれに彼は命を賭けたのだ。もともと事故で燃え続ける油田を救おうなどという気持ちなど決してない。また彼を愛するゆえにマリアに祈り、出発を断念させようとするリンダ(ヴェラ・クルーゾー)をも振り切って出発する。町(=監獄)に幽閉されていることは当然の身であり、そんな中で彼を真実熱愛する女を与えられていながら、それをモ捨てての脱獄だ。彼は過去と現在の罪を精算しなければならないのであり、簡単なハッピーエンドが彼を待っていたのでは絵空事のサスペンス物語に堕してしまう。ルネ・クレマンの『太陽がいっぱい』もそうだったが、人間の行動に対する当然の、あるべき報い、根底にそういう哲学のあるラストなのだ。

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Last updated  2008.03.25 04:30:16
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