こんにちは。お邪魔いたします。
ここにもalex99さんがいらした・・・

ロストジェネレーション、というやつですね。
この作品は読んだことがないのですが、日記を拝見する限り、ヘミングウェイの『日はまた昇る』『移動祝祭日』などのパリに近い感じがしました。
(2005年02月23日 15時01分32秒)

やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2005年02月23日
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カテゴリ: 名作の散歩道
「グレート・ギャツビー」を書いたフィツジェラルドの短編集。

「雨の朝パリに死す」とは映画の邦題。映画の題名がすばらしくて中身はそれほどじゃない(題のつけ方がうまい?)という一時期があったね。これもどうだったのだろうか。

「ふたたび訪れたバビロン」が原題で、悪徳の都バビロン(ここではパリ)にて酒乱の末、妻を死なせた苦い思い出がある。ふたたび訪れて悔恨かられるが、過ぎ去った日々は帰らずとも、幼い娘とともにまともな生活を求めそれに希望を見出す。

と書くとしごく道徳的に思えるが、いやいや、その悪徳の魅惑的な描き方が冴えている。フィツジェラルドのフィツジェラルドたるゆえんといえようか。

フィツジェラルドのこの短編集に収められている短編はみな、登場人物がお金持か、お金を稼ぐのがうまくて、富と享楽の明け暮れ、お酒と恋の逸楽三昧。きらびやかな世俗への誘惑、そして凋落。あるいはいくら楽しく過ごし暮らしても、移ろっていく人生の悲哀。

ちょうど80年代の日本のバブル期とその後のはじけて「あれは何だったのだろうか」と思うのにに似ているのか、私は残念ながら経験しなかったが…。


「カットグラスの鉢」

高価で美しく繊細なカットグラスの数々。18世紀末アメリカの中西部に嫁入り道具として流行っていた。あろうことか、振った元恋人の男から贈られた大きなカットグラスのポンス酒用の鉢。

『あなたのように硬くて、美しくて、空虚でやすやすと中を見通せる贈り物を上げましょう』



「冬の夢」
「罪の赦し」
「金持ちの青年」

3篇とも主題は同じ。
どうしてフィツジェラルドは青春と老成、隆盛と凋落、光と影をこんなにもうまく描くのだろうか。





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最終更新日  2005年02月23日 11時44分15秒
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Re:「雨の朝パリに死す」フィツジェラルド(角川文庫)(02/23)  
alex99  さん
エリザベス・テイラー主演で映画化されていますね。
確かビデオを持っています。

(2005年02月23日 11時54分18秒)

Re:「雨の朝パリに死す」フィツジェラルド(角川文庫)(02/23)  
Koike1970  さん

alex99さんへ Re[1]:「雨の朝パリに死す」フィツジェラルド(角川文庫)(02/23)  
ばあチャル  さん
>エリザベス・テイラー主演で映画化されていますね。
>確かビデオを持っています。

わー、お借りしたいところですが、ビデオデッキは棄てました。もう、DVDしかだめ(笑) (2005年02月23日 15時07分47秒)

Koike1970さんへ Re[1]:「雨の朝パリに死す」フィツジェラルド(角川文庫)(02/23)  
ばあチャル  さん
>こんにちは。お邪魔いたします。

いらっしゃいませ。

>ここにもalex99さんがいらした・・・

コメント欄でお目にかかったようです!

>ロストジェネレーション、というやつですね。
>この作品は読んだことがないのですが、日記を拝見する限り、ヘミングウェイの『日はまた昇る』『移動祝祭日』などのパリに近い感じがしました。

そうですね。その第一次大戦の前夜の迫るような不安感が「チボー家の人々」で、私達が生きた時代ではないのに懐かしいような…。 (2005年02月23日 15時20分43秒)

Re:「雨の朝パリに死す」フィツジェラルド(角川文庫)(02/23)  
るり4241  さん
>どうしてフィツジェラルドは青春と老成、隆盛と凋落、光と影をこんなにもうまく描くのだろうか。


 ばあチャルさんのこの感想、素敵ですね。彼の本質を突いている言葉です。

 ご存知かもしれませんが、フィッツジェラルドの生活そのものがこの言葉どおりだったようです。 (2005年02月25日 07時10分15秒)

るり4241さんへ Re[1]:「雨の朝パリに死す」フィツジェラルド(角川文庫)(02/23)  
ばあチャル  さん
> ご存知かもしれませんが、フィッツジェラルドの生活そのものがこの言葉どおりだったようです。

そうですね。莫大な収入とそれを上回る華やかな浪費を、それはそれは美人の誉れ高い妻、ゼルダとともにして過ごし、ついに、崩壊したという伝説的で早世のひと…。 (2005年02月25日 20時23分04秒)

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