突然ですが、ファンタジー小説、始めちゃいました

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2012.01.28
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鬼の棲む街2



 『たそがれの港』の片隅に位置するこのパピト族居住区で暮らすパピトたちは、ほとんど例外なく、この国を支配する強大な民族、バルドーラ族に対して、根の深い恨みと恐怖心を抱いている。

 バルドーラ族の、首をそらせて見上げなければならないほどの大きな体は、無言のうちに、小さなパピト族を威圧する力を持っていたし、また実際、バルドーラ族というのは極めて攻撃的な性格なので、その非道な仕打ちに日常的に泣かされる一方のパピト族としては、この姿に怯え、狭い居住区の中で身を縮めるようにして生きているのが普通のことなのだ。

 だから、獰猛なバルドーラ族と、パピト族との間に生まれた 『雑種』 に対しても、パピトたちは決して心を開くことをしない。 
 『雑種』 は、たいていの場合、パピト族の女がバルドーラ族の男に陵辱された、いわば恥の刻印。 
 被支配民族であるパピトたちの多くは、バルドーラ族の圧倒的な巨躯とパピト族のエレガントな容貌を併せ持つ、この『雑種』という新種を、どう扱ってよいのかわからない、というのが正直なところだろう。 
 総じて美男美女が多いといわれている『雑種』の、その卓越した風貌の下に、バルドーラの凶暴な力と残忍な血が流れているのか、それとも、時に “パピトの知恵” と表現される、ずるがしこく油断のならない性質が隠されているのか、判断がつかないからだ。


 そういった事情があったので、このときのジラートの、見知らぬ 『雑種』 に対する直感的拒否反応は、この居住区の住人としては、ごく当たり前に過ぎなかった。

 しかしルドゥアは、ジラートの渋面を無視して、さっさと客のそばへ歩み寄り、そのコートを脱ぐのを手伝い始めた。

 実のところ、この店の客に若い男が来るなんてことはめったになかったので、 『雑種』 だろうと何だろうと、もくもくと頭をもたげてくる好奇心が、どうしても抑えきれなくなってしまったのだ。


 「御注文は何になさる? こんな寒い夜には、火酒が一番だと思うけど」

 その客が、長いさらさらの黒髪を揺らしてちょっとルドゥアを見たとき、酒場の、薄暗いランプの明かりに反射して、その瞳がきらりと赤く光った。

 きれいだわ、とルドゥアは思い、胸を高鳴らせた。

 が、その美しい色の視線はすぐに、そっけなくルドゥアから離れ、客はカウンターの中のジラートに目を移して、短く言った。
 「では、その火酒を一杯。 それと、何か食うものを」

 その言葉には、奇妙なアクセントと、強い訛りが感じられた。

 外国から来たんだわ、とルドゥアが思ったとき、ジラートが戸棚の奥からしぶしぶ火酒を取り出して、迷惑そうに言った。
 「悪いけど、食うものはもう何も残っていないんですよ。 すぐに看板なのでね」





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最終更新日  2012.01.28 17:47:29
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