突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2010.05.27
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 デネブの瞳がまた、くらい悲しげな色に曇る。
 「だけど、ようやく、砂漠の真ん中でリシャーナ族のヴェガに巡り会うことができて、すぐさまレダのところに連れて行こうとしたら、ヴェガの体は、いや、たぶんリシャーナ族という生き物の体そのものが、もう、細胞レベルからあんまり脆弱なつくりで、瞬間移動も危険だし、船内の未知の雑菌はおろか、気圧にすら耐えられないかもしれないことが予想できた。 これではとても奇跡の魔法なんか起こしてもらえない。 ヴェガに奇跡を起こしてもらうことは、あきらめざるを得なかった」

 再び顔を上げたデネブの瞳に、徐々に強い光が戻り、ついで、熱く荒れ狂う炎のように、激しい色に変わっていく。

 「リシャーナ族にできないなら、僕は自分で奇跡を起こそうと決心をした。 君たちの森で修行をさせてもらって、僕が魔法使いになるんだ。 そして僕が自分で、レダの目を覚まさせる。 たとえ何年かかっても!」

 このデネブには、いつものデネブとは違う、ミラがたじろぐほどの気迫があった。
 思わず目を見張ったミラに、デネブが熱っぽい口調でたたみかける。

 「ミラ、僕の考えたことは間違いじゃなかったんだね! 君は、そんな、炭みたいな木をも、魔法の力で生き返らせることができる! 僕も、修行を重ねたら、そんな奇跡が起こせるようになるんだね! 僕がレダの目を覚まさせることも、決して不可能じゃない!」

 森の生き物たちの命を支える神聖な木たちと、動物たちの血で汚れたニンゲン族とでは、命の質もぜんぜん違うよ!
 喉元まで出かかったけれど、デネブの真剣なまなざしに気おされて、そんなひどいことはとても言えなかった。



 僕だったら、そこまでできる?
 怪我をして動けない友達のために、たった一人で安全な巣穴を出て、海の上を、木の枝にしがみついて1ヵ月、木も草も生き物の影もない砂漠を歩いて1ヵ月、本当か嘘かわからない噂だけを頼りに旅をして、しかもようやくたどり着いた森で待っているのは、ニンゲンとしての生活をすべて禁じられた、リシャーナの厳しい掟と苦しい修行。

 ――― 僕には無理だ。 いや、僕だけじゃない。 そんな長い苦しい、不安だらけの道のりは、たいていの人が途中で投げ出してしまうだろう。

 でも、デネブは、それをやろうとしている。 リシャーナが死者を生き返らせたなんて話は聞いたこともないけど、もしできたとしてもリシャーナはそんなことはしないと思うけど、でも、そのレダってやつは、死んだわけじゃない。 ただ、深く眠っているだけだ。 だったらデネブは、その鉄の意志で、もしかしたら、本当に、不可能を可能にしてしまうかもしれない。 
 こんな話を聞かされたら、何がなんでもデネブを魔法使いにしてやらなくちゃ、と、思わずにはいられなくなった。

 でも、カストールとポルックスが、リシャーナの友達を食べてしまうことだけはどうしても認めるわけにはいかなかったので、ミラは無理やりふくれっつらを作り、しぶしぶ、うなずいた。 
 「・・・わかったよ。 じゃ、その、猫を助けようとして大怪我をした、レダというやつの贖罪に免じて、今度だけは許してやることにする。 だけど、カストールとポルックスがこの森で狩りをするのだけは、今後一切禁止するよ。 どうしても狩りをする必要があるなら、そうだなあ、南の密林の奥とか、東の白い山の麓とか、とにかく、リシャーナの友達がいないところでやるなら、しかたがない、目をつぶってやる。 だけど、デネブ、君は、この先もリシャーナの苺以外のものは口にしてはいけないよ。 それ以外のものを食べると、本当に、魔力が弱くなってしまうんだ。 ヴェガのお酒でさえ、あのとおりの悪影響があるんだからね。 それから、僕は、今までどおり君に魔法は教えてやるけど、君が造ったあの家にはもう戻らないよ。 僕はヴェガのケヤキの木に帰る。 魔法を教わりたかったら君がケヤキの木のほうに通って来るんだ。 そうして早く一通りの魔法を覚えて、パンセに弟子入りを許してもらえるようになってくれよ!」





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最終更新日  2010.05.27 19:34:09
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