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今、正に話題の間中にあるロシア。その帝政ロシア時代の話です。 ワーリカは小間使い。貧しい少女で、多分、生まれてまもなく金持ちに売られたのだろう。ともかく、いつもお腹が空いている。その上ここのところ眠くて仕方がない。奥様に赤ん坊が生まれ、ワーリカの仕事に子守が加わったからだ。赤ん坊はよく泣く。鳴き声が響き渡ると「泣かすんじゃない」と、叱られる。時にはゲンコをもらう羽目になる。ウトウトし始めると、赤ん坊の鳴き声に起こされる。そしてまた叱られる……。その上「ワーリカ、お茶をお持ち」「ワーリカ、ここを掃いてくれ」「ワーリカ」「ワーリカ」と、頻繁に用事を言いつけられる。 「ねむい…」「ねむい」。今やワーリカは、眠りたい……ただそれだけに支配されていた。それに比べて空腹なんて……。とは言え。この間、ご主人さまたちの食事時に用事を言いつかった。目の前には決して口にできないようなご馳走が……。不覚にもワーリカのお腹は大きな音を立ててしまった。ご主人の目がワーリカに向けられた。あゝ、ゲンコが飛んでくる、と思いきや……ご主人は食べていた肉を床に投げ捨て「硬い! 食えたもんじゃない」と、更にツバを吐きつけた。そしてワーリカの顔を見てニヤリと笑った…。「さっさと片付けろ」と声が飛ぶ。あゝ、美味しそうな肉。周囲の目がワーリカに集まる。蔑むような視線が……。女中頭が「早く」と目で命じる。ワーリカはすぐさま肉を拾い厨房に走った。「犬にでも食わせてやれ。そんなもの、人間の食えたものじゃない」とご主人の声が追い打ちをかけた。そして、静まり返っていた部屋に笑い声が溢れた。待っていた犬はワーリカの手から奪うように肉をとり、ハァハァ鼻息を立てながら、一気に食べた。 ねむい…。ねむい。うつら。うつら。赤ん坊がまた声をあげる。そして叱責が飛ぶ。赤ん坊をあやす。「泣かないで。泣くと怒られる……。あゝ、それよりも……」鳴き声はとまらない。ねむい……ねむいの! 赤ん坊の声は更に火がついたように響き渡った。あゝ、ねむい、ねむい!! ワーリカは眠りを妨げるものと対峙した。その鳴き声をあげる小さな首もとをおさえた。「泣かないで」「泣かないで」と、ワーリカの手に力が入る。しばらくすると赤ん坊はぐったりして、鳴き声がとまった。静寂。あゝ、これでゆっくり眠れる……ワーリカの寝息が静かに部屋中に木霊していた。 ロシアの文豪チェーホフの短編集「ねむい」からです。帝政ロシアはその後、ソ連となり、またロシアを名乗ましたが、ワーリカのような少女は未だ何処かにいることでしょう。画像はネットから借用しました。
2022.02.26
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昨年の今頃は、確か河津桜は満開だったと思います。さて今年は……。 今年の冬は寒い!と周知のことですが、アタクシも寒さにかまけて歩いておりませんでした。車窓から眺める限り、あたり一面がピンク色に染まるあの景観は伺えません。まだかなぁ……。寒さの影響を受けているのでしょうかねぇ。 昨日辺りから暖かくなってきましたので、「ええぃ」と重い腰を上げ歩いてみることにしました。線路沿いの川の麓、河津桜の名所?にさしかかっても景観は変わりません。でもよくよく見ると蕾は膨らみ、時が来るのを待っているようです。見入るように、ゆっくり歩を進め、日当たりが良いところにさしかかると、ありました、ありました。ひとつ、ふたつと……いやいや、もっともっと。花が開いています。慎ましくささやかに咲いていましたよ。 青天に突き出たピンク色の淡い花。香しき彩り。ぱぁと明るくなります。やっぱりイイものですねぇ。嬉しくなります。春はもぅすぐそこまで来ているんですね、としみじみ。でも、こうして待っている時が一番楽しいのかもしれません。冬の疲れが一気に消え去りそうです。お疲れ様でした、と迎えてくれているようです。
2022.02.26
