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2008.03.24
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カテゴリ: フランス映画
Les Contes des quatre saisons

Eric Rohmer
107min
(所有VHS)

printemps0.jpg

春だからと言うこともないのでしょうが、かなりかなり久しぶりにエリック・ロメールの『春のソナタ』にビデオを引っぱりだしてきて見ました。ロメール好きの映画ファンはいるけれど、彼のいくつかの作品は認めながらも、「また同じロメールか、もういいよ!」とうんざりな人も批評家の中には少なくないようです。前回に見てからもう15年はたっているのではないかと思いますが、内容の細部はほとんど憶えていませんでした。このあたりにロメールの特徴があるのかも知れません。言ってみればほとんど何も起きない映画なんですね。そしてそれを支えているのは会話です。この映画の中でも、最初の女2名のパーティーでの出会い/知り合うシーンでも、4名の主要人物の食事のシーンの哲学談義にしても、まあ良くしゃべるしゃべる。フランス人の会話のあり方を知っているとさほど不自然なことはないけれど、でも言葉による人間の関係のあり方が中心にあることは確かだ。

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パリ郊外の学校から出て来てパリに向かうジャンヌ。彼女は高校の哲学の教師だ。いきなり余談だけれど、ボクの知る限り日本の高校には哲学の授業などない。倫理社会という科目があるぐらいではないだろうか。大人になって社会人となり、家庭の平凡な父や母になってしまえば、高校で習った哲学など忘れてしまうだろうが、ある程度の高等教育を受けた者が哲学を学び、一定の思想(思索)の訓練を受けているという事実、これは人間や社会の形成に大きな特徴付けをもたらしていると思う。そしてそれは例えばごく普通の娯楽映画のあり方(創作と受容)にも影響していて、それが日本人がフランス映画をつまらないとか、わからないとか言う原因でもある気がする。それが深いものであっても、実は浅いものであっても、何かを思索して映画を作ろうとし、その思索の結果を思索しながら見るというのが、フランス映画なのだと思う。

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いきなり映画から脱線してしまったが、ここでこんなことを書き始めたのも、主人公のジャンヌが哲学教師だからだ。内なる欲動や情動と、その哲学的分析と解釈、その2つのバランスを保つことが彼女の生であり、それは必ずしも容易ではない(ロメール自身そういう傾向の強い人なのではないだろうか)。こう言うと何かこ難しいようだが、程度の差こそあれ、大多数の人はこの葛藤の中に生を送っているはずだ。「四季の物語」という4作からなるシリーズの第1編のこの作品、冒頭からベートーベンのバイオリン・ソナタ『春』が流れ(ここから日本語タイトルか!。できれば「春のソナタ」「恋の秋」とかでなく『春の物語』『夏の物語』『秋の物語』『冬の物語』、そして全体は『四つの季節の物語』にして欲しかった)、映画は明るい花咲く春を強調する。寒さの厳しいドイツが観念論哲学であるように、冬の暗さと寒さは人を思索的にするが、そんな冬が終わり、明るく、暖かくなり始め、花の咲く春。

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ジャンヌは、自分の部屋は田舎から試験でパリに出て来ている従姉妹に貸していて、従姉妹が兵役中の恋人と過ごしていることを知り、カップルの邪魔はしたくないと思う。(他でも同じようなことがジャンヌの口から語られるが、自分の必要より他人の良かれを優先しようとする態度は、実は一つの奢りかも知れない。)一方同居中の彼氏は旅行中で、不在の彼の部屋に一人でいるのも気が進まず、結果行き場を失ったジャンヌ。たまたま行った大学時代の友だちの家でのパーティーで、ピアノ科の学生のナターシャと知り合い、彼女が一人で住む父の広いアパートメントに寝泊まりすることになる。ナターシャの父イゴールは6年前に妻(ナターシャの母)と離婚し、今はナターシャとあまり歳の変わらない愛人エーヴと暮らしていたのだ。ナターシャはエーヴを嫌っていた。そしてジャンヌを父イゴールに近付けようとするのだが・・・。ナターシャの住むこのパリのアパルトマンと、イゴールがフォンテンブローに持つ別荘とを舞台にした、女3人(ジャンヌ、ナターシャ、エーヴ)と男1人(イゴール)のそれぞれの思惑、気持ち、恋情、そういったものが基本言葉でぶつかり合う物語。

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Last updated  2008.03.26 04:47:48
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