やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2004年05月18日
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カテゴリ: 読書感想
いつまでも上に「読んでますよ」テロップを流しているのは恥ずかしいと思いつつやっと読了。


結末のバックにベートーヴェンの『荘厳ミサ』が湧き上がるように書き込まれてあり、救われた気がした。

解説にもあるようにそこに作者の意思もあるのだろう。

一人の人間として悪者といえども心の震えはあり、いつ滅びるかと不安にさいなまれている生き物なのだと。

当時(「白い巨塔」が連載されていた頃)、社会派小説は流行っていて私は松本清張氏を多く読んでいて共感や憤りを経験していたにもかかわらず、今回はまいった、あまりの臨場感に。

どろどろした人間関係に憤慨して読んでいると、胃がん手術のリアルさ、医師の頭の下がるような執刀の様子。かと思と法廷の緊迫したやりとり。大阪の商人のドラマチックな展開。

悪人の代表のような財前五郎、ヒューマニズムの、あるいは神のような存在の里見脩二。わかりやすい描きかたに舌を巻く。うーん、その他の登場人物もしかり。

「生み坊主のようにぬるりと頭をひからせた」財前の舅の又一。「鶴のような痩身」の解剖の大河内教授などなど。まるでアニメのようといってもいい。

しかし、作者山崎豊子氏は取材、予習と大変苦労された。だから内容に齟齬がないのだろう。また、一旦、第一審までで筆をおき、二年後続編を書いたということは、読者の反響、社会的影響によるという。






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最終更新日  2004年05月18日 20時11分10秒
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Re:「白い巨塔」山崎豊子(感想その二)(05/18)  
アニメのよう、そういえばそのとおりですね。
私は「社会派小説」の肩書きでそういう見方ができませんでしたが、確かにそういう面がありますね。
(2004年05月18日 22時27分04秒)

Re:「白い巨塔」山崎豊子(感想その二)(05/18)  
志穂音  さん
ベートーヴェンの「荘厳ミサ曲」いいでしょう?
スメタナの「わが祖国」といい大好きな曲なのです
ついでにシベリウスもいいですよ~
音楽は文学にもたくさんの効果を与えてくれますね (2004年05月19日 10時23分45秒)

Re:「白い巨塔」山崎豊子(感想その二)(05/18)  
isemari  さん
そうそう。齟齬がない、無駄がない小説ですよね。
この前も書いたけど人の業、人の弱さ強さみたいのを考えさせられますよね。里見や佐枝子(?)ですら完璧ではない。それぞれがそれぞれの弱さ、業を抱えて、それでもそれぞれなりの道を真摯に生きていく。そこに打たれたのだと思います。

(2004年05月20日 00時30分14秒)

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