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先日。かつて、もしかしたら会っていたかもしれない人と再会?しました。 いやぁ〜。ビックリ!!でした。友達の知り合いということで連れて行ってもらった店。何と!! そこのマスターと共通の知り合いがいて……話をするうちに、どんどん糸がほどけてゆくように……あら、まぁ、どうやら昔むかし同じ空間にいたようです。もちろんその時の誰かはお互い記憶にはございません……ですが、もしかしたら話をしたかもしれない、すれ違っていたかもしれません。 いやぁ〜。こういうことってあるんですねぇ。まるで過去の不透明な部分が明らかになってゆくような……その時は知らなかったことが今になって分かるなんて。昔は無我夢中で周りのことなんて、何も分かっちゃいなかったんでしょうね。へぇ〜。そう思うと年を重ねるのも悪くない。共通の想い出があるから懐かしさもひとしおです。名乗り合うのは初めてなのに……。 いやぁ〜。何か人生の「おまけ」のような感じです。過去のおかげでまた新たな広がりが生まれる……。友達の友達は皆、友達だって。それこそ昔はやった「友達の輪」ってな感じでした。う〜ん。まだまだ人生、おまけが待っていそうですね\(^o^)/。
2022.02.24
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2022年2月22日!! 今日は「ニャンニャンニャンニャン」のネコの日。 なんて人間どもがほざいている。まっ、いいけどね。でもだからといって何かイイことしてくれるのかなぁ……お祝いっての。例えば今日は何をやっても許される、とか(あ。いつも……かぁ)。メシをいつもの倍くれるとか(あ。あまり健康的じゃないかぁ)。野良猫にもふるってエサを!! これはイイかもしれない。何処かの広場に「祝・猫の日」とかでエサのサービス、なんて話はないか(町内会とかで予算をなんとかしろよ)。あゝ、そう言えば労働猫もいるんだっけ。ネコ喫茶とか……あれも今日は全国的に休みだな。慰労してもらわニャア〜なぁ。 なんて(=^・^=)たちが言っているかどうかはつゆ知らず……。最近は猫さんたちも寒いのか見かけない。飼い猫さんたちはお家でヌクヌク、コタツで丸くなっているのでしょうか?まぁ、これからもヨロシク。仲良くやっていきましょう。 上の写真は猫好きの友人が描いた絵。アハハ……無断で拝借しちゃった。でも可愛いでしょ(=^・^=)。その名をクロと言う。賢い猫だったそうな……。今日はかつて仲良しだった猫ちゃんたちを偲んでみるのもいいかもしれない。
2022.02.22
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お正月に生けた花が、時の経過でこんな風に……。 松、千両、葉牡丹、赤目柳など……随分と長持ちしています。いずれも生命力が強いものばかりですが……。千両があやしくなってきたり、と少しづつ変化はしていますが、その変化の中でも見事なのが赤目柳です。当初は芽が赤い殻に包まれていましたが、やがて殻を破り白い芽が表れました。それがまぁ!!きれいでなこと。ビロードのような感じです。また枝のカーブが何とも独特の風情を描いていますよね。 お正月が過ぎて、ふた月はたちますか。まだまだ楽しませてくれそうです。下の写真が生けた頃。菊も健在で、お正月らしい飾り立てもありましたっけ……。さて赤目柳。最近は更に綿帽子のようなものに包まれはじめました。そろそろ終焉を迎えるのか、はたまた新たなる再生へ向かっているのか???ではありますが……。下の写真です。 今年になって知人が二人旅立ちました。まだまだ人生を謳歌できたであろうに……闘病のはて逝かれました。届いた知らせの前にしばらく茫然となりました。誰にでもいつか訪れるもの。言うなれば、見事にその人生を生き抜いたのですね。盛大な拍手を持って送りたいと思います。最後のカーテンコールです。 そしてご冥福をお祈りたいと思います。
2022.02.20
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……って、何を!って感じですよね。これ、何だと思いますか? 建物に目盛がついているんですよ。消防署であるのは確かですが……う〜ん、不思議な建物って、通るたびに思っていました。 それが先日。こんな光景を目にしました。思うにですよ、正解かどうかは?ですけどね、火を消す時に放つ水の高さを覚えておくための稽古用なのではないかって。高さを把握したり勘を養うとか、水を放つ角度とか、それこそ色々なテクニックが必要になるんでしょうね。そうなると想像もつかない範疇です。速やかに火事を納めるために。そもそも火事なんてパニック状態に陥りますし、滅多矢鱈にあって欲しくないものですから、こうした鍛錬がモノを言いそうですね。 