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自転車の速さよりも私の気持ちのほうが逸りその気持ちを抑えながら
私は向かっていた。大好きな彼に逢う為に
私の名前は結城立花《ゆうき りっか》中学三年生。
彼の名前は真城夏《ましろ なつ》一つ年上の高校一年生、背か高くて
柔らかい黒髪、ぱっちりした二重の男の子
皆の憧れの的だった彼と付き合いだしたのは去年の今頃
些細なことがきっかけだった。もうすぐ付き合って一年が経つ
そに日は二人にとって特別な日になる筈だった
勢いよく曲がり角を曲がり更に真っ直ぐ行くと小さな公園に突き当たる
そこが二人の待ち合わせ場所
公園に着くと上がる息を宥めながら私は夏を探す、いつも待つのは夏で
遅刻する私を怒りもせず待っていてくれた
額に滲む汗をハンカチで拭って辺りを見回すとふわっと柑橘系の匂いが
香り囁く声が耳元で響く
『立花、誰探してるのかな?』
その声は聞き間違える筈ない、夏の声で私は自然と笑みが零れ
回された手に手を添えながら
「うーん、立花の大好きな人を探しているの」
すると腕が解かれ夏の顔が私の瞳に映る
『じゃあ、僕と同じだ』
夏は嬉しそうに微笑み私の手を握る
「うん、同じだね。夏」
繋いだ手から伝わる夏の体温が夏の存在を私に知らせる
夏と過ごす時間はいつも早く過ぎる、楽しくて楽しくて気がつけば
青い空はオレンジへとそして黒いベールが落ちてくる
その時間が来ると私はいつも寂しさが胸に波紋のように広がる
そんな私の様子に気付く夏は私の頬を包むように手を添え
真っ直ぐその瞳に私を映すと柔らかな夏の唇が私に重なる
そして体温を残し夏の顔が遠ざかる
数秒触れ合うだけのキス、お互い恥ずかしくて俯いてしまう
夏は黙って私の手を引く。
それでも繋いだ手から夏のドキドキが私に伝わる
私達はきっと同じ顔をしている、私の顔は夏の触れた場所から
熱が広がるように熱くなっている
夏はいつも家の前まで私を送り私が中に入るまで見ていてくれた
幸せな時間や穏やかに流れそして二人の距離を近くし想いを強く
していった
秋の香り 2009.10.26
更新履歴。 2008.04.26
交差点 ~ Chase The Chance:答えはいつ… 2008.03.21
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