突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2009.07.31
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 そのかわいくない言い方にシリウスはまたむっとしかけたが、我慢して穏やかに言った。
 「よし。 じゃあ、ジョジョ、さっきのいたずらは、どういう魔法なんだ? いくら走っても、どこにも行けなくなっちゃったけど」
 そのとたん、ジョジョが得意げに胸を張った。
 「あれは、“めくらまし”さ。 おいらの一番得意な魔法。 森でバルドーラを見かけたら必ずかけてやるんだ。 ハークみたいに全然かからないやつもたまにはいるけどね。 シリウス、お前ってトカゲの皮のよろいなんか着て、なんだかバルドーラみたいに汚いだろ。 だから、つい、かけちゃったんだよ。 まさかバルドーラ並みに見事にずっぽり引っかかるとは思わなかったけどな」
 シリウスはちょっと気を良くして笑った。 汚い、というのはともかくとして、バルドーラみたい、と言われたのは悪くない感じだ。 なんだか、強くてかっこいい、とほめられたような気さえする。
 「へぇ、“めくらまし”っていうのか。 気味悪いな、あれ。 どうなってるんだ?」
 たずねると、ジョジョはますます得意そうにそっくり返った。
 「うん、あれは、後ろのものが前に見えて、前のものが後ろに見えて、左のものが右に見えて、右のものが左に見えるんだ。 上下以外は全部逆に見えるんだよ。 だから、前に進もうとすると、後ろに行っちゃうわけ」
 へぇぇ、とひとしきり感心してから、シリウスは考え込んだ。

 シリウスはぱっと顔を上げて叫んだ。
 「ジョジョ、俺にそれ、教えてくれない? マリスにかけてみたいんだ」
 ジョジョも、ぱっと目を輝かせた。
 「マリスに? そりゃいいや! 俺もあいつにはさんざんからかわれたんだ。 教えてやる教えてやる!」
 こうしてシリウスはその場でジョジョに“めくらまし”を授かった。
 魔法というやつは、覚えてみたら実に簡単だった。 ただ、相手をにらみつけて呪文《カルーラー》を唱えりゃいいだけなのだ。 そうすると相手は勝手に転んで、起き上がったときにはもう前後左右が逆に見えていて、勝手に道に迷ってくれるんだそうだ。
 これを教わるとシリウスはまっすぐマリスの巣穴目指して走り始めた。
 マリスめ! 今度こそ負けないぞ! ・・・パンセの家? そんなの後回しだ。 マリスに今までの仕返しをして、すっきりしてから行くことにしよう。 
 ところが、今日はなんだかついてない日だ。 マリスの巣穴に向かう道の途中で今度は、向こうからプリエールが歩いてくるのにばったり出くわしてしまった。
 プリエールというのは、リシャーナの村に住む大人の魔法使いで、魔法の粉を作る仕事をしている。 いつも大きな声で笑っている、明るい、いい人ではあるんだけれど、困ったことにこの人は、森で遊んでいる子供たちを見つけると、必ずといっていいほど呼び止めて用事を言いつける、という悪い癖がある。 しかもその用事というのが半端な仕事じゃなくて、山のように集めた得体の知れない草の根っこをきれいに洗って並べて干せだの、気味の悪い蛇の抜け殻だの毒々しい色のきのこだのを探して集めて来いだの、村の東の果ての寂しい氷穴の中に3日3晩凍らせた何とかいう木の実が入っているからそれを一人で取りに行って溶けないうちに帰って来いだの、薬瓶のふたに使うコルクの木を伐って来いだの、山のように積み上げたその薬瓶を全部ピカピカに洗って乾かせだの、時間がかかって骨の折れる仕事ばかりなのだ。 こんなところで出会ったら、また何か用事を言いつけられて、何時間も、時には何日もの間泊まり込みで、こき使われるのは目に見えている。
 めんどうだから、逃げちゃえ!

 そのとたん、プリエールの、腹の立つほど明るい声が飛んできた。
 「おっ! 今そこの茂みに入って行ったのは、シリウスだな! いいところで会った。 今から白い炎の粉を作るところなんだよ。 いっしょに炎の石を掘り出しに行かないか? 炎の石の探し方を教えてやるから。 おもしろいぞぉ! ほら、シャベルも貸してやる」
 プリエールの手に小さなシャベルが二つ、ぼわん、と現れたところは、もちろんシリウスは見ていなかった。 今のは聞こえなかったことにしてさっさと茂みの奥深くへと逃げ込んでしまったからだ。





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最終更新日  2009.07.31 16:11:10
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