一方、こちらでは……。きっと逃げ遅れた人の救出、その練習でしょう。こうして知らないところで鍛錬が繰り返されていたんですねぇ。しばらく釘付けになって、ただただ見入っておりました。 こうした消防署とは違い、地域には消防団というものがあるそうです。言うなればボランティアのような、地方自治の一環でしょうか。古くから地元に住んでいる方が教えてくれました。緊急事態の際、火事とか、そんな時は消防署のプロと地元消防団が一体となって土地を守る、ということですね。ただ休みの日にしか地元に居着かなかったアタクシには、目からウロコであります。消防団のこととか地元の会報に書かれていました。読んでいませんでしたゎ。
2022.02.18
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毎日変わらぬ日々の繰り返し。時には……。 例えば、これ。一瞬、エッって思ってしまいました。あゝ、よく見れば壁に反射した光なんですけどね。でも。一瞬、その向こうにも世界があるような……早い話、錯覚です。それでもちょいとワクワクしてしまって……まぁ、壁にぶつからないように注意しましょう、ってな感じでしたが……。 何か。ちょっとしたこと。不思議?ってなことに心を運ぶのも一興であります。ネタバレはすぐやってきても、一瞬騙されて楽しんでみる……それも変化を呼んでくれます。退屈しのぎと言えないこともなきにしあらず、ではありますが(*^^*)。そう思えば錯覚って、楽しくもあります。違うみえ方がするんですからね。そうするとそれもあり、なのかもしれませんね。これはこう、と決めつけすぎているような気もします。 まぁ、なにはともあれ、楽しければOK。誰に迷惑をかけるわけでもあるまいし……ってな感じで、今日もまた何か面白いことを見つけましょ・と(^O^)/。
2022.02.16
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雄しべが、雌しべが、どうのこうの……って。 昨日のことです。サイエンスZEROと言う番組で「進む中性化」ってな特集をやっておりました。アタクシ的には男だぁ、女だぁって……あまり好きではないので面白く見させて頂きました。何でも男性ホルモンとされるテストストロンの分泌の変化によるものだそうです。まぁこれは今に始まったことではなく、ホモサピエンスが共同生活を営みだしたなどの進化から避けては通れない定めだったようです。最近富にその兆候があらわになってきたようですねぇ。 ジェンダーへの意識が高まってきて、色々な人がいるのだから受け入れようという姿勢が見えてきたのはいいことだと思います。まだまだ道は遠いようですが。そもそも男らしい、女らしさという概念にどれほど縛られてきたことか……男や女である前にその人自身の個性が問われるべきです。俗に言われる男尊女卑は長いこと悠然と構えていましたからねぇ。もぉいいかげん、そんなものから解放されてもいいんじゃないの……って、アタクシ的には、やっと……と言う感じです。 折しも今日はバレンタインデー。もぅ以前からこちらもボーダーレス。女→男ではなく送りたい人に送って、頂いたりもしています。 さてこの中性化が進むと種の保存が危うくなる、という問題が出てくるようです。それでなくとも少子化傾向にあるのにですね。それが何でも生殖医療ではiPS細胞を駆使して子供の誕生させる、そんな研究されているそうです。子供は男と女から生まれるのでなく、というような。今はまだ研究のみだそうですが、果たして未来はどうなるのでしょうか。概念もめまぐるしく変わっていくでしょう。でもそれは展望であるとも思えます。
2022.02.14
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子供は風の子、なんて申しますが……。 先日。昼休み頃でしょうか……てくてく散歩の途中。小学校の前にさしかかり、校庭で子どもたちが遊んでいるところを目の当たりにしました。砂埃がたち昇る勢い。ひぇ〜。やっぱり子供は風の子、ゲンキいっぱい!! しばしストーカーの心境を味わってしまいました。こちらは「寒い、寒い」の連呼。昔は自分もあんなふうに駆け回っていたんだろうか……なんてあまりにも遠き日々、思い出すのも困難です。 まぁ今と昔では寒さ暑さも違うようで、今のほうが深刻だと思います。でも今の子供には昔なんて関係ありませんから、今は今。