恋涙 ~ renrui ~

恋涙 ~ renrui ~

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2007.08.19
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カテゴリ: 夢物語
『そういえば、ヒルクもプラムさんも魔界に帰らなくてよいのですか?やはりこういう場合。』

ふっと頭をかすめた現実、契約を終えた悪魔が魔界に帰るのは当然で人間界に止まる理由はない。

『帰らねえつうか代価なら払ったしな』

『ヒルク…貴方、まさか』

ヒルクの両腕が私の身体から離れ半顔を隠すヒルクの前髪に私は手を伸ばす、再会したときに感じた違和感。

私の考えが胸を締め付ける。

伸ばした右手はヒルクの前髪を掻き分ける、私は前髪の下に隠れていたヒルクの瞳を塞ぐようにつけられた引っ掻き傷に言葉を失う。

『そんな顔するな、片瞳ぐらい本望だ。』

『ヒルク…』



私は閉じられたその片瞳にそっと唇を当て離れた。

『傍にいます、貴方の傍にずっと』

『ああ、でこれから何処へ行く。あてのない旅だ』

『そうですね、季節を追い掛けませんか?きっとまだこの先には冬が残ってますよ』

ヒルクの腕からゆっくり胸を押し身体を離すと右手人差し指を顎下に置き考えその指先を道へと移す。

『季節を追い掛けるか、らしいねぇ。行くとするか』

『ええ』

「なーら、その旅にお邪魔虫も一匹同行ってことでよろしく。だってヒルクが居ない魔界なんてつまんないしね。」

向かい合いながら笑う私とヒルクの間に割って入るようにプラムが口を開く。

私とヒルク、そしてプラムの長い旅が始まった。行くあてない旅、けれどヒルクと一緒ならきっと…。

『大丈夫』




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最終更新日  2007.08.19 13:39:46
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