突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2010.04.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 突然、怒りがこみ上げてきた。

 ――― あいつは、ヤップの命を奪うのに、笑みさえ浮かべていた!

 アルデバランの手の下で、土は、熱く息づいているように思えた。
 耳の奥の、どこか深いところで、ヤップの笑い声がはじけた。
 『ミューズ、パピトの酒造り歌、歌ってくれないかなあ! 俺、あの歌、大好き!』
 ヤップの、最後の笑い声だ。

 ヒュウゥ、と風が吹いて、その幻聴をかき消した。
 ウィスカーが、すすり泣きながら、石を墓の上に戻そうとしている。


 風が吹いて、アルデバランの長い闇色の髪を、ざあっ、とまきあげた。

 邪悪な色の炎が、ばっ、と音を立てて燃え上がった気がした。

 アルデバランはついと立ち上がり、墓に背を向けて歩き出した。
 「アルデバラン? どこへ行くんだ?」
 ぎょっとしたように叫んだウィスカーの声も、アルデバランの耳には入らなかった。

 ふところには、いつも持ち歩いている料理用の包丁が一本入っていた。
 その柄を握り締める。
 しっくりと手に馴染んだ感触。

 殺してやる!
 口の中でつぶやいた。
 体中の血が、ふつふつとたぎってきた。

 得意げに叫んだあいつの首を、大根みたいにざっくり切り落とす、その感触が生々しく包丁の柄から伝わってきた。
 ぞくりと全身の毛が逆立った。

 怖くはなかった。
 怒りとも歓喜ともつかない、荒々しい衝動に、全身の血が激しく逆流し始めた気がした。
 めりめりと音を立てて、体が一気に何倍にも膨れ上がった気がした。

 どんな理性も一瞬のうちに消し去る、真っ黒で、邪悪な、憎悪という力だった。 

 怒涛のような感情に押し流されるように、アルデバランは、足音もたてず駆け出した。
 まっすぐに、リュキア軍の兵舎目指して。
 牙をむく疾風のように。


 「アルデバラン、どこへ行くんだ!」
 悲鳴のような声を上げて、ウィスカーがアルデバランの後を追った。





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最終更新日  2010.04.30 17:00:19
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