寒かれどうであれゲンキに走り回っているのは良きこと也ですねぇ。ちょいと、そのゲンキお裾分けくださいな、ってな感じです。さぁ、これで充電完了(^o^)。ゲンキになったと思えばそれ・それなんですよね。何事もまずは気持ちありき!! 誤魔化しでも何でもなく、強いて言えばおまじないかなぁ……。 またまた週明けに雪が降るとか噂が飛び交っています。雪だと大騒ぎ……確かに色々と大変ですが、何か情けない気もしますねぇ。温暖化温暖化と騒がれ、何かあるとそこに責任転嫁して。あゝ、これからどぅなるんでしょうか。アタクシたち以上に地球。ゲンキになってもらいたいですね。その鍵を握っているのはアタクシたち一人ひとりなんですけどねぇ。
2022.02.12
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予告どおり、雨がみぞれとなって降り続けています。積もるのでしょうか? また少し春が遠くなった感じです(T_T)。 昨日。久しぶりに川を二つ越えて両国へ行ってきました。両国と言えば相撲と隅田川です。国技館は静まり返っていましたが、駅の中でもお相撲さんの姿がいっぱい、パネルです。もぅスタート地点から盛り上げてくれています。駅近辺にはちゃんこ鍋屋も多々。そう、駅近辺にこそ情緒があります。 改札を背に右が国技館。あいにくアタクシは左へ。時たま両国を訪れる目的は相撲ではなく芝居です。今日もシアターχという劇場へ向かいます。 少し早めに着いたので、てくてく隅田川詣で? いつも電車の中から見る景観。今日は逆です。アタクシが景観の一部に。絵の中に入ったような感じ(^o^)。ネオンが川に色を添え華やかな夜景を醸し出しています。川沿いもきれいに整備され、のんびりと佇める空間をつくっているんですねぇ。大昔は汚いイメージもありましたが、その努力の成果は大いに認めましょう……と、偉そうに庶民の声を代表して……ってぇ〜。 隅田川は橋も多く、それぞれ趣きもあります。謂れもあるんでしょうね。ちょうど厩橋と両国橋を左右に矢印が示していましたが、目的地の方角、両国橋に向かいます。 川沿いの歩道を川と共に歩を進めます。時代劇でお馴染みのお江戸日本橋の世界観です。江戸情緒の息吹が……庶民の暮らしぶりが……目に浮かびますねぇ。そんな壁画?もあり、ご丁寧により一層盛り上げてくれます。橋にたどり着くと、車が行き交い、そんなイメージも儚く…。一時の夢物語も去りならん。♫ 春のうららの すみだ川 のぼりくだりの 船人が 櫂のしずくも 花と散る ながめを何に たとうべき ♫ 隅田川を見ると、この歌を思い出します。有名な唱歌ですから、身についてしまったのかも……でも。もぅ今やこんな風情は何処に?って感じでしょうねぇ。この歌「隅田川」って題名だと長いこと思っていましたが「花」が正解、だそうですよ……って、そう思っていたのはアタクシだけ???
2022.02.10
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あゝ、今週雪が降るとか……2月の声を聞き立春を迎えたとはいえ、まだ冬は続きそうです。あ。椿が今、咲き頃です。 今年の冬は寒すぎですねぇ。暦の上では春なのに……。ここのところ咲く花を見て春の訪れを待つばかりです。やはりこの季節の代表選手と言えば椿とか山茶花? とても似ているので区別がつきづらいのですが……。実家の庭の椿。これは椿と言われ続け見てきたので迷いません(笑)。今年も咲いてくれました。蕾もありますから、まだまだ楽しめそうです。 それからスイセンも何となく春待ち花のイメージです。こちらは道端にも気軽に咲いています。結構強い花なのかもしれませんね。 季節感。もちろん気象や寒さ暑さの体感がまずありきですが、花を頼りに感じる方が気分的にも和みますし、来る季節への期待も高まります。歳時記によく花が登場するのは、そんな意味合いもあるのかしら……なんてね。年々寒さが苦手になってきています。寒さを楽しむなんて無理。早く暖かくなって欲しいものです。
2022.02.08
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まだ暗い……夜更しが過ぎたり、とてつもなく早く目が覚めてしまったり……そんな時、ふと外に出ると煌々とした?灯りが……。 そこだけ。もぅ賑わっている。そこだけもぅ、今日が始まっている。最近は需要も減っているだろうに、淡々と作業が続けられている。そう言えば学生時代、奨学生とかいたなぁ……こんな時間から働いていたんだ、としみじみ今更ながら忖度する。 土日とか祝日前とかチラシも多いだろうから、作業はその分時間がかかるだろう。受け取る側からすれば、あまり用をなさない、というかゴミ箱に行き先は決まっているのに……かつてチラシをつくっていた時でさえ、そんな虚しさも…。デザインがどうの写真がどうのより、如何にゴミ箱への道を遠くするか……折りたたんで何処かに忍ばせてもらえたら万々歳!ってなもんだぁ(・_・;)。 それを言うなら本家本元の新聞でさえ、最近は読まれなくなった。記事を書くためにどれだけの取材を重ね……なんてことは楽屋事情にすぎないか。つくる人、届ける人……もっとたくさんの人が関わっているだろう。たかが新聞。ゴミ出しの時まで偉そうに構えて場所をとり、されど新聞。ここに多くの人たちが関わりあっていたのだ。どうやら作業が終わったらしい。そして次のランナーにバトンタッチ。店頭にあるバイクに積み込まれ運ばれゆくのであろう。
2022.02.06
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♫ 遠い遠い はるかな道は 冬の嵐が 吹いてるが 谷間の春は 花が咲いてる ひとり ひとり 今日もひとり 銀色の はるかな道 ♫ あれから。どのくらいの時がたっただろう。もぅお陽様とお月様とはすっかり仲良しだ。吹く風に揺られ揺られて。あゝ、風がここのところ少し暖かくなってきたかな……。ボクが土から離れ、一束にくくられて川のところにさらされてから。あの頃はまだ吹く風も今よりも優しかったな。飛ぶ鳥もひとときの休みを求めて遊びに来てくれたっけ。ボクを突いたり「こんな所で何してるの?」って話しかけてくれた。そんなのボクだって知るはずがない。ただただ毎日待っているようだ。ボクが一人前になる日をね、多分。 ある時、鳥が言った。「あらあら、アンタ。この頃すっかり色抜けて男前になったなぁ」だって。「それってイイことなの?」「当たり前やん。前は赤い顔して恥ずかしそうにしてたし」「?」「ええよぉ」って……。「でも、道行く人は赤くてきれいだね、って誉めてくれたよ」「それは子供の頃のことやん?」「ボクは子供ではないの?」「ふふん。アンタにはもぅ行く道が決まってるやん」「?」鳥の言っていることは、どうやら毎日こうしていることに関係がありそうだ……。 遠い遠い はるかな道そう。ボクの道は立派な箒になることだね。箒への道は今日も続く。いつ、おしまいになるかも分からない。三日月お月様がまた満ちてまん丸お月様になって、そしてまた……はるかな道は続きそうだ。
2022.02.04
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はい。ビヨンヌ特派員、現地におります。 はい。扉はしっかり閉まっています。何やら中から轟音が響きわたっています。見張りの人間が声高々に喚いています。しかし、周囲は何変わらず……バスや車が行き交っています。あ。どうやら開門……らしく、扉がゆっくりと開いてまいります。………………………………はい。続けます。はい。そこでアタクシが垣間見たものは……。 はい。こちらです。轟音の謎が解けました。かつては壮大であっただろう建物が壊されておりました。重機が音をたて砂埃をあげ……あ。いえいえ。青空の下、静かに静かに事は運ばれている模様。では住民は……? すでに安全は確保されたのか、誰ひとりおりません。無事逃おせたのでしょうか? では何故? ゲットーの如く隔離していたのでしょう。あゝ、謎は深まります。ちょっとお待ちください。目をこらすとそこには……。 ……そこには在りし日。その面影が目の前に展開します。そこは……そう。人々が行き交うパラダイス? 店が立ち並び、品物がここ狭しとばかりに溢れ、時折胃袋を刺激する匂いが立ち上り、人々の笑顔と明るい声が…。家族連れも若者もご老人も誰もが競うようにむしゃぼって、いるようです。新しい時代のシンボル。そんな感じで賑わっていたのでしょう。 そして時は流れ……ひとつの時代は終焉を迎えました。そこにいるのはかつて富を欲しいままにした魑魅魍魎たち? 彼らはゲットーの如く隔離された中で、今静かに時の流れを見届けているようです。 はい。これでアタクシの中継は終了となります。
2022.02.